May 2007

May 28, 200717:305月のメルマガより 〜養生法今むかし〜
緑も随分と濃くなり、初夏のようなお天気が続いています。
春先のけだるさも抜け、すっきりした気分の方も多いのではないでしょうか?
こんな陽気の時は生命力あふれる山や緑の中に出かけたくなりますね!
さて、前回・前々回と、中国最古の医学書、且つ東洋医学のバイブル的
文献として、現在もなお研究され続けている「黄帝内経」のお話でしたが、
今回は時計の針を進め、少し現代に近づいたお話をしてみたいと思います。
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体にいい食品や○○を解消するための運動法、などなど、
健康情報百花繚乱、健康ブームの現在からさかのぼること約300年。
1712年に発行された一冊の本が江戸時代随一と称されるほどの
話題を呼びました。
貝原益軒84歳、亡くなる一年前の総仕上げ、「養生訓」。
日本史で一度はその名を聞かれたことがあるでしょう。
 
「バランスよく腹八分目に食べなさい」
「食後は歩きなさい、日々の運動が養生の基本」
「医者や薬に頼るよりも自分で鍛えなさい」
「睡眠はとりすぎても足りなくてもいけない、すべて八分が結構」
「長い息=長生き、なのだから呼吸はゆっくりしなさい」
「気持ちは平静に、環境は清潔に」 などなど
現在では当たり前と言われる健康の基本が、
それはそれは細かく書かれています。
 
「食後餅菓子や米菓子などを食べ過ぎるのはよくない」と
別腹(ベツバラ)についてまでご丁寧に書かれているところを見ると、
江戸時代が安定した豊かな時代であったことが伺い知れますし、
「筋や内臓に負担をかけるから、長い時間同じ姿勢でいるな」
「イライラするな、気持ちを平静に保つように」
「酒はほろ酔いが一番楽しい、泥酔するもんじゃない」
と読めば、300年前も悩みは同じだったんだなぁと親近感を覚えます。
 
「食」と「動」、「睡眠」「環境」「感情」を過不足なく、バランスよく
整えるという一番シンプルな生活が、300年を経た現代においても
健康の近道ということが分かりますね。
 
さらにこの養生訓、今流行りのスピリチュアルなお方でもありました。
「自分が生きていることは、いろんな人たちのおかげ。
両親が自分を生み育ててこられたことに感謝するだけでなく、
自然の恵みに感謝しなければならない」と説いたり、
「いつも完全無欠を求めていると疲れるもの。
最上を求めたくなるのはしかたないけれど、
多少とも気にいることがあれば、それでもいいじゃない?」
と提案してみたり。はたまた
「一時の浮気であっても人生破滅につながるように、
少しだけなら、と思うことが大きな害につながる」
「楽しいことを続けていれば、必ずあとでつらいめにあう。
楽しく生活するために努力をしてから楽しみなさい」
「個人的には、宇宙には寿命などないと思っている。
あらゆる宇宙がその存在を変えながら永遠の昔から存在し、
永遠の未来を持っていると思っている」 と綴ったり。
どうです? 江戸を代表するスピリチュアルなお方だと思いませんか?
 
結構面白いので、次回以降も少しずつご紹介してみますね。
分かりやすく現代語訳したものが本屋さんで出ていますので、
興味を持たれた方は読んでみてください。
 
さて、今回はもうひとつ、食養生ということで、現代のお話を。
 
アメリカのファストフード店やレストランが今年に入って相次いで
使用を中止し、ニューヨーク市が原則使用禁止を決めるなど、
ここ数年話題に上る「トランス脂肪酸」。
耳慣れない名前ですが、ご存知ですか?
 
「マーガリン」やファーストフード店などで使われる揚げ油、
クッキーや菓子パン、ケーキに含まれる「ショートニング」、
スナック菓子の揚げ油の一部がこれに当たります。
 
例えば、植物油をバターのように固めた「マーガリン」は
動物性脂肪ではないので身体によいと思われがちですが、
本来液体の植物油を固めるワケですから、
特殊な方法=高温・高圧で水素添加物を加えて処理する=をとります。
この時に出来るのが「トランス脂肪酸」。
 
「脂肪酸」そのものは私たち人間の体に60兆個もある細胞
ひとつひとつを覆う膜を作る、大事な材料です。
が、「トランス脂肪酸」は同じ脂肪酸でもその変形、
構造式はなんとプラスチックと同じ(?!)で
自然界では分解されないため、プラスチック食品と呼ぶ人もいるとか。
善玉コレステロールを減らして、悪玉コレステロールを増やし、
心筋梗塞などの危険性を高めるデータが出たことを受け、
米国では数年前から規制がかかり始めました。
 
日本でもその流れを受けて、
マーガリンの中身のトランス脂肪酸の割合を減らしたり、
ファストフード店が揚げ油を普通の植物油に替えたりしています。
が、元来が米国ほどは油をとらない日本では、あまり大きいニュースに
ならないのも事実。
自分の身は自分で守る。
極力自然のものを自然の形で取るようにし、
賢く加工食品を使い分けるようにしましょう