肌寒くなってきましたね。受付の藤枝です。
 
今月紹介の本は、第156回直木賞受賞作 恩田陸「蜜蜂と遠雷」です。
あるピアノコンクールに参加する若きコンテスタたちの
心の動き、苦悩、そして成長の物語です。
ピアノという芸術に向き合い続ける若者たちが、音楽を愛し、音楽を理解し、
音楽を表現する。音楽大好きの私には、その人の人間性もひっくるめて音を
紡ぎ出す音楽家の心の描写は、本当に興味深く面白いものでした。
そして、さらに楽しませてくれたのは、文学と音楽を一緒に味わえること。
コンテスタ達の課題曲を聴きながら本が読む。その曲の意味、
受け取り方、イメージを文字で読みながら曲を聴く、という
目と耳を存分に楽しませてくれる作品なのです(^^)

では、音楽とは程遠いこの題名の意味は…

天才ピアノ奏者の風間塵は養蜂家で、ホフマン先生の秘蔵っ子。
そしてピアノ界へのギフト。
彼の師事するホフマン先生は、ピアニスト誰もが師事したい
と憧れるマエストロ。コンテスト以前に亡くなっているが、
今もなおピアノ界に影響を与え続けている存在。
そんな2人の存在を、蜜蜂と遠雷という言葉で表したのでしょうか?

もしくは、
養蜂家は古代ギリシャよりある仕事で、蜜蜂は生命力に溢れたものの象徴。
筆者は蜜蜂を「世界を祝福する音符」と揶揄している。
また遠雷を、「何かが胸の奥で泡立つこと」と表している。
つまり、世界共通語としての「音符」を通して、命を躍動させる音楽、
心を震わせる音楽を紡ぎ出せというメッセージをこの題名に
こめたのでしょうか?

解釈は多様で、なおかつ哲学的。言葉と音楽と古代からのメッセージの融合。
たくさんのメッセージがこめられたこの本が 大好きな一冊になりました。
そしてこの本は、娘から私へ母の日のギフト。
大切に大切に何度も読み返し、楽しみます(^^)