「オーリィ。実家から速達が届いていたわよ」

 ありすが一枚の封書を、オーリィに手渡した。

「速達?」
「そう。転送されてきたみたいね、あんたヒデさんと結婚して引っ越したばっかりだから、しばらくいた私のところに来たんでしょうけど。確かに渡したわよ」
「私、速達なんて受け取るいわれはないけど…待てよ、実家ってことは、ゲフェンからでしょ?」

 オーリィの内心を不安が過ぎる。

「まさかヒデヒデが騎士団で殉職…!?」

 ぱさり、とオーリィの手から封書が床に落ちた。

「いや、僕今日非番で今君の隣にいるし」

 ヒデヒデの遠慮がちな突っ込み。

「ちょっと云ってみただけよー。」
「オーさん相変わらずそーゆーネタ好きねー」
「はははー。まあベタなボケはさておき、中身を拝見するといきますか。金一封かも…」

 オーリィはマントの内側からカッターを取り出し、封書の口にあてがい、一気に切り裂いた。
 中から出てきたのは、愛想のない一枚の紙切れだった。

「えーと、なになに。え…!?」

 紙切れに目を通したオーリィの顔が青ざめていく。紙切れを持つ手は小刻みに震えていた。

「ど、どうしたのオーさん」

 ミーナが駆け寄る。

「まさか、本当にヒデさんが殉職…!?」
「いや、僕ここにいるから」

「ちょっと見せて」
 ありすがオーリィの手から紙切れをひったくった。

「なになに、アルデバラン導師学校…除籍勧告通知…!?あんたこれ一体どういうことなのよー」
「いや、話せば長くなることながら、黄天太平道に入る前にここの導師学校に留学してて、黄天に入るために休学してたっていうか、ヒデさんとも結婚しちゃったし、色々忙しくて学校に連絡する暇なくてー。そうこうするうちに半年以上たっちゃ…げふうっ」

 オーリィの左頬にありすの右ストレートが食い込んだ。

「あんた親に学費借金してるんでしょ!?さっさとアルデバランに行ってこーいっ!!!ワープポータル!」
「あ、オーリィ!!」

 足元にワープポータルを出されて、オーリィは有無を言わさずアルデバランに転送されてしまった。



 …と思いきや、そこはアマツだった。

「何故アマツ。」

「アラヤダ間違ってアマツポタ出しちゃったわ」
「「「「えぇ!?」」」」

「まあ、たまにはこんな失敗くらいあるわよ。テヘッ」
「テヘッじゃねぇー!!」

 ずごん。
 ありすの背中にオーリィが放ったソウルストライクが弾けた。

「何するのよオーリィ!キリエしてなかったら死んでたわよ!?」
「…なんでキリエしてたの?」

 義天斎がぽつりと呟いたが、誰の耳にも届かなかったようだ。

「は、早かったねオーリィ」
「通りすがりのアコにプロポタもらったのよっ!そんで蠅誤爆したらたまたまありすの背後に飛んじゃっただけ!!」
「蠅誤爆したんだ…」

 ミーナの呟きも、誰の耳にも届かなかったようだ。

「早くアルデバランポタ出せ〜!!」
「しかも態度でかっ!」
「オーリィ、顔怖いよ」
「アルデバランかあ…パスタが美味しそうですよね」

 と、義天斎。

「なんでパスタなんですかお義兄さん」
「いやだって、オーさん。アルデバランだけにアルデンテ…なーんて、ちょっと苦しい?あははh」
「…天さんも一緒に行ってらっしゃい」

 容赦なくありすが義天斎の足元にワープポータルを出し、今度こそアルデバランに転送される。オーリィもその後ポータルに飛び込んだ。

「ありすって別に奥ゆかしくないんですよ、ゲルさん」

 という言葉を残して。

「アルデバランかぁ…久々に俺も里帰りしてみますか」

 夕凪が続いて飛び込む。

「いってらっしゃーい」

 ミーナがペコの背をなでながら愛想なく見送った。