舞台「銀英伝」のラインハルトの中の人、
間宮祥太朗@『帝一の國』。

かっか1 かっか2
普通にラインハルトに見えてしまうんですが。
詰め襟の制服とか、楽勝で軍服に脳内変換できますし。
昨日クランクアップしたそうで、4月の公開が待ち遠しくて仕方がないです。

さて、藤崎版「銀英伝」の感想です。
例のごとく粗筋から。

・第53話 
遂に戦闘開始。ラインハルト率いる帝国軍2万隻は、同盟軍の各個撃破に取りかかる。
まず第4艦隊1万2千に対し猛攻を加えると、衆寡敵せず、同盟軍は脆くも壊滅する。
パストーレ司令はワケワカラン間に戦死し、ファーとメルカッツはライの才能を思い知る。
第6艦隊ではラップがなおも作戦の変更をムーアに訴えるが、殴られただけだった。

・第54話
次なる得物を目指して高速で戦場を移動する帝国軍を、同盟軍は完全に見失っていた。
唯一人敵の動きを読んだヤンは、第4艦隊はすでに敗れたので第6艦隊と合流すべしと
提言するが、功を焦るパエッタは却下。第6艦隊が予期せぬ方向から攻撃を受けたのは、
その直後だった。婚約者ジェシカの祈りも虚しく、ラップは宇宙の藻屑と消えたのだった。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 

引き続き、アスターテ星域会戦。
藤崎版を読むまで、ファーレンハイトが第4艦隊との戦いで先陣を切っていたこと、
うっかり忘れていましたよ。
本来彼は攻撃タイプなんですよね。
ということで、あのキャラデザインは、そういう意味でも正しかったと。

それにしてもですよ、まさかまさかのラップが主役!
原作&アニメでは、アスターテ会戦が物語の冒頭にくることもあって、
ラインハルトとヤンの自己紹介も兼ねた華麗なる戦術合戦が繰り広げられる影で、
ひっそりと亡くなっていた感のあるラップですが、
藤崎版では、すでに二人の天才ぶりは紹介済みということで、
ここではラップの方にスポットを当てた、ということですね。
良い判断だと思います。
目を覆いたくなるほど痛々しい描写になってしまいましたが。
戦死という結果は動かしようがないので、
見せ場を作るといっても、上官との絡みを工夫するくらいしか方法がなかった、
というのが正直なところでしょうか。
ムーアもすっかり人格異常者みたいな描かれ方をされてしまって、
お疲れ様でした。

原作と異なるということでは、第2艦隊のパエッタとヤンもそうですね。
藤崎版のパエッタは出世欲の塊、
他の司令官を出し抜こうとして連係に支障をきたしていますが、
原作ではアスターテが初登場ということで、まだキャラが煮詰まっておらず、
ひたすら凡庸で古臭いイメージ。
ところで、第4艦隊はすでに敗れたので第6艦隊と合流すべきとヤンが提案する場面、
原作では二人の間に次ぎのようなやり取りが行われています。

パエ「・・・・すると君は、第4艦隊を見殺しにしろと言うのか?」
ヤン「いまから行っても、どうせ間に合いません」


パエッタの口調には、ヤンの冷徹さに対する非難の意志が込められていたそうですが、
確かに、主人公キャラは普通、仲間を見殺しにしろなどとは言いませんよね。
この部分だけ抜き出すと、パエッタが善人、ヤンが悪人に見えなくもなかったり。
しかし、あえてそのように言わせたことが読者には新鮮にうつり、
それがヤン人気へ繋がったとも考えられる。
(原作者が「三国志」の諸葛孔明を意識していたのは、間違いないと思われ)

それからさらに四半世紀が過ぎ、
時の流れにつれて読者の好みも徐々に変化し、
「権力を批判する俺様」も、もはやカッコイイの範疇に入らなくなった昨今、
原作のヤンから、傍観者的、評論家的要素を取り除いたのが、
藤崎版のヤンなのかなと、そんな風に感じております。