ジャンプ最新号(最終回)の内容が含まれますので、
未読の方はご注意下さい。

遂に、終わってしまいましたね。今のところ、続編の発表もナシ。
がしかし、いきなり出現した巫女が、「平安編」の前ぶれでないと、誰が言えよう!

五条先生、復活せず(ノД`)

何はともあれ、後味の悪いエンドでなくて良かったです。
累計1億部突破、ということは、単行本の印税収入だけで50億(税引前)か・・・・

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最終回のタイトルは「これから」。

前半は、1年ズの最後の任務。
ここはやはり、3人が共闘する場面を描きたかっただけ、でしたね。
最終回に入れるべき内容なのか、という点をさておくと、普通に面白かったです。
タワマンのエレベーターを利用して、犯人を特定したはいいが、
何も考えずに正面から飛び込んでいって、敵の術中に嵌まる、虎杖と釘先の脳筋コンビと、
敵の死角から「渾」を放って、犯人をキッチリ取り押さえる、冷静な伏黒。
3人が揃うと、作戦会議でも何でも、見ていて楽しいです。

伏黒は、「十種影法術」は、普通に使えるようですね。
宿儺に乗っ取られる前の段階まで戻っている、ということならば、
魔虚羅も破壊されておらず、未調伏の状態で保持している、ということになりそう。
それにしても、「嵌合暗翳庭」の完成形を見られなかったのは、本当に残念。
虎杖の領域名も、領域の謎も、結局、分からず仕舞いでしたし・・・・
あそこまで描いておいて、ほったらかしというのは、いかがなものかと思います。

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このコマの2人は、めずらしく美形に描かれていて嬉しい。虎釘は、マイ推しカップル。

それから、虎杖が、新宿決戦前の、五条との会話を振り返る場面。
やはり、回想シーンになってしまった。・゜・(ノД`)・゜・。゜
死亡しているならいるで、死体をどうしたとか、葬式をどうしたとか、墓をどうしたとか、
少しでも触れていただきたいのですが、そう出来ない理由でもあるのでしょうか。
誰も五条の死を悼んでないとか、不自然にも程がありますって。
もしや、続編で復活させる時に備えての、曖昧戦術?

さて、2人が話をしている場所は、五条と乙骨が入れ替え修行をしていたのと同じ、地下室。
虎杖は、日下部、乙骨と入れ替え修行をしていますが、日下部の次ぎは五条、
と思っていたところが、五条が乗り気でなく、実現しなかった模様。
五条としては、自分に何かあった時は、皆に遺志や夢を継いで欲しいと思ってはいるが、
その中の1人くらいは、五条悟をなぞるのではなく、
五条悟とは全く違う強さを持つ人間であって欲しい、と考えていて、
虎杖が将来そうなってくれることに、期待しているのだと。

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虎杖と乱取りして、バテバテになった五条w
先日の「よっこいしょ」といい、芥見先生視点では、29歳はオッサンなのでしょうか。


なお、乙骨は、五条と入れ替え修行をしているし、「肉体を渡る術式」も許可されているし、
乙骨に寄せる期待と、虎杖に寄せる期待の種類は、少し違うのかな、とは思います。
それぞれの生徒への気持ちは、基本時に変わらないと思いますが、
虎杖の潜在能力については、五条としても、底知れないところがある、ということでしょう。
かつて、「秤と乙骨は、僕に並ぶ術師になる」と言っていた五条ですが、
虎杖に対しては、それ以上の可能性を、感じるようになっていたのかも知れません。

「今の僕が、僕の終わりだとして、みんないつか、僕より大人になる日がくる・・・・」
などと言う五条は、虎杖には、らしくなく弱気になっているように見えましたが、
五条に言わせると、「これ以上ない、強気だよ」とのこと。
あの「勝つさ」という台詞も、自分が勝つ、というより、皆で勝つ、という意味だったのでしょう。
にしても、五条って、思っていた以上に、負けた時のことを考えていたのだなと、しみじみ。

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それから、虎杖が、五条先生と直接話したから、手紙はない、と言っていた件。
父親が宿儺の双子の転生体とか、母親が羂索に乗っ取られていたとか、
羂索以外には、分かりようのない事のような気がするのですが、
虎杖自身が、「知らず知らずに、呪いを背負って生まれて・・・・」と言っているので、
どのような手段で調べたのかは不明ですが(天元か?)、
虎杖の出生の秘密を知った五条から、こうした2人だけの時に、聞かされたのでしょう。

「期待しているよ、悠仁」は、五条から虎杖に託された、遺言のようなもの。
ナナミンの「後は頼みます」同様、思いを受け継いで欲しいという気持ちが込められた、
呪い、といっても、愛のある呪い、ですね。
この「期待している」という言葉は、虎杖から、冒頭の犯人の青年へと渡されます。
過ちを認め、反省したら、呪術師として、自分たちの仕事を手伝って欲しいと。
虎杖は、最後まで、菩薩なのでした。

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場面は変わって、あの世とこの世の狭間らしき場所。
宿儺の魂は、裏梅の魂と連れだって、輪廻転生の道程にあるようです。
その道すがら、魂に干渉する術式の力が残っているのか、真人が話しかけてきます。
ここで、宿儺の過去に関する、衝撃の事実が!

宿儺はなぜ、呪物となって時を渡ったのか。
真人に言わせると、身の丈で生きているだけ、というのは嘘で、
異形の忌み子として生まれた自分を、蔑み、虐げた者たちへの“復讐”、だろうと。
宿儺にしてみれば、それこそ身の丈の生き方だった、ということですが、
この時、宿儺は、ふと己の人生を振り返り、
違う生き方を選ぶ機会が、2度あったことを思い出します。

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この場面、2人の女性が描かれていますが、1人は裏梅で、もう1人は巫女の姿をしています。
「きっかけは、2度あった」ということですが、
第1のきっかけが、母親の胎内で、双子の兄弟を食べて生き残ったことだとすれば、
巫女は、宿儺の母親ということになります。
神に仕えるべき巫女が、禁忌を冒して妊娠し、異形の子の産んだとなれば、神罰扱いでしょう。
どこの神社の巫女だったのか、父親は誰なのかも、気になることろです。

そして、第2のきっかけとなった裏梅。
本編より幼く、粗末な着物姿に描かれていることから、宿儺と出会った頃の裏梅は、
虐待されるなど、哀れむべき境遇にあったと思われます。
復讐心を抱えながらも、「安倍家の精鋭」として働いてきた宿儺が、
闇落ちして「堕天」と呼ばれ、呪いの王へと転じるきっかけが裏梅だった、となれば、
宿儺にとっての裏梅は、夏油にとってのミミナナのような存在、だったのかも知れません。

にしても、この下り、「平安編」の予告以外の、何ものでもないように見えるのですが。
千年前の無双している宿儺、期待してしまって良いのでしょうか。

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宿儺は、次ぎがあれば、生き方を変えてみるのもいいかも知れない、とも言っていますが、
次ぎ、といっても、輪廻転生して、また人間に生まれ変わることがあったなら、
というほどの意味で、呪物などになって、積極的に現世に甦ることは、考えていなさそう。
真人にしてみれば、「臓腑に蠢く呪詛を、吐き出さずにはいられなかった」はずの宿儺が、
ずいぶんと丸くなった、つまらなくなったと、罵倒したくもなるでしょうが、
敗北を受け入れている宿儺は、反論するでもなく、静かに去って行きます。

もっとも、再び、羂索のような人物が現れて、
宿儺の力を利用しようとする可能性は、ゼロではありせません。
万が一、そういった事態になれば、その時は、スピンオフなどではなく、
『呪術廻戦 partⅡ』が、描かれることになるでしょうw

あの世とこの世の狭間に、ひとり取り残された真人。
人間の負の感情から生まれた呪霊だけあって、人を憎み、呪わずにはいられない真人は、
成仏から、最も遠い存在なのかも知れません。

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そして、エピローグ。
現実に戻って、呪術高専の生徒たちの、前向きな姿が描かれます。
秤と星も、制服を着ているので、高専に復学したのでしょう。
問題は、教師の方ですよね。日下部が、2年と留年生をまとめて担当して、
1年は、例の、名前だけ出てきた、1級の宇佐美(たぶん、高専の元教師)が戻ってくるとか。

最後のページは、百葉箱。
1話に登場した、虎杖の母校、仙台の杉沢第三高校のものでしょう。
そこに、宿儺の指が置かれている場面で、全話の終了。
かくして、宿儺の指は、元の場所に戻り、呪術は廻ったのでした。ちゃんちゃん。

百葉箱に指を置いたのは、虎杖ですね。
すでに危険性はなくなっていて、丁度いい魔除けになっている、とのことですが、
虎杖の宿儺に対する、同病相憐れむ的な気持ちを、感じないでもなかったり。
あの百葉箱は、虎杖の中では、祭壇のようなものなのかも。
とはいっても、あんなものが百葉箱にあったら、普通に気持ち悪いですって。
さすがに、あれを食べる人間は、いないと思いますが、
高専の忌庫に置けないなら、国立民族学博物館にでも寄付した方が、よほど有益と思われ。

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なお、指は、ダムにあった最後の1本で、宿儺が祓われた後も、形を保っていたらしい。
指の納められた箱は、蓋に「摧魔怨敵」と書かれた呪符が貼られているので、
1話に登場した箱と、たぶん同じものでしょう。
ちなみに、「摧魔怨敵」とは、密教系の呪術の中でも最高の秘法「摧魔怨敵法」に由来し、
個人ではなく国家を守護するため、怨敵を降伏させる目的で修されるものとのこと。

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さて、6年以上にわたって連載されてきた『呪術廻戦』ですが、
私にとって、週刊少年ジャンプは、普段、縁遠い世界。
アニメの1期や、劇場版「0」は見ていましたが、普通に面白いとしか思っていなかったところ、
昨夏放送された「懐玉・玉折」が刺さりまくって、慌てて単行本を大人買いして、
やっと本誌の連載に追い付いたと思ったら、直後に五条が2.5条に(ノД`)、ということで、
1年少々の付き合いでしかありませんが、大いに楽しませていただきました。

その間、芥見先生が、「王道と向き合う」と発言されていたそうなので、
王道とは何ぞやと、少し考えてみたのですが、
王道というのは、普通の人間に、普通に備わっている、
悪は滅びるべき、とか、因果応報であるべき、といった倫理観の延長線上にあるもので、
意図して、どうこう出来るものではない気がするんですよね。

ということで、芥見先生におかれましては、
どうしても王道であることが求められてしまう、バトル物の長篇よりも、
比較的自由に描けそうな、「0」や「懐玉・玉折」程度のボリュームの中短篇で、
“少年マンガの枠を突き抜けた、圧倒的な描写力”
を発揮されることを、期待したいです。

今度の最終回でも、宿儺が大のお気に入りだということは、良く分かりましたので、
彼が主役のスピンオフ、「平安編」を是非、お願いいたします。
本ブログの『呪術廻戦』の考察&感想も、その時、復活することでしょう。