マルは結局、カリヤンを殺せなかったのですね。
カリヤンの処遇は、ルメル族の合議によって決められることになりましたが、その結果次第で、彼らが地球人と共存していけるのかどうかも、決まることになりそうです。

「久しぶりだな、虎杖」byパンダ

物語のクライマックスに、パンダ先輩が登場してくるとは!
前回も書きましたが、本編の終盤の設定は、今作と繋がってくる傾向があるので、最終回や30巻の追加エピソードは、今一度見直してみると、新たな発見があるかも知れません。
後は、今作の最終回で、虎杖の「竈・開」が見られれば、思い残すことはないのですが・・・・

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マルたちの「調和の儀」によって、東京から呪霊が消えて行きます。
雪に交じって空中を浮遊する光は、祓われた呪霊の魂から発せられたもの。
通常、呪霊が祓われる際は、一瞬、黒い炭粒のようになってから消滅しますが、「調和の儀」によって祓われた呪霊は、魂が浄化されたかのように、穏やかな光を放って消えて行く――宮國曰く、「祓いというより、成仏だな」とのことですが、背景にニコライ堂(東京復活大聖堂)が描かれているので、昇天っぽくもあります。

24.7

そういえば、前回書き忘れましたが、ダブラがアフリカの術師から「黒縄」をすぐに受け取れたのは、予め、総監部と現地の間で、話が付いていたからだと思われ。宇宙人との友好のため必要なので、編み上がっていれば1本分けて欲しい、礼金は10億でどうか、とかw
宇佐美が負傷入院した後、その辺りの交渉は宮國がやっていたと思われるので、今回の件も、何が起こっているのか、だいたい察しが付いたのでしょう。
一方、事情を知らない美野は、きょとんとした顔で、空を見上げることになったと。

シムリアの女性たちも、宇宙船の中から、不思議そうに外を眺めています。彼女たちが真相を知るのは、翌日になりそうですが、ジャバロマは、何か思い当たるものがある様子。
もう一人、宇宙船から外を見ていた人物がいます。クロスです。
彼は、マルの術式によって回復するまで、意識不明の状態で病室のベッドに横たわっていたのでしょう、髪は解け、目の周囲がやつれています。
彼が船内にいるということは、「調和の儀」を発動したした時、マルと手を繋いでいたクロス、真剣、憂花の3人は、実体ではなく、魂のようなものだった、ということに。

24.5

果たして、憂花が目を覚ました場所は、新宿の瓦礫の上でした。
「調伏の儀」はいつの間にか終了しており、魔虚羅の法輪が、まさに消えようとしています。
そして、憂花からは、悪性腫瘍を原因とする頭痛も、きれいに消えていたのでした。
憂花から連絡を受けた真剣が横たわっていたのも、マルと死闘を繰り広げた二子玉川。
そこには、当のマルも居て、真剣が目覚めるのを待っていたようですが、助け起こす様子から、二人の間には、すでにわだかまりが無くなっていることが見てとれます。

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場面は突如、シムリア星。
故郷の星に帰り着いたダブラが、真っ先に向かった場所は、デスクンテ族長の城でした。
美女を侍らせていた族長は(こういう場面での悪者のお約束w)、殺意をみなぎらせて乗り込んできたダブラに狼狽えます。やましいことがあるのでしょう。
が、ドゥーラを殺すよう命令したことを、ダブラが恨んでいたとしても、妹のスページョに呪いをかけておいたので、自分には手を出せないだろう――という、族長の当ては大ハズレ。
呪いは、シムリアには存在しない「黒縄」によって解かれており、また、ダブラ本人も、以前のような、優しいだけの青年ではなくなっていたのです。

24.2

ということで、今作における唯一の巨悪は、ダブラによって城ごと破壊されたのでした。
二人の美女は、スページョが救助しているので、彼女にもそれなりの呪力がありそうですが(シムリアでは女性の術師はレア)、これ以上の活躍の場はなさそうです。
ずっと顔を隠していたので、内気な印象がありましたが、キリッとした顔立ちでしたね。

城が突然崩壊したことで、デスクンテの戦士たちは慌てふためきます。
しかも、それをやったのは、ロロルカ(呪力)から判断して、戦士隊の隊長でもあるダブラ――戸惑いを隠せない戦士たちですが、ダブラは、彼らの前に切断した族長の首を転がすと、「今から俺がデスクンテの族長だ」と宣言し、同意を求めます。
すると、戦士たちは一斉に平伏しますが、「理由を説明する」という過程が飛ばされてしまうところなど、いかにも“強さが優先される”という、デスクンテ族らしいです。

24.6

ところが、族長となったダブラの命令は、「ドゥーラの墓を建て英霊として祀る」という一件のみ。それが終われば、政治のことは分からないので、族長を降りる、あとは適当にやれ、と。
そんなダブラに、一瞬、ぽかんとする戦士たち、やがて、笑いが広がります。
かくして、デスクンテ族のパートは、目出度く幕を下ろしたわけですが、こんな調子だと、ダブラは、巴恭子のこと、覚えてない?

にしても、そも、ルメル族を難民たらしめたのは、「ムル」を手に入れたいという、族長の強欲が原因でした。その諸悪の根源が、ダブラによって取り除かれたということは、ルメル族はシムリア星に戻って、元通りに暮らすことが出来るようになった、ということでもあります。
地球人との融和が上手く行ったとしても、慣れない土地で暮らすことに比べたら、シムリアに戻る方が、遙かにストレスが少ないように思われますし、ルメル族の中にも、可能ならば帰国したいと望んでいる人は、相当数いることでしょう。
しかし、戻るという選択肢は、ストーリーの流れからして、なさそうな感じなんですよね。
宇宙船が航行不能で戻れないとか、そういう設定ならば、矛盾を回避できますが・・・・

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再び地球。
宇宙船ナウナクスが、横倒しになっています。
ナウナクスといえば、ダブラの領域の一部に船体が使われていましたが、21話にも、船体が大きく欠損している様子が描かれていました。「調和の儀」に利用されたことで、船体を構成する「ムル」のかなりの部分が、失われてしまったのでしょう。
となれば、ナウナクスは本当に、もう恒星間航行が出来なくなっているのかも知れません。

24.8 24.10

船内の議事堂では、マルとクロスが、呪霊とカリヤンの件を皆に説明しています。
呪霊とカリヤンは同じ色の魂を宿していたので、ルメル族には両者の声が同じように聞こえていたが、二人の術式で色を散らしたので、今後、呪霊とカリヤンを混同することはない。
しかし、術式は、ルメル族の魂にも作用しているので、これから生まれてくる子供は、カリヤンと魂の色が異なってくる。従って、カリヤンは、次世代のルメル族を同族と看做せず、襲い喰らうことになるかも知れないのだ、と。

マルは、カリヤンを殺せませんでした。
カリヤンを、危険な害獣のように扱わざるを得ないなら、いっそ・・・・とは思ったものの、それまで神のように崇めてきたものを、独断で皆殺しにすることは、さすがに出来なかったと。
船内にいるカリヤンは、最長寿のカリヤンを含めて52体。
カリヤンの繁殖は、ここ100年確認されていない、ということは、ルメル族がシムリア星から連れてきたこの52体が、おそらく、生存しているカリヤンの全てなのでしょう。

24.9

マルとクロスは、その52体の処遇について、皆の意見を聞こうとしますが、ボロ爺は大激怒。
カリヤンの処遇の前に、マルとクロスの処遇を問うべきだと、声を荒げます。
一方、ジャバロマは、これから地球で暮らすのならば、必要な変化だと主張しますが、そんなジャバロマをヤジる者もいて、議場は騒然とします。
その時、それまで神妙な顔をして、マルとクロスの話を黙って聞いていたオスキが、「どっちもうるせえよ」と声を発して、騒ぎを静めます――この流れだと、「言いたいことは山程ある」というオスキの意見が、ルメル族の多数が納得できるものとして、通りそうな雰囲気。

なお、ルメル族の意思決定の方法は、10話で「地球人との共生を目指すのか否か」について投票が行われた時のような、「統裁合議制」。
議論と多数決による合意形成の過程を経るものの、最終的な判断は一人の決裁者が行う――という方法ですが、10話で決裁者だったダブラが居なくなった今回は、どうなるのでしょう。

24.3
前回ダブラが座っていた決裁者の椅子は、空席になっていますね

あと、シムリア星は基本的に男社会なので、評決の場に女性がいないのが伝統なのだとしても、これから生まれてくる子供の安全に係わる重大事に、その母親でもある女性の意見が全く反映されないというのは、どうなの?とは思いますね。
(実は、オスキには、妊娠中の嫁がいたとか、そういう超展開があったりして)
ともあれ、カリヤンの処遇ついての決議が、ルメル族の新たなリーダーを選ぶことにも繋がりそうな、そんな予感がします。

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最後の場面は、五条家の忌庫。
虎杖が姿を現すと、パンダは嬉しそうに、「久しぶりだな、虎杖」と、言葉を発します。
(虎杖の、京都までの移動手段は不明。普通に新幹線?新横浜までは運行しているとか)
単行本30巻の後日談によれば、パンダは、約50年前に活動を停止し、五条家の忌庫に登録されましたが、その後も、2080年頃までは、たまに動くことが確認されています。
なので、2087年の今でも、まだ喋るくらいのことは出来ても、不思議はないのですが・・・・

24.00
24.01

虎杖が、五条家の忌庫に何故やってきたのかと言えば、間違いなく、燃やすためでしょう。
呪霊が消滅した世界に、呪具は不要ですからね。(となると、前回で虎杖が言っていた「次世代までにできる対策」とは、呪具を用いるものではない、ということに)
マルの「調和の儀」を、裁定人として見届けた虎杖は、「マージでやりやがった、腹くくったな」と呟いていましたが、今度は、自分の番、というわけです。

忌庫を跡形もなく燃やすとなれば、読者サービス的にも、虎杖の「竈・開」が披露されるかも知れず、めちゃ期待しているのですが、問題は、パンダの処遇です。
物語の構造的にも、「最長寿のカリヤン」と「パンダ先輩」の存在は、対になっているように思えますし、となると、虎杖はパンダをどうするつもりなのか・・・・

1.有無を言わさず、忌庫ごとパンダを燃やす。
2.パンダだけ持ち出した後、忌庫を燃やす。
3.パンダ自身が、生きているとも死んでいるともハッキリしない、今の状態を終わらせて欲しいと虎杖に頼み、これを受けて虎杖は、忌庫ごとパンダをお焚き上げする。


この3択ならば、ほぼ3と思われますが、五条家の忌庫は、あの五条悟も出入りしていた場所。
想定外のものが飛び出してくる可能性もあるので、見守ろうと思います。

24.4

呪霊が消え、忌庫が焼失し、(次世代の子供の呪力は、ほぼゼロなので)相伝の術式も終了、となれば、五条家の当主が背負わなければならなかった重荷も、無きに等しくなるので、依織パパが、真剣と憂花のもとに帰ってくるエンディングもありそうです。
なお、リカちゃんの指輪も、五条家の忌庫に登録されている呪物ですが、憂太が込めていた呪力を「調和の儀」で使い果たし、今は、ただの“祖父の形見”になっているのでしょう。

というところで、以下次回。たぶん最終回。