獅子の泉でつかまえて

銀河英雄伝説の皇帝夫妻をネタにした二次創作小説その他

『銀河英雄伝説』感想

藤崎版『銀河英雄伝説』第238話(最終回)感想

最終回は表紙&巻頭カラーでしたね。
皇帝と姉上の金髪がキラッキラッと輝いています。
最終刊となる単行本35巻は、235~238話を収録。3月18日発売です。

銀英伝0

では、藤崎版「銀英伝」@ウルトラジャンプの感想です。
例のごとく粗筋から。

・第238話
新帝国歴3年7月26日、夜。皇帝に最後の時が迫っていた。ド・ヴィリエらが掃討され、静寂を取り戻した仮皇宮で、一時目を覚ました皇帝は、キルヒアイスをお返しすると言って、姉にペンダントを手渡し、6人の上級大将に帝国元帥の地位を与えるよう、皇妃に遺言する。ミッターマイヤーの妻子が到着すると、我が子に友人を作っておいてやりたいと、アレク大公にフェリックスを引き合わせる。今後の帝国の統治については、全てあなたの思う通りにやってくれと皇妃に言い残すと、皇帝は昏睡状態となり、最後に「宇宙を手に入れたら、みんなで・・・・」と呟いて崩御する。享年25歳、約2年半の短い治世だった。軍を退いたら歴史家になるというユリアンは、カリンと一緒に帰郷するが、彼らを待つハイネセンでは、ゴールデンバウム王朝の残滓が蠢いていた。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 

遂に最終回です。
なんだかんだ言っても、たとえヤンの方が人気があろうともw、ラインハルトに始まりラインハルトで終わるのが「銀英伝」というものです。
けれども、しんみりとしてばかりも居られません。あの方の生存が確認されたのですから。
藤崎先生が、最後にとんでもない置き土産をしてくれました。

銀英伝00

冒頭から。
新帝国歴3年7月26日。ヴェルゼーデ仮皇宮。
時刻は夜、原作とは出来事の順番が異なりますが、すでに雨は止み、ド・ヴィリエら地球教の過激派も掃討され、周囲は元の静けさを取り戻しています。
皇帝の寝室には、帝国軍の提督や政府高官が、息を潜めて控えていますが、そんな中、爆発や銃撃戦があったことに気付かないほど、深く眠っていた皇帝が目を覚まします。

ベッドの側に控えていたアンネローゼが、「まだ夢を見たりない?」と問いかけると、皇帝は、「もう充分に見ました、誰も見たことのない夢を」と応え、枕の下からペンダント取り出すと、これまでの感謝の言葉とともに、姉に手渡します。
「もう私には必要がなくなりました。姉上に差し上げます。そして、キルヒアイスもお返しします。
ずっとお借りしっぱなしで申し訳ありませんでした・・・・」

238.0

また、皇妃には、皇帝の死後、6人の上級大将(ミュラー、ビッテンフェルト、メックリンガー、ワーレン、アイゼナッハ、ケスラー)に、帝国元帥の地位を与えるよう遺言します。
この6名に、すでに帝国元帥であるミッターマイヤー(「帝国主席元帥」の称号を受ける予定)を加えた7名は、後世において「獅子の泉の七元帥」と称されることになります。
当ブログのタイトルも、十何年かぶりに回収されましたw

22時過ぎになると、ミッターマイヤーが、夫人のエヴァンゼリン、養子のフェリックス、そしてハインリヒ少年を伴って仮皇宮に到着します。
原作ではスルーされていたハインリヒ(ロイエンタールの従卒をしていたランベルツですよ、覚えてますか~w)も、養子ということではフェリックスと同じ、藤崎版ではちゃんと、ミッターマイヤーの家族として扱われています。

238.8

居並ぶ提督たちに迎えられて、緊張を隠せないエヴァでしたが、皇帝が彼女たちを呼び寄せたのは、息子のアレク大公に、対等な友人をひとり残してやりたいとの親心から。
自らの若き日に、キルヒアイスの存在があったように、アレクにも、そういう友人が居て欲しいと、皇帝は、ロイエンタールの遺児でもある、1歳年長のフェリックスを選んだのでした。
(アレクは新帝国歴3年5月生まれ、フェリックスは2年5月生まれ)

かくして、幼い二人は、それぞれの母親に抱かれた状態で、対面を果たします。
二人はしばらく、不思議そうに互いを見つめますが、そのうち、フェリックスが、まだ赤ちゃんのアレクの手を握ると、面白そうにブンブンと振り回します。ミッタは慌てて引き離しますが、そうすると、フェリックスは機嫌を損ねて泣き、釣られてアレクも泣き出すことに。

238.2
フェリックスはすでに、ロイに似た面差し。やんちゃそう。

そんな子供たちの様子を、皇帝は微笑んで見守りますが、この場面で気になるのは、ミッタの「アレク大公殿下、いや、皇帝アレク陛下に忠誠を誓約しなさい」という台詞。
危篤状態とはいえ、皇帝が存命のうちに、息子の方を皇帝と呼ぶって、どうなの?
原作を読んだ時から気になっていたのですが、実際にそんな慣例があるのでしょうか。

この後の、「軍務尚書が見えぬようだが」「やむをえない事情で座を外しております」という遣り取りでは、藤崎版の皇帝は嫌味を言わず、「そうか・・・・」とあっさりと。
そして、今後の帝国の統治について、幼い皇帝の摂政となる皇妃に、こう言い残します。

「立憲体制に移行するならそれも良し、いずれにしても、生ある者のなかで最も強大で賢明な者が、宇宙を支配すれば良いのだ。もしアレクサンデル・ジークフリートがその力量を持たぬなら、ローエングラム王朝などあえて存続させる要はない。全てあなたの思う通りにやってくれれば、それ以上、望むことはない・・・・」

238.3
天蓋付きのベッドがでか過ぎて、上に登らないと近付けないって、どうなの。

戦いによって皇帝の座についた、ラインハルトらしい言葉ですが、あのルドルフ・フォン・ゴールデンバウムも、皇帝になるまでは、最も強大で賢明な者ではあったわけで・・・・
外敵がほぼ消滅した今となっては、帝国内部の権力闘争の方が、よほど平和を脅かしかねない、となれば、皇位を巡って無益な争い起こらぬよう、なるべく早く、立憲体制に移行した方が良い――ヒルダならば、そう考えそうな気がしますが、どうでしょう。

皇帝は、高熱に喘ぎながら、時間をかけてそう言い終えると、瞼を閉じます。そして、最後に、皇妃の耳元で、「宇宙を手に入れたら、みんなで・・・・」と囁いて、息を引き取るのでした。
新帝国歴3年(宇宙歴801年)7月26日23時29分、ラインハルト・フォン・ローエングラム崩御。
享年25歳。その治世は、2年余という短いものでした。

238.4
ほとんど触れられてませんが、帝国軍の提督たちだけでなく、国務尚書のマリーンドルフ伯ら、政府高官も寝室に控えています。

たった今、帝国の摂政皇太后として、権力の頂点に立ったヒルダは、気丈に言い放ちます。
「皇帝は病死なさったのではありません、命数を費い果たして亡くなったのです。病に斃れたのではありません。どうか、そのことを皆さん、忘れないでいただきとう存じます」
敬礼する提督たち。ヒルダは皆に頭を下げ、その時初めて、頬を涙が流れたのでした。

仮皇宮の外では、ユリアンとカリンが星空を見上げています。
ハイネセンのあるバーラト星系だけは、民主主義の手に残る――皇帝がそう約束してくれたとはいえ、たったこれだけのことを実現するために、500年の歳月と、数千億の人命が必要だったのかと思うと、ユリアンは苦笑いするしかありません。

238.9

なお、ユリアンの今後の進路ですが、政治指導者を目指すのではなく、臨時政府の軍人となり、任務が終わったら、その後は、歴史家になるといいます。
ヤン・ウェンリーの事績と、激動の数年間の記録を残すことで、後世の人々に考察の機会をより多く与えるのは、この時代を生きた者の義務だと、ユリアンは確信しているのです。
なる早で、「僕だけが知っている――ヤン・ウェンリーの実像」みたいな俗っぽい本を出せば、印税収入で一生食べて行けそうですが、殊勝な心がけですw

そんなユリアンの手を取って、いつまでも一緒にいてあげるというカリン。
組織から離れて、自由な道を行くことを選んだポプランとは別れ、二人は2週間もすれば、フェザーンを発って、ハイネセンに向かうことになります。

238.5
哀愁漂うトゥルナイゼン君。湖に石を投げています。
彼としては、同期のよしみで、ラインハルトにもっと構って欲しかったんでしょうね。


そのハイネセンで、一つの出来事がありました。
半年ほど前、ハイネセンの辺境で捕らえられ、精神科病院に送られたベーネミュンテですが、皇帝の崩御が伝えられるや否や、彼女を引き取るという、身内の者が現れたのです。
その身内、ランズベルグ伯とシューマッハが病院にやってくると、それまでの金切り声はどこへやら、ベーネミュンテは表情を一変させます。
そして、彼らに同行していた少年に会釈すると、その手を取り、うやうやしくこう述べるのです。

「これで、あなたさまを追うものはいなくなりました。さあ、参りましょう。皇帝陛下」

ベーネミュンテ夫人が最後に登場したのは、第225話 。
その時は、ミイラ化した子供の遺体を大事そうに抱えていましたが、彼女はその遺体を、先の皇帝、エルウィン・ヨーゼフ2世のものだと供述していました。
調査の結果、その子供は、前年の3月に拒食症で衰弱死しており、公共墓地に埋葬されましたが、事件の処理にあたったワーレンは、彼女の供述に沿った形で、「ゴールデンバウム王朝の正統は絶えた・・・・と思われる」と、本国に曖昧な報告をしています。
そのせいもあって、帝国からの追求の手が緩められたと推測されますが、今度ラインハルトが崩御したことで、もう大丈夫だと、彼女は表に出ることにしたのでしょう。

238.7

原作では、子供の遺体を抱いていたのは、ランズベルク伯ですが、彼は本当に精神を病んでおり、子供の遺体についても、意図して嘘を述べていたわけではありません。また、本物のエルウィンについては、原作の設定では、行方不明とされてます。
しかし、藤崎版のベーネミュンテの精神病は、完全に虚偽。子供の遺体も、エルウィンを死んだことにして捜索の目から隠すための道具、意図して用意したものです。
彼女がそうまでするのは、エルウィンへの、母性に似た愛情だけが理由ではないでしょう。
恐らくは、ハイネセンに亡命した旧帝国の貴族たちを糾合して、ゴールデンバウム王朝を復興させ、エルウィンを再び皇帝にするため。この野望が叶えば、ベーネミュンテは、ラインハルトや皇帝の寵を奪ったアンネローゼへの復讐心をも、満たすことができるのです・・・・

再び、フェザーンの仮皇宮。
ミッターマイヤーとその家族が、宮殿の外に出て、美しい星空を眺めています。
ミッタはフェリックスを肩に乗せたまま、皇帝を失った悲哀と喪失感に涙していましたが、ふとフェリックスが、「ファーター・・・・」と自分を呼んでいることに気付きます。
それは、息子が初めて発した言葉で、ミッタは嬉しさのあまり、「俺のことを、父さんと呼んでくれたよ!」と叫ぶほどでしたが、フェリックスが、星を掴もうとするかのように手を伸ばした時、「いずれ宇宙に出て、手に入れるがいい!」とも言っているので、将来は帝国軍に入れる気でいることは、たぶん、エヴァにはバレているでしょう。
そのエヴァに促されて、宮殿の中へ戻っていく一家。その頭上に、満天の星が輝いています。

――伝説が終わり、歴史がはじまる。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「連載10年の歴史、完結!」との表紙を見て、そんなに長かったかと、改めてしみじみ。

藤崎版『銀河英雄伝説』は、2015年10月に週刊ヤングジャンプで連載が開始され、2020年2月からはウルトラジャンプに移籍しましたが、この件で印象深かったのは、週刊から月刊に舞台が変わった途端、内容が格段に良くなったと感じられたこと。
思うに、週刊誌での連載となると、毎号毎号の“引き”をどうするかなど、構成上の制約がありますが、山場を自在に設けることができるオリジナルのバトル漫画ならともかく、「銀英伝」のような、長篇の小説を原作とする漫画に、そのやり方は向いていなかったのではないかと。
1回毎のページ数が多く、構成上の制約が比較的緩い月刊に移ってからは、自分のペースでのびのびと描きたいことが描けるようになっている、という印象を受けました。

ところで、最終回となる今号で、エルウィンの生存が確認されました。
二次創作に携わったことのある方はピンと来るかも知れませんが、エルウィンが生存していると、どういうことになるかというと、アレク&フェリックス対エルウィンという構図で、ラインハルト後の世界、次世代の若者を主人公にした、続編が描けるようになるんですよねw
原作者の田中芳樹先生は、本編より後の時代は書かないと宣言されていましたが、もしかすると、藤崎先生には特別にお許しが出ていて、未来の話を描いてくれるのではと、今号を読んでいて、そんな期待が膨らみました。続編のことはともかくとして・・・・

藤崎先生、長い間、お疲れ様でした。

藤崎版『銀河英雄伝説』第237話 感想

冬アニメ、充実しすぎでしょう。
『呪術廻戦』、『フリーレン』、『ゴールデンカムイ』、『推しの子』と、週に4本視聴するのも、自分的には新記録レベルなのですが、この後『メダリスト』も始まりますし、今から反動が怖いです。

では、藤崎版「銀英伝」@ウルトラジャンプの感想です。
例のごとく粗筋から。

・第237話
フェザーン帰着後、皇帝の容態はさらに悪化。嵐となった7月26日、遂に臨終の時を迎えると、帝国軍の将帥に加えて、ユリアンらもヴェルゼーデ仮皇宮に集められるが、同じ頃、ド・ヴィリエ率いる地球教の過激派は、オべが教えた抜け道を通って、仮皇宮への侵入を果たしていた。が、彼らを待っていたのは、皇帝ではなくオベ。すでに地球教の穏健派と話を付けていたオベは、ド・ヴィリエが信者の煽動に利用してきた総大主教が、立体映像だったことを暴くと、追い詰められたド・ヴィリエは、オベに向けブラスターを発射。その瞬間、部屋に充満していたゼッフル粒子が爆発し、ド・ヴィリエは即死。オベも瀕死の重傷を負い、犬の後事を託して亡くなる。残った地球教徒は、帝国と同盟が協力して排除。以降、地球教による破壊行為は途絶したという。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 

残り2話となって、今回の主役はオーベルシュタイン。
原作では、偽情報を流して地球教徒を誘き寄せるのはオベ、ヤンの仇でもあるド・ヴィリエにとどめを刺すのはユリアンと、役割が分担されていますが、藤崎版ではオベが全てを担当します。

冒頭から。
フェザーンに帰ってきてからも、皇帝の容態は悪化の一途を辿り、体温は40℃を下がらず、しばしば意識を失うようになっていました。
7月26日になると、呼吸が一時停止するなどしたため、いよいよ臨終の時が近いと、帝国軍の将帥たちは、仕事を切り上げてヴェルゼーデ仮皇宮に集合、ユリアンたちが宿泊していたホテルにも、シュトライトが(涙目で)迎えにやってきます。

237.2

その数日前、オーベルシュタインは皇帝の寝室を訪れ、ある作戦の許可を求めていました。
作戦とは、皇帝を囮にして、地球教の過激派を誘き寄せること。
そうすることで、皇帝がやり残した唯一のことに、終止符を打つというのです。
皇帝から「よかろう」との返事をもらったオベは、直後にド・ヴィリエ枢機卿を訪ね、抜け道の地図を渡したものと思われますが、果たして、仮皇宮周辺の天候が嵐となった7月26日、ド・ヴィリエ率いる数十名の地球教徒は、各々がマシンガンを手に、抜け道の入口にやってきました。

地図を渡した際、オベは「皇帝と話し合い、地球教を銀河帝国の国教にしてもらえ」と、共存の道をも示していましたが、ド・ヴィリエにそのつもりは毛頭なく、「皇帝を殺せ!」と気勢を上げると、次々と抜け道に入って行きます。
そして、狭い通路を経て、出口となる皇帝の寝室に辿り着きますが、そこで彼らを待っていたのは、皇帝ではなくオベでした。地球教徒たちは、彼に誘き出されたのです。
とはいえ、部屋にいるのは丸腰のオベただ一人。まずはオベを殺し、その後で皇帝も殺せば良いと、ド・ヴィリエは高を括りますが、オベは予め、地球教の穏健派の枢機卿たちの協力を取り付けていました。

237.3
立体映像でこんな動作ができたなら、マジで怖い。ホラーですって。

穏健派の枢機卿たちは、「暴力によって教団を拡大して何になる。総大主教猊下も、争いなどお望みではないはずだ」と、通信を介してド・ヴィリエの説得を試みますが、彼は聞く耳持たず。
かえって、彼らの言を否定するかのように、その場に総大主教を出現させると、総大主教は「ド・ヴィリエに従って皇帝を殺し、速やかに宇宙を浄化せよ!」と、教徒たちに命じます。

総大主教が突然現れたことに、驚きを隠せない教徒たち。が、総大主教の姿は見る見るうちに歪み、声は途絶え、完全に消えたと思ったら、今度はオベの後方に姿を現します。
そう、総大主教は、技術力に長けた旧フェザーン人が極秘に開発した、立体映像だったのです。
オベ曰く、「開発元である、旧フェザーン人の協力により乗っ取らせてもらった」そうですが、どうやら、ルビンスキー亡き後、ドミニクが裏切って、帝国側に情報提供したものらしい。

237.4
この絵、好きですね。ドミニクは、ルビンスキーの協力者として指名手配されていたところを、自ら出頭してあれこれと暴露、犯行には直接係わっていなかったので、司法取引で無罪放免・・・・みたいな流れでしょうか。

かくして、教徒たちの懐疑の目がド・ヴィリエに向けられますが、開き直った彼は、なんと、本物の総大主教を、自らの手で殺していたと自白。
「私を叱責ばかりするから」というのが、殺害の理由だそうですが、根本には、自分が次ぎの総大主教となり、銀河を支配するという野望があってのことでしょう。
「愚かなことを」と呟くオベに、ド・ヴィリエは再び銃を向け、(自分たちを誘き寄せたのは)死を覚悟の上での行動だったのかと問いますが、これに対して、オベはこう答えています。

正確には違う、私は死ぬ必要があった。
新しい銀河帝国を作った光は、今ついえようとしている。
そして、光なくして、影は存在しえぬもの。
建国の光と影が消える時、私の理想とする新銀河帝国は完成を見る。


直後、ド・ヴィリエが銃の引き金を引くと、部屋に充満していたゼッフル粒子が爆発。
ド・ヴィリエは即死し、オベは瀕死の重傷を負いますが・・・・

237.5
カラーでなくて良かった――と思ったのは、もう何回目でしょうかw

原作では、オベが重傷を負ったのは、地球教徒が、皇帝の部屋と間違えて爆発物を投げ込んだから、また、オベが皇帝の身代わりになって死亡したのも、全てを計算しつくした上での殉死だったのか、それとも単なる計算違いだったのか、意見が分かれる――という書き方になっていますが、藤崎版では、完全に殉死ですね。
それも、皇帝個人の身代わりなどではなく、むしろ、新銀河帝国を、理想のものとするための自死に、ド・ヴィリエを巻き込んだ、みたいな感じすらあったり。

さて、ド・ヴィリエが爆殺されると、地球教徒たちは慌てて逃げだそうとしますが、通路の蓋は、彼らを監視していたフェルナーによって閉じられています。
仕方なく、2階の部屋から(地下通路が2階に通じている「変な間取り」w)廊下へ出た彼らは、下の階に軍人がいるのを見て、3階へと駆け上がりますが、そこには皇帝とその家族が!
そうと知らず乗り込んできた地球教徒を、キスリングとともにアンネローゼが銃で撃退すると、帝国の将帥に加えて、ユリアンたちも駆け付けて、両者は協力して、地球教徒と戦います。

237.6
キスリングを先導する姉上、男前すぎる!

237.9
こちらでは、メックリンガーがユリアンに武器を渡していたり、信頼関係が築かれていることに胸が熱くなりますが、ユリアンにとって大事な件、地球教がヤンの仇だという点には、触れられてませんね。

やがて、地球教徒が排除され、銃声が止むと、医療班がオーベルシュタインの元に駆け付けてきますが、オベは、「助からぬものを助けるふりをするのは、偽善であるだけでなく、技術と労力の浪費だ」と言って、治療を拒否。
執事のラーベナルトに、遺言の執行と、犬の世話を託して、息を引き取ったのでした。
享年39歳。彼は後世、韓非やマキャベリと並び称されることになる――かも。

枢機卿ド・ヴィリエに率いられた地球教の過激派は、この戦いでそのほとんどが死亡。
その結果、ユリアンの知る限り、地球教による破壊行為は、二度と行われることはなかった――ということは、地球教自体は、穏健派の主導のもと、存続していたと。
原作では、「宗教は民衆の阿片である(byカール・マルクス)」とばかり、末端の信者に至るまで、地球教を根絶やしにしようとしていましたが、そこは時代が変わったというか、藤崎版では、穏当なものに修正されてますね。

237.8
我が家では、クリスマスの時以外お目にかかれないような、骨付きの鶏肉。

次回はいよいよ最終回。
長い間登場していない人物のその後などは、どのくらい盛り込まれるのでしょうか。
その辺のことも、少しだけ期待しつつ、To Be Continued。

藤崎版『銀河英雄伝説』第236話 感想

湯河原に行ってきました。温泉は最高でしたが、食べ過ぎた~。
この先まだ、忘年会とクリスマスと正月が控えているというのに、どうしたものかと。

34

単行本の34巻が発売になりました。掲載範囲は231話~234話。
原作に勝るとも劣らぬ盛りあがりを見せたシヴァ星域会戦、必見です。
最終刊となる35巻は、3月19日発売とのこと。

では、藤崎版「銀英伝」@ウルトラジャンプの感想です。
例のごとく粗筋から。

・第236話
帝国との講和が成立し、イゼルローンの残兵は、皇帝に同行して惑星ハイネセンへ。ユリアンはそこで、帝国軍の諸将と面会するが、6月13日、無数の超低周波爆弾が爆発し、市街の30%が焼失。後に「ルビンスキーの火祭り」と呼ばれるこの事件は、彼の脳波の停止と共に、頭蓋骨中の制御装置が作動する仕掛けによるものだった。宿舎に迫る炎から、ビッテンフェルトに救出された皇帝は、6月27日、フェザーンへ向け最後の恒星間飛行に臨み、その道中、ユリアンとの間で、イゼルローン要塞と惑星ハイネセンの領地交換を取り決める。ヴェルゼーデ仮皇宮に帰還した皇帝は、家族との面会を果たすが、その頃、オーベルシュタインはド・ヴィリエを訪問。地球教を国教とする案を提示すると同時に、仮皇宮の抜け道を教え、地球教側の出方を待つことに。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 

今号の扉絵で、遂に「完結まであと3話」との告知がなされましたね。
その扉絵の、戴冠式の衣装なのかどうか、アレクたんの中世風の提灯ブルマー&白タイツが何とも言えませんが、そんなことより、オーベルシュタインですよ。
地球教の残党を誘き寄せるためだとしても、地球教を国教にするとか、勘弁して。

冒頭から。
帝国とイゼルローン政府の間で和平が結ばれ、ユリアンたちイゼルローン軍の残兵は、皇帝に同行して惑星ハイネセンへ向かいます。
その途中、目を覚ましたシュナイダーが、メルカッツの最期の様子を語ります。
亡命を強く勧めたことで、かえって提督に迷惑をかけたとシュナイダーは詫びますが、メルカッツは伊達と酔狂を体験できたと、人生に満足した旨を告げ、息を引き取ったのでした。
シュナイダーが手に握っていたのは、手紙ではなく、スカーフでした。これを、旧首都星オーディンにいるメルカッツの家族に渡すため、彼は防備服に入り、生き延びる努力をしたとのこと。

236.2
病院が爆破される絵、とても良く描けているだけに凄く怖い。ムライがここに入院していたらと思うと・・・・
原作によると、この時の爆発で、旧同盟の最高評議会ビルが崩壊、周囲の地面が陥没して、ダース単位のビルが倒壊したとされています。


ハイネセンに到着すると、ユリアンは、顔見知りのワーレンはじめ、帝国の諸将と会う機会を得、また、ラグプール刑務所の暴動で負傷した、ムライを見舞いますが・・・・
6月13日、原因不明の頭痛で入院していたルビンスキーが、自らの手で生命維持装置を外すと、それと同時に、ハイネセンの地下に仕掛けられていた、無数の超低周波爆弾がいっせいに爆発。ルビンスキーは、頭蓋骨の中に爆弾の制御装置を埋め込んでおり、脳波が停止すると作動するよう、仕掛けていたのです。

後世「ルビンスキーの火祭り」と呼ばれるこの事件は、余命幾ばくもない彼が、皇帝を死への道連れにしようと謀った自爆テロで、ハイネセンは3日間炎上を続け、市街地の30%が消失、多数の死者、行方不明者(原作によると5,000人)を出すことになりました。
火災が軌道エレベーターにまで迫った時は、ミッターマイヤーでさえも、ハイネセンを捨てて宇宙艦隊を避難させようかと考えたほどでしたが、幸いにも、皇帝は無事でした。
宿舎としていた国立美術館の迎賓館に火の手が及んだとき、「ハイネセンで死なねばならないとしたら、ここ死ぬ。避難民のように、逃げ惑うのは嫌だ」と、駄々をこねる皇帝を、ビッテンフェルトが強引に、ソファーごと運び出したからです。

236.3
ビッテンフェルトが、美術品には目もくれず、皇帝に全集中したからこそ、無事に救出できた――そう記録に残しながらも、目付きが鋭いメックリンガーw 本音では、美術品も持ち出して欲しかったんでしょうね。

ユリアンが皇帝と正式に対面したのは、事件から1週間後のこと。
楡の木の下での、お茶会といった雰囲気です。
その後も、皇帝にとって最期の恒星間飛行となった、フェザーンへ向かうブリュンヒルトの中で、ユリアンは皇帝と度々面会し、皇帝が特に聞きたがったというヤンの逸話の他にも、様々なレベルの会話がなされますが、重要なのは、次ぎの2点。

一つは、イゼルローン要塞を帝国軍に引き渡す代わりに、惑星ハイネセン(を含むバーラト星系)を旧同盟市民の自治領とし、内政自治権を与える件に、双方が合意したこと。

住民は皇帝の統治に反抗的で、相次ぐテロによって荒廃した惑星ハイネセン。
帝国でも“難治の地”と認識されている――とのことですが、原作ではさらに「イゼルローン要塞に比べれば、はるかに攻めやすく守りにくい」、「消費に特化した社会構造のため、食料などを(帝国支配下の)他星系から輸入しなければならない」とも記されています。
こんなんならば、難攻不落で自給自足が可能が、イゼルローン要塞の方がマシという感じですが、ユリアンやフレデリカは、自分たちの手で、故郷を再建しようとしている、と。
(そして、たとえそれが上手くいったとしても、かつて一国二制度とされた、中国と香港の関係を鑑みるに、国力に圧倒的な差がある中での自治権なんて、大国の思惑一つで、どうにでもなってしまうわけで・・・・。考えれば考えるほど、罰ゲームのような気がしてきた)

236.7

もう一つは、ユリアンのシヴァでの大言壮語――王朝が病み衰えた時、それを治癒するために必要な療法――つまり、立憲君主政への移行について、皇帝が判断を保留したこと。

憲法を制定し、議会を開設するようにと、ユリアンは立憲政治への道を説きますが、皇帝は、利点は考慮するとしながらも、民主思想が銀河帝国を乗っ取ることを警戒し、無原則に民主主義の存続を認めるつもりはなさそう。
(その割には、トリューニヒトを軽く見ていたフシがあるw 反省したのか?)
しかし、皇帝は同時に、自分たちで全てのことを定めてしまっては、後の世代の人間に恨まれるとして、帝国の次ぎの支配者、皇妃と話し合うよう、ユリアンに勧めてもいます。
「自分よりはるかに政治家としての識見に富む」という、皇妃を褒める言葉は、皇帝ラインハルトにとって最大の“のろけ”ではなかったか、というユリアンの感想は、残念ながら、藤崎版では省略されてしまいましたが・・・・

さて、皇帝の病、一般に「皇帝病」と呼ばれることになった難病、「変異性劇症膠原病」の症状は、高熱、臓器の炎症および出血、それにともなう痛み、造血機能の低下と、それによる貧血、意識の混濁、などでしたが、皇帝は、高熱を発した時でも、意識が混濁したり、錯乱に陥ることはなかったとされています。
フェザーンが近づくにつれて、意識を失うことが増えていった皇帝は、医療用の地上車に横たわった状態で、皇妃と皇子、アンネローゼが待つ、ヴェルゼーデ仮皇宮に到着。
そこが、彼の終焉の地となりますが、もし「皇帝病」が感染症だったら、家族、特に皇子とは、ガラス越しでしか対面できない可能性もあったわけで――臨終の場面が、絵になりませんw

236.4

そのヴェルゼーデ仮皇宮ですが、かなり思い切ったオリジナル設定となっています。
ユリアンや、彼に随行してきたポブランたちが、建物を見て、宇宙の覇者の住まいにしては小さいと思ったり、アンネローゼを垣間見て、その美貌に感嘆したりするところは、だいたい原作と一緒なのですが、藤崎版では、立地条件がまるで違っています。
草木のない、人里離れた荒れ地に穿たれた湖の中の、小島の上に建てられているのです。
ヴェルゼーデ仮皇宮は、原作では、元ゴールデンバウム王朝の弁務官の官邸、藤崎版では、元フェザーン政府の建物とされていますが、どちらにしても、このような辺鄙な場所にあるのは不自然なので、どのような理由でそうしたのかな、と思っていたら・・・・

画面が暗転して、オーベルシュタインがド・ヴィリエと面会する場面。
ド・ヴィリエが「何をしに敵地へ?」と言っているので、この場所は、地球教の施設と思われますが、オベが単身そこを訪れたのは、なななんと、地球教との関係を改善するため。
当然のことながら、藤崎版のオリジナル設定です。
オベ曰く、我々としても地球教によるテロには辟易している、宗教は弾圧を受ければ受けるほど信者の信心が強固なものとなっていく――そこで、地球教を銀河帝国の国教とするのだ、と。
なんだってー(;゚Д゚)

これには、ド・ヴィリエならずとも、「軍務尚書ともあろうお方が、ご冗談を」と返すしかありませんが、オベは、敵対を続けるより内部に取り込んだ方が、銀河帝国のより高度な完成が見込まれる、などと、嘘か誠か、もっともらしいしことを言ったりして。
でもって、ド・ヴィリエの、「皇帝がそれを容認するはずもない」という疑念に対しては、「皇帝は病で死にかけている」と答えるわけですが、ここも、原作と大きく異なるところ。
原作のオベは、「病気の治癒した皇帝は、地球を破壊するつもりである」という偽情報を流し、地球教の残党を誘き寄せるのですが、こちらのオべは、真実を伝えているんですよね。

236.6

幸いなことに? 帝国軍に地球を攻撃されたことを深く恨むド・ヴィリエは、地球教は誰とも手を結ばぬと言って、この提案を拒否します。
にもかかわらず、オベはなおも、「皇帝が生存している今のうちに、皇帝を説き伏せるがよい」と言って、侵入不可能と思えるヴェルゼーデ仮皇宮に、皇帝の寝所まで辿り着くことが出来る抜け道があることを、ド・ヴィリエに教えるのですが・・・・

それこそが、藤崎版では、地球教の残党を誘き寄せる罠、ということなのでしょう。
オベが、地球教との共存を、どこまで真面目に考えていたのかは不明ですが、ド・ヴィリエをはじめとする幹部連中だけは、自らの手で葬っておかなければ、と思っていたはず。
なので、ド・ヴィリエが、国教の話に乗ってきても、逆に、皇帝の命を狙うにしても、仮皇宮に誘き寄せて一網打尽にするつもりであり、そのための両面作戦だった――と解釈するのが良さそうですが、それにしても、死にかけていることは、伏せておいた方が良かったのでは?
放っておいても死亡する皇帝より、回復するかも知れない皇帝の方が、地球教としても、襲撃するモチベーションが上がるというものですw

あと、完結が近いということで気になるのは、シューマッハ。
原作では、「ルビンスキーの火祭り」をきっかけに、当局の取り調べを受けることになったシューマッハから、地球教の残党が皇帝を暗殺しようとしていることや、ランズベルグ伯やエルウィン・ヨーゼフのその後を知ることになるのですが、次回あたり、登場の機会があるでしょうか・・・・
というところで、To Be Continued。残り2話です。

藤崎版『銀河英雄伝説』第235話 感想

やっと涼しくなったと思ったら、もう冬の入口ですね。
先週、高尾山に行ったのですが、平日だというのに、かなりの混雑でした。中国人民におかれましては、国家主席の言いつけを、しっかり守っていただきたいものです。
ところで、年甲斐も無く、ケーブルカー駅から山頂まで登ったので、翌日、翌々日あたりは筋肉痛になるかと思いきや、なぜか目眩に襲われて、まっすぐ歩くのが困難な状態に。数日で回復したので、疲労とストレス以上の原因はなかったみたいですが、我ながらビックリしました。

では、藤崎版「銀英伝」@ウルトラジャンプの感想です。
例のごとく粗筋から。

・第235話
ブリュンヒルトの階段のある広間では、血みどろの白兵戦が続いていた。シェーンコップの周囲には、生存者は皆無と思われたが、失神から覚めた帝国軍の軍曹が投げたトマホークが、背中に命中。これが致命傷となった彼は、階段を塞ぐようにして座り込み、息絶える。一方、皇帝の居室に辿り着いたユリアンは、力を振り絞って前進し、遂に皇帝の前に立つ。「王朝が病み衰えた時、それを治癒する療法を教える」そう言った直後、彼は気を失うが、この大言に免じて、皇帝は戦闘の中止を命じ、かくして、多くの犠牲の上に、和平への道が開かれることに。帝国では、皇帝亡き後、幼い皇子の摂政となる皇妃に、オーベルシュタインが政の方針を問い詰め、これに皇妃は、「皇帝の成し遂げた統一を守る、ここからは平和の時代だ」と応えるのだった。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 

いよいよ、原作10巻の第9章、「黄金獅子旗に光りなし」の途中まで来ました。
で、残りの話数ですが、単行本の34巻が231話~234話、35巻は235話~238話になるはずですから、あと3話で完結するものと思われます。
そのラスト3話を、ルビンスキーとド・ヴィリエが盛り上げてくれることでしょう。

冒頭から。
ユリアンが皇帝の居室に辿り着いた頃、ブリュンヒルトの階段のあるホールでは、薔薇の騎士連隊と装甲擲弾兵の間で、血みどろの白兵戦が続いていました。
カラーじゃなくて良かったと、しみじみ思う絵面です。

連隊旗を手に、死体の山に立つシェーンコップには、わずかに生き残った帝国軍の兵士は近づくことも出来ず、彼の周囲にはもはや、生者は存在しないものと思われました。
が、失神から目覚めた帝国軍の軍曹ジングフーベルが、相手が誰とも知らず投げたトマホークが、シェーンコップの背中に命中します。
これが致命傷となりますが、彼はなおも敵を薙ぎ払いながら階段を登り、行く手を塞ぐようにして座り込むと、その姿勢のまま、カリンの母ローザの記憶を辿りながら、息絶えるのでした。
なお、帝国兵が彼の死亡を確認したのは、戦闘が終了した後だったとのこと。

235.8

一方、皇帝の居室の入口まで来たユリアン。
彼には、広い部屋の奥に設えられた皇帝の玉座までの、最後の道程が残されていました。
剣で体を支えながらも、ユリアンが一歩を踏み出すと、二人の側近、ミッターマイヤーとメックリンガーは警戒して前に出ますが、皇帝は「来させろ」と、これを止めます。
この場面、藤崎版では省略されてしまいましたが、原作にはこう描かれています。

「来させろ。まだその男は、予のもとに到着していないぞ」
その声は大きくも高くもなかったが、ユリアの聴覚全体に鳴り響いた。人を支配する力をもった声、全ての宇宙に覇をとなえようとする者の声であった。その音楽的な響きを除いても、このような声を持つ者は、全人類のうちにただ一人しか存在しないはずである。


今回、この件を読み返したところ、もう10年以上前の、舞台『銀河英雄伝説』を思い出したり。
当時まだ19、20歳だった間宮祥太朗が、ラインハルトを演じたのですが、彼の声はまさに、この「人を支配する力をもった声」に、説得力を与えるものでした。
彼の近年の活躍ぶりは言うまでもありませんが、機会があったら、また「ファイエル!」とか言って欲しい、などとw

235.7

閑話休題。ユリアンは、過度の疲労によろけながらも、力を振り絞って一歩一歩前進します。
皇帝の前で倒れてはならない。民主共和主義者は、皇帝に対して屈する膝を持っていないのだ――その気概が、彼の身体を支えていたのでした。
そして、遂に玉座の前に立つと、ユリアンは名乗り、「何を提案するために、ここまでやって来たのだ?」という皇帝の問いかけに対し、「陛下がお望みであれば、平和と共存を、そうでないときは、そうでないものを」と、一方的な服従をするつもりがないと念を押した上で、こう述べます。

「ローエングラム王朝が病み衰えた時、それを治癒するために必要な療法を、陛下に教えて差し上げます・・・・。ヤン・ウェンリーが陛下に、何を望んでいたか・・・・」

目的を果たしたユリアンは、ここで気を失いますが、「教えてやる」などと大言を吐いたことに感じ入ったのか、皇帝は、ユリアンのために医者を呼ばせると同時に、戦闘の停止を命じます。
ユリアンの言う“療法”とは、王制から立憲君主制への移行のことだと想像が付きますが、それにしても、もし、ユリアンが戦闘を経ず、普通に使者としてやってきたら、皇帝はどういう対応をしたか、気になるところです。
ラインハルトとユリアンは、個人的な相性としては良さそうですし、ヤンの弟子ということで、あれこれと彼の話をさせたりしそうですが、その上で、では一戦交えよう、とか言いそうw

235.5
戦闘停止命令で、ギリセーフだった人。

ともあれ、ミッターマイヤーが、「戦うのをやめよ!和平こそが陛下の御意である!」と最大出力で通信して、ブリュンヒルト内の白兵戦も、宇宙での艦隊戦も、これにて終了。
奇しくも、この日、宇宙暦801年、新帝国暦3年6月1日は、ヤンの死のちょうど1年後でした。

翌日、ユリアンは、戦艦ユリシーズで目を覚まします。
霊安室には、マシュンゴや、薔薇の騎士の隊士たち、そしてシェーンコップの遺体が安置されていましたが、物言わぬ父親と対面したカリンは、復讐しそこなったと複雑な表情。
カリンの復讐とは、自分の産んだ赤ん坊を目の前に突きつけて、「あんたの孫よ、お祖父ちゃん」と言ってやることで、それが不良中年には一番効果的だった――とのことですが、そう言うや、大粒の涙をこぼし、スタスタと霊安室から出て行ってしまいます。
原作では、この場面、ユリアンがカリンを抱きしめ、「好きだよ」と告るところなんですが、このカップル、藤崎版では、どうなってしまうのでしょう。

235.4

帝国と同盟の最後の戦いとなった、このシヴァ星域会戦において、イゼルローン側の損失は大きく、戦死者は20万余、会戦の参加者の4割以上が戦死したとされます。
そんな中、朗報としては、大破した戦艦ヒューベリオンから、シュナイダーが生還したこと。
意識はまだ戻らないものの、その手には、メルカッツが遺したと思われる手紙が、しっかりと握られています。

同じ頃、銀河帝国側では、皇帝の深刻な病状が上級大将たちに伝えられ、これに衝撃を受けたビッテンフェルトは喚きちらします――なぜ、オーベルシュタインではなく、皇帝が不治の病に罹らねばならないのかと。
ミッターマイヤーはこれを、皇妃やアレク大公は、卿よりはるかに悲しむ資格があるとたしなめますが、フェザーンのヴェルゼーデ仮皇宮では、その皇妃に、オベから通信が入っていました。
オベは皇妃に問います。皇帝の病状が悪化の一途を辿り、回復の見込みがない今、皇帝が亡くなった後、皇妃はどのような帝国を作り上げるつもりなのか、と。

235.3
ヴェルゼーデ仮皇宮は、元はゴールデンバウム王朝の弁務官の官邸。
柊館が焼失した後、皇妃とアレク大公はこの建物に移り、皇帝の帰還を待つことになる。


皇帝が亡くなる可能性が高いと聞かされて、動揺する皇妃でしたが、もし皇帝が亡くなれば、アレクがローエングラム朝の第2代皇帝となり、まだ幼い皇帝の摂政皇太后として、ヒルダが宇宙の頂点に立つことになる――その事実は、動かせません。
皇妃ははじめ、オベがこのことを不服として、自分を排除しようとしているのかと思いました。
しかし、皇妃が以下の決意を述べると、オベは「御意のままに」と、皇妃に忠誠を誓います。

「陛下は戦って・・・・戦って戦って、ようやく150年続いた戦乱の世に終止符を打った。陛下が成し遂げた統一は、私が必ず守り抜く!ここからは、平和の時代だ!」

235.2
最後の最後でヒルダらしくなってきました。アレクたんも可愛く描かれていて嬉しい。
「戦って・・・・戦って戦って」の辺り、もしかして、高市総理入ってる?


オーベルシュタインにとって最も大事なのは、皇帝個人というより、王朝の存続。
宿敵ゴールデンバウム王朝を打倒し、そればかりか、銀河の統一を成し遂げ、同盟との戦争の時代を終わらせたローエングラム王朝、自らが築いた体制を維持すること――ということで、目指す方向性としては、皇妃と一致します。
それ故の忠誠ということになりますが、何と言っても、目的のためなら、自分自身が犠牲になることも厭わないのがオベ。最後の見せ場がどう描かれるのか、今から楽しみです。
というところで、To Be Continued。

藤崎版『銀河英雄伝説』第234話 感想

高市氏が自民党総裁となってからというもの、政局の動きが目まぐるしいですね。
「政界は一寸先が闇」とは良く言われることですが、今回も、ピンチをチャンスに変えた人がいる一方で、最大のチャンスを最大のピンチにしてしまった人もいたりして、政治家もリーダーを目指すからには、政策も大事だけれど、勝負勘はそれ以上に大事なのだと、そんなことをしみじみ感じる、今日この頃です。

では、藤崎版「銀英伝」@ウルトラジャンプの感想です。
例のごとく粗筋から。

・第234話
ブリュンヒルトへ乗り込んだ、ユリアンの一行。彼らの前に立ち塞がる皇帝の親衛隊を、薔薇の騎士連隊が薙ぎ払い、艦橋への道を切り開いていく。が、程なくして、付近の帝国艦から続々と援軍が送り込まれ、ゼッフル粒子で満たされた通路での白兵戦は、際限のないものへとなっていった。一方、ブリュンヒルトの艦橋では、病を押して姿を現した皇帝が、「予のもとに至りえたならば、対等の立場で要求を受諾してやっても良い」と、共和主義者の価値観に、血の証明を要求する。どうにか艦橋へ至る階段まで辿り着いたユリアンは、そこでシェーンコップが敵の足止めをする間に、先へ進むが、ポプランは親衛隊隊長キスリングとタイマン、マシュンゴも盾となって斃れ、皇帝の部屋まで辿り着いたのは、立っているのがやっとの状態の、ユリアン一人だった。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 

今回は、ブリュンヒルトに乗り込んだユリアンが、皇帝ラインハルトの前に辿り着くまで、ということで、ほぼ全編にわたって、血みどろの白兵戦が描かれます。
ブリュンヒルト艦内での戦闘――原作では、レーザー銃などの火器も使われていましたが、藤崎版では、通路はゼッフル粒子で満たされていることになっていて(薔薇の騎士が発生装置を持ち込んだ?)、純粋な白兵戦となっています。
つか、火器が使えたら、たったの30人にしかいないイゼルローン側は全滅しそうなのに、原作は良くそういう設定にしたなと、今にして思ったり。艦内だから、なんですかね。

冒頭から。
ブリュンヒルトに乗り込んだユリアン一行ですが、極秘中の極秘であるブリュンヒルトの内部構造をイゼルローン側は掴めておらず、重病で臥せっている皇帝の自室の場所が分からない――ということで、彼らはまず、艦の中枢である艦橋(大体どんな船でも、後方の中心部に設置するとのこと)を目指すことにします。

234.2
こんなにいっぱい船体に穴を開けてしまって、気密性は保てるのか、そちらの方がかえって心配だったりw

進路に立ち塞がる皇帝の親衛隊を、サクサクと狩っていく薔薇の騎士。
この時はまだ、「あと3分あれば、ロイエンタールの首は俺のものだった」など、シェーンコップも軽口をたたく余裕がありましたが、程なくして、付近の帝国艦から続々と援軍が送り込まれ、彼らの前後左右の通路に、装甲擲弾兵の大部隊が出現します。
これを、リンツが、たった5人で食い止めるのは、さすがに無理な感じがしますが、薔薇の騎士の第14代連隊長となる都合上、彼は原作通り生き残ることでしょう。(藤崎版では、将官に昇進した後も、シェーンコップが隊長)

234.3
リンツ、こんなにイケメンだったかなw

同時刻、ブリュンヒルトでは、ミッターマイヤーとメックリンガーが、艦内のモニターで、革命軍司令官ユリアン・ミンツの姿を確認していました。
(なお、藤崎版では、ミュラーは艦隊の指揮をとっており、艦橋にはいません。そういえば、ヤンの弔問の場面も削られていましたし、藤崎版のミュラーは、なぜか出番が少なめ)
ミッタは、ユリアンの勇敢さを賞賛する一方、味方の不甲斐なさを憂い、自ら現場で指揮をとろうとしますが、そこに、ベッドで臥せっていたはずの皇帝が姿を現し、ミッタを制止します。

この場面、藤崎版では、「なぜお連れした」と叱られるエミールを、皇帝が「予が無理を言った」と庇うという流れになっていますが、原作では、軍服に着替えるという皇帝を止めて貰おうと、エミールがミッタに視線で訴えたものの、ミッタは「陛下の御意に従え」と。
皇帝の余命がいくばくもないことを悟ったミッタが、せめて残された時間は本人の好きにさせようとしてそう言ったわけですが、ミッタの心情にグッとくる場面だったので、ちょっと残念。

234.4

さて、威儀を正して玉座に着いた皇帝は、「(ユリアンが)予の兵士たちの抵抗を排して予のもとに至りえたならば、少なくともその勇を認め、対等な立場で要求を受諾してやっても良い」と、共和主義者たちが求めるものの価値を、流血によって証明させようとします――が、その頃、ユリアンたちは、艦橋に続くと思われる、階段のある広場まで到達していました。

ここでシェーンコップが敵を足止めし、ユリアンは、ポプランとマシュンゴの3人で先行することになりましたが、別れに際して、シェーンコップは言います。
「俺はたったひとつだけ、ヤン提督に文句を言ってやりたいことがあるんだ。昨年、ブルームハルトが命がけで提督を守ったのに、提督は逃げ切れずに死んじまった。あれだけはいくら奇跡の(ミラクル)ヤンでも、どじが過ぎたな」と。
ユリアンは、シェーンコップの抱える痛みが分かった気がしましたが、皇帝に会って交渉するという己の責務を果たすべく、「必ず生きて再会しましょう!」と言って、階段を上っていきます。

シェーンコップは薔薇の騎士連隊の隊旗を揚げ、押し寄せる装甲擲弾兵の前に立ち塞がります。彼は、残った4人の隊員とともに鬼神のごとく戦い、階段を死守しますが・・・・

234.5 234.6
音を立てずに歩くので「豹」との徒名がある、という原作設定から、藤崎版では、虎刈りならぬ、豹刈りにされてしまったキスリング。手にしている武器は、近接戦闘に秀でた彼らしい短剣、と思わせて、実はブーメラン?
ポプランの身体能力ならば、反則をしなくとも、フライングボールのチャンピオンになれそうなものですが。


階段の上には、これまでとは違う豪華な廊下が続いており、ユリアンたちに、艦橋が近いことを示していましたが、廊下の先では、皇帝の親衛隊隊長キスリングが待ち構えていました。
キスリングは人間離れした素早い動きで、3人を翻弄、あわやユリアンに斬りかかるというところで、ポプランが口から毒霧を吹き出して、キスリングを後退させます。
その流れで、キスリングはポプランに任せることになり、ユリアンはマシュンゴと2人で廊下を進みますが、その先には、またもや敵の一団が・・・・

疲労困憊して、思考力までもが限界に達したのか、ユリアンは一瞬、みんなを犠牲にしてまで、何のために戦っているのか分からなくなります――が、その時、ヤンの言葉が蘇ります。
ここは藤崎版のオリジナル、かつ、全編を通しての結論とも、ヤンの口を借りての藤崎先生からのメッセージとも受け取れる重要な箇所なので、全文を転載。

「民主主義の灯が消滅してしまわないように・・・・と言えば聞こえはいいけどね。人間の心に二面性が存在する以上、民主政治と専制・独裁政治も、時空軸上に並存する。
現代というのは、個人の自由と公共の利益がせめぎ合いながら、人類が少しづつ進化させてきた結果のことなんだ。

234.7

こんな実験があるよ。2つの炎を並べて近付けると、炎同士が干渉して、同位相・逆位相のゆらぎが現れる。でも、ちょうど位相が変わる臨界距離のポイントで止めると、炎のゆらぎが停止するんだ。
この宇宙の物理がそうなっているんだから、この現象は、あらゆるものごとに置き換えが可能なのかも知れない。戦争と平和なんてものも、結局は、ふたつの炎のゆらぎと同じなんじゃないかな」


確かに、人間関係でも、国家間の関係でも、ちょうど良い距離感というものがあるような気がしますが、それは物理の法則によって説明できるものなのかも知れない――もとい、戦争と平和を物理で語るとか、初めて見たので、知的な意味でも大変興奮しました。
平和への鍵は、こんなところにもあるのだと、人類の未来に希望が持てる話です。

さて、ユリアンとマシュンゴは、遂に、艦橋の扉の見えるところまで辿り着きましたが、そこでマシュンゴは、ユリアンの盾となって力尽きます。
「進んで!」という、マシュンゴの最後の言葉に押されたユリアンは、剣を杖にして這うように前進、扉を開けますが、そこは艦橋そのものではなく、広々とした皇帝の控えの間のような部屋。
その奧では、二人の側近を従えた皇帝が、玉座に着いていた・・・・
というところで、To Be Continued。

藤崎版『銀河英雄伝説』第233話 感想

急に涼しくなりましたね。
永遠に続くかと思った夏が、遂にオワタ\(^o^)/のかも。
暑さでヘロヘロになったバラさんたちのためにも、本格的な秋の訪れが待たれます。

では、藤崎版「銀英伝」@ウルトラジャンプの感想です。
例のごとく粗筋から。

・第233話
昏倒した皇帝の病名は、「変異性劇症膠原病」。医師団はそう名付けたが、類をみない奇病ゆえ治療法もなく、皇帝の予後は極めて悪い状況だった。皇帝の病臥を知ったイゼルローン側では、混乱に乗じてブリュンヒルトに乗り込む作戦を始動。皇帝と直談判して自治権を認めさせるべく、ユリアンは30名の薔薇の騎士と共に、強襲揚陸艦イストリアで出撃する。同時にイゼルローン艦隊も、敵の目を引き付けるべく、帝国軍の本陣に向け突撃開始。この動きを見て、ブリュンヒルトで指揮を執ることになったミッターマイヤーは、皇帝が標的にされていると察知するが、玉砕を覚悟したメルカッツからの猛攻に加えて、敵艦隊の中に入り込んだカリンのスパルタニアンがワルキューレを足止め、彼らの犠牲の上に、ユリアンはブリュンヒルトへの接舷を果たす。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 

皇帝の昏倒を受けて、新たな局面に入ったシヴァ星域会戦。
両陣営とも、原作比で良く動いている印象です。
強襲揚陸艦を、ユリアンを、何としてもブリュンヒルトまで送り届ける――共和制の存亡をかけたイゼルローン陣営の人々の覚悟に胸が熱くなる、藤崎版屈指の神回でした。

冒頭は、ブリュンヒルト艦内、皇帝の寝室から。
皇帝を診察した医師団は、病名を「変異性劇症膠原病」と発表したものの、類を見ない奇病ということで、現状では、治療法どころか、予後も分からないとのこと。
この場面、医者に対して「研究だと⁉」と詰め寄るのは、原作ではミュラーですが、藤崎版ではメックリンガー。ということで、怖い顔をしたメッキーという、珍しいものが見れますw

233.3

そんなメッキーに、ベッドの中から「医師たちを責めるな・・・・」と声を掛ける皇帝。
前回のビッテンフェルトへの対応といい、すっかり“もの分かりの良い上司”と化しています。
高熱が脳に作用して、人格が変化したのかも知れませんが、世界の平和のためには、この状態を維持したまま長生きしてもらうのが、一番だったりしてw

一方、皇帝の病臥を知ったイゼルローン側は、動きが急です。
ユリアンは、混乱に乗じて帝国軍総旗艦ブリュンヒルトに直接乗り込むという、大胆な作戦を発動。この作戦の目的は、皇帝の殺害ではなく、皇帝と直談判して、イゼルローン共和政府の自治権を認めさせ、和平に持っていくこと、ですが――
「たとえ皇帝ラインハルトを殺害しても、銀河帝国を倒したことにはならない。次ぎの皇帝が現れるだけだ」と、ユリアン自身が言っているように、この作戦には、ラインハルトが存命で、しかも意識がしっかりしているうちに目標を達成しなければならないという、タイムリミットもあったりするので、本当にチャンスは一度きりです。

233.2

ユリアンとともに強襲揚陸艦イストリアで出発するのは、シェーンコップ率いる薔薇の騎士連隊に加えて、ポプランとマシュンゴの総勢30名。
カリンが彼らを送り出す場面では、「子供を産むのは20歳を過ぎてからにしてくれ」というシェーンコップに、「さっさと行ってきなさい!」とカリンがレンチを投げつけていますが、そんなカリンを見たシェーンコップは、忘れていた彼女の母親を思い出します。
今、シェーンコップは37歳、カリンは17歳ですから、カリンは、シェーンコップが19か20歳そこそこで作った子供ということになりますが、この女性はもう少し年上に見えますね。貴族っぽいドレスを着用しているので、富裕層の可能性もありますが、女優の方がイメージに合うかも。

さて、強襲揚陸艦が出発すると、イゼルローン軍は敵の目を引き付けるべく、突撃を開始。
同じ頃、ミッターマイヤーがブリュンヒルトに移乗、皇帝に代わって大本営の指揮を執ることになりましたが、回廊まで後退して負けない戦いに徹するものと思われたイゼルローン軍が、いきなり攻撃に転じたのは何故か――
ミッタは、2年半前のイゼルローン攻防戦で、薔薇の騎士がロイエンタールの旗艦トリスタンに強襲揚陸艦で侵入した件を思い出し、「共和主義者たちの狙いは、皇帝の御身にあり!」と、直ちに艦隊を後退させます。

233.4
敵艦の装甲を破る機能に特化した?チェーンソー型の強襲揚陸艦イストリア。
普段は戦艦に格納され、飛び道具も備えてなさそうなので、敵艦から攻撃されたら即終了か。


これを見たメルカッツは、作戦に気づかれたと察しつつも、さらに加速して前進します。
敵陣の只中に入り込み、戻れなくなる――シュナイダーは念を押しますが、もとよりメルカッツは覚悟の上です。

「後先を考えず、ただひたすらユリアン君を皇帝のもとに送り、直談判させ停戦を待つ」
「非常に大胆で前例のない・・・・勇気のいる作戦です」
「そして、失敗は許されず、やり直しのきかない一度きりの作戦・・・・だが、やる価値はある!たとえ多大な犠牲を払ってでも!」


玉砕覚悟で、皇帝の艦隊に超接近してくる、メルカッツ艦隊。
ブリュンヒルトへの被弾を恐れて、帝国軍が攻撃を躊躇する中、黒色槍騎兵は標的をアッテンボローからメルカッツに変更、紡錘陣で突撃していきます。
これに横から穴を開けようというアッテンボロー、彼も後戻りが出来ないことは承知の上です。
メルカッツ艦隊の薄さを見て、ブリュンヒルトの無事を確信したミュラーは、後方に回り込み、完全包囲することで敵の数を最速で減らそうとし、またアイゼナッハは(指パッチンでw)、シグマ陣に陣形を変え、敵の全てを攻撃するよう命じます。

233.5

両軍が入り乱れる中、ユリアンを乗せた強襲揚陸艦は、皇帝の艦隊の内部にまで到達したものの、遂に、敵艦に発見されてしまいます。
が、主砲が発射されようとしたその時、カリンのスパルタニアンが飛来し、敵艦を撃沈。
「こんなダメな男たち、私が守らなくて誰が守るの」と、父親への反発もあって、彼女は意気込みますが、敵艦隊の中にスパルタニアン単騎で入り込むのは、さすがに無茶というもの。
ブリュンヒルトが目視できるほどの距離になると、帝国軍はワルキューレ隊を繰り出してきますが、カリンは、ポプラン師匠、ユリアン、そしてあの男=シェーンコップを守るため、ドッグファイトを繰り広げた挙げ句、被弾。生死不明の状態に。

強襲揚陸艦がブリュンヒルトに強硬接舷したのは、その直後でした。
黒色槍騎兵の猛攻を受け、限界に達していたメルカッツの旗艦ヒューベリオンは、撃沈。
シュナイダーと交わした最後の会話が泣かせます。
「どうやら、成功したようです」「そうか、では思い残すこともないな」
薔薇の騎士連隊は、直ちにブリュンヒルトの装甲に穴を開け、艦内に侵入しますが、帝国側の守備隊が待ち構えています。皇帝まで辿り着くには、これを突破しなければなりません。
「今は前だけを見て進め!」
ユリアンは涙を堪えつつ、走り出すのでした・・・・というところで、To Be Continued

233.6

ヒューベリオンはヤンの乗艦でしたから、感慨深いです。
シュナイダーも藤崎版では、メルカッツと一緒に戦死していそうな雰囲気ですね。
それにしても、原作でもスルーされていますが、彼らが帝国に残してきた家族は、どうしているんでしょう。ラインハルトの時代になっても生きていたら、亡命なんかしなければ良かったのにとか思っていそう。たいていの女性は、ロマンより生活重視だし、って最後にそれかいw

藤崎版『銀河英雄伝説』第232話 感想

あまりの暑さに日課のウォーキングを休止しているところに、全国の果物産地の親戚から、桃とスイカとメロンがほぼ同時に送られてきて、めちゃ美味いのですが、果糖肥り必至の情勢。
もう少しすると葡萄も来る予定なので、ますますヤバイです。
これを挽回するためには、どんだけ歩けば良いのか・・・・

藤崎版『銀河英雄伝説』の単行本33巻が発売されました。

銀英伝33

柊館の襲撃に際して、本領を発揮された姉上が表紙です。
掲載範囲は、227話~230話。
次巻は、2025年12月19日発売予定とのこと。

では、藤崎版「銀英伝」@ウルトラジャンプの感想です。
例のごとく粗筋から。

・第232話
シヴァ星域。イゼルローン軍の5倍の戦力の帝国軍は、間断のない攻撃で敵の消耗を図るが、そんな正攻法すぎる戦術に、ユリアンは皇帝ラインハルトらしからぬ、鈍重さを感じ取っていた。アッテンボローは、いつになく慎重なビッテンフェルトに手を焼くが、メルカッツの立案で、ビッテンの鼻っ面を叩いて怒らせ、猪突してきたところに無人艦を突入させ、大損害を与える。が、これを見たミュラーとアイゼナッハは、素早く動いてイゼルローン軍の包囲を画策。かくして、戦況は大きく動き始めたが、この時、帝国軍では、皇帝が昏倒するという非常事態が勃発。箝口令が布かれ、幕僚総監のメックリンガーは、ビッテンに後退を指示するなど混乱が広がるが、そんな帝国側の通信を、ポプラン機がキャッチ。皇帝が病に倒れた件は、イゼルローン側の知ることに。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 

久しぶりの巻頭カラーです。
今回は、ほぼ全編がシヴァ星域会戦。ビッテンフェルトを中心に話が回っていますw
そうそう、前回のブログで234話で完結しそう、などと書きましたが、今回描かれたのは、原作10巻「落日篇」の第7章「深紅の星路」の部分。「落日篇」は第10章までありますし、戦闘描写にかなり力が入っているので、もしかしたら、最終回はもう少し先になるかも。

冒頭から。
最終盤らしく、自らの人生を振り返る、皇帝のモノローグから始まります。
最低の人間だった父親から始まって、姉を奪った皇帝フリードリヒ4世、皇帝の死後は、ブラウンシュバイクら大貴族。それを倒した後は、敵を帝国の外に求め、同盟の不敗の名将ヤン。ヤンが亡くなると、挑む側から挑まれる側に立ち位置が逆転して、まずはロイエンタールが叛旗を翻し、そして今、新しい力が挑もうとしている――と、戦いの歴史を振り返ります。

232.8
ラインハルト父の登場、何時ぶりでしょう。アンネローゼを売った金は、全て酒代に消えた模様。

ここでは「新しい力」と表現していますが、これまで眼中になかったのか、皇帝がユリアンについて言及することは殆ど無かったので、なかなか新鮮だったり。
少なくとも、皇帝はユリアンを、ヤンとの関係で周囲から担ぎ上げられただけの人物ではない、と評価したことになりますが、それにしても「実力をもって俺の目の前まで辿り着けたのなら、話ぐらいは聞いてやってもいい」とか、つい先日まで、和平交渉を呼びかけていた件は、すっかり忘れてしまったみたいですね。

それもこれも発熱のせい――なのかどうか、シヴァ星域での戦闘が開始されても、皇帝からの指示がないため、ミッターマイヤーはこれを、「5倍の戦力があるのだから、あえて奇策を弄する必要はなく、正攻法で行け」の意と解釈して、間断のない攻撃で敵の消耗を図ります。
しかし、敵のそんな様子に、ユリアンは、いつもの皇帝ならば、華麗なる戦術で戦場の主導権を握るはずなのに――と、帝国軍の動きに、常とは違う鈍重さを感じるのでした。

232.3

さて、イゼルローン軍は、全艦隊の1割を無人艦とし、ビッテンフェルトが突撃してきたところにこれをぶつける作戦でしたが、どういうわけか、いつも通り猪突してきません。
メルカッツ曰く、「回廊の戦いにおいて、あの男の猪突が盟友ファーレンハイトの死を招いた。それが用兵に何らかの影響を与えたのであろうな」とのことですが、ビッテンを上手く誘い込めないでいるアッテンボローに、メルカッツは助け船を出すことに。

ビッテンはこの時、敵の後退に合わせて漸次前進していく皇帝本隊と、歩調を合わせていました。そんな親分の、らしからぬ艦隊運用に、ハルバーシュタットは、提督らしく突撃して敵の退路を断つべしと訴えますが、ビッテンは「もう、やめたのさ、そういうの」と、聞く耳を持ちません。
と、その時、突然、アッテンボロー艦隊が全速前進して、ビッテンの鼻面に主砲を浴びせたと思ったら、直ぐさま旋回して逃げて行きます。
この、あからさまな挑発行為に、ビッテンはブチ切れて、本来の猪突路線に復帰。紡錘陣形で逃げるアッテンボローに殺到していきますが、これはもちろん罠。メルカッツの策にまんまと引っかかった黒色槍騎兵は、側面から無人艦に特攻され、大損害を被ることに。

232.4 232.5
挑発前&挑発後。今回はビッテンの顔芸が楽しすぎる。

これを見たアッテンボローは、手負いのライオンを追い詰めるハイエナの如く、再攻撃を仕掛けようとしますが、そこに鉄壁ミュラーが、文字通り壁のような陣形で立ち塞がります。
イゼルローン軍は、アッテンボローの負担を軽減しようと、艦隊の配置をずらしますが、これによって生じた空間に、今度はアイゼナッハ艦隊が素早く回り込み(指パッチンだけで指示w)、イゼルローン側を包囲しようとします。
これに対抗すべく、メルカッツが鍵型に陣形を変化させるなど、ようやく戦況は大きく動き出し、ユリアンはこの混乱の中からチャンスを掴もうとしますが、皇帝は沈黙したまま・・・・

皇帝が昏倒したのは、この直後――原作では、歩行中に失神して床に倒れていますが、藤崎版では、椅子に座った状態で気を失っています。
幕僚総監のメックリンガーとエミールが慌てて駆け寄りますが、そんな状況の大本営に対し、艦隊を超ハイスピードで再編成したビッテンが、再突撃の許可を求めてきます。
これに対する返答が、「無理な攻撃を避けて後退せよ」というものだったので、納得が行かないビッテンは、ブリュンヒルトに届くまで、艦と艦を有線の通信ケーブルで繋いでいくという荒技を使って抗議しますが、通信に応対したのはメックリンガー。
メッキーとしても、複数の艦に繋がれた回線で、皇帝が昏倒したという最重要機密を伝えるわけにはいかず、ビッテンに罵倒されても、後退命令に従うよう繰り返すしかありません。

232.7 232.2
U型磁石には笑ってしまいましたが、電波妨害をかい潜るため、現代のドローンでも最新型は有線(光ファイバー)になっていますし、案外、このやり方は理に適っている?

それでも、宇宙艦隊司令長官のミッターマイヤーにだけは伝えておかなければと、メッキーは連絡艇を出しますが、大本営から新たな指令が発せられないことで、戦場は再び膠着。
このような消耗戦がいつまで続くのかと、敵味方の誰もが困惑する状況がしばらく続きますが、そんな折、ポプランのスパルタニアンが偶然、雑音まじりの奇妙な通信をキャッチします。
「皇帝が病に倒れた⁉」。その衝撃的な報せを受けてユリアンは・・・・

というところでTo Be Continued。
皇帝はペイズリー柄のお布団で、気持ちよさそうに寝てる場合じゃないですよ。
つか、高熱を発しているのだから、汗をかいて、苦しそうな表情させた方がよろしいのでは。

藤崎版『銀河英雄伝説』第231話 感想

前々から決まっていたことですが、7月20日は、山梨の寺&墓の掃除をする日。
ということで、参院選は期日前投票に行ってきました。
思えば、ここ数年は、選挙当日より、期日前に投票する機会の方が多くなってますね。
近いうちにラングな総理とはオサラバできるのか、そうでもないのか、
もはや世間の関心が選挙後のことになってしまっているのが、何とも言えず・・・・

では、藤崎版「銀英伝」@ウルトラジャンプの感想です。
例のごとく粗筋から。

・第231話
帝国支配下の旧同盟領から脱出した小型船が、イゼルローンに救援を求めてきた。ユリアンは2500隻を派遣して帝国軍を追い払うが、回廊の出口を守備するドロイゼンは艦隊を招集、イゼルローン軍との全面衝突に発展する。談話中の帝国軍の最高幹部にこの件が伝えられると、アイゼナッハは「チェックメイト」と珍しく言葉を発する。新帝国歴3年5月、帝国軍はハイネセンを出発。戦場となるシヴァ星域に到達すると、皇帝は「ローエングラム王朝ある限り、帝国の軍隊は皇帝が必ず陣頭に立つ!予の息子もだ!」と宣言し、兵の意気は上がるが、この時すでに、皇帝は微熱を発していた。帝国軍5万1700隻、イゼルローン革命軍9800隻という圧倒的少数を余儀なくされたユリアンは、全艦隊の1割を無人艦とし、予備兵力であるかのように見せかける。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 

最後の戦い、シヴァ星域会戦に突入しました。
で、残りの話数ですが、単行本に4話づつ収録されていることから推測するに、
藤崎版『銀河英雄伝説』は234話、つまり、あと3話で完結する可能性が高そうです。
(33巻=227話~230話、34巻=231話~234話)
限られた紙幅の中で、どこまで描けるのか――オリジナルの後日談とかは、無理かなぁ。

冒頭から。
ラグプール刑務所の暴動で中断されたといえ、皇帝との会談の流れがいずれ再開されるものとして、イゼルローン革命軍の旗艦ユリシーズは、回廊の出口近くで待機中。
この約1ヶ月の間、フレデリカは自ら、帝国の非公開文書に侵入して、アレクのことを調べたりしていましたが、そんなのんびりした空気は、一件の救難信号によって破られます。
今や帝国支配下となった旧同盟領から、自由求めて脱出してきた人々を乗せた新世紀号が、帝国軍に追われていると、救援を求めてきたのです。

231.3

イゼルローン政府としては、皇帝と会談して講和を結ぼうというムードになっていたところでしたが、帝国軍から逃れてきた人々を見殺しには出来ないと、ユリアンが2500隻の艦隊を出動させると、これに驚いた帝国軍は、追跡を諦めて撤退していきます。
が、これにて一件落着とはいきませんでした。
回廊の出口を守備するドロイゼンが、事態に過剰に反応し、艦隊を収集してイゼルローン軍を攻撃し始めたため、イゼルローン側も大規模な動員を行わざるをえなくなり、結果、数千隻単位の戦闘に発展してしまったのです。

この時、オーベルシュタインとケスラーを除く帝国軍の最高幹部は、宿舎にあてられたハイネセンのホテルで談話している最中でした。
そこに、イゼルローン軍が回廊を出てドロイゼン艦隊と交戦中との報せが入り、諸将は色めき立ちますが、寡黙なアイゼナッハが「チェックメイト」と言葉を発したのには、一同が驚愕。
ミッターマイヤーの「お前、しゃべれたのか⁉」は、あんまりな言い様ですが、ともあれ、帝国軍にとっては、(ド・ヴィリエを除いて)最後に残った敵対勢力を完全に葬り去る、絶好の機会が到来したのでした。

231.0 231.2

この談話の場面、ミッタの「寂しくなったものだ・・・・」の言葉とともに、元帥府の最盛期と現在のメンバーを比較するような絵が置かれています。
さすが、皆殺しの異名をとる原作者さまの所業というか、ここ3年ばかりの間に、ケンプ、レンネンカンプ、シュタインメッツ、ファーレンハイト、ルッツ、ロイエンタールと次々に亡くなって、今部屋に居るのは、ミッタ、ビッテン、メックリンガー、ワーレン、ミュラー、アイゼナッハの6名のみ。
これに、ケスラーを加えた7名が、後に「獅子の泉の七元帥」と呼ばれることになります。

次いで、ヒルダが入院中の、フェザーン医科大学附属病院の場面。ここはオリジナルですね。
アレクを抱いたヒルダが、皇帝が親征する件を受けて、アンネローゼと哲学的な問答中。
「身体を慮り病床に伏せるのと、生き方を貫き病を押して行動するのと、もしヒルデガルトさんがその立場なら、どちらを選ぶのかしら」
「私はこれまで、自分が合理的で理屈っぽい人間だと思ってきました。でも、あるとき気付いたのです。陛下をまだヴァルハラにお連れしないでと、何かに祈る自分がいることに」
「誰しもが、非理性的な自分を抱えてもがいている。これは人間に繋がれた、永遠に解けない鎖なのかも知れませんね」
物語の終わりが近いことを感じさせる下りですが、ここで語られているような、「人はどう生きるべきか」という倫理学上の問題に触れているかどうかは、特に長篇の物語においては、名作か否かを決定付ける、重要なポイントだと考えています。

231.4

新帝国歴3年、宇宙歴801年5月。
出兵を前にした皇帝は、諸将と幕僚を集めて、戦場でのそれぞれの持ち場を通達。
ワイングラスを割ってのプロージットも、これで見納めですね。
戦場として設定されたのは、シヴァ星域。
シヴァは、ヒンドゥー教の破壊と再生の神。バーミリオン(朱赤)が「赤壁の戦い」をイメージさせたように、原作者はこの名称に、それなりの意味を持たせているのでしょう。

今度の戦いが、最後の戦いになることは、イゼルローン側も承知の上。
圧倒的な国力の差があり、なおかつ、講和まであと一歩のところまで来ていたのに、そちらの路線を捨てて戦う道を選んだのは、ユリアンに言わせれば、「卑屈に一方的な臣従を申し出るつもりもありません!」ということ。
相手がモンゴル帝国軍のような連中だったら、そうも言っていられないわけですが、たとえ敵が独裁者であっても、人道に悖らないと信頼するのが、銀英伝のお約束ということで。
で、この後、メルカッツとマシュンゴにフラグを立てる場面があって、いよいよ戦場に現着です。

231.5 231.6

同時刻、帝国側も敵影を確認。
皇帝は全艦に向けて回線を開くと、卿らにあらためて言っておこうと、こう演説します。
「ローエングラム王朝あるかぎり、銀河帝国の軍隊は皇帝が必ず陣頭に立つ!予の息子もだ!」
「ローエングラム王朝の皇帝は、兵士たちの背中に隠れて、安全な宮廷から戦争を指揮することはせぬ!卿らに誓約しよう。卑怯者がローエングラム王朝において、至尊の座を占めることは決してないと!
」

これは、ミッターマイヤーが先の会合で、後方より督戦する意思はないかと尋ねたことを受けての、皇帝からの正式な回答ということになりますが、基本、封建主義的な価値観の持ち主である帝国人のメンタルには、大いに刺さったことでしょう。
現代人の感覚からすると、アレクがヘタレな性格でないことを祈るばかり、ですが・・・・

ともあれ、皇帝のお言葉に士気がMAXとなった帝国軍は、イゼルローン軍と激突。
帝国軍の艦艇5万1700隻に対して、イゼルローン革命軍は9800隻と、数量的な優勢は圧倒的に帝国軍にありましたが、ユリアンはその劣勢を補うために、全艦隊の1割を無人艦とし、あたかもとっておきの予備兵力であるかのように見せかけます。
案の定、迂闊に猪突すれば、予備兵力との間で半包囲される怖れがあるとして、ビッテンがアッテンボロー艦隊への全艦突撃を控えることになったのですから、作戦の効果は抜群でした。

231.7

同じ頃、ブリュンヒルトの艦橋では、皇帝の様子が常ならぬことに、幕僚総監として同乗していたメックリンガーが気付きます。
集中力を欠いた様子を、「どこか別の宇宙に想いを馳せておられる」とメックリンガーは表現しますが、実は、シヴァ星域に到着した時から、皇帝は、微熱があることを自覚しており、それが刻々と悪化していたのでした。
この年の6月で、初陣(惑星カプチェランカの戦い)から、ちょうど10年になる皇帝ラインハルト。
まるで走馬灯のように、過去の印象的な場面のスナップショットが散りばめられる演出が施されていたりして、崩御の瞬間に向けてのカウントダウンが、遂に始まってしまった・・・・
というところで、To Be Continued。

※追記 
庵野秀明氏が、Production I.Gの取締役に就任するとのこと。
庵野氏は、オリジナル新作の「超大型SF作品」「超大型SFロボット作品」の製作に係わってくるものと思われ、それはそれで大変楽しみなのですが、一方で、「銀河英雄伝説 Die Neue These」のリソースがそちらに割かれたりすると、ますます続編の完成が先送りされそうで、ちと心配だったりもする。

藤崎版『銀河英雄伝説』第230話 感想

親戚への暑中見舞いのエビスビール、例年7月の上旬に発送するのですが、
もっと早くてもいいよ~、とのことで、今年はすでにお届け済み。
この暑さですからね。気持ちは分かる、と。

では、藤崎版「銀英伝」@ウルトラジャンプの感想です。
例のごとく粗筋から。

・第230話
憲兵総監と国務尚書が揃って帝都を留守にした5月14日、各所でテロが発生。ケスラーはこれを陽動、真の標的は皇妃と胎内の子と見抜き、直ちに引き返す。この日、出産を間近にした皇妃は、柊館を訪れたアンネローゼと歓談していたが、突如として地球教徒の襲撃を受ける。かねて射撃の訓練を受けていたアンネローゼは、皇妃を庇って応戦するが、地球教徒は館に放火し「火による罪の浄化」を目論んでいた。ケスラーは柊館に到着すると、買い物から戻ったマリーカから皇妃のいる部屋を聞き出し、突入。襲撃者を一掃するが、衝撃で皇妃は産気づき、直ちに入院、男児を出産する。報せを受けた皇帝は、我が子に、親友の名を取って、アレクサンデル・ジークフリードと命名。また、地球教の拠点は殲滅されるも、そこにド・ヴィリエの姿はなかった。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 

今回も、原作10巻「落日篇」の第6章「柊館炎上」で、まるまる一話ですね。
あと4章しかないとか、ちょっと信じられない思いです。
それにしても、思い切って、アンネローゼ様に全振りしてきましたね。
ケスラーの年齢やマリーカの年齢をすっ飛ばしたのは、コンプラ対策、じゃないよね?

冒頭から。
帝都フェザーン、フィヤーバルト地区にあるアイスクリーム店。
マリーカがお気に入りのチョコレートアイスを注文していると、近くで爆破事件が発生します。
こうしたことが度々あったたのか、店の人間はすぐに「地球教徒のテロだ!」といって避難。
マリーカも急ぎ、柊館に戻ることします。

その日、新帝国歴3年5月14日は、皇帝の留守を任された憲兵総監のケスラーが防衛施設の視察に、皇妃の父で国務尚書のマリーンドルフ伯が水資源管理システムの視察に、それぞれ出掛けていたため、帝都フェザーンの警備が、一時的に手薄になっていました。
そんなタイミングで、帝都の14箇所で、同時多発的にテロが発生したのです。
報告を受けたケスラーは、一連の爆破事件を陽動と判断。
敵の真の狙いは、皇妃と胎内の御子にあるとして、直ちに帝都へ引き返します。

230.7

柊館ではこの日、入院を控えた皇妃のもとを、アンネローゼが見舞いに訪れていました。
館の名の由来にもなっている、玄関の扉の「柊」の紋章を「黄金獅子」に変えてはどうか――
そんな相談が宮内省からあったと皇妃が打ち明けると、アンネローゼはこう答えます。
「これから家を改造しようなどと言ったら、ラインハルトは、余計なことはしなくてもいい、と答えるでしょう。でも、改造してからそのことを告げたら、そうか、の一言ですみますよ」
1光年以下のことには関心がないとされる皇帝ですが、さすが姉上、分かってらっしゃる。
なお、これに爆笑した皇妃のオリジナルの台詞、「まずい、面白すぎて出産しそう!」が、面白すぎました。

そんな和やかな空気は、ドアの外で聞こえた不審な物音で一変します。
いち早く異変に気付いたアンネローゼでしたが、皇妃が身を隠す間もなく、ドアが乱暴に開け放たれ、二人の男が部屋に乱入しようとします。
二人は帝国軍の制服を着用してしいましたが、その狂信的な目付き、サイオキシン麻薬の中毒患者にありがちな、呼吸の荒さや発汗の様子から、皇妃は直ちに彼らを地球教徒と見抜き、アンネローゼに注意を促します。

230.2

が、彼女は気丈にも、皇妃の前に立ちふさがると、侵入者を睨み付けて、「おさがりなさい。この方は、銀河帝国の皇妃陛下でいらっしゃいますよ」と言い放ちます。
そして、相手が大公妃と知ってなお、侵入者が「皇妃と腹の中の忌み子は、母なる地球のために消え失せろ」といって発砲しようとすると、胸元に隠していた小型の銃で反撃、彼らの眉間を正確に撃ち抜いたのでした。

しかし、館を襲ったは、その二人だけではありませんでした。
地球教徒は、「火による罪の浄化」と称して、館に火を放っていたのです。
ケスラーがジェットヘリで到着した時、館の半分は、すでに炎を包まれていました。
憲兵隊は、地球教徒の犯行と知りつつも、火線に阻まれて、外からでは皇妃とアンネローゼの安否さえ確認できません。

230.8

そこに、折良くマリーカが帰ってきました。
ケスラーは、館に入ろうとする近侍らしい少女を捕まえると、二人の居場所を尋ねます。
これにマリーカは、図書室の南側の窓を指し示して、皇妃はきっと窓の下の寝椅子にいる、と答えますが、ケスラーの地位については、せいぜい大佐と考えていたようです。
マリーカは、ケスラーが突入の準備を始めると、「ホクスポクス・フィジプス~~」と謎の言葉を繰り返しますが、聞けば、祖父伝来の魔除けの呪文とのこと。
「効くのかね?」
「繰り返すほど」
「では続けていてくれ!」
憲兵総監と少女のさりげない言葉の遣り取りですが、原作者の才能を感じるところです。

その頃、図書室では、階下の警備兵を倒して続々とやってくる地球教徒に対し、アンネローゼが小型の銃で応戦していました。
皇妃とともにカウチベッドの後ろに身を隠しながら、コンパクトの鏡で敵の位置を確認、後ろ手に銃を発射するのですが、その射撃は正確で、地球教徒は思うように近づくことが出来ません。
この様子を目の当たりにした皇妃は、ある噂――後宮で皇帝の寵愛を受ける者は、最後の盾として皇帝を守るために、極秘裏にさまざまな訓練を受ける――が本当だったと確信します。

230.5
ここは、藤崎版のオリジナル設定で、面白いとは思うのですが、権力者は普通、女に寝首を掻かれることの方をより警戒するので、こういう訓練はしないと思われ。
あと、細かいことですが、ソファやカウチは足元に隙間があるので、そこを狙われたらひとたまりもありません。なので、盾として使用する際は、倒した方がよろしいかとw


とはいっても、アンネローゼとて、人を殺めるは今回が初めてのはずなのに、この状況下において、この胆力と判断力。
この清楚で美しい女性は、まぎれもなく、銀河系の覇者の姉君なのだ――。
そう認識した途端、皇妃は、自分がアンネローゼの本質を見誤っていたことに気付きます。

弟に匹敵する知性の持ち主が、後宮に入る代償として要求したのは、弟の将来の保証。
皇帝フリードリヒ4世の寵愛を一身に受け、後宮の頂点へと登り詰めても、彼女は政治に一切口を出さず、その代わり、弟ラインハルトとその親友キルヒアイスが常に一緒にいられるよう、皇帝に口添えを頼んだという。
フリードリヒは、ラインハルトに地位と権力を与え過ぎることを、宰相リヒテンラーデから、簒奪を企むかも知れないと忠告された際、「どうせ滅びるなら、せいぜい華麗に滅びるがよい」と発言したと伝えられるが、これとて、アンネローゼからの影響がなかったとはいえない。
今となっては、永遠の謎だが、彼女は要所要所で、今日に至る布石を打ってきた――そう、ラインハルトでもヤンでもなく、アンネローゼこそが、この歴史のチェスゲームの真の打ち手。今日の銀河を作ったのは、もしかしたら・・・・・

ここも、原作をアレンジして、一味違うアンネローゼ像が提示されていて興味深いです。
(「銀英伝」の読者ならば、誰でも一度は妄想することかも知れないw)
フリードリヒ4世が厭世的になったのは、若い頃に経験した、皇位をめぐる兄弟間の骨肉の争いに原因があるので、アンネローゼがどうこうしたわけではありませんが、国なんかどうでもいいというのなら、弟に貰ってもらいましょう、くらいのことは思っていても不思議はないかも。
もとい、アンネローゼが後宮に入った時、彼女はまだ15歳だったわけで、もし、その時点から、帝位簒奪のため、あれこれと戦略的に考えていたのだとしたら、ラインハルト以上に空恐ろしい野望の持ち主、と言えるかも。

230.4

皇妃がそんなことを考えている間も、撃ち合いは続き、遂に、アンネローゼの銃のエネルギーが切れ、出産を間近にした皇妃も、激しい腹痛に襲われるという、絶対絶命のピンチ。
が、この時、アンネローゼには、外の様子が見えていたのでしょう。
彼女は慌てず、大理石の小さな石像を敵にぶつけると、その隙にカウチの陰から出て、両手を大きく広げます。
地球教徒はこれを、観念したものと思い、アンネローゼに銃を向けますが、それより一瞬早く、窓の外に潜んでいた憲兵隊の銃が、一斉に火を噴きました。

直後、突入してきたケスラーに二人は救出されますが、事件の衝撃で、皇妃は俄に産気づき、フェザーン医科大学附属病院に緊急入院。
本人の記憶は曖昧ながら、アンネローゼの手助けもあって、無事、男児を出産します。
それは、新帝国歴3年5月14日、22時50分のこと。
皇帝を父として生を受けたことが、この子にとって幸福であるかどうかは、まだ誰にも分かりませんが、皇子誕生を知った市民は、深夜というのに街に出て、お祭り騒ぎを繰り広げるのでした。

なお、嬉しさのあまり、マリーカ(17歳)がケスラー(39歳)に抱きついたことや、この2年後に二人が結婚したことは、藤崎版ではスルーされていますが、どうしてなのでしょう。
年齢差がコンプラ的にマズイとかw

230.6

ハイネセンの皇帝にも、この報せはいち早く届けられます。
皇子の誕生という吉事に続いて、柊館の炎上や銃撃戦の件も報告されたので、さすがの皇帝も軽く混乱したとされますが、彼には、直ちに取りかからねばならない案件がありました。
皇子の名前を決めなくてはならないのです。
皇帝は、家族同然だった、赤毛の親友を思い浮かべると、書類にアレクサンデル・ジークフリード・フォン・ローエングラムとペンを走らせます。
これにより、後に第2代皇帝となる乳児は、「アレク大公」と呼ばれることとなったのでした。

なお、この事件を機に、フェザーンの地球教徒の一掃に乗り出したケスラーは、エフライム街の活動拠点を発見して包囲。
投降を拒否する地球教徒との間で激しい戦闘となり、224人の地球教徒は、意識不明の3名を除いて、全員が死亡するという惨事となりましたが、その中に、ド・ヴィリエはいませんでした。
フェルナーから報告を受けたオーベルシュタインは、こう呟きます。
「私とて、地球教をこの世から完全に一掃できるとは思っていない。しかし、帝国にとって脅威となる牙は抜く。ド・ヴィリエだけは、必ず・・・・」

藤崎版では、憲兵隊の自白剤を用いた厳しい取り調べで、地球教徒が何人も死んでいることはスルーされていますし、危険分子以外の信者への締め付けも、原作比で緩くなっています。
ここは前回の、ドミニクの話からの流れですが、主人公サイドに宗教弾圧をさせるのは良くない、という判断があったのかも知れません。
原作が書かれてから40年が経ち、私たちを取り巻く思想環境もずいぶんと変化しました。個人的には、非常に興味深いテーマです。

というところで、To Be Continued。
次回も、ラングの処刑とか「チェックメイト」とか、名場面が予想されるので、楽しみです。

藤崎版『銀河英雄伝説』第229話 感想

先週末、東伊豆に行ってきました。
温泉に浸かって、のんびり海岸を散歩して、心身共にリフレッシュ。
その帰り道、ミクニ伊豆高原でランチを食したのですが、隈研吾が設計した店舗は、
多分に漏れず、メンテナンスに要する時間と費用が半端ないとのこと。
となれば、関西万博の大屋根リングも、木材が腐る前に速攻で解体して転売、
再利用してもらうのが、経済的には最も吉、ということになりそうです。

では、藤崎版「銀英伝」@ウルトラジャンプの感想です。
例のごとく粗筋から。

・第229話
5千名の政治犯の解放と引き換えに、ハイネセンへ出頭せよ。オーベルシュタインが発した布告に、危険は承知の上で応じようとしたフレデリカだったが、政治犯が収容されているラグプール刑務所で、暴動が発生、この件は取り止めとなる。暴動は地球教によって仕組まれたもので、呼応するように、市街の各処でテロや放火が発生。ワーレンとミュラーが対応にあたる一方、フェルナーは強硬な手段を用いて、刑務所の暴動を鎮圧。同時に、地球教徒を泳がせて、ルビンスキーの居場所を特定、逮捕に至るが、その際、ドミニクから、総大主教を操っているのは、ドゥ・ヴィリエ枢機卿だと告げられる。結局、この暴動の犠牲者は千人を越え、事態を解決するため、皇帝は、身重のヒルダを置いてハイネセンへ赴くが、その留守に、柊館で事件は起こった。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 

今回は、原作10巻「落日篇」の第5章「混迷の惑星」の範囲で、まるまる一話ですね。
最近はわりと、サクサク話が進んでいる印象があったのですが、そうでもない?
このペースだと、ちょうど年末に完結しそうな予感がしますが、
ともあれ、今回は、刑務所における暴動、ルビンスキーの逮捕劇など、大幅に加筆され、
臨場感という点では、原作を上回る出来になっていると思います。
でもって、マリーカ嬢が登場。前髪パッツンでしたね。

冒頭から。
新帝国歴3年4月10日、オーベルシュタインは、イゼルローン共和政府と革命軍へ向け、
五千余名の政治犯・思想犯の解放と引き換えに、代表者を出頭させるよう、布告を発します。
ハイネセンに出頭したら、自分たちも殺されるかも知れない――それでも、
「死を恐れて話し合いを放棄し、旧同盟の人々を見殺しにするなら、
私たちは何のためここに居るのでしょう」と、フレデリカは出頭を決意。
彼女の政治家としての成長が感じられて、嬉しいですね。

229.3

ユリアンは、ハイネセンまでの道程を、帝国軍に護衛して貰おうと提案しますが、
ここで名前を挙げられる提督は、原作ではミュラーですが、藤崎版ではワーレンです。
藤崎版のミュラーは、ヤンの弔問に来ていないので、論外なのでしたw
フレデリカに随行するのは、ユリアン、シェーンコップらの常連に加えて、カリン。
キャゼルヌとメルカッツが、留守を守ることになりましたが、
戦艦ユリシーズで出発した直後、肝心の人質が収容されている刑務所で、暴動が発生、
その一報を受けて、フレデリカたちは、要塞に戻ることになります。

ラグプール刑務所で暴動が発生したのは、4月16日の深夜。
1人の警備兵が独房の鍵を開け、囚人にサブマシンガンを渡す場面が描かれますが、
この警備兵と囚人は地球教徒で、仲間にも武器を持たせ、看取の詰め所を襲って鍵を奪うと、
牢の扉を次々と開け放ち、囚人達に逃げるよう急かします。
刑務所に捕らえられていた政治犯・思想犯の多くが、初老と呼べる年齢だったのに対し、
彼らは青年――となると、この刑務所は、政治犯専用の施設ではなさそうです。

229.4
細かいことですが、囚人が腰にベルトをしているのは不自然。
自殺防止のため、入牢の際、ベルトなどは没収されるのが普通では?


同じ頃、刑務所の暴動に呼応するように、ハイネセン市街の各処で、放火や暴動が発生。
ワーレンとミュラーが、恐慌が市民に拡大するのを阻止すべく、対応に向かいますが、
刑務所で暴動の鎮圧にあたったのは、オーベルシュタインの部下のフェルナー。
「政治犯のやつらは、逃亡させるくらいなら射殺せよ!」と、強硬な手段に訴えていますが、
彼の真の狙いは、暴動を主導した地球教徒を泳がせて、ハイネセンの本部を突き止め、
そこで得た手掛かりから、ルビンスキーの居場所を特定することでした。

かくして、翌深夜、オーベルシュタインは隠れ家に踏み込み、ルビンスキーを捕らえますが、
その際、精巧な立体映像として表れたドミニクは、取引だといって、地球教の秘密を告げます。
総大主教を操って、ルビンスキーに命じていたのは、ド・ヴィリエ枢機卿だと。
その途端、バチバチと義眼が音を発し、オベはド・ヴィリエをロックオンした模様です。

229.5

この時、ドミニクは、地球教とフェザーンの関わりについても、説明しています。
フェザーンはかつて、地球教の拠点の一つだったが、帝国と同盟の中間という地の利によって、
商業を発展させたフェザーンは、地球教にも膨大な富をもたらした。
が、数百年に及ぶ時の流れの中、大部分のフェザーン人は、その教義を忘れた、と。

ドミニクはまた、オーベルシュタインに対して、こうも言っています。
閣下は、銀河帝国にとって厄介な存在である地球教を、消し去りたいとお考えでしょう。
しかし、宗教というものは、人類が人類である限り、滅びぬものです。
根絶したと思っても、銀河のどこかに潜み、時間をかけて再び増殖する――ですが、
信者の大部分は善良な一般市民、警戒すべきは一部の攻撃的な思想の持ち主なのです、と。

藤崎版オリジナルとなる、ドミニクのこの一連の発言は、
穿った見方をすれば、信者を庇い、地球教の延命を図っているようでもあり、
良く受け止めれば、帝国の支配下に入った、フェザーン人への理解を促しているようでもあり、
よりメタ的には、原作の通底に流れる「宗教は民衆のアヘン」という、宗教を全否定するような
左翼思想を、時代に合わせて修正している風でもあり、色々と考えさせられるところです。

229.7

ラグプール刑務所で発生した暴動の犠牲者は、最終的に、政治犯だけでも千人を超え、
市街地で発生したテロでは、それ以上の死傷者が出るという大惨事に。
刑務所に収容されていた、旧同盟軍関係者の安否については、
ムライは、人の流れに押されて裏門を出たところで爆発にまきこまれたが、一命をとりとめ、
シトレは、踵の骨折で身動きが取れなくなっていたところを、保護されています。
一方、第一艦隊司令官のパエッタや、国立自治大学学長のオリベイラは亡くなったそうで、
ヤンを虐めた憎まれ役が、作者に都合良く?始末されたということに。

この惨事がフェザーンに伝わると、皇帝はオーベルシュタインを厳しく叱責。
同盟市民やイゼルローンの目には、帝国軍が政治犯を大量に処刑したように映るとして、
事態を解決するため、自らハイネセンに赴くことに。
今、宇宙に出れば、皇帝は、皇妃の出産に立ち会えなくなりますが、
皇帝でなければ、軍務尚書を抑え、諸将の対立を解消させることはかなわない――って、
そういう人事をしたのは本人なんだから、責任を取っていただきましょう。

229.6

かくして、ミッターマイヤー、アイゼナッハ、メックリンガーを従えて、皇帝はハイネセンへ。
幕僚総監としてブリュンヒルトに同乗したメックリンガーは、後に、
皇帝の病臥に関する日記の記述が、日を追って増えていることに気付きますが、この時は、
皇帝の美と精彩は、少なくも表面上は、いささかの衰えも見せていなかったといいます。
しかし、ハイネセンに降り立った皇帝は、ビッテンフェルトが戸惑うほど穏やかな様子で、
諸将に怒りをぶつけることもなく、あらためて、イゼルローン政府をハイネセンに招聘します。

刑務所に収容されていた全ての政治犯の解放も発表され、市民の皇帝への好感度はアップ、
しかし、それとて、オーベルシュタインの策の内だったのでは――といったあたりが、
藤崎版で省略されているのは、どういう理由なのか分かりませんが、
とにかく、これによってイゼルローン側は、ハイネセン行きを断りづらくなったわけで、
もし、皇帝とイゼルローンの会見が実現し、そこで何らかの妥協案が成立すれば、
宇宙には平和が到来する、ということになるのですが・・・・

「季節の変わり目には必ず嵐がある」というビッテンフェルトの予言は、
想定外の地フェザーンにおいて、柊館炎上事件として、現実のものとなってしまいます。
5月14日、柊館では、皇妃に頼まれて、マリーカがアイスクリームを買いに出掛けていました。
その時、館の側ですれ違った、帝国軍の格好をした男たちは、何者なのか。

229.2

にしても、もう臨月なんだから、ヒルダにはいい加減、
軍服ではなく、マタニティウェアを着せてあげて欲しいものです。
というところで、To be continued。
プロフィール
Author:まこりん@高山寺まこ

まこりん01

2006年のWOWOW放送で
はじめて銀河英雄伝説を知り、
銀河英雄伝説@TAKARAZUKAで
宝塚歌劇にはまった主婦

バラの写真館
  • 我が家のバラさんたち2026②
  • 我が家のバラさんたち2026②
  • 我が家のバラさんたち2026②
  • 我が家のバラさんたち2026②
  • 我が家のバラさんたち2026②
  • 我が家のバラさんたち2026②
  • 我が家のバラさんたち2026②
  • 我が家のバラさんたち2026②
最新記事
記事検索
QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ