1. ボクが生まれた年は、手塚治虫原作『鉄腕アトム』のテレビアニメが放送開始された年。ボクは手塚アニメに育てられた。
  2. ボクの従妹はミュージカル女優で、彼女が出演した公演を観たり、手伝ったりしてるうちに「ミュージカル」にハマった。
  3. ボクの乃木坂46の推しメンは、「生田絵梨花、神推し。桜井玲香、ガチ恋。和田まあや、溺愛。安藤美雲、親友。伊藤かりん、大親友」だと公言している。
まるで、そんなボクのために用意されたかのようなミュージカル公演。
それが……

なかよし60周年記念公演 ミュージカル『リボンの騎士』

「手塚治虫原作」「ミュージカル」「生田絵梨花桜井玲香」が出演!

そんな神公演にボクが行かないはずがない! いや、行かなければならない!!

というわけで、2015年12月3日、4日、合計3公演を観劇したので、今回はそのレポート。
少々長文になるが、お付き合いいただけると幸い。
場所は大阪城ホールのそばにある「シアターBRAVA!」。
奇しくも6年前の同じ日(12月4日)、ユン・ウネちゃんのファンミで訪れた場所だ。

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まずは12月3日(大阪公演初日)。この日はソワレ(夜公演)のみ。
座席は2階の上手寄り、E列36番(座席表参照)。
最初だから、舞台装置や照明含め、全てが見渡せる場所を選択。
ただし、距離は結構あるので役者の表情までは見づらい。
SS席は乃木坂ファンが押さえてしまっているからなのか、この辺りは純粋なミュージカルファンとおぼしき年配の観客が多い。
後ろの席のご婦人3人組は、会話の内容(「(吉野)圭吾くん」という名前も出ていた)から間違いなくミュージカルファンだろう。

18:30、開演。

内容は、原作漫画のファンタジーや「リボンの騎士」の活躍を描くヒーローものの部分はさらりと流し、「ラブストーリー」の部分をクローズアップしたわかりやすい構成となっている。

サファイア役の生田絵梨花(以下「いくちゃん」)は、まさに座長の風格。
場面によって、男、女、その中間……男の時は凜々しく、女の時は可愛く、その中間の時は戸惑いを感じさせる……表情、声、台詞回し、所作etc.全て完全に演じ分けていた。
手塚先生がご存命なら「理想的なサファイアだ」と絶賛されるのではないかと思えるほどだ。
強いて言えば歌の時、特に破擦音の時に息が漏れる感じがするところが惜しいというか、もったいない。
ただこれは、翌日の公演以降はかなりマシになっていた。
いくちゃん本人が気付いて修正したか、それとも音声さんの調整の賜物か……。
いずれにせよ非常に聞きやすくなっていて、2回目以降は本当に「完璧」になったと言って良い。

ヘケート役の桜井玲香(以下「れいか」)は、ファンタジーの部分を少しそぎ落としたためか、思ったより出番が少ない。
それでもはいだしょうこさん演じる魔女ヘル夫人とのすれ違う愛情は見事に表現されていて、本公演のもう1人の主役と言ってもいいだろう。
ただ、もっとサファイア&フランツのラブストーリーに関わった方が、最期のシーンのドラマチックさも、より際立った気がする。
れいか自身は、演技も自然で表情も豊か。声に張りもあって、そういう意味ではいくちゃんに負けず劣らず舞台映えしていた。

この2人については、何も知らずに観に来た観客は、「上手な若手ミュージカル女優」だと思ったに違いない。
事実、驚きの声は客席のあちらこちらから聞こえてきた。
以下は、12月3日分公演。後ろの座席にいたご婦人方の休憩時間中の会話。
A「……サファイアの子、上手やったわぁ……」
B「……うん……。あの子が乃木坂の子?」
C「え? うそ?」
(パンフレットをめくる音)
A「(驚)あ、そうやわ……」
B「え? ヘケートの子も??」
一同「!!!」
「乃木坂46」というアイドルグループのメンバーが出演する……という程度の認識はあったようだが、恐らく……、

「どうせアイドルやから、アンサンブルか何かで出はるんやろ。台詞のある役でも、学芸会レベルやろ」

くらいに思っていたに違いない。
それがまさかの主役と準主役。
しかも予想をはるかに超えて上手だった……。
退場時にたまたま横にいたブラッド役の青木玄徳氏ファンの若い女性も興奮気味に……

「サファイア役の子、メチャクチャ上手やった。何て子やろ? 生田……ちゃん?」

と、感心しきりだった。
いくちゃんとれいか……2人の熱演は、男性キャストファンや、純粋なミュージカルファンに 「乃木坂46」の底力を見せつけるには充分だったようだ。

カーテンコールは3回。
最後は自然とスタンディングオベーションが起こり、感動的な公演初日となった。

この日は来場者プレゼントとして、退場時に缶バッジが1人1個ランダムで手渡された。
いくちゃんサファイアか、れいかヘケートのご降臨に期待したが、銀色の袋を開けてみると、中身はフランツ王子だった。
その場でトレードすることも可能だっただろうが、翌日のソワレでも缶バッジのプレゼントがあるので、その結果を見てから誰かとトレードすることに決め、温存することにした。 

12月4日。大阪公演2日目。
この日はマチネ(昼公演)とソワレの2回公演。
日替わりイベントは、マチネが主要キャスト4人によるお見送り。ソワレが缶バッジプレゼント。

マチネの座席は1階N列22番。前後左右、ほぼど真ん中。
自然な目線の高さで舞台全体がまるで映画のスクリーンのように視界に入る。
物語世界に没入するには最適な環境だ。

13:30、開演。

今回はいくちゃん、れいか以外で気になった役者さんをピックアップ。

まずはフランツ王子役の神永圭佑氏。
イケメンには違いないが、完璧なイケメンというより、ほんのわずかに「惜しい」感じがあるのが好感持てる。 
歌は音程が若干ふらつくところもあったが、総じて上手いと感じた。
渡辺麻友ちゃん主演のドラマ『さばドル』に「ウタマロ」役で出演していたということなので、乃木坂46メンバーとは共演済。同じシーンでの共演があったかどうかは覚えてないので、今後録画で確認の予定。
 
続いて海賊ブラッド役の青木玄徳氏。
これはカッコイイ……。男から見てもカッコイイと思える。
それもそのはず。『仮面ライダー鎧武』で、戦極凌馬=仮面ライダーデュークを演じていた人。
「海賊」という役どころからして、この人になら若き日のキャプテンハーロック役を任せても良いかなぁと思えるレベルだった。
もっとも、そういう芝居があればの話だが……。

次に宰相ナイロン卿役の根本正勝氏。
この役は、原作とのギャップが最も激しかった役。
原作では姑息な小悪党のイメージだったナイロン卿が、クールでイケメンな極悪人に変貌していた。
経験豊富なベテランらしく、安定感のある演技と歌で、観ているだけで嫌悪感を催すほどに悪役を演じきっていた。

そして天使チンク役の神田愛莉ちゃん。
ミュージカル『美少女戦士セーラームーン』では、ちびうさ=セーラーちびムーンを演じた、弱冠13歳の天才少女だ。
正直驚いた。まさに天才。演技、歌唱、動きの全てが、どの役者よりも安定感があり、安心して観ていられる。
かわいらしさもあり、永遠の命を持つゆえの高潔さもある。まさに「天使」だった。
彼女を発見したことが、今回最大の収穫だったと言えるかも知れない。

他の役者の皆さんも上手い人ばかりで、「学芸会レベル」と評されることの多いアイドル主演舞台とは思えない、一流のミュージカルとして完成していた。
心から拍手を送りたい。

終演後のお見送りは、1階下手側横の出口を出てすぐの所。扉の正面に神永氏と青木氏がいた。
最初男性陣の姿しか見えなかったので、一瞬おやっ?と思ったが、その右側の少し奥まったところにいくちゃんとれいかが並んで立っていた。
立ち止まることはできなかったので、手を振りながら「れいか! いくちゃん!!」 と声をかけると、2人とも気付いてくれて「あ〜っ! ありがとう!!」と満面の笑みを返してくれた。
至福の一瞬だった。

DSC00163ソワレまで時間があったので、軽く腹ごしらえをしながら、あたりを散策。

この辺りは大阪ビジネスパーク。

1989年公開の映画『ゴジラVSビオランテ』で、ゴジラとスーパーX2が激戦を繰り広げた場所。
故・峰岸徹氏が演じた権藤一佐が、

「薬は注射より飲むのに限るぜ。ゴジラさん!!」

の一言を遺して、壮絶な戦死を遂げた場所でもある。
こうやって夜のツイン21を見上げると、ビオゴジの巨大さが実感できる。
そういえば10年ほど前まで、この時期は、もうすぐゴジラかモスラの映画が公開されるということで、ワクワクしながら待っていた時期だ。
日本のゴジラ映画が作られなくなって久しいが、来年は12年ぶりの国産ゴジラ映画『シン・ゴジラ』が観られる。
楽しみで仕方ない。

閑話休題。

さて、遂に今回ボク的には最後の観劇となるソワレ。
座席は1階A列14番。なんと最前列下手側。一番若い数字、つまりポールポジションだ。
さすがに発券して座席番号を観た瞬間は震えが止まらなかった。

開演は前日と同じく18:30。

まさに神席!
下手側の歌唱ポジションなので、目の前でいくちゃんが、れいかが歌い、踊る。
もはや貸し切りライブの感覚だ。
ちょっとした表情はもちろん、汗の粒まで目視できる。
マイクを通さない生声も聞こえる。
れいか=ヘケートに至っては、とってもいい匂いがする。
舞台との段差があまりないので、目の前を演者の脚が行ったり来たり。
れいかご自慢のftmmを思う存分堪能したし、騎士になってからのサファイア=いくちゃんなどは、そのタイトなパンツスタイルゆえに、目のやり場に困るレベルだった。

またこの回は神公演ならぬ、「噛み公演」。
多くの役者が盛大に、あるいはほんの一瞬台詞を噛むという現象が連鎖した。
その元凶(?)は、他ならぬ桜井玲香=ヘケート。
母である魔女ヘル夫人がさらってきたサファイアとヘケートが絡む場面。
ヘケートがサファイアに向かって「女でいたいんでしょ!」と言うべきところを、「女でいたん……」と言ってしまい、一瞬の沈黙。言い直してから「噛んじゃったじゃないのよ!」とアドリブをかまして観客の爆笑を誘っていた。
この時、一方のいくちゃんは表情一つ変えることはなかった。それゆえれいかも落ち着いてアドリブをかますことができたに違いない。
4年という月日が培ってきた「乃木坂46」としてのチームワークの賜物と言えるだろう。
そしてその瞬間を至近距離で目撃できたのは、乃木ヲタとして本当に幸運だった。

この回に関して、気がついた事をもうひとつ。
天使チンク役の神田愛莉ちゃんは13歳。21:05終了のソワレは労働基準法による時間制限のため、最後までは出られないはず……。
どうするのだろうと思ったら、 チンクの出番は21:00までに完全終了(最後は天国での神様との場面)。
続くサファイアとフランツの結婚式の場面、カーテンコールには登場せず。
カーテンコールでは代わりに乳母役の野口かおるさんがチンクの帽子を持って登場。時折愛莉ちゃんがいるであろう舞台袖に目をやって、「みんな一緒だよ」とアピールするところが実に感動的だった。
ちなみに、マチネのカーテンコールでは、愛莉ちゃんはアンサンブルのセンターで登場していた。

日替わりイベントは、前日のソワレ同様、缶バッジプレゼント。
開けてみると、今回はチンク。
劇場出口付近では、盛大にトレーディング大会が行われている。
ボクもカバンから昨日の収穫であるフランツ王子の缶バッジを取り出し、「フランツありますよぉ」と控え目に言ってみると、目の前にいた若い女性が……、
「私その人の大ファンなんです! ヘケートなんですけど交換してもらえますか!?」
と。
渡りに船とはこの事。何の躊躇もなく交換してもらった。
もちろんボクも嬉しかったが、彼女が信じられないくらい喜んでくれたので、こちらもそれ以上に嬉しくなってきた。
これもまた、至福の時だった。

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こうしてボクのミュージカル『リボンの騎士』観劇は幕を下ろした。
色んな感想を持ったが、結局は手塚治虫という人物の凄さを思い知らされた公演でもあった。

ストーリーとしては単純明快。特に捻りもないし、時代や国を特定してるわけじゃないから「考証」も何もあったもんじゃない。
なのにちゃんと独自の世界を構築してるし、初めて観てもちゃんと感情移入できる。
50年以上前の作品とは思えない……いや、50年以上前だから可能だったのかも知れない。
今のご時世は、「設定」が重視され、物語の流れが軽んじられることも珍しくはない。
登場人物の内面描写についても、わかりやすい性格よりも、複雑怪奇で闇や謎を抱えた性格がもてはやされる。
そんな時代に一矢報いる作品だったと感じる。
そしてやはり、宝塚歌劇の影響を受けた作品だけに、舞台演劇、特にミュージカルとの親和性が高い。
手塚先生は、こういう作品に昇華されることを念頭に、物語を作られたのではないか。

やはり手塚治虫は「神様」だった。

願わくば、劇中の「神様」も、丸メガネで団子っ鼻だったら言うことは無かったのだが……。

最後になったが、いくちゃん、れいかをはじめとするキャスト、スタッフ、そして観客……この作品に関わった全ての人たちに感謝の拍手を送りたい。

今年はボクの人生で最悪のことが起こった(詳細は今年最後の投稿で)年だったが、ミュージカル『リボンの騎士』のお陰で、師走に入って本当に幸せな時間を過ごすことができた。 
この感覚は1999年の12月以来のこと。
岡山でStepsの『サクセス・ストーリー』を観て、役者のみんなと今は無き「倉敷チボリ公園」で素敵な一時を過ごし、自宅では親子3人で神戸ルミナリエを観て、美味しい神戸牛の料理に舌鼓を打った……。
あの日々はもう二度と戻ることはないけれど、その翌年にボクにとっては大きな変化と言える「ピンクル」との出会いがあったことを考えると、今回もまた来年、ボクにとってより大きな変化が訪れる予感がする。
幸せの予感……。
それをもたらせてくれたミュージカル『リボンの騎士』。
本当にありがとう!
そしてまたいつの日か、違う形で再会できることを信じて、今回のレポートを締めくくりたい。

P.S.
12月6日、大阪公演も千穐楽を迎え、東京公演を含め全ての公演が終了した。
あの「ミュージカル『リボンの騎士』」には、もう二度と出逢うことはできない。
深刻な「リボンロス状態」……。
この気持ちを何か形にしたい……。
そこで、手作りの「れいかヘケートちゃんフィギュア」を作ることにした。
その製作の進捗状況も、いずれ折を見て……。