ボクがNHK朝ドラのファンだということはご存じの方もおられると思う。
特に今季の『なつぞら』は、北海道とアニメ製作現場が舞台ということで、かなりツボ。
しかも今日(2019年9月7日)の放送で、東洋動画社員が休憩室で「まんぷくヌードル」を食べていて、この作品世界には「まんぷく食品」という会社があることが証明されたことになる。
つまり、前作『まんぷく』の立花萬平、福子夫妻が存在する世界……。
ならばこんなことがあってもいいんじゃ無いかと妄想スピンオフ企画を立ててみた。
半日ほどしか考えてない「即席」企画……もちろん妄想企画だが、自分自身のメモの意味もあって、こちらに投稿することにした。
ちなみに、新ブログではなく、こちらに投稿したのは、こちらの方が見やすかったから……。
というわけで……では……。
(続きの文章中で、一部『なつぞら』本編のネタバレがあります。ネタバレを良しとしない方は読まないでください)


『まんぷくななつぞら』ストーリー案

「まんぷくヌードル」の大ヒットで、今や押しも押されもしない大企業に成長した「まんぷく食品」。
立花萬平(たちばな・まんぺい)、福子(ふくこ)夫妻の長男・源(げん)は、次期社長としての期待を一身に受けて多方面に活躍していた。
私生活では、同じ新製品開発部にいた戸塚洋子(とつか・ようこ)と結婚。高校の農業科から大学の農学部に進んだ洋子が歌う「FFJの歌」に激励される毎日を送っていた。

昭和49年(1974年)。
まんぷく食品は販路拡大のために子供向けテレビ番組のスポンサーになるべく、源がその責任者として、提供するに値する企画探しに奔走していた。
源は、広告代理店社長である加地谷(かじたに)に、アニメ製作会社「オフィス・カンヌ」を紹介され、大手プロ出身の豪腕プロデューサー北島貴守(きたじま・たかもり)と対面する。
北島は源の提案を快諾。かくして、新作アニメの企画がスタートする。
北島のアイデアはただひとつ。

「宇宙を旅する船の物語」

ところがこの北島が「超」が付くオレ様気質で、彼がプロデュースした過去作は、超有名漫画の原作があったにもかかわらず商業的には大失敗。その影響で、スタッフがなかなか決まらない。
原作を担当するはずだった日本を代表するSF作家をはじめ、主要スタッフが相次いで降板して、企画は頓挫するかに思われた。

その頃、マコプロダクションでは『大草原の少女ソラ』製作が佳境を迎えていた。
下山克己(しもやま・かつみ)は、北島から新作への参加を打診されたが、即座に断ったという。
北島を良く知る大沢麻子(おおさわ・あさこ)もまた、「彼の性格では無理でしょ」と一笑に付す。

そんな時、まんぷく食品に、ある消費者から投書が届く。
「今度は片手で食べられるラーメンが欲しい」
源が投書主の住まいを訪ねてみると、そこは四畳半一間の安アパート。
投書主は戦争ものを得意とする漫画家・武原絶人(たけはら・ぜっと)だった。
「オレの描く兵器は緻密でリアル。時間がかかるからメシなんて食ってる時間が無い」
それが要望の趣旨だった。
彼が描く絵を見て源はひらめく。
「これだ!」
北島に武原を紹介する源。
しかしお互いにオレ様気質で意見は衝突しまくる。
しかも企画の遅れから当初予定した放送枠は他社に取られ、空いている枠は人気アニメ『大草原の少女ソラ』の裏のみ。
だがこれが逆に北島と武原のチャレンジ精神に火を付け、ようやく新作アニメの企画が本格的にスタートした。
新作アニメのヒントになるのが、武原の漫画「戦場哀歌(せんじょうあいか)シリーズ」の短編『遥かなる我が飛鳥(はるかなるわがあすか)』。
第二次大戦中。技術交換でドイツにやって来た日本人技師が、故郷である奈良県の飛鳥に帰ろうとするのを、ドイツ兵が助けるという物語。
ここから、全く新しいSFアニメを作り上げてゆくことになる。

そのタイトルは……

『宇宙海賊船アスカ』

『宇宙海賊船アスカ』ストーリー案

度重なる戦争、自然破壊で地球は最期の時を待つばかり。
だが一部の地球人はスペースコロニーで裕福な生活を謳歌していた。
しかし、コロニー国家・ネオジムの独裁者カイル提督により、地球にコロニーが落とされ、地球環境はさらに悪化。その寿命はあと1年となった。
月や火星、太陽系内の惑星、衛星には、地球人類の生存に適した場所が無いことは判明していた。
外宇宙への移住しか地球人類が生き延びる方法は無い。
だが、残された時間は限られていた。
そんな時、宇宙の彼方から救いの手が差し伸べられた。
アンドロメダ銀河にある惑星フェルミウムからやって来た美しき使者・ケーレスによると、フェルミウムまで自力で来ることができれば、地球からアンドロメダへの宇宙トンネル「銀河隧道(ぎんがずいどう)」建設に協力するというのだ。
もはや迷っている時間は無い。
しかしながら、そんな長旅に耐えうる船は、もはや地球には無い。
あるとすればただひとつ……。
贅沢三昧のコロニー国家に反発し、地球政府にも反旗を翻した宇宙海賊ショルメの母艦「シュバルツ」しかない。
日本人青年技師、神世源(かみよ・げん)は、ショルメを説得すべく、アンドロメダから託された超時空エンジンの設計図を手に、ケーレスと共にシュバルツに乗り込んだ。
しかしシュバルツもまた、度重なる戦闘で満身創痍。大改造が必要だった。
神世とケーレスはシュバルツを修復、超時空エンジンの搭載に成功した。
全く新しい船に生まれ変わったシュバルツ。
それを見たショルメは、神世に語り始める。
ショルメと神世の祖先にまつわる話。
それは、第二次世界大戦の昔に遡る……。
シュバルツ改め「アスカ」は、ショルメ船長、神世技師長、ケーレス航海長のもと、遥かアンドロメダへの旅に出る。
彼らに立ちはだかる敵。
空母型の宇宙船から、次々と襲い来る人型機動兵器「ヴァイスライアー」。
その宇宙船と人型機動兵器には、全滅したはずのコロニー国家ネオジムの紋章が刻み込まれていた……。
それに対抗できるのは、宇宙戦闘機を即席改造した半人型戦闘機「ガネーシャ」のみ。
圧倒的戦力不足の中、アスカは無事にアンドロメダまで辿り着けるのか?
そして、「銀河隧道」建設は間に合うのか!?
地球滅亡まで、あと364日……。

キャラクターやメカの設定、基本的なストーリーの流れを武原が担当し、北島が大手プロから引っ張ってきた一癖も二癖もあるスタッフたちが物語を作り上げる。
その中には、東洋動画を退社した堀内幸正(ほりうち・ゆきまさ)の姿もあった。
また、北島の意向で音楽も重視することになり、大作曲家である「コヤマ先生」に依頼するも、高齢を理由に断られ、その代わりにジャズに精通したポップス作曲家・寺沢靖(てらさわ・やすし)を紹介される。

そしてついに『宇宙海賊船アスカ』の放映開始が決定。
やはり『大草原の少女ソラ』の後番組の真裏で直接対決となった。
マコプロ作品にちびっ子たちの人気が集中する中、当初は低迷していた視聴率も、中高生男子を中心に人気が出始めて向上。
さらに、登場するメカの精密なプラモデルが人気を集め、北海道十勝の柴田家でも中学生の長男・地平(ちへい)が熱中。天陽の息子・道夫(みちお)や、雪次郎の息子・雪見(ゆきみ)らにプラモデルの作り方を教えるなど、新しい流れが生じていた。
放送終了後、『アスカ』は劇場版長編映画の製作が決定。
空前のアニメブームが訪れる。
その流れは、かつて「失敗作」の烙印を押されたはずの『神をつかんだ少年クリフ』の再評価にもつながり、『アスカ』人気により発刊されたアニメ雑誌に坂場一久(さかば・かずひさ)のエッセイ、神地航也(かみじ・こうや)の漫画作品が連載されることが決定。
麻子たちも北島の手腕を認めざるを得なくなった。

一方源は、『アスカ』のスポンサーとしての活動と並行して、カップ入り和麺、カップ入り焼きそばの開発に成功していた。
その源の元を、武原が訪れる。

「『片手で食べられるラーメン』はどうなったんだ?」

武原の一言で、源は「チューブ入りラーメン」の開発に着手。
しかしその開発はこれまでに無かったくらい難航。
マーケティング的にも「勝算なし」と判断された。
しかし源はそれでもそのアイデアを温め続けていた。
父・萬平の「宇宙食を開発したい」という熱意もあって、細々とではあるが計画は継続。
月ロケットからスペースシャトル、そして宇宙ステーションへ。
宇宙開発の方向性が変わっていくのに合わせて、宇宙食の需要も拡大。
『片手で食べられるラーメン』はやがて、「宇宙食ラーメン」へと進化を始めることになる。

昭和58年(1983年)
アニメ雑誌に連載していた神地の漫画のアニメ化が決定。
「アスカシリーズ」最終作『最後の宇宙海賊船アスカ 〜銀河隧道にサヨナラを〜』との同日公開という、日本アニメ史上最高の夢の対決が実現した。

時が流れて21世紀。
国際宇宙ステーションに滞在する日本人宇宙飛行士の手に、まんぷく食品で開発された「宇宙食ラーメン」が握られていた。
彼は言う。

「『宇宙海賊船アスカ』に憧れて、宇宙飛行士を目指しました」

子供も大人も楽しめるアニメを作りたいと願う人々と、誰でも手軽に美味しく食べられるものを作りたいと願う人々の夢がひとつになった瞬間であった。

※※※※※ 以上、妄想企画 ※※※※※

これを考えたもうひとつの理由としては、『なつぞら』本編では、ヒロイン奥原なつを中心にストーリーが展開する関係で、彼女が作るアニメ以外の作品の存在を感じることができず、このままではボクらが知っている「未来」がやってこないから……というのがある。
『マジンガーZ』も『宇宙戦艦ヤマト』もない。
だから、『機動戦士ガンダム』も『超時空要塞マクロス』も誕生しない。
「濃いおたく」が育たず、『新世紀エヴァンゲリオン』も出てこない。
だから、ボクらが知っている「未来」にはならない。
だったら力業でそうなるように持っていこうと思った次第。

ま、とりあえず自分自身の備忘録なので、こんなところでカンベンしてね。