2018年2月25日。
来る3月10日公開の映画『劇場版 ウルトラマンジード つなぐぜ!願い!!』の完成披露上映会に参加したので、今回はそのレポート。
なお、この記事は映画の内容に関してある程度のネタバレを含むので、ネタバレを好まない方はご注意いただきたい。
さて、まずはこの映画のPVをご覧いただこう。



言うまでもなく、この映画は昨年7月から12月にかけてテレビ放映された『ウルトラマンジード』の後日談である。
「父親」であるウルトラマンベリアルとの最終決戦に勝利した朝倉リク=ウルトラマンジードの更なる成長を描く物語であり、そこに大きく関わるのが、前作『ウルトラマンオーブ』のクレナイ・ガイ=ウルトラマンオーブと、その永遠のライバル、ジャグラス・ジャグラーだ。

完成披露上映会の場所は、大阪府八尾市の「アリオ八尾」にある松竹系のシネコン「MOVIX八尾」。
上映後の舞台挨拶を含め、2回の上映のうち、午後3時からの2回目に参加した。
客層は、親子連れを中心に、比較的若めの「大きなお友達」もそれなりの割合でいる。
子供たちの親御さんたちも含め、恐らく『ウルトラマンティガ』以降で育った世代と思われる。
少々意外だったのは、ボクら世代(新マンを「ジャック」と呼ぶことに抵抗がある世代)があまりいなかったこと。
『宇宙戦艦ヤマト2202』がボクら世代の「おたく」で埋め尽くされているのとはかなり違う。
いわゆる「ニュージェネレーション」からのファンと思われる若い女性も多く、思いのほか幅広いファン層がいて、ちょっと安心させられた。

映画を観た感想を一言で言うと……

「笑えて泣けて萌えて燃える映画」

……といったところ。

実は、ウルトラマンの映画を劇場で鑑賞するのは6年前の『ウルトラマンサーガ』以来だったが、心の底から笑って、泣いて、大いに楽しんだ。
上映時間は73分。時間的には少々短いが、非常に盛りだくさんで高密度なので、満腹感がある。
よくもまぁこれだけ詰め込んだなぁと感心するくらいだ。

ウルトラマンの映画を、お金を払って観に来るような客は相当ベタなファンだろう。
一見さんはあまりいないだろうから、内輪受け満載でも問題ない……観客はむしろそこに期待しているはず……という判断からか、大ネタ小ネタが次から次へと飛び交う。
山ほどある「細かすぎて伝わらない」的な部分の一例を挙げると、あのベリアルでさえ「ベリアルさん」と呼んでいたガイがリク=ジードを何と呼ぶのか。
さらに、リク役の濱田龍臣くんといえば、7年前の『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国』にも出演していたが……。
そして極めつけは、異星人街の情報屋「ジャキ星人アーロン」に支払う情報料……なぜその金額なのか? なぜそれを支払うことができたのか?
『ウルトラマンジード』テレビシリーズをしっかりと観ていれば、きっとわかるはず……。

個人的に注目したのは、不法滞在の宇宙人たちが集う酒場のシーン。
スター・ウォーズをはじめとする、ハリウッドSF映画のイメージが強いが、ある有名なアニメ映画のパロディと思われる部分もある。
ニュージェネレーション以降のファンには、世代的にわかりづらいかも知れないが……。
そして、そこに登場するのがガイ。
つまりガイは、あのアニメ映画のあのキャラクターを思わせる登場の仕方をするのである。
カッコイイったらありゃしない。マジでゾクゾクッとした。
後で劇場用パンフレットを確認したところ、坂本浩一監督があるキャラクターを演じる声優さんについて語っている部分で、「『そのアニメ映画』直撃世代」とおっしゃっていて、単なる偶然ではなく、パロディあるいはオマージュであると確信した。
ボクら世代の皆さんは要チェック!

また、今回の舞台は沖縄。
沖縄で敵がロボット怪獣というと、あの怪獣映画を思い出させるが、同様に沖縄の守護神である「シーサー」をモチーフとした「グクルシーサー」という味方の怪獣も登場する。
予告編には一切登場していないが、意外と出番は多い。
これを書いている時点では、ソフビフィギュア等の商品化は発表されていないが、久しぶりの四つ足怪獣でもあるし、色鮮やかでカッコカワイイ姿なので、何とか商品化してもらいたいものだ。
そしてこのグクルシーサーがどのようにして目覚めるのかも気になるところだろう。
やはり昭和歌謡をフルコーラス歌って目覚めさせるのか?
それもまた、劇場で確認して欲しい。

主に活躍するジード、オーブ、ゼロは、ほとんどのタイプチェンジを披露してくれるし、決戦には直接参加しないものの、他にも多くのヒーローたちが登場するので、小さな子供さんも飽きることなく最後まで夢中で観てくれるはず。

ボクら世代にしかわからない小ネタも含まれているし、オーブ、ジードのファンなら絶対に楽しめるので、幅広い世代の皆さんに劇場へ足を運んでいただきたい。

拍手喝采のうちに映画の上映が終了し、ここからが本イベントのメイン。
舞台挨拶だ。
東京では、リクだけでなく、ガイ、ジャグラー、アイル、坂本監督に加え、主題歌を歌うMay J.も登壇したようだが、こちらではリクだけの予定ということで、正直少し寂しい。

まずは司会のお姉さんの先導で、子供たちも大きなお友達も、観客全員が

「リクーっ!!」

と叫んで今日の主役を呼び込む。
すると、舞台袖ではなく、下手側の観客入口から、リクの衣装そのままの濱田龍臣くんが登場!
会場は大いに盛り上がる。
一般的な「舞台挨拶」の場合、ちゃんとした台本があって、司会の方の進行で粛々と行われるイメージがあるが、今回はリクが中心となって、ほぼアドリブで観客を巻き込みながら楽しく進行してゆく。

リクの
「沖縄、行ったことがある人!」
という問いかけに対して、多くの観客が手を上げる。
「意外と多いですね。どこ行きました? ウルトラマン好きで沖縄というと、『金城さん』のお宅とか……」
とリク=濱田くん。
まさか17歳の濱田くんの口から「金城さん」なんて言葉が出てくるとは思っていなかったので、一瞬「ん?」となったが、初期のウルトラシリーズを支えた金城哲夫氏のことだと気付いて、改めて濱田くんのガチオタぶりを実感させられた。
ちなみに、親子連れやニュージェネ以降の若いファンは、概ね「ぽっかーん」だったが(^_^;)

この後も、映画の見所や共演者の印象などを自由に、楽しく話していたその瞬間、スピーカーから聞き慣れた声が!
大きなお友達を中心に客席は騒然となる。

ジャグラーだ!!

またまた全員で呼び込む。

「ジャグラーっ!!」

観客の視線が下手側の観客入口に集中する。
しかし!
「ジャグラー『さん』だろうが!」
と言いながら反対側の上手側の観客入口から登場!
「予定調和はしない」
というジャグラーらしい一言で、会場は一気にジャグラーワールドに突入。
以後は2人の「漫才」で、舞台挨拶らしからぬイベントは進行してゆく。
もちろん恒例の「ジャグラーさんとレイトさんが沖縄の夜の街に消えてゆく」話題もあり(^^)

そしてリクがギガファイナライザーを手に、変身ポーズを取ると、ウルトラマンジード ウルティメイトファイナルが登場。
写真撮影タイムに突入したが、ほとんど失敗してしまったので今回は割愛させていただく。

さらに最後、観客は退場しながらのハイタッチ会。
ハイタッチだと言葉を交わす余裕はほとんど無いだろうなぁと思って、先の人を観察していると、「ずーっと大好きでした」とか、「久しぶりの(ネタバレワード=自主規制)感動しました」等、AKB48の全国握手会程度の余裕はありそうな雰囲気。
これはいつもの握手会ノーハウを使うしかないと決意して列に並んだ。

まずはリク。
満面の笑みで出迎えてくれる。
ボクは……

「ありがとう……モブ!」

と禁断のネタ振り。
リク=濱田くんは、一瞬困った顔をした後、口に人差し指を当てて「しーっ!」と。
マジで困らせちゃったかな?
申し訳ない

続いてジャグラー。

「家にフィギュアーツのジャグラーがいるぞ!」

と言うと、嬉しそうに顔を覗き込んで、

「やったね!」

と一言。
最初から最後までまさに「ジャグラス・ジャグラー」その人だった。

出口付近にはウルトラマンジード ウルティメイトファイナルもいて、最後のハイタッチ。
これで今回のイベントは大興奮のうちに終了した。

リク=濱田龍臣くんの印象は、明るく活発で、リクのイメージそのまま。
大人からも子供からも愛されるキャラクターだ。
前述どおりガチのウルトラマンオタクであることもよくわかった。

ジャグラー=青柳尊哉氏は、素であんな人物なのか、ジャグラーを演じているのか、最後までわからずじまい。
作品を観てもわかるとおりの「怪優」と言っていいだろう。
今後のウルトラマンシリーズにも、末永く登場して欲しい素晴らしい役者さんだ。

同日、同じアリオ八尾では、1Fのイベントステージで『ウルトラマンジード』のスペシャルシテージが行われ、こちらも神イベントだったようだが、映画の上映時間と丸被りで観覧できなかったのが残念なところ。

今回も岡山県美作市からの日帰りでそれなりの強行軍だったが、サプライズでジャグラーにも会えたし、映画自体もとても楽しかったので、大満足だ。

ウルトラマンシリーズは、仮面ライダーシリーズが平成と昭和の対決軸を作ってしまったのに対し、むしろ過去の財産を可能な限り活用する道を選んだ。
事実、テレビシリーズの『ウルトラマンジード』には純粋な新怪獣は「時空破壊神ゼガン」1体しか登場せず、それ以外は「ゴモラ+レッドキング=スカルゴモラ」のような「ベリアル融合獣」もしくは既存の怪獣の使い回しだ。
これには賛否両論あるだろう。
敵味方共に完全な「新作」に期待したい気持ちもある。
ただ、誕生から半世紀を超え、場合によっては三世代にわたるファンを獲得してきたウルトラマンシリーズで、過去のキャラクターがクローズアップされることは、決して「懐古主義」であったり、「遺産の食い潰し」とは言えないと考える。
『ウルトラマンギンガ』以降のいわゆる「ニュージェネレーションヒーロー」は、過去の遺産を生かしつつも、ウルトラの世界に新風を吹き込み続けている。
特にここ数年は、商業的にもかなりの成果を収めているようだ。
商業的成功無くして新作はあり得ない。
幅広い世代に支持されるキャラクター、そして作品作りが求められている。
そして、それが可能なのがウルトラマンシリーズなのだ。

間もなく、新シリーズの製作がスタートするという噂も舞い込んできた。
今年はどんなウルトラマンが、そしてどんな怪獣たちがボクらの前に姿を現すのか?

期待しながら、『ウルトラマンジード』テレビシリーズ、劇場版に関わられた全ての方々に心からの拍手を送り、今回のレポートを締めくくりたい。