2016年08月

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『ミュータント・ニンジャ・タートルズ:影(シャドウズ)』(Teenage Mutant Ninja Turtles:Out of the Shadows)

【スタッフ】
監督:デイヴ・グリーン
製作:マイケル・ベイ/アンドリュー・フォーム/ブラッド・フラー/ゲイレン・ウォーカー/スコット・メドニック
製作総指揮:デニス・L・スチュワート/グラント・カーティス/エリック・クラウン/ナポレオン・スミス3世/ジョシュ・アッペルバウム/アンドレ・ネメック
キャラクター創造:ピーター・レアード/ケビン・イーストマン
脚本:ジョシュ・アッペルバウム/アンドレ・ネメック
撮影:ルラ・カルバーリョ
美術:マーティン・ラング
衣装:サラ・エドワーズ
編集:ボブ・ダクセイ/ジム・メイ
音楽:スティーブ・ジャブロンスキー

【キャスト】
ミーガン・フォックス
ウィル・アーネット
ローラ・リニー
スティーヴン・アメル
ピート・プロゼック
アラン・リッチソン
ノエル・フィッシャー
ジェレミー・ハワード
タイラー・ペリー
ブライアン・ティー
ブリタニー・イシバシ
ゲイリー・アンソニー・ウィリアムズ
ステファン・ファレリー

【あらすじ】
リーダーのレオナルド、熱血漢のラファエロ、ムードメーカーでピザが大好きなミケランジェロ、メカに強いドナテロの4兄弟からなるタートルズ。彼らの宿敵シュレッダーが、マッドサイエンティストのバクスター・ストックマン博士と、マヌケな子分ビーバップ&ロックステディの協力で脱獄を果たす。タートルズは、TVレポーターのエイプリル・オニール、新たに仲間となったホッケーマスクをかぶったNY市警のケイシー・ジョーンズらとともに、再びニューヨークを恐怖に陥れようとするシュレッダーの悪事に立ち向かう。しかし彼らの前に、イノシシとサイのミュータントに変貌したビーバップ&ロックステディが立ちはだかる。さらには異次元から現れた新たな敵、悪の帝王クランゲの世界征服の野望も加わり、戦いの舞台はニューヨークからブラジル、そして空中戦へともつれ込む。そんななか、固い絆で結ばれていたはずのタートルズに分裂の危機が訪れる…。











前作『ミュータント・タートルズ』(2015)のヒットを受けての続編。
ジョナサン・リーベスマンから監督のバトンを引き継いだのは、『EARTH TO ECHO アース・トゥ・エコー』(2015)のデイヴ・グリーン。ちなみに『アース・トゥ・エコー』も見ましたけど、面白かったですよ。良いジュブナイル映画でした。
まず前回はどうだったのか。
以前の僕の評をまとめさせていただきますと。前作の監督であるジョナサン・リーベスマンが混戦の見せ方が得意な監督だったので、敵と味方が入り乱れての大乱闘も見やすく楽しめる、良い感じのポップコーンムービーだったっていう感じです。
ただ、今回は監督が変わっていますから。そこんところがどうなっているのか。重要なところですよね。

じゃあまず、良かったところから言いますね。
やっぱりね、原作に登場するお馴染みのキャラクターがたくさん登場すると、そりゃどうしたって上がりますよ!
ケイシーやクランゲ、ビーバップ&ロックステディ、アニメ版では「サワキちゃん♪」でお馴染みのクランゲ。特にビーバップ&ロックステディのアホなノリは、敵なんだけど見ていて楽しいので好きなんですよね。
こんなノリの敵役って、他の作品にはあんまりいないじゃないですか。いたとしてももっと凶悪で、狂っているが故に口調が明るいとか、そういうキャラクターなんだと思うんですよ。
でもビーバップ&ロックステディの場合は、コイツら心底アホでしょ(笑)。こういうのが通用するのも、主人公がタートルズだからだよな、って。タートルズたちもお調子者でノリが軽いから、勢いが合うじゃないですか。
もちろん、軽いノリのタートルズvsクソ真面目なシュレッダーっていうスカし気味の構図も面白いんですけどね(笑)。

それと、前作と比較しても良かった点で言うと。それは、キャラクターの描写です。
さっきも言いましたけど、監督の前作『アース・トゥ・エコー』が面白かったんですよね。で、この作品で何が良かったのかと言うと、登場する少年たちの若さゆえの葛藤であったり、それぞれの個性の描き方が素晴らしかったんですよ。ジュブナイル映画ですから、そういった要素は必須であり、最重要ポイントですから。
おそらく、彼が起用された理由っていうのも、そういった要素を描くうえで適任と評価されたんじゃないでしょうか。
言うてもティーンエイジャーの4兄弟ですから。遊びたい盛りなわけですよ。にも関わらず、表の世界に出ることを禁じられている。
でも舞台はニューヨーク。誘惑は山ほどあるんですよね。「もし外に出られたら。人間の世界に、人間の姿で溶け込めたら」
そういった葛藤を、今作では上手く描けていたと思います。彼らの中で、外の世界に対する願望が徐々に膨れ上がっていくのが、実は序盤の方からスムーズに描かれているんです。
そして、丁寧に個性を描き分けられたからこそ、そんな個性が衝突した結果の仲間割れっていうのも、見ていて違和感が無い。前作であんなに協力して戦った兄弟の間に不穏な空気が流れるのも、見ていて自然なんですね。これは上手い。
そして、彼らの個性が噛み合った時に生まれるチームワークと爆発力。見ていて気持ち良いですよね、こういうのは。

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ただ、言いたいことはあってですね。
言うても作品の一番の魅力っていうのは、彼らタートルズのアクションやバトルじゃないですか。ニンジャが活躍する映画なんですから、それはどう考えたってそうですよね?
でね、最初に僕言いました。前作は「敵と味方が入り乱れての大乱闘も見やすく楽しめる、良い感じのポップコーンムービーだった」。
ジョナサン・リーベスマンの見せ方が上手かったので、製作側に回ったマイケル・ベイ映画の数倍見やすいアクション映画だったんですよ。
それがですね。おそらく今作のデイヴ・グリーンさんは、まだそういった技術は不勉強だったのかな?
まぁ、見難いんですよ。アクションシーンの画が。
全体的にスローモーションを多用しているから、そのスローの場面だけは何が起きているか解るんですよ。スローのシーン以外はゴッチャゴチャでスゲー見難い。
良いアクションシーンって、スローを多用しなくても解りやすいアクションを撮るっていうことだと思うんだけど、どうも迫力のある画を重視しすぎたせいか、勢いはあるんだけどゴチャゴチャしたシーンばっかりだったように思います。少なくとも前作は、ゴチャゴチャしているように見えて、ちゃんと解るように整理した見せ方としてくれていましたよ?
で、そのスローなアクションシーンですけども。あまりにも多用しすぎるせいで、明らかにテンポが悪くなってるんですね。サクサク進まない。
約2時間ある映画なのに、内容が薄い。そのくせに、じっくり描いてほしいところは薄味だったりするし。
例えば、クランゲの登場シーン。タメも無しにいきなり登場するから、「え、何? コイツ前からいたっけ?」ってなっちゃうんですよ。あまりにもアッサリ登場させすぎ!
一応、得体の知れない悪の帝王なんですから、そこはもっとジックリもったいぶって登場させてくださいよ。
でね? この無駄に長くてゴチャゴチャしたアクションシーンとやたらと多いスローモーションって、どっかで見たと思ったら、まさしくマイケル・ベイの特徴なんです! 『トランスフォーマー』や!!
マイケル・ベイが主張し始めているぞー!(笑)

他にもですねぇ。ちょっとご都合主義が過ぎると言いますか。
そもそも未知なる敵の情報を、なんでドナテロはすぐに調べられるんですか? 名前まで知ってたじゃないですか。敵の目的とか、どういう武器を持っているのかとか。
あまりにもチートすぎると言うか。まぁそれが彼のキャラクターとしての個性だから、「そういうもんだよ」って言っちゃえばそれまでなんですけど、どうも気になっちゃって、そこから先の展開が割と何でもアリというか、どうでもいいというか。何とかならなかったですかね?コレ。

あと、敵の扱いが残念すぎます。強そうな敵キャラがあっけなく人間に負けるし、脳ミソもアッサリ負けるし。
何より、もったいぶって復活したシュレッダーがそんなオチ!?
僕てっきり、エンドクレジットの途中とか後に何か出てくるんだと思ってたんですよ。前作でもシュレッダーの復活は臭わされていましたし、今作でもそういうのがあって、何ならお約束になていくのかな、って。
そうしたらね、アッサリ終わりやがった!!(笑)
ちょっとー、頼むよー。ガッカリだよー。

それに、さっき言った「タートルズの衝突、そして和解からのチームワークと爆発力」っていう件にも関わる話なんですけど。
物語中盤、ブラジル上空で飛行機から飛行機にダイブするシークエンスで、実は結構仲良さそうなやり取りしてるじゃないですか。
これね、普通はまず衝突するきっかけがあって、そこからしばらくはモヤモヤしているんだけど、モヤモヤが爆発して衝突して、解決につながるきっかけがあって、そして和解。普通はこうじゃないですか?
でもね、今作は変わっていて。割と早い段階で衝突して2つにチームが分かれちゃうんですね。で、その後にまた問題が生じて、今度こそもうチームの崩壊だ~と思いきや、そこからの飛行機ダイブのシークエンスなんです。
しかも、あろうことかそのシーンの中で「ナイスキャッチ!」とか言って、けっこうデレてるんです! 何だよ、普通に仲良しじゃねーか!
それじゃあ、クライマックス前に仲直りするシーンが全く活きないでしょ!?

最後に言いたいのが、なんでタイトルを『Out of the Shadows』から、ただの『影(シャドウズ)』にしたんだよ!
観た人なら解ると思いますけど、今作の中でなぜ『Out of the Shadows』なのかって重要じゃないですか! 声優に芸人を起用するとか(僕は字幕版で見ましたけど)、日本の配給会社マジでセンス無ぇわ!!

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総評としては…、
良い部分も確かにありました。面白かったと言っていいでしょう。
エンディングで流れるタートルズのテーマも含め、ファンサービスも嬉しかったです!
でもね!? もっと良くなったでしょうよ!?
正直、気になる部分が多すぎます! 撮影途中に何かあったのか?と疑いたくなるレベルです。
これが全力じゃないと信じたい!
前作は面白かったし、くどい様ですがデイヴ・グリーンの『アース・トゥ・エコー』は力作です!
次回! 次回があるのなら、僕はまだ期待していますよ!!

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『ゴーストバスターズ』(GhostBusters)

【スタッフ】
監督:ポール・フェイグ
脚本:ケイティ・ディポルド/ポール・フェイグ
製作総指揮:ミシェル・インペラート・スタービル/ポール・フェイグ/ダン・エイクロイド/ジェシー・ヘンダーソン/トム・ポロック/ジョー・メジャック/アリ・ベル/ベン・ワイスブレン
製作:アイヴァン・ライトマン/エイミー・パスカル
撮影:ロバート・イェーマン
美術:ジェファーソン・セイジ
視覚効果スーパーバイザー:ピーター・G・トラヴァース
衣装:ジェフリー・カーランド
音楽:セオドア・シャピロ
音楽監修:エリカ・ワイス
編集:ブレント・ホワイト

【キャスト】
クリステン・ウィグ
メリッサ・マッカーシー
ケイト・マッキノン
レスリー・ジョーンズ
クリス・ヘムズワース
チャールズ・ダンス
マイケル・ケネス・ウィリアムス
アンディ・ガルシア
マット・ウォルシュ
セシリー・ストロング
ニール・ケーシー

【あらすじ】
ニューヨークのコロンビア大学で教鞭を執る物理学者エリン・ギルバートの元に、幽霊の調査依頼が舞い込む。彼女がかつて幽霊本を出版したことがその理由だったが、大学内で微妙な立場にあるエリンは、ヒギンズ科学大学で幽霊研究に打ち込む幽霊本の共著者で友人のアビーを訪ねる。その話に目を輝かせたアビーと、彼女の相棒ジリアン・ホルツマンと共に訪れた現場で、ゴーストに遭遇。だが、その映像をネットで公開したところ、世間を騒がせたという理由で3人とも大学をクビになってしまう。やむなく3人は、頭の悪い青年ケヴィンを秘書に雇い、中華料理店の 2階をオフィスとして超常現象の調査会社を設立する。最初の依頼者は、地下鉄の女性駅員パティ。地下鉄構内でゴーストに追いかけられたと駆け込んで来たのだ。現地でそのゴーストの姿をビデオに収めたものの、ネットに公開した映像は世間から完全にインチキ扱い。ゴーストの存在を証明するには捕獲するしかないと悟った3人は、パティを仲間に加え、ジリアン開発の捕獲装置プロトンビームをバックパック型に改良してチャンスを待つ。











伝説的な人気映画のリメイク作。
僕ね、あの『ゴーストバスターズ』(1984)をまたやる、しかもそのメインキャストが女性って聞いた時には、「それ大丈夫なの!?」って正直思いまして。
ちなみに僕は、オリジナル版で言うと1も2好きです。2はあんまり評価高くないみたいですけどね。僕はどっちも好きです。
やっぱり、オリジナル版あの4人が魅力的すぎると言うか。いや正確に言うと、4人のチーム含め、ヒロインのディナやドジなルイス、受付嬢のジャニーンといった登場人物が魅力的で、そんな彼らのやり取りが作品の魅力になっていたと思うんですよ。
でも、主人公が女性だし時代も違う。同じようなことやったって意味ないけど、でも設定からして違うからどうなっちゃうんだろ、って。
でもね、監督がポール・フェイグっていうじゃないですか。
ポール・フェイグの作品で僕が見たのって、『ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン』(2011)だけなんですけども、この作品がめちゃくちゃ面白くってですね。見たことない人は是非とも見ていただきたい、これ傑作なんですけども。
中年女性たちが主人公のコメディなんですよね。しかも、どこかコンプレックスを抱えた女性たちが喧嘩したり葛藤しながら、親友の結婚披露宴を成功させるっていう物語で。
この『ブライズメイズ』が大好きなんで、「中年女性を主人公に『ゴーストバスターズ』手がけるのはポール・フェイグだよ」って聞いた時には、「あ、これ面白いやつだ」と。「はい、これ見るやつー」って(笑)。

ただ、知っている方はとっくに知っている話なんですけども、今この作品についてアメリカで問題が起きているんですよね。起きていた、かな?
どういう内容かっていうと、要は「女を主人公にリメイクするのはやめろ」っていう意見が多くて、しかも過剰に反応しているっていうことなんですよ。
例えば、Youtubeの動画にある「いいね!」の反対「dislikes」が1,000,000を超えてコメントもヒドかったり(likesは290,000弱程度)、ハッキングしてシナリオを入手した奴が全部ネタバレして興行自体を潰そうとしたり、Youtubeとかで「見に行くのやめようぜ!」っていう動画をあげたり。出演女優のレスリー・ジョーンズさんがTwitterで酷い中傷を受けたりね。
いいですか、これ映画が公開される前ですよ? 映画を見た人が「こりゃヒデえ内容だな」って言うなら解りますけど、見もしないでそんな吊し上げみたいなマネをしているんですね。
これは最低ですよね。アメリカってレディファーストの国だと思ってたんですけど、もちろんそういった人の方が多いと思いたいですけど、これは最低。
実際dislikesがlikesの3倍以上っていうことですから、可哀想すぎますよ。

でね、実際に観てみた感想なんですけども。
面白いじゃねーか、このクソ野郎が!!

実際には、僕はこういった騒動は知らない状態で観たんで、フラットな見かたで楽しめたんですけどね。
でも、映画のクオリティと全く関係の無い部分で炎上して、興行収入が振るわないなんていう状況が本当に気の毒で。作り手側としては、お客さんに楽しんでもらおうと一生懸命作ってるわけですから。
僕も作品に対して「何だコレ、ふざけんな!」って言ったりしますけど、それは観た感想としてですから。見てもいない作品に対して文句を言うなんて、そんなの映画好きのすることじゃないです。

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前置きが長くなっちゃいましたけども、本編について触れていきますね。
まず、チームの中心にいるエリンとアビーの二人。
物語の中では学生時代の親友っていう設定なんですけど、演じている女優さん同士も共演がきっかけで仲が良いらしくって。『ブライズメイズ』で主人公と重要なキャラクターを演じていた二人ですよね。
この二人に関してだけで言っても、見ていてチームワークの良さが伝わってくる感じはありましたよ。
特に僕が好きなのが、準備段階でチラシを作るやり取りが良いんですよね。学生の時もそんな感じのやり取りがあったんだろうな、っていう会話があって。
それに、エリンが学生の頃に幽霊を見たことがある、っていう設定の改変も良かったと思います。
今までに一度も見たことが無いんじゃなくって、過去に一度見ている。しかも、その幽霊がきっかけで二人は固い絆で結ばれたっていう設定ですからね。オリジナル版より良くなっている部分なんじゃないでしょうか。

ガジェット開発担当のホルツマンは、ある意味今作で一番オイシイ役どころ。
エキセントリックな髪形と、天真爛漫な性格で、彼女を見ているだけで楽しいんですね。喜々として武器を披露する場面なんかは、目をキラキラさせている様が可愛いですし、クライマックス直前で展開されるブロードウェイのど真ん中でのバトルシーンなんかは、彼女の活躍がめちゃくちゃカッコ良いんです。
チームの中でも、一番解りやすくコミカルなキャラクターだと思います。

一番観客寄りの目線でいてくれるのは、身体は大きいのにビビリなパティ。
ゴーストは信じていなかったし、一番怖がり。他のメンバーはゴーストが出てきても「お~、本物だぁ!」みたいなリアクションだし、科学的な専門知識で話を進めようとするのに対して、パティだけは「待って待って、それ何の話?」っていう観客の代弁をしてくれるんですよ。
彼女がいてくれるおかげで、観客も置いてけぼりにならずに済みますから。

クリス・ヘムズワースが演じるアホな受付係も最高でしたねぇ。面接の時のやり取りなんか、実はほとんどアドリブらしいんですけども、かなり笑わせてもらいましたよ。
イケメンでマッチョで背が高くて役立たず、っていうキャラクターの設定も今作らしくて良かったですよね。ほら、『SATC』みたいなメインで登場するキャラクターが女性ばっかりの作品って、男の登場人物が役立たずだったりしません?(笑)

あと言っておかないといけない登場人物といえば、ゴーストについて。
基本はコメディなんで、怖くないんですよ。でも、僕は正直ちょっとギョっとしたシーンもありました。
ゴーストたちが、キャラクターのでっかいバルーンのパレードで行進するシーンあったじゃないですか。バルーンの中にゴーストが入ってて、最後にマシュマロマンがドーン!っていう。
あそこのシーンで、一旦バルーンたちが通り過ぎて、バスターズが油断したタイミングで戻ってきて、いきなりコッチを見るじゃないですか! あれが怖くって!(笑)
何なんですかね、コメディなのに怖いっていう。
他にも、ブロードウェイのゴーストの中にスレンダーマンがいたりとかね。言うてコメディなのに、ちょっと怖いっていう。
その辺りのバランスは、オリジナルよりホラー寄りなのかな?
クライマックスで巨大な奴が練り歩くというノルマもキッチリ回収していただいてね。結構なことじゃないですか。

あとね、長くなっちゃってますけど最後にね、言いたい。
あの有名なテーマ曲をFALL OUT BOYがやってて、それが流れるんですけどもね、これがカッコ良いんだ! やっぱり上手いですしね、当たり前ですけども。アレンジもカッコ良くって。必聴ですよ。

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総評としては…、
コメディなんで、感想とか構成を語ると野暮なんですけども。語るような作品じゃないんですけどねー。
オススメでございますよ、この作品!!
女性の下ネタが苦手な方には、ちょっとキビシいのかもしれないですけどね。僕は大丈夫だったんで、めっちゃ楽しかったですけども。

あんまり文句言われるもんだから、ちょっと「面白いよ!」って言いたくなりました。はい。

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『ジャングル・ブック』

【スタッフ】
監督:ジョン・ファヴロー
制作:ジョン・ファヴロー/ブリガム・テイラー
原作:ルドヤード・キプリング
脚本:ジャスティン・マークス
撮影:ビル・ホープ
美術:クリストファーグラス
衣装:ローラ・ジーン・シャノン
編集:マーク・リボルシー
音楽:ジョン・デブニー
視覚効果スーパーバイザー:ロバート・レガート

【キャスト】
ニール・セディ
ベン・キングズレー
ビル・マーレイ
イドリス・エルバ
ルピタ・ニョンゴ
クリストファー・ウォーケン
スカーレット・ヨハンソン
ジョンカルロ・エスポジート

【あらすじ】
ジャングルに人間の赤ん坊・モーグリがたった一人取り残されてしまう。一人ではジャングルの中で到底生きられない幼い命を救ったのは、黒ヒョウのバギーラだった。モーグリは子どもを抱えるオオカミのラクシャに託され、ジャングルの子として育っていった。バギーラから厳しい自然の中で生き抜く知恵を授かり、ラクシャからは惜しみなく愛情を注がれ成長していくモーグリ。しかし人間はジャングルの敵だと言い放つトラのシア・カーンが現れたことにより、彼の幸せな暮らしが変わっていく。











はい、ジョン・ファヴロー監督の最新作が、まさかの『ジャングル・ブック』っていうね!
彼の過去作で僕が見たのは、
『ザスーラ』(2005年)、
『アイアンマン』 (2008)、
『アイアンマン2』(2010年)、
『カウボーイ & エイリアン』(2011)
『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』(2015)

もちろんディズニーの『ジャンブル・ブック』(1967)も見てまして、僕はこの映画が大好きなんですね。見ていて楽しい!!
だもんで、今回の(一応は)実写版の『ジャングル・ブック』も楽しみにしていましたし、どうしても比べてみてしまいました。
この(一応は)っていうのがどういうことなのかと言うと、宣伝なんかでもバンバン言ってますように、モーグリ役のニール・セディくん以外はオールCGっていうことなんですよね。もう何でもアリやな(笑)。
なので、これを「実写版」なのかと言うと、それもちょっと違うような気もするんですけど、まぁ何でもいいや。

じゃあ、今回の『ジャングル・ブック』がどうだったのか。
まず、見た人みんなの度肝を抜いたであろう、動物たちのビジュアルですよね。動物の顔とか毛並みの表現とか、本当に凄いじゃないですか!
ちゃんとオスとメスの違いとかが、表情の柔らかさとかで解るようになっているんですけど、そこにもリアリティがあって。
何より、これは字幕版で見てもらえると解るんだけど、話している英語の言葉とキャラクターの口の動き、リップっていうんですかね、それが合ってるんですよ。
当たり前といえば当たり前なんですけどね。これまでのディズニーアニメーションでも、そういうところはこだわって作ってきてますし。
でも、手書きアニメーションだったり3Dアニメーションと違って、今作の場合はリアリティ表現がほとんど実写に近いじゃないですか。
しかも動物の顔って、これも当たり前ですけど人間とは骨格からして違いますし。口の形や唇、ほっぺた。そういった形からして違う。そんな動物の顔に、人間の言葉を喋らそうっていうのが、普通に考えたらメチャクチャな話なんですよね。
でも普通のアニメーションだと、そういう部分をデフォルメして人間に近い表情にすることで、ちょっと意地悪な言い方になっちゃうと「逃げる」ことができたじゃないですか。
例えば、先日の『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』に登場するウサギなんか解りやすくって、表情がほとんど人間なんですよね。仕草も人間。でもそこにリアリティは無くって、ファンタジーだからあそこまで人間の言葉を話せるウサギが成立できたと言っても良い。
それが今作ではできないんですよ。それをしちゃうと、動物の顔や表情ではなくなっちゃうから。
にも関わらず、今作の動物たちはちゃんとリップが合っているし、動物の表情だし、リアリティもあるんですよ!
これ、どうやってやってんだろ。ギリギリのバランスを見極めて作ってますよね。何回調整してんだろうなー。素晴らしいです。

それと、キャストも良かったですよね。
まず、モーグリを演じたニール・セディくん。文句なくモーグリでした。
最初は、アニメ版と比べると若干大人っぽいのかな、っていう気もしましたけど。でも今作でのモーグリは、自分の意思でオオカミの群れを離れる決意をするような、自立した人格を持った少年っていう風に描かれていますから。
今作での彼の年齢のバランスは良かったと思います。

それに、声優陣ですけども。
怠け者で近所の人たちに変わり者と思われているオッサン(熊)をビル・マーレイ。
独り者で融通の利かないオッサン(黒豹)をベン・キングズレー。
頂点に君臨する事を策謀するジジイ(オランウータン)をクリストファー・ウォーケン。
優しく近づき油断したところを刺しにくる悪女(蛇)をスカーレット・ヨハンソン。
どうですか、このキャスティング。どっかで見たことあるわ、この感じ!(笑)
もうね、見ていて声に違和感無さすぎです。みんな上手いんだ、本当に。
しっかし、ジョン・ファヴローはスカーレット・ヨハンソンが大好きだなオイ!(笑)

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ただ、言いたい事が無いではなくって。まず、キング・ルーイに関して。
今作での彼ですけども、デカすぎる。で、恐すぎる。
本来であれば、彼はモーグリに対して打算的に近づいてくるキャラクターなんですよね。最初は油断させておいて…、っていう。
それまでに登場したバギーラやバルー、シア・カーンと比べると戦闘力では劣るけれど、ずる賢く立ち回るっていう奴だと思うんですけども。
でも今作に登場するキング・ルーイは、明らかに腕力で一番でしょ(笑)。ワンパンでシア・カーンに勝てるじゃないですか、あんなの!
一番強いわ! っていうかバケモノだわ!!
アニメ版でキング・ルーイが『I Wan'na Be Like You』を唄うシーンは、最初は楽しく歌って踊ってるんだけど、徐々に「やっぱりコイツちょっと怖いぞ」っていう場面なんですけど。今作だと風貌の威圧感がハンパじゃないから、明るく楽しい音楽が流れたところで、「いや、歌ってる場合じゃないよね」っていう違和感しかない(笑)。
『I Wan'na Be Like You』が良い曲で、僕も大好きなんですけど、全然乗れねーわ!!

それと、アニメ版に登場するミュージシャンのハゲタカ四人組。ビートルズがモデルになっているというだけあって、良いキャラしてるんですよね。僕は彼らが大好きで。
だって、ハゲタカで最初は「コイツらも怖い奴らなのかな」と思って見てたら、実はめっちゃ良い奴らなんですよ。シア・カーンにビビって従ってるだけで、本当は良い奴らなんです。
でも今作では、そのハゲタカ四人組が登場しないんです。これは良くない! これだけキャラ立ちしている奴らを登場させないなんて、選択肢としてナンセンスだと思いますよ。
シア・カーンが登場する時に、ウッスラと小さくハゲタカの声が遠くで聞こえるっていう演出は使われていましたけどね。登場は無し。残念!!

あと象がね。なんか神様の化身みたいな扱われ方でしたよね。
あれは、何でだろう。極力キャラクターの数を減らしていきたかったのかな。会話も成立しないような存在になってたのが気になりました。
アニメ版みたいに、パトロールの隊長として登場っていうのは無理がありますけど、ジャングルの中に会話が成立する奴としない奴が登場するのが、これ何でかなと気になりました。

最後に、物語の結末がかなり違っていたのも驚きましたね。っていうか、終盤の展開は全く違いますよね。
僕はどちらかと言うと、アニメ版の方が好きだなぁ。これはどっちが良い悪いじゃなくって、好みの問題になってくると思いますけど。
実写映画としては、それなりに派手な演出が必要とされたんでしょうね。ゴメンなさい、これに関しては本当に好みの問題だと思います。アニメ版を見てなかったら、また感想も違うんだろうし。
やっぱり、アニメ版でモーグリが自立心と異性への興味に目覚めて、親の元だったり故郷を後にするっていうのは、僕らの世界だったり観客にも落とし込める内容で、見ていて共感もできたし胸がキュンとしたんですよ。それを見たバルーとバギーラのリアクションと、その後に唄いながら去っていく二人の後姿とか、もう最高なんですねこのシーンが!
今回はそういった内容とは違っていたから。
自分で選んだ答えなんだったら間違いではないんでしょうけど。それで良いんだ?って。はい。

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総評としては…、
ゴメンなさい、平等な評価ができません!
やっぱりね、アニメ版が凄く良かっただけに今作での変更点が気になり過ぎます!
でも映像技術は目を見張るものがありますんで。見る価値は間違いなくありますよ。
ちなみに、かの有名な「ターザン」の原作小説は、『ジャングル・ブック』が原案らしいですから。
『ターザン:REBORN』と比較して見てみるのも良いかもしれませんね!

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『X-MEN:アポカリプス』(X-MEN:Apocalypse)

【スタッフ】
監督:ブライアン・シンガー
脚本:サイモン・キンバーグ
原案:ブライアン・シンガー/サイモン・キンバーグ/マイケル・ドハティ/ダン・ハリス
製作総指揮:スタン・リー/トッド・ハロウェル/ジョシュ・マクラグレン
製作:サイモン・キンバーグ/ブライアン・シンガー/ハッチ・パーカー/ローレン・シュラー・ドナー
音楽:ジョン・オットマン
撮影:ニュートン・トーマス・サイジェル
プロダクション・デザイナー:グラント・メイジャー
編集:ジョン・オットマン/マイケル・ルイス・ヒル
VFXデザイナー:ジョン・ダイクストラ
コスチューム・デザイナー:ルイーズ・ミンゲンバック

【キャスト】
ジェームズ・マカヴォイ
マイケル・ファスベンダー
ジェニファー・ローレンス
オスカー・アイザック
ニコラス・ホルト
ローズ・バーン
オリヴィア・マン
エヴァン・ピーターズ
コディ・スミット=マクフィー
アレクサンドラ・シップ
ソフィー・ターナー
タイ・シェリダン
ルーカス・ティル
ベン・ハーディ
ジョシュ・ヘルマン
ラナ・コンドール

【あらすじ】
紀元前3600年、力を用い神として世界を支配していたミュータントのアポカリプスは、裏切りにあい、古代エジプトのピラミッドの中に封印される。しかし1983年、アポカリプスが眠りから目覚めてしまう。現代の文明は堕落していると判断したアポカリプスは、新しい秩序をもたらすため、マグニートーら4人のミュータントを『黙示録の四騎士』として従えて世界の破壊に乗り出す。プロフェッサーXやミスティークの率いる若きX-MENはアポカリプスの計画を止めるために立ち向かっていくが、ミュータントの力を吸収できるアポカリプスにテレパシー能力に目をつけられたプロフェッサーXが連れ去られてしまう…。











やってまいりましたよ、『X-MENサーガ』の「新三部作」完結編!
まずX-MENの映画シリーズに関しては、おさらいしておかないといけない部分がいろいろあるんですけど、それはこの後に話しますね。

監督のブライアン・シンガーの過去作で僕が見たのは、
『ユージュアル・サスペクツ』(1995)
『X-MEN』(2000)
『X-MEN2』(2003)
『スーパーマン リターンズ』(2006)
『ワルキューレ』(2008)
『ジャックと天空の巨人』(2013)
『X-MEN:フューチャー&パスト』(2014)

で、X-MENの映画シリーズっていうのがいろいろあってですね。
旧三部作が『X-MEN』(2000)、『X-MEN2』(2003)、『X-MEN:ファイナル ディシィジョン』(2006)。
新三部作が『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』(2011)、『X-MEN:フューチャー&パスト』(2014)、そして『X-MEN:アポカリプス』。
外伝的なスピンオフ作品で『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』(2009)、『ウルヴァリン:SAMURAI』(2013)、『デッドプール』(2016)があります。
来年にはウルヴァリンが主人公の作品第三弾が公開予定ですし、ガンビットが主人公の映画をチャニング・テイタム主演で制作するというニュースも発表されています。
X-MENの映画シリーズとしては、これからまだまだ広がりを見せていくみたいですけども、新三部作としては一旦今回で完結編っていうことですね。

まず今回の『アポカリプス』の何が良かったか。
前作で行ったタイムラインの一新と、完結編であるが故の「お祭り感」が良かったんだと思います。順番に説明していきますね。

まずX-MENシリーズの旧三部作自体が、正直複雑というか、特に『ファイナル ディシィジョン』がいろいろやっちゃった感のある作品だったと思うんですよね。
何より、シリーズを初めたのが2000年ですから。役者さんの中にはおじいちゃんもいますし、老いるのが遅いという設定のキャラクターでも、演じる役者さんはちゃんと歳をとるわけで。
それに新三部作が過去の物語を描くという内容であるにも関わらず、どうにも辻褄が合わない部分が出来てしまった。
そこで取った手段というのが、『フューチャー&パスト』で過去と未来の時系列をゴチャゴチャにして、その結果、「旧三部作とはまったく違う新しい未来を進みだす」っていう方法だったんです。
凄いですね。旧三部作の出来事は、全部無かったことになっている世界なんですね。「旧三部作のことは忘れちゃってても良いですよ!」っていうことです。
「昔の変なデッドプールも無かったことになったよ!」っていうことですから。でもそのおかげで、こないだの楽しいデッドプールの映画ができたと思えば、これ良いことですよね?

そのおかげで何ができるのか。
これまでのシリーズで、いろんなキャラクターが出てきました。死んだキャラクターや、変な設定にしちゃったキャラクターも。
でも違う世界という設定にしちゃうおかげで、そういったしがらみを全部抜きにして、好きなキャラクターを出せるんですよ!
あ、『ファースト・ジェネレーション』や『フューチャー&パスト』で世界が変わる前に死んじゃった人とかは無理ですけどね(苦笑)。

もう誰でも出せる。何も気にしなくていい。
しかも今作はどういった作品か。新三部作の完結編なんです。最後に相応しい、総力戦が期待される作品になる。
その結果、どうなるか。
味方側には未来のリーダーの若かりし頃とか登場させちゃうよ!
敵側は、これまでではあり得ないくらいの最強の敵を出しちゃうよ!
なぜなら、最終章のお祭りだからね~!!
こういうことです。
難しいこととか出し惜しみとか考えずに、人気のあるキャラクターをどんどん出せるっていうことですよね。
僕はね、今回はこれが何より良かったと思います。好きなキャラクターを、自由に大暴れさせられるオールスターバトル。
だからどうですか。見た人なら解ると思いますけど、今回登場するミュータントって、全員にちゃんと見せ場がありましたよね? もちろん見せ場の長さや、物語の中の重要さは違いますけど、それぞれにカッコ良い見せ場があった。
このお祭り感ですよ! 全員がカッコ良かった! あぁ、X-MENってめちゃくちゃカッコ良いんだ…!

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さっき「難しいことは考えずに…」って言いましたけど、もちろんただヒーローとヴィランが戦うだけの映画にはなっていません。
『X-MEN』という作品の特徴として、人種差別的な意識であったり、他者との共感についてというのが根底に流れているというのが言えると思います。
そもそも、リーダーであるプロフェッサーXの能力が「他人の心を読み、他者に自分の意思をテレパシーで伝えることができる能力」っていう時点で、そういった「他者との認識の相違」っていうのが重要になるのはあからさまですよね。

さらに今作は、大きな意味で「家族の物語」なんだと思います。
X-MENのメンバー間で、家族のように支え合い必要とし合う描写が繊細に描かれていますし、何より家族を失うことになる登場人物が何人かいますよね。家族の大切さ、そしてそんな家族を失うということ。今作の重要なところは、これまで以上にヒーロー映画として派手でカッコ良いバトルシーンが描かれていながら、登場人物の心理描写や成長なんかに対しての配慮も細やかであるということだと思います。

そして何より、ヒーロー映画の魅力を決定付けると言っても過言ではない、ヴィランの存在。
今回は、満を持してのアポカリプスの登場ですよ!
僕がアポカリプスを知ったきっかけっていうのは、実はアメコミじゃなくってですね。僕が小学生の時に『X-MEN vs STREET FIGHTER』っていう格闘ゲームがありまして。X-MENのメンバーやスト2のキャラクターが登場するゲームなんですけど、それの最後に登場する敵キャラクターがアポカリプスだったんです。
マグニートーやセイバートゥース、ジャガーノートも乗り越えた先に待っていたのが、とんでもなくデカい魔人で。しかもソイツは手をドリルに変えることができて、そのドリルがめっちゃ強くって!
少年の時の僕にとって「アポカリプスのドリル」っていうのは、一つのトラウマに近いインパクトを残すことになったわけです。
そして、そんなアポカリプスが映画に登場! これは盛り上がりますよ。期待値も上がります。でもその一方で、「もしクソ雑魚だったらどうしよう」とか思ってたんですけどね。
そうしたら、これがもう最高でした。めっちゃ強い!
最終決戦でのプロフェッサーXとのタイマンバトルなんか、正直最初は「このままプロフェッサーが勝っちまうんじゃねーの?」って思ったんですよ。それぐらいに彼も周到だったし、切り札にも説得力があった。カッコ良かったし、そのまま勝っても良かったんじゃないかなと思うぐらい。
でもそんな強いプロフェッサーの切り札でさえ、アポカリプスの前には無力で。この絶望感ですよね。
今作のアポカリプスは、僕が好きな悪役の「強くて怖い」っていう条件を満たしてくれているので。見ていて楽しかったですよ。
オスカー・アイザックは役作りのために、日本の歌舞伎なんかも参考にしたらしいですけども。表情や立ち振る舞いも含めて、迫力のある敵役だったんじゃないでしょうか。

あと、途中で登場する「助っ人」ですけども。ここも最高でした。何なら、一番好きなシーンかも。
もう誰も手が付けられなくって。ちょっと笑っちゃうぐらいに、めちゃくちゃ強いじゃないですか。
そこまでの展開が、敵に押され気味だったのもあって、ここのバイオレンスシーンは面白かったですね。
他のキャラクターの見せ場もそれぞれが良くって、もう言い出したらキリが無いくらいなんですけども、それでもあの「爪」が出た時には「いよぉっ! 待ってましたッ!」って感じでしたよね。千両役者(笑)。

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総評としては…、
楽しかったですよ! そりゃあ映画の完成度で言ったら、名作『ファースト・ジェネレーション』に追いつくのは難しいとは思います。
でも、「強い敵が出てきて、そいつに皆で力を合わせて戦う」っていうプロット自体が、ヒーロー映画のド王道だし、やっぱり燃えるんですよ。
そういう意味で、大画面で見る価値のある楽しいX-MEN映画が来たな、と。
シリーズの次回作がどういった感じになるかは解りませんけども。
期待したくもなりますよ。エンドクレジットの後に、あんなの見せられたら(笑)。

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『ペット』(The Secret Life of Pets)

【スタッフ】
監督:クリス・ルノー/ヤロー・チェイニー
脚本:ブライアン・リンチ/シンコ・ポール/ケン・ダウリオ
製作:クリストファー・メレダンドリー/ジャネット・ヒーリー
編集:ケン・シュレッツマン
音楽:アレクサンドル・デプラ

【キャスト】
ルイス・C・K
エリック・ストーンストリート
ケビン・ハート
ジェニー・スレイト
エリー・ケンパー
レイク・ベル
ダナ・カービ
ハンニバル・バレス
ボビー・モナハン
スティーブ・クーガン
アルバート・ブルックス

【あらすじ】
ニューヨーク。神経質で頼りないテリア混ざりの雑種犬マックスは、大好きな飼い主ケイティと何不自由ない生活を送っていた。ケイティが家を出ると、同じアパートに住む他のペットたちがマックスの部屋にやって来て、飼い主の恥ずかしい話を披露し合ったり、一緒に『アニマル・プラネット』を観たり、カワイイ表情の練習をしたりして一日を過ごしている。そんなある日、ケイティが毛むくじゃらの大型犬デュークを保護して連れて帰って来る。その日からマックスの完璧な生活は一変。デュークとスペースを共有するだけでなく、ケイティの愛情も彼とシェアすることになったのだ。お互いに自分が優位に立とうと奮闘する中、ある事件をきっかけにマックスとデュークは都会という荒野で迷子になってしまう。やがて2匹は、見た目は可愛いがクレイジーなウサギのスノーボールに遭遇。スノーボールは飼い主に捨てられた動物軍団を結成、人間に対する復讐を企んでいた…。











『ミニオンズ』で有名なイルミネーション・エンターテイメントの最新作。
監督のクリス・ルノーの作品で見たのは、
『怪盗グルーの月泥棒』(2010)
『ロラックスおじさんの秘密の種』(2012)
『怪盗グルーのミニオン危機一発』(2013)

ヤロー・チェイニーは、まだ新人監督さんですね。以前には『怪盗グルーのミニオン危機一発』で美術担当なんかもされてましたけども。

はい、じゃあ今回の『ペット』ですけども。
僕は字幕版を見てきました。日本語吹き替え版は見ていないです。
なので、バナナマンのお二人の吹き替えがどうなのかとかは、全く解りません!
正直、予告編の時点で「これは字幕版を見よう」と思っちゃいました。本編を見ずに批判するのは良くないですけどね。
もう普通になってきている、タレントさんを声優に起用するキャスティングですけど、上手い人がやってくれるならそれは良いと思います。『ルドルフとイッパイアッテナ』の鈴木亮平さんや、『ONE PIECE FILM GOLD』の小栗旬さんなんかは上手かったですし。
でも、上手くなかったり合ってなかったら、それは完全に問題外ですよね。
その点で言うと、本家のキャスティングはやっぱり素晴らしかったですよ。

まず、主人公のマックスですけども。
最初に話し出した時に「思ったよりオッサン声だな!」って思ったんですよ。担当しているのがルイス・C・Kさんっていうアメリカのコメディアンなんですけども。年齢は48歳ですからね(笑)。
でも、主人公の犬をオッサン声にすることによってどうなるのかと言うと、犬の成長速度と、犬のマックスと飼い主のケイティが共に過ごした日々の蓄積が、そこで無意識に観客に伝わるんだと思います。
マックスがケイティと出会った時は、まだマックスが子犬だった時。じゃあケイティも子どもだったかと言うと、彼女はもう一人暮らしを始めていて、もちろん大人ですよね。
大人のケイティと子どものマックスが出会って、今は大人のケイティとオッサンのマックスになっている。その成長速度の違い。でもマックスの感性が成熟しているのかと言うと、そこは犬なんで。考え方は犬なんですよね。
その「年を重ねても犬は犬」っていう感じ。まだ老犬ではないんですけど、もうオッサン。
このキャスティングはキャラクターの魅力に影響するだけじゃなくって、登場人物同士の関係を表現するのにも役立っているわけですね。

それと僕が良いなぁと思ったのが、白いポメラニアンのギジェットですけども。演じていたのは、ジェニー・ストレイトさん。
この方、『ズートピア』で羊の副所長のドーン・ベルウェザーの声を当ててた人です。
この人の声、めっちゃ良くなかったですか? ちょっとハスキーで大人っぽい印象で、でも可愛かったり、やっぱり強かったり。
雰囲気の違ういろんな声を演じ分けているのが印象的でした。

あとキャラクターの魅力で言ったら言っておかないといけないのが、動物たちの「その動物っぽさ」だと思います。
この作品の面白さって、「人間が見ていない時に動物たちは何をしているか」であって、実はめちゃめちゃ人間に近いコミュニティを築いていたり、話してる内容や表情なんかも「人間っぽい」じゃないですか。
それだけに重要になってくるのが、人間が見ている時の「動物っぽさ」ですよ。対比が無いと、人間っぽい彼らの仕草や言動、もっと言うとキャラクターそのものが活きてこない。
序盤で見られる、飼い主と居る時の動物の仕草なんかが凄く良いんですね。
そして、これも重要なんですけども。これ、ちょっとネタバレ入っちゃいますけど、結末はハッピーエンドなんです、この映画(笑)。ちゃんと飼い主のもとに帰れます。
で、その飼い主のものに戻った時の「動物っぽさ」も良いですよね。
序盤で描かれる「飼い主とペットの関係」って、マックスやデュークとケイティの関係ぐらいじゃないですか。で、その後に何やかんやあって、彼らの人間っぽいキャラクターが見られたりコミカルなやり取りがあったりして。
そうして戻ってきた我が家では、やっぱりみんな飼い主に会いたかったし、飼い主もみんなペットが大好きっていう。散々笑って楽しんで、でもその後にホッとさせてくれるんですよね。
僕も実家で犬と猫を飼っていたんで。飼い主が帰宅したらペットがそこに居るっていう、その独特の安心感には大いに共感しました。

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物語に関してで言ったら、ド定番の「行って帰ってくる話」です。『トイ・ストーリー』っぽかったですよね。もちろん、その間で「どこに行くのか」「どうやって帰ってくるのか」なんかがハチャメチャで楽しいんですけども。
その中でも見た人みんながギョッとしたであろう、ソーセージ工場のシーン。マックスやデュークが空腹で追い詰められてからの、あの大量のソーセージ。
何と、そのソーセージが擬人化されてるんですよ。しかも、唄って踊ってマックスたちを歓迎してくれるんですね。ニコニコ笑いながら、楽しい音楽とダンスが楽しい。そしてそんなソーセージたちを容赦なく食いまくるマックスとデューク(笑)。
言っちゃ悪いですけど、頭おかしいですよね(笑)。見てる間、「これ確実にラリってんだろ」と思いながら見てましたけども。
作り手側は悪ふざけ半分で作ってんだろうなと思ってたらですね、実は先日12日にアメリカでは『Sausage Party』っていう3DCGアニメーション映画が公開されまして。こっちはソーセージも、ソーセージを挟むホットドックのパンも、マスタードも、ドーナツも、みんな擬人化されてます。しかも、ソーセージは男性キャラクターで、パンは女性キャラクターです。これ大丈夫なんでしょうか?(笑)

感心したのは、保健所の動物だったり、捨てられた動物に関して。
まずケイティが連れて帰ってくるデューク自身が、保健所にいたっていう設定じゃないですか。マックスからしたら、「邪魔な奴がやってきた」っていう感情しかないんですけど、デュークからしたら命を救われたわけですから。この居場所を何としても死守しなければならないんですよね。そのためには手段は選んでいられない。
また、人間に捨てられて地下にアジトを構えて復讐を誓う動物たちも、もともとは人と共に生活していたのが、それぞれの理由で人を憎むようになってしまった。
こういういろんな設定の中で、人が動物を捨てたり悪く扱ったりすることが、彼らに何を及ぼすことになるのか、彼らがどうなってしまうのかが描かれているんですよ。
でもちゃんと上質に描かれているなと思うのが、そういった負の要素を必要以上にウェットに描いていないんですね。基本は笑って楽しまるアドベンチャーですから、動物たちがウジウジしている姿なんかあんまり見たくない。だから、捨てられたウサギのスノーボールの過去も、実は悲劇的なんですけども半分ギャグぐらいの扱いになっていたりします。
でもだからと言ってぞんざいに扱われているのかと言うとそうでもなくって、ちゃんと見た人に「動物を捨てると」っていうことを考えさせるバランスになってるんですよ。
映画の雰囲気と勢いと損なわずに、でもメッセージはちゃんと込めるっていうね。上手い。

最後に、音楽についても。
まず冒頭、ニューヨークの街全体を上空から映したショットから、カメラが高速で降りていって、セントラルパークに入って行って、そこで人間をペットが散歩している様子からスタート。そのバックで流れるのが、テイラー・スウィフト『Welcome To New York』。
テンポよく連続して繰り出される「Welcome to New York」っていう歌詞と、そこで生活する人と動物で、一気にその世界に入っていけるんです。

他にも、システム・オブ・ア・ダウン『Bounce』とかいろいろあるんですけど、個人的に良かったのが、ラストで流れるアンドリューW.K.の「Party Hard」。
何でしょうね、あの有無を言わさぬ問答無用のハッピーエンド感(笑)。「ゴチャゴチャ言ってんじゃねぇ!エンディングだ!」っていうね。
やったー! やったぜー!!
もうね、登場するペットたちと一緒に劇場で身体動いてましたもんね、僕も(笑)。

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総評としては…、
最高でしたよ、大好きです!!
犬を、猫を、ネズミを、鳥を、魚を、亀を、ウサギを、ブタを。ペットを飼い、彼らを愛するすべての人に!!
オススメですッ!!!

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