2008年07月19日

夢・涙(川村エッセイ)

3f02234f.jpg夢を見た。


その夢は、ひたすら空を登って、登って、

「お父さん、お父さん」と叫んでいる夢だった。

その時、私ははっきりと「もう父親には逢えないのだな」という事を夢の中で痛い程実感した。


目が醒めてから、顔が涙だらけになっている事に初めて気付いた。

おそらく、泣きながらお父さん、と叫んでいたのだろう。


いつの間にか泣きながら寝てしまうとか、起きてから思い出してホロリと泣いてしまうとかは、10年前位にはもしかしたらあったのかもしれない。

だが、寝てる間に夢の中で大泣きするという事は、きっと子供の時以来なかった様な気がする。


そんな自分に驚きつつも、こんなに悲しい想いが詰まっている自分の気持ちを改めて感じ、そしてとても大切に思えるのは何故であろう…。


やはり本当に悲しい気持ちというのは、そんなにすぐに癒える物ではないのだろうから。


その想いを抱えつつも、じっくり時間と共に向き合おう。


昔、父親は良く私を膝で抱っこしてくれた。

あの温もりの心地よい事…。

そして無常の安心感…。

何かの本には

「親に尻を向けて抱っこされるなどと、はしたなさの極みである」
という言葉が掲載されていた。


世間一般にいうと、確かに躾としては好ましくない事なのかもしれない。

それでも、、良いではないか。

父親の温もりが私の心の根底の安心感に染み入って、日々日常を感謝出来る。


辛い事があっても、乗り越える事が出来る。


そんな自分の、何と幸せな事。

だから、、この悲しみもゆっくりと乗り越えて行こう。

雲から静かに顔を出している月の、優しく蒼い月明かりが大好きだ。


月明かりに照らされ、心地よい風に頬を撫でられる時、私はいつも亡き父を想う。

きっと少しずつ、父を想う度に私の心もほぐれて行くのだろう。

砂時計の砂が、少しずつサラサラと顆粒になって下へと落ちて行く様に…

少しずつ…。


Posted by makotoroom at 21:13