2009年03月01日

米アカデミー賞「おくりびと」(川村エッセイ)

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今年の米アカデミー賞外国語映画賞は、「おくりびと」が受賞した。

社会派の問題作がたくさん候補に載っている中で、「おくりびと」はきっと群を抜いて新鮮さを放っていたのだろうと思う。

私は2回この映画を観に行ったのだが、静寂さをメインに映し出される映像美には非常に感嘆させられた。

舞台は山形で、白鳥が空を横切って行くシーン、そして田んぼの中で黙々と餌をついばむシーンなどは、一生懸命ひたむきに生きていく白鳥たちの強い生命力を感じ、しんしんと雪が降っている田んぼのあぜ道を本木雅弘が車を走らせて行く情景は、それだけで何故かもう胸にジーンと来る物があった。


飾られない、ありのままの映像のナチュラルさは、まるで小川のせせらぎが静かにただ流れている、そんな美しさと似通った共通性を持っているのかもしれない。

大事な人と最後にお別れをする納棺の儀式を、これほどよくぞ美しく穏やかに表現できたのだろうと、改めて感心せざるを得ない。

もう一つ嬉しいのは、外国人と日本人では文化の違いを感じる部分もあるのだろうが、この「死生感」をテーマにした「おくりびと」が、米アカデミー賞で外国語映画賞を受賞したという事は、「死生感」を、国を超えて感じ取っている普遍的に共通な感覚が、きっと「おくりびと」の中の真摯な感性を高く評価してもらえたのだろう、という事である。




Posted by makotoroom at 22:49