2009年10月19日

秋の夜長のせつない話し(川村エッセイ)

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随分と日の暮れが早くなって来た。

心なしか、紅葉し始めている木々も風に吹かれながらそっとたたずみ、冬に備えて静かに溜め息をついているように見えるのは、果たして私だけであろうか。

黙ってそんな木々の風景を見つめていると、何故か胸の奥がキュンとせつなくなって来る。

毎朝、私は日本経済新聞を拝読しているのだが、掲載中の連載小説「甘空上海」が、とても愁いを帯びた哀愁感を漂わせており、悲しく、そしてせつない…。

主人公の早見紅子と、石井京のお互い惹かれ合いながらも離れて行かなければならない辛さ、ストーリーの奥に静かにかかっているBGMのように、チベット密教がところどころに織り混ざりあい、まるでお香の香りがすぐにでも漂ってきそうなリアリティさ、、。

作者の高樹のぶ子氏の文体は非常に洗練されておりそして柔らかく、女性が自然と独り言を言っているような、そんな言葉のシャワーがキラキラとところどころに輝いているようで、読み進めて行くごとに溜め息が出るくらいうっとりとしてしまう。

後1ヶ月もすれば、きっと雪も降ってくるのだろう。

季節に合わせ、木々たちも一生懸命に色づき、やがては木の葉を落として行く。

またまぎれもなく訪れる新しい春を信じ、芽吹く生命力に、私はいつも感嘆せずにはいられない。


Posted by makotoroom at 22:32