モルト侍

池袋のショット・バー、ジェイズバーのバーテンダーが、大好きなシングル・モルトを斬る。

2005年04月

ジェイズ・バー・オフィシャル・サイト、オープン

サイトオープン
2005年4月30日(土)、新しいジェイズ・バーが現実の世界と違うところで生まれました。年が明けてから準備を始めほぼ4ヶ月、本日何とかオープンすることができた。
画面左側にはリンクが貼ってある。
残念だが携帯電話からはアクセスできないと思う。
できる限りたくさんの人に見ていただきたいと思う。
そして何か感じたことがあれば僕に伝えて欲しい。

欲しいものを手に入れるというのは確かにひとつの成功だと思う。
だけど幸福というのは手に入れたものを、手に入れた後も欲しいと思っていられるかどうかで決まるのだと思う。
僕はまた、自分が幸せになるために必要じゃないものを欲しがっていないだろうか?
買ってもらったおもちゃに飽きる子供のように、それを放り投げてしまわないだろうか?
どんな時でも何に対してでも、僕はそんなことが心配だ。

僕はこのサイトを大切にしたい。
間違いなく、それは僕の本心だ。

僕の大切なものをあなたも大切に扱ってくれませんか?
僕はあなたと一緒に楽しみを共有したい。
ジェイズ・バー・オフィシャル・サイトには僕が大切にしているものが詰まっている。

完敗

昨日は負けた。完敗である。
完膚なきまでに打ちのめされた。負けて潔し。正直、意外にも口惜しいと思わない。
侍の弱点をきっちりと突いて来た刺客の勝ちである。

昨日一番に来店したのは越後屋。対決を楽しみにしてくれていたようだ。
前回の対決の際、何か資料があれば皆さんにももっと楽しんでいただけるのではないかと思い、簡単ではあるがスコットランドの地図と全蒸留所名を記載したものを用意しておいた。
それを見ながら侍と越後屋はふたりで謀議を企てた。
侍はぼんやりとローランド・モルトを出される予感にとりつかれ悩んでいた。越後屋は「ぼちぼちアイラ・モルトの番ではございませぬか」とその予感を口に出した。結果として越後屋のその予感は的中した。

答えはボウモア。60年代の蒸留。微かにピーティでじっとりとフルーティでスモーキー。
確かにこの年代のボウモアの特徴でもある。現在のものとは違う。しかし、60年代のボウモアを飲んだことがない訳ではない侍である。
甘いな侍。

詳細は次回。

緊急告知

突然で申し訳ない。昨日の記事に刺客からコメントが入っていた。読んでいただいた方はご存知かもしれないが。

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う〜ん いい言葉ですね 鍵ですか、、、、、
明日は侍の心の鍵を開けに行こうかなと思っております!
そうです 当然例の物も持って行きますのでよろしくお願いします。
***************************

例の物?
どういう意味だ。まだ5月になっていない。次回から侍と刺客の対決は、「近代的ポイント制システム」を導入することになってはいるが、まだ5月になっていない。

前回のハラキリ・モルトを憶えているだろうか?
ハイエナどもにはあまりにも好評で1週間も経たずに売り切ってしまった。とても気に入ったT氏に「ボトルで欲しい」と言われ、早速刺客に発注をしたのだがスコッチモルト販売でも終売となってしまっていた。この役立たず!
もしや、他の受注先からキャンセルを喰らい、余った物が出てきたのでわざわざコメントをくれたのか?例の物とはハラキリ・モルトであるクライネリッシュのことか?

念のため刺客に電話をする。3時過ぎから何度か電話をしたが、やっと繋がったのは5時頃。
「侍だが、何の用事だ」
「明日、またバッサリと斬りに伺います」
「・・・・・・」
挨拶もなく電話は切れた。

心の準備ができていない侍である。迂闊であったか。
しかし、今、侍の気分は最悪なのである。私事を差し挟むのも情けないが、切なくて苦しくて悲しい4月の末なのである。
いや、そんなことは言ってられない。寝込みを襲われようとも、勝負であれば受けて立つのが侍である。負けぬぞ、刺客。
恐らく10時過ぎくらいから始まるのではないかと思う。侍VS刺客の対決をご覧になりたい方は是非ご来店を。本日はライブである。ご来店できない方は是非ともコメントを。
侍を応援していただきたい。

侍の心の扉は、お前なぞには開けさせぬ。

シングル・モルトは鍵である

カウンターから
先日お客さんの言葉にクラっと来てしまった。
そんなに忙しかった訳ではない。入口近くのカウンターにカップルのお客さんが1組。K君がその少し奥にひとり。一番奥に後ほど僕をクラっとさせたお客さんが親しい仲の女性を連れて来ていた。
入口近くのおふたり。男性の方は顔見知りのお客さん。女性の方はジェイズ・バーに初めて来店していただいた。シングル・モルトを楽しんで貰いたいと思って連れて来て頂いたようだ。

シングル・モルトに限ったことではないが、初めての方を目の前にすると「何を飲んで頂いたら楽しんで貰えるだろう」、そのことを当たり前に考える。飲みたいものが決まっている方に、あれこれ指図をしようとは思わない。だけど決まっていない方には話を伺い、好き嫌いを把握し、よりおいしいものを飲んで頂けたらと思っている。それは僕の変えたくないスタンスだ。

「お薦めのものは何ですか?」
お客さんによくそう聞かれる。
「薦められないものはありません」
僕はそう答える。

僕が薦めたいものとお客さんが飲みたいものは違うかもしれない。僕が薦めたいものをお客さんは嫌いかもしれない。僕はそのことがいつだって心配だ。押し付けてはいけないと思う。僕みたいな人間は放っておいたら独善的になってしまう。
だから、どんなものが好きなのか。どんなものが嫌いなのか。僕はそれを知りたいと思う。それはお酒に限ったことではない。酸っぱいものが好きであるとか、甘いものが好きであるとか。炭酸が嫌いであるとか、牛乳が飲めないとか。そんなことでいいのだ。それは僕にとっての手掛かりになる。
「マティーニっていうカクテルを飲んだのですが、残してしまったことがあります」
「いつもジン・トニックを飲むのですが、そんな感じで違うものを」
例えばそんなことだって十分に何かの手掛かりになる。1杯目より2杯目、2杯目より3杯目。お客さんの反応を伺い、言葉をやり取りし、少しづつでも気に入ってもらえたら。僕はそう思って働いている。でも、お客さんには迷惑で面倒なことだろうか。

「シングル・モルトを楽しんでみたい」
僕の中にも確実に申し訳ないという気持ちはあるのだが、そんなお客さんを目の前にすると、より一層頑張ってしまうのだ。僕が好きなものを一緒に共有して楽しむことができるかもしれない。そんな予感にワクワクしてしまうのだと思う。やはり、大人気ないのだろうか。

その日の僕は少しばかり頑張ってしまったのだろう。そのおふたりにいろんなシングル・モルトを出した。たくさんのシングル・モルトをテイスティングして頂いた。話を伺い、時には提案をし、そんなことを積み重ね僕はお客さんの好みを把握できるようになる。
アードベックとグレンフィディックを飲み比べてもらう。現行品のグレンフィディックと昔のグレンフィディックを飲み比べてもらう。どちらが好きかを伺う。もう少しクリアなものが飲みたいと言われ、グレンモレンジを出し、もう少し固く凝縮感のあるシェリー・カスクをと言われ、グレンユーリーロイヤルを出し、グレンリベットをテイスティングしてもらい、最後はハイランド・パークで締めた。

僕をクラっとさせたお客さんは、そんなやり取りを横目で眺めていたのかもしれない。オーダーを伺いに彼のそばに来ると、
「シングル・モルトって言うのは、キーなんですよ」。彼は突然話し始めた。
「キーなんです。キー、カギです」。

彼のその勢いに僕は一瞬戸惑った。普段はそんな風情ではないのだ。腹には一物を抱えているかもしれないが、常に涼しげな表情を作って生きている。僕はそう解釈していた。親しい女性と一緒だったからかもしれない。そして彼女に何かを訴えたかったからかもしれない。その瞬間、彼の表情は熱かった。

呼吸を整え、落ち着きを取り戻し、彼は滑らかに喋り始めた。
「シングル・モルトはカギなんです。人間の心にはカギ穴があります。そのカギ穴に合うカギが差し込まれ、そのロックが解かれる時、心の扉が開くのです」
痺れてしまった。クラっと来た。
改めて自分を振り返ってしまった。僕は誰かの心の扉を開きたいと思っているのだろうか?

K君がツッコミを入れる。
「心の扉を開けた後、そこには何があるのでしょう?」
ためらいを隠し切れず彼は答えた。
「うーん、それは、分からないです」

腹に一物を抱えたまま、彼の表情はまた涼しげに戻った。

一筆啓上、瓶詰業者

OMC 3本
昨日はダグラス・レイン社のオールド・モルト・カスクの瓶詰のアルコール度数である、50度の意味について僕なりの憶測を記事にさせていただいた。今日は先週までの記事と同じように1本のシングル・モルトを取り上げて丁寧に記事をまとめていきたい。
今日取り上げるのは写真中央のシングル・モルト。ストラスアイラ蒸留所、1962年、39年熟成。

まず最初にお断りしておく。このシングル・モルト、ダグラス・レイン社のオールド・モルト・カスクでありながらアルコール度数が50度ではない。昨日は記事の大半を費やして、加水をして50度に調節することは彼らの良心ではないかとまで言ったのに、である。そのことから説明をしよう。何事にも例外はあるのだ。
蒸留され樽に詰められたシングル・モルトは長い熟成の期間の中で、そのアルコール分を少しづつ蒸発させて行く。そのことを指して「エンジェルズ・シェア(天使の分け前)」なんて言い方をする。平均的には年間2〜3%のアルコール分を蒸発させるというのが一般的な見解のようだ。おいしいシングル・モルトのために樽の中での熟成は欠かせない。しかし、樽の中での熟成は確実に一定のロスを発生させる。その中でシングル・モルトのアルコール度数は少しづつ低くなってしまうのだ。誰のせいでもないのだが、天使に分け前を持って行かれたなんて思うしかないだろう。もちろん僕はそんな発想が好きである。
年間2〜3%、400Lの樽であれば年間8L〜12L。もちろんこれはひと樽での数字。スコットランド全体でいったいどのくらいの樽が眠っているのだろう。スコットランドの天使は大酒飲みなのかもしれない。

さて、このストラスアイラ、瓶詰された度数は45.2度である。つまり、1962年に蒸留され39年の熟成を重ね瓶詰しようという時になって、アルコール度数は50度を下回っていた。ならば加水する必要はなし。そのまま瓶詰しましょう。彼らはきっとそう判断したのだろう。結果としてカスク・ストレングスの商品である。

OMC金色ラベルこのボトルのラベルは上下の2部構成。上部はこの金色のラベル。緑のボトルにこの金色のラベルは映える。そこに「オールド・モルト・カスク」、同社のブランド名である。「オールド・モルト・カスク」の下に小さく「シングル・モルト・スコッチ・ウィスキー」とあるがこれは最早説明不要であろう。
右端に丸いシールが貼ってある。ちょっと写真では見づらいかもしれない。「スペシャル・カスク・ストレングス」と書いてある。

OMCシールありこのシールが曲者である。そもそもなんでシールなのか?金色のラベルを貼った後、いかにも手で貼ったような印象である。「スペシャル・カスク・ストレングス」と表記したいのであれば、何故一緒にラベルに印刷しないのか?「オールド・モルト・カスク」と表記したラベルの上に、わざわざシールを貼るのは2度手間ではないのか?

OMCシールなし恐らく理由はこういうことだ。
こちらを見て欲しい。これは同社の同ブランドのダラスデュ。同じ体裁のラベルであるがシールは貼っていない。上のラベルのシールが貼られている位置に注目して欲しい。「50°」と書かれている。なるほど、と思いませんか?隠したね。
この金色のラベルは使い回しなのだろう。独立瓶詰業者の商品がいかに「多品種、少ロット」であろうと、どの商品にも共通する部分というのはあるはずだ。「オールド・モルト・カスク」は「50°」で瓶詰。これは彼らのポリシーでもあるのだ。同社の同ブランドの商品であればどんなボトルにも使える。
そうであるなら瓶詰の本数に合わせてその都度印刷をしている訳ではないだろう。予めたくさんラベルを用意しておいて在庫しておく。瓶詰する分だけ在庫から出す。ラベルが足りなくなる前に次のラベルを手配する。恐らくそんな風なんだろう。

だけど、例えばこの商品に関しては困ったことになる。何しろアルコール度数は50度ではない。45.2度である。ラベルに「50°」という表記があったらそれは間違いである。隠さなくてはならない。この商品のためだけに「50°」と表記された部分を「45.2°」として印刷するのも効率が悪い。ならばシールを貼ってしまえということになったのではないか?
憶測が得意な侍であるが、この件に関してはウラが取れる。目の前にボトルはあるのだ。剥がしてみればいい。正直なところ一瞬迷ったのだが、このシングル・モルト、現在販売中である。剥がしてしまってブサイクになるのも切ないのでとりあえずそのままにしておく。すべてを売り切った後剥がしてみる。当分先のことになるかもしれないが、その時にはご報告させていただく。

OMCレベル上段上下2部構成の下部、白地のラベルを上から見ていこう。まずは「シングル・カスク・ボトリング」これも説明不要であろうか。ただひとつの樽から瓶詰されたということである。
「シングル・カスク」という言い方でも通用すると思うが。


bd1897bd.JPGその右に「MATURED IN SHERRY CASK」、つまり「シェリー樽で熟成」という意味である。

その下、こちらも説明不要だろうか。「ストラスアイラ蒸留所で蒸留された」と書かれている。赤いラインが引かれているその下、金色のラベルのものと同じ書体で「シングル・モルト・スコッチ・ウィスキー」。

OMCラベル中段その下は蒸留年度と瓶詰年度。蒸留年度である「1962」は特に大きな扱いだ。その右には「APRIL」、1962年の4月に蒸留されたのだろう。同様に瓶詰は2001年5月。

その下は熟成年数。「39」の数字は大きくその存在感を放つ。

OMCレベル下段その下に「MATURED IN SHERRY CASK」、これは先ほども説明をした。「シェリー樽で熟成」という意味である。
続いて「NO CHIL FILTATION. NO COLOURING」、「非冷却ろ過、色付けなし」。
さらに続いて「BOTTLED AT NATURAL CASK STRENGTH」、昨日の記事の「BOTTELED AT OUR PREFERRED STRENGTH OF 50% ALC/VOL」に相当する部分である。もちろんこのシングル・モルトは50度ではないので「自然な樽のままの(アルコールの)強さで瓶詰されています」という表記になる。

その下の四角く囲まれた部分には「THIS BOTTLE IS ONE OF 270 BOTTLES FILLED FROM CASK」とある。「このボトルは樽から満たされる270のボトルのうちのひとつ」。少々大袈裟な言い方だが、この樽から瓶詰されたシングル・モルトは270本しかないということである。
その両脇には地域区分である「スペイサイド」。

その下に小さな文字で蒸留、熟成と瓶詰をスコットランドで行ったとあり、社名とその所在地が書かれている。

本日はこれにて終了。

一筆啓上、瓶詰業者

OMC 3本
さて、今日は先週の木曜の記事の続き、独立瓶詰業者の銘柄を扱って行く。
イアン・マキロップ社のマキロップ・チョイス、ブラッカダー社のロウ・カスク、ダンカン・テイラー社のピアレス・コレクションに引き続きダグラス・レイン社のオールド・モルト・カスクである。しかし今回は前回までの3本と違ったところから話を進めようと思う。

このダグラス・レイン社、その一族がウィスキー業に携わり始めたのは1949年とある。いくつかの資料を調べてみたが、会社を設立した年が1949年とはっきり言っていない。元々は家族経営的な個人商店であったのかもしれない。同社がインディペンデント・ボトリングを始めたのは1998年。独立瓶詰業者として老舗と言えるほどではないが、ごく最近の新興の業者と言うほどのものでもない。これらの事実から僕がぼんやりと思うのは、どんな形であれコネクションを持たないと、独立瓶詰業者というのはやって行けないものなのだろうな、ということ。新参者が突然蒸留所に行き運良く熟成庫の中に入れてもらって、「すいません、ここにあるこの樽のシングル・モルトを下さい」と言ったところで相手にはされないのだろう。同社は1949年以来ウィスキー業に携わって来たのだ。彼らは業界の中でコネクションやネットワークを育んで来たことだろう。それらは同社の歴史となり信頼となり、彼らの仕入れにある種の力をもたらしているのだと思う。ある種の力、それは質の高いシングル・モルトを適正な価格で仕入れることができる。そういうことではないだろうか。
いや、僕はまた先走りし過ぎているかもしれない。またウラを取らず想像だけで勝手な事を言ってしまった。改めよう。

同社のリリースする「オールド・モルト・カスク」。このシリーズ、このブランドには僕なりの信頼がある。一言で言ってしまうと、「大して裏切られることはない、おおよそ妥当な範疇である」ということだ。別な言い方をすれば味と値段の落とし所にすぐれている。それなりに高価な商品はそれなり以上にうまい。比較的安価な商品でも最低保証がなされている。そういうシングル・モルトがリリースされていると思うのだ。もちろん僕は彼らの商品のそのすべてをテイスティングした訳ではないので、もしかしたら「大ハズレ」のシングル・モルトだってあったのかもしれない。だけど僕はその「大ハズレ」に当ったことはないし、声を大にして「裏切られた」と言いたくなるようなものにも巡り会ってはいないはずだ。

僕のような仕事をする人間にとってそのことは非常にありがたい。この記事、この連載「一筆啓上、瓶詰業者」の大きなテーマのひとつである「多品種、少ロット」。このことは折に触れ何度か申し上げて来た。では、そのことが僕の仕事にどのような影響をもたらすのかというと、飲んでみてうまいと思ったのでもう1本追加で注文しようと思ったら、もうどこにもないという事態を生んでしまいがちだ。めまぐるしく商品は入れ替わる。先日のブラッカダー社のロウ・カスクのハイランド・パーク、瓶詰されたシングル・モルトの総数は473本である。いったいそのうちの何割くらいが日本に入って来るのだろう。そのうちの3分の1くらいが日本に入って来たとしても、150本あまり。それらが全国にばら撒かれているとするなら、僕と取引のある酒屋さんはいったいどのくらい在庫を持っているのだろう。

DT、クライネリッシュ例えばの話、こちらはダンカン・テイラー社、ウィスキー・ガロアのクライネリッシュ。麦の味わいを中心に若干の塩味。ナッツの入ったクッキーよう。甘味も丁寧でしっかりしている。僕の感覚ではまさに熟成10年程度のクライネリッシュという商品。これを気に入ったお客さんがいたとする。

その人に飲んで頂いたせいもあって、ジェイズ・バーで売り切ってしまった。僕自身も気に入っているし、その人にもまた飲ませたいし、その人が飲んでしまうと他の人が飲めなくなるし、それではもう1本、と思い発注をする。しかし発注をしても、もうどこの酒屋さんにも在庫がない。そんなことは良くある。「多品種、小ロット」のせいである。


代替案ではあるが、そんな時はまずダグラス・レイン社のオールド・モルト・カスクにクライネリッシュがないかを探す。同社は比較的豊富に各蒸留所のシングル・モルトをライン・ナップしている。どこかの蒸留所に偏って商品をそろえているという印象があまりない。まんべんなくつまみ食いをしてくれている。そんな印象がある。なので、やっぱり出てきたりする。
クライネリッシュ、DL例えばこちらがそれ、確かにこちらの方が僅かではあるが塩味が強く、渋味と酸味が効いて若干固さを感じるが、よりカッチリしているという印象である。その固さは好き嫌いの範疇。良し悪しではない。
そもそもは代替案として仕入れてみたものの裏切らない。そんなことを繰り返すうち、少しづつ僕はこのブランドを信頼するようになる。もちろんそれだけではない。高価ではあるが非常に素晴らしいシングル・モルトもリリースして来る。高価で素晴らしいウィスキーについては明日話をしたい。

さて、僕なりにこの、「味と値段の落とし所にすぐれている」理由を考察したいと思う。それは憶測の域を出ない。相変わらずの推論である。もちろん邪推といわれても構わない。

一部の例外を除いて同社のこのブランドにはラベルの下の方にこう書かれている。


DL、50度のポリシー

「BOTTELED AT OUR PREFERRED STRENGTH OF 50% ALC/VOL」
つまり、「我々の推奨する50%のアルコール度数で瓶詰しました」ということだと思う。間違ってたら申し訳ないので、英語の苦手な侍にツッコミのある方はぜひコメントを。
英語の和訳がどうであれ、同社のこのブランドはほとんどの商品に加水をして樽の中のシングル・モルトをアルコール度数を50%に調整して瓶詰している。このやり方に僕はある種の良心を感じる。
加水をしてアルコール度数を調整すれば、もちろん味わいに変化はある。飲み応えやインパクトといったものは減ることだろう。しかし、先日のブラッカダーのおっさん達も言う通り、ポジティブな側面があることも確かだ。カスク・ストレングスのまま切れ上がりの良さを楽しむのも手だが、同社にはしっとりとうまいシングル・モルトを飲んで欲しいという気持ちがあるのかもしれない。確かにビックリできるものだけが良いシングル・モルトとは言えない。程よくおとなしく心地良い。そんなポリシーを彼らは持っているのかもしれない。

しかし、彼らは味わいのことだけを考えて加水をしているのだろうか。彼らは値段のことも考えていないだろうか。
無理やりだが、話を分かり易くしたい。先にお断りをしておく。この話は間違いである。ニュアンスだけを伝えたい。

ここに樽に入ったシングル・モルトがある。ある年数、熟成を重ねアルコール度数60%に仕上がったシングル・モルト。樽の容量は100L、1L入りのボトルに瓶詰しようと思っている。何も手を施さずカスク・ストレングス(樽の中のアルコール度数のまま)で瓶詰をしようと思えば100本のボトルが出来上がる。
100本しか売れないのではあまり儲からないではないか、と瓶詰業者は思うかもしれない。水で薄めて本数を増やそうと思うかもしれない。「100Lでアルコール度数60%」のシングル・モルトに50Lの水を加えると、「150Lでアルコール度数40%」のシングル・モルトになる。1L入りのボトルに瓶詰したら150本瓶詰できる。1本の単価は下がっても、全部売れれば儲かるかもしれない。でも、薄め過ぎておいしくないかもしれない。
いろんなボトルを手にしてアルコール度数を確認してみて欲しい。加水して度数を調整してあるものはいっぱいある。水で薄めることがいけないとは思わない。そのことが良い結果を招くこともある。しかしそれらの度数は概ね、40度か43度か46度である。

ダグラス・レイン社は50度というアルコール度数を選んだ。40度でも43度でも46度でもない。
先ほどの話に戻ろう。「100Lでアルコール度数60%」のシングル・モルトに20Lの水を加えると、「120Lでアルコール度数50%」のシングル・モルトになる。1L入りのボトルに瓶詰したら120本瓶詰できる。1本の単価は下げられる。

40度のシングル・モルトよりは飲み応えを大切にしたい。
60度のシングル・モルトよりは程よくおとなしく心地良くしたい。
40度のシングル・モルトほど安くはならないけど、
60度のシングル・モルトほど高くはならない。

同社のシングル・モルトが「味と値段の落とし所にすぐれている」、その背景にはそんな理由があるのではないだろうか。

カウンターの中で飲んだくれ、勝手な戯れ言を言いっ放しの侍、残念!

今週の御礼

今週は何とかランキング1位を維持できたようだ。
皆様のおかげと、感謝しております。




画面左側にもランキングのバナーがあるので、平日はそちらから順位を確認していただければと思います。日々クリックをしていただいている方。
本当にありがとうございます。


実は今、ジェイズ・バーのサイトをオープンしようと奮闘中です。
もちろん僕ひとりでできることではない。強力な協力者の力をお借りして、来週くらいにはオープンできる予定。
僕が今まで続けて来た「J's Bar Malt File」を公開して、皆さんに見ていただけるようになる。何よりそれが嬉しい。

もちろんこのブログでもご案内をさせていただく。
しばらくお待ちを。

インディペンデント・ボトラース

3日ほど続けて重たい記事を書いたと思う。
火曜日に独立瓶詰業者のシングル・モルトを5本提示し、1本づつラベルを見ながら解説というより、雑感を述べさせて頂いている。昨日までに3本のボトルを扱った。残りは2本。個々のボトルを手に隅々まで舐めるように眺め回して、気付いたことがあればメモに記して、分からないことはできる限り調べ、僕の想像力を刺激してくれるような事実があれば推論を立てることを楽しむ。それは日々変わらない僕のスタンスだ。

シングル・モルト?ウィスキーでしょ?酒だよね。―もちろん。
おいしければ、いいじゃん。―もちろん。
僕だって本当にそう思う。できる限りおいしく、できる限り安く。楽しく酒を飲むことを考えたらそれはすべての前提である。

シングル・モルトをおいしく飲む条件って何ですかね?
時々そんな質問をされるけど、僕の答えは概ね決まっている。
嫌いな人と一緒に飲まないことですよ。

酒は快楽に通じるべきである。できる限り不愉快は排除した方が良い。どんなに高級で高価なシングル・モルトでも、嫌いな人と一緒にいるだけでその快楽は損なわれる。その事実はそれほどまでにシングル・モルトが繊細であることの証左である。シングル・モルトで栄養は取れない。口に入れるものではあるが食品ではない。嗜好品である。楽しみのために飲むべきである。

僕は不親切かもしれない。
お客様の質問は「シングル・モルトをおいしく飲む条件」であった。
「嫌いな人と一緒に飲まない」、僕は酒全般について答えている。
相変わらずの頓珍漢である。

酒は快楽に通じるべきである。楽しい酒のために、できる限り不愉快は排除した方が良い。
それは動かしがたい事実である。だけど、酒を飲むことで不愉快は排除できない。楽しみを積み重ねることはできるのだが。

昨日のダンカンテイラーのハイランド・パーク、これは全部で107本しか瓶詰されていない商品。水曜のブラッカダーのハイランド・パーク、これは全部で473本。火曜日のマキロップ・チョイスのカリラ、これは総数は不明だが多くても450本くらいだろう。
それらの商品は全て売り切ってしまったらもう2度と同じものには巡り合えない。それぞれにシングル・カスクの商品。同じカスク・ナンバーはふたつと存在しないのだ。ひとつの樽から1本づつ瓶詰し、すべてを売り切って終売。様々な瓶詰業者で同じことが繰り返される。市場には新たなシングル・カスクの商品が現れ、一定数を売り切って消えて行き、また新たな商品が現れる。
「多品種、小ロット」、この流れは変わらない。小さな隙間を埋めるように次々と新たなシングル・モルトは繰り出される。分かりにくくて面倒かもしれない。でもその分僕たちの選択肢は増える。好きなものに出会えればいいのだが、極端に嫌いなものに出くわすこともあるだろう。
肝心なのは、自分の好きなシングル・モルトとはどんなものだろう。そのことに今よりも少し敏感になることだ。

一筆啓上、瓶詰業者(その8)

ダンカン/ピアレス
今日の記事はダンカン・テイラー社のピアレス・コレクション。いろいろ調べると余計に分からなくなることも多い。不思議ではある。
その始まりは1938年米国のビジネスマン、アベ・ロッセンベルグ氏の設立した会社らしい。1938年といえば戦前である。アベ・ロッセンベルグ氏のパートナーであったチャーリー・グットマン氏はスコッチウィスキーに魅了され、1960年代の初頭からスコットランド全域を巡り数多くの蒸留所の樽を購入した。1960年代といえばシングル・モルトに対する関心など薄い時代であっただろう。その先見性には素直に敬意を払うが、1938年から1960年までは「何をしていたの?」っていう素直な疑問は生じる。侍の無知をさらすのもお恥ずかしい話であるが。
それらの集められた樽は結局のところ、熟成されたレアなプライベートコレクションとして世界最大級のものとなる。1994年、アベ・ロッセンベルグ氏はこの世を去り、ダンカン・テイラー社は慈善団体の監督下に置かれ、2000年、その団体から連絡を受けたユアン・シャーン氏がこのコレクションを購入することを決意、同僚のアラン・ゴードン氏とともに資金を集める。2002年よりピアレス・コレクションをリリース。しかし他の記事や資料などには1961年にアラン・ゴードン氏が設立した会社、などという記述もあったりして良く分からない。
同社の本部はスコットランドのアバディーンシャーのハントリーというところにあるらしい。また「ピアレス・コレクション」以外にも「ウイスキー・ガロア」、「レアレスト・オブ・ザ・レア・コレクション」、「オールド・リーキー」などのブランドも抱える。

このピアレス・コレクション、いたってシンプルな面構えだ。しかし一口飲めば驚きを隠せない。この表情の素朴さにある種の凄みを感じる。僕が味わったことのあるピアレス・コレクションには間違いなく上質さを感じる。ピアレスとは「比類なき」という意味らしい。素直に納得してしまう。

ラベル横小さな紙のラベル、いたってシンプルである。昨日、一昨日と僕の記事を読んでいただいた方には解説は不要かもしれない。
特徴的なのはボトルを横に倒さないとラベルの文字が読めないということくらいか。ボトルを倒した状態でまず上にあるのは蒸留所名「ハイランド・パーク」である。小さな文字で「カスク・ストレングス(樽出しのアルコール度数)のシングル・モルト」とも書いてある。その下左側に地域名。その右に恐らくは瓶詰責任者のサイン。

ラベル縦ボトルを立てて真ん中辺りから、容量とアルコール度数。続いてカスク・ナンバー(樽番号)。その下はボトル・ナンバーが記載されている、「32/107」。ちなみにこういう表記の仕方が好きである。107本瓶詰した内の32番目。分かりやすい。その下左側には蒸留した年度と月、「1968年3月」。右側には瓶詰した年度と月、「2004年7月」。そして最後に熟成年数。
余計なことは喋らない。事実だけを伝えよう。そしてその後はあなたの評価を待とう。そんな思いが伝わってくるようで、こちらもシャキッとせざるを得ない。昨日のブラッカダーのような、「しつこいがな、おっさん」という状況はない。昨日は確かにおっさんたちにツッコミを入れてしまったが、この侍も「しつこいがな、おっさん」的なものを十分に抱えた人間である。実は人のことは言えない。「ピアレス・コレクション」のようなシングル・モルトの前では少しばかり謙虚になろう。ピアレス、つまり比類なきコレクションをリリースしようというそのブランドに偽りはない。確かに今のところ僕は「ピアレス・コレクション」に裏切られたという思いをしたことがない。
しかし、である。

さて、非常に申し訳ないが、ここから先は侍による「しつこいがな、おっさん」的な話でもある。いやはや、人間の本性というものはなかなか変えられない。

「ピアレス・コレクション」、リリースのたびにそのすべてをジェイズ・バーで仕入れることは不可能であるが、気になるものは積極的に仕入れていこうという意思を僕は持っている。先ほども申し上げたが「今のところ僕はピアレス・コレクションに裏切られたという思いをしたことがない」、このブランドに対する信頼は僕なりにあるのだ。
ぽつぽつと時期を見て出てくるこのブランドを仕入していくうちに気付いたことがある。去年のことであろうか。

ピアレスよく見て欲しい。こちらは随分前に仕入れたストラスアイラ。蒸留年度はどうでもいい、大切なのは瓶詰年度。この商品の瓶詰は2002年の11月。先ほども説明した通りラベルの下の方に書いてある。その小さなラベルの上にこのシングル・モルトのブランド名である「PEERLESS」の文字。金色のインクでガラスのボトルに直に刷り込んである。
ここまでは何の問題もない。確かにこの小さな紙のラベルの中には「PEERLESS」の文字はない。ダンカン・テイラー社としても、「PEERLESS」というブランドを大切にし大きく売り出したい、という意向があるのなら、ボトルに表記するにしても目立つように大きく扱いたいだろう。

ダンカンしかし、である。今度はこちらをよく見て欲しい。このボトル、実は先ほどまで詳細に説明を重ねてきたハイランド・パーク。瓶詰は2004年7月だ。上の写真と同様に、小さなラベルの上にこのシングル・モルトのブランド名である「PEERLESS」の文字があるはずの場所。金色のインクでガラスのボトルに直に刷り込んである文字をよく見て欲しい。「PEERLESS」とは表記されていないのである。「DUCAN TAYLOR」と書いてある。
「いつの間に!?」、この事に気付いた時、僕は心の底から驚愕した。しっかりと握っていた左手からボトルをすべり落としてしまいそうになった。同社の「ピアレス・コレクション」、知らぬ間にブランド名の変更をしたのであろうか?「ダンカン・テイラー・コレクション」とでもなったのだろうか?
あわててネットで検索してみた。「ピアレス ハイランドパーク」、出てくる。きちんと引っかかる。ジェイズ・バーで仕入れたのと同じ商品が「ピアレス・コレクション」としてネット上の酒屋さんで扱われている。それらの写真を見る限り、それまで「PEERLESS」と書かれていた場所に「DUCAN TAYLOR」の文字。ジェイズ・バーで仕入れたものだけが「DUCAN TAYLOR」と書かれている訳ではない。「DUCAN TAYLOR」と書かれているが「ピアレス・コレクション」として扱われている。それはそれで口惜しい気持ちにならないでもない。だって、もしもジェイズ・バーで仕入れた商品だけが「DUCAN TAYLOR」であるなら、相当なレアものである。

キャップしかも、である。こちらは問題のハイランド・パークのボトル・キャップ。迂闊にも見落としていた。ボトルに刷り込まれたのと同じデザインのロゴがある。以前はなかったのである。何の変哲もない。柄もない、ロゴもない、金色というよりは真鋳色のボトル・キャップであった。

いったいどういうことなのだろう?いつからこうなったのだろう?
ジェイズ・バーの今までの仕入を調べ、ネットでも調べてみた。できる限りたくさんの「ピアレス・コレクション」を見てまわった。下の一覧は左から、蒸留所、蒸留年月、瓶詰年月、そしてボトルに「PEERLESS」と表記されているか、「DUCAN TAYLOR」と表記されているかである。

蒸留所         蒸留       瓶詰    P/D
スプリングバンク・・・1967年5月・・・・2002年11月   P
ストラスアイラ・・・・1967年2月・・・・2002年11月   P
グレンリベット・・・・1968年9月・・・・2002年12月   P
ロングモーン・・・・・1969年5月・・・・2002年12月   P
インバーリーブン・・・1977年9月・・・・2003年3月    P
グレンロッシー・・・・1978年7月・・・・2003年8月    P
キャパドニック・・・・1968年12月・・・・2003年9月   P
セントマクデラン・・・1982年・・・・・・・2003年      P
グレングラント・・・・1972年・・・・・・・2003年      P
マッカラン・・・・・・1968年12月・・・・・2004年1月   P
インバーゴードン・・・1965年12月・・・・2004年3月   P
ボウモア・・・・・・・1982年10月・・・・2004年4月   P
グレンエスク・・・・・1983年11月・・・・2004年7月    P
ハイランド・パーク・・1968年3月・・・・2004年7月    D
スキャパ・・・・・・・1977年10月・・・・2004年9月    D
インペリアル・・・・・1982年6月・・・・2004年9月    D
ブローラ・・・・・・・1981年11月・・・・2004年10月    D
ボウモア・・・・・・・1969年11月・・・・2005年1月    D


この一覧を見る限り、2004年7月「グレンエスク」と「ハイランド・パーク」がその境目なようだ。2004年7月以降「PEERLESS」の表記は「DUCAN TAYLOR」に変更になっている。いつからこうなったのか?という問いにはこれで決着をつけたいと思うが、どういうことなのか?ということはよく分からない。確かなことは「ピアレス・コレクション」で検索をかけてみると「DUCAN TAYLOR」とボトルに表記されているシングル・モルトが「ピアレス・コレクション」として売られていることである。

悩ましい。

一筆啓上、瓶詰業者(その7)

ロウカスク・ハイランドパーク
今日取り上げるのはブラッカダー社。
正直に言ってしまうとブラッカダー社に関して、あまり良い印象を持っていなかった。しかしこの「ロウ・カスク・シリーズ」の出現により、僕の中での同社に対する評価は一気に上がる事になる。その辺の経緯は以前記事にしたので、詳しくはそちらを読んで欲しい。



ブラッカダー ロゴまずはラベルを大雑把に見て欲しい。ポイントは何が目立つか、何が大きく書かれているかである。やはり目立つのは一番上、社名のロゴだろう。しかしどうだろう、この縁取りと一緒になって柄の一部になっているような気にならないではない。全体に馴染んだデザインと言えなくもないが、その存在感が薄まってしまっているような気もする。得をしているのか、損をしているのか。
ちなみにこの「BLACKADDER」、「BLACK」と「ADDER」である。「BLACK」はもちろん「黒」、「ADDER」は「マムシ」、つまりは「黒マムシ」という意味だろうか。確かにこの黒い蛇のロゴは特徴的だ。

ラベル中央その下に「1988」と蒸留年度。ひとつ下がって「15 YEARS OLD」、つまり15年熟成。もうひとつ下がって「RAW CASK」、この商品の銘柄、シリーズ名と言ってもいいだろう。ロウ・カスク、つまり「生の樽」という意味である。
その下ラベル中央にアルコール度数。「56.1%Vol.」の数字が丸の中に収まっている。この丸、ウィスキーの樽のデザインである。それを挟んで両側に「SINGLE MALT」、「SCOTCH WHISKY」。もはやこれは説明不要だろう。

ラベル右彼らのポリシーその下左側にこのロウ・カスク・シリーズの説明がなされている。ロウ・カスクというブランド名を付けられた商品に対する彼らの思いやポリシーといったところだろう。
侍は日本男児、英語は苦手である。大雑把に和訳すると、
「ブラッカダー・ロウ・カスクは樽の中に元来存在するすべての油脂分、沈殿物をそのまま大切にし、自然な味わいを最大限可能な形で丁寧にボトリングしています」。ということになると思う。

ラベル右詳細データその反対の右側にはこのシングル・モルトについて細かいデータが書かれている。要約すると、
「このハイランド・モルトは2004年の11月に樽番号11931のシェリーの樽からブラッカダーにより瓶詰された473本のうちの1本である」。ということになる。この言い方、気になる方は気になるかもしれない。このボトルの中身は「ハイランド・パーク」である。「ハイランド・パーク蒸留所」はシングル・モルトの一般的な地域区分において「アイランズ・モルト」と分類される。「ハイランド・モルト」には分類されない。しかしここにはしっかりと「ハイランド・モルト」と書かれている。確かにハイランド・パーク蒸留所はオークニー諸島の蒸留所であり一般的な地域区分からすれば「アイランズ・モルト」になるのだが、スコットランドの地図を広げてハイランド・パーク蒸留所を確認すると、その所在地の「地方」はハイランドでもある。詳しいことは以前記事にしたことがある。こちらをお読み下さい。
さらに、「A little added water will help release」、この一言気になりますな。
「少量の水を加えることで、このウィスキーは解き放たれます」ということか?英語の苦手な侍にはつらいところだ。確かにブラッカダー社の創業者でもあるジョン・レイモンド氏とロビン・トゥチェク氏、彼らはいろんなところでウィスキーに少量の水を加えて飲むことを薦めている。そのことに関しては僕だって否定的ではない。楽しみが広がることは明らかだ。しかし申し訳ないが「しつこいがな、おっさん」という気にもなってしまう。いやホントにごめんなさい。
でもまさか、瓶詰前におっさんたちが勝手に水を加えているなんてことはないよなぁ。そう考えてみるとこのラベルにはどこにも「カスク・ストレングス」の文字はない。まさか・・・。いやいや、そんなことはない。下衆の勘ぐりであった。申し訳ない。誤解のないよう、謝っておく。ごめんなさい。

ラベル下ラベル中央、アルコール度数の表示の下に「ハイランド・パーク」と蒸留所名。その下に蒸留した日付が1998年12月5日とある。さらに下「NO ADDED COLOUR」→「無着色」、「NO CHILL FILTRATION」→「非冷却ろ過」。その下には蒸留と熟成と瓶詰をスコットランドで行ったとあり、その下には社名、さらには同社のサイトのURLが記されている。

ブラッカダー社のロウ・カスク・シリーズ、非常にしっかりとしたパンチの効いたシングル・モルトをリリースして来る。このシリーズの登場以来、僕のお気に入りの銘柄でもある。
「このシングル・モルト、濃い味だな」、そんな溜息をつきたい方にはお薦めの銘柄だ。

一筆啓上、瓶詰業者(その6)

ボトラーズ5本
暫くの間、独立瓶詰業者について個別にこと細かく記事にしたいと思っている。チマチマとしたことを書き綴る事になると思うが、できる限りうんざりしないで頂きたい。ひとつひとつボトルを手に取り、ラベルをじっくり見ることから始めていこうと思う。仕入れたシングル・モルトを手に取ってじっくり見る。かつてそのことは僕に多くの気付きを与えてくれたし、そこから理解できた事もたくさんある。僕にとっては大切な事なのだ。
最大のポイントはひとつ。昨日も言ったが「多品種、小ロット」。独立瓶詰業者が市場に繰り出す限定生産品とでもいうべき商品についてである。

冒頭の写真には5本のシングル・モルトが並んでいる。どれも独立瓶詰業者の手による瓶詰だ。まずは独立瓶詰業者の名前だけを書いておく。左から、イアン・マキロップ社、ブラッカダー社、ダンカン・テイラー社、ダグラス・レイン社、ヴィンテージ・モルト社。それぞれに個性的なラベルのデザイン。それぞれに僕も気に入った面構えである。
何故僕がこの5本のボトルを選んだか?勘の良い方でもお気付きにならないかもしれない。透明のボトル、そして緑色のボトルもあるので、分かりづらいかもしれない。しかし実はこの5本、同じ規格サイズのボトルなのである。そう、すべての形、すべての寸法が同じなのである。
僕の知識では調べようもないので、ここから先は推論にならざるを得ないが、いくつかのボトルは同じ瓶詰工場でボトリングされた可能性もあるかもしれない。そうでないとしても恐らくは、同一の規格、同一の方式による設備によりボトリングされたと見てもいいだろう。違う形のボトルは瓶詰工場の同じラインに乗せるのは面倒なはずだ。詳しくご存知の方がいたら教えて頂きたい。

さて、今日はまず一番左のイアン・マキロップ社のものから、
ボトルの色は緑、キャップシールは赤みがかった茶色。そこには同社のブランド名である
「Mackillop’s Choice」の文字。

ラベルのふちラベルに目をやってみる。ベージュの地、文字は概ね黒。四角いラベルであるが、ラベルのふちに注目。すすけた感じに薄目に黒い。そして波型にギザギザにカットしてある。開いた古文書の1ページという雰囲気であろうか。

家紋ラベルの一番上、中央に動物(ライオン?)の紋章。同社にゆかりのあるものだろうか?なんだかフランスの車メーカー「プジョー」のそれに似ている。

その下に小さな文字で「NON DORMIT QUI CUSTODIT」とある。かつてネットで調べてみると、、英語のサイトにたどり着いた記憶がある。その時に記した手書きのメモがある。そこには「NON DORMIT QUI CUSTODIT」に対する英語の訳語として「He who Guards Dose Not Sleep」とあった。日本語にしてしまうと「警備するものは眠らない」というような事なのだと思う。またこの英語のサイトには同社の社名、銘柄名にも使われその由来ともなっている「マキロップ一族」について書かれていた。手書きのメモから察するに、「かつてマキロップ家は代々、王の警護をする仕事に携わって来た」という事だったと思う。残念ながらそのサイト、もう一度見てみようと思ったのだが、うまく検索に引っかからなかった。
それらの事から察するに一番上の動物の紋章は「マキロップ家の家紋」、「NON DORMIT QUI CUSTODIT」つまり「警備するものは眠らない」は「マキロップ家の家訓」のようなものであるのだろうか。もちろんこれは憶測の話だ。しかし、ボトルを片手にこんな事をあれこれ考えるのは楽しい。

マキロップ銘柄そしてその下、大きな黒い文字で「Mackillop’s Choice」。ボトルを手にして遠ざけて見てもここが一番目立つ。この事実は、この銘柄名、ブランド名に彼らは思い入れがあり一番に主張したい、ということでもあるのだろう。
その下に「シングル・カスク・モルト・ウィスキー」。つまり、単一の樽のシングル・モルトから作られたという事が記してある。「シングル・モルト」つまり、単一の蒸留所であるという事が言いたいのではないという事にご注意を願いたい。「シングル・モルト」ではなく「シングル・カスク」つまり、ひとつの樽だけから瓶詰されたウィスキー、という事である。

説明文以下その下にはこのシングル・モルトのちょっとした説明が施されている。アイラ島のカリラ蒸留所で1989年10月31日に蒸留され「樽番号:3329」の樽から2001年1月に瓶詰されたと書いてある。
その下にちょっと太目の黒い文字で「カスク・ストレングス」。これは樽の中のアルコールの強さのままで瓶詰した事を表す。つまり加水してアルコール度数を40度とか43度とか46度などに調整していないということだ。ちなみにラベルの左下には「54.7%vol.」と正確にアルコール度数が表記されている。一般的にという前提で話をさせてもらうと、独立瓶詰業者の手によるものでシングル・カスク、アルコール度数の表記が小数点以下半端になっていた場合。ほとんど「カスク・ストレングス」の商品だと判断して構わないと思う。

fb3cea4e.JPGその下右側に「Bottle No.0032」とある。これは瓶詰された時の通し番号。同じ番号のボトルはないはずだ。





社名その下中央に「CAOL ILA」と蒸留所の名前。続いて「1989」と蒸留された年。左右にはそれぞれ容量とアルコール度数。
レベルの一番下、本当に小さな文字で「単一の樽からイアン・マキロップにより瓶詰された」、続いて「グラスゴー、スコットランド」。英語で社名と所在地が書かれている。

ラベルから見て取れるこれらの事実を並べて考えると、このシングル・モルトはアイラ島のカリラ蒸留所で1989年10月31日に蒸留され、樽番号3329番の樽に入れられ熟成を重ねた。2001年1月にその樽だけから1本づつ瓶詰されそのうちの32番目の瓶詰。容量は700ml、アルコール度数は54.7%vol.。瓶詰に責任を持つのはイアン・マキロップ社、同社の銘柄「マキロップ・チョイス」の商品です。ということだ。

ラベルに何が書かれていようが、中身の酒の味は変わらない。その通りではあるのだが、そんなみも蓋もないことは言わないで欲しい。酔いにまかせてぼんやりと、いろんなことに思いを廻らせ酒を飲む。僕にとっては楽しい時間だ。

一筆啓上、瓶詰業者(その5)

ボトラーズ5本
先週金曜日、「一筆啓上、瓶詰業者(その4)」の記事の最後に、
つまり「オフィシャルもの」は親会社、生産者の意向により瓶詰めされたものということである。
と書いた。
ということは、「独立瓶詰業者(インディペンデント・ボトラーズ)」とは親会社、生産者以外の会社の意向により瓶詰めされたものということになる。その認識に間違いはないのだが、ちょっとした誤解を招きやすい状況もある。今日はその辺りを説明したいのだが、例の通り前置きから始める。

比較が容易でなおかつイメージしやすいと思うので、まずは簡単に日本のウィスキーについて少し触れたいと思うのだ。
国際的に日本のウィスキーの評価は上がっている。これはとても喜ばしいことだ。作り手がおいしいものを作りたいと思い、その思いが実現し、その結果が評価される。そのことは僕にとっても素直に喜ばしい。
日本の大手ウィスキー・メーカー2社を挙げさせていただく。サントリーとニッカ。そもそも日本のウィスキー・メーカーというのは「ブレンデッド・ウィスキー」を作ることをその軸に据えて動いてきたのだと思う。ブレンデッド・ウィスキーはシングル・モルトとグレーン・ウィスキーから成り立っており、原材料であるシングル・モルトを製造するために、自社内にシングル・モルトの蒸留所を確保する。サントリーは「山崎」や「白州」に蒸留所を持ち、ニッカは「余市」や「仙台宮城峡」に蒸留所を持っている。ちなみにメルシャンは「軽井沢」に蒸留所を持つ。
いづれにしても日本のウィスキー・メーカーは、エンドユーザーである僕たちに向けて「ブレンデッド・ウィスキー」を販売することを考えて会社全体が動いていたのだと思う。そのためにはシングル・モルトの蒸留所が必要である。ならば自分達で蒸留所を造ろうと。

ある意味この動きはスコットランドのシングル・モルトの蒸留所の成り立ち、その経緯とは逆である。大雑把な言い方で申し訳ないが、スコットランドにおいては同時多発的、自然発生的に小さなシングル・モルト蒸留所が立ち上がり、商売がうまく行った所だけが生き残り、ブレンデッド・ウィスキーの波に飲み込まれ、大手飲料会社のブレンデッド・ウィスキーの銘柄を支え原酒を提供する下請工場としての立場を守ることで生き残り、今ようやく単体でシングル・モルトが世の中に注目されるようになった。
現在、ほとんどの蒸留所が大手飲料会社の傘下におさまっている。そのことを何か恥ずかしいことのように思わないで欲しいのだ。100年以上の歴史のある蒸留所はいくらでもある。100年の長きに渡って蒸留所を守り、その設備を守り、その技術を伝え続けることの大切さを理解して欲しい。何かを譲り、何かに妥協し、そして恐らくは多くの痛みを彼らは飲み込み、蒸留所の看板を守ってきたのだ。僕はそのことに深く感謝し、彼らの決断に敬意を払う。彼らは大切なものを守るため、何かを差し出さざるを得なかった。

例えばの話である。目の前に40年熟成のシングル・モルトがあったとする。
40年という時間は人にとってどんな時間であるだろうか?20歳の若者が60歳の老人になるほどの期間である。その彼のその40年は空白ではあるまい。いくつかの幸運に喜び、多くの苦悩を抱え、そして恐らくその生はまだ終わらない。ちょっと前までの日本人的な感覚から言えば、入社から定年退職まで、くらいに相当する時間である。
時は積み重なり、時代は移ろう。当たり前だが、蒸留所の歴史を超えるほどの熟成期間を持つシングル・モルトはない。しかし、そこに働く人の歴史を超えるシングル・モルトはあるのだ。どの蒸留所にも幸運な時代はあっただろう。苦悩を抱え決断を迫られる時代もあっただろう。何も勝ち残る必要はない。生き残っていてくれればいい。
ポートエレン、ダラスデュ、ローズバンク、それだけではない。閉鎖されあるいは休止し、残された在庫を少しづつ飲むしかないシングル・モルト。それらの事実は僕の胸を苦しくする。

話を戻そう。先ほど日本のウィスキー・メーカーについて話をした。別な言い方をすれば、日本ではウィスキーの生産者が蒸留所を持ち販売までをも行うというのが一般的だ。すべての蒸留所は自社所有のものであり、そこで作られたものはすべて自社により管理され販売される。スコットランドのシングル・モルトを取り巻くような独立瓶詰業者の介在をほとんど許さない。
確かにそこには分かり易さ、潔さのようなものはある。「余市」で蒸留されたシングル・モルトがサントリーの手により瓶詰めされるなんてことはない(はずだ)。ラベルに「山崎」あるいは「白州」と書いてあればサントリーだけ。同様に「余市」と書いてあればニッカだけ。
ラベルを見れば分かる。作った人が瓶詰めし売っている。日本のウィスキーは長い間それが大前提であり、その前提は今のところ大きく壊れてはいないだろう。

しかし、スコッチウィスキーにおいては随分と事情が異なる。簡単に説明をすると、蒸留、熟成、瓶詰、販売、という作業の中で長い時間をかけある種の役割分担ができてしまったのだ。そしてそのことが僕たちを混乱させている。混乱の原因を簡単に説明すると、役割分担が「多品種、小ロット」の商品を産み出してしまうからだ。
「多品種、小ロット」の商品。そのこと自体は混乱を招く原因でもあるが、歓迎すべき事態でもある。だって、僕たちエンドユーザーにたくさんの選択肢を与えてくれるのだから。

今日の話はここまでとさせて頂く。明日は瓶詰業者のシングル・カスクの商品について話をしたいと思う。
皆さんの悪い予感は的中するかもしれない。この瓶詰業者を巡る話はまだまだ続きそうだ。瓶詰業者の記事には皆さんからのコメントが少ないのが気になるのだが、まぁ仕方がない。でもね、僕はモルト侍なのですよ。シングル・モルトを楽しんでいただくために、やはりこのことは時間をかけて説明をしたい。もちろん皆さんの「前置きが長い!さっさと結論を言え!」というお気持ちはお察しします。

今週の御礼

先日の刺客との対決の記事にこちらより、トラックバックをしていただいた。
僕自身がまだブログの世界の新参者という自覚もあり、トラックバックというものをしたことがない。
トラックバックって何?。簡単に説明をすると「あなたの書いた記事に関連したことを書いたので、僕の記事も読んでみてください」ということなのだと思う。違うのかな?

偽社会人さんの記事を読んでいただければ分かると思うのだが、刺客と対決の後、彼もバンフを飲んだのだ。トラックバックのお礼にその記事にコメントを入れさせてもらった。その僕のコメントにまた違う方からコメントがあったりして、つくづくこの世界は不思議なもんだなぁ、なんて思ってる。

偽社会人さんの記事やそこに書かれたコメントを読んで、何だか僕も書きたいことが出てきてしまった。人の記事へのコメントというより、モルト侍の記事にしてもいいというレベルのものではないかとの思いもあり、記事にまとめてトラックバックをして偽社会人さんへのお礼としたいと思った。
侍、初のトラックバックである。


良質なシングル・モルトは封を切った後しばらく時間を置くと、素晴らしい味わいに変化することがあります。アルコールの強さの奥に隠されていた複雑な要素が、その蒸発とともに表に浮かび上がって来るのだろうと、僕は勝手にそんな判断をしています。
しばらく時間を置くと今日の1杯とまた違った味わいが出てきますよ。
僕は良くお客さんにそう提案します。

目の前のおいしそうなものを待てないという気持ちは良く分かります。3ヵ月後にはもう売り切れ、なんてこともありますから。出会いを大切に、目の前のものはすぐ飲む。確かにそれもひとつのセオリーでしょう。

だったら、待てない時はオーダーすればいいのです。
ただし、ゆっくり飲みましょう。時間をかけて楽しみましょう。
そのままストレートで飲むのなら、グラスにこだわる必要もないと思います。
驚くほどの変化がそこにあるはずです。
グラスに注ぎ時間とともに変化する味わいは、3ヵ月後のそれに近いかもしれません。
良質なシングル・モルトは時間の経過とともに驚くほど移ろい、僕たちの心を魅了します。
飲み干し空になったグラスにさびしい眼差しを送ることもありません。香りがこぼれてしまわないように、グラスをそっと手に取り鼻孔をグラスの中に潜らせてみて下さい。
注ぎたての香りとは確実に違う香りが存在します。
その香りは僕にとって、良質なシングル・モルトであるひとつの証左です。

僕の記事に何かを感じていただいて、バンフを飲んでいただいた偽社会人さんに感謝をします。
侍、初のトラックバック。誰かのご迷惑にならなければ良いのだが。
ちなみにこの人、コーヒーのことにお詳しいようで、実は僕はコーヒーの記事が好きだったりします。

もちろん、こちらもよろしく。


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一筆啓上、瓶詰業者(その4)

ボウモアの生産者
今日記事にしようと思うのは瓶詰業者の話からは少しずれてしまうかもしれない。そもそもこんなにもたくさんの独立瓶詰業者を輩出する下地、その前提について話をしようと思う。また前置きが長いとツッコミを入れられそうなので、お断りを申し上げておく。ただこの前置き、僕は重要だと思うのだが。

僕の敬愛するシングル・モルトの父、マイケル・ジャクソン氏のモルト・ウィスキー・コンパニオン。あるいは土屋守氏のスコッチモルト大全。それらの著作には、それぞれ100を越えるシングル・モルトの蒸留所が紹介をされている。つまり、手に入れて飲もうと思えば飲めないこともないという蒸留所は100くらいある。しかし閉鎖や休止などの事情により、そのすべてが現在も稼動中でシングル・モルトを生産している訳ではない。閉鎖や休止の蒸留所のシングル・モルトが何故飲めるのか。有り体に言ってしまえば、在庫をたくさん抱えているからだ。裏を返せば、在庫をたくさん抱え生産調整という意味合いで閉鎖や休止に追い込まれるということでもある。

その100ほどもあるシングル・モルトの蒸留所の中で、自ら瓶詰め(ボトリング)の設備を所有するのは、スプリングバンクとグレンフィディックのふたつの蒸留所だけである。自分達で造ったシングル・モルトを自分達で瓶詰め(ボトリング)できるのは、このふたつの蒸留所だけということになる。ということはそれ以外の蒸留所はいづれにしても、「誰か」に瓶詰め(ボトリング)をお願いしなければならない。そうでなければエンドユーザーである我々のところに瓶詰め(ボトリング)されたシングル・モルトは届かない。

いづれにしても、「誰か」に瓶詰め(ボトリング)をお願いしなければならない。
先ほど僕はそう申し上げた。皆さんも気になると思う。「誰かって、誰?」。

ここから先は僕の推論である。酒飲みの戯れ言、勝手な言い分、酒を飲みながらのひとり遊びである。
僕の父さんはその著作の中でキーワードを残してくれている。ありがとう、父さん。

父の著作「モルト・ウィスキー・コンパニオン」には、アルファベット順にシングル・モルトの蒸留所が紹介されている。父の解説には実は分かりづらい部分が多いのだが、英語で記載された蒸留所の名前の次に「生産者」とある。そしてこの欄には「ディアジオ」「シーバス・ブラザーズ」「アライド・ディスティラーズ」など、大手の国際的飲料会社の名が多く記載されている。この「生産者」という言い方が分かりづらいと思ってしまうのだが、「生産者」=「所有者」と考えて問題はないと思う。確かに例えばグレンファークラスのような、一族による家族経営的なニュアンスを残す私企業が蒸留所を所有しているケースもある。この蒸留所の所有者である「J.&G.グラント家」にしてみれば、「我々は単なる蒸留所の所有者ではなく、シングル・モルトの製造に関わる生産者である」という意気込みのようなものを持っているのかもしれない。そしてその思いを汲み取りたいと思ったからこそ、父さんはわざわざこの欄を「生産者」としたのかもしれない。
余談だが「ボウモア」「オーヘントッシャン」「グレン・ギリー」の3つの蒸留所の「生産者」の欄には「モリソン・ボウモア・ディスティラーズ」とある。ご存知の方もいるかと思うが、この「モリソン・ボウモア・ディスティラーズ」、現在の所有者はサントリーである。

話を戻そう。先日の記事で蒸留所元詰というニュアンスのあるものを「オフィシャルもの」というのが一般的だと説明をした。何だか歯切れの悪い説明だなと、僕自身思わなくもない。どこで、誰が、どんな意向で瓶詰めをしているのか、今ひとつ分かりづらい。「オフィシャルもの」というからには、蒸留→樽に入れる→熟成という過程を経て、蒸留所の敷地の中に瓶詰めの設備で瓶詰めされるのではないか。そんなイメージを持たれてしまいがちだ。確かに、「オフィシャルもの」という言葉の持つ本来的な意味を考えるなら、瓶詰めの設備を持たないのはおかしいのではないかという気持ちも分からなくはない。だけどそうであれば、グレンフィディックとスプリングバンクだけが、「オフィシャルもの」ということになってしまいかねない。
何故、蒸留所が瓶詰めの設備を持たないのかというと、その必要がないからである。元来、シングル・モルトにはブレンデッド・ウィスキーの原酒として発展して来た経緯がある。原酒というと何だかカッコ良さげであるが、要するにブレンデッド・ウィスキーのための一次加工品である。ほとんどの蒸留所は親会社の作るブレンデッド・ウィスキーのために、一次加工品であるシングル・モルトを作る下請工場のようなニュアンスが強かった。であるならば、瓶詰めの設備はいらないのである。樽のまま出荷すれば良いのだ。わざわざ瓶詰めする必要はない。
シングル・モルトがシングル・モルトとして脚光を浴びるようになってきたのは本当にここ10年位のものなのである。以前「一筆啓上、スペイサイド(その4)」でも同じようなことを記事にした。お暇な方はこちらも合わせて読んで欲しい。

父の著作(モルト・ウィスキー・コンパニオン)の中で「生産者」の欄に記載されている親会社は、概ね瓶詰めの設備を所有している。親会社の傘下にある蒸留所のシングル・モルトは、その設備を利用して瓶詰めされているのだろう。現在一般的に「オフィシャルもの」と呼ばれるシングル・モルトは、親会社の設備を利用して瓶詰めされているもの、あるいは生産者の手配により瓶詰めされているもの、と考えてもいいのだと思う。つまり「オフィシャルもの」は親会社、生産者の意向により瓶詰めされたものということである。

もちろん、来週に続く。

刺客より返答

昨日の提案にさっそくであるが刺客からメールにて返事が届いた。
件名に「辻斬り!」とある。フンっ!!

************************************
モルト侍さん新しいルールは了解です!
もちろん受けてたちますよ(w
************************************

いやいや、まずはこちらの申し出をこころよく了解してくれた刺客に感謝をしよう。
敵に塩を送る、その義を重んじる態度。天晴れである。かたじけない。

しかしである。昨日は営業中に散々な目に合った。

侍と刺客の戦いに「ポイント制」とは如何なものか。
「シリーズ制覇」って、カタカナはやめてくれ。
近代化の波に押され、侍は腑抜けになったか。
「ハラキリ・モルト」は侍の血の味がする。

ひどい言われようである。

さて、ハラキリ・モルトは順調に少しづつなくなっている。
確実に飲みたい方はお早めに。金曜までは持つと思うのだが。

明日からであるが、侍は本来の姿になる。
刺客が現れる前の記事。瓶詰業者についての記事を続けて書いていこうと思う。
仕切り直しである。

刺客との対決に関する提案。

クライネリッシュ32年
さて、まだまだ記憶に新しい先日の刺客との対決であるが、前回の敗戦で侍の3連敗が決定した。もちろん今回、刺客との最初の取り決めに従って侍は「ハラキリ・モルト」を用意させて頂く。予定通りのクライネリッシュである。本日からのご提供。大特価¥1,200(税別)。お一人様一日一杯限りの限定品である。よりたくさんの方に飲んでいただきたい。たくさん飲みたい方は毎日来てくれ。

しかしこの闘い、このままのルールで続けて行くのは、ちょいとばかり侍に分が悪いのではないかと思っている。刺客にルールの変更を申し出たい。
何しろプレッシャーがキツイのだ。刺客が出題するのはただひとつの蒸留所のシングル・モルト。侍が解答の選択肢として持つのはスコットランドのすべての蒸留所。数で言えば100以上になる。しかも答えられるのは一回だけ。100以上ある選択肢の中からひとつの答えを選び、しかも一回で当てなければならない。いくらなんでも、これでは分が悪過ぎる。

どのようにルールを変更したいかという主旨を説明しよう。
簡単に言えば、「引き分け」と「判定勝ち」という結果を組み入れて頂きたいということだ。

刺客は出題するシングル・モルトを誰にも知らせずひとりで決める。そのシングル・モルトを小さなボトルに入れる。もちろん容器を移し替えているのでボトルを見た限りでは中身が何かはわからない。刺客はその小さなボトルをジェイズ・バーに持ってくる。そしてそれをジェイズ・バーのカウンターの上に置く。そこで一旦侍は店の外に退席する。刺客は侍が完全に退席したことを確認し、店内にいる者すべてに出題するシングル・モルトの蒸留所名とその特徴を説明する。説明が終わった後、再び侍は店内に戻り勝負が始まる。

第1段階:勝利
侍はシングル・モルトを味わいつつ直感やひらめきを大切に、あるいは合理的に論理的に蒸留所を推理し答えを考える。ノー・ヒントの状態でひとつの蒸留所名に解答を絞り込み、その蒸留所名をメモに書いて刺客に渡す。メモを渡された刺客はそれを読み上げ、正解・不正解を発表する。メモに記入し刺客に渡すという行為は、口頭で答えを伝える際ギャラリーの反応を見て侍が正解を掴みやすくすることを阻止するためである。もしもこの時点で侍が正解をしたら完全勝利、「+1ポイント」を獲得する。この時点で不正解の場合、次の勝負に移る。
第2段階:判定勝ち
完全勝利を逃した侍は判定勝ちを狙わなければならない。侍は正解と思われる蒸留所名を3つ選びメモに記入し刺客に渡す。刺客はその3つの中に正解があるかないかを答える。もしもその3つの中に正解があった場合、侍はその中からひとつの蒸留所名を答えとして絞り込み解答する。もしもこの時点で正解をしたら判定勝ち、「+0.5ポイント」を獲得する。
最初に選んだ3つの中に正解がなかった場合、あるいは最初に選んだ3つの中に正解はあったが絞り込みに失敗した場合、次の勝負に移る。
第3段階:引き分け
判定勝ちを逃した侍は引き分けを狙わなければならない。侍は正解と思われる蒸留所名をひとつ選びメモに記入し刺客に渡す。刺客はメモを読み上げ正解・不正解を発表する。もしもこの時点で正解をしたら獲得ポイントは「±0」。
第4段階:敗戦・玉砕
引き分けを逃した侍は悲しいことに後がない。侍は正解と思われる蒸留所名をひとつ選びメモに記入し刺客に渡す。刺客はメモを読み上げ正解・不正解を発表する。もしもこの時点で正解を逃したら侍の敗戦、損失ポイントを「-1ポイント」とする。

一月に一度、勝負を上記のように執り行う。累計獲得ポイントが「4ポイント」を超えると侍の「シリーズ制覇」。刺客は個人所有のシングル・モルトを1本、侍に進呈する。累計損失ポイントが「−3ポイント」を超えると刺客の「シリーズ制覇」。侍は刺客を通じ「スコッチ・モルト販売株式会社」に発注をし、同社よりシングル・モルトを1本購入。ハラキリ・モルトとしてジェイズ・バーの顧客に特別価格で提供する。

以上である。
どうだ、刺客。この条件、飲んでくれぬか?

ハラキリ・モルトのお知らせ

突然の刺客の登場で予定していた記事が投稿できないのであるが、ついでである。今日と明日、侍と刺客について記事にしようと思っている。

昨日はお知らせしなかったが、今回の「ハラキリ・モルト」は刺客と協議の結果クライネリッシュにさせていただくこととした。サンプルを試飲させて貰ったのだが、刺客の言う通りうまいシングル・モルトだった。どちらかというとクライネリッシュにはナッツっぽさを多く感じるのだが、こいつは非常にフルーティ。しっとりとした爽やかさを感じる。あえて僕の感覚でどんなフルーツに近いかを言わせていただくと、マンゴーだろうか。暑い夏の日に冷房の効いた室内で冷蔵庫で冷やしたマンゴーをいただく。そんな気分のシングル・モルトだったと思う。詳しいテイスティング・ノートはまた次回。熟成年数は確か30年を超える商品。オフィシャルものではないはずだが、瓶詰業者の名前は分からない。アルコール度数は僕の感覚では45度より少し上くらいだろうか?そんなに強い酒ではない。いやしかし、何を注文したのかも分からないとは、無責任な話である。良く考えてみれば、あれは本当にクライネリッシュだったのだろうか?確かにありきたりなクライネリッシュの特徴とは少しづれている。確かに僕自身、仕入れ値を確認しなかったのは迂闊だったかもしれない。
刺客、そんなに高くないよな?
でも、ご心配なく。間違いなくうまい酒だ。恐らく、今日か明日には飲んでいただけると思う。もちろん「切腹価格」でのご奉仕。1杯、¥1,200である。「モルト侍を見たのですが」と言って頂ければどなたでも飲んでいただける。条件はひとつ、


クリックをお願いしたい。

侍と刺客が「していること」についてお話をしたいと思う。
僕たちは十分に話し合ってこれを記事にしている訳ではない。だから、侍と刺客の思いには少しのブレはあるのかもしれない。申し訳ないがそんなことはすっ飛ばして僕の思う勝手なことを話したいと思う。
多くの読者やお客様の立場からすれば、侍と刺客はプロの立場にいるのだと思う。僕も刺客も、そう思われることから逃げようとは思わない。僕たちはそれを重く受け止めざるを得ない。それは働く男の自覚であり誇りでもある。
もちろん侍と刺客の仕事に違いはある。刺客はスコットランドで生れるシングル・モルトを選び買い付けること、侍は彼らが選んだシングル・モルトを買いジェイズ・バーのお客様に飲んでいただくこと。立場は違うがいずれにしても僕たちの共通点は、シングル・モルトをそれぞれの仕事の軸に捉えようとしていることだ。
そもそも僕たちの出会いは飲み屋のオヤジと酒屋の営業というところから始まっている。簡単に言ってしまえば互いの利害が両者を結び付けているだけだ。だけどやはり、それだけで終わらない可能性をはらんでいるのが、人と人の出会いなのだと思う。もちろん始まりはビジネスだ。利害があるから結びつく。侍が刺客を裏切ったこともあるだろうし、侍が刺客に裏切られたと思ったこともあったかもしれない。しかし、そんなことは微細で瑣末な事と言えるくらいに、僕たちは関係を積み重ねて来た。ゆっくりと時間をかけて、関係を積み重ね、僕たちはある種の信頼関係を築くことができているのだと思う。そして僕たちはその築いたものを大切にしたいと思っている。
僕たちの仕事の軸はシングル・モルトだが、それより以前に、あるいはそれより以上にシングル・モルトが好きなのだ。できる限りお節介なことはしたくないと思いつつ、シングル・モルトを知らない人にシングル・モルトを楽しんで貰えたらと思っている。
何も大袈裟なことはないのである。シングル・モルトだって酒である。酒である以上ただの嗜好品である。どんな形であれ楽しければいいのだと思う。先人や上級者はそのコツを知っているかもしれないが、楽しみ方にセオリーはない。むしろ楽しくないのなら飲まない方が良いとさえ思う。どうしたら楽しんでもらえるか?つまるところ、侍も刺客もそんなことを考えて働いている。もちろん、自らの楽しみのために他人に迷惑をかけてはいけないが。
僕たちはシングル・モルトにまつわるカタっ苦しさのようなものを取り払いたいと思う。もちろんシングル・モルトの世界は奥行きの深さも幅の広さも十分にある。そうである以上、知識があればまた違った楽しみが増えるのも確かである。だけど、知識のないものは楽しめないなんていう先入観を持つことは愚かだ。誰だって違うシングル・モルトを比べて飲めばその違いを理解する。違いが分からなかったらどうしようなんて、絶対に心配することはない。違いが分かれば好き嫌いが発生する。好き嫌いを知れば楽しみは自己増殖していく。侍と刺客の思いはそこにある。
オレは間違ってるか?刺客。

侍も刺客もそして皆さんも、いづれにしても僕たちはシングル・モルト評論家ではないのだ。僕たちは自らの言葉で自らの好き嫌いを語ればいいのだ。誰かに向けてシングル・モルトの良し悪しを語る立場にはいない。正解などないのだ。楽しみのために飲んでいるのだ。

比べて飲み、好き嫌いを理解する。そこに正解はない。
それはまさに侍と刺客の対決によって訴えたいことである。
だから、侍は正解しないのだ。わざとである。

皆さんのツッコミに期待しよう。皆さんの言いたい事はこの侍が受け止める。
でも最近は本気で当てたい。

桜咲く、春の対決

春の対決
午後11時頃、刺客は現れた。不敵な笑みを浮かべている。いざ、勝負。闘いの時である。
金曜の夜ということもあってカウンターは満席。店内はちょっとバタバタしていたかもしれない。刺客は鞄の中から本日のお題を取り出すとカウンターの上に置いた。

ご存知の方もいるだろう。あるいはお察しの方も多いかもしれない。
侍はまた返り討ちをくらった。3連敗である。もちろん、約束通り「ハラキリ・モルト」を用意させてもらう所存だ。明日、明後日くらいには飲んでいただくことは可能になると思う。そういう意味では、皆様のご期待に沿うことはできたのだろう。御不満はあるまい。

いつもの事であるが、やはり口惜しい。悔やんでも悔やみ切れない。
今回の答えは「バンフ」。刺客も少々ムキになってきたようだ。「バンフ」というマイナーな蒸留所の選択は彼の本気を表している。

結局のところ大切なのは直感を信じろということである。反省し肝に銘じておこう。
一口飲んだ瞬間、僕はこの味を知っている。そう思った。必ずどこかで飲んだことのある蒸留所だ。信じて頂けないかもしれないが、僕の頭の中に最初にひらめいたのも実は「バンフ」。僕は「これはバンフだよ」そう何度も繰り返し言っていた。
推理を組み立てて行く上でカギとなったのは、華やかさ、味の濃さ、若干の塩っぽさ、あからさまにピーティではないところ。蒸留所不特定のまま僕が出した結論は、ハイランドあるいはスペイサイドの沿岸部の蒸留所、ということである。クライネリッシュ、オールド・プルトニー、バンフ、インチガワー、バルブレア、グレングラッサ。その辺りの蒸留所であろうと考えた。
恐らくクライネリッシュではあるまい。何故ならクライネリッシュであればナッツのような特徴があってもおかしくないからだ。
オールド・プルトニーとも少し違うかもしれない。何故ならオールド・プルトニーにはより多くのミネラルの味わいを感じる。しかし、オールド・プルトニーの可能性は低くない。
バンフの可能性はかなり高いと思った。目の前のシングル・モルトは僕の中のバンフの特徴に適っている。ただ不安だったのは、ここまで長期熟成のバンフを僕は恐らく飲んだことがないだろうということだ。
インチガワーとグレングラッサは外しても構わないのではないか。何故なら市場にさほど流通していないのではないかと思ったからだ。
バルブレア、これは少し曲者だ。長期熟成タイプであるなら、バルブレアの可能性は否定できない。しかし、もしもバルブレアであるなら、もう少し甘味と酸味が強くないだろうか。
そう考えると妥当なのは、1.バンフ、2.オールド・プルトニー、3.バルブレア、ということにならないだろうか。
「バンフ、バンフ」、刺客の耳に届くように僕は何度となく呟いた。「ファイナル・アンサーですか?」、刺客はそのたび何度となく聞き返してきた。「いやいや、もう少し考えさせてくれ」、僕はそうやって答えを出すのを先に延ばした。良く考えよ。今日負けたら「ハラキリ・モルト」を用意しなければならない。
父の力を借りることにした。パラパラと父の著作のページを手繰る。
ハイランドあるいはスペイサイドの沿岸部の蒸留所。合理的に推理を組み立てて行けば答えはそこにあるはず。しかし、切り口を切り替え、視点・視座を切り替え、もうひとつの可能性について考えなければならない。ハイランドあるいはスペイサイドの沿岸部の蒸留所。本当にその中に答えはあるのか?他に可能性はないのか?
あるページで僕の手は止まった。「BRAEVAL(ブレイヴァル)」、かつてブレイズ・オブ・グレンリベットと呼ばれていた蒸留所。いやいや、そんなことはない。もしもブレイヴァルであるなら、もっと分かり易く甘いはずだ。ハチミツのような奥行きのある甘味。父はブレイヴァルを指してトフィーといっている。侍の手にするこのシングル・モルトはそこまで甘くない。いや、しかし、少しづつ甘くなって来ているではないか。いや、騙されてはいけない。ここまで長期熟成のシングル・モルトであれば、ここまで酒質のしっかりしたシングル・モルトであれば、時間が経てば必ずしっかりと甘味は出てくる。時間の経過とともにごく当たり前の傾向だ。しかし悩ましい。
バンフ、オールド・プルトニー、バルブレア・・・ハイランド・モルト
ブレイヴァル・・・スペイサイド・モルト
次は地域を絞り込まなければならない。ハイランドかスペイサイドか。まず地域を絞り込み、その上で蒸留所を当てる。地域を絞り込む時点で間違えがあったなら、侍の負け。
バンフ、オールド・プルトニー、バルブレアを念頭に置き、ハイランドと答えるか?
ブレイヴァルと考えてスペイサイドと答えるか?
焦るな侍。一口飲んだ瞬間の感覚を思い出せ。その時お前は何を思った?「この味を知っている」ではなかったか?お前はブレイヴァルを知っているか?

「よし分かった。正解はスペイサイド」
「ファイナル・アンサー?」
「ファイナル・アンサー」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「ざんねーん」

斬られた。正解はハイランド・モルト、バンフ。
泣くな侍。舞い降りてきた直感を貫き通すことができなかったお前の負けだ。


さて、話は変わるが、今日は雨が降っている。
切れ間のない雲からちょっぴり大粒の雨が降っている。
地面を叩く雨音はリズムを刻み、何故だかそれが心地良い。
この心地良い雨は、夕刻に悲しい雨に変わるのだろう。

人は誰も、誰かの人生の延長戦を生きるべきではない。
人の人生は、その死によって完全に閉じられる。
その人生を受け継ぎ生きようとすることは、死者を冒涜することである。
人は誰も、自らの人生の続きを生きればいいのだ。
人は誰にも、今日までの人生があるのだから。

思い出してあげればいい。それだけでいい。
故人に向かい手を合わせ、僕はあなたを忘れないと、
そうつぶやけばいい。

僕はあなたを忘れない、でもそのつぶやきはやがて嘘になる。
人は忘れる。時々忘れる。そしてそれでも、時々思い出す。
故人は僕を恨まない。きっと。
亡くなった人を僕は見送ろう。
亡くなった人は僕を許すだろう。

今週の御礼

昨日は多くの方に集まっていただいた。
ありがとうございます。
刺客には世話になった。何より感謝を申し上げたい。
しかし、刺客。昨日は集金を忘れて行ったぞ。
侍も興奮が納まらず失念しておった。すまぬ。
次回からはまず、集金から始めよう。

ご報告、反省の弁は来週にさせて頂きたい。
お楽しみに。

朝方5時頃、焼肉屋の店主である友人が顔を出した。
モトム君、カツラ君。どこで食事をしようが構わない。
しかし、少々おしゃべりが過ぎるのではないか?
侍の失態は既に伝わっておったぞ。

カツラ君、OSより伝言あり。
昨日のコメントを見よ。



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緊急告知

昨日深夜12時前、刺客より「果し状」が届いた。
営業中に電話が鳴った。丁度その時、侍は店の裏で食事中。腹が減っては戦はできぬ。
電話に出たのは荒木君。何やらモゾモゾと話をしている。「少々お待ち下さい」。
もしや、これは。

前回、刺客が現れたのは一月前。「それでは桜の散る頃に」、刺客は捨て台詞を残して立ち去った。甘いぞ刺客、お前の読みは甘い。今年の桜は遅咲きなのだ。今、池袋の桜は満開である。侍は池袋のジェイズ・バーにも桜を咲かせてみよう。

いやしかし、わざわざ「果し状」を送りつける刺客というのも如何なものか。刺客とは暗殺者の意である。予告殺人か?侍も舐められたものである。さらに一言申しておこう。電話口で自ら「刺客でーす」などと言うのもどんなものだろうか?
確かに自ら侍気取で「モルト侍」なんて名前をつけておきながら斬られっぱなし、なんていう僕も情けない。

のんびりとしていられない。刺客は本日現れる。

侍と刺客の決戦は今夜。時刻は未定。
ライブでご覧になりたい方、ジェイズ・バーにご来店下さい。
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一筆啓上、瓶詰業者(その3)

セラー13と15年
まずはこの写真から。
これはいわゆる「オフィシャルもの」のグレンモーレンジ2本。左から蒸留所元詰めの「セラー・13」という銘柄と「15年熟成」のグレンモーレンジ。ある意味これは分かりやすい。この両者の共通点はグレンモーレンジという蒸留所のシングル・モルトであること。そしてそうであるが故にラベルのデザインは似ている。でも似ているがちょっと違う。そしてその「似ているがちょっと違う」という認識は、「同じ蒸留所のシングル・モルトだが、銘柄が違う」という理解に通じやすい。そしてその理解は正しい。

モレンジ3本グレンモーレンジ蒸留所は他にもオフィシャルものとしていくつかのラインナップを揃えている。こちらの写真はかつてジェイズ・バーで扱ったことのあるグレンモーレンジのうちの3本。左から「グレンモーレンジの18年熟成」「グレンモーレンジのコート・ド・ボーヌ・ウッド・フィニッシュ」「グレンモーレンジのバーガンディ・ウッド・フィニッシュ」。上の写真と合わせて見比べて欲しい。デザインの共通性を感じていただけると思う。つまり「似ているがちょっと違う」ということ。それは「同じ蒸留所のシングル・モルトだが、銘柄が違う」という理解に通じる。
オフィシャルもののデザインには共通性を持ちながら分かりやすい違いがある。そんなボトルを見たら、同じ蒸留所のシングル・モルトだが銘柄が違う。オフィシャルものであればそう解釈してもらって構わないと思う。
ポイントはひとつ。蒸留所名に注目すること。ラベルを良く見て欲しい。オフィシャルもののシングル・モルトはその蒸留所名を大きく書いてある。そして大きく書かれた蒸留所名には同じ書体が使われる。

スクロールして昨日の記事を見て欲しい。独立瓶詰業者のシングル・モルトについてはオフィシャルものと正反対のことが起きる。
昨日紹介したイアン・マキロップ社の3本も「似ているがちょっと違う」という状況だ。しかし独立瓶詰業者のシングル・モルトの場合、「同一の瓶詰業者の同一の銘柄であるが、蒸留所が違う」ということになる。オフィシャルものにおける「同じ蒸留所のシングル・モルトだが、銘柄が違う」という状況と真逆になる。
混乱を避けるためのポイントはここでも一緒。蒸留所名に注目すること。
昨日紹介したイアン・マキロップ社の3本。良く見てほしいのだが、デザインが似ているなんて事以上のものを感じないだろうか。このラベルのデザインはある種の「初期設定」「ひな形」である。中身の種類の個別性に対応してそのデータだけを差し替えている。そんな風に見えないだろうか。そしてだからこそ4月5日の記事のようなことが起きる。
ここでもポイントはひとつ。蒸留所名に注目すること。
それを理解することで僕たちは混乱を遠ざけることができる。

一筆啓上、瓶詰業者。(その2)

マキロップ並べて3本

さて、まずは今日の写真から。
昨日と使っているボトルは同じなのだが、写真が見づらいとのご意見を数件頂いた。何だかちょいと口惜しい気がしたので撮り直してみた。まぁ確かにこの方が美しいとは思う。
昨日は瓶詰業者の存在がシングル・モルトを飲む人たちに少々混乱を招く場合があるということを記事にした。今日は瓶詰業者について基本的な説明を簡単に施したいと思う。

瓶詰業者の話ばかりを進めていたのでは片手落ちになってしまいかねない。シングル・モルトの瓶詰の話に的を絞れば大きくふたつに分類する事ができるからだ。ひとつは昨日も話に出てきた瓶詰業者によるボトリング、一般的に「ボトラーズもの」と呼ばれるもの。もうひとつは「オフィシャルもの」といわれる。シングル・モルトの蒸留所は親会社の傘下におさまっている。オフィシャルものとはその蒸留所を所有する会社が蒸留所の名前を印刷したラベルをボトルに貼って販売する商品のことである。それらの商品は蒸留所元詰というニュアンスを持つのでオフィシャルもの、という言い方をするのが一般的だ。そのことを「オフィシャル・ボトル」とか「蒸留所(ディスティラーズ)・ボトル」とか言うこともある。
それに対してシングル・モルトの蒸留に携わらない会社が自前でボトルとラベルを用意し、買い付けたシングル・モルトを自社のブランドで販売している場合がある。蒸留所を所有しない独立した会社の独自の判断によるものであるため、一般的には「独立瓶詰業者(インディペンデント・ボトラーズ)」という言い方をする。そのことを指して僕らは「瓶詰業者」という言い方をしてしまうが、ある意味それは正確ではないかもしれない。オフィシャルものだって瓶詰をする業者の手に委ねられてボトリングされるのだから。

シングル・モルトを取り巻くそれらの状況は、アーティストと大手レコード会社の関係に似ているかも知れない。大手レコード会社とうまく契約を結べないアーティストはインディーズのレコード会社と契約しレコードを売り出す。マーケットには隙間が存在するからだ。
100人のファンしかいなければ、大手はなかなか手を出さないかもしれない。インディーズの出番である。100人のファンのために商品の数を100揃える。製造された100の商品は在庫を残さず必ずすべて売れる。

アードベック テンこの写真はオフィシャルもののアードベックの10年。上の写真のいちばん左のボトルも蒸留所はアードベック。同一の蒸留所である。同じ蒸留所のシングル・モルトならば同じようなデザインのボトルにしてくれればいいのに。その気持ちは理解できなくもない。
上の写真の3本はすべて違う蒸留所のボトル。違う蒸留所のシングル・モルトならば違うデザインのボトルにしてくれればいいのに。その気持ちも理解できる。

もちろん、あなたがもしもバーに行ったら「独立瓶詰業者」とか「インディペンデント・ボトラーズ」なんて言い方をする必要はない。舌を噛んでカッコ悪い思いをする事もないだろう。例えば昨日のイアン・マキロップ社をさして「瓶詰業者」という風に言って構わない。「ボトラーズもの」でも構わない。「インディーズ系」っていう言い方をしたって気の利いたバーテンダーなら理解すると思う。
もちろん僕には通じる。
だって気が利いているから。

一筆啓上、瓶詰業者。

マキロップ3本
先週、スプリングバンクとシグナトリー・ヴィンテージ社の記事を書いた。
ある意味今回はその記事の続き。

当時の僕は蒸留所と瓶詰業者が良く理解できていなかったのだろう。蒸留所とはお酒を造る工場のこと。その工場にはそれぞれ名前が付いていて、その名前は概ねそのシングル・モルトの商品名になる。ハイランド・パークと書いてあれば、ハイランド・パークという工場でそのシングル・モルトは生産され、概ね親会社の瓶詰センターでボトリングされ、ハイランド・パークという名前で販売される。もちろんそれは、シングル・モルトとして販売される場合の話。蒸留所で生産されるシングル・モルトのほとんど大半はブレンデッド・ウィスキーの原酒として使われる。
一方、瓶詰業者とは蒸留所から買ってきたシングル・モルトを瓶詰することを生業とする業者。何故そのようなことが起きるのかというと、多くの蒸留所は自社で瓶詰の設備を持たないからでもある。その隙間に瓶詰業者は入って来る。断っておくが、瓶詰だけを生業とすることを恥ずかしいことのように思わないで頂きたい。人様が時間をかけ大切に作ったものを最後の最後にかすめ取ってしまうように思わないで頂きたい。蒸留所と瓶詰業者は百姓と悪代官のような関係ではない。むしろ彼らのおかげで我々は名も知らぬ蒸留所のシングル・モルトを飲むことができるのだ。必要なのは理解と感謝である。誤解ではない。
確かに少しだけ困ったことはある。瓶詰業者を営む彼らにだって自社のブランドに対する強い思いはあるだろう。そしてその思いは「分かりにくい」という状況を生んでいるかもしれない。お察しのことと思う。先週のブログで書いたのと同じような状況。10年以上前、僕が誤解したことと同じようなことである。

冒頭の写真を見て頂きたい。良く見ていただければお分かりと思うが、中身の同じシングル・モルトではない。蒸留所は左から、アードベック、ボウモア、カリラ、である。確かに似てる。でも、同じではない。
何故こんなことになるのか。念のため説明をしておこう。中身は違う蒸留所のシングル・モルトであるにも関わらず、ボトルやラベルのデザインが一緒になってしまうのは同じ瓶詰業者がリリースする、同一のブランドであるからだ。この場合、瓶詰業者は「イアン・マキロップ」。同社のリリースする「マキロップ・チョイス」というブランド名、シリーズ名だと考えていただいて結構だ。
同じ瓶詰業者が同じブランド名で違う蒸留所のシングル・モルトをリリースする。分かりにくい状況を生んでいる原因はそこにある。初めての方は戸惑いを隠せない。当然だと思う。

例えばの話。このイアン・マキロップ社のマキロップ・チョイスのアードベックをいたく気に入ったお客さんがいた。数日後このお客さんにまた来店していただいた。「先日はアードベックを飲んでいたく気に入っていただいたようなので、今日はカリラをお飲みになってみますか?」といってイアン・マキロップ社のマキロップ・チョイスのカリラを出す。「えっ?こないだのと一緒じゃん」。
ありがちが話だ。

繰り返すが、瓶詰業者を恨んではいけない。僕たちは彼らの仕事の恩恵に預かっている。
僕たちは彼らのおかげで様々な種類のシングル・モルトを飲むことができるのだ。例えばこのアードベック、1991年に蒸留、2002年に瓶詰。オフィシャルものに11年熟成はありえない。
次回に続く。

これから

これからのことをつらつらと考えていたら、こんな時間になってしまった。今日は荒木君が休み。ぼちぼち出勤の時間である。
昨日の夜。「寝る前にコーヒーを飲んだら、眠れなくなった」といって来店したM氏との話がきっかけだったかもしれない。なんとなく元気が出てきた横井君に勇気づけれられたのかもしれない。ランキングが2位に落ちたのは少々堪えたのかもしれない。

僕がシングル・モルトに向かうスタンスはこれからも変わらないと思う。でもこのブログに向かうスタンスはやはりまだブレがちだ。
仕方がないのだろうか。仕方がないではすまされないのだろうか。
辞めるべきなのだろうか。いや、それだけは違う。
続けるべきなのだ。

とりあえず、当たり前のことから書いていきたい。
明日からは瓶詰業者についての記事を何回かに分けて書こうと思う。
その後、地域区分について書こうと思う。

世の中の多くのシングル・モルト好きがぼんやりと理解していて飛ばしてしまいがちなこと。しばらくはそんなことを書ければいいと思っている。

今週の御礼

棚のシングル・モルト
皆様のおかげで今週1週間ランキング1位をキープすることができました。
お礼にお気に入りのシングル・モルトの写真を持ってきました。
ご自由にお使い下さい。




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似てる

スプリングバンク
似てるのだ。このふたつ、確かに似てる。
写真はスプリングバンク。僕も好きな蒸留所。シングル・モルト好きであるならば、誰にだって思い出のシングル・モルトはあるだろう。僕にとってスプリングバンクは人には言えない思い出のシングル・モルトでもある。刺客に斬られたシングル・モルトでもある。
先月、ジェイズ・バーのニュー・リリースでもオフィシャルの21年を出した。甘辛くてしょっぱい。僕はおいしいスプリングバンクを「テリヤキ」と呼ぶ。
スプリングバンク ロゴ是非とも写真をクリックしてみて欲しい。美しいボトルだ。印象的なカタチでスプリングバンクの「S」の文字。この面構えを良く憶えておいて欲しいのだ。

昔の話である。僕がまだ独立をする前、東口のレストラン・バーで働いていた頃のことだったろうか。仕入れのため僕は酒屋に行った。今から10年以上も前の話。当時世の中には瓶詰業者の手によるシングル・モルトは、まだそんなに流通していなかった。瓶詰業者の数自体もあまり多くはなかった。良く行く酒屋だったのだが、商品を大幅に入れ替えていた。店内をぐるりと一周してみるとその趣はガラリと変わっていた。シングル・モルトの品揃えが大幅に増えている。嬉しい限りだ。ある棚の前で僕はふと足を止めた。

シグナトリー ロゴ「随分たくさんスプリングバンクがあるなぁ」
棚一面に「S」がずらりと並んでいたのだ。横に5本、縦に4列だったと思う。圧巻である。ずらりと並ぶと迫力が違う。ボトルの形も皆同じ。ラベルの中央に大きく「S」。
一歩前に近付いてみた。「ん?」。
ラベルを良く見ると蒸留所の名前が書いてある。ハイランド・パーク、アードベック、リトルミル、カリラ、ラフロイグ、アードモア。どういうことだろう。「S」って書いてあるのなら、みんなスプリングバンクじゃないのか?「S」のマークが入っているのに何でハイランド・パークなんて書いてあるんだろう?

この「S」、スプリングバンクの「S」ではない。瓶詰業者であるシグナトリー・ビンテージ社の「S」なのであった。

蒸留所とはウィスキーを造る工場のこと。その工場にはそれぞれ名前が付いていて、その名前は概ねそのシングル・モルトの商品名になる。ハイランド・パークと書いてあれば、ハイランド・パークという工場でそのシングル・モルトは生産され、ハイランド・パークという名前で販売される。一方、瓶詰業者とは蒸留所から買ってきたシングル・モルトを瓶詰することを生業とする業者。当時の僕は蒸留所と瓶詰業者が良く理解できていなかったのだろう。理解が浅いが故の誤解。侍、若気の至りである。

ハイランド・パーク、シグナトリー・ヴィンテージ

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