モルト侍

池袋のショット・バー、ジェイズバーのバーテンダーが、大好きなシングル・モルトを斬る。

2005年12月

今年もお世話になりました。

大晦日である。
今年も本当にお世話になりました。お客様、そして読者の皆様には改めて感謝の意を表したい。
ありがとうございました。

このブログを立ち上げて、本日ちょうど一年になる。この一年で287本の記事を書いた。我ながら感心もするが、続けて来れたのはやはり間違いなく皆様のおかげだ。
もちろん来年も続けて行きたい。一年を過ぎてまだ言いたいことはたくさんある。日々生み出されるシングル・モルトのように心には思いが溢れ、侍は言葉を紡いで行くだろう。そこにより多くの人との共感があればとても嬉しい。


僕とあなたの間にあるひとつの物事や出来事を廻り、
僕とあなたは何か楽しみを共有することはできないだろうか。
僕が楽しいと思うことをあなたも楽しいと思い、
あなたが楽しいと思うことを僕も楽しいと思える。
素敵なことではないだろうか。
僕の悲しみをあなたに背負ってもらうのは心苦しいし、
あなたの悲しみは僕の手にあまるだろう。
だけど、
楽しいことなら一緒にできるのではないだろうか。

僕が楽しいと思うことをあなたも楽しいと思い、
あなたが楽しいと思うことを僕も楽しいと思える。
素敵なことではないだろうか。
誰をも苦しめることがない。
それは素敵なことではないだろうか。

丁寧に丹念に、根気よく諦めず、探して行けば、
僕とあなたは「Win−Win」の関係を築けるのではないだろうか。
「かわりばんこのWin−Lose」ではなく、
変わることのない「Win−Win」。
それは素敵なことではないだろうか。

僕はその素敵を目指し求める。
もちろんそこにたどり着くことなど出来ないと知った上で。

だから、実は、
それはシングル・モルトである必要はないのかもしれない。
だから、僕は、
いつでもシングル・モルトの話をする訳ではない。
僕の楽しみのすべてがシングル・モルトなのではない。
だけど、僕は、
あなたと楽しみを共有したい。


シングル・モルトは僕の楽しみのひとつだ。
シングル・モルトは僕の大切なもののひとつだ。

僕が大切にしているものを、
あなたも大切にしてくれないだろうか。
あなたが大切にしているものを、
僕も大切にしたい。

それは何かの始まりではないだろうか。


もうすぐ今年が終わり、
そして、来年が始まる。
終わりは始まり。
ちゃんと終わらせ、
ちゃんと始めよう。


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お歳暮

モルト侍のモルト今年も残すところあと二日となりました。年末のご挨拶は改めて明日にすることとして、一年の感謝の気持ちを込めて、本日は皆様にお歳暮をお送りしたい。
写真の品。モルト侍のシングル・モルト。グレングラント1966。
本日と明日、おひとり様限定1杯。ハーフ・ショットで¥1,260でどうだ。

本日はこれにて失礼。

是非とも順位のご確認を、
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ブラインド・テイスティング(2)

本日は記事を書くのが遅くなってしまった。まずはお詫びをしたいと思う。
申し訳ない。
飲み過ぎてしまったのだ。これから築地に行くという蒔田の親方は6時過ぎに帰ったが、近くの焼肉屋「炭火焼肉あもん」の店主と朝9時過ぎまで飲んでいた。というよりヤツが帰らなかっただけなのであるが。

もちろんそんな話はどうでもいい。

昨日の続きである。
刺客の謀略について話をした。恐らく刺客は侍がどういう切り口でブラインド・テイスティングに立ち向かうかを想定し、それを逆手に取って問題の選択肢を決めているのであろうと。侍の切り口とは昨日もお話した「侍の地域区分(A,B,C,D)」である。
A:アイラ・モルト
B:アイランズおよびキャンベルタウン、ハイランド・スペイサイドの沿岸部の蒸留所
C:ハイランド・スペイサイドの内陸部の蒸留所
D:ローランド・モルト

「問題:B」に関してはそのすべての選択肢を「侍の地域区分:C」から、「問題:C」に関してはそのすべての選択肢を「侍の地域区分:B」から選んでいる。

刺客に嵌められたと、昨日は思った。
しかし良く考えてみるとこのブラインド・テイスティングの問題は刺客が考えている訳ではない。なるほど、刺客を責めてみたところで詮無いことか。
しかし、であるなら、誰の手による謀であるか。気になり「楽天のスコッチ・ショップ」を覗いてみた。ここの責任者は誰だ?「店長紹介」とある。ムムム。何と、女性の店長のようである。刺客の影に潜む忍びのものは女であったか?「くノ一」の登場か?

早速、刺客に問いただしてみた。ブラインド・テイスティングの問題を作っているのは誰だと。
刺客よりメールが帰って来た。
「すいません。副店長が決めてます!えー 男です」
なるほど。
しかしいづれにしても忍びのもの、忍者であることには変わりはあるまい。
刺客、悪代官に続きこのブラインド・テイスティングの出題者を「忍者」と命名させていただく。


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ブラインド・テイスティング

BLT本日は皆様にひと言申し上げたいことがある。先週土曜日、ジェイズ・バーでの10セットすべてを売り切った「ブラインド・テイスティング」についてである。

侍はまた刺客の悪巧みに嵌められたのかもしれない。
口は災いのもと。なのかもしれない。侍の善意の物言いを逆手に取られたようだ。
つくづく思う。あの男、謀略にだけは長けている。
今回の勝負、始まる前に先方に先手を打たれた。

詳しくご存知のない方も多かろう。楽天のスコッチ・ショップで行われている「ブラインド・テイスティング」について簡単に説明をしよう。

ブラインド・テイスティングとはつまり利き酒のこと。冒頭の写真のように小さな瓶に詰められたA,B,C,D4種類のシングル・モルトを1本づつ飲みその蒸留所と熟成年数を当てる。答えはスコットランドに存在するすべての蒸留所の中から選ぶ訳ではない。6つの選択肢から1つを選ぶ選択式だ。

素晴らしい企画だと思う。何より問題がA,B,C,D4種類のシングル・モルトであること。4種類のシングル・モルトを同時に真剣に飲めば、その4種類がそれぞれ違う味わいの特徴を持つことが誰にでも分かる。確かに選択式とはいえ、それぞれの蒸留所を当てるのは難しい。しかし、「全部違う味がするんだな」ということには誰でも気付く。しかも1セットで¥1,260。さらにその中身を考えると通常その価格では飲めないようなシングル・モルトが飲めるのだ。それが4杯分で¥1,260なのである。非常にお買い得。「4つの中でどのシングル・モルトが一番好きだろうか?」。それを知るためだけでも楽しい企画だ。

裾野を広げて頂点を高くする。
日頃からそれを使命とする侍の立場からも、是非とも皆様にお薦めしたい企画なのであった。

しかし、今回はまんまと一杯喰わされたようだ。

A,B,C,D4種類のシングル・モルト。つまり問題が4問ということだ。A,B,C,D、それぞれに6つの選択肢が提示される。もちろん当たり前だ。
「問題:A」について文句は言うまい。しかし「問題:B」、「問題:C」については黙ってはいられない。侍は臍を噛んだ。悔やんでも悔やみ切れぬ。憤怒である。

いやいや、まずは落ちつこう。
侍の提唱するシングル・モルトの味わいを基にした4つの地域区分をご存知だろうか?
詳しくはこちらをご覧いただきたいが、簡単に説明をすると、
A:アイラ・モルト
B:アイランズおよびキャンベルタウン、ハイランド・スペイサイドの沿岸部の蒸留所
C:ハイランド・スペイサイドの内陸部の蒸留所
D:ローランド・モルト
ということになる。少しだけ補足をさせていただくが、
その味わいからシングル・モルトの蒸留所を4つに分けて考えられないだろうかという思いに至ったのは、侍がシングル・モルトの中に含まれるヨードを「ダシ」と考えることはできないだろうかと発想したことに始まる。確かにダシといっても様々な種類があるが、日本の食文化に欠かせない存在であるダシ。このキーワードは多くの日本人にとって、非常に暮らしに密着したピンと来る言葉である。そしてアイラ島を含め他の島モルトやハイランド地方の沿岸部の蒸留所には概ね「ダシ」の要素を感じるのだ。
例えばもしもあなたがハイランド・パークをおいしいと思ったら、ハイランド・パークに含まれる「ダシ」っぽい味わいに反応しているのかもしれない。そんなあなたが「何か違うものを飲んでみたい」と思ったとする。ハイランド・パークは地域区分でいえば「アイランズ(島)・モルト」である。であるからあなたは従来からの地域区分である「アイランズ(島)・モルト」にあなたの好みがあると思ってしまうかもしれない。そして例えば、あなたはタリスカーを飲むかもしれない。そしてあなたはタリスカーを好きにならないかもしれない。一番残念なのはそれから先あなたがシングル・モルトを飲まなくなることだ。侍はそれを危惧する。

ハイランド・パークを飲んでおいしいと思い、他のアイランズ(島)モルトを飲んでみようと思い、タリスカーを飲んでまずいと思ったら、あなたはブローラ(ハイランド地方沿岸部)を飲んでみるべきだったのかもしれない。侍はそう思うのだ。

ハイランド、スペイサイド、キャンベルタウン、ローランド、アイランズ、アイラ。従来からの6つの地域区分だけで考えると時々混乱してしまうことがある。それを少しでも解決する手立てはないだろうか。それが侍の4つの地域区分の始まりであった。僅かあではあるが理解していただけている人は少しづつ増えているのではないだろうかと思う。侍は混乱を少し整理したかったのだ。

さて、それでは「問題:B」の選択肢を見てみよう。
1.トミントール
2.グレングラント
3.グレンリデット
4.マッカラン
5.クラガンモア
6.アベラワー
以上6つだ。ひと言申し上げておこう。その6つはすべて侍の地域区分から言えばどれもが「C」だ。

それでは「問題:C」の選択肢を見てみよう。
1.バンフ
2.スプリングバンク
3.タリスカー
4.ハイランド・パーク
5.インチガワー
6.マクダフ
もうお気づきだろう。この問題の選択肢はすべて「B」である。

刺客殿、お前は侍を混乱させようとしておるな。陽動作戦か?侍を愚弄するか!

窮地に追い込まれた侍を救ってくだされ。
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一筆啓上、ダン・イーダン(番外編)

昨日の刺客と越後屋と横井君のコメントに気を良くした侍である。本日は久々にダン・イーダンの話を進めようと思う。今年のうちにダン・イーダンについて記事を書いておきたかった。いやいや、心配は無用である。手短に済ませる。長居はさせない。

ブルイックラディ―ダン写真はダン・イーダンのブルイックラディ。実のところまだ飲んでいない。飲んでいないのでもちろんその味わいについて詳細は不明である。しかしこのブルイックラディ、侍にとっては非常にその中身の気になるシングル・モルトなのである。何故、侍はその中身が気になるのか?その意味について本日は話をしたい。

さて、まずはお馴染みの「前置き」からである。ダン・イーダンのブルイックラディを飲む前にこの前提は非常に重要である。

ブルイックラディ3本ジェイズ・バーには新旧2種類のオフィシャルのスタンダード品のブルイックラディがある。写真左が新しいブルイックラディ。右が古い方。一時期ブルイックラディ蒸留所はその稼動にブランクがあり、その再開とともにボトルのデザインを一新し、その味わいもキッチリと変えてみせた。そのことを僕は高く評価している。ブルイックラディは良い方向へ変化したのである。

ブルイックラディ蒸留所はアイラ島の一番西にある蒸留所であった。アイラ島の一番西ということは、すべての蒸留所の中でも一番西ということであるのだ。かつての旧ボトルには「最西端の蒸留所である」とプリントされていたのだが、新たにキルコーマン蒸留所の設立により「最西端の」という冠は付けられなくなったようだ。

ボトルのデザインはさて置き、味わいはどのように変化したのか。まずはそこから説明をしたい。
アイラ島のシングル・モルトであるということは、侍の地域区分から言えば「A」に属するシングル・モルトである。「A」に属するということは、その味わいの特徴はやはり「ダシ」にある。

僕は「ダシ」系のシングル・モルト(つまり侍の地域区分でいう「A」と「B」)をイメージする時、スープを連想してしまう。それは味噌汁でもお吸い物でも構わない。もちろん各種ラーメンのスープでも構わない。とにかく食事の中のスープである。まずは濃い薄いなどそのダシの取り方。そして塩加減。さらに薬味のあり方である。
シングル・モルトを一杯のスープに例えるなら、ダシとはヨード、塩味はまさにシングル・モルトの中の塩味、薬味とはピートのことであるとも言える。
おいしいスープはその3つのバランスが秀逸である必要がある。しかしシングル・モルトは嗜好品である。嗜好品である以上おいしいことだけに専念する必要はないのだ。特徴的であること、面白いこともまた高い評価を受けるシングル・モルトであるかもしれないのだ。極論だが、インパクトがあるからOK。そんなシングル・モルトがあっても構わないと思う。

かつてのブルイックラディはインパクト勝負のシングル・モルトではない。ダシの旨味のほど良く利いたライトでクリーンなシングル・モルトだ。もちろん濃過ぎるということはない。塩味も同様に強烈ではない。薄目に引いたダシにほんの少し塩味を加えた丁寧で上品なお吸い物。僕のイメージの中でかつて(古い方)のブルイックラディはそんな風だ。

しかしどうやらこの古い方のブルイックラディはあまり市場でウケが良くなかったようだ。僕は決してまずいとは思わないが、あまり売れなかったのは事実なようだ。結果として蒸留所は一時操業停止になる。個性的なシングル・モルトが出れば出るほど、このブルイックラディのぼんやりした味わいは凡庸であると判断されたのかもしれない。
丁寧にダシも引いてある。塩加減も悪くない。しかし薬味に一味足りない。
「丁寧で上品なのは分かるけど、何か一味足りないんだよね」。
多くの人にとってそれがかつてのブルイックラディであったのではないだろうか?

そんなブルイックラディがボトルのデザインを一新し、また市場にリリースされると聞いた時、僕の心はほんの少し期待で膨らんだ。そして新しいブルイックラディを飲んだ時、僕は大きくうなづいた。「これはいける」。
よりピーティに、つまりきちんと薬味を足して来たのだ。

非常に大雑把だが5段階評価であらわそう。
旧ブルイックラディ : ダシ→「2」、塩→「2」、薬味→「1」。
新ブルイックラディ : ダシ→「2」、塩→「3」、薬味→「2」。
僕はそう感じた。

さて、昨日僕はこう申し上げた。
もちろんこれは僕の勝手な解釈に過ぎないが、ダン・イーダンを僕がこれほどまでに素晴らしいと思うのは、そこに彼らのポリシーを感じるからだ。そのポリシーとは「彼ら(ダン・イーダン)の思う蒸留所のハウス・スタイルの再現された樽を選びそれを瓶詰すること」、である。もちろんそれは僕の思い込みに過ぎないかもしれないが。

彼ら(ダン・イーダン)は十分に辛味のあるロングモーンを選んで瓶詰をした。つまりその事実は彼らもロングモーン蒸留所のハウス・スタイルは本来、辛いことに特徴があると感じているのではないだろうか。ということを僕に思わせるのだ。

ダン・イーダンのブルイックラディを仕入れた。まだ封を切っていない。彼ら(ダン・イーダン)はどんな樽を選んだのだろう。彼らは何を持ってブルイックラディ蒸留所のハウス・スタイルであると思ったのだろう。楽しみである。

2006年はダン・イーダンのブルイックラディの封切りとともに始まる。

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越後屋、クリスマス・イブにロングモーンを語る。

クリスマス前夜、サンタクローズに変身する予定の越後屋がひょっこり顔を出した。先日ジェイズ・バーに来た時に半分残しておいたブラインド・テイスティングをやっつけに来たのだ。話をしながらほどなく越後屋はそれを終わらせた。

「自分へのクリスマス・プレゼントにロングモーンを」。
そういって越後屋がオーダーしたのがこのスコッチモルト販売の手によるディスティラーズ・コレクションのロングモーン。

しっかりとした芯の外側がしっとりと柔らかく、適度な甘味の心地よいシングル・モルト。きっちりとした辛味と香ばしさに特徴があり、僕の中でのおいしいロングモーンの定義である「焼きりんご」を感じさせるロングモーンだ。

そのまま越後屋とロングモーンの話がはずんだ。
彼も感じた通り、瓶詰業者のロングモーンに概ね共通して感じるのが辛味だ。その辛味はある種の切れ上がりの良さとして飲み手に印象を与えることが多い。そして長期熟成などの要因を背景に香ばしさとフルーティな甘味がそこに加わると、それらは複雑に絡み合い僕に「焼きりんご」を連想させる。

ロングモーンそれにしても何故オフィシャルもののロングモーンにはこの辛味をあまり感じないのだろう。オフィシャルもののロングモーンに辛味が少ないことは確かに決してネガティブな印象を与えない。むしろ辛くないことでバランスの取れた飲み易いシングル・モルトなのかもしれない。僕の中でもオフィシャルもののロングモーンはまさにリーズナブル。飲み易く、飲み心地が良く、飲み飽きず、秀逸なシングル・モルトだ。確かにそこにバランスを欠くほどに辛味を足しても決して旨くはならないだろう。これはこれでいいのだ。

けれど、僕の中の特別においしいロングモーンは「焼きりんご」。香ばしく、程よいフルーティな酸味があり、コクのある甘味を感じ、その最大の特徴である辛味は「焼きりんご」の上に軽く振ったシナモン・パウダーのようでもある。そうなると「焼きりんご」系ロングモーンは瓶詰業者のもの以外あり得ない。

読者の皆様に非常に不評なことで有名な「一筆啓上、ダン・イーダン」の連載であるが、もちろんまだ続きを書くつもりだ。そう、そのダン・イーダンのロングモーンにも確実な辛味を感じる。

もちろんこれは僕の勝手な解釈に過ぎないが、ダン・イーダンを僕がこれほどまでに素晴らしいと思うのは、そこに彼らのポリシーを感じるからだ。そのポリシーとは「彼ら(ダン・イーダン)の思う蒸留所のハウス・スタイルの再現された樽を選びそれを瓶詰すること」、である。もちろんそれは僕の思い込みに過ぎないかもしれないが。

彼ら(ダン・イーダン)は十分に辛味のあるロングモーンを選んで瓶詰をした。つまりその事実は彼らもロングモーン蒸留所のハウス・スタイルは本来、辛いことに特徴があると感じているのではないだろうか。ということを僕に思わせるのだ。

「ロングモーンっていうのは本当はこんな風に結構辛味が強いんだぜ」。
もしも彼らがそんな思いを込めてこのロングモーンを瓶詰したのなら、僕もその気持ちに賛成をしたい。そんなことが僕は嬉しかったりする。

明日もこの話の続きをちょっとだけする。
しかし、今日のタイトル「越後屋、クリスマス・イブにロングモーンを語る」に反して、結局喋っていたのは侍だけか?と問われればそれには反論をしたい。
なにせ、来年初めからまた「一筆啓上、ダン・イーダン」の連載を再開したいのだから。
よろしいか、皆様。少なくとも越後屋は侍のダン・イーダンに関する考察に賛同の意を表してくれた。積極的にではないかもしれないが、賛成をした。もしかしたら若干否定的なニュアンスもあったかもしれないが、賛成をした。何しろ「うーん」と唸っていたのだ。いや、もしかしたらそれは「ふーん」だったかもしれないが、でも賛成をした。
いいじゃないか!越後屋も「その話はおかしい」とは言わなかった。のだから。
だから、来年からまたちょっとだけダン・イーダンを記事にする。

いいよね?
ちょっとだけだから。

こちらも、いいよね?
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対戦者募集

誤解をしないでいただきたい。
侍は決していい気になっている訳ではないのだが、来年からの闘いについて話をしたいと思う。年が替われば月も替わる。月が替わればまた刺客もやって来る。恐らくまた1月の初旬、刺客はやって来る。

来年から闘いの方法を少し変えたいと思うのだ。気軽に考えて欲しいのだが、侍と戦いたいと思う方はいらっしゃらないだろうか?今まで1年間刺客と1対1の闘いを続けてきた。また、ジェイズ・バーの店内でも何度かブラインド・テイスティングを行ってきた。そのたびに思うのだが、ブラインド・テイスティングはやらないと面白くない。刺客と闘う時、いつも心苦しくなるのは「一番楽しんでるのは侍なのではないか?」ということ。

自らの中にあるすべての根拠を総動員して推考を重ね、銘柄の隠されたシングル・モルトを探る。この体験は非常にスリリングだ。そしてつくづく思うのは当てることが目的ではないということ。正解にたどり着くべく、どのように推論を組み立てるか。そのプロセスが一番楽しい。

昨日も刺客の用意したブラインド・テイスティングをジェイズ・バーのお客さんにやってもらったが、終了した後みな一様に言うのだ、「オレって天才かもしれない」。
アホではないかと侍は思う。モトム君などは「今回のブラインド・テイスティングの正解を侍に渡しますよ」、と言って自らの解答を寄越して来る。間抜けにも程がある。どうやら軽いのは足だけではないようだ。

来春の闘いより侍は対戦者を募る。刺客との闘いを一緒に楽しんでくれる人を募集する。よろしいか、あなたの敵は侍ではない。刺客である。確かにあなたと侍は競争をする。しかしそれは刺客の目の前にたどり着くための競争だ。そして先に刺客の目の前にたどり着いた者が、刺客を斬る。

今のところその内容は確定してはいない。おおよその構想をお伝えしておこう。
まずは刺客に問題となるシングル・モルトを用意していただく。侍と挑戦者はそれぞれにグラスにそれを注ぐ。まずは5分間、ゆっくりとテイスティングをする。5分後に侍と挑戦者は解答を紙に書いて同時に刺客に渡す。刺客は渡された解答を読み上げ、もしも正解があれば正解者の名前を発表する。解答する権利は10回づつ。先に正解を出した方が勝ち。正解が同時に出た場合には挑戦者の勝ち。もしも負ければ侍は腹を切る。

さて、大好評のブラインド・テイスティング。昨日は随分と売れた。残念なことに残りは3つ。
お早目に。


お願いいたします。
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モルト侍のモルト

モルト侍のモルト自ら頼んでおきながら、ものを目の前にするとやはりどきりとしてしまった。
モルト侍のシングル・モルトである。中身はグレン・グラント。1966年蒸留、熟成年数は38年。甘いハチミツ系のシングル・モルトであるという。楽しみにしている。

実はこのシングル・モルト。先月刺客と話をして仕入れることを決めた。
毎月刺客と闘いを行っているのは皆様もご存知の通り。先月の戦いの後、今月の特別な闘いの方法を決めた。そしてその時刺客はこう申し出た。
「それでは早速ですが、12月のハラキリ・モルトも決めてしまいましょう」。
そんな経緯で仕入れるこのになった。続けて刺客は言うのだ。
「実はですね。このシングル・モルト。ラベルに好きなメッセージを入れることができるんですよ。もしも来月(12月)、侍が負けたらそこに『ハラキリ・モルト』と入れてはいかがでしょう?」。
世の中にはひどい男がいるものだ。しかし、これにはさすがに侍も腹を立てた。
「よし分かった。お前の言う通りにしてやろう。侍が負ければ『ハラキリ・モルト』と書かれたラベルを貼ったものを買わざるを得ないだろう。しかし、もちろん侍は負けるつもりなどない。必ず勝つので『モルト侍』と書いたラベルも用意しろ」。

そして侍は勝ったのである。
つまり余ったラベルがもう1枚あるはずなのだ。侍の勝利の証でもある、貼るボトルのない『ハラキリ・モルト』と書かれたラベルが余っているはずだ。そしてその時に約束したのだ。
「侍が勝ったら『ハラキリ・モルト』と書かれたラベルは額に収めて持って来い」。

まだ、だよな。刺客。
別にかまわねぇよ。しかしお前も男らしくねぇな。


さて、そんな訳で、本日刺客がジェイズ・バーに来る。
残念ながら額に収めたラベルを持って来るのではない。ジェイズ・バーでは3回目となる「ブラインド・テイスティング」を持って来るのだ。こちらは皆さんにも楽しんでもらえる商品。
毎月刺客と侍がやっている闘いに比べたら非常に簡単。恵比寿の悪代官のやっている「ブラインドコンテスト」よりも選択肢は少ない。気軽に楽しめる大人の遊びだ。当れば嬉しいだろうが、当てに行くことよりも、先入観なく数種類のシングル・モルトを飲んで、その味わいの違うことを理解し、好き嫌いを確認することができるのを楽しんで欲しい。
もちろん本日から実施します。

ジェイズ・バーで参加すれば送料はなし。もちろん価格も¥1,260(税込み)。
4杯分でお買い得。しかも当れば賞品も。

侍との今月の闘いのこと。恵比寿詣でのこと。刺客に話を聞きたい方も是非ご来店を。

さて皆様。順位のご確認を、
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侍、鬼に笑われる。

翌年のことを言うと鬼に笑われるそうだが、潔く笑われてみたい侍である。

どうにもここ数日ぼんやり気味である。
やる気が出ないというのとも、ちと違う。何だかもう年を越してしまった感があるのだ。ちょっとした脱力感があり、しかも残念なことに軽い充実感すらあるのだ。やらねばならぬことなど、いくらでもあるではないか。と、思いながら、ぼんやりである。
刺客や悪代官と闘うことだけが侍の仕事ではないというのに、我ながら情けない限りである。

刺客との今年最後の闘いは勝利で締めくくることができた。悪代官との闘いはまだ結果が出ないが、侍なりに納得はしている。勝負に臨む態度に間違いはなかったはずだ。今年中には結果発表できるのではないかと悪代官は申しておった。あとは結果を待つばかり。もちろんこのブログでもお知らせをする。

ジェイズ・バーでも何度かやっているが、楽天のスコッチ・ショップのブラインド・テイスティングがまた始まった。皆様にもやっていただくつもりでいたのだが、今回は刺客の提案で新企画になるかもしれない。こちらも結果発表は来年。年越しの企画である。

何だかここ数日、来年のことばかり考えている。


明日からはまじめに記事を書こうと思う。
また、ダン・イーダンの記事になると思うが、しかし、人気がないんだよなぁ。
先日は刺客にもさんざんこき下ろされた。
横井君にも評判悪いし。

傷つく侍である。

よろしくお願いします。
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パンダ再び

侍の嫁かつてパンダと呼ばれ、今は侍の嫁となったこのシングル・モルト。
しばらくの間、売らないでおいた。何故なら抜栓したての頃より少しづつおいしくなる気配を感じたからだ。開けたての一杯。長期熟成のこのシングル・モルトはまだ目を覚ましていなかったようだ。あれから2週間が経ち、今本当においしくなった。

かつて侍はこのシングル・モルトに「桃」を感じたいと申し上げた。2週間前、残念ながら一杯目のそれに「桃」を感じることはできなかった。確かに今でも桃よりはバナナに近い。ゆっくりとその甘味を増しているようだ。

シングル・モルトは開けたてが一番うまいとは限らない。

販売中止としていたこのシングル・モルト。ぼちぼち皆さんに飲んでいただこうと思う。
ただし一日一杯、ハーフ・ショット限定とさせていただく。早い者勝ちである。
悪く思わないで欲しい。

よろしくお願いします。
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これが答えだ!

ブラインド・コンテスト悪代官に向けて侍の答えを発表しよう。
昨日はカリラ、アイル・オブ・ジュラ、スプリングバンクの3つにまで絞り込んだ。
最後まで侍を悩ませ続けたのは、このシングル・モルトの熟成年数をどう捕らえるかだ。当初、侍はそれを10〜15年程度と読んでいた。切れ上がりの良さと酒質の固さがそう予測させた背景にあった。しかし、時間とともにゆっくりと複雑さを増して行くところにこのシングル・モルトの面白さがある。そして恐らくこの複雑さは若さを背景にしては成り立たない。

例えばこの問題のシングル・モルトの熟成年数が若く、このような複雑な変化を持たず、バニラやカラメルのような香りを発することがなければ、カリラである可能性は十分にある。この複雑な変化の軸は甘い香りだ。であるなら、この変化のあり方はカリラを解答から排除する大きな根拠となる。

実のところ、侍を最後まで悩ませたのはスプリングバンクである可能性だ。
侍は長期熟成のスプリングバンクを指して、それを「テリヤキ」と評する。テリヤキとはつまり、甘辛くて塩っぽいということである。

一昨日、侍は悪代官と初めて相まみえることとなった。悪代官は侍に向かい刀を振り下ろした。その刃の向かう先がどこであるのか、それを予測できなければ侍は斬られる。最初にはずした7つの選択肢の中に答えがあるのなら侍も諦めがつく。残り2つにまで絞ることができたのだ、あとは悪代官の剣が空を切り地を突くか、あるいは侍が斬られるか。

悪代官の振りかざした剣は「甘辛くて塩っぽい」。
その辛さと塩味はスプリングバンクである可能性を十分に孕んでいる。そして甘くもある。しかし、しかし気になるのはその甘味。侍は悪代官の屋敷でグラスを片手に必死になって探していたものがある。
それは「ココナッツ」である。

もしも、香りの中に「ココナッツ」を感じたら、侍は間違いなくその答えをスプリングバンクとしただろう。

正直に言わせていただこう。
侍はついにココナッツが分からなかったのである。それを探り当てることができなかった。
見つけようと思うものが見つからない。今までの刺客との闘いの中でもそれは良くあることだ。ほんの一瞬「見つかった」と思うこともあるが、それはすぐに消えてなくなる。再びそれを求めて彷徨うが見つからない。まさに途方に暮れてしまうのだが、実は今年一年それに慣れた。そして侍は思うのだ。そもそも、ほんの一瞬「見つかった」と思ったこと自体が間違いではなかったのかと。

侍は悪代官の屋敷で「ココナッツ」とはひと言も口に出さなかった。
人は不思議なものだ。必死になって何かを探していると、それと似たものをそのものと取り違えてしまうことがある。「ココナッツ・・・、ココナッツ・・・」そう言いながらそれを探すことは愚かだ。バニラと思ったものをココナッツと思い込んでしまうかもしれない。その愚を犯していけない。

すべてのスプリングバンクがココナッツを感じるのかというと、もちろんそんなことはない。ココナッツを感じないスプリングバンクはいくらでもある。スプリングバンクのその甘味がバニラのように変化した可能性もある。そしてもしかしたら、そこに確実に存在したココナッツを侍が見逃していた可能性だって十分にあるのだ。

さて、そろそろ侍は決断を下そう。
侍は己を信じる。はずしても本望。

答えは、8.アイル・オブ・ジュラ。


皆様、順位のご確認を。
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年の瀬の恵比寿詣で。

まずは本日の記事が遅くなってしまったことをお詫びしたい。昨日は池袋に戻りみんなで焼肉を食い、その後バーに一件寄って侍は良く喋った。最後まで残った足軽モトムと朝まで飲んでいた。昨日は少々いい気になっていたかもしれない。

昨日、侍が悪代官の屋敷に着いたのは午後8時半頃。悪代官の所在を確かめたところ2階にいるという。スタッフの方にコートを預けて2階に上がった。まずはきちんと挨拶をして席に着いた。
落ち着かねばならない。生ビールをオーダーした。6席あるカウンター席には既に2名のお客様がいらした。聞けばこのブログ「モルト侍」の読者であるという。ありがたい。このブラインド・コンテストに参加をし、既に解答をしているという。

生ビールをいただきながら悪代官とのやり取りは心理戦の気配を帯びてきた。言葉の端々に何かを感じる。良くない傾向である。侍はひとり。この場所はアウェイ。早速勝負にかかろう。

ブラインド・コンテスト「それではお水を一杯いただいて、例のものを」。
「かしこまりました」。

香り、最初のひと口。ともにツンとした印象がある。ピーティといえばピーティ。エステリーといえばエステリー。辛味が強い。しっかりと芯の強い固さを感じる。適切にスモーキーで飲み応えと切れ上がりの良さを兼ね備える。そんなシングル・モルトとみた。
大きな特徴のひとつは塩味。そして非常に悩ましいことに、ゆっくりと確実に香りが甘くなることである。バニラのようにそして若干カラメルのように甘い香りだ。侍の言うところの「ダシ」の要素も十分に感じる。塩味でかつダシの要素。これは恐らく「A」もしくは「B」にカテゴライズされるシングル・モルトであろう。

侍のA,B,C,D区分はこちらを読んでいただきたいが、簡単に説明をすると、
A:アイラ・モルト
B:アイランズおよびキャンベルタウン、ハイランド・スペイサイドの沿岸部の蒸留所
C:ハイランド・スペイサイドの内陸部の蒸留所
D:ローランド・モルト
ということである。

ご存知の方も多いと思うが、今回は解答を12の選択肢の中から選ぶ。まずはその12の選択肢をお伝えしておこう。そしてそれぞれがA,B,C,Dのどれに相当するのかもお知らせしておこう。

1.アベラワー(/C)
2.カリラ(/A)
3.クライネリッシュ(/B)
4.ダフタウン(/C)
5.エドラダワー(/C)
6.グレンフィディック(/C)
7.グレンモレンジ(/C)
8.アイル・オブ・ジュラ(/B)
9.マッカラン(/C)
10.オーバン(/B)
11.ローズバンク(/D)
12.スプリングバンク(/B)

侍は7.グレンモレンジを(/C)としている。その蒸留所の位置からすれば十分に(/B)といえる蒸留所であるが、その味わいは非常に(/C)に近いのである。オフィシャルのライン・ナップの中で「セラー・13」などは確かにハイランド地域の沿岸部に存在するシングル・モルトであることを思わせるが、他のものの味わいはより(/C)に近い。

この塩味とミネラルな味わい。これを考えれば「C」と「D」を排除できるのではないか。侍はそう考えた。つまり、
1.アベラワー(/C)
4.ダフタウン(/C)
5.エドラダワー(/C)
6.グレンフィディック(/C)
7.グレンモレンジ(/C)
9.マッカラン(/C)
11.ローズバンク(/D)
この7つのうちに答えはない。これらのものに塩味とミネラルな味わいのものが存在する可能性は少ないはずだ。
侍は今まさに決戦の時を迎えている。根拠を持ち、可能性のないものを排除すべく、決断を下さねばならない。戦とは即断即決が要である。

さて残るは、
2.カリラ(/A)
3.クライネリッシュ(/B)
8.アイル・オブ・ジュラ(/B)
10.オーバン(/B)
12.スプリングバンク(/B)
塩味とミネラルな味わいを感じたならば、この中に答えがあると考えるのが妥当である。しかし侍はまだ悪代官の人柄を良く存じ上げない。侍の切り捨てた選択肢の中から「塩味とミネラルな味わい」のあるものを探して来られたらはずす可能性はある。もしもそうであるなら、潔くあきらめるしかない。
まして、まさかそんなことはしないと思うが、例えば「11.ローズバンク(/D)」の入ったボトルに唐辛子と塩を少量加え、10日ほど寝かせていたりしたら絶対に間違える。
イヂワルは止めていただきたい。お願いだから。

そんなことを考えていてはキリがない。答えは「A」、「B」、である5つの中にある。一言申し上げておこう。もしもこの5つの中に正解がなければ侍は腹を切る。悪代官に指定していただき刺客の手配で「ハラキリ・モルト」を皆さんに飲んでいただく。

さて、残るはカリラ、クライネリッシュ、アイル・オブ・ジュラ、オーバン、スプリングバンクの5つである。まずはこちらをご覧いただきたい。

悪代官の印象ビーム今回のブラインド・コンテストで侍はジェイズ・バー・モルト・ファイルにひとつのデータを追加することになった。この画像がその中身である。
ここから理解できるのは、今回悪代官が問いとして立てたシングル・モルトは、まず非常に切れ上がりの良いシングル・モルトであるということ。「抜ける」感じは最大の「5」である。そして柔らかくはなく、固い酒質である「2」。味わいはとても複雑、濃い目である「4」。麦芽風味を感じるかフルーティであるかといえば、そのどちらもが「2」。つまりそれはそのどちらでもなく「ダシっぽい」ということでもある。

残った5つの選択肢からまず切り捨てたのはオーバン。オーバンは西ハイランド沿岸部の蒸留所。確かに「塩味とミネラルな味わい」を感じるシングル・モルトであるが、ここまでそれの強烈なオーバンを侍は知らない。それに軸足を麦にフルーティが心地良く乗っているのが侍の中でのオーバンなのである。オーバンを切り捨てた。

次はクライネリッシュ。今回の問題は酒質の固さにも特徴がある。その固さは辛味と塩味に由来すると思われる。そしてやはりダシの要素も酒質を固くしているように思う。一方、侍が思うクライネリッシュは冷たくそして滑らかなのである。そしてそこにダシを背景にしたコク。アルコール度数がカスク・タイプのように強ければ、確かに切れ上がりの良さを感じることもあるが、「滑らかなコク」が特徴のクライネリッシュ、「ハードな飲み応え」を感じる悪代官の問い。なのである。
しかし、このクライネリッシュ、実はなかなか切り捨てられない。ポイントはこの甘い香りだ。うまく思い出せないのであるが、こんな甘い香りのクライネリッシュをどこかで嗅いだことがある気がするのだ。しかしやはり、クライネリッシュにしては塩味が濃すぎる。切り捨てよう。

さて、残るは3つ。カリラ、アイル・オブ・ジュラ、スプリングバンク。
侍の中でほぼ気持ちは固まっている。その3つのうちのひとつだ。
続きは明日の土曜か明後日の日曜にお伝えする。今週も侍の休日、土日のどちらかに記事を書く。
よろしいか悪代官殿。もう2日ほどお時間をいただきたい。
ジュラ







本当はこれだろ?
違うか?悪代官。

皆様にお伝えしたい。
金、土、日のうちにジェイズ・バーに来ていただきたい。侍の答えをお教えする。そしてこちらへ行って、「ブラインド・コンテストに参加したい」と言っていただきたい。絶対に当るから。
悪代官は土日は現場にいない。できれば来週の月曜以降に行っていただきたい。
悪代官を懲らしめろ。

相変わらず皆さんにはもうひとつお願いを、
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刺客との闘いを振り返る

今年の1月から12月まで刺客と12回にわたって対決をした。対戦成績は3勝9敗、勝率2割5分。悪くない。自分でもそう思う。

まず何より、今年1年お付き合いいただいた刺客に感謝をしたい。
仕事柄とはいえ手数をかけたと思うし、面倒なことも多かったと思う。気苦労もさせただろう。おかげさまで、侍は成長した。残念かもしれないが、結果として刺客の手強い対戦相手となったはずだ。

今年の闘いを振り返る時、僕がいつも思い出してしまうのは4月。バンフをめぐる対決のことだ。この時つくづく残念に思ったのは、直観は舞い降りて来ることもあるのだということ。自らの内側奥深くに認識することのできない論理構成があるのかもしれない。それが瞬時に組み立てられ正解を探り当ててしまうのかもしれない。確かにあの時僕は正解をバンフだと思ったのだ。残念なのはひらめいた後、それが正解であると確信が持てなくなってしまうことだ。考えれば考えるほど正解ではない可能性を見つけてしまう。

もちろんブラインド・テイスティングで正解を当てることだけを目的に酒を飲んでいる訳ではない。酒は快楽のために存在するのだ。素直においしいと思うものを飲むことは快楽であるし、好きな人と酒を飲むことも快楽である。もちろんそれだけで十分ではないかと言われれば、それに賛同する。ただ僕は理解することにも快楽を感じ始めてしまった。

僕はシングル・モルトの世界をひとつの森のように感じている。森はいくつかの林で構成されている。そしてその林は1本1本の木で成り立っている。その1本1本の木こそがひとつの蒸留所であり、その幹から出る枝や枝に付く葉や花や実こそが瓶詰されたシングル・モルトのボトルである。

僕は大好きなその森をどうにか上手く散歩ができるようになりたいし、上手に道案内ができるようになりたい。優秀なツアー・ガイドになりたい。

いつも同じ木ばかりに寄り添っている人の邪魔をしたくはない。その人はその木がお気に入りなのだ。でも、もしも、その人の気分が変わって「たまには違う木でも眺めてみるか」なんて思ったら、その人の好みを理解した上で違う場所に連れて行ってあげたい。同じ木であっても反対側から見ればビックリするほど違って見えることもあるのだ。

僕はそんな時のお客さんの楽しそうな顔が好きだ。
「あぁ、なるほど・・・」。そうつぶやくお客さんの顔が嬉しい。

僕は優秀なツアー・ガイドになりたかった。
だから僕は勉強をした。でも、たくさんの本や資料は僕に知識を与えてくれたけど、残念なことに世の中には「シングル・モルトのツアー・ガイド養成本」はなかった。
僕がしたいのはお客さんと一緒に森を見て廻ることだった。森の入口に立ち地図を渡して、当たり障りのない説明をして、「どうぞ、いってらっしゃい」なんてことは言いたくなかった。どこかで聞いてきたことを「そんなことも知らないんですか?」なんて顔で喋りたくはなかった。だって、シングル・モルトの森で迷子になっている人をたくさん見たから。

楽しいはずの森の散歩でたくさんの人が苦しんでいる。
そのことは僕をとても苦しめた。そうやってたくさんの人が僕の大好きなシングル・モルトを嫌いになっていった。僕はとても切なくて、そして悲しかった。

何で僕はこんなに悲しいんだろうと思った。そして僕は気付いた。僕はお客さんと僕の好きなものを巡って楽しみを共有したいのだと。

そして、改めて思った。正直に言おう。
それはすべて僕の都合でしかないのではないかと。
僕は「楽しみを共有したい」と言いながら相手のことを考えていないのではないだろうかと。

それでも良いと思った。でも独善的であってはならない。
だから僕はまず相手の話を聴く。僕はあなたの話が聴きたい。どこかで聞いて来たことではなく、あなたが感じたことを聴きたい。あなたが感じていることを受けて、ツアーのプランを立てたい。「有名な」観光スポットだけをピックアップして一巡りして「はい、お疲れ様でした」みたいなツアーにはしたくなかった。そして、ゆくゆくはあなたにひとりで散歩に出てもらえるようになって欲しい。そう思った。

相手に言葉を求める以上、僕も言葉を持たなければならないと思った。
だから僕は自分の言葉で綴ったデータ・ベースを作った。それがジェイズ・バー・モルト・ファイルだ。そして分かり易くシングル・モルトの特徴をレーダー・チャートで表したのが印象ビームだ。

最終的な目的は「あなたにひとりで散歩に出てもらえるようになって欲しい」ということだ。僕はガイド・ブックを書きたかった。あなたが森で迷子にならないように。
でも僕はまだ優秀なガイド・ブックの著者ではない。僕は僕なりに身の程を知っているつもりだ。だけど、身の程を知っているから、夢も見れる。

夢の続きにはどうやら人の力が必要なようだ。
今年は刺客のおかげで夢を追いかけて行けたのだと思う。そして来年は迷惑にならないよう。もう少したくさんの人と一緒に夢を追いかけて行けたらと思う。

もう少し年を取ったら、僕は森の中に小さな小屋を建てたい。迷子になった人が立ち寄ってくれるように看板を立てたい。そしてそこでみんながひと休みできるように。
そして僕はそこに棲みたい。
決して森を壊すことなく、それができますように。

刺客殿、今年は本当にお世話になった。
感謝。

一年間、悪役を背負っていただいた。すまないとも思っている。
嫁までもらった。ありがたいとも思っている。
来年も悪役をやっていただくと思うが、刺客より以上の悪役もできたではないか。
勘弁してくれ。

そしてついに本日、侍は悪代官に会いに行く。
どうだ刺客、侍と組まぬか?
敵の敵は味方である。

皆様に申し上げる。
本日侍は恵比寿に詣でる。時刻は午後8時過ぎ。9時までには参る。
あなたがここ(「vision vessel」)に来たいと思うのを侍は止めない。

まぁひとつ、よろしく。
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恵比寿詣で

「恵比寿詣で」の日取りが決まった。
今週15日木曜日。時刻は午後8時頃になると思う。

悪代官の居場所はこちら。店名は「 vision vessel」
もちろん、侍はひとりで行く。
ひとりで行くが、もしもあなたが勝手に行きたいというなら侍は止めない。
繰り返すが明日、侍はここにいる。

ビビるな侍。

刺客殿、ご相談がある。
連絡をくれ。

本当に申し訳ないが、本日もこれにて失礼。

お願いします。
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侍、旅に出る。(2)

昨日はどうにもぼんやりしていたようだ。
旅に出る、とは言ったものの、どこに何をしに行くのかをお伝えしていなかった。
できれば行く当てのない旅などしてみたいものだが、そんな訳にもいかない。

行く先は恵比寿。何をしに行くかはこちらをお読みいただきたい。

実は9月に一度闘っている。そしてその結果負けた。悪代官に1本取られてしまったのだ。
負けたら「恵比寿詣で」。実は闘う前に決めていたことだ。

恐らく木曜あたりに行こうと思うのだが、今のところ未定。

本日はこれにて、失礼。

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侍、旅に出る。

刺客との今年最後の闘いに勝利し、まだその余韻も覚めやらぬまま、また新たなる闘いが始まろうとしている。再び侍の目の前に立ちはだかろうとするは、悪代官。かねてより密かに謀をしていることは重々承知しておったが、先日、本人から果たし状が送られてまいった。
小賢しいことをしおって。

少し話を変えよう。
闘いの記事を書き終え、ひと段落の侍である。

本来、人は他人と何かを共有し、お互いに共感し合うために酒を飲むのだと思う。
その共有し共感し合うものは取るに足らない瑣末なことでいいのだ。
それは夕方見たニュースの話でもいいし、昨日観た映画の話でもいいし、先週読んだ本の話でもいい。そんな風に向き合った僕とあなたの間に何かひとつのものを置いて、同じものを違う方向から眺め、僕にはこう見える、あなたの方からはどう見えるのだろう。
それが他人と何か同じものを共感するということではないだろうか。
その時間は人を慰め、励まし、そして優しくする。
そしてその空間で人は他人と関わることを憶えていく。

夕方見たニュースの話、昨日観た映画の話、先週読んだ本の話。
人が他人と何かを共感するためのテーブルはいくつもある。
もちろんそれはシングル・モルトの話でもいい。もちろん野球の話でもいい。

他人を知りたい。
自分を理解して欲しい。
特別な誰かに向かってそんな気持ちが生まれたならば、それこそが愛だ。


この悪代官、東京は西の方に5つの城を持つ。そのすべての城の主である。悪企みだけに長けた男かと思えば、このような心根を持ち合わせた者でもある。侍と同様に「好きな酒のひとつにシングル・モルトがある」。その心根に感じ入るところも多い侍であるが、勝負となれば話は別だ。どの道また今回も本人は姿を隠したままだろう。

さて、侍は悪代官を愛せるのだろうか。

侍は逃げも隠れもしない。目の前に現われ勝負しろと言いたいところだが、前回の約束もある。この度の果たし状を受け、今回の闘いは侍が敵地に参る。



待っておれ。悪代官。

押してくれ。皆様。
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侍、嫁をもらう(7)

お守り当初140あった選択肢を残り9にまで絞った。131件のデータを切り捨てた。
もう後戻りはできない。

この印象ビーム。実は今回の正解であるグレンクレイグのものである。「抜ける⇔沈む」に関しては5段階評価で抜ける方向で「4」。「濃い⇔薄い」に関しては濃い方向で「4」。「柔らかい⇔固い」に関しては固い方向で「2」。どの程度、麦っぽいのかということに関しては、麦の味わいを感じるという意味において「4」。どの程度、フルーツっぽいのかということに関しては、フルーツの味わいをあまり感じないという意味において「2」なのである。

昨日の繰り返しになるが、今回のシングル・モルトの特徴のひとつは「麦の味わいに軸足を置いている」ことであると感じていた。それはつまり、侍がフルーティに感じてしまうシングル・モルトを排除できるということでもあった。
残った選択肢の中からフルーツが「4」以上のシングル・モルトをピックアップした。

・グレンアルビン(スコッチモルト販売、チール・ナン・ノク)、1965年、38年熟成、53.8%
・グレンギリー(ザ・ボトラーズ)、1967年、32年熟成、56.1%
・ロングモーン(ダンカン・テイラー、ウィスキー・ガロア)、1987年、16年熟成、52.7%
・ロイヤル・ブラックラ(ザ・ボトラーズ)、1975年、24年熟成、61.6%

麦の味わいより以上にフルーティに感じてしまうのであれば、正解である可能性はない。
この4つのデータを見て侍はこのすべてを消せると思ったが、念のためその味わいをしっかりと思い出し確認をした。

グレンアルビン。38年という長期熟成にもかかわらず、枯れた味わいだけがウリのシングル・モルトになっていないところが素晴らしい。このバランスの良さ、若いという意味だけでなくゴージャスであるという意味においてフレッシュ。口解けの良い上質な甘味を持つシングル・モルトである。もちろん正解ではない。削除。

グレンギリー。32年という長期熟成。ある意味分かり易い熟成感を持つシングル・モルトだ。このシングル・モルトに対して侍は「抜ける⇔沈む」を「5」と評価しているが、それはこのシングル・モルトの持つ凝縮感に由来している。非常にしっかりと生真面目で誠実な人格を思わせるのだ。しかし、しばらく時間をともにすれば彼の暖かな側面も見えてくる。杓子定規で詰めたい人ではないということが分かる。確かに少しばかり時間は必要かもしれないけれど。ゆっくりと甘く、そしてバニラの香りがするのだ。もちろん正解ではない。削除。

ロングモーン。実はこのデータのテイスティング・ノートを見て侍は微かにめまいを覚えた。そのテイスティング・ノートは以下の通り。
「固い麦の香り。時間とともに少しづつフルーツのように。
気になるほどではないが若干のエグ味。煙草の煙の味が口の中に残ったよう。とはいえこの切れ上がりの良さは秀逸。ゆっくりとコクを感じる。パンチのある飲み応え。コンパクトなスイングできっちり球を捕らえたシングル・ヒットのよう。ホームランを狙って三振をするよりはよっぽど素晴らしい。」
昨日、侍は正解であるグレンクレイグの瓶詰業者、ウィリアム・ケイデン・ヘッド社についてこう申し上げた。
「苦手なピッチャーを前にバットを短く持ちコンパクトなスウィングによって生み出されたシングル・ヒット」。

似てる。か?
そう思ってしまったのである。
侍は今回の正解であるグレンクレイグやこのロングモーンなど、「カッツリとしたちょうど良い切れ上がりを持つシングル・モルト」を味わいながら頭に浮かぶイメージがある。ちょっぴり恥ずかしかったりもするので、お客さんにはそんな話をしないのだが、
それは、シアトル・マリナーズのイチロー選手なのである。
イチロー選手のバットに当たり、ピッチャーの足下を抜け、二遊間を抜け、センター前に転がる早い打球を思い出してしまうのである。そしてそれは僕の中の気持ちの良い映像なのである。そのウィスキーが喉を通る瞬間、侍の頭の中でイチロー選手はセンター前ヒットを打ってくれるのだ。
これは非常に気持ち良く、そして嬉しい。

しかし、
何度も侍の頭の中にご出演いただいているイチロー選手には悪いのだが、これは正解ではない。このロングモーンは辛味にインパクトのあるシングル・モルトである。切れ上がりの良さを感じさせる背景にこの辛味が存在するのだ。さらにネガティブな側面としてエグ味がある。タバコを吸い過ぎて口の中がいがらっぽい感じにも似ている。躊躇はしたがこれは正解ではない。削除。

ロイヤル・ブラックラ。実はこれには少し苦労した。記憶の中でイメージが曖昧なのだ。どうにもうまく思い浮かばないところが多かった。このロイヤル・ブラックラを排除した理由は甘味だ。正解とこのロイヤル・ブラックラは甘味の質が違う。このロイヤル・ブラックラにはカラメルのような甘い香りがある。しかし目の前にあるシングル・モルトはクッキーを舌の上に乗せて、舌を上あごに押し付けた時にじっとりと出てくる麦の甘味に近い味わいがあるのだ。正解ではない。削除。

5つに絞る9の選択肢から4つを排除した。残る選択肢は5つ。
当る確率は1/5になった。残った5つの選択肢をご紹介しておこう。

・ダルユーイン(ザ・ボトラーズ)、1982年、16年熟成、58.2%
・ダルモア(ザ・ボトラーズ)、1966年、30年熟成、53.8%
・グレンクレイグ(ウィリアム・ケイデン・ヘッド、オーセンティック・コレクション)、1981年、19年熟成、57.9%
・モートラック(ミルロイ)、1974年、23年熟成、50.3%
・ノースポート(ウィリアム・ケイデン・ヘッド、オーセンティック・コレクション)、1977年、24年熟成、57%

イチロー選手のセンター前ヒットは非常に美しい。彼が一塁ベースを駆け抜ける姿はとてもシャープでそしてストイックだ。目の前のシングル・モルトに侍はそれを感じていた。柔らかい、しっとり、滑らか、目の前のシングル・モルトはそんなシングル・モルトではない。
それは印象ビームの中で「柔らかい⇔固い」として表れる。「5」に近ければ柔らかく、「1」に近ければ固い。正解のシングル・モルトは印象ビームの「柔らかい⇔固い」が「2」か「1」のシングル・モルトだ。侍はそう予測した。そう考えてダルモアとモートラックを除外した。残る選択肢は3つ。
ダルユーイン、グレンクレイグ、ノースポート。
侍はここで確信を得た。問題のシングル・モルトを一口飲んで侍はこう申し上げた。
熟成は恐らく20年前後。
先ほどの5つの選択肢の中から長期熟成の2本を除外した。残ったのは16年から24年熟成の3本。「この中にいる」。そう思った。

3つに絞る当る確率は1/3になった。 結果として残った3つのシングル・モルトの印象ビームは非常に似通ったものになった。「抜ける⇔沈む」に関しては「4」か「5」。「濃い⇔薄い」に関しては「4」。「柔らかい⇔固い」に関しては「2」。







左からダルユーイン、グレンクレイグ、ノースポート。
印象ダルユーイン印象クレイグ印象ノースポート







恐らく違うと思ったのはダルユーイン。辛味の強いシングル・モルトなのだ。「抜ける⇔沈む」に関してはグレンクレイグとノースポートが「4」、ダルユーインは「5」。辛味とアルコール度数を背景に強烈に「抜ける」感じを憶えたのだろう。しかしここまで来たらなかなか除外できない。
侍の中でもそんなに差のないシングル・モルトのうちで悩んでいるのだ。しかし躊躇はしていられない。もう既に考えは先に進まない。悩んでいるだけであった。

この3本の中に必ず正解はある。最初に感じた通り、やはり20年前後の熟成に間違いはなかったのだろう。ここまで絞り込めたことを誇りに思おうではないか。まずはこの3つの蒸留所の名前をメモ用紙に書こう。そして、どれでも良い。いつものように、そのうちのひとつにマルを付けて刺客に渡そう。もしもマルを付けなかったものが正解であっても、メモ用紙にその蒸留所の名が書かれていれば良いではないか。銅メダルは取れたということだ。
「熟成は恐らく20年前後」。最初に感じた通りであるなら、熟成年数による絞込みをもっと効率良くできたのではないかと思ったその時、何かがひらめいた。

侍は最初に何を感じたのだっただろうか?
そう自問したのだ。そこに何かヒントが隠されているのではないか?
そして思い出したのだ。侍はこうつぶやいた。
「モストウィに似てるんだけどな」。

もちろんモストウィが正解な訳ではない。現在のジェイズ・バーにモストウィは選択肢として存在しない。
しかし、思い出したのだ。モストウィはミルトンダフ蒸留所のローモンド・スティルで作られるシングル・モルトだ。ダルユーイン、グレンクレイグ、ノースポート。この3つの中でローモンド・スティル得作られるシングル・モルトは?そう、グレンクレイグなのである。
ミルトンダウ蒸留所のローモンド・スティルで作られたウィスキー、「モストウィ」。
グレンバーギ蒸留所のローモンド・スティルで作られたウィスキー、「グレンクレイグ」。

ローモンド・スティルで作られたウィスキーがどういう特徴を持つのか、正直なところ侍にも説明できない。しかしその時、侍の中で何かが符合したのだ。それはある種の危機意識といってもいいかもしれない。「決断を急ぐな」。その偶然の一致は侍に何かを感じさせた。

もう一度良く考えよう。
確かにグレンクレイグかもしれない。その可能性は高い。一方、ダルユーインは辛い。ノースポートはそもそもシェリー・カスクではないか。
それでは正解がグレンクレイグではない可能性はどこにある?
今お前の目の前にあるシングル・モルトが何故グレンクレイグでないか説明をしてみろ。

5秒考えた。5分のように思えた。
妥当だ。妥当であると思った。これはグレンクレイグであることが妥当である。

銅メダルを狙うな。金を狙え。
ひとつだけ答えを選んでメモ用紙に書いた。


「正解!」。
遠くの方で刺客の声が聞こえた。



おかげ様で復活1位。
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今後ともよろしくお願いします。


しかし侍はまだ闘い続ける。
次の闘いが待っている。
悪代官である。

侍、嫁をもらう(6)

ノースポートジェイズ・バー・モルト・ファイルのノースポートを見た時に、侍の中に何かが舞い降りて来た。それをうまく言葉にすることはできない。侍の記憶の中のノースポートと今目の前にあるシングル・モルトに、何か同じニュアンスを感じてしまったといえば分かってもらいやすいのかもしれない。
どうにも不安だったのは「似てる」とは思ったが、「これだ」とは思わなかったということである。しかし、侍の心に引っ掛かったことだけは事実だ。だけど何故引っ掛かっているのか?それが自分でも分からない。

ここまでの経緯を振り返ってみると、まず「これは明らかに違う」というものを切り捨て、次に「これは恐らく違うであろう」というものを切り捨てここまでたどり着いた。つまり正解の可能性の低いものから優先的に排除していったということである。裏を返せば「何が正解に近いか」という可能性については考えてこなかったということである。そしてついに選択肢を11に絞った時点で、「正解に近い何か」を持つノースポートにたどり着いたということなのである。

正解を手に入れた今でこそその意味を理解することはできる。結果として確かにこのノースポートには「正解に近い何か」が存在するのである。正解であったグレンクレイグとこのノースポート、実は同じ瓶詰業者(ウィリアム・ケーデン・ヘッド社)の同じシリーズ(オーセンティック・コレクション)。しかも瓶詰されたのも同じ時期(2001年2月)なのである。
もちろん同じ瓶詰業者の同じシリーズであっても蒸留所が違えばその味わいには確実な差がある。しかし瓶詰業者には瓶詰業者なりのポリシーというものはあるのだ。そのポリシーを貫くことは彼らなりのプライドだろう。今でこそごく当たり前のことになっているが、ウィリアム・ケーデン・ヘッド社は伝統的にチル・フィルタリングをしない瓶詰業者だ。しかもこのシリーズはカスク・ストレングスのアルコール度数にこだわる。
「チル・フィルタリングをしない」、「カスク・ストレングス」。結果として彼らのポリシーは「カッツリとしたちょうど良い切れ上がりを持つシングル・モルト」を生み出すというのが侍の解釈だ。「苦手なピッチャーを前にバットを短く持ちコンパクトなスウィングによって生み出されたシングル・ヒット」。侍は彼らのシングル・モルトにそれを連想してしまう。

闘いの最中、侍はノースポートに何かを感じた。しかし、その時に感じた何かがどんな意味を持つのか理解はできない。何かを感じた事実。それだけが重みをもって心に落ちて来たのだ。

得体の知れないものが目の前に現れる。それは扉の前に立っている。そノ扉は正解への出口へと続く扉かもしれない。侍は記憶を頼りにその得体の知れないものに近付いた。侍は扉の前に立つものを横へとずらした。扉には書いてある。「シェリー・カスク」と。
侍はそこで戸惑った。扉を開け、その先へと進むべきなのだろうか?その先には出口があるのだろうか?それは果てしない迷宮ではないのだろうか?その先の最後の扉を開ければ出口を抜けられるのだろうか?それとも最後の扉に刺客が現れ「ざんねーん」と叫ぶのだろうか?

侍は踵を返した。シェリー・カスクの先に答えはない。ノースポート以外のシェリー・カスクはすべて切り捨てた。しかし、ノースポートだけは「保留」とした。ノースポートを選択肢から削除しなかった。

仕切り直しである。

この時点で当る確率は1/11である。ノースポートを選択肢から削除しなかったのだ。先ほどまでと変わらない。しかしここまで来れば残る選択肢は11。ここから先は丁寧に残りのひとつひとつの正誤を見極めるしかない。正解は必ずこの中にある。

ジェイズ・バー・モルト・ファイルの存在は皆様もうご存知のことと思う。その中に侍が「印象ビーム」と名付けたレイダー・チャートがあるのをご存知だろうか?詳しい説明はこちらに譲るが、今回問いに立てられた目の前のシングル・モルトの特徴のひとつは「麦の味わいに軸足を置いている」ことである。このシングル・モルトには適切な甘味を感じるが、それはフルーティな甘味ではなく麦芽風味だ。その酸味にしてもオレンジやレモンのようなものではなく、ショウガの苦味に近い。そしてもうひとつの特徴は「平均値よりは抜ける印象が強い」ことである。先ほど、「カッツリとしたちょうど良い切れ上がりを持つシングル・モルト」。侍はこのように説明をさせていただいたが、その切れ上がりの良さは「印象ビーム」の中で「抜ける」と表現される。

残った選択肢の中から、まずは「抜ける」の反対である「沈む」に近いシングル・モルトを探した。ハート・ブラザーズ社のファイネスト・コレクション、グレン・グラント(1972年、26年熟成)。ラム酒の樽で寝かせたシングル・モルトである。その味わいからも明らかに違うと判断できたが、「抜ける⇔沈む」の5段階評価で言えば「2」。「抜ける」シングル・モルトではない。削除。
次はダンカン・テイラー社のピアレス・コレクション、ストラスアイラ(1967年、36年熟成)。滑らかでねっとりとしたシロップ感のあるシングル・モルトである。こちらもその味わいから正解ではないと判断できるが、「抜ける⇔沈む」の5段階評価で言えば「1」。「抜ける」シングル・モルトではない。削除。
「抜ける」シングル・モルトだけを残し、選択肢はあと9になった。

当る確率は1/9になった。
1/9







我ながら「くどい」との自覚はある。皆様もぼちぼち「うんざり」しているのではないかとの心配はある。しかし、ご迷惑とは思うがまだ終わらない。申し訳ないが、明日、間違いなくこの連載を終わりにするので、あと1日お付き合いをお願いしたい。
明日の日曜日、休日ながら記事を書く。
お願いいたします。

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お願い。

侍、嫁をもらう(5)

当る確率は1/32になった。
残り32本。そこから31本をどう絞り込んで行くか。
まず気付いたのは、蒸留年度と瓶詰年度から熟成年数が計算できるものであっても、ラベルに「○○年」と記載されていない場合には、ジェイズ・バー・モルト・ファイルにその熟成年数を入力していなかったということだ。昨日の記事で熟成が15年以下のデータはすべて切り捨てたが、それらのデータは計算上15年以下の熟成であっても検索に引っかからなかったことになる。32の選択肢のうち計算して熟成が15年以下のものを除外した。
まずはスコッチ・モルト販売のアベラワー(1989蒸留、1999瓶詰)、ミルロイ社のアルタナベーン(1989蒸留、1999瓶詰)、ゴールデン・カスクのオルトモア(1989蒸留、2004瓶詰)、クライスデールのクラガンモア(1989蒸留、2001瓶詰)、ロウカスクのクラガンモア(1989蒸留、2002瓶詰)、そのほか8件のデータを除外した。残り24本。
ジェイズ・バーにはウィリアム・ケイデン・ヘッド社のオールドボトルが4本ある。グレンユーリー・ロイヤル、グレンエルギン、ダルユーイン、コールバーン。明らかに味わいが違う。まずはこの4本を切り捨てた。残り20本。
次に2本あるダラス・デュを切り捨てた。目の前のシングル・モルトはこの2本のダラス・デュのようにじっとりと甘くない。残り18本。

1/18当る確率は1/18になった。
正直に言えばこの時点で侍は自信を感じていた。「いけるかもしれない」。そう思った。

結果として残ったシングル・モルトにはある種の傾向が存在した。
ひとつは長期熟成のシングル・モルトが多く残ったこと。もちろん15年熟成以下のシングル・モルトを切り捨てたのであるが当たり前である。そしてもうひとつ、シェリー・カスクのシングル・モルトが目立った。「シェリー・カスクの長期熟成」、どこの蒸留所に限らず確かに人気の商品である。しかし、問いに立てられたこの目の前のシングル・モルトはシェリー・カスクだろうか?恐らく違う。そこそこの酸味の強さは感じるが、シェリー由来の苦味と渋味を感じない。シェリー・カスクのシングル・モルトを除外できるのではないだろうか?

慎重にことを運ぼう。ひとつひとつファイルをめくり確認を急いだ。
まずはウィルソン&モーガンのグレン・グラント。このバランスを欠くほどの苦味と酸味は正解でない。削除。
次はアベラワーのアブナク。こちらも恐らくシェリー・カスクの商品である。そのシェリーの影響は切れ上がりの良さとして表れているが、目の前のシングル・モルトにはここまでの切れ上がりの良さは存在しない。削除。
次はザ・ボトラーズのクラガンモア。飲み応えの良さとおいしさをバランス良く兼ね備え、濃厚なコクの存在するシングル・モルト。目の前のシングル・モルトにはここまでの厚みを感じない。削除。
次はジェイムス・マッカーサーのダルモア。30年を超える長期熟成だ。目の前のシングル・モルトにはここまでのゴージャスは存在しない。削除。
次はディスティラーズ・コレクションのグレンリベット。非常に苦いがそれ以上に甘味を持つことでバランスを保つシングル・モルトである。これは正解ではない。削除。
次はダグラス・レイン社のオールド・モルト・カスク・シリーズのグレンユーリー・ロイヤル。シェリーから由来するエグ味の存在を感じるシングル・モルト。正解ではない。削除。
次はダグラス・レイン社のオールド・モルト・カスク・シリーズのストラスミル。36年という長期熟成により、その苦味と渋味と甘味はより一層奥行きを増し、その枯れた味わいとあいまって複雑な重層構造を感じるシングル・モルト。正解ではない。削除。

残るは11件のデータ。当る確率は1/11になった。


さて実は、侍はこの次に困ったことになる。
ウィリアム・ケイデン・ヘッド社のノースポート(1977蒸留、24年熟成、57%、シェリー・カスク)である。ラベルにも記載されている通り。シェリー・カスクのシングル・モルトであるのだが、どうにも心に引っ掛かってしまったのである。そう、この時舞い降りて来たのである。「これは正解かもしれない」。そう思ってしまったのである。それまで順当にシェリー・カスクの商品を削除してきたのであるが、ここに来て何かがひらめいた。しかし、そのひらめきの意味を掴むことができなかった。

改めてジェイズ・バー・モルト・ファイルの中身を読んだ。侍はこのシングル・モルトを非常に「固い」と評価している。しかしその味わいを見ると、辛味と渋味と酸味が若干多目に存在するものの、バランスが良いと読み取れる内容だ。このシングル・モルトに対する侍のテイスティング・ノートは以下の通り。

「熟成のピークを越えた感あり。少々バランスを崩し気味。胡椒と唐辛子、両方の辛味。
香りとフィニッシュに麦汁感あり。時間とともに麦。
ファーストインパクトは冷たく固い印象だがフィニッシュに温かみを感じる。
イジワルだと思ったけど、ホントはいい人だったのね。」

ちなみに侍が問いである目の前のシングル・モルトに対して最初に感じたことは、

「少し痛いが手応えとしてはほど良い。酸味もあるが適切に甘味がある。枯れた味わいというほどのものはない。熟成は恐らく20年前後。そして間違いなく「オフィシャルのスタンダード品」ではない。間違いなくアルコール度数はカスク・タイプ。加水はされていない。」

似てる。
まずいと思った。目の前のシングル・モルトはシェリー・カスクの可能性があるのではないか?もう一度口に含む。いや、そんなことはない。似てると思ったノースポートの方がシェリーの影響をあまり受けていないシングル・モルトなのではないだろうか?

侍、決断を下せ。

明日に続く。

本当は刺客との闘いの記事を本日で終わらせる予定であったが、いい気になった侍は喋り過ぎて予定が狂った。お詫びに続きは土曜日の明日も書く。ご勘弁を。
そして皆様にはこちらを、
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侍、嫁をもらう(4)

まずはもう一度確認から。今回の正解はグレンバーギ蒸留所のローモンド・スティルで造られたシングル・モルトであるグレンクレイグ。グレンバーギ蒸留所のセカンド・ラベルといっても良いシングル・モルトだ。地域区分で言えばスペイサイド・モルト。

当初140あった選択肢を切り捨て、絞込み、この時点での確率は1/58。
ここから先は慎重にコマを進めなければならない。

39/58最初に一口飲んでスペイサイド・モルトではなかろうかと思ったことは一昨日書いた。この時点で正解をスペイサイド・モルトに絞り込めば、その選択肢は19減って1/39になる。確かにそこから先の絞込みは非常にラクになる。間違いなくアイラ・モルトではない。恐らくアイランズ(島)・モルトでもないし、キャンベルタウン・モルトでもない。そしてローランド・モルトの可能性もかなり低い。しかし最大の懸念はハイランド・モルトである可能性だ。スペイサイド・モルトとハイランド・モルトの差は他の地域に比べ確かに少ないものも多い。ハイランドを切り捨て迂闊にスペイサイドに絞り込むことは危険だ。

まずはローランド・モルトを切ろう。
リトルミルとインバーリーブンが除外され確率は1/56になった。

58/56当る確率は1/56になった。
問題はハイランド・モルトを切り捨てられるかどうかになった。しかし、焦ってはいけない。問題であるこのシングル・モルトにはダシの要素、潮風の要素をほとんど感じないといってもいいだろう。であるなら侍の区分によるところの「C」ではなかろうか。だとするとハイランド、スペイサイド地域の中からも沿岸部の蒸留所は除外できるのではないだろうか。

ちなみに侍によるシングル・モルトの蒸留所区分は以下の通り。
A:アイラ・モルト
B:アイランズおよびキャンベルタウン、ハイランド・スペイサイドの沿岸部の蒸留所
C:ハイランド・スペイサイドの内陸部の蒸留所
D:ローランド・モルト
詳しい記事はこちらに書いた。

AとD、そしてBの中からアイランズとキャンベルタウンの蒸留所は除外した。ならば、ハイランド・スペイサイドの沿岸部の蒸留所は切り捨てられる。スペイサイド・モルトに絞るよりも、「C」に絞り込むべきではないだろうか。

残った選択肢の56件のデータをパラパラとブラウズしてみる。間違いない。切り捨てられる蒸留所は確かにある。
バルブレア
クライネリッシュ
オールド・プルトニー
オーバン
バンフ
5つの蒸留所の6件のデータをひとつづつ削除していった。残りの選択肢は50。

1/50当る確率は1/50になった。
当初、140件あった選択肢は50にまで減った。「C」に絞り込むことに決断は必要であったが、ここまではある意味順当であった。しかしここで侍はしばし足踏みをしてしまう。次なる検索条件を何に設定するのか?そこに悩んだ。
改めて目の前のシングル・モルトの特徴を感じてみるべく、もう一口飲んでみる。時間の経過とともにより一層おいしくなっている。フルーティでより滑らかに、そしてその甘味はよりコクを増した。この事実が何を表すのか。
これはまさにある程度の長期熟成の証ではないだろうか?

悩んだ末に熟成年数15年以下のデータを検索する。切り捨てられるかも知れない14件のデータが検索された。
ロングモーン
グレンファークラス
オルトモア
ピティバイク
など、どう見ても除外できるデータばかりだ。確認をした後、思い切ってそれらを切り捨てた。

1/36-2当る確率は1/36になった。
ここから先は慎重にことを運ばねばならない。しかし、この中にも一目見ただけで切る捨てることのできるシングル・モルトがいくつかあった。
まずはミッシェル・クーブレーの蒸留所不明のシングル・モルト。ラベルにその蒸留所名が記載されていないシングル・モルトである。その味わいからも明らかに正解ではないシングル・モルトであるが、そもそも蒸留所不明のままでは問題にならない。これは削除。残り35件。
次にベン・ネヴィス。こちらは連続式蒸留機で造られたグレーン・ウィスキー。これも削除。残り34件。
また、シグナトリー・ヴィンテージのレア・カスクのダラス・デュ。このボトルを複数本仕入れており、ボトル・ナンバー違いが2本残っていた。同じデータがふたつあるのだ。もちろんこれはどちらかを削除できる。同様のことがダンカン・テイラー社のウィスキー・ガロアのロングモーンにもあったのでこれも一方を削除。合計2件のデータを削除し、残りは32本。
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話が長すぎて申し訳ないが、明日へ続く。

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侍、嫁をもらう(3)

さて、そろそろ決戦当日の様子をお伝えしなければなるまい。

その日侍は非常にナーバスになっていた。久しぶりに胃が痛んだ。わりと早目に来店したのは、なみへい氏。いつものように世間話もできない。申し訳ないとは思ったが、侍はカウンターの裏にひとりで隠れた。ノートPCを立ち上げてジェイズ・バー・モルト・ファイルを開いた。まずは弱点である「オフィシャルのスタンダード品」のデータをじっくりと眺める。ひとつひとつ、ひとりうなずきながら思い出す。それは最早準備ではない。不安な時間の過ごし方でしかない。ぼんやりとデータを見つめながら、最終確認を急ぐふりをしてもう逃げようのない事実を思い知らされるばかりであった。

決戦の開始時刻を22時30分とした。席を立ち店を出て近くのコンビニへ侍は向かった。毎度のことであるが、おにぎりである。実はおにぎりに悩んだ。前回おにぎりの具を刺客に当てられた。そのことが何か非常に縁起の悪いことのように思われた。前回の具は「鮭」。今回は何にすべきか。手は自然と「うめゆかり」に向かった。しかしその寸前、侍は宙に浮いた手を強く握り締めた。惑うな侍。臆することはない。自分を信じよ。父さんの声が聞こえた。「鮭」おにぎりを手に取りレジへとむかった。レジ係は「むらた(え)」さん。大丈夫。今日はツイてる。

店に戻る。しばし待たされる。「どうぞ」、刺客の合図で店内へ。
刺客に向けひと言言い放った。
「今日のおにぎりの具を当ててみろ」。
「うーん、おかか」。
フン!「今日は勝ったな」。

おにぎりを食べ終え、侍はひとりテーブル席に座った。ボトルの見やすいところでは勝負をしたくなかった。ボトルのウィスキーの残量で当てたのではないか、と疑われては我慢がならない。

まずは香りを嗅ぐ。華やかな香り。ピーティではない。塩気も感じない。シェリー・カスクではない。酸味は若干強め。
「多分スペイサイドだな」。ひと言つぶやいた。そして、
「モストウィに似てるんだけどな」。しかしモストウィは現在ジェイズ・バーにはない。

一口飲んでみる。少し痛いが手応えとしてはほど良い。酸味もあるが適切に甘味がある。枯れた味わいというほどのものはない。熟成は恐らく20年前後。そして間違いなく「オフィシャルのスタンダード品」ではない。軽くめまいを覚えた。あれほど飲み続けた「オフィシャルのスタンダード品」ではないのだ。

1/140侍はノートPCを開いた。ジェイズ・バー・モルト・ファイルは既に用意されている。まず、すべてのデータの中から現在販売中のファイルを検索する。140件と表示される。ジェイズ・バーの棚には140本のシングル・モルトが並んでいるということだ。

間違いなくアルコール度数はカスク・タイプ。加水はされていない。であるなら「オフィシャルのスタンダード品」ということはあり得ないのだ。ジェイズ・バーの棚に並んだシングル・モルトの中で、「オフィシャルのスタンダード品」のカスク・タイプはない。
臆することはないのだ。回答の中から「オフィシャルのスタンダード品」を除外できる。そればかりではない。オフィシャルに限らず瓶詰業者のものであっても、加水されたシングル・モルトをも除外できる。
加水されたシングル・モルトが除外できるとはいえ、瓶詰業者であるダグラス・レイン社のオールド・モルト・カスク・シリーズのような、アルコール度数を50%に調整するべく加水されたシングル・モルトは除外できない。カスク・タイプのシングル・モルトでも加水せずに50%程度のものはいくらでもあるし、50%のシングル・モルトにはそれなりのキッチリした手応えがある。

再びPCに向かう。現在のところ当る確率は1/140。まずはアルコール度数で絞り込むべき。カスク・タイプと思われる以上、アルコール度数の低いものは除外できる。しかし何度以下のものを正解ではないとして切り捨てるべきか悩んだ。ポイントは3つ。40%以下を切り捨てる。43%以下を切り捨てる。46%以下を切り捨てる。悩んだ末、43%以下のデータを切り捨てた。検索結果は89件。51本のボトルが除外された。

1/89当る確率は1/89に上がった。
明らかにアイラ・モルトではない。強烈なピートも感じないし、ダシの要素もない。89本の検索結果からアイラ・モルトを切り捨てる。検索結果は62件。27本のボトルが除外された。





1/62当る確率は1/62に上がった。
やはり正解はスペイサイド・モルトの中にあるのだろうか。侍の区分に拠れば恐らくは「C」にカテゴライズされるシングル・モルト。アイラ・モルトではない。アルコール度数は43%以下ではない。そこまでは間違いはない。そこでつまづいたなら仕方があるまい。侍こそが未熟なのである。
ダシの要素を感じない。アイランズ(島)・モルトとキャンベルタウン・モルトを切り捨てる。検索結果は58件。4本のボトルが除外された。


1/58当る確率は1/58に上がった。
もう一度グラスのシングル・モルトを口に含んだ。より甘味を増し、おいしくなって来る。本当に微かにチョコレートのようなニュアンス。基本的には麦の味わいに軸足を置いたシングル・モルトである。しかし、その適切な熟成期間はこのシングル・モルトに少々フルーティな要素を加味させているようだ。

さて、この先どう絞り込むべきか?

明日に続く。

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侍、嫁をもらう(2)

4ebeb06d.JPG先日の闘いの前日まで「オフィシャルのスタンダード品」を飲みまくった。それこそが今の侍の弱点であると認識し、とりあえず飲みまくった。

侍はシングル・モルト全般をひとつの森に例えて考える。森はいくつかの林で構成されている。林とはハイランド、スペイサイドなどのシングル・モルトの地域区分や、侍のいうところのA,B,C,Dのカテゴライズのことである。林は1本1本の木で構成されている。1本1本の木とは蒸留所そのもの。そして木は枝葉をつけ、花を咲かせ、実をなす。枝葉、花、実、それらこそが瓶詰されたシングル・モルト・ウィスキーなのである。
「オフィシャルのスタンダード品」にはある程度その蒸留所のスタイルが反映されている。であるなら、それを飲めばシングル・モルトの森の中でその木がどの位置に立っているのかがわかるはずである。侍はそう考える。改めて「オフィシャルのスタンダード品」を飲むことで、今一度、その立ち位置を確かめておかねば。そんな思いがあったのだ。

それがキッチリと確かめられたのかどうか、残念ながら胸を張ってそう言えない。飲みながらも不安になった。自分は正しいことをしているのだろうか?常に自ら問いかけた。無駄なことをしているようにも思えた。けれど、直近に飲んだことのあるシングル・モルトであるなら当て易いはずである。銘柄を確認して飲む。その味わいを言葉にして自分の中に落とし込む。毎日1本づつそれを続けた。

そもそも侍の中には現在でも400を軽く超えるデータがある。
ジェイズ・バー・モルト・ファイルである。
ファイル・メーカーを使って作ったデータベースである。仕入れたシングル・モルトを写真に撮り、その味わいを記録し、テイスティング・ノートをつける。丹念に続けて来たつもりだ。

毎日1本、「オフィシャルのスタンダード品」を選び、ジェイズ・バー・モルト・ファイルを開き、その内容と見比べながら1杯のシングル・モルトを飲んだ。

今回の闘いで刺客が選んだシングル・モルトをまだお伝えしていなかった。
正解はグレンバーギ蒸留所のローモンド・スティルで作られたシングル・モルト、グレンクレイグであった。

明日に続く。
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侍、嫁をもらう。

パンダ勝利である。先週の金曜日、今年最後の決戦で刺客を討ち取った。
侍、一本勝ちである。約束通り、刺客より写真のモートラックを頂いた。当日あっという間に半分なくなってしまったが、まだ残りはある。飲みたい方はお早目に。

非常に苦しい闘いであった。正直なところ、もうこんなシンドイ思いはしたくないというのが本音である。

僕の立場からすれば負ければ大損である。絶対に負けられないが、負ければ「全員タダ」。この約束は果たさねばならない。負けてもみっともないマネだけはしたくない。負けたなら潔くタダ酒を飲んでいただこう。そう思い闘いに至るまでの準備を始めた。

先月の闘いから先週の木曜日まで仕事が終わって毎日飲んだ。何を中心に飲んだのかというと「オフィシャルのスタンダード品」である。

先月の闘いの2試合目、正解が「カーデュ」の闘いに「ブルイックラディ」と答えて負けた。そのてん末については既に記事にしたので、改めて言い訳はしない。しかし、その時に思ったのである。「侍の弱点はオフィシャルのスタンダード品にこそあるかもしれない」と。
両方とも「オフィシャルのスタンダード品」である「カーデュ」と「ブルイックラディ」を間違える侍もアホではあるのだが、そのふたつに限らず「オフィシャルのスタンダード品」を間違いやすい背景というものは存在する。

「オフィシャルのスタンダード品」とはある意味廉価版の量産品なのである。オフィシャルな彼らの狙いは恐らくは味わいと質のバランスなのである。味わいと質のバランスが肝心なのであろうが、その位置は決して高くない。「物凄くおいしいけど、ビックリするほど値段が高い」という商品は出さない。手軽に買って帰れるような価格帯であることが前提であるので、味わいもそこそこになる。
あまり悪くは取らないで欲しいのであるが、「そこそこ」とは言え彼らにだってプライドも良心もある。みっともないマネはしたくはないはずだ。彼らの思うところの蒸留所のスタイルが表現でき、より多くの人においしいと思ってもらえ、できる限り安く提供できるシングル・モルト。侍の解釈によれば、それこそが素晴らしい「オフィシャルのスタンダード品」である。

憶測の話になってしまうが、彼らはまず売価をキッチリと設定し、それに見合った品質の商品を送り出しているのではないだろうか。そしてそれはつまり結果として、蒸留所は違えど同レベルの商品が酒屋の棚に並ぶということになる。誤解をしないで頂きたいが、それは決して不幸なことではない。あなたがもしその商品を気に入らないのであれば、それを買わないということで、あなたはその商品に対して不支持を表明することができるのだから。
侍の気持ちを素直に言わせていただけるなら、これだけたくさんのシングル・モルトを手頃な価格で揃えてもらえることに感謝をしたい。一昔前、本当にシングル・モルトは高価なウィスキーだったのだ。
「オフィシャルのスタンダード品」である以上、極端に価格の差は発生しない。おいしさのレベルもある程度同レベル。しかし飲み比べればその蒸留所のスタイルというものははっきりと違いを理解できる。

さて、前回の第二試合の結果を受けて、侍は困ったことになる。何しろ「カーデュ」と「ブルイックラディ」を間違えてしまったのである。どんな風に間違えたのかはこちらに詳しいが、もちろん両方を同時に飲み比べて「どちらがどちらか?」と問われれば間違いようがない。ポイントはダシである。ブルイックラディにはだしの存在を確実に感じる。両者の差はハッキリしている。
しかしこの間違いは確実に身に沁みた。その時刺客にも本心を漏らしてしまったが、「オフィシャルのスタンダード品」が問題に出たら他のものと取り違えてしまうかもしれない。そして、ついうっかり漏らしてしまった本心を侍は後悔することになる。

もしも、刺客が「オフィシャルのスタンダード品」を問いに立ててきたらどうしよう。

だからこそ、先月の闘いから先週の木曜日まで仕事が終わって毎日飲んだ。何を中心に飲んだのかというと「オフィシャルのスタンダード品」である。

明日に続く。

余談であるが、実はジェイズ・バーに置いてあるノートPCが壊れた。
非常に困ったことになっているのだが、今週は毎日記事が書けるかどうか不安である。

そんな訳で、こちらもお願いしたい。
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決戦の日

昨日はたくさんの方にコメントを頂いた。
本日は真っ直ぐな心で潔く闘います。


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決戦に備える

あと1日、マッカランを飲んで過ごそうと考える侍である。
あり得ない要望に応えてくれた刺客に感謝である。昨日のコメントに刺客は金曜の決戦の問題にマッカランを選ぶと書き込んでくれた。ありがたい。まさか本当にマッカランを選ぶ訳があるまい。これで刺客が金曜にマッカランを選ぶ可能性はゼロとなった。つまり、侍は金曜の解答をマッカランとはしない。

よろしいか皆様。侍は決戦の答えを絶対にマッカランにしない。何故ならそれはあり得ないことだからだ。刺客はわざわざ自分でマッカランと言ってしまったのだから、刺客は絶対にマッカランを選ばない。だから侍も絶対にマッカランと答えない。だから、刺客。お前もマッカランを選ぶな。頼む。

金曜の決戦についてひと言。
「全員タダ」。侍が負けた場合、この約束は果たす。何を飲んでもタダ。チャージも無料。上限もない。全額無料である。ただしボトル・キープだけは勘弁してくれ。
今回の勝負に引き分けはあり得ない。侍が勝つか、刺客が勝つか。どちらかしかあり得ない。互いのプライドを賭けての真っ向勝負である。負けた者が腹を切る。

パンダパンダについてひと言。
このシングル・モルト。凄いシングル・モルトである。モートラック蒸留所。1961年蒸留、1999年瓶詰、アルコール度数は40.8%。40年近い長期熟成である。1961年より前に生まれた方は果たしてどのくらいいるのだろう。あなたの年齢を超えるシングル・モルト。滅多にお目にかかれるものではない。
何しろこの40.8%という度数に注目していただきたい。もしもあと1年熟成を重ねていたなら40%を切っていたのではないだろうか?40%を切るということはシングル・モルトとして販売できなくなるということである。その手前、ぎりぎりのところで瓶詰されたシングル・モルト。必ずうまい。

その味わいを想像してみたい。
モートラック蒸留所。シングル・モルトの父、マイケル・ジャクソンいわく。スペイサイドの古典的ウィスキー、である。エレガントで花のようであるがまた、素直で力強い。はなはだしく複雑、非常な長さをともなう。食後酒か就寝時。

父の言葉を受けて息子である侍が補足をさせていただく。
40年近くにもなる長期熟成である。エレガントで複雑であることに変わりはないと思うが、その華やかさは少々落ち着きを持ち始めることだろう。しっとりとより甘味を増し、その力強さはよりタフになっているはずだ。奥歯ですり潰したナッツのようなオイリーな感触を持ち、その甘味は幾重にも奥行きを増し、より一層フルーティに変化していることだろう。侍の期待するところはそのフルーティな甘味。そのフルーティな甘味に「桃」を感じたい。
このモートラック蒸留所、侍の解釈からすれば、麦の味わいとフルーツの味わいのバランスの取れた出来上がりのものが上質である。ドライ・フルーツを練り込んだスポンジ・ケーキのような、そんな思いのよぎるシングル・モルト。そしてそこに「桃」を感じたい。

皆様には良く聴いていただきたい。
この度の侍の対戦相手、刺客であるが、なかなかのシングル・モルト・コレクターである。刺客の手の内には数多くの秘蔵のシングル・モルトがある。ジェイズ・バーにて預かり受けた今回のこのモートラックももちろん刺客の手の内の1本。その所有権はまだ刺客にある。
シングル・モルト・コレクターは手持ちのシングル・モルトを非常に大切にする。それこそ子供のように可愛がる。その繊細な心遣い、天晴れである。今回のモートラックも刺客が今までどのように可愛がってきたのかがうかがえる。空気の入ったプチプチに包まれ、厳重に箱詰めされ、ボトルのコルクの部分には液漏れ揮発防止用のテープまでが巻いてある。
しかし、可愛がるだけで良いのだろうか?
秘蔵の品を死蔵させてはいけない。

刺客よ、お前の箱入り娘はもう40を超える年になろうとしておるぞ。嫁にも行けず、そのうちお前も死んでしまうぞ。よろしいのか?可愛がるだけではお前の娘が可哀想ではないのか?そろそろお前も子離れをした方が良かろう。大切な娘はシングル・モルトとして生きるが筋。

お前の愛娘、この侍が貰い受ける。
金曜深夜、池袋・ジェイズ・バーにて、花嫁のために涙を流せ。

闘いを見に来れない方も、
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