モルト侍

池袋のショット・バー、ジェイズバーのバーテンダーが、大好きなシングル・モルトを斬る。

2007年02月

第3回 世界で一番当たり易いブラインド・テイスティング

第3回セカイチBLTさて、読者の皆様には唐突な感は否めないかもしれないが、本日より「第3回 セカイチBLT」を開催すする。

本来なら2月中旬の開催を予定していたのだが、ブラッカダー社のロビンがジェイズ・バーに来店してくれた際のイベント、「ブラッカダー・ロウカスク・ナイト」の準備や後始末やらでいろいろ忙しく、延期させていただいた。今月中にはと思いながらグズグズしていたのだが、何とか3月になる前に間に合わせた。

問題の形式は前回同様、一般的な地域区分の中からひとつづつの蒸留所を選び、それが6つの選択肢となる。問題A,Bのシングル・モルトを飲んでその選択肢から解答を選べということである。

6つの選択肢は以下の通り。
バルブレア(ハイランド)
カーデュ(スペイサイド)
ハイランド・パーク(アイランド)
ブナハーブン(アイラ)
スプリングバンク(キャンベルタウン)
オーヘントッシャン(ローランド)

1回のチャレンジで¥1200。年末から年始にかけてスコッチショップの「ブラインド・テイスティング」に参加した方は半額の¥600でのご奉仕。是非ともチャレンジしていただきたい。大袈裟な話ではない。お気軽にやっていただきたい。2杯で¥1200は安い。¥600ならなおさら。

皆様に朗報である。
今回はその名に恥じぬほど「当り易い」こと間違いない。
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「スタンダード18」という考え方。(25)

共感のテーブルさて、話を戻そう。
少しばかり昔のことのように思うが、先日、僕はテーブルの上に3本のシングル・モルトを載せてみようと提案したばかりだ。

僕が共感のテーブルの上に載せてみようと思っているのは、アードベックとグレンフィディックと山崎。その3本を図のように三角形に並べる。さて、あなたに質問だ。1本の境界線を引いてこの3本をスコッチ・ウィスキーとジャパニーズ・ウィスキーに分けて欲しい。あなたならどこに線を引くだろう。

共感のテーブル-2このブログを読んでいるような人にこの質問が容易いのは、この質問には「正解」があるからである。境界線を引くのはとても簡単で図のようになる。もちろん、アードベックとグレンフィディックがスコッチ・ウィスキー。山崎はジャパニーズ・ウィスキーだ。「事実」をもとに答えを導き出せば「正解」を得られる。だから、「事実」を知っている人は「正解」に至るし、知らなければ答えられない。

実は僕がそんなことに興味がないことは、もう皆さん十分に知っていることかもしれない。
「事実」を知っている人は「正解」に至るし、知らなければ答えられない。
僕はそんなことをあなたに聴こうとは思わない。僕が聴きたいと思っているのは、「事実」など知らなくても、誰にでも答えられることである。しかも、そこに「正解」はない。いや、むしろすべてが「正解」なのである。もちろんそれが、「あなたの思ったこと」であるなら。

つまりあなたは、「あなたにとっての正解」を探せば良いのである。あなたは自分の答えに普遍性に対する責任など持たなくとも良い。あなたの「正解」は僕のそれとは違うかもしれないのだ。「人の思ったこと」など、それぞれに違って当たり前なのである。そんなものをみんなで揃えようと思ったら世の中が歪んでしまう。

例えばこんな質問はどうだろう?
1本の境界線を引いて、この3本を「痛いもの」と「痛くないもの」に分けて欲しい。
この質問には「事実」をもとにした「正解」はない。僕はあなたの思ったことを聴いている。つまりあなたの感想を聴いているのである。けれど、結果として多くの人の答えは揃うだろう。アードベックを「痛いもの」、グレンフィディックと山崎を「痛くないもの」とする人が大半だ。大半ではあるが、もちろんすべての人にとっての「正解」ではない。

皆さんは多数決がお好きだろうか?
先ほどの質問に対して、多数決で「痛いもの」を決定しましょうということになったら、恐らく圧倒的な賛成多数で「アードベックが痛い」に決まるだろう。多数決というのは実に便利なシステムで、事態が煮詰まって先に進んで行かない時に、とりあえず多くの人が「こっちを是」とするので、これで行きましょう。そんなことのためには有効なやり口だ。

世の中には賛成多数の結果を受け、複数ある選択肢のうちのひとつを選ばねばならない事態というのは発生する。選んで推し進めていかねばならない事態というのはある。閉塞した状況を進展させたいと願う立場から考えるなら、民主的で妥当な判断であるだろう。もちろん僕はそのことを否定しない。しかし、今僕がここで話をしているのはたかだかシングル・モルトの話である。

多数決という民主的な意思決定のプロセスは、「多数派に従い物事を決める」という約束事を前提として成り立っているのだが、「少数派の最後の意思表示」という側面があることを忘れてならない。どうやら自分が少数派であることを事前に十分に知りながら、安心して「私はそうは思わない」と手を挙げることを可能とさせるシステムでもある。

少数派の反対意見、大歓迎の侍である。
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「スタンダード18」という考え方。(24)

少し時間が経ったが、先週月曜日の続きである。

実は多くの人にとって、「思ったこと」を口にすることが意外なほど大変であることを僕は知っている。僕から何かを聴かれると、正解を答えねばならないと思ってしまう人は多い。彼らはいつでも「正しい答え」を欲しがる。「確実で変わらないこと」と言っても良いだろう。だから、彼らも「正しいこと」を言わねばならないと思っているようだ。

彼らは概ね優秀で頑張り屋さんだ。「正解」を選択することで人生を進んで来た人と言っても良いだろう。あるいは、そう思わされるような教育を受けてきた人と言っても良いのかもしれない。もちろん、その善良で誠実な態度を僕は好ましく思うし、きっと長いお付き合いができるだろうなと思う。僕が大切にしたい人たちではある。

世界は幻想と思い込みで成り立っている。
切ない気持ちにはなるのだが、どうやら僕はそんな風に世界を認識しなければならないと思っている。そんな僕にはやはり「本当のこと」が良く分からない。「正しいこと」も「明らかな事実」も良く分からない。人があまり本当のことを言わないということなら良く知っている。了承され合意がなされた「事実」を「本当のこと」にして行きましょうと、努力を重ねて生きるのが人だとは思う。そうしないと人の世は壊れてしまうと思うから。

「納豆がダイエットに効く」という番組は、どうやら「事実」を説明していなかったようだ。だけど、その「事実」を「本当のこと」として多くの人が納豆を買いあさった。結果として「事実」は捏造されたと人々は気付き、大騒ぎをした後、事態は収束に向かう。僕が思うのは納豆が1パック1万円もするようなものでなくてホントに良かったということくらいだ。

テレビはある種の権威を身にまとっているのだろう。確かに、テレビで大量の嘘が垂れ流されたら僕らの生活は混乱をきたすだろう。だから、テレビが嘘を付く訳がないと僕らは思っていたのだが、実はそうではなかったようだ。彼らは確信犯で嘘を付いたのだ。あれは「間違い」を犯してしまったという話ではない。「テレビが嘘を付く訳がない」というのは幻想である。しかしどうやら、テレビを信じたい人というのはたくさんいるようだ。テレビが嘘を付いたことを糾弾しようとする人は思ったほど多くない。

あなたは間違ってはいけないだろうか?あなたは嘘を付いてはいけないだろうか?できれば嘘は付いて欲しくないが、あなたの間違いはどの程度、周りの誰かを不幸にするだろう。しかも、僕が聴きたいのはシングル・モルトに関わることである。あなたが山崎蒸留所のウィスキーをスコッチだと思っていたとして、その間違いは誰かを不幸にするだろうか?

僕があなたの「思っていること」に興味があるのは理由がある。あなたの「思っていること」はそのまま、あなたの「立ち位置とその眼差し」である。あなたは何処に立って、どのようにシングル・モルトを見ているのか。あなたの「思っていること」の中にはたくさんのそれが隠されている。だから、僕はあなたの話に耳を傾ける。

もちろん、ひとつの質問であなたのすべてが理解できる訳ではない。100の質問を繰り返したところで、そのすべてなど理解しようもない。100万回の質問を繰り返しても完璧に至ることはないだろう。人は日々変わるのだ。今日のあなたは昨日のあなたと違う可能性がある。もしも、今日あなたを完璧に理解したと僕が思っても、明日になれば恐らくそれは使えない。

完璧な理解など程遠いと思いながら、僕はあなたの話に耳を傾ける。それでも僕は目の前のあなたを理解したいと思い続ける。100%に至らないことは残念なことでも、途方もないことでも、無駄な努力でもない。完璧に至らないことはすべて愚かだと思う態度を僕は取らない。同じ時間を共有することは理解を深めるはずだ。時は流れるのではなく、積み重なるのだ。

あなたが「思っていること」を言ってくれない限り、実は何も始まらないのだ。
あなたが「思っていること」は必ずしもすべてが正解ではない。
けれど、それは僕を困らせない。
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ロビン、池袋の侍を訪ねる。(4)

さて、終電をやり過ごし愉快に飲み続けるロビンである。捕まえたお客さんに日本語のレクチャーを受けている。「ロビン」を漢字で書いてもらい大喜び。日本語の数字の発音の練習をさせられている。「イチ、ニイ、サン、ヨン、ゴー!」。
「欧米か?」、と突っ込みたくなった。

結局ロビンが帰ったのは午前2時過ぎ。ご機嫌な顔をしてはいるが、少々眠そうだ。そろそろ帰った方がいいんじゃないか?という顔をしたら、
「さっきの女の子にタクシーを呼んでくれと頼んだんだが、あの子はどこへ行った?」、という。

ロビンの言う「あの子」は実はジェイズ・バーのスタッフ。当日は休みであったのだが、ヒマなら遊びに来いと言ってあった。半分仕事のようなものであったろう。何かとロビンの世話を見させるハメになった。

さて、どうやってタクシーに乗せるか。街を流しているタクシーを捕まえても良いのだが、僕は店を出る訳にはいかないし、お客さんに頼むのもどうかと思い電話で呼ぼうとしたところ、
「知り合いのタクシー呼びましょうか?」。と声を掛けてくれたのがてっちゃん。ありがたい。その場で携帯から電話をしてくれた。埼玉から急いで20分で来てくれるという。

てっちゃんからタクシー到着の知らせを受け、残った参加者でロビンを拍手で見送る。店の前に付けてくれたタクシーにロビンを乗せた。別れ際にしっかりと握手。笑顔で手を振るロビン。お辞儀をして僕も手を振る。

また会えるといい。


リスト昨日の記事にロビンから参加者の皆様にメッセージが届いていたのをご覧になっただろうか。ブラッカダー・ロウカスク・ナイトに集まってくれた皆様に伝えて欲しいと、忍者が受け取ったものだ。どうやらロビンも楽しんでくれた様子で、僕も嬉しい。客人の満足を素直に喜びたい。もちろんそれは皆様のおかげでもある。

ロビンの言う通り、確かに僕らはクレイジーかもしれない。だけどロビン。あなたの方も十分クレイジーであることは僕らも良く知ることができたよ。


親愛なるロビン。
僕はあなたに見て欲しかったんだ。
僕らがあなたのシングル・モルトをどんな風に愉しんでいるのか。

僕らは何も特別なものなんて持たない、この国に暮らす普通の人々だ。そんな人たちが仕事を終え、家に帰って寝る前に、ちょっとした小銭を握りしめてやって来るのが僕の店、ジェイズ・バーなんだ。
そんな人たちの暮らしの中に僕の店はありたいと思っている。

日常の中にジェイズ・バーがあり、人がそこに集い、僕らがシングル・モルトを愉しむことは、もう既に特別なことではない。確かに、暮らしの中にジェイズ・バーやシングル・モルトがあることは、僕らにとっての個性と言えるのだろうが、それは何も特別なことではない。僕らは当たり前のようにシングル・モルトをやるんだ。

もちろん僕らはウィスキー評論家ではないけれど、言いたいことは言わせてもらうよ。僕らが言いたいのは「自分の好き嫌い」。自分が好きな酒を誰かが嫌いなことはあるだろうし、自分が嫌いな酒を誰かが好きなこともある。そのくらいのことなら、僕らだって知っているさ。

だからロビン。覚悟をしておいてくれ。僕らがブラッカダーのシングル・モルトを愉しむことですら、それはもう特別なことではないんだ。僕らのうちの誰かがあなたのシングル・モルトを「好きではない」と判断したら、きっとその人は言うだろう。「この酒は僕のお気に入りではない」、と。でも心配は要らない。評論家ではない僕らは、皮肉屋にならないように気をつけているから。そして、そのことに気を付けてもらうようにすることは、実は僕の仕事だと思っている。

ロビン。あなたの見た通り、確かに僕らはクレイジーなのかもしれない。確かに僕らはお行儀が良い方とは言えないかもしれない。いつだって僕らは勝手なことを言っているからね。だけどロビン。あなたの方はどうなんだい?

僕らは感謝しているよ。だって、あなたのシングル・モルトを巡ってあんなにも愉しめるのだから。あなたも見ただろう?ブラッカダーのシングル・モルトを飲んで、あんなにも盛り上がっていたのを。すべてはあなた方のおかげだ。

僕はシングル・モルトに敬意を表したいと思っている。だけどそれは、すべてのシングル・モルトを「素晴らしい」と言ってしまうこととは違うはずだ。どんなシングル・モルトにも素晴らしいところはあるのだろう。でもそれが飲み手にとって素晴らしいものでなければ、素晴らしいなんて言う必要はない。僕はいつもお客さんにそう言っている。

ロビン。僕らの舌を舐めてはいけない。違うものを飲めば違う味がすることを、僕らは良く知っている。味の違いを知ることは確実に感想を生むんだ。感想が生まれれば「好き嫌い」が出てくる。そして、「自分の好き嫌い」を言い合うことで僕らはシングル・モルトを愉しんでいる。

僕らがどんな風にシングル・モルトを愉しんでいるか、あなたに見せられたことを僕は嬉しく思うよ。そして、いつものようにシングル・モルトを愉しんでいるジェイズ・バーのお客さんを、僕は誇らしく思っている。

これからも僕らが愉しめるシングル・モルトを送り出してくれ。
それは僕らみんなの願いだ。

Kind regards

Malt Samurai
J's Bar


皆様にお願いをしたい。
このブログのコメント欄にロビンに向けたメッセージを。
忍者を通じて伝わるはずです。
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ロビン、池袋の侍を訪ねる。(3)

当日は午後8時からスタートの予定であったのだが、フライングのお客様も数名。ロビンの到着した9時半には満席であった。もちろん、それまでに何杯かは飲んでいる。良い具合に仕上がってきた感はあるのだが、その中でも調子に乗った足軽(兄)である。ロビンに握手を求め、サインをせがみ、記念撮影の際には抱きつく始末。次は何かと思っていたら、「ちょっと、ロビン・トゥチェックにブラインド・テイスティングをさせたいんだけど」。

正直、これは面白いと思ったのだが、「念のため、了解を取ってくれ」と忍者のもとへ走らせた。どんなやり取りが忍者とあったのか不明ではあるが、ロビンは急な申し出を受けてくれたようだ。足軽(兄)がロビンに渡したグラスにはローズバンクが入っている。その日、刺客がお薦めとしたシングル・モルトだ。

ブラインドのロビン渡されたグラスに鼻を突っ込み目を閉じるロビン。はたと気付いたように目を開け、いきなり答えを出すかと思いきや、カウンターの上のリストを手繰り寄せた。ひとつひとつ確認するかのように頷きながらリストを眺める。真剣な眼差し。昨日お伝えしたが、その日に提供したシングル・モルトは全部で19種類。つまり選択肢は19ある。確率は19分の1。

ひと口飲み、再び目を閉じるロビン。最後に香りを確認し、ゆっくりと頷いて目を開いた。
「ローズバンク」。

店内には歓声と拍手が沸き起こった。
いやいや、ご立派。本当にたいしたものである。「当たり前じゃん」といった風情である。

さて、次に盛り上がったのはロビンが用意してくれたプレゼント。容量の少ない200ml入りのボトルであるが、オーヘントッシャンとポート・エレン。もちろん、共にロウカスク。2名の方に差し上げることになったが、じゃんけんでの争奪戦になった。やはりどう考えても、1位にポート・エレン。2位にはオーヘントッシャン。

じゃんけんでグーを出すロビン「じゃんけんぽん」の掛け声と共に高く上に手を挙げてくれたロビンであったが、どうやら慣れてはいない様子。棒立ちのままおもむろに手を挙げる姿は、青信号を待つ小学生のようだ。そんなところもキュートなロビンであった。当選者2名は手渡されたプレゼントにサインをしてもらってご満悦の様子。

その後もお客さんの席を周って声を掛けてくれたロビン。自分の財布からお金を出してジェイズ・バーのお客さんにご馳走までする次第。申し訳ないとも思ったが、何やらみんな楽しそうだ。特に女性のお客さんとはあり得ないほどに親密に話をしている。

時計が11時を回った頃だろうか、忍者と刺客がロビンを呼び止めコソコソと耳打ちをしている。ぼちぼち帰る時間か。侍も思いを果たさねばならぬ。刺客が声を掛けてくれた。「そろそろロビンが帰ります」。「うむ」。

ロビンの著作写真はもう随分昔の本。ロビンの著作、「ザ・モルト・ウィスキー・ファイル」。シングル・モルト関連の資料など少なかった当時、何かと参考にさせていただいた本だ。10年近く前に買った時にはまさか本人にサインなどしてもらえるとは思ってもいなかった。一般の書店では流通していなかった書籍。目白田中屋という酒屋さんで買ったのを覚えている。



ロビンの著作にサイン忍者から「お名前はどうします?」と聞かれ、「サムライでお願いします」と答えた。大きな手に握られたペンが小さく見えた。気を利かせてくれたのだろう。「モルト・サムライ」と書かれている。嬉しい。名残惜しいがお別れの時間のようだ。こちらも用意させていただいた贈り物を渡した。風呂敷に包んだお煎餅。ホテルの部屋でかじってくれ。ビールでも飲みながら。



おせんべい








握手するロビンと侍しっかりと握手をして記念撮影。店中のカメラがロビンと侍に向かった。撮影も無事終了。参加者全員でロビンを快く送り出そうと思ったその時、振り返ると店の入口付近でロビンと忍者と刺客が何やら相談をしている。不敵な笑顔で侍の方へ一歩近付く忍者。「終電は何時だか分かりますか?」。「えっ!?」何やら不穏な動き。「いやぁ、ロビンがもう少し飲んで帰りたいと・・・」。楽しくて帰りたくないというのなら、こちらも嬉しい限りではある。しかし、忍者殿。その笑顔の意味はどういうことだ。

「山手線の終電、何時だか分かる?」、大きな声でお客さんに聞いた。すかさず携帯電話で調べてくれたヨシダ君。「12時38分ですね」。ありがとう。再び忍者に向かい「12時半過ぎですね」と侍が言ったのもつかの間、もぞもぞと後ろへ下がる忍者と刺客。「それでは私たちはこれにて・・・」。
「えぇっ!?」。閉まりかける扉の向こうで、「終電の時間に声を掛けて下さい」。

消えた・・・。
さすがは忍者。逃げ足が速い。

そもそもこの企画は、スコッチモルト販売さんの協力がなければ成り立たないほどに、手配をしていただいたのは確かだが、この逃げ足の速さはいかがなものか。まぁ、ふたりの無責任ぶりはさて置き、もう少し飲みたいというのなら嬉しいじゃないか。お客さんも少しづつ帰り始めた。ゆっくりと話でもできれば良いが、さて、ロビンは・・・、何処?

気付けば店の奥へと進むロビン。既に数名のお客さんに囲まれ談笑中。侍はその横を通り抜けカウンターの中へ。まぁ、放っといて仕事でもしますか。その後も店内をウロウロするロビン。時間はあっという間に過ぎた。

「ロビン、ぼちぼち時間だよ」。
「もういいよ。タクシーで帰る」。
笑った。

さて、もう既にほとんどの商品はなくなってしまったが、残りのロウカスクを皆様にも少し飲んでいただければと思う。ハーフ・ショットで¥500という訳にはいかないが、超破格値でしばらくお出ししようと思う。楽しみにご来店下さい。もちろん、売切れ御免。
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ロウカスク

ロビン、池袋の侍を訪ねる。(2)

ボトル2月19日(月)、池袋のジェイズ・バーにブラッカダー社のロビン・トゥチェックがやって来た。その前日、18日(月)に開催された「ウィスキー・マガジン・ライブ」に合わせての来日である。日本には1週間ほど滞在の予定のようで、忙しいスケジュールの合間を縫って「ラスト・サムライ」に会いに来たのである。

この侍の噂が届いていたかと思うと嬉しい限りである。わざわざ遠い所から大事な客人を迎えるに当たって、つまらぬ思いをさせては申し訳が立たない。何しろこちらは面子を重んじる侍。末代までの恥である。「ロビン来る」の報に武者震いがした。

さて、「ブラッカダー・ロウカスク・ナイト」と銘打ったこのイベント。
まずはどんな内容であったかをお伝えしよう。

チケット当日はチケット制とさせていただいた。¥1500で購入していただいたチケットで、ハーフ・ショット3杯飲んでいただける。取り揃えたのはブラッカダー社瓶詰のシングル・モルト19種類。その大半はロウカスク・シリーズのシングル・モルトである。4杯目以降の追加オーダーは1杯¥500。かなりお買い得の内容である。おかげでたくさんのお客様でロビンをお迎えすることができた。お集まりいただいた皆様には感謝である。

それまで販売中のロウカスクは全部棚から隠した。イベント当日に合わせてコツコツと在庫していた商品を一挙に放出。この日のために特別に仕入れもした。開封した商品も合わせての19種類ではあったが、その全貌は以下の通り。

Aberlour 1990 / 14yo / 59.5%
Glen Elgin 1975 / 29yo / 54.7%
Macallan 1990 / 14yo / 59.8%
Linkwood 1989 / 16yo / 58.7%
Longmorn 1990 / 14yo / 54.3%
Glenturret 1980 / 17yo / 53.7%
Tullibardine 1966 / 36yo / 52.1%
Rosebank 1990 / 14yo / 56.3%
Glenturret 1980 / 17yo / 53.7%
Highland Park 1982 / 19yo / 57.6%
Highland Park 1988 / 15yo / 56.1%
Highland Park 1989 / 11yo / 58.2%
Bruichladdich 1991 / 13yo / 55.3%
Port Ellen 1983 / 21yo / 62.7%
Caol Ila 1990 / 12yo / 57.7%
Caol Ila 1991 / 12yo / 61.2%
Peat Reek -- / -- / 61.8%
Smoking Islay -- / -- / 55%

1杯¥3000程度で売りたい商品もたくさんあったのだが、この際ショボイことを言ってはいられぬ。盛り上がりに欠ければこの侍の顔が立たぬ。結果として参加者の皆様には平均すればハーフ・ショットで6,7杯、一番飲んだ方は20杯飲んでいただいた。大いに満足していただけたと思う。

エルギンとポートエレンやはり人気はポート・エレンとグレン・エルギンであろうか。確かにお買い得なのは言うまでもない。3種類のハイランド・パークは開封済みで残りが少なかったせいもあるが、すぐに売り切れとなってしまった。個人的な感想の域を出ないが、ロウカスクのハイランド・パークには「当り」が多い。3種類飲み比べができた方はラッキーだったはずである。



ハイランド・パーク3種このハイランド・パーク。中でも1982ヴィンテージはかなりの好評。「もうこれと同じ商品はないのか?」とのお客さんの問いにロビンは、「スコッチモルト販売が持っているはずだ」と答える。忍者殿、本当でござるか?もしも隠しておるのなら、潔く出されい。侍を騙してもロクなことはないぞ。

「いやいや、実は1982ヴィンテージのハイランド・パークなら1樽持っている」。ニヤリと笑うロビンである。このおっさん、なかなかのクセ者である。冗談なのか、本気なのか、まったく分からない。真意のほどは定かではないが、この先1982ヴィンテージのハイランド・パークが出てきたら気になって仕方がないことだろう。

多く集まったお客さんの一人一人に気軽に声を掛け、握手をしてサインに忙しそうなロビンである。狭い店内を挨拶して周る大男の気さくな態度に、皆一様に頬が緩んだ。その本来の人柄まで知る由もないが、この愉しそうな雰囲気の場に気難しい顔をして現れ、空気を壊して帰るような無粋な男でないことだけは確かなようだ。

それにしても、ロビン。あなたの顔もさっきから緩みっぱなしのようだが・・・。
美人揃いのジェイズ・バーの女性客が、いたくお気に召した様子か?
来年もロビンに会えることを祈って、人気ブログランキング

ロビンと記念撮影2

ロビン、池袋の侍を訪ねる。

握手するロビンと侍ウィスキー・マガジン・ライブのために来日した、ブラッカダー社のロビン・トゥチェックが昨日ジェイズ・バーに来店した。日本に本物の「ラスト・サムライ」がいるとの噂を聴いて訪ねてくれたのだ。遠い彼の地にまでこの侍の噂は届いているのかと思い嬉しくなった。

こちらも噂には聴いていたが、なかなか存在感のある男。大きな体躯を揺らしノソノソと歩き、人目も憚らず振舞うさまは天晴れ。見上げたものである。恐らく誰でもそうだろう。大男の笑顔には弱い。

まずはこのブログの読者の皆様にお詫びを。
ひと月ほど前から決まっていたこの企画であったが、記事にすることはできなかった。昨日も盛況であったが、混雑が予想されたためお知らせできなかったのである。大変申し訳ない。今後も何かがあればお知らせをしたいのだが、詳細はジェイズ・バー店内で。

ロビンが来店したのが9時半頃。11時を過ぎた頃には帰るかと思っていたが、どうやらご機嫌な様子。付き添いの二人を先に帰らせ終電まで飲むという。電車でホテルに戻るので知らせてくれと言っていたロビンだが、終電をやり過ごし「タクシーで帰るから結構」、と言い出す始末。楽しいのなら良いのだが、ロビン。それにしても、さ。

ジェイズ・バーのお客さんも人好きのするロビンの人柄は十分に理解した。その気さくな態度からブラッカダーのシングル・モルトは生まれるのかと納得もした。間違ってもそれが「不思議」とは誰も思わない。まぁ、そのくらいにジェイズ・バーのお客さんは大人だね。

しかし、ロビン。圧巻は急遽行った「ブラインド・テイスティング」。足軽(兄)の申し出で、昨日特別提供させていただいたブラッカダー・ロウカスクの商品から「ローズバンク」をロビンはきっちりと当てた。さすがにこの瞬間、店内は大盛り上がり。

さて、準備やら何やらを含め、昨日はいささか疲れた。
昨日の写真を何点かアップするのでご覧頂きたい。詳細は明日以降の記事で。

ブラインド・テイスティングのローズバンクを飲み干すロビン。
ブラインドのロビン








参加者とプレゼントを巡り「じゃんけん」をするロビン。池袋で「グー」を連発。
じゃんけんでグーを出すロビン








ブラインド・テイスティングを突然申し出た足軽(兄)とロビン。
足軽(兄)とロビン








こちらはロビンの著作。「ザ・モルト・ウィスキー・ファイル」
ロビンの著作








その本にサインをしてもらってご機嫌の侍。
サイン本を受け取る侍








サインには「Malt Samurai」
ロビンの著作にサイン

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「スタンダード18」という考え方。(23)

テーブルの話を以前したことがある。憶えているだろうか?
テーブルの向こう側のあなたと、テーブルに載ったシングル・モルトについて語り合う。視点の違う僕とあなたは同じシングル・モルトを違うように見てしまう。そんな話だ。実はそのテーブルに僕は名前を付けている。僕はそれを「共感のテーブル」と呼んでいる。僕とあなたができる限り同じものを同じように、共に感じるために用意したテーブルである。

僕は今、その共感のテーブルの上に3つのシングル・モルトを載せようと思っている。アードベックとグレンフィディックと山崎。そしてあなたには座った椅子から立っていただこうと思っている。もちろん僕も椅子から立とう。そして共にテーブルに近付いてほぼ真上から3つのシングル・モルトを眺めてもらいたい。僕とあなたは大きく顔を近付けることになると思うが、僕らはもうそのくらいのことは許される仲だと思う。

テーブルの上にアードベックとグレンフィディックと山崎、3本のシングル・モルトを載せる。顔を近付けてそれを上から覗くとこんな風に見えるはずだ。そして、そこに線を引いてもらいたい。境界線を引いてもらいたいのだ。3つのシングル・モルトと1本の境界線。つまり世界はふたつに分割される。あっち側とこっち側。1本の線を境に、ふたつとひとつのシングル・モルト。境界線に意味を与えるなら、世界は属性を持ってそれぞれに分割される。

3本のシングル・モルトを2本と1本に分けて欲しいということだ。「どのように分けるか?」、そのことを境界線とするなら、その境界線は僕が用意しよう。僕はあなたにこれからいくつかの質問をする。あなたはその質問を受けて、3本のシングル・モルトを2本と1本に分けて欲しい。さて、最初の質問はとても答え易いものにしよう。だって、この質問には多くの人に共通し納得のいく「正解」がある。

「この3本をスコッチ・ウィスキーとジャパニーズ・ウィスキーに分けるとするなら、どこに境界線を引きますか?」。

この質問を「引っ掛け問題」だとは思わないで欲しい。皆様ご存知の通り、正解は明らかだ。アードベックとグレンフィディックはスコッチ・ウィスキーであり、山崎はジャパニーズ・ウィスキーである。テーブルの上に境界線を引くなら図のようになる。僕があなたにして欲しいと思っているのは、例えばそんなこと。僕の質問を受けて、あなたの手でテーブルの上に境界線を引いて欲しい。

この手の質問がとても答え易いのは、あなたが手持ちの知識を使えば答えられてしまうからだ。アードベックとグレンフィディックはスコッチ・ウィスキーであり、山崎はジャパニーズ・ウィスキー。あなたはそのことを事実として知っている。あなたは知っていることを答えれば良い。いや、この質問にはシングル・モルトの知識すら必要ないかもしれない。山崎が「日本語」で、アードベックとグレンフィディックは「外国語」だろうと予測が立つなら、どんな人でも「正解」を答えられる。

僕がクイズの出題者でないことは皆さんご存知だと思う。だから、僕はあなたに誰もが納得をする正解を出して欲しいと願っている訳ではないし、あなたが質問の意図を読み切れずに「引っ掛け問題」の罠に嵌ることを望んでいる訳でもない。何度も繰り返すが、僕はあなたが知っていることに興味はない。あなたがどう思っているかが知りたい。
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「スタンダード18」という考え方。(22)

少々間が抜けたが、前回の続き。

きっとあなたはアードベックが嫌いにはならない。あなたにとってアードベックは思い出の中にあるシングル・モルトだ。アードベックを飲むたびに思い出す何かを、あなたはきっとこれからも大切にするだろう。もしもあなたにとってのアードベックが、驚きを感じさせてくれるだけのシングル・モルトだとしても、時々はあなただってビックリしたくなるのではないだろうか。

さて、あなたは今僕の目の前で、久し振りにアードベックを飲むことになった。あなたはビックリしたのかもしれないが、その驚きは予定通りだ。言ってみれば、「何度か乗ったことのあるジェット・コースター」のようなものかもしれない。いづれにしても安全は保障されている。斬新な驚きや意外性は欠けていたはずである。だけど、時々は乗りたいジェット・コースター。

そしてもうひとつ、僕はあなたにグレンフィディックを飲んでもらった。アイラ・モルト好きを自負するあなたにはあまり興味のなかったシングル・モルトではないだろうか?もちろん、あまりにも有名なグレンフィディックをあなたが知らない訳はあるまい。あなたはグレンフィディックに関わるいくつかの「事実」をご存知だったかもしれない。だけどどうだろう。あなたはこれまでどのくらいグランフィディックを飲んで来ただろう。

改めて飲んでみたグレンフィディックに、あなたは何かを感じてしまったのではないだろうか。その昔、好きで良く飲んだアードベック。あなたも知らないはずのないグレンフィディック。そのふたつをあなたは目の前で飲み比べている。それぞれのシングル・モルトに対する感想はあなたの中に生まれてしまう。当然、浮かんだその感想にはそれぞれの違いがある。それこそがそれぞれの明確な個性の差である。

目の前に2杯のシングル・モルトがある。それぞれのシングル・モルトに対して、あなたは個人的な感想を持っている。アードベックとグレンフィディックのその味わいの違いにあなたは気付く。その味わいの違いは明確で、結果として2杯のシングル・モルトに対してあなたは「好き嫌い」が発生してしまう。

一方、あなたの中に今生まれた「好き嫌い」とは別に、あなたにはかつてアードベックを愛した記憶がある。それまでの自分。衝撃的な出会い。アードベックを愛した日々。アードベックにまつわる様々な思い出。そして知らぬ間にアードベックから遠ざかってしまったことに対する罪責感。
もしもあなたの中に山崎のようなウィスキーに対して否定的な感情があるとするなら、それはあなたが抱えている罪責感の裏返しなのではないだろうか。

そんな時は誰だって素直な言葉で自分の気持ちを表すことができない。
ふたつのシングル・モルトを飲み比べて、「グレンフィディックの方が好きかもしれない」とあなたが言えなかったとしても、僕はあなたを責める気にはならない。

さて、これから僕があなたにどんな質問をしようと思っているか、そしてその意図について、あなたではなくこのブログの読者の方にまずお伝えしておこう。
次回に続く。人気ブログランキング

闘いを振り返る。(3)

本日もスコッチショップ「第10回 ブラインド・テイスティング」の記事である。

最後は問題D。
この問題は前の3つの問題と少しばかり違う手のものとなる。蒸留所名を解答するのではなく、蒸留所のある地域名を答えろというのだ。つまり、問題Dを味わった後、「これはアードベックに違いない」と思えば、解答を「アイラ・モルト」とすれば良い。あるいは蒸留所を特定することができなくとも、その地域の特徴と思われるものを感じたらそれを解答とすれば良いし、マッカランかロングモーンかモートラックか悩む、なんて状況なら「スペイサイド・モルト」を解答とすれば良い。

しかしだからこそ、この問題は曲者である。答えやすいという点で解答者にとって優位に思うかもしれないが、その自由度の高さは出題者を利するのである。ど真ん中のストレートと見せかけてフォーク・ボール。打者は空振りの三振。今までも幾度となくそんな球を投げて寄越した忍者である。よろしいか皆様、この問題は出題者からすれば「引っ掛け問題」を作り易いのである。この侍、忍者の極悪非道ぶりを皆様に告発したい。

例えば、忍者が「ヘビー・ピートのアイル・オブ・ジュラ」を問題Dに出題したとしよう。どのような結果になるかご想像いただきたい。アイル・オブ・ジュラがジュラ島の蒸留所であることはご存知と思う。地域区分で言えば「アイランズ・モルト」である。しかし、その「アイランズ・モルト」であるアイル・オブ・ジュラが非常にピーティに化粧をしている訳だ。何せ、「ヘビー・ピートのアイル・オブ・ジュラ」である。アイラ島とジュラ島がどれほど近い位置に存在しているかご存知だろうか?

正直、「ヘビー・ピートのアイル・オブ・ジュラ」、あるいは「アイラ・モルトのうちのどれか」と二者択一の問題であったとしても、侍には絶対当てられる自信などない。それほどまでにそのふたつは似た傾向を持っている。ストレートと思い大振りをすれば、フォーク・ボールで空振り。フォーク・ボールのタイミングで待てば、ど真ん中のストレートを見逃し三振。それが問題Dである。

「ヘビー・ピートのアイル・オブ・ジュラ」という出題は、当然解答者をアイラ・モルトという答えに誘導する。アイル・オブ・ジュラにもアイラ・モルト全般にもダシの味わいは存在する。ダシっぽいだけでなく、そこにピートが乗っているのである。素直に考えればアイラ・モルトの可能性は高い。疑うことを知らない素直な解答者は、まんまと忍者の罠に嵌るのである。

最悪である。素直でない解答者にも最悪なのである。「アイラ・モルト」に見せかけた「ヘビー・ピートのアイル・オブ・ジュラ」のように見せておいて、実は本当は「アイラ・モルト」なんてことになっているのかもしれないのである。ストレートなのかフォーク・ボールなのか、心に決めて打席に立つしかないのである。中途半端なスウィングが一番危うい。

問題Dをひと口飲む。ピートの効いたシングル・モルトだ。ダシの味わいもそこそこ程度よく感じる。どちらかと言えば硬質な印象。ローランド・モルトではないだろうとは思ったが、ハイランド地域沿岸部のピートの効いたシングル・モルトの可能性さえ否定できなくなってしまう。疑い始めたらきりがない。まさにそれこそが忍者の意図と思いながらも、その呪縛から逃れられない。

結果からお伝えしておこう。実はこの問題Dに侍は正解した。忍者の投げたフォーク・ボールを侍は読み切ったのである。

まず、アイラ・モルトである可能性を切って捨てた。ポイントは硬質な印象を持ったこと。もちろん例外はあるが、アイラ・モルトの中で侍が「硬い」イメージを持つのは、カリラとラフロイグとブルイックラディ。それ以外のアイラ・モルトにはダシの旨味から来る「柔らかさ」のようなものを感じることが多い。「柔らかさ」というニュアンスが不適切なら「弾力」と言ってもいいかもしれない。実はジュラ島のシングル・モルトにも同様なものを感じることが多いが、アイラ島のシングル・モルトにもその「弾力」を感じる。

問題Dにはその「弾力」が少ない気がしたのだ。確かにカリラとラフロイグとブルイックラディは「弾力」の少ないシングル・モルトとの認識があるが、カリラかラフロイグであるなら「ピーティが足りない」との思いはあった。結果として問題Dがブルイックラディである可能性は排除し切れなかったが、開き直ってあきらめた。正解がブルイックラディであるなら潔く負けを認めよう。

そして、同様の理由でアイランズ・モルトである可能性も捨てた。そしてその時、ふと閃いたのである。もしや、正解はキャンベルタウンではないかと。

スコットランドの蒸留所の総数は100を軽く超えるほどにある。その半数近くはスペイサイド・モルトであり、ハイランド・モルトは40ほどになるだろうか。それではその中でキャンベルタウン・モルトはいくつあるか、ご存知だろうか?スプリングバンクとグレンスコシア。そのふたつである。

今回から出題方法が少々趣を変えたことは前々回お伝えした。正解の地域名とともに「正解ではない地域名」を選ばねばならなくなったのである。例えば正解の地域名を「アイラ・モルト」とするなら、「正解ではない地域名」を「キャンベルタウン・モルト」とすればよい。もしも「アイラ・モルト」が当っていれば、「キャンベルタウン」も当りということになる。

「正解ではない地域名」を選ばねばならなくなった。このことがポイントではないかと侍は思った。「絶対に正解ではない地域」を間違えるのはかっこ悪いですよね?「絶対にアイラ・モルトではない」、と思ったくせに正解はがアイラ・モルトだったら恥ずかしくないですか?忍者はこの問題を「間違えさせたかった」のではないだろうか?

地域ごとの蒸留所の数を思い出して欲しい。「絶対にスペイサイド・モルトではない」と答えたら、あくまでも確率の上では半分くらいの可能性で「間違える」のである。「正解」を「アイランズ・モルト」として、それを確信したとして、「絶対に正解ではない地域名」をスペイサイド・モルトとするだろうか?半分くらいの可能性で「間違える」のである。どうせなら、もう少し「間違える」可能性の少ない地域名にしたい。

あくまでも数の上で一番少ないのはキャンベルタウン・モルトである。何せふたつしかない。「正解」をキャンベルタウン・モルトとするなら、「絶対に正解ではない地域名」をキャンベルタウン・モルトにはできないが、「正解」をキャンベルタウン・モルトにしなかったら・・・。どうだろう、あなたなら安直に「確率の上で」なんて思いながら、「絶対に正解ではない地域名」をキャンベルタウン・モルトにしてしまうのではないだろうか。

だとすれば、その「正解」こそがキャンベルタウン・モルトなのではないだろうか?

この問題D、キャンベルタウン・モルトである可能性は十分に高い。
結果として侍の読みは的を射た。
ホントはグレンスコシアのヘビー・ピートと思ったんだけどね。

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闘いを振り返る。(2)

本日も昨日に続きスコッチショップで昨年末に開催された「第10回 ブラインド・テイスティング」の記事である。

さて、昨日に続いて問題B。
正解はミルロイのマッカラン。シェリーバットの熟成の若いもの。忍者が用意した選択肢は以下の通り。
1. アベラワー
2. グレン・エルギン
3. モートラック
4. マッカラン
5. ストラスアイラ
6. ロングモーン

すべての選択肢はスペイサイド・モルトで構成されている。ため息を付きたくなった。

この中から侍が選んだのはロングモーン。とても口惜しいのだが、解答欄に答えを記入する前、侍は「4番」に丸を付けていた。思い悩み、最後に答えをロングモーンにしてしまったのだ。

華やかと言えば、華やか。しかし、鼻を突くツンとした香りが特徴。「ワックス」や「革製品」のニュアンスを香りに感じた。メモにはその味わいを「ユニークな甘さ」と書かれている。「オロロソ?」とも。その時の侍はこのシングル・モルトの樽にちょっとした違和感を持った。素直さの少ない、ちょっとしたクセっぽさを感じた。若干「イオウ」、「赤サビ」のようでもあり、ちょっぴり「火薬」のようでもある。

正直なところ直感的に「これ!」と思うものはなかった。ひとつづつ選択肢から消去しようと、最初に消したのはストラスアイラ。独特の「ふわぁ」っとした印象がない。次はグレン・エルギンを消す。問題Bに「ユニークな甘さ」との印象は持ったが、グレン・エルギンの甘味とは違う印象だ。アベラワー、モートラック、マッカラン、ロングモーンが残ったがどれも決め手に欠ける。樽の影響が大きいとするならなおさら、これらの蒸留所の違いを見極めるのは僕には難しい。

アベラワーならもっと硬質な感じがすると思うし、モートラックはもっと「だらしない」イメージがあった。マッカランかロングモーンがほんの少しではあるが、答えに近い気はしていた。とはいえ、大差はない。何かを手がかりにして、答えを決めねばならないのだが。

悩んだ末に侍が決め手としたのは「辛味」。ボトラーズもののロングモーンには全般的に辛味を感じるものが多い。しかし、根拠としては非常に希薄。しかし、この選択肢から正解を出せというのも理不尽である。マッカランかロングモーンというところまで絞り込めたので良しとしよう。

続いては問題C。
正解はオフィシャル・ボトルのバルブレア。1970年蒸留、35年熟成。バーボン樽の限定ボトル。忍者が用意した選択肢は以下の通り。
1. グレングラント
2. バルブレア
3. グレンモーレンジ
4. グレンフィディック
5. ダフタウン
6. トマーチン

確かに非常に「華やか」。侍のメモには「トイレの芳香剤」とまである。微かに「シナモン」。このあたりの最初の印象は、どうにも目くらましを喰らった感があった。しかし、じっくり味わっていくと侍の中にひとつの疑惑が生まれる。もしや、これは沿岸部の蒸留所ではないかと。

「華やか」な印象が「トイレの芳香剤」レベルまで上がるなら、それはある意味「うるさ過ぎるほどの華やかさ」である。それが少し収まるまで待つことにした。しばらくすると非常に微かではあるが侍の言うところの「ダシっぽい」味わいのあることに気付いた。まさに沿岸部の特徴である。

確かにその沿岸部の蒸留所の特徴はとても微かである。しかもうるさ過ぎるほどに華やか。さらに時間とともに甘くなる。いづれも長期熟成のなせる技か。なおさらながら、その「ダシっぽさ」は奥に隠れている。

さて、そこで侍は大きな誘惑に惹かれることになる。もしも、沿岸部の蒸留所と判断するなら、答えを2つに絞ることができる。選択肢をもう一度ご覧頂きたい。バルブレアとグレンモ−レンジに限定できるのである。他の4つは内陸部の蒸留所である。

安直に答えを決めたいだけではないかとの疑念は生じた。自らの味覚に確たる自信はない。急いてはいけない。しかし、侍は自分を信じた。もちろん、そこまでは結果として間違ってはいなかった。そこまでは正しい。バルブレアとグレンモーレンジは非常に近いところにある蒸留所だ。北ハイランドの沿岸部。問題はその後。

バルブレアとグレンモーレンジにまで答えを絞りながら、正解に辿り着けなかった。敗因は「きれい」にある。

侍のメモにはこうある。「少しきれい」、「鉄」、「さび」、「ピート?」。
35年という長期熟成でありながら、その味わいは濃過ぎない。その辺りに侍は「少しきれい」を感じたのだろう。「鉄」、「さび」、辺りまで来ると、これはもう侍の中でグレンモーレンジの特徴そのものなのだ。残念なのは「ピート?」の?マーク。バルブレアもグレンモーレンジも、決してピーティに過ぎるシングル・モルトではないが、全般的によりどちらにピーティなイメージがあるかというと、バルブレアではないだろうか。

しかし、侍の最終的な答えはグレンモーレンジ。口惜しい。残念なのは確かだが、北ハイランド沿岸部というところまで絞り切ることができた。良しとしよう。

残念ではあるが、皆様一押し。人気ブログランキング

闘いを振り返る。

忍者に怒られた。
いい加減にしなさいと。とっととやりなさいと、怒られてしまった。

仕方があるまい。「だって忘れたいんだもん」、と言ったところで許してはもらえまい。どうやら逃げ切れぬようだ。スコッチショップで昨年末に開催された「第10回 ブラインド・テイスティング」である。皆様お察しの通り、今回も侍は負けた。先週末まで連載中の「スタンダード18という考え方」が思いの外好評で、いい気になっておりました。忍者殿、申し訳ございませぬ。先週末の続きはキッチリと再開の予定。ご心配なく。

さて、今回もいつもと同様、忍者の繰り出した問題は4問。A,B,C,Dの4つのシングル・モルトを飲んで、その蒸留所を当てろとのこと。もちろん銘柄を知らされずに飲むのである。つまり利き酒ですな。それぞれの問題に解答の選択肢は用意されている。そこから答えを選べば良いのであるが、忍者の用意した選択肢がクセモノなのである。

実は今回から出題方法が少しだけ複雑になった。選択肢から「正解」を選ぶだけではなく、「正解ではないもの」も選ばなくてはならなくなった。もちろん同一の選択肢の中からそれを行うのである。問題のシングル・モルトを飲んで正解と思うものを選択肢から選び、絶対にこの蒸留所ではないと思うものも選ばなければならないのである。

確率だけの話をするなら、6つの選択肢のうち正解は1つ。つまり今までは1/6の確率で当たる問題だったのであるが、

まずは問題Aである。
結果発表をご覧いただけば一目瞭然だが、正解はブラッカダー・ロウカスクのローズバンク。熟成は15年、ローランドのシングル・モルトである。忍者が用意した選択肢は以下の通り。
1. マノックモア
2. オーヘントッシャン
3. グレンロセス
4. ローズバンク
5. セント・マクデラン
6. リトルミル

マノックモアとグレンロセスのふたつはスペイサイド・モルト、それ以外はローランド・モルト。選択肢を見て、何だかグレンロセスが怪しげな感じであった。正解であるローズバンクはローランド・モルト。選択肢にローランド・モルトは4つも散りばめられている。
 
この中から侍が選んだのは「リトルミル」。決め手になったのは「カビ臭い」香り。メモには「ふんわり甘い香り」「オブラート」「紙石鹸」「煙草の葉」などと書いてある。酸度の高いレモンのような香りと味わいの中に侍はカビ臭さを感じた。「濡れた段ボール」と言われるリトルミルに僕はカビ臭さを感じることが多い。

ローズバンクであるなら、もっと少し柔らかい印象があっても良いと思ったが、ブラッカダー・ロウカスクの商品と聞いて納得できない訳ではない。パンチの効いた感じはロウカスクらしいとは言えるかもしれない。

そもそも僕がローズバンクに求めるのは柔らかさや滑らかさ、丁寧でデリケートなニュアンスなのだろう。今回のこの硬質なローズバンクは僕の好みには合わない。と、負け惜しみを言わせていただこう。
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「スタンダード18」という考え方。(21)

誤解のないようひと言申し上げよう。もちろんアードベックはびっくりするだけが目的の、まずいシングル・モルトではない。あれ程までにピーティでありながら旨味がありコクを感じさせるからこそ、アードベックはおいしいと思われる。例えるならば、うるさいほどに薬味が効いているが、ダシをしっかりとひいたスープである。ベースのスープがしっかりしているからこそ、そこにどんなにたくさん薬味を加えても味が壊れない。

僕が推察するところ、あなたがアードベックを好きになった理由はふたつある。アードベックの持つ違和感があなたに驚きを与え、そのことをあなたは意外ながらも愉しいと思ったこと。ウィスキーの個性に明確な差があることを、その時あなたは初めて体感した。そして、その味わいの差を理解し感じながら自分の好きなウィスキーを見つけることができるのではないかと、そんな予感に震えたのではないだろうか。

そして、もうひとつ。あなたはその先輩が好きだったのではなだろうか。それは憧れかもしれない。その先輩はあなたにとって大切な人だったのではないだろうか?

「赤坂のバーに連れて行ってもらった先輩とは、今でも飲みに行きますか?」。
「いや、実はですね…」。
そう言ってあなたは長い話を始めることになる。その直後、先輩が転勤になったこと。転勤した先で上司との折り合いがつかず、半年後にその先輩が退職したこと。同じ職場で働いていた頃の思い出を懐かしく語り、恩を受けたことに感謝の意を表し、時にとても切ない顔をしてあなたはその経緯を語った。

僕もとても申し訳ない気持ちになるが、このブログの読者にはあまり興味のない話かもしれないのでそのことはここでは書かない。だけど、あなたはきっととても心の優しい人なのだろう。だからあなたは、思い出のシングル・モルトであるアードベックをなかなか嫌いになれない。そして僕は、今まであなたがアードベックを大切にしてきたことに感謝をしよう。

だけど、思い出して欲しい。あなたがアードベックに何かを感じてしまう前のことを。

ウィスキーなどどうでもよかったあなたにとって、大切なのは飲み易いがバランスを壊さない程度に飲み応えのあるウィスキー。あなたはそれを求めて山崎に辿り着いたのではないだろうか。おいしさはあるが邪魔なものが少なく、飲み飽きないウィスキー。あなたにとって山崎とはそんなウィスキーだったのではないだろうか。

ほんの少し思いを巡らせて欲しい。衝撃的なアードベックとの出会いの前、あなたの中で標準的なベースとなる、比較の基準となるウィスキーとして山崎が存在していた。それまでのあなたは常に「山崎と比べて」、どの程度おいしいか、まずいか?それを念頭に置いて「好き嫌い」を判断していた。

しかし、あなたはアードベックに出会うことになる。まさにそれは「パラダイム・シフト」であったのだろう。その価値判断の基準の変更は、あなたのウィスキーの愉しみ方を大きく増やしてくれたことだろう。「おいしい」だけでなく、「愉しい」ことも十分にウィスキーを好きになる理由のひとつになったのだ。だけどあなたはその時、価値判断の基準を変更しただけでなく、比較の基準となるウィスキーまでをも山崎からアードベックに変更してしまったのではないだろうか?

アードベックを「痛さのある」ウィスキーとさせていただこう。あなたはアードベックに何かを感じた。先輩との思い出のウィスキーでもあるアードベックは、あなたの中で「良い」ウィスキーとなった。結果としてあなたは「痛い」ウィスキー=「良い」ウィスキー、になってしまったのではないだろうか。だから、痛ければ痛いほど「良い」はずなのに、あなたは「痛過ぎる」ウィスキーをちっとも「良い」とは思わない。「痛い」だけのウィスキーはあなたを苦しめたのではないだろうか?

アードベックを大切にし過ぎたあなたは、アードベックに苦しめられることになる。山崎を比較の基準とするならば、多くのシングル・モルトの個性を確認できただろうが、アードベックより「痛い」シングル・モルトこそ「良い」とした結果、あなたは苦しくなってしまったのではないだろうか?山崎を否定することは、アードベックを褒め称えることではない。

驚きを感じさせてくれたのはアードベックだったかもしれない。だけどあなたは山崎だって好きなのだ。
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「スタンダード18」という考え方。(20)

そろそろ始めようと思う。
「先ほど、アードベックとグレンフィディックを飲み比べて、随分違う味と言っていましたよね?」。
「はい」。
「飲み比べると非常に明確な味わいの差があることは分かりますよね?」。
「そうですね」。
「アードベックはどんな風に思いました?」。
「昔良く飲んだなと」。
それから?
「ちょっと懐かしくなりましたね」。
「最近はあまり飲んでない?」。
「ですね」。
そして?
「やっぱり、辛くて煙たいなと。昔と変わらないですね」。
「飲み応えがあった?」。
「はい」。
「むしろ痛かった?」。
「えぇ」。
「うるさい?」。
「そうかも」。
「グレンフィディックはどうでしょう?」。
「ぼんやりした感じですかね。ヌルイっていうか」。
「アードベックよりは柔らかい?」。
「そうですね。あと、何か瑞々しく感じます」。
なるほど。グレンフィディックにポジティブなイメージがありそうだ。

アードベックとの衝撃的な出会い以降、あなたはびっくりするシングル・モルトを求めて「アイラ・モルト」の林をウロウロしていたのかもしれない。そろそろ歩き疲れたとしてもおかしくない。一休みしてはどうだろう。その昔、「こだわり」などないあなたは山崎のような落ち着けるウィスキーが好きだったのだから。

確かにアードベックに出会う前、あなたにとってウィスキーなどどうでもよかった。大切なのはウィスキーが、日本酒でもワインでもブランデーでもないこと。あなたにとって飲み易いこと。簡単に言えば邪魔にならないこと。それを求めてあなたは山崎というウィスキーに辿り着いた。でもあなたはそんなウィスキーを求めていたのだ。ここでまた山崎について語るのは辞めておこう。話が長くなるから。ひと言で申し上げるなら、バランスを壊さない程度に飲み応えのあるウィスキー。僕の中での山崎はそんなウィスキーだ。もちろん決して評価が低い訳ではない。

そんなあなたが先輩に連れられ赤坂のバーへと足を運ぶ。恐らくはシングル・モルト好きの方だろう。気の利いた、だけど、ほんの少しイジワルな人だったのかもしれない。きっとその先輩はあなたを驚かそうと思ったのだろう。彼はあなたの為にアードベックをオーダーした。

2年前までキャバクラにハマっていたあなたは、ぼちぼちそんなことにも飽きていたのかもしれない。得意な人付き合いにもうんざりしていたのかもしれない。自分がキャバクラにハマる理由についても分析してしまったのかもしれない。

そんなあなたの目の前にアードベックが現れる。先輩の目論見通りにあなたはそれに驚く。それまでのあなたはウィスキーを飲んでそんな思いをしたことがなかった。飲み易いこと、邪魔をしないことを基準にウィスキーを選んできたあなたに、アードベックはまるで真逆のウィスキーだった。違うだろうか。

あなたはアードベックに強烈な違和を感じたはずだ。でもその違和感こそ、それまでのあなたが嫌ってきたものだ。邪魔を排除すべく、あなたはウィスキーを選んできた。結果として山崎に行き着いた訳だ。しかし、その違和感、その飲みづらさこそは明確な味わいの差でもある。山崎とアードベックの味わいに差を感じない人はいない。

あなたはきっと驚いたはずだ。自分がその違和感を受け入れていることに。以前のあなたなら丁寧に摘み取って来た「邪魔の芽」を自分の身体が受け入れているのだ。道理で考えるなら「嫌い」なウィスキーを、あなたはその時「好き」になってしまったのだ。

その時、「パラダイム・シフト」が起きたのだと解説を加えさせてもらいたい。価値判断の基準が変更されたのだ。それまでのあなたは「おいしい/まずい」という1本の軸だけを使ってウィスキーの「好き嫌い」を判断していた。つまり「おいしい」=「好き」、「まずい」=「嫌い」。そこにもう1本の軸が追加された。「愉しい/つまらない」である。1本の軸の上を左右に動いていたあなたの評価は、もうひとつの軸を手に入れ面の広がりを持つようになった。つまり、「まずい」けど「愉しい」は十分に、イコール「好き」な可能性があるのだ。何せ、「ウィスキーなんてみんな同じ味がする」。と思っていたあなたである。違いが理解できたことが愉しかったのではないだろうか。
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「スタンダード18」という考え方。(19)

そう、どうやらあなたは既に十分にシングル・モルトを愉しんでいるのではないだろうか。
うまいと思うものには素直に「うまい」と言うのだろうし、嫌いなものは「苦手」とあなたは言うのだろう。そしてあなたは「自分が何故それを気に入ってしまうのか」、それが気になる人になってしまったのではないだろうか。

「キャバクラにハマっていた頃、山崎は良く飲んだのですか?」。
「いいや、そういう訳ではなくて」。
「でも、好きだった?」。
「えぇ、どちらかと言えば何でも良かったんで、山崎があったら嬉しいなっていう程度です」。
「なるほど」。
「だけど、どこかに行って何を頼んだら良いか分からない時には山崎でしたね」。

だとするとあなたはその当時から、漠然とウィスキーの味の違いを感じていたことになる。そんなことにほとんど興味はなかったのだろうけど、できればうまいと思うものを飲みたいとは思っていた。そして少なくともその頃からウィスキーが飲める体質であったことは間違いがない。何故あなたが山崎を気に入ったのかというと、恐らくあなたの身近の手の届き易いところにそれがたくさんあったからではないだろうか。山崎といえば有名ブランドである。

「山崎のどんなところが好きだったんでしょう?」。
「うーん。実はさっきからそれを考えていたんですけど、単純に飲みやすかったんじゃないかな」。
「邪魔なものが少なかった?」。
「そうか、なるほど。裏を返せばそういうことですね」。
「かと言って、決してまずくない」。
「そうですね」。
「苦手な酒ってありますか?」。
「あぁ、日本酒とワインが苦手なんですよ。あとブランデーも。ビールは好きです」。

あなたは「お付き合い」が得意な方だろうか。誘われると断れないタイプなのではないだろうか。誘われて飲みに行き、食事をしながら「とりあえずビール」を飲み、日本酒やワインやブランデーが嫌いなことに気付き、ウィスキーに辿り着いたのではないだろうか。その頃のあなたにとっては目の前の酒よりも、目の前の人の方が重要だった。ウィスキーなら自分のペースを崩さずに付き合える。「お付き合い重視」のあなたにとって、ウィスキーとはそんな酒だったのではないだろうか。

かと言って、ウィスキーなら何でも良かったという訳ではないようだ。あなたは何処へ行ってもまず山崎を求めたのだ。

「山崎がない時はどうしてました?」。
「何でもいいからウィスキーって感じでしたね」。
「苦手なウィスキーはありました?」。
「ありましたよ。はずれだなって思う時も。そうそう、バランタインは結構イケルって思ってましたね」。
「バーボンとスコッチならどっちを良く飲みました?」。
「スコッチが多かったと思います。ほら、何か山崎ってスコッチっぽいじゃないですか」。
サントリーさんに感謝しよう。

その頃のあなたはウィスキーに大した興味などなかった。それよりも人に対する関心の方が高かった。人と酒を飲み時間を共有することが好きだった。ビールが好きで日本酒とワインとブランデーが苦手なあなたは、ウィスキーに辿り着く訳だが、同じウィスキーにも得手不得手があることを知る。その頃のあなたがウィスキーに求めたのは「飲み易いこと」。次に「邪魔をしないこと」。酒よりも人に対する関心の方が高かったあなたには当然のことかもしれない。「おいしいこと」は二の次だったかもしれない。

そうやってあなたは広く名の知れた山崎を飲み始めた。そのこと自体は妥当な判断であるだろう。あなたがいつも飲んでいた山崎よりもっとおいしい山崎はあっただろうし、世の中には山崎よりおいしいウィスキーもあるだろう。だけどあなたはリスクを取る必要を感じていなかったのだ。ウィスキーに対する視野を広げる必要などなかったのだから。山崎なら確実に無難であるのに、新たなチャレンジなど必要ない。おいしくないものを飲んで時間を潰すことの方が無駄に思われたことだろう。山崎なら扱っている飲食店は多い。

さて、僕はようやく少しづつあなたを知り始めた。改めて聴こう、
「アードベックとグレンフィディック、どちらが好きですか?」。
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「スタンダード18」という考え方。(18)

僕はあなたのことが知りたい。
あなたはシングル・モルトに対して、どのような立場から、どのような視線を送っているのだろう。僕がまず気になるのはそういったこと。あなたの立場と視線だ。先ほどまでの話から、どうやらあなたは「アイラ・モルト好き」という立場に立ちたいと思っているようだ。だけどどうやらその視線は宙を泳いでいる。

質問を変えてみよう。先ほどの質問が気に入らないのであれば。
「初めて好きになったシングル・モルトは何ですか?」。
「アードベックだったんですよ」。

あなたの素早く素直な返答を僕は嬉しく思う。熟慮はするが実直。あなたはそんな性格なのだろうか。少なくとも「へそ曲がり」ではないようだ。

「初めてアードベックを飲んだのはいつ頃ですか?」。
「2年くらい前ですかね」。
「どんな風に思いました?」
「びっくりしました」。
「びっくり?」。
「えぇ、それまでウィスキーなんてみんな同じ味がすると思ってましたから」。

シングル・モルトに限らず、スコッチ・ウィスキーに限らず、巷にはたくさんの商品が溢れているが、それらの味の違いなど分かる訳がないと思っている方は多い。オフィシャルのラインナップも増え、新たに設立した瓶詰業者も増え、その瓶詰業者からもブランドが立ち上がる昨今、多品種小ロットの流れは留まる所を知らないようだ。

選択肢が増えることを歓迎すると同時に、混乱を危惧する思いは僕にもある。蒸留所の名を明らかにしないまま瓶詰されるウィスキーも少なくない。何をどう試したら良いかも分からぬまま、多くの方がシングル・モルトから遠ざかってしまうのではないかと。

「アードベックをどこで飲んだのですか?」。
「赤坂のバーです。職場があっちの方なので。先輩に連れて行かれた店ですね」。

新たなものを見つけるきっかけなんて、意外に身近なところにあるものだ。僕はあなたの先輩に感謝をしたい。2年前にあなたがその場所でアードベックを飲まなければ、僕はあなたと出会っていなかったかもしれない。あなたの身の回りに起きた様々な小さな偶然の重なりが、あなたをジェイズ・バーに引き寄せたのだ。

もしもあなたがその店でアードベックを飲まなければ、あなたにとってのウィスキーはずっと「みんな同じ味がする」ものだったかもしれない。だけど、アードベックを飲んだあなたはウィスキーの味わいに明確な差があることを見つけた。そしてその明確な差を自分も理解することができることを知った。

「2年前にアードベックを飲むより以前。ウィスキーは良く飲んでました?」。
「いやー、多分あまり飲んでいないでしょうね」。
「ウィスキーは飲まなかった?」。
「山崎とかはうまいと思っていた記憶があるけど、キャバクラにハマってました」。
あなたはやはりとても素直だ。
「焼酎とか、良く分からないウィスキーとか飲んでたんですかね」。
なるほど。
「女の子ってそれぞれ個性的じゃないですか」。
確かにそうだ。
「いろんな女の子と話したけれど、自分がハマるタイプっていうのが、確実にいるんですね」。
分類と分析がお得意なようだ。
「情けないけど、○○で○○っていうのが好きなみたいなんですよ」。

いきなり元気の出て来たあなたに僕は少しだけ戸惑ったけれど、自分を理解し分類と分析が得意なあなたは十分にシングル・モルトを愉しんでいると思う。

「その頃は毎週金曜にキャバクラに行ってましたね」。
2週間前の金曜は?
彼女っていうのは、もしかして?
「今は行かなくなりましたけどね」。
なるほど、人気ブログランキング

「スタンダード18」という考え方。(17)

僕はあなたのことが知りたい。
僕とあなたはテーブルを挟んで向かい合って座っている。テーブルの上にものを載せて、僕とあなたはそれについて語り合おうとしている。あなたにはそれがどう見えるのだろう。テーブルの向こう側のあなたは僕と同じものを見ているけれど、僕らの視点の違いはそれを同じように感じさせない。僕とあなたはそれぞれが見た通りにそれを説明しようとすると、まるで違うことを言い出す可能性がある。違いを明らかにしていくと僕らは喧嘩を始めてしまうかもしれない。

でも大丈夫。心配は要らない。
困ったら「ふりだし」に戻れば良い。思い出して欲しい。向かい合って座っている僕とあなたは、ついさっきテーブルの上にそれを載せたばかりではないか。だから大丈夫。僕らは同じものを見て語り合っている。

さて、話を戻そう。
平日の早い時間にジェイズ・バーにやって来て、ジン・リッキーを飲みながらブルイックラディの話を始めたあなたの話だ。

実は僕とあなたはほんの少し困ったことになっている。あなたはどんなブルイックラディを飲んだか忘れてしまった。だから、テーブルの上にはまだ何も載っていない。困ったら「ふりだし」に戻れば良いと先ほど申し上げたばかりだが、今の僕らには戻るべき「ふりだし」がない。

途方に暮れているばかりでも仕方がない。あなたが飲んだブルイックラディをあなたは特定できない。僕とあなたは戻るべき「ふりだし」を持たないのだ。だけど、ないのだから仕方がない。だから、探しに行こうと思う。僕らのテーブルの上に載せるものを一緒に見つけに行こうではないか。

早とちりはいけない。あなたがブルイックラディを飲んだその店に、これから一緒に行ってみようという話ではない。残念だが、今の僕は仕事中だ。僕が案内したいのは「シングル・モルトの森」である。大丈夫、おおよその見当は付いている。今あなたが飲んでいるアードベックとグレンフィディック。あなたがそれをどんな風に飲んでいるかを見ていれば大まかな察しはついている。

あなたはどこから「シングル・モルトの森」に入ったか忘れてしまったのだ。どんな道を通って、どうやってお気に入りの場所を見つけたのか忘れてしまったのだ。今再び、一緒に行ってみようではないか。大丈夫。迷子にはさせない。心配は要らない。置いてけぼりにはしないから。だけど、ふたつだけ約束をして欲しい。

あなたには「思ったこと」を言って欲しい。
できるだけ「その時のこと」を思い出して追体験をして欲しい。

そんな風に僕に語りかけてくれないだろうか。
どうやらあなたが気に入ったブルイックラディは森の奥深く、あまり人通りの多くないところにあるようだ。僕はあなたの話を聴きながら、あなたが偶然に辿り着いてしまったお気に入りの場所を探そうと思う。大事なのはあなたが「今思っていること」と、あなたが「その時思ったこと」は、違うかもしれないということ。

今僕の目の前であなたはアードベックとグレンフィディックを飲み比べている。そして、どうやらあなたは混乱しているようだ。恐らくあなたはアードベックとグレンフィディックの明確な差を、今まで感じたことがなかった。アードベックとグレンフィディックがそれぞれどのような味わいなのか、あなたは手持ちの知識を使って説明できたかもしれない。だけど、それをこのようなカタチで体感したことはなかったのではないだろうか。

アードベックとグレンフィディック。それぞれに違う個性を持つシングル・モルトだ。そのふたつを飲み比べることで、あなたの中でその差は明確になった。あなたはそれを経験したのだ。明確な差を体感することができたあなたは、今まで以上にそのふたつをイメージできるようになる。そして、イメージの中のそのふたつを手玉に取り、アイラ・モルト好きを自負するあなたはちょっとしためまいを感じている。

「アードベックとグレンフィディック、どちらが好きですか?」。
もしかしたらあなたはその問いに、「グレンフィディック」と答えるのではないだろうか?人気ブログランキング
アードベックとファイディック

「スタンダード18」という考え方。(16)

アードベックとファイディック目の前に並んだアードベックとグレンフィディックを見てあなたは静かに頷いている。
「ご存知でした?」。
「えぇ、ふたつとも飲んだことはありますよ」。
どちらもオフィシャルのスタンダード品。どちらもあなたは飲んだことがあると言う。知っているのなら聴いてみよう。
「どっちが好きでした?」。
「アードベックの方は一時期少しはまっていて、家で飲んでたこともあります」。
「アードベックのどんなところが好きだったんでしょう?」。
「飲み応えですかね。今思えば、分かり易さってことかもしれません」。
そう、またあなたは「感想」を口にしてくれた。その「飲み応え」という感想に、「分かり易さ」という解釈までつけて。

アードベックとグレンフィディック。それぞれをグラスに少量づつ注いで、僕はそれをあなたに差し出す。「比べてみてください」。
アードベックを飲んで「うーん」と唸り、グレンフィディックを飲んで「あぁ」と、あなたはため息を付いた。

「両方とも飲んだことがあるシングル・モルトですよね?」。
「ですね」。
「さて、改めてどちらが好きでしょう?」。
「って言うか、随分違う味ですね」。
あなたはまだ僕の質問に答えていない。質問に答えたくない理由は分からない訳でもない。あなたは少し混乱しているのだ。それまでグレンフィディックというシングル・モルトは、恐らくあなたの視野の外側にあったのではないだろうか。それまでのあなたはアイラ・モルト好きを自負していたのではないだろうか。

あなたはまだ混乱している。でも、それは決して悪いことではない。心にある違和感を安直に排除しようとする姿より、僕には素敵に見える。そういう態度の持ち主であるのなら、あなたの視野は今後十分に広がる可能性がある。視野の広がったあなたは今まで以上にシングル・モルトを愉しんでいくことだろう。

質問を変えてみよう。
「普段はどんなシングル・モルトを飲みます?」。
「カリラとかラフロイグとか。あぁ、ボウモアはあまり好きではないんですよ。最近はラガブーリンがお気に入りだったかな」。
「アイラ・モルト以外では?」。
「あぁ、そうか。えーと、マッカランとかスプリングバンクなんかは飲んだことがあります」。
「でも、やっぱり良く飲むのはアイラ?」。
「そうですね」。言いながらあなたはグレンフィディックのグラスを手から放さない。

もう一度聴いてみよう。
「アードベックとグレンフィディック、どちらが好きですか?」。

アードベックがアイラ・モルトであること。グレンフィディックがスペイサイド・モルトであること。そのことをあなたは「事実」として知っている。そしてそれまでの経験から、あなたの中には自分が「アイラ・モルト好き」であるとの思いがある。飲み応えがあり、分かり易いシングル・モルトが好きだという思いがある。

そんなあなたの目の前にアイラ・モルトであるアードベックと、スペイサイド・モルトであるグレンフィディックを僕は並べた。あなたはかつて好きだったアードベックを思い出す。昔、家にまで招き入れて愛したシングル・モルトだ。目の前に並んだふたつのボトルを見て、自分はアードベックの方が好きだなと、そう思ったのかもしれない。

だけどあなたは最近、アードベックをあまり飲んでいないのではないだろうか。先ほど聴いた「普段飲むシングル・モルト」の中にアードベックはなかった。カリラとかラフロイグなど、ピートのきついシングル・モルトに辟易してラガヴァリンに行き着いたのではないだろうか。もちろんラガヴァリンとてピートが微弱なシングル・モルトとは言えないだろう。だけど、あなたはラガヴァリンの持つバランスの良さに素直に反応したのかもしれない。

飲み比べる前、あなたの支持はアードベックにあった。問われれば「アードベックが好きだ」と答えると自分でも思っていた。ところが飲み比べると、グレンフィディックの魅力に何かを感じてしまった。
違うだろうか?人気ブログランキング

「スタンダード18」という考え方。(15)

少し話は遠回りをして、やっと今週月曜の続きに戻る。
そんな時に僕はイメージの中で僕とあなたの間にテーブルを用意する。記憶を手繰り寄せ僕が出会ったブルイックラディたちをテーブルの上に並べる。
さて、僕の仕事の始まりだ。

テーブルのブルイックラディそんな時の僕が、例えば写真のようなシングル・モルトをイメージの中のテーブルに並べたとしよう。問題はあなたが飲んだブルイックラディがこの中にあるかどうか。まずは話を聴こう。あなたが話し易いようにできる限り「具体的な事実」から。こんな時にはなかなか「思ったこと」は話せないものだ。

「いつ頃の話ですか?」。
まずはとても話し易いことから。覚えているなら答えられる。
「2週間前の金曜ですね」。
なるほど、その日は恐らく給料日直後の週末。
「ひとりで行ったんですか?」。
「いやぁ、彼女と」。
なるほど。あなたのその照れ臭い笑顔は「長年連れ添った彼女」ではあるまい。付き合い始めて2ヵ月と見た。であれば、なおさらシングル・モルトどころではあるまい。
「食事の後に?」。
「えぇ」。
まぁ、食事をしてバーで飲んで、その後のことは聴くまい。
「どちらのバーに?」
「池袋の○○○っていうバーです」。
少し大きめの店だ。席数でいえば、カウンターよりテーブルの方が多い。しかもカップルで。
「カウンターに座りました?」。
「いえ、残念だけどテーブル席に案内されましたね」。
やはり。であれば、あなたはカウンターに載ったボトルを眺めていない可能性が高い。
「メニューを見てオーダーしました?」。
「えーと、ブルイックラディを下さいと言ったら、それが出てきたんですよ」。
そうなると、その1杯を頼むのにバーテンダーとのやり取りは少なかったはずだ。
「いや、でもホール係の人が親切で、いろいろ説明してくれたんですけどね。彼女が席を立った時に詳しい話を聴きました」。
そうであるなら、あなたの記憶に何かが残っているかもしれない。

「どんな味でした?」。
「どんな味、っていうか。おいしかったんですよ」。
そりゃそうだ。
「どんな印象でした?」。
「印象ですか?うーん。ちょうどいい感じだったんですよ」。
おお、素敵な印象だ。あなたから初めて「思ったこと」が出て来た。
さて、問題はあなたの「ちょうどいい」が何を指すのか。

試してみようと僕は思う。あなたに比べて欲しいと僕は思う。
後ろの棚から、僕は2本のシングル・モルトを取り出す。アードベックとグレンフィディック。僕はその2本をあなたの目の前のカウンターの上に載せて並べた。
さて、始めますか。人気ブログランキング
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