モルト侍

池袋のショット・バー、ジェイズバーのバーテンダーが、大好きなシングル・モルトを斬る。

2007年04月

カリラ アンピーテッド 8年 59.8%

カリラ・アンピーテッド久々にうまいカリラ。「アンピーテッド」というからには、当然ピーティではないと思うかもしれないが、これが僕にとっては適切にピートを感じる。

冒頭、「久々にうまいカリラ」と申し上げたが、正確に言えば、旨味の濃いカリラである。僕はやはり、ピートのニュアンスを色濃く出すアイラ・モルトより、本来備わった旨味の引き立ったアイラ・モルトが好きなのだなと、つくづく思ってしまう。

ラーメンに例えるなら、ピートは薬味である。
元々おいしくないラーメンならガンガン薬味を入れて何とか喰えるようなラーメンにする必要があるのかもしれないが、丁寧にダシをひいたスープに、そんなに薬味を入れなくても良いじゃないかと言いたくなる時がある。

そういう意味で、このカリラは旨い。
芳ばしいトーストのようであり、草っぽい香り。口に含むとじっとりと甘い。そこに感じる甘味こそを旨味と感じてしまう。「甘いは旨い」のである。ただ、飲み進むうち、味が濃すぎることが気になる方はいるかもしれない。半分ほども飲んで行くと、渋味と苦味がうるさく感じるかもしれない。そんなときは本当に少量だけ水を加えてみて欲しい。甘味は滑らかさを増し、旨味は奥行きを増すだろう。ひと言で言えばマンゴーのよう。

やっぱりカリラは若い方が良いのかもしれない。

さて、昨日からの企画。まだ残りはあります。今回出せるのは合計14セット。
お早めに。
ゴールデン・ウィークに東京まで遊びに来られる方。是非ともジェイズ・バーまで。
侍がお迎えする。
何たって、今回の企画はお土産つきである。
そう、言い忘れた。本日は11時まで貸切営業。申し訳ありません。
少し早目に来たいという方は、お電話を下さい。
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本日開催

ウィスキー街道5本「エルギンからローゼス、ウィスキー街道を往く」と題して、本日より皆様にはちょっとした催しを愉しんでいただきたい。数日前からご案内して来た通り、リンクウッド、ベンリアック、ロングモーン、グレン・エルギン、コールバーン、以上5つの蒸留所のシングル・モルトをハーフ・ショットではあるが、1杯づつ飲んでいただきたいと思っている。

およそ、1ヶ月の時間をかけ準備を重ねてきた。そのほとんどは文章を書き綴ることであったが、作業に費やした時間は延べ100時間程度。モルト侍、渾身の力作である。是非とも皆様にご覧になっていただきたい。

ご用意したシングル・モルトを紹介させていただこう。
リンクウッド クーパーズ・チョイス(旧ラベル) 1989 9Yo 59.6%
ベンリアック ディスティラーズ・コレクション 1984 21Yo 57.6%
ロングモーン ウィスキー・ガロア 1987 16Yo 52.7%
グレン・エルギン ウィスキー・ガロア 1991 12Yo 46%
コールバーン チール・ナン・ノク 1980年 24Yo 62.9%

上記5杯のシングル・モルトに、昨日までブログの記事にしてきた内容を含む資料をお付けして、今回限りの特別提供価格、(税込み)¥3,990!

何より、一番レアなシングル・モルトはリンクウッドであろうと思うが、コールバーンやベンリアックは非常に高額商品でもある。5種類飲めてこの価格は絶対に安い。しかも、この機会を逃したら飲むことができないシングル・モルトばかり。お見逃しなく。

昨日までおよそ今から100年前、19世紀末の出来事を記事にしてきたが、その話の続きはジェイズ・バーにて。申し訳ないが、続きの記事はブログに載せない。
5杯のシングル・モルトと一緒に読んでいただきたいが、その話だけ読みたいという方も大歓迎。

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エルギンからローゼス、ウィスキー街道を往く(4)

E-R ロングモーン1895年を過ぎるとウィスキー業界への投資はますます活況を呈する。基盤の固いブレンダーは自社ブランドの原酒の供給源と投機を目的に原酒を購入し、さらに蒸留所の新設を推し進める。1895年から1900年の間に新設された蒸留所は16と言われる。その主な目的は会社を設立し、ひとたび基盤が出来上がると株式を売却し利益を得ることであった。集められ、行き先を求めた金は、ウィスキー・バブルと言う風船を、それまで以上に大きく膨らませようとしていた。
1890年代にはおよそ33ヶ所の蒸留所が設立されている。そのうちの21ヶ所はスペイサイドの蒸留所である。この事実はブレンデッド・ウィスキーの嗜好を反映している。当時、スムースな味わいが品質の評価基準となりつつあった。スペイサイド・モルトが最適であったのだ。香味の強い西海岸のモルトや穏やか過ぎるローランド・モルトはブレンダーに求められなかった。ブレンデッド・ウィスキーの原酒としてのシングル・モルト。その傾向はこの時期に確立したようだ。つまり、ブレンダーの意向を汲み取ることのできないシングル・モルトは敬遠された。

シングル・モルトとブレンデッド。両者の関係をどのように捉えたら良いのだろう。スコットランドでのウィスキー作りは身近にある大麦と水とピートを使い、非常に素朴な形で始まった。その素朴でむしろ荒々しい酒は熟成という工程を経ることで、よりふくよかで上品なウィスキーへと成長して行く。もちろん、上質なシングル・モルトには時間というコストが十分に必要なはずだ。しかし、それ自体が完成品として存在するシングル・モルトは、ブレンデッド・ウィスキーの立場からすれば下請工場の作る半製品でしかない。
両者はどちらがより消費者に近いだろうか。答えは明らかだ。ブレンデッド・ウィスキーである。ブレンデッド・ウィスキーの販売量はシングル・モルトのそれを圧倒的に凌いでいる。「シーヴァス・リーガル」を知る人は多いが、現在でも「ロングモーン」は広く認知されているとは言えない。そして、「シーヴァス・リーガル」を好んで良く飲む人の多くは、その原酒に「ロングモーン」が使われていることを知らない。消費者に近いことは確実にある種の力を生むだろう。スペイサイド地域を選んで多くの蒸留所が新設された事実は、ブレンダーの意向を汲み取った結果でもある。しかし、その意向はやがて要望となり、さらに要望は圧力へと変化していったとしても、何ら不思議ではない。
一方、この地に蒸留所を集めたのは、地の利を当て込んだ別の理由もある。この地域はスコットランドでも最良の大麦産地であり、美しい水が豊富で身近にはピートがあった。ハイランド鉄道やスコットランド北部鉄道など鉄道網の整備は、それまで困難であった物流を容易にし、効率的に蒸留所を結んだ。
結果としてその流れはこの地に、蒸留所建設や作業を効率良く行うための専門的な企業を多く集めた。合理的な設備の設計に長けた建設業者や、糖化槽など鋳鉄製の容器製造、当時とすれば特殊技術が蒸留所を支えた。また、知識を持った蒸留所長や職人も、比較的容易に雇用が可能であった。ウィスキー街道で結ばれたエルギンとローゼスの街はウィスキー産業の発展を支えた。更なる発展を求めて、人は既に発展した地に蒸留所を設立した。
もちろん、当時のこの地の活況の背景に好材料ばかりがあった訳ではない。人は見たくないものは見ないのかもしれない。新設蒸留所が生産を開始すると既存の蒸留所と競合し、その在庫は途方もない水準に膨らんだ。1890年代後半には毎年全生産量の40%を超える量の在庫が増加した。「過剰在庫」というジョーカーを巡り、ババ抜きが始まったのである。
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エルギンからローゼス、ウィスキー街道を往く(3)

E-R ベンリアックさて、それでは「フランスで起きた不幸」からお話して行きましょう。今から150年昔の話から始まり、およそ50年間。100年ほど前までの話。

フランスの酒といえばワイン。ワインがぶどうを原材料とすることはご存知の通り。そして、ワイン同様ぶどうを原材料とする蒸留酒にブランデーがある。ぶどうはフランスの酒作りに欠かせない果実だ。1860年代、そのフランスのブドウ畑がフィロキセラにより壊滅的な被害を受けることになる。「フィロキセラ」、日本語で「ぶどう根アブラムシ」。ぶどうに付く害虫である。

当時の熱心なぶどう栽培家が研究用に「新大陸」アメリカからぶどうを取り寄せた。アメリカのぶどうは結果としてワインには不向きであることが分かったが、その根に付いてともに海を渡ったフィロキセラはフランスを席巻することとなる。フィロキセラのいないヨーロッパで育ったぶどうの木には耐性がなかったのだ。被害はヨーロッパに広がる勢いであった。影響はワインだけに及ばずブランデーにまで波及。高級な蒸留酒として認知されてきたコニャックは、一時期その出荷量を3分の2程度まで減少させた。

どんな時代も人の愚かさに変わりはないのかもしれない。無節操な販売者はコニャックが確保できなくなると、偽物の蒸留酒をブランデーとして販売し始めた。味の分かる消費者は信頼できる代替品を探し始める。当時流行していたブレンデッド・ウィスキーを中心に消費者の志向はウィスキーに傾くのである。

もちろん、その結果がスコッチ・ウィスキーに利をもたらしたとしても、そこに悪意などあるまい。それは陰謀や謀略の類ではない。しかし、善意なる熱心なぶどう栽培家の探究心が、フランス全土に重大な被害を招くことになったのは事実だ。

フィロキセラを契機にスコッチ・ウィスキーはゆっくりとイングランド市場で成果を収めるようになる。ブランデー不足は結果として消費者の目をウィスキーに向かわせることになった。大手ブレンダー会社、ブランド保有会社は一気に攻勢に転じる。新たにマーケティングを展開し、移動販売人を派遣し、販売を支援するために斬新なラベルやポスター、雑誌には広告を掲載し、パブには宣伝を目的に鏡を提供するなど顧客の動機付けになるよう施策を始めたのだ。

この強引とも思える販売手法が功を奏した。それまでも順調に不景気から回復をして来た業界であったが、1890年代中頃にはその生産量は史上最高となる。販売の成功が好調な生産を支えたが、急激な変化は業界全体の在庫バランスを崩すことになる。大手ブレンダーは熟成した在庫はもとより、樽詰前のスピリッツさえ入手が困難な状況に陥り、在庫を使い果たして多くの顧客を失うものも現れた。モノを売る販売者にとって「売るモノがない」という状況がどのようなものか、想像が付くだろうか?それは嬉しいことだけではない。販売機会を失うことは利益を喪失することでもある。

状況を打開するためブレンダーは新たな蒸留所設立に投資し始める。1891年、クレイゲラヒ蒸留所。1892年、ストラスミル蒸留所、グレンモア蒸留所、バルベニー蒸留所。1894年、にはノックデュ蒸留所などが新設され、譲渡や買収なども活発に行われた。その見通しの明るさは、既存蒸留所の拡張・補強を盛んにさせた。クライネリッシュ、クラガンモア、ダルモア、グレンキンチ−、グレンロッシー、マッカラン、グレンスコシアなどこれらの各蒸留所は1890年代初期から中期にかけて再建される。

順調な販売を背景に、銀行や金融業者の一部は積極的に資金を貸し出すようになる。「市場は回復しているのではなく、むしろ伸張している」。それは当時の一般的な認識であったのだろう。ウィスキー業界に金が集まり始めた。ウィスキー・バブルという風船を膨らます空気は用意された。彼らは忘れてしまったかのようだ。ウィスキーという製品を作るのに、一体どのくらいの時間がかかるのかということを。いや、思い出したくなかっただけなのかもしれない。
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エルギンからローゼス、ウィスキー街道を往く(2)

E-R リンクウッドリンクウッド、ベンリアック、ロングモーン、グレン・エルギン、コールバーン。エルギンからローゼスの街までウィスキー街道沿いに並ぶ5つの蒸留所を選んで、皆様に破格値でご提供しようという今回の企画。より愉しんでいただけるようにと、この侍が剣をペンに持ち替えて資料をお作りした。

上記の5つの蒸留所のうちリンクウッドを除いて他の4つの蒸留所は、ほぼその設立時期を同じくしている。何故、これらの蒸留所が同じような時期に設立されたのか。そして、その時代背景に何があったのか。そんなことが少しでもイメージしてもらえたら、シングル・モルトを飲む愉しみも大きくなるだろうとの思いがありました。

さて、何回かに分けて、その内容を(テキスト部分のみ)公開したいと思う。
もちろん、それらは「私見」の領域を出ない。それは僕の「物の見方」であり、僕はこのように思っている、ということを書いたに過ぎない。

**************************************

19世紀末、スコッチ・ウィスキーは黄金時代を迎えます。今回紹介する蒸留所の多くがその頃に設立されていることを考えれば、それは当時の活況を物語っているのかもしれません。
21世紀を迎えた僕らは成熟したモルト・ブームの時代を生き、その愉しみを享受しているのでしょう。それを可能にしたのは、逆境から始まった20世紀を生き抜いた蒸留所があってこそ。時に苦悩を抱え、あるいは歓喜に胸躍らせ、人々はウィスキー街道を行き来したのです。
反骨のシンボルでもあった「税金逃れの密造酒」の時代はとうの昔に過ぎ去り、英国は世界の覇権を握り、産業革命を背景に経済発展を成し遂げ、経済の基盤は整備され、物流の要として鉄道網が整備され、それらの活動は複合的に絡み合い活発になります。準備は整ったのです。
19世紀後半に入るとスコッチ・ウィスキー業界は成熟した産業として足場を固めて来ました。直接あるいは間接的に膨大な雇用の受け皿となり、穀物需要と飼料供給の側面から農業に貢献し、海外市場の存在を考えれば、後に収益力を高める可能性を十分に持つ重要な産業に発展しました。

しかし、蒸留した後、製品となるまで熟成に期間のかかるスコッチ・ウィスキーは、潜在的な問題を抱えていました。過剰な生産能力と過剰在庫の問題です。循環的に発生する好不景気のサイクル、変化する税制や法制度、スコットランドの飲酒習慣をも変えていった禁酒運動や反蒸留所運動。それらの困難につまずくたび、蒸留所は資金難に陥り経営危機に直面します。業界は無益な競合を避けるため離合集散を繰り返し、各社の生産量を調整し、価格調整を維持する必要がありました。
1860年代のフランスで起きた不幸をきっかけとして、スコッチ・ウィスキー業界はゆっくりと19世紀末のバブルに向かいます。もちろん、バブルの終焉はどこも同じもの。当時の大手ブレンダー会社の倒産を機にその規模は急速に縮小していきます。乱立と言って良いほどにこの時期多くの蒸留所が設立されたが、1899年設立のグレン・エルギンに続いて20世紀初のスペイサイドの蒸留所となったのは、1960年のトーモア蒸留所でした。19世紀末に始まったスコッチ・ウィスキー業界の黄金期は20世紀を待たずに幕を引き、ふたつの大戦とアメリカ禁酒法時代に世界不況の影響を受け、その後半世紀以上に亘って長い沈滞期に入ります。

つづく

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エルギンからローゼス、ウィスキー街道を往く

ウィスキー街道を往くゴールデン・ウィーク直前から開催予定の新企画をお知らせしたい。ブログ上での話ではなく、池袋のジェイズ・バーにて行う新企画である。ゴールデン・ウィークに東京に遊びに来ようと思っている方も、是非ともご来店の上愉しんでいただきたい。今回はお土産付き企画である。

ハイランド地方のいわゆるスペイサイド地域、ロッシー川周辺にはいくつかの蒸留所とウィスキーに縁のある街がある。僕がシングル・モルトの父として敬愛して止まないマイケル・ジャクソンによれば、「小さいがそれとなく重要な街」と紹介されるエルギンもそのひとつ。いくつかのウィスキー関連企業があり、独立瓶詰業者として有名な老舗でもあるゴードン&マクファイル社もこの地に本拠を構える。

日本に暮らす酒飲みの僕らにとって、エルギンと言えばグレン・エルギン蒸留所を指すのが一般的であろう。バーのカウンターで「エルギンください」と言えばグレン・エルギンというシングル・モルトが出てくる。まさか、エルギンの街はカウンターの上に載らない。エルギンは蒸留所の名でもあるが、街の名でもある。

エルギンの街からA941という幹線道路が南に延び、ちょうどスペイ川をまたごうとする辺りにローゼスの街がある。この街の名もエルギン同様、蒸留所の名として有名。カティ・サークの核となる原酒として名の高いグレンロセス蒸留所である。しかし、エルギンに比べれば、こちらは街の名と蒸留所名は混同されることが少ないだろう。英語ではどちらも「ROTHES」だが、カタカナで表記する場合、街の名は「ローゼス」、蒸留所名は「グレンロセス」。僕自身、「ローゼスください」というオーダーはほとんど受けたことがない。

さて、本日の記事のタイトルにもあるように本企画を「エルギンからローゼス、ウィスキー街道を往く」として進めて行きたい。恐らく今週末から始めようと思っている。今のところ「恐らく」としか言えないのは不確定な要素を抱えているからである。正直に言わせていただくが、何より不確定なのはこの侍自信である。

冒頭で「今回はお土産付き企画」と申し上げたが、現在そのお土産を作っているところだ。お土産ができ次第この企画が始まる訳だが、つまり、できなければ始まらないということでもある。

エルギンの街から南に向かい、幹線道路A941をそのまま行くとローゼスの街に出る。それは「ウィスキー街道」と呼ばれる路の一部であり、周辺にいくつかの蒸留所が建っている。その中から5つの蒸留所を選び、ハーフ・ショットで1杯づつ合計5杯愉しんでいただこうと思っている。

選んだのはリンクウッド、ベンリアック、ロングモーン、グレン・エルギン、コールバーン。街道沿いに並ぶ5つの蒸留所を選んだ。ジェイズ・バーの在庫から5本のボトルを選んだが、レアモノも含め普段飲めないような高額な商品を揃えたつもりだ。価格的にも「おいしい話」にしようと思っている。

最後にお土産についてひと言。
今回用意した5つの蒸留所であるが、リンクウッドを除いて他の4つの蒸留所は、ほぼその設立時期を同じくしている。何故、これらの蒸留所が同じような時期に設立されたのか。そして、その時代背景に何があったのか。そんなことを説明させてもらおうと資料を作った(いや、まだ作っている)。A4版で全10ページ程度のものである。クリア・ファイルに綴じて皆様にお配りしようと思っている。

もう少し上を目指したいので、皆様のご協力をお願いしたい。人気ブログランキング

おはようございます。

4月になったというのに寒い日が続きますね。
寒い日が続いて体調を壊した方も多かったかと思います。
乾燥した空気がこの期に及んでインフルエンザを流行らせているようです。
皆様、お身体にお気を付け下さい。

雨の多かった今週も、昨日はやっと晴れました。
雨は風を湿らせてくれたかもしれません。
春の陽射しは風を柔らかくしてくれるでしょう。
上着を脱いで外に出ましょう。
日が暮れたら、ジェイズ・バーに行きましょう。

それでは、
また来週。


そうそう、ひとつ言い忘れてました。
来週から新企画を実施します。
ゴールデン・ウィークより前には始めたいと思います。
よろしくね。

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ニュー・リリース G&M「ミルトンダフ」

ミルトンダフ2本3日も続けてニュー・リリースの記事を書くのは珍しいと、常連の読者の方であればお思いかもしれない。何故このようなことになっているのかというと、忙しいからなのですよ。ちょいとばかり忙しいので、軽い記事で終わらせたいと思っておるのです。先日もちょっとお話をした新企画の資料作りのため、一日中PCに向かっております。

しかし、非常に情けないことに昨日のジェイズ・バーは雨のため、ヒマ。
少しばかり作業が捗ったことが切ない。

早目に終わらせて作業の続きを仕上げたいが、手を抜きたい訳ではない。
誤解なきよう。

ブレンデッド・ウィスキー「バランタイン」の魔法の7柱をご存知だろうか?
アードベッグ、バルブレア、グレンバーギ、グレンカダム、ミルトンダフ、プルトニー、スキャパ。この7つのシングル・モルトはバランタインの主要な7つの原酒である。もちろん、その中にミルトンダフも入っている訳だが、僕はバランタインを飲むたびにミルトンダフを感じてしまう。しみじみと「おいしい」と思うのだ。

ふわりとうまい。
僕にとってミルトンダフが素敵なのはその一点に尽きる。きりりと美しいのではなく。どこか儚くて、口が悪い人には「ぼんやり」と言われてしまいそうな、そんな、この女が好きだなと。僕はそう思う。何だか、ずっと傍にいてくれそうな気がするのだ。長く一緒にいて、歳を積み重ねて行けそうな。

写真は68年生まれの彼女と10歳の彼女。
68年生まれの彼女はどっしりしている。「ぼんやり」もここまで来ればさすがに味が出る。10歳の彼女はとてもキュートだ。あなたの「間違い探し」は正しいかもしれないが、ひと呼吸置いて、良いところを褒めてあげて欲しい。

残念なことに、彼女たちはもうあまり見かけなくなった。
これから先、あまり長く一緒にはいられないのかもしれない。

10歳の彼女、¥900
68年の彼女、¥2,500
今週土日まで、大サービスさ。お一人様1日1杯。
飲みたい人はこちらを押してから、人気ブログランキング

ザ・ウィスキー・エクスチェンジ 「ローズバンク」1991

クラガンとローズバンク本日ご紹介するのはローランド・モルトのローズバンク。残念ながら1993年に閉鎖した蒸留所だ。1993年というのが、僕にとってはわりと最近のことのように思えてならない。僕がおっさんになったことの証拠であるかもしれないが。

最近のことのように思えばなおさらであるが、僕はこの閉鎖という決定が残念でならない。どうせなら、グレンキンチーを潰してくれれば良かったのに。なんて失礼なことすら考えてしまう。

ローランド・モルトあるいはローズバンクに、皆様はどんな印象をお持ちだろうか?このローズバンク蒸留所、ローランド伝統と言われる3回蒸留を行う蒸留所であった。その味わいは、「軽快」、「スムース」、あるいは「薄味」などと言われることが多い。全般的にそのような傾向があることは否定するつもりはないが、たまには違うローランド・モルトやローズバンクもある。

本日紹介するザ・ウィスキー・エクスチェンジ 「ローズバンク」1991。熟成年数は14年、度数は59%。グラスに注いだばかりの香りの華やかさに驚かされる。鼻をくすぐる程度にスパイシー。底辺に麦芽の味わいを感じる。はじめのうちスッキリとドライ。やがて、ハチミツやメープルのようにゆっくりと甘味を濃くして行く。ハチミツを練り込んで焼き上げたクッキーのよう。

このシングル・モルトに軽快でスムースという表現を当てはめることは不可能ではないが、間違っても薄味ではない。華やかでしっかりとした甘味が存在する。麦芽味わいとハチミツの甘味が、先ほどはクッキーのようと表現したが、その食感はとてもしっとりとしている。その程度には濃厚ですらある。

今度の土日まで、¥1,500。
確認をしてくれた方のみのご奉仕。人気ブログランキング

ニュー・リリース ディスティラリー・コレクション「クラガン」1997

クラガンとローズバンク今日明日と続けてジェイズ・バーでのニュー・リリースのお知らせをしたいと思う。本日はアイラ・モルトを紹介したい。写真左の「CLAGGAIN」(クラガン)と印刷されたラベル。蒸留所名は表記されていないが中身はラフロイグ。何かの都合で表記されるのを許されなかったのだろう。では、何故僕が言ってしまって良いのかと問われれば答えようがないのだが。

「CLAGGAIN」(クラガン)はアイラ島の漁村の名。地名である。
詳細は不明だが、この辺りなのかもしれない。

アイラ・モルトらしく適切にピーティ。煙たく、土臭く、爽やかに辛い。甘味や旨味にもう少し重たさを感じたいところだが、それを求めればこのフレッシュな飲み口は失われるだろう。9年という熟成年数を考えれば妥当。タバコの煙のような渋味は十分なアクセントとなり得ている。
カスク・ストレングスである56.4%というアルコール度数は、シャープな切れ上がりの良さだけを表していない。鋭利な刃物で切られたというより、アゴの先端に軽いジャブを打たれる感覚。決して重たいパンチではないが、こちらの身体の動き方次第でカウンター・パンチになる可能性十分。
飲み終わったグラスの中に微かにリンゴの気配。やがてしみじみと潮風の吹く漁村のよう。これがクラガンの村の香りなのだろうか?

今度の土日まで、¥1,300。
確認をしてくれた方のみのご奉仕。人気ブログランキング

「スタンダード18」という考え方を総括する。(2)

STDブナハーブンシングル・モルトは森である。
その森にはおよそ120本の木が生い茂っている。その1本1本を蒸留所だと思っていただきたい。ある種の共通項を持つ木は寄り添い林を成し。それらの集合体としてシングル・モルトの森がある。木の幹からは枝が伸び、その先には葉が着く。その1枚の葉を樽詰めされたシングル・モルトだと思ってもらえないだろうか。

森に存在するすべての木はそれぞれに独特だ。みな違った個性を持ち、同じものはふたつとない。確かに似通った傾向や同様の特徴を持つものは多いし、兄弟のように存在する木もある。ある種の共通項があり、ひと括りにできるのなら、それを林と考えれば良い。一般的な地域区分であるハイランド、スペイサイド、ローランド、アイラ、アイランド、キャンベルタウン。僕はまず、その6つを林と考えてみようと思う。シングル・モルトの森にはおよそ120本の木が生い茂り、それは6つの林に区分することが可能だ。

全体をシングル・モルトの森とするなら、個は森に存在する120本の木である。地域区分という切り口で、僕は先ほど森を6つの林に分けたけど、その切り口を変えれば林は如何様にも捉えることができる。そんなことも、そのうちお話できればと思う。

森には木がある。いくつかの木が集まり林となり、その全体は森となる。
森は広い。広だけでなく日々成長し変化している。大きな木の傍には、そのおかげで陽が当たらず朽ち果ててしまった木がある。また、枯れて成長を止め、その枝から葉のみがむしり取られる木もある。たくさんの葉を付け花を咲かせる木もあれば、一年のうちほんのわずかな期間しか葉を付けない木もある。悲しい話ばかりでもない。新たに誕生した木には希望がある。未だその葉の数は少ないけれど、今後の成長が楽しみだ。

シングル・モルトを愉しむとは、森を散歩することのようだと僕は思う。
1日に2,3本の木を見て回るつもりで森へと入るのも良いだろう。ノー・アイディアならジェイズ・バーに来て僕に相談してくれても構わない。シングル・モルトに関する知識など要らない。あなたが素直に好き嫌いを言ってくれたなら、僕はあなたを案内できると思う。

だけど、僕はあなたに少しだけ考えてみて欲しいのだ。あなたが今までよりも、ほんの少しだけ思いを寄せてみてくれることが、あなたをとても愉しませると思うから。あなたにシングル・モルトの森全体の地図をイメージして欲しいのだ。

あなたは今、森の中のどの辺りにいて、次にどこに行こうとしているのか。そんなことに思いを寄せることで、あなたのシングル・モルトの愉しみは格段に大きくなる。

2杯で¥1,000のシングル・モルトを飲みたい人は、人気ブログランキング

「スタンダード18」という考え方を総括する。

STD18ボウモア前回の続きを書こうと思っていたのだが、一時中断させていただく。続きはそのうち書こうと思うが、誰より自分のことが心配である。いや、やりますよ。必ず。

寄り道をして話を逸らしながら様々なことを語って行きたいと、それは意図的な振る舞いではあるのだが、日々の雑事に囚われとっ散らかる始末。情けないとは思うのだが、すべてを整理して順序立てて一度にドカーンというのも、どうやら今のところ性分に合わないようだ。いろんな人から文句を言われるし、批判的な人がいるのも知っているけれど、僕は毎日「自分が思ったこと」を語っていこうと思う。何より、毎日語り続けること。それが一番大切なことだと思っている。

もちろん、真摯なご意見には誠実に耳を傾けたい。だけど、「間違い探し」と「後出しジャンケン」だけが得意な皮肉屋さんが僕はあまり好きではない。

ならばと思い、改めて結論から先に申し上げることにした。
長く連載していた、「スタンダード18」という考え方の総括である。

人はシングル・モルトを好きになってしまう。もちろん飲んだことのない人は好きになりようがないし、飲んでみて「あまりおいしくない」と思った人はこんなブログになんか興味はないはず。だから、僕はシングル・モルトを好きになってしまった人に向かって文章を書いている。もちろん、まったく飲んだことはないが興味がある。あるいは、特に好きな訳ではないが興味がある。そんな人なら大歓迎である。裾野を広げて頂点を高くする。それは僕の基本的なスタンスである。たくさんの人がシングル・モルトを愉しく飲んでもらうことを願ってやまない。

シングル・モルトは森である。
僕はそう思っている。シングル・モルトを愉しむとはその森を散歩することである。奥深く立ち入ることには躊躇もあるだろう。だけど、必ずお気に入りの景色や、寄り添い愛でたくなる樹木が見つかるはずだ。お気に入りの景色や好きな木がしっかりと決まっている人には、確かに僕のような道案内はもう不必要なのかもしれない。約束の地に予定通りの愉しみはあるだろうから。

森の入口で戸惑っているなら、僕の話に耳を傾けていいただきたい。僕は今回、森の中の18本の木に目印を付けた。それらの木を見て回れば、ぼんやりと森全体をイメージしてもらえるかもしれない。そのぼんやりとしたイメージは、あなたに「次に行きたい場所」を気付かせてくれるかもしれない。

あなたが行きたい場所が決まっている人なら、そして、あなたがそこに辿り着くルートを知っているというのなら、確かに僕のような道案内は不必要なのかもしれない。だけど、どうだろう。森は変化している。日々成長を遂げている。昨日まであなたの好きだったあの場所は、今日はもう景色が変わっているかもしれない。そして、たまには回り道もどうだろう。新しい発見や意外な愉しみはいくらでも転がっている。もう長い間通っていない道は、随分違う眺めになっている。

よろしくお願いをしたい。人気ブログランキング

遂に発表!「スタンダード18」(3)

STD18クラガンモアさて、価格も手ごろなシングル・モルトとして皆様にご提供したいと思う、ジェイズ・バー「スタンダード18」であるが、その詳細についてご説明をしたい。飲んでいただくのに若干の「決まりごと」を設けさせていただく。

ジェイズ・バー「スタンダード18」と銘打った、次の18種のシングル・モルトを2杯で¥1,000にてご提供する。


アードベック 10Yo・・・(アイラ)
オーヘントッシャン 10Yo・・・(ローランド)
ボウモア 12Yo・・・(アイラ)
ブナハーブン 12Yo・・・(アイラ)
クライネリッシュ 12Yo・・・(ハイランド)
クラガンモア 12Yo・・・(スペイサイド)
ダルモア 12Yo・・・(ハイランド)
ダルウィニー 12Yo・・・(ハイランド)
グレン・エルギン 12Yo・・・(スペイサイド)
グレンファークラス 15Yo・・・(スペイサイド)
グレンフィディック 12Yo・・・(スペイサイド)
グレンキンチー 10Yo・・・(ローランド)
グレンリベット 12Yo・・・(スペイサイド)
グレンモレンジ 10Yo・・・(ハイランド)
ハイランド・パーク 12Yo・・・(アイランド)
オーバン 14Yo・・・(ハイランド)
スプリングバンク 10Yo・・・(キャンベルタウン)
タリスカー 10Yo・・・(アイランド)

すべてオフィシャル・ボトル。
もちろんシングル(30ml)×2杯である。

決まりごと-1 ・・・ ストレートで飲む。
決まりごと-2 ・・・ 違う銘柄をふたつ選び、2杯同時に提供する。
決まりごと-3 ・・・ 1日につき1回分(2杯)まで。
以上。

上記の18本は2007年の「スタンダード18」である。今回は侍の独断にて18本を選んだ。異論も反論もあろうが、「物申す」という方は是非ともご来店の上、意見を伺う所存。次年度以降の選考の貴重なご意見とさせていただきたい。

本日最後にひと言申し上げたい。
シングル・モルトの好きで貧乏な若者。ジェイズ・バーに来なさい。
この18本のシングル・モルトの違いをあなたは理解できるし、その上で、この中にさえあなたの好きなシングル・モルトを見つけられるはずである。
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遂に発表!「スタンダード18」(2)

昨日ご紹介した、ジェイズ・バー「スタンダード18」であるが、本日はその続報を。

アードベック 10Yo・・・(アイラ)
オーヘントッシャン 10Yo・・・(ローランド)
ボウモア 12Yo・・・(アイラ)
ブナハーブン 12Yo・・・(アイラ)
クライネリッシュ 12Yo・・・(ハイランド)
クラガンモア 12Yo・・・(スペイサイド)
ダルモア 12Yo・・・(ハイランド)
ダルウィニー 12Yo・・・(ハイランド)
グレン・エルギン 12Yo・・・(スペイサイド)
グレンファークラス 15Yo・・・(スペイサイド)
グレンフィディック 12Yo・・・(スペイサイド)
グレンキンチー 10Yo・・・(ローランド)
グレンリベット 12Yo・・・(スペイサイド)
グレンモレンジ 10Yo・・・(ハイランド)
ハイランド・パーク 12Yo・・・(アイランド)
オーバン 14Yo・・・(ハイランド)
スプリングバンク 10Yo・・・(キャンベルタウン)
タリスカー 10Yo・・・(アイランド)

STD18エルギン昨日言い忘れたが、すべてオフィシャルの商品である。

何をポリシーにこの18本を選んだのかということは昨日もお伝えした。
繰り返すが、
「多くの人にとって入手が容易で、シングル・カスクなど小ロットの商品でなく、比較的その味わいのぶれることの少ない、その蒸留所にとってのスタンダード感のある、価格も手ごろなシングル・モルトをいくつか選んで比較できないものかと。」
ということである。

シングル・モルトの世界を森に例えひとつの蒸留所を1本の木とするなら、地域区分は林のようではないか、いくつかの木が寄り添い林は成り立ち、林の集合体として森がある。そう申し上げさせていただいた。

蒸留所が「木」であるなら、僕は今回18本の木を用意させていただいた。森の中にはたくさんの木があるが、その代表的なものとして僕は18本を選んだ。選考の基準は先ほどお伝えした。

さて、あなたにこの中から2本の木を選んでいただきたい。
つまり、その2杯を飲んでいただきたい。

「価格も手ごろなシングル・モルト」。先ほどもそうお伝えした。
だから、安くしようと思う。2杯で¥1,000で、どうだ!
18本の中から2つを選んでお値段は¥1,000。

詳細はジェイズ・バー店内で。あるいは明日の記事を。
この英断にご支持を。
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遂に発表!「スタンダード18」

STD18クライネリッシュ来週開催予定の新企画の資料作りで難儀している。スペイサイドのある特定の地域の5つの蒸留所を選び、皆さんに破格の値段で愉しんでもらいたいと思っている。より一層愉しんでもらいたいと考え資料作りとなっているのだが、これがなかなかはかどらない。

新企画の詳細については来週の発表を待っていただきたい。内容に自信はある。

難儀続きで筆が進まぬ。
「スタンダード18」という考え方。の続編を書こうと思ってPCに向かっていたら居眠りをするありさま。お恥ずかしい限りである。

連載中の直近の記事、「スタンダード18」という考え方(30)。の続きはさて置き、まずはジェイズ・バー「スタンダード18」、そのすべての銘柄について皆様に発表をしておきたい。

カタカナで書くが、アルファベット順である。
アードベック 10Yo
オーヘントッシャン 10Yo
ボウモア 12Yo
ブナハーブン 12Yo
クライネリッシュ 12Yo
クラガンモア 12Yo
ダルモア 12Yo
ダルウィニー 12Yo
グレン・エルギン 12Yo
グレンファークラス 15Yo
グレンフィディック 12Yo
グレンキンチー 10Yo
グレンリベット 12Yo
グレンモレンジ 10Yo
ハイランド・パーク 12Yo
オーバン 14Yo
スプリングバンク 10Yo
タリスカー 10Yo

以上18銘柄をジェイズ・バー「スタンダード18」として、今後展開して行く予定。連載の始めにも申し上げた。
「多くの人にとって入手が容易で、シングル・カスクなど小ロットの商品でなく、比較的その味わいのぶれることの少ない、その蒸留所にとってのスタンダード感のある、価格も手ごろなシングル・モルトをいくつか選んで比較できないものかと。」
そのための18本である。

ジェイズ・バーでの今後の展開にご期待を!
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Ichiro's Malt TWO of CLUBS(17)

イチロー H-A C-2 D-3さて、異例の長期連載となったが、本日これにて最終回。

金曜の夜にふらりと現れ、ゴキゲンな様子で周りのお客さんと談笑し杯を重ねるイチローさんである。どうやら大分出来上がってきたご様子。そろそろお帰りの時間だろう。僕の方も作業の手を止め、少しは声を掛けておきたい。その日の来店に感謝し、お世話になった件について礼を述べた。

「9月からまた大変になりますね」。
「確かに、今とは違った苦労もあると思いますが、もちろん楽しみでもあります」。
その通りだろう。これからの活躍を僕も素直に祈りたい。

「目標があります。夢と言っても良いかもしれません」。とイチローさん。
「はい」。
「あと30年働きたい。30年働いて次の蒸留所の30年物のシングル・モルトを飲みたい」。

気の長い話かもしれない。30年後の未来を想像することはできても、確定させることはできない。だからそれは、不確実な未来だ。だけどきっと、この人はそこに辿り着くのだろう。自らを信じ、飲み手の顔を思い浮かべ、恥じることなく働いて、30年後の未来へと着実にその歩みを進めていくのだろう。そして、30年物のシングル・モルトを手に入れるのだろう。

「その時は是非、侍と一緒に……」。
ありがたい。ゴチになろう。僕らはきっと70を過ぎている。

まえかぶ「それではぼちぼち、お会計をお願いします」。
「こちらこそ、ありがとうございました」。
互いに深く頭を下げた。僕はイチローさんに背を向け計算をしている。後ろからイチローさんが声を掛ける。
「領収書をお願いします」。
もちろん、心得ております。
「えーとですね、宛名を(株)ベンチャーウィスキーで・・・」。
誇らしそうなイチローさんの顔が嬉しい。

席を立ってハンガーに掛けた上着を取るイチローさん。と、その時である。
ガラガラ、ガシャン!
イチローさんはハンガーを床に落とした。床に落ちたハンガーは壊れた。
「侍殿、申し訳ない」。
頭を下げるイチローさんである。まぁ、仕方があるまい。その程度のこと、ご愛嬌で済まそうじゃないか。

しかし、イチロー殿。
この借りは30年後に返していただく。1杯ゴチである。
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ハンガー

Ichiro's Malt TWO of CLUBS(16)

イチロー H-A C-2 D-3昨日、
イチローさんが作りたいと思うウィスキー。お客さんを笑顔にさせるウィスキー。その間を狙ってイチローさんはウィスキーを作るだろう。
そう申し上げた。

イチローさんが飲み手の嗜好に寄り添い、飲み手もイチローさんのウィスキーに何かを感じれば、ふたつの気持ちは絡み合い交ざり合い、きっと僕らは、作り手も飲み手も、愉しく気持ち良くなれるはずだ。互いが互いの気持ちに歩み寄ることで成り立つ快楽。もう少し近づけば良いだけ。たったそれだけのことで僕らはいつもより愉しくなれる。

僕はそんなことがとても素敵なことだと思うし、これからもそれを愉しみに生きて行きたいと思う。だけど、どうだろう。もちろんイチローさんはこれからも様々な趣のシングル・モルトをリリースして来るだろう。個性の異なるそれぞれに独特な特徴のあるシングル・モルトを提案してくるだろう。そして僕らは思わず言ってしまうだろう。「今回のは前回のと随分違うね」、などと。

だけどその提案のすべては、イチローさんがイメージする「飲み手の嗜好」とイチローさんの「作りたいウィスキー」の間にあるウィスキーだと思う。昨日も申し上げた通り、イチローさんはその「間」を狙うはずだと思う。それは僕らにとってありがたいことだし、僕は素直にそのことに感謝をしたい。だけど、どうだろう。イチローさんの「作りたいもの」と、僕らが「飲みたいもの」にはいったいどのくらいの乖離があるのだろう?

その乖離はどの程度のものだろう?
気にすることもないほど小さいのだろうか?
あるいは、想像もできないほど大きなものだろうか?

イチローさんはもう、「来るはずのない客人のため」に料理は作らないと思う。だからイチローさんは自然と飲み手の顔を思い浮かべてしまうだろう。そして僕は折に触れ、イチローさんに向かい「お客さんの飲みたいと思うウィスキー」についてもの申して行くだろう。それを受けてイチローさんがイメージする「飲み手の嗜好」を修正していただけるなら嬉しく思う。

もしも、イチローさんの「作りたいもの」が、僕らの「飲みたいもの」とはとても遠いところにあるとしたらどうだろう?つまり、イチローさんが僕らの嗜好に寄り添い過ぎていたら、どうなのだろう?イチローさんは「自分を殺して」ウィスキーを作っているのだろうか?で、僕は思ってしまう訳だ。イチローさんがお客さんの顔など思い出さずに、自分の思うままに自分勝手なウィスキーを作ったら、それはどんなウィスキーなのだろう?と。

飲んでみたくはないだろうか?

もちろんそれは、あなたを愉しませない可能性が十分にある。もしかしたらそれは、とんでもないウィスキーなのかもしれない。だけどだからこそ、あなたにとって物凄いウィスキーになるかもしれない。そして、夢見る侍はその夢を膨らませてしまうのである。

それこそが、ジョーカー?
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Ichiro's Malt TWO of CLUBS(15)

イチロー H-A C-2 D-3飄々として淡々とした、その独特な身軽な感じの人柄はイチローさんの魅力のひとつだと思う。新たに動き出す蒸留所にもイチローさん本人にも、困難や苦悩は待ち受けているかもしれないが、きっとスルリとその身をかわしていくだろう。

先日、金曜の夜にふらりと現れたイチローさん。ジェイズ・バーのお客さんと賑やかに話をしている。僕は黙って作業をしながらそれを聴いている。イチローさんのひと言に僕は心の中で大きく頷いてしまった。

「こうやって、バーのカウンターでいろいろなお客さんの中で飲むことは、とても大切なことなんです。ウィスキー作りの様々な工程でそのいろいろなお客さんの顔を思い出すんです」。「この酒はきっとあのお客さんに、あの酒は他のあのお客さんにおいしいと言ってもらえるんじゃないか。そんなことを思い出しながら作業を進めるんです」。

イチローさんと僕の立場が違うことは重々承知だが、僕はこの話にとても共感する。
僕のシングル・モルト選びもその視点は一緒だ。

イチローさんにはイチローさんの作りたいウィスキーがあるのかもしれない。作りたいものを作るということを大袈裟に言えば「自己実現」というのかもしれない。イチローさんは「作りたいものを作る」準備を着々と進めているのかもしれない。今年の9月、新たな蒸留所は立ち上がる。イチローさんはその舞台装置を手に入れることになる訳である。

さて、イチローさんは「自己実現」に向けて突っ走るのだろうか?
今までの鬱憤を晴らすように「作りたいものを作る」のだろうか?

僕はそう思わない。
客人の来訪を信じてご馳走を作り続け、しかし、客人の現れなかったイチローさんである。そのことの切なさと悲しさを十分に知るのがイチローさんではないだろうか?

きっとイチローさんは思い出すだろう。様々な作業工程の中で、出会ったお客さんの顔を思い出すだろう。あんな人がこんな人が、あの店でこの店で、どんな顔をして自分のウィスキーを飲むのか、きっとイメージできるのだろう。イチローさんが作りたいと思うウィスキー。お客さんを笑顔にさせるウィスキー。そのふたつの間を狙ってイチローさんはウィスキーを作るだろう。

だからきっと、「この人はきっと大丈夫なんだろうなぁ」と、そう思う。

さて、イチロー殿。
ここから先が真剣勝負である。
もしもあなたが、おいしくもなくつまらぬウィスキーなど作ったなら、この侍バッサリと斬らせて頂く所存でござる。

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Ichiro's Malt TWO of CLUBS(14)

イチロー H-A C-2 D-3イチローさんとのお付き合いが始まった頃、彼のシングル・モルトはまだまだ売れないシングル・モルトだった。サントリーの山崎やニッカの余市が海外で注目され、その評価も高くなって来たなんて話に少々喜ばしい気持ちになった頃、僕はイチローさんのウィスキーを知った。羽生蒸留所閉鎖の話は既知の情報であったが、その後の「不良在庫」の行方など知る由もなかった。

最初の「カード・シリーズ」がリリースされる前、閉鎖した羽生蒸留所のウィスキーが瓶詰されることを聴いて以来、僕はその情報を追いかけ、イチローズ・モルトを飲み、ご本人と出会い、様々なことを知って行く訳だが、イチローさん本人と話をしているとつくづく不思議な気持ちになることがあった。この人はとても飄々としている。あるいは淡々としている。独特な身軽な感じのする人柄なのだ。

不遇の時代もあっただろうに、不思議と苦労人の顔をしていない。その育ちの良さが背景にあるのかとも思ってみたが、僕には良く分からない。ただ、辛酸を舐めた後、良くなる人と駄目になってしまう人はいて、イチローさんが「駄目になってしまう人」の顔ではないとの思いが僕にはあった。そんな時僕は「この人はきっと大丈夫なんだろうなぁ」と、そう思ってしまう。

本当に微かなものではあっても、僕とイチローさんに付き合いがあることを知った人たちは、僕にいろんなことを言ってくる。もちろん、それは悪いことではない。イチローさんはウィスキーを作る人。僕は飲み屋のオヤジとしてそれを売る人。話題にも上らないウィスキーなんてつまらない。批評され批判され、時に皮肉さえ言われてウィスキーも育つのだ。ものを作れば評判は気になる。イチローさんだってきっと同じはずだ。

飲み屋のオヤジとしての自分、モルト侍としての自分、そしてシングル・モルト好きの酒飲みとしての非常に個人的な自分。それぞれは全く個別に存在する人格であるかというと、そうではない。実はその3つはそう変わらない。変わるのは、「もの申す」と思った時に、どのくらい丁寧に語ろうかと注意を払う心遣いの程度。酒飲みの僕が一番丁寧さに欠けるだろう。いろいろな所で「もの申す」僕に、様々な人が様々なことを言ってくる。

情報は発信するところに集まるのだ。集めた話は飲み屋のオヤジとして、ウィスキーを作る人であるイチローさんに返そうと思う。それは僕の仕事だ。もちろんあなたは、イチローズ・モルトを無理に好きになることはない。あなたがイチローズ・モルトを嫌いだったとしても、それはおかしなことではないし、間違ったことでもない。あなたの言葉で素直に好き嫌いを語れば良い。

最近はあまり嫌な話は聴かなくなったが、かつては否定的とまではいかなくとも、懐疑的な意見も多くあったのが「カード・シリーズ」だと思う。そのシングル・モルトがすべての人においしいと思ってもらえるとは思わない。だから、あなたの言葉で素直に好き嫌いを語れば良い。だけど、皮肉を言うのがあなたの仕事ではないはず。まして、誰かが言っていた否定的な意見を、その誰かに代わってあなたが言うことはない。あなたはあなたの言葉で素直に好き嫌いを語れば良い。

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Ichiro's Malt TWO of CLUBS(13)

イチロー C-2(2)先週末の続きである。
イチローさんは遠く東北の地に子供たちの揺りかごを見つけた。イチローさんのウィスキーは現在もそこで熟成を続けている。今でこそ「売れるウィスキー」となる予感を十分に感じさせるようになったイチローズ・モルトであるが、当時のそれらはある意味「不良在庫」であったのだ。どんなに品質が優良であろうと、売れないで残っていれば「不良在庫」である。

ただし、幸運なことにウィスキーは熟成庫で過ごす年月と共にその熟成を重ねる。熟成とはまさにウィスキーの製造工程の一過程である。ウィスキーの熟成庫は単なる倉庫ではない。「不良在庫」は熟成庫の中で、より品質が優良な在庫となるのだ。ちなみに当時のその「不良在庫」の総数は何と4,000樽。驚くばかりである。

イチローさんが作っていたものが料理ではなく、ウィスキーであったことに感謝をしたい。幸運なことにウィスキーは面倒さえ看れば腐らない。料理とは違う。揺りかごの中のウィスキーは時と共に熟成もしてくれるのだ。大事な子供たちを東北の地に預けたイチローさんは、子供たちを不憫に思いつつ立派に育てることを心に決めたのではないだろうか。

子供たちの預け入れ先を決めた後、一息付くことさえできなかったでイチローさんだろうが、少々時間的に余裕ができたのではないだろうか?以前も申し上げた。とても簡単に言ってしまえば、ウィスキーの製造工程は、「発酵」→「蒸留」→「熟成」であると。蒸留所を閉鎖したイチローさんは「発酵」→「蒸留」の作業に携わることはない。ならば、彼の作業の大半は「熟成」へと集中し、その関心もそこにシフトしたのではないだろうか。

あるお客さんの「イチローさんは何で樽をふたつ使うんですかね?」という質問に、「ヒマなんじゃねぇの?」、「まだ、新しい蒸留所できてねぇから」。などと答えてしまった僕である。無礼千万と思いながらも、この侍がそう思う理由はそこにある。手を休めることを不安に思う職人は少なくない。手を休めないことを望んだイチローさんは「熟成」の作業に、ある時期没頭したのではないだろうか?侍にはそう思えてならない。

リリース前に「ハートの9」のサンプルを持ってイチローさんが来てくれたのが去年の夏。僕はその時、「イチローさん、これはきっと売れるよ」。そう申し上げた。もちろんその予言は的中した。また、去年の暮れにピートを土産に来てくれた時は、「イチローさんはそのうち、クーブレーじいさんみたいになるんじゃないかと思うんですよ」。そう申し上げた。

クーブレーじいさんは「ウィスキーの品質の95%は熟成で決まる」と公言して憚らない人である。イチローさんがその意見に100%同調するとは思わないが、イチローさんはクーブレーじいさん同様、樽使いの名手になるのではないだろうか。僕はそう思っている。そして、イチローさんが樽使いの名手となるきっかけを作ったのは、皮肉なことに羽生蒸留所の閉鎖という事実があったからではないだろうか。

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イチロー H-9


エイプリル・フールの翌日のニュー・リリース

JMロングモーン WGドロナック先週の続きを書くところであろうが、本日は4月になったことでもあるのでニュー・リリースのお知らせを。実はもう既に売り始めているが、2本のシングル・モルトを紹介したい。

あまり気にせず封を切った2本のシングル・モルトであるが、このふたつには共通点があった。どちらも1990年に蒸留し、2004年の瓶詰。それぞれ蒸留所は違うが、1990年と2004年が僕にとってどんな年であったか振り返ってしまった。

写真左はジェイムス・マッカーサー社のオールド・マスターズ、ロングモーン。その右はダンカン・テーラー社のウィスキー・ガロア、グレンドロナック。もちろんそれぞれ1990年蒸留。2004年瓶詰。

非常にキリッとした印象のロングモーンとじんわり甘いタイプのグレンドロナック。

ロングモーンにしてはフルーティさに欠けるという感想を抱いたが、この切れ上がりの良さは秀逸。栓を抜いて1週間ほど経つが、若干鼻を突いていた嫌らしさは「ミントの香り」のように変化。心地良い。ロングモーン好きには「納得行かない」と言われるかもしれないが、こんなロングモーンもOKと僕は思う。ロングモーンに強い思い入れがなく、キリッとしたシングル・モルトがお望みの方には最適。

グレンドロナックの方は対照的に「しみじみ系」。この「しみじみ」をネガティブに「ぼんやり」と思われたらやるせない。こちらも封を切って1週間ほど。香りにどこか瑞々しさを感じるようになった。麦の味わいをベースにしっかりと甘い。オレンジ風味がどこか爽やか。

気になる価格であるが、ロングモーンはしばらく¥1,200でのご奉仕。
グレンドロナックは¥900。
どうでしょう。
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