モルト侍

池袋のショット・バー、ジェイズバーのバーテンダーが、大好きなシングル・モルトを斬る。

2010年07月

キャパドニック 1972 37Yo / ダンカン・テイラー ユアンズ・チョイス 信濃屋オリジナル

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IMG_9421_1まず、本日は皆様に簡単な引き算について注意を促がしたい。

234−122=112

である。

何が112なのだ?」という質問にも簡単にお答えしておこう。
「残りが112なのだ」と。

今回の信濃屋さんのオリジナルのキャパドニック、ラベルの最下段にはボトルN0.が表記されているのだが、こいつがちょっとミステリアスである。ジェイズ・バーに入荷したのはボトルN0.67ということなのだが、まぁ、写真を良く見て欲しい。

67 / 112 / 234

IMG_9423_1改めて申し上げておくが、これは分数でも割り算でもない。

多くの場合、ボトルNo.の表記というものは、「全部で○○○本瓶詰した内の、何本目」ってことで「ボトルN0. / 瓶詰総数」というのが一般的。ごく普通に考えて、「67 / 112」とか「67 / 234」とか、そのような表記が一般的ではあると思う。この「/」という記号がふたつはいることはあり得ない。繰り返すが、このボトルの場合、「67 / 112 / 234」なのである。

それが、分数でも割り算でもないことは先ほど申し上げたばかり。67というのはジェイズ・バーに入荷したボトルNo.である。となると、では瓶詰総数は112本なのか、234本なのか?その質問に答えるならば、「元々は234本あった。だけど、残りが112本なのだ。何故なら、122本を先に瓶詰しちゃったから」である。つまり、

234−122=112

ということである。


IMG_7657_1さて、まずは、「先に瓶詰しちゃった」122本について説明をしておこう。

この写真のキャパドニックが答え。今年のウイスキーマガジン・ライブの信濃屋さんのブースで、サンプルが振舞われた「キャパドニック 1972 37Yo / ダンカン・テイラー ピアレス・コレクション ユアンズ・チョイス」である。確かに、美味いキャパドニックだった。何しろ、その厚みに感激をしたキャパドニックだった。ちなみにカスクNo.7443である。

元来、このカスクNo.7443の樽には、234本分のキャパドニックを瓶詰できるだけのウイスキーが詰まっていた。ところが、122本分のピアレス・コレクションを先に瓶詰してしまったので、残りが112本。その残りの112本が、信濃屋さんからリリースされましたって話。

続きは来週にでも。

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グレン・マレイ、トマーチン、キャパドニックと3本続けてダンカン・テイラー社ピアレス・コレクション系のシングル・モルトが続いたが、そのどれもが3杯セットご利用可。つまり、そのハーフ・ショット3杯で¥2,100(税込)です。

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「3杯セット」のご利用が可能です。
他の違う銘柄のウイスキーと合計3杯(ハーフ・ショット)で¥2,000(税込¥2,100)。
1杯当り、¥700(税込)です。


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トマーチン 1976 33Yo / ダンカン・テイラー ピアレス・コレクション

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IMG_9322_1ふと見上げた赤信号のその向こう側に鮮やかな青空。僕はブレーキ・ペダルを踏み直し、少しの間、アスファルトから感じる熱さとは対照的なその美しさに魅了された。ほどなく赤信号は青に替わり、僕はギアを一速に落として走り始めるのだが、鮮やかな青空の青と青信号の青は、ともに青色であるのにその色が違う。

僕は心の中にその風景を切り取って、例えば今、こうやってキーボードを叩きながら、そのふたつの青色を思い出して比べることができるけれど、どうしたってそのふたつの青は違う色だ。僕の記憶の不正確さや曖昧さはさて置いて、信号が赤から青へ切り替わった瞬間の、あの違和感を忘れることはできない。強烈に何かがズレたり歪んだりするあの感覚。そう、ふたつの色合いの違う青。

例えば、すべてのトマーチンが同じ味わいではないように、すべての青も同じ色に見えないということだ。例えば、空の色だって毎日変わるように。青が間違っている訳ではなく、空が間違っている訳ではなく、もちろん、トマーチンだって間違っている訳ではない。同じようにダンカン・テーラー社所有の1976ヴィンテージのトマーチンだって、すべてが一緒という訳ではない。

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青が赤ではないことは知っている。空が海ではないことは知っている。トマーチンがグレン・マレイではないことは知っている。僕らはそれらを、それぞれ違うものだと認識することが可能だ。その上で、青にも様々な種類があることを、空と海の境界が水平線では曖昧なことを、トマーチン蒸留所のウイスキーも樽ごとにその味わいが違うことを知っている。

樽の数の分だけのトマーチン。

例えば、あなたはどれを素晴らしいと言っても構わない。その中のどれでもを好きだと言うことが可能だ。何を選んでも構わない。だけど、一番大切なのは、その中からどれかを選び「好きだ」と言うことだ。「(今のところ)これが一番好き」。あなたがそう言った瞬間から、ウイスキーは愉しくなる。ウイスキーの愉しみは「間違い探し」とは反対のところにあるから。ウイスキーの愉しみが「宝探し」の冒険だから。あなたに見つけて欲しいのは、「間違い」ではなく「宝物」。

このトマーチンはあなたにとっての宝物になるだろうか?

IMG_9336_1このおいしいトマーチンは、僕にとって、宝物になるにはほんの少し足りなかった。
でも、おいしいことに変わりはない。でも、宝物には少し足りない。
だけど、あなたの宝物なるかもしれない。

2ヶ月ほど前にご紹介したトマーチンはカスクNo.6816。
今回のトマーチンはカスクNo.6818。
そのふたつには、やはり、違いがある。

もう一度繰り返すけれど、ウイスキーの愉しみは「間違い探し」とは反対のところにある。
間違い探しをしなければ、このトマーチンはあなたにとっての宝物になるかもしれない。
とてもおいしいトマーチンだ。

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グレン・マレイ 1973 36Yo / ダンカン・テイラー ピアレス・コレクション

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IMG_9323_1さて、ここ最近「ピアレス史上初の」と冠の付いた蒸留所のシングル・モルトが、リリースされることの多いピアレス・コレクションである。グレン・マレイも同様で、実は、そのファースト・リリースは先日出たばかり、今回は第二段と言って良いのだろうか。前回はヴィンテージ違い3種のグレン・マレイ。今回は「1973 36Yo」のグレン・マレイを仕入れた。

まずはお断りしておこう。
もう既に、半分以上売ってしまった。気になる方はお早目に。

こういうウイスキーを飲んでいると、「開封して、すぐおいしいウイスキーは凄いな」と思う。そして、「熟成という工程がウイスキーにもたらすものは凄いな」とも。「凄い」×2である。インポーターさんの説明では「ピーチ」×3だそうだ。良くも悪くも、一口飲んで「既に十分に出来上がっている」ウイスキーなのである。「あぁ、なるほど」、と。「分かりました」、と。

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良く言えば、どっしりと構えている。当初からフルーティな好印象。しかし、展開力には優れていない。さて、問題はあなたがこのウイスキーに、大いなる展開力を求めるかどうかだ。桃、あるいはプラム、そういったフルーティな印象をあなたが十分に評価するなら、このウイスキーはあなたに微笑んでくれるだろう。

IMG_9355_1ただ、このウイスキーはあなたをどこにも導かないだろう。どこにも連れて行ってはくれない。そこにいて、どこにも行かず、どっしりと構えて動じない。だけど、このウイスキーが逃げも隠れもしないなら、あなたの方がそっとこのウイスキーに寄り添ってあげれば良いのかもしれない。例えば、樹齢100年を超えるその木は、真夏の日中に生い茂る葉で木陰を作ってくれるような、そして、その太い幹があなたの心地良い背もたれになるような、そんなウイスキーかもしれない。

どこかに連れて行ってもらうことを望むなら、このウイスキーはあなたを残念な気持ちにさせるだろう。だけど、あなたが、変わることのない優しさと穏やかさを望むのなら、このウイスキーはあなたを癒してくれるかもしれない。このウイスキーがあなたを理解することはないだろう。だけど、あなたに勝手な解釈をぶつけるほどに不躾ではないはずだ。

何の説明をも求めない時、頑張れなんて言って欲しくもない時、ただ何もせず、黙ってそばにいてくれることを望むなら、こんなウイスキーがちょうど良い。それでも、このウイスキーには足りないものがあって、あなたもそれを感じるだろう。そして、その足りないものは、やっぱり自分で足して行くしかないことも、やがて、あなたは知るようになるだろう。

簡単にその味わいを説明するなら、

どーんと桃の缶詰。

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真上から見ると、少し肩幅が狭く見えて切ない。

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グレン・グラント 1966 43Yo / GM ケルティック・ラベル

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最も輝ける光が一番美しく見えるのは、やはり、最も暗い夜なのだろうか?

IMG_8972_1カスクNo.2928とNo.2929。
このふたつの樽は、恐らく同じ熟成庫で肩を並べ、43年と少しの歳月をともに過ごし、互いにシンパシーを感じて行ったのだろう。例えば、同時期にリリースされたGM・ケルティック・ラベルのモートラック2種に比べると、非常に近いニュアンスの酒質を持っている。

同様にカスクNo.が一番違いのふたつのモートラックが、驚くほど違う仕上がりのシングル・モルトに成長したのに比べると、このふたつのグレン・グラントはその43年間しっかりと歩調を合わせ、互いの息遣いを感じ、ともに進んで同じ場所に着地しようと願ったのではないだろうか。僕にはそんな風に思えた。

同じように美しく、伸びのあるウイスキーだ。
どちらが、
というのではなく、どちらも。
つまり、互いに。

もしも、あなたが最も暗い夜を迎えているのなら、
このふたつの星は、美しく輝くだろう。

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このウイスキーが僕に教えてくれるのは、僕らはコミュニケーションを諦めてはいけないということだ。投げやりな態度やある種の乱暴さは、僕らをきっと窮地に陥らせる。衝突を恐れるあまり、接触する機会すら失っては、僕らは互いの大切なものを積み重ねることすらできない。

最も暗い夜の、最も輝ける光。
そんなふたつのグレン・グラントだ。
夜明け前が一番暗い、ということを、僕らは改めて思い出した方が良いだろう。

このふたつのグレン・グラントが同じように美しく輝くのは、互いの息遣いを感じ、コミュニケートしてきたからだと思う。43年間、その歩調を合わせ、同じような場所へ着地しようと目論んできたからだと思う。だから結果として、非常に似たように美しく、ただし、それぞれに個性的なウイスキーに仕上がったのだろう。

このふたつのグレン・グラントを思うなら、コミュニケーションが言葉だけで成り立っている訳ではないことを、僕らは知るべきなのだ。

よろしくお願いします。

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グレン・エルギン 1984 25Yo / リキッド・サン(2)

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IMG_9186_1キッド・サンのグレン・エルギンは素直な味わい。ブラッドノック・フォーラムは少し人間臭いといったらいいだろうか(笑)。TWAはそれらに比べグラマラス。3つの1984のグレン・エルギンをそんな風に僕は分類している。先日の話の続きになるだろうが、僕のその分類には僕の人柄が表れているかもしれない。

リキッド・サンのグレン・エルギンが優等生なのに比べると、ブラッドノック・フォーラムのグレン・エルギンにどうしても「グッド・ルーザー」を感じてしまう。それは何も、グレン・エルギンに限ったことではなく、例えば、先日のベンリアックなんかにも「グッド・ルーザー」的なニュアンスを感じてしまう。非常に大健闘。しかし、優等生と争って勝つには、何かが少しだけ足りない。

全般的にブラッドノック・フォーラムのウイスキーにはそんな思いがある。

ただし、「グッド・ルーザー」には「グッド・ルーザー」であるが故の、魅力があると思う。素直なものには良さがある。しかし、グッド・ルーザーの抱える矛盾というものは、それ、そのものが魅力的なのである。例えば僕らが間違いだらけのディエゴ・マラドーナを嫌いになれないように。いつだって人間が「間違い探し」をやめられない理由はそこにある。

「アイツはおかしい」。
そう言いながら、マラドーナの動向から目が離せない。

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さて、改めて、そう話を聞いた上で、このリキッド・サンのグレン・エルギン1984を、あなたならどのように思うだろう。

このウイスキーには素直なものの持つ良さがある。失点が少ないだけのウイスキーではない。十分に得点した上で、非常に魅力的なウイスキーだ。勝つべくして勝ち上がるウイスキー。

全般的に柑橘系。オレンジの皮の香り。少しワックスのよう。綺麗な酸味。華やか。花の香りのするハチミツ。微かに玉葱のアクっぽさ。少しネガティブな印象を持ったとしても、良いアクセント。続いて焼けたクッキーのバニラ。ゆっくりとすべてが乾いて行く。終りの儚い予感。

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本日の営業

通常通りです。

午後七時開店です。
よろしくお願いします。


本日の営業

昨日はご迷惑をお掛けしました。

本日は11時まで営業します。
看板も出さずに店を開けます。
ちょっといつもとは違う制服に見えたらごめんなさい。

気になる方はお電話下さい。

お暇な方はお越し下さい。

では。

お詫び

昨日は体調を崩し臨時休業をさせて頂きました。
急なことでお知らせをすることもできませんでした。

ご来店していただいた皆様、本当に申し訳ありませんでした。

要するに夏バテのようなもので、昨夜は随分多く睡眠を取ったので快復して来たと思います。ただ、本日の営業については、もうしばらく検討させて下さい。

夕方、またご案内申し上げます。
本日は午後七時から営業ですから、電話でお問合せいただいても結構です。

恐縮ですが、よろしくお願いします。


直前に1本記事をアップしたので、そちらもお読み下さい。


グレン・エルギン 1984 25Yo / リキッド・サン

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IMG_9186_1ここ最近、1984ヴィンテージのグレン・エルギンのリリースが続いていた。ついこないだの話になるけれど、ブラッドノック・フォーラム。ちょっと前ならTWA(ザ・ウイスキー・エージェンシー)。それぞれのグレン・エルギン。不思議な共通点はどれもアルコール度数が50度を切っているところ。今回のリキッド・サンは43.8%、ブラッドノック・フォーラムが42.5%、TWAが48.7%。

どれも素敵なグレン・エルギンだった。僕の中では1984ヴィンテージのグレン・エルギンは「ベッピンさん揃い」というのが定説となった。凛々しい透明感があり、素直でしなやか。そのどれもがか細くともしっかりと、その生命力を燃やしており、こういうウイスキーを飲んでいると、「美人は3日で飽きる」なんていうのは、ただの負け惜しみにしか聞こえない。

そのどれもが似たタイプの美人ではあるのだが、やはり、3人に並んでもらうとその違いを十分に感じることができる。もちろん、そこにあるのは「好き嫌い」なだけで、それが「勝敗」でないことは明らかなのだが、僕らはそこにどうしたって「優劣」を付けたがる。アイツが好きな子に、自分が惚れた子が負けるのが悔しいというような他愛もない話だ。

それぞれの長所について自慢し合っているくらいのことなら良いけれど、その短所について話が及び始めるとどうにもややこしい。最近は僕の中で「人と人はぶつかり合うべきなのか?」みたいなことはひとつのテーマで、まだ答えは出ていないが、ただ、「触れ合わないのは一番愚か」だとは思っている。

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だけど、人は久しく触れ合っていないと、接触と衝突の微妙な加減が分からなくなってしまうことがある。つまり、ライオンの「あまがみ」は人を殺してしまうということだ。こういう仕事をしていると、そういう不幸のいくつかを目にする。遠く離れたところの触(さわ)れないものを理解することは難しく、人は時々、理解のなきまま物事を批判してしまうことがある。

さて、グレン・エルギンの話。
「好き嫌い」で言うなら、僕の評価は全部好き。ただし、その3本に対する優劣はある。その優劣について、ここでお話しするのは止めておこう。優劣はあるのだが、残念なことに在庫がなくなってしまった商品がある。TWAのグレン・エルギンは売切れ。何人かのお客さんには「3杯セット」でその3つを飲み比べてもらえたのはラッキーだった。

実はTWAのグレン・エルギンは目白田中屋さんに在庫があって、先日顔を出した時に仕入れようかどうしようか、非常に悩んだ。悩んだ結果、見送ったのだが、未だに悩んでいる。優劣の話ではないのだが、このTWAのグレン・エルギンは他のふたつに比べてグラマラス。それが特徴である。いや参った。欲しくなって来た。

続きは明日。

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モートラック 1989 20Yo / ブラッカダー ロウ・カスク

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IMG_9156_1「似ている」「似ていない」っていうのはひとつの分類、つまり、カテゴライズってことだけど、そこには人柄が表れる。「好き」「嫌い」っていうのも、ひとつの分類方法。だから、当然そこにも人柄が表れる。もちろん、スペイサイドとかアイラとか、いわゆる地域区分ってやつも分類ではあるが、そこに人柄は表れない。だって、それはあなたが決めたことではないから。

だけど、その既に決められた地域区分っていう分類方法に、あなたの思いをぶつけることは可能。例えば、「アイラ・モルトは強烈に焚き込まれたピートによって、燻香が付くことが特徴。飲み慣れない初心者は敬遠した方が良い」。あなたがそんな風に思うことは可能だが、それはすべてのアイラ・モルトに共通する特徴ではない。また、すべてのアイラ・モルトは初心者に嫌われることを目的に造られている訳ではない。

それに、初心者をバカにしない方が良い。だって、今年初めてウイスキーを飲みましたって人が、一体どのくらいいると思っているのだろう?僕だってその詳しい統計データを知らないけれど、どう考えても10人とか100人とか、そんなレベルではないだろう。それ以上の人たちがウイスキーを飲み始め、そのすべての人が一様にアイラ・モルトを苦手と感じるだろうか?

しかも、アイラ・モルトがどれだけたくさんあるのかは、皆さんご存知の通りだ。そして、その豊富にあるアイラ・モルトの香りと味わいが、それぞれ違ったものであることも。さらに言うなら、ヘビー・ピートであるが故に初心者に好まれるということがある。ウイスキーが本来持っている、ある種のネガティブな臭みを、ピートのニュアンスが打ち消してくれることがある。例えば、臭みの強い肉に振ったコショウのように。

地域区分に人柄は表れないが、地域区分にぶつけられたあなたの思いに、あなたの人柄は表れるかもしれない。注意を促したいのは、視野狭窄に陥らないことだ。様々なウイスキーが世に出て来る。僕らはそれを受け止める側でしかない。「こんなスペイサイド・モルトがあるの!?」っていうようなウイスキーが出て来たとしても、ウイスキーが間違っている訳ではないのだから。

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僕はこのモートラックをこんな風に思う。

黒糖のアクっぽい香り。甘さは少なめ。だけど、ローストしたコーヒー豆の甘い香り。少しガソリン。口に含んで、濃くて重たい。苦いけどおいしい何か。上顎から鼻に沁み込むように抜ける。プルーン?再び香りを嗅ぐ。上質な麦芽とハチミツの甘味。微かにメープル。適切にカカオを練り込んだクッキー。

さて、モートラックがスペイサイド・モルトであることは皆さんご存知の通り。先日ご紹介したグレン・エルギンもスペイサイド・モルト。ラガヴーリンがアイラ・モルトであることは説明の必要もないかもしれない。つまり、

・スペイサイド
モートラック 1989 20Yo / ブラッカダー ロウ・カスク
グレン・エルギン 1984 25Yo / ブラッドノック・フォーラム

・アイラ
ジャックス・パイレーツ・ウイスキー 10Yo / ジャック・ウィバース・ウィスキー・ワールド

となる訳だ。ふたつのスペイサイド・モルトとひとつのアイラ・モルト。ふたつのスペイサイド・モルトが「似ている」。そして、ひとつのアイラ・モルトが「仲間外れ」と思ったら、意外にそんなことはなくて、この「モートラック 1989 20Yo / ブラッカダー ロウ・カスク」と「ジャックス・パイレーツ・ウイスキー 10Yo / ジャック・ウィバース・ウィスキー・ワールド」を「似ている」と感じる人は結構いる。

事実、「3杯セット」でその3杯を飲んで、そう感じる人が多い。
もちろん、「この3杯で考えたら」というのが前提であることは、改めて申し上げておきたいが。


モートラック 1989 20Yo / ブラッカダー ロウ・カスク
ジャックス・パイレーツ・ウイスキー 10Yo / ジャック・ウィバース・ウィスキー・ワールド
…「似ている」

グレン・エルギン 1984 25Yo / ブラッドノック・フォーラム
…「仲間外れ」

僕は、そんな風に分類する人がいることを、まったくおかしいとは思わない。

僕とマツコ・デラックスが似ているか?似ていないか?という話から、このような結論が導き出されたのだが、さて、新たに僕からひとつの問題提起をさせていただきたい。

僕とマツコ・デラックスが似ているというより、ロビンとマツコ・デラックスの方が似ているのではないだろうか?ロビン・トゥチェックの瓶詰した、このモートラックを飲んでいただけたなら、皆さん納得が行くのではないだろうか(笑)。つまり、ロビンとマツコ・デラックスが「似ている」。そして、僕が「仲間外れ」。そう分類することは可能だ。

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モートラック 1989 20Yo / ブラッカダー ロウ・カスク

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「マスターって、マツコ・デラックスに似てるって言われません?」。

IMG_9156_1そのお客さんのその唐突な問い掛けにも驚いたが、何より僕を傷つけたのは、隣に座っていた女の子の言葉にはならない「あぁ、なるほど」って顔。もちろん、そんなことを言われたのは初めてで、見た目が似ているという自覚もない。世の中を「大きい方」と「小さい方」のふたつに分けたなら、僕らはともに「大きい方」に入るのだろうけど、共通点はそのくらいではなかろうか。

「どういうこと?」って僕は訊き返してみた。「さっきから色々お話を伺っていると、何となく雰囲気が似てるなって思って、そう思ってると何だか顔まで似てるように見えて来て…」。「似てねぇよ!こっちはちゃんと、アゴがあるだろうが!」。気になったので、そのお客さんにマツコ・デラックスの印象について訊ねてみると、嫌いではなくて「面白いことを言う人」とのことらしい。

まぁ、そんなやり取りがあって、その初めてジェイズ・バーに来たカップルさんは、ともに数杯のウイスキーを愉しそうに飲んで帰ってくれた。何だか僕は、次の日一日マツコ・デラックスについて考えるハメになって、僕とマツコ・デラックスが「面白いことを言う人」という点で似ているというのであるなら、「まぁそれは善しとするか」と早々に納得をした。

例えば、僕から言わせると、まったく同系統ではないふたつのウイスキーを「似ている」と思う人がいる。つまり、僕の分類では、そのAとBのウイスキーは「違うタイプ」な訳だ。だけど、ある人はそのAとBを「似ている」と感じる。つまり、Aが僕でBがマツコ・デラックスということだ。もちろん、僕はAとBを同系統とは思ってないけれど、でも、その人はAとBに存在する共通の特徴を指摘して「似ている」と感じている。

例えば、あるスペイサイド・モルトとアイラ・モルトを指して、そのふたつのウイスキーを「似ている」と言った人がいる。そう聞いたなら、「何を感じてそのふたつを似ていると思ったのだろう?」。それを考えるのが僕の仕事だと思っている。「こちらはスペイサイド、こちらはアイラ。似てるはずがないじゃいないですか。あなたは間違っている」なんて、僕は絶対に言わない。

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あなたも僕もマツコ・デラックスも人間で、その事実を以って「一緒ですよ」、「似てるじゃないですか」って言われても、僕らはきっと納得しない。例えば、アードベッグとカリラとグレン・エルギンがすべて、シングル・モルト・ウイスキーであることを僕らは知ってるけれど、「みんな同じですよね?」、「何が違うっていうのさ?」なんて言われると、ちょっぴり面倒だなって思う人も多いと思う。

それを説明するのも僕の仕事で、今までも随分長いことそうして来たけれど、これからもずっとして行くんだろうと思う。だって、世の中のほとんどの人にとってシングル・モルトは興味の対象ではないもの。ただ、その愉しさが知られないことを僕は少し切なく思うし、ちょっとで良いから関心を寄せて欲しいと思っている。説明を必要とされなくなったら、それが一番悲しいだろう。

だから、まったく興味のない人は、アードベッグとカリラとグレン・エルギンの違いになんて注目しない。そして、飲んだこともないから、すべて一緒だと思っている。全部シングル・モルト・ウイスキーなんだから「一緒ですよ」って訳だ。だけど、飲めばその違いを感じることができる。だから、その違いを理解することができる。

その感覚を記憶に刻み、それらを比較し「似ている」と言うことができる。だから、スペイサイド・モルトとアイラ・モルトを「似ている」と言うのは、間違っているだろうと考えるのは拙速である。そのふたつが「似ている」可能性は十分にある。ふたつのウイスキーの特徴のどの部分にフォーカスするかにもよるが、恐らくは、「似ていないはず」という方が単なる思い込みに過ぎない。

続きは明日。

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ジャックス・パイレーツ・ウイスキー 10Yo / ジャンピング・ジャック・プロダクション ジャック・ウィバース・ウィスキー・ワールド

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「競うスピードより重要なのは着地」

IMG_9111_1ちょっと昔にそんな流行り唄があって、僕はその歌詞に至極納得をしたものだ。だって、それはウイスキーにも大切なことだもの。ふわふわと、心舞い上がらせてくれるウイスキーも好きだけれど、このウイスキーはその対極にある。世界中の上り坂と下り坂の数が同じであるように、離陸したら着陸をしなければならない。少々ハード・ランディング気味かもしれないが、着地の後は、思わず見得を切りたくなるような、そんなウイスキー。

ただし、あまり勢い良く口に放り込むと、その着陸の強引さに機体が壊れてしまう可能性がある。十分にお気を付けて。無理矢理過ぎて、あなたの頭から煙は出ていないだろうか?心舞い上がるのなら構わないが、魂を失っていないだろうか?グラスの中には十分な煙たさを感じるが、周りの人からあなた自身が煙たがられないようにご注意を。

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洒落の効いたラベルだ。日本なら犬はおまわりさんと相場が決まっているのだろうけど、こちらは片足の海賊。どくろの帽子を被っているが、メガネを掛けて愛くるしい表情だ。向こうでは海賊の名前といったらジャックと相場が決まっているのだろうか。裏ラベルにも「ジャンピン・ジャック・プロダクト」。もちろん、ジャック・ウィーバース。気付いたらジャックだらけだな。

アイラ・モルトに求めるものが疾走感や伸びの良さではなく、まさに着地という方なら是非ともお試しいただきたい。もちろん、しっかりピーティなウイスキーだが、旨味の濃さに裏打ちされた飲み応えは、むしろバランスが良いと言えるだろう。十分な満足の得られるシングル・モルト。

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カリラ 1984 25Yo / ブラッドノック・フォーラム

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IMG_9062_1最近はブラッドノック・フォーラムのシングル・モルトばかり紹介している。ご存知の方も多いかと思うが、ブラッドノック・フォーラムから続けて4種のシングル・モルトがリリースされた。グレン・エルギン、ベンリアック、カリラ、そしてリンクウッド。今ではその4種ともご用意してあるが、当初はベンリアックとグレン・エルギンのみの入荷だった。

カリラとリンクウッドの仕入を見送った理由は、リンクウッドは他にも商品があったから。カリラは25年ていう随分長めな熟成期間が「どうなんだろ?」って思ったから。正直なところ、「しばらく酒屋さんに在庫はあるだろうな」って目論んでいて、慌てて買わなくとも様子見でOKって思ったから。お客さんからも「飲んだよ」って話が入って来ると思ったから。

酒を飲む人の話題の大半は、「恋の話と仕事の話、そして時々、世の中のこと」。もう、20年もこの仕事をしているけれど、やっぱりそれは、変わらないな。もちろん、僕は、その変わらなさ加減に安心をするけれど。飲み屋っていうのはそういう場所だと思う。僕はその場所の主でありたいし、その場所の機能について良く考えたいと思っている。

恋や仕事の話をする当事者とその話を聴く者の間には、当然だけれど温度差があって、飲み屋のカウンターで恋や仕事の話をするのは、その温度差を知るとても良いチャンスだ。「先週末、初めて彼女の部屋に泊まったんですよ」って男の子や、「昨日のミーティングで画期的なアイディアが形になる予感がしたんですよ」っていうビジネスマンが、彼女の部屋や会議室で感じていた温度は他の人には共感してもらい難い。

だからと言って、その男の子の恋やそのビジネスのアイディアが、バカバカしいものでもなんでもなくて、どんな人も最大の関心事は自分のことだと知る訳だ。冷や水を浴びせられたと嘆くよりは、熱くなり過ぎたら、一度冷静になる機会が必要だと思い直した方が良いだろう。恋もビジネスも、長持ちさせたいと思ったら、そこに向かう情熱の燃やし方は重要なのだから。

ジェイズ・バーにはウイスキーの好きなお客さんが何人かいて(当たり前か?:笑)、恋の話と仕事の話のついでにウイスキーの話なんかをしたりする。「あの店でどのウイスキーを飲んだ」とか、「先日インターネットでウイスキーを買った」とか、「届いたウイスキーを飲んだ」とか「まだ飲んでない」とか、まぁ、そんな話だ。

お客さんと話をしていると、ブラッドノック・フォーラムのウイスキーは全般的に「取って置きの秘蔵のウイスキー」ではなく、「安い家飲みウイスキー」でもなく、「少し飲み過ぎて早くなくなってしまっても、そんなに後悔することのないおいしいウイスキー」なのだと思う。

こういうウイスキーを飲んでいると、優しいって何だろうなって思う。僕は十分にこのウイスキーに優しさを感じるから。このカリラは飲み易い訳でも、軽快な訳でもなく、だけど、十分に優しいウイスキーだと思う。

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上手な人にマッサージをしてもらっていて、ちょっと痛いんだけど気持ちが良くて、優しくされているような気分になったことはないだろうか?これはそんなカリラである。

25年という熟成年数を背景に十分にしっとりでサラサラ。ところがもちろん、太い。レモンの皮。鯖の塩焼き。少し焦げた芳ばしさ。凝縮された旨味。少しオイリー。時間とともに穀物の甘味。ベイクド・ポテトの芳ばしさ。ゆっくりとバニラの香り。

このカリラを好きだなと思うのだから、僕はきっと優しくされたいのだと思う。

「3杯セット」のご利用が可能です。
他の違う銘柄のウイスキーと合計3杯(ハーフ・ショット)で¥2,000(税込¥2,100)。
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ベンリアック 1985 25Yo / ブラッドノック・フォーラム(2)

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IMG_8645_1今朝は30を過ぎた青年と6時過ぎまで話をしていて、まぁ、要するに彼の仕事の話だ。AとBふたつの案件があって、フリーの立場の彼はそのどちらを選ぼうかという話。Aは気心の知れた人たちと予定通りの仕事。Bはちょっと面倒な人も絡むが大きな案件。実入りも大きいが、その後の将来に繋がる光も見える。けれどもハードワークは必須で、しくじればかなりリスキー。

どこにでもあるような話かもしれない。どちらを選んだら良いだろうか?という良く聞く話。この手のことに悩む人のほとんどは、他人に話をする前に既に答えは決まっている。どちらかを選びたいか、あるいは、どちらかをより選びたくないか。つまり、好きな方を選ぶか、あるいは嫌いではない方を選ぶかと考えるなら、どちらでも良い話である。だって、選びたい方は決まっているのだから。

良く考えて決断を下すのが嫌いな人がいて、そういう人は悩んでいる。考えるのが嫌だから、悩んでいる。こういう話には大体時間切れがあって、選ばれる側は返事を待っている。時間が経つとAとBとその彼は動き始める。フットボールでいうなら、ゲーム終了5分前のパワー・プレーみたいなもの。慌て始めると、仕方なしに「じゃあ、Aで(あるいはB)」みたいな決着になる。

自分で決めたくないんだなって思う。自分で決めて自分で責任を負うのが嫌なんだなって思う。でも、最初から選びたい方は決まっていて、「選びたい方ではない方」を断るのが妥当だと判断できる材料をたくさん集めて、最初から選びたいと思っていた方を「仕方なく選んだ」っていうストーリーを組み立てる。

今朝の話がちょっとややこしいのは、その青年の話が「そんな風に仕事を決めようとしていた自分に気付いてヘコんだ」って話だったから。気付いてくれて、良かったと思う。だって、その話に出てくる、AもBもその彼も、誰かが加害者である訳でもなければ、誰かが被害者である訳でもないから。彼がAかBか、どちらとパートナーになるかって話だから。パートナーになる者を決めたなら、それはともに共通の利害を抱えているということである。

負けたくなければリスクを負わなければ良い。だけど、リスクを負わないのなら進化することはない。もちろん、リスクを負えば必ず成功するという訳ではなく、「そんな保証のないことはしたくない」というのも分からなくないが、チャレンジをしなければ人生はジリ貧になることがある。

「負けたくない」という思いは、そう思う者の眼差しを「負けそのもの」にフォーカスさせてしまいがちだ。常に視野の中にある「負けるイメージ」。つまり彼らは、手を伸ばせば「負けそのもの」が常にすぐそこにあるという状況で闘いを続けている。そして彼らは、「負けそのもの」に非常に詳しい。専門家レベルと言っても良い。どうしたら負けるかを良く知っていて、しかし、ちょっと残念なことに、その「負けるイメージ」を実際にトレースしてしまいがちだ。

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肝心なのは選ぶことではないよ。
そんな話をその青年にして、正解は作るものだと、そう伝えた。

今はAとB、そのどちらをも選ぶことが可能だ。そして実は、どちらを選んでも、正解に至ることは可能だ。正解を作って行くのはその本人であるのだから。だから、どちらを選んでも、正解にすることは可能だ。正解は選ぶものではなく、作るものだから。

できないと言う前に、やってみれば良い。
できなかったところで、大したものは失わないし、人生が終わってしまう訳でもない。
例えすべてを失ったとしても、未来だけは残されている。

野蛮になることと勘違いしないように、勇気を持てば良い。
勇気が持てない時はウイスキーを飲めば良い。
飲み過ぎて野蛮にならなければ良い。

ちょうど良いウイスキーがあるとするなら、このベンリアックだろう。

カスタード・クリーム。薄い桃。口に含んで美しく弾ける。硬いけれど脆い食感のウエハース。シリアルの甘味。遅れてゆっくりと微かにバニラ。カシューナッツとちょっぴりシナモン。すべてがなくなる前にふわりときな粉。

なるほどと、頷きながら飲むと良い。

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眠る

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昨日は早朝までワールドカップ・ファイナル。昼過ぎに起きて品川で試飲会。そのふたつの出来事の間はおよそ6時間ほどのインターバルがあるのだが、つまりその時間が僕の睡眠時間ということになる。もちろん、その6時間は僕がどのように使おうと勝手で、それは僕自身が選ぶことが可能だ。選択の結果、「寝る」ではなく「飲む」となった訳だ。

つまり、物の理屈についてお話しするなら、「飲む」時間が長くなると「寝る」時間が短くなるということだ。寝る時間を削ったのには理由があって、スペインが優勝したからということである。僕は少し飲みたかった。少しを選んだつもりが、長くなったということだ。今まで繰り返し言われていることであるが、「引分を狙うサッカーは難しい」ということ。つまり僕の場合は負けた。

起きる時間が決まっているという事実は切ない。昨日は久し振りに、目覚ましが鳴るまで寝た。顔を洗って出掛けて会場に着いたら、大量のウイスキーが用意されている。試飲会はG&Mのもの。ベンロマックが10種。G&Mの蒸留所ラベルが28種。コニッサーズ・チョイスが48種。いやいや、そこはまともに考えていただきたい。全部は飲まない。

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リストを眺め、まずは自分の好きそうなウイスキーから。飲みながらウロウロすると、会場には久し振りの人やいつもの人、最近はメールでしかやり取りがなかった人などがいて、挨拶もそこそこに「で、どう?何が美味かった?」と訊く。この手の試飲会は効率が大事。全部は飲めないのだから。「小物ながらなかなか」なウイスキーがいくつかあって、そこそこ納得。

話の続きはそのうち書くこととして、本日は眠らせていただきます。
睡眠は大切です。
最近気付いたのだが、夏バテで体力がないと眠ることもできない。
しんどい夏になりそうだ。

では、
明日はベンリアックの話の続きを…。

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ベンリアック 1985 25Yo / ブラッドノック・フォーラム

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IMG_8645_1およそ1ヶ月に亘って続いた64のゲームのすべてが終了。ワールドカップが幕を閉じた。その結果と私の望みが叶ったかどうかは皆様もご存知の通り。ある種の充実と虚脱。今、自分の中でゆっくりと熱が冷めつつあるのを感じている。イニエスタのゴールの興奮も冷めやらぬまま、観戦中の私にひとつの問いがゆっくりと浮かんだ。

32の参加国のうち、最も美しき敗者は?つまり、グッド・ルーザーは誰だっただろう。
良く闘い、最後は力尽き果てた者たち。

瞬時に閃(ひらめ)いたのは、ウルグアイ。私は自らのその答えに大いに納得をした。開催国の南アフリカ、あるいはニュージーランドや北朝鮮。それらの国が決して醜くなかったことは私も認めよう。しかし、ただ、悪意はないが無邪気なだけである。敗者として最高位であるオランダでさえ、一番に美しいとは言えまい。

アメリカを推す声があるのなら、十分に検討に値する。ただ、どうだろう。アメリカの強さには、観る者の切ない気持ちをくすぐる何かがあっただろうか。アメリカの強さは常に負けを否定することで成り立っている。ならば、彼らが自ら敗者であることを認めることは難しかろう。

セミ・ファイナルでのオランダ戦。堅守を誇ったウルグアイが3失点。序盤に1点を獲られた後、フォルランの美しいシュートで同点とするもそこから2失点。時計は無情にも進んで行く。追い掛ける展開のまま、90分が過ぎる。ロスタイムは3分との表示。そう、ウルグアイはそこから私をドキドキさせてくれた。90+1分。フリーキックからトリッキーなプレイで1点差に詰め寄る。

過ぎる時間に思いやりを求めることは愚かだ。ことさらそれが、フットボールのゲームであるのなら。しかし、その日の審判は少し気が利いていた。ビッグ・ゲームで笛を吹くとは、空気を読むことでもある。終わりを告げる長めのホイッスルを吹いた時、ロスタイムは4分を過ぎていた。ウルグアイに与えられたその時間の猶予を、彼らは良く闘い使い切り、だけど、やはり、届くことはなかった。敗者ウルグアイが確定する。

さて、ウルグアイとは何だろう?そして、オランダとは何だったのであろう?
私は考える。
結論から申し上げておこう。
ウルグアイはグッド・ルーザーであった。

「負けたくない」。
ウルグアイのモチベーションは、そこにあったのではないだろうか。一方、オランダのそれは、「勝ちたい」だったのではないだろうか。両者の差はそこにあった。私はそう思っている。「勝ちたい」と思う者は、その強味をより以上に発揮することがある。一方、「負けたくない」と考える者たちはどのような場合においてもリアルを優先する。

私は少し、感傷的に過ぎるだろうか。
このベンリアックもウルグアイと同じようにグッド・ルーザーなのだと思う。

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「多くの人に忘れられることがない」という意味に置いて、ウルグアイと同じようにグッド・ルーザーなのだ。もちろん、敗者というのは勝者と対になっている。オランダの、あるいはドイツとの対戦における敗者としてのウルグアイ。優先されるべきが、勝者であることは言うまでもない。ただ、その負けっぷりが、多くの人の記憶に残る存在としてグッド・ルーザーはある。

お気付きだろうか?
決勝トーナメント以降、2度負けることが許されたのは、ウルグアイただひとつなのである。

ここ最近、優秀なベンリアックが数多くリリースされて来たのは、皆さんご存知の通り。ブラッドノック・フォーラムは並みいる強豪の中、必ず優勝できると考えて、この「ベンリアック 1985 25Yo / ブラッドノック・フォーラム」を送り出したであろうか。これより以上のベンリアックがあることを、私はまったく否定しない。

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グレン・エルギン 1984 25Yo / ブラッドノック・フォーラム

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IMG_8641_1誰もが認める美人に、すべての人が恋をするのではないように、毎日通うコンビニの女の子を好きになってしまうことがある。あなたはどのようにお金を払ってその店を立ち去るのだろう。レジを打つ彼女たちと目を合わせたことがあるだろうか。僕は毎日、紙パックの烏龍茶を買うけれど、「ストローは要らないです」って言わずに済むようになることが、ほんの少し嬉しかったりする。

時間とともに交わす笑顔の質が変化したり、少しづつ個人としてお互いを知るようになり、やがて、その短い時間でちょっとした会話をするようになったり。人が互いに関わるというのはそういうことだと思う。銀行のATMの投入口にお金を投げ込むような気持ちで精算を済ますなら、それはちょっぴり悲しいことだと思う。

彼女たちの「ありがとうございました」が何かの合図ではなく、個人に向けられたものであろうと実感できた時、僕は少し安心する。

ブラッドノック・フォーラムには美人コンテストで優勝するようなウイスキーはいないと思う。だけど、毎朝同じ時刻の通勤電車のあの駅から乗って来る気になる女の子。そんなウイスキーなのだと思う。例えば1週間会わないと、ちょっぴりソワソワしたり。でも恐らくは、きっとこのまま一生会わないんだろうな、なんて思ったり。そしたら次の週、1本早い時刻の電車の同じ車両から乗って来たり。

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「このくらいの熟成年数のこのヴィンテージのこの蒸留所のウイスキーって、こんな感じだと思うんですよ」。ブラッドノック・フォーラムは僕にそう訴えているように思う。「でね、そんな中でも、結構うまいヤツ瓶詰したんですよ」って。

僕は大体思う。「ふーん」って。「あぁ、こういうの好きだよ」って。

しっとりと柑橘系フルーティ。甘いオレンジの皮。口に含んでさらり、ふわりと鼻から抜けて消えてなくなる。ちょっぴり乾いた印象。その背景に軽いピートのニュアンス。エステリーな苦味。そこに存在するいくつかの複雑さを打ち砕いて心地良い。決して重くない、甘いハチミツ。芳ばしいウエハース。ちょっぴりバニラの香り。時間とともに甘く、さらに柔らかく。

彼女は僕に何かを押し付けようとしない。
だから、明日もそばにいてくれると嬉しい。

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リンクウッド 1973 36Yo / TWE(2)

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IMG_8670_1真剣ではあるけれど、深刻にはならない。意外に思うかもしれないけれど、ウイスキーを飲む時の僕は、注意深くそう自覚するようにしている。思い詰めたってロクなことはない。そこにある不幸が確認できたところで、あるいは、そのことを誰かに認めてもらったところで、問題が片付く訳ではない。それでも人生は続いて行くのだし。

ウイスキーは僕らの問題を片付けてくれない。愉しいことを増やしてくれるし、大切な人と僕らを繋がり易くしてくれるけど。ウイスキーの力はそこまでで、その先は人の力によるもの。すべての人が同じように感じるウイスキーがないように、ウイスキーがその人をどのくらい愉しくさせるかは、その人次第。

正誤とか善悪とか、僕はそんなことにあまり興味がなくて、一番大事なのは「好き嫌い」。愉しいから飲んでいるのだし、愉しくなくなったら飲まなくなるのだろう。僕らのウイスキーをめぐる環境が良くなることを心から望んでいるが、間違いをなくしたところで世の中が良くなる訳ではない。こうするべきとか、こうあるべきとか、声高に正義を訴えても愉しみが膨らむ訳でもないだろう。

僕らは何が正義かなんて良く分からない世界を生きているし、万人に共通する正解のウイスキーなんてあると思えない。あなたの正解と僕の正解は違うのだろうし、正義はぶつかり合わない方が良いだろう。そもそも、正解とは選ぶものではなく作るものだ。

どんなラベルが正解なのだろうか?

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とてもシンプルなラベルだ。白地に黒と赤の文字。右肩上がりの赤い文字列は中央で太く黒い文字列と交差する。上部中央には何かの紋章。下部中央には蒸留年。左下に容量、右下にアルコール度数。さてさて、実はこのラベル、シンプルではあるが少々不親切ではあるまいか。僕らは多くの場合、まず気にするのは蒸留所名だろう。

太く黒く一番大きな文字で「FINE OLD MALT WHISKY」とある。そのまま読むなら見事に古いモルト・ウイスキー」ということだろうか(笑)。そもそも、このシンプルなデザインは「見慣れた何か」ではない。一番大きな文字を追いかけても「FINE OLD MALT WHISKY」とあるだけ。つまり、良く読んでいただかないと素性は明かさない。そう訴えているようだ。

良く読めば、赤い文字で「リンクウッド」と蒸留所名が書いてあり、1973年蒸留、更にはバーボン樽での熟成であること。そして、TWEの瓶詰であることが分かる。さて、このウイスキーの価値をこのラベルからどう判断するだろう?

棚に並んだ時に見映えの良いラベルではない。恐らくは、不思議なことに、このボトルを見て「あれは何ですか?」と訊ねるような方がいたら、むしろなかなかのウイスキー通の方かもしれない。落ち着いて選びたくなる。そんなウイスキー。

さてさて、先ほど、南アフリカにおけるワールドカップの今までで一番のビッグ・ゲームが終了。私は大いに満足をしていると申し上げておこう。F・トーレスをスタメンから外したスペインであった。

「スペインらしいパス回しで幾度となくチャンスを演出」とはとある局のアナウンサー氏。ところが、どうだろう。幾度となく演出されたチャンスを、ことごとく活かすことのできなかったスペインである。こんなゲームには、想定内にして意外な展開が訪れる。コーナーキックからプジョルのヘディングがゴールへ突き刺さる。

後半28分、ゴールエリアに向けて果敢に走り始めたその男は、空へ舞い上がった瞬間、牛のように見えた。味方さえなぎ倒し、その男は身体ごとボールに突進した。ゲームのほとんどを支配し、美しいパス回しで相手を翻弄したスペインだったが、彼ららしいやり方でゴールを割ることはなかった。貴重な1得点を決めたのは、空を舞う牛。闘牛の国ということだろうか。

ポゼッション志向のスペインを前に、若いドイツは自らのフットボールをみすぼらしいものに思っただろうか。そんなことはない。彼らは自らを知り、そして、胸を張る方が良かっただろう。

私にとっては最高のファイナルとなった。
スペインvsオランダ。
スナイデルとロッベンはオランダに強さをもたらすであろうか。
スペインの中盤はそのしなやかさを持ち続けられるであろうか。

「足を止めての殴り合い」に期待しよう。
どちらもともに、決勝戦常連国ではないのだ。
ブラジルvsイタリアでなかったことに感謝しよう。

私の希望が叶うなら、
3−2 勝者はスペイン。

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リンクウッド 1973 36Yo / TWE 

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IMG_8670_1改めてこんな話をするのは少し気恥ずかしいのだけれど、僕は毎日ウイスキーを飲んでいて、しかもその銘柄は大体毎日違う。また、飲むことと書くことは僕の中で対になっていて、メモ帳やノートだったり、あるいはキーボードを叩いていたり、いづれにしても飲みながら文章を書いている。駄文ばかりで申し訳ないと、読んでいただいている方にはちょっぴり恐縮な気持ちもあるのだが、それでも、皆様に読んでいただいているのは書いた文章全体の半分くらい。

もちろん、特に使命感などある訳もなく、ただ、僕なりの大きな意義は感じていて、つまり、好きだから書いているということなのだろう。「こだわりですね」なんて言われると、実はちょっと違う感じがしているけれど、特に否定はしない。僕は元来「こだわり」という言葉に良い印象を持っていない。そこには、執着し過ぎて解放されないイメージがあるから。だけど、世の中の多くの人は「こだわり」が褒め言葉だと思っている様子で、だから、特に否定はしない。でも、TVなんか観てると、世の中の素敵なことのほとんどが、「こだわりですね」みたいに総括されていて、安直だなとは思う。

まぁ、そんなことはどうでも良くて、好きなうちは書いているのだろうし、嫌いになったら書かなくなるのだろう。だけど、僕がどうしてウイスキーのことを書き始めたのか、その動機については時々思い出して自分で確認するようにしている。動機はさて置き、ウイスキーを飲むことは愉しいことで、その愉しみは誰にでも手に入れることが可能で、酩酊することだけがウイスキーを飲む目的ではないと、僕はいつだってそんなことを語り掛けたい。

IMG_8679_1自分が気に入ったものを、他の人はどんな風に感じるのだろう?僕らはいつだってそんなことが気になるはずだ。共感すること、されること。僕らの望みはそこにあるのだろうし、阻害されること、拒絶されること。僕らの不安はそこにある。私を認めろと叫びながら、私は大丈夫だろうかと、そう思い悩むのが人間なのだろう。だから、人は生きるために共感を必要とするのだろう。

確かにそれは、必ずしもウイスキーである必要はないのかもしれない。映画でも小説でも絵画でも音楽でも、僕らはあらゆるものを題材にして、共感を手に入れることが可能だ。ただ、僕はウイスキーが大好きで、だから、一緒にウイスキーを飲みましょうと薦めている。ウイスキーが素晴らしいのは、そこにウイスキーがあるなら思い付いた時にすぐに始められるということだ。

大切な人がいて、いくらかの一緒に過ごせそうな時間があって、僕らの間にウイスキーがあったなら、僕らはお互いに、そのウイスキーをどのように感じたかを語り合うことができる。必ずしも同じ感想を抱くことはないかもしれない。あるいは、同じように感じているのに違う言葉を使うのかもしれない。

ただ、僕らはやがて気付くはずだ。
違いを明らかにすることだけが、大切なことではないと。

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ウイスキーは僕にたくさんの愉しみを提供してくれて、だけど、それだけではなくて、いくつかの大切なことも教えてくれた。人の話を聴くことと、それに反応すること。受け入れること。赦すこと。忘れること。簡単に言うなら、そういうことだ。

僕らの間にウイスキーがあって、僕らはお互いを語り合うことができるなら、それはとても有意義な時間になるだろう。大切な人と同じ時間を十分に過ごすと、人と人はテキスト以外のところで重要で大量のコミュニケーションをしていることが分かる。ウイスキーは人と人を柔らかく繋いでくれる。だから、大切な人と時間を掛けてウイスキーを飲むことは素敵なことだと思う。

そう思うにも関わらず、最近はゆっくりと誰かとウイスキーを飲んでいない。「付き合って下さい」と言ったところで、僕と時間が合う人はそうそういるはずもなく、だからと言って「誰でもいいから」なんて言ったら、なおさら誰にも相手にされないだろう(笑)。で、最初の話に戻るけど、最近はなおさら、飲むことと書くことは僕の中で対になっていて、ほとんど毎日一人で飲んでいる。

一人で飲むのは寂しかったりもするのだが、それより以上に僕の場合、一人で飲むのは恥かしい。最近気付いたのだが(いや、そんなことはない。昔から知っている)、一人で飲んでいると、僕はボトルを手に取って笑いながら飲んでいる。

ウイスキーのラベルからも、実にいろんなことを感じることができて、このリンクウッドなんかはとても面白いラベルだ。その日も僕は営業開始直後のジェイズ・バーのカウンターで、ウイスキーを飲んでいた。飲んでいたのはこのリンクウッド。恐らく僕は、ニヤニヤしていたのだと思う。そんなところに、そのお客さんはそっと入って来て、「大丈夫ですか?」って僕に言う。

「大丈夫ですか?」っていうのは、要するに「営業中ですか?」っていうことなんだけど、僕は自問してしまう訳だ「大丈夫か?オレ?」って。

看板の出ている店に入って来たら、カウンターの中に人がいなくて、それらしき人が座ってウイスキーを飲んでいる。そのお客さんには僕がニヤニヤしているところを見られただろうか。

「どうぞ、どうぞ。いらっしゃいませ」なんて、僕は慌ててそのお客さんに言うのだけれど、本屋でエロ本を立ち読みしているところを好きな女の子に見つかっちゃった中学生。みたいな気分。

そんな訳で、冒頭の通り、本日は気恥ずかしい話。
で、明日は、このリンクウッドのラベルはなかなか面白いって話を書く予定。
書いてもつまらなかったらボツになるけど。

このリンクウッドはとてもおいしくて、紅茶の飴のよう。で、ほんのり梅風味。

結構、なくなっちゃったんで、お早目に。

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アードベッグ ローラーコースター / オフィシャル

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IMG_8785_1ワールドカップもベスト4が出揃った。欧州勢が3、南米勢が1。順当な勝ち上がりだろうか?いやいや、中身を見ればいつもとは少し事情が違う。イタリア、フランス、そして、ブラジル、アルゼンチン。それらの常連は既に姿を消した。生き残ったのはオランダ、スペイン、ドイツ、そして、ウルグアイ。正直に言うなら、そこにイタリアとブラジルの名がないことに少しワクワクする。

ドイツの強さが際立っている。その組織力には目を見張るものがある。ひと言で言うなら「堅守速攻」と説明できるフットボールをするが、素晴らしいのはそのカウンター・アタックの美しさだ。試合運びのズルさで勝つことを廃したその実直さにも頭が下がる。「力を見せて勝ちたい」。彼らはそう思っているのだろう。

ドイツの組織と戦術の背景に、ポリシーと哲学を感じる。大まじめな大男たちが決まりごとに従い辛抱強く守る。そして、ボールを奪い美しいカウンター・アタック。シュヴァインシュタイガーはダンスのステップを踏むようにペナルティ・エリアを進み、倒れ込んでアシスト。疲れを知らない若いチームは勢いを増し、より強くなっている。そして、対戦相手に餓えている。

IMG_8764_1閃きとコミュニケーション。イメージの共有。人のいるところにボールは動き、ボールの進むところに人が動く。人がボールを蹴れば、ボールが人を動かす。僕は美しいパス・サッカーが好きだ。ディフェンダーを翻弄するパス回しが観客を魅了し、がら空きのゴール・マウスに向かうラスト・パスがゴールとなる。ネットに突き刺さる強い弾道のシュートだけがビューティフル・ゴールではない。

個人技だけではないコンビネーション。連係を前提とした個人技。選手がやり取りをしているのは、ボールだけではないと気付く時、それもまた、フットボールを観る快楽を知る時である。美しいフットボールは時に儚く、強いフットボールは時に脆い。ドイツの強さは、美しいフットボールに溶かされるだろうか。スペインの美しさは、強いフットボールに儚くも撃ち破られるだろうか。

さて、シングル・モルトの快楽について、少し話をしよう。僕らをワクワクさせるのは、何もフットボールに限ったことではない。美しく疾走し大きな展開力を発揮する。アードベッグ・ローラーコースターはそんなウイスキーである。

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もちろん、ピートのニュアンスたっぷりのアイラ・モルト。ツンと刺激的に煙たい消毒液。コクのある旨味。なだらかにバランス良く複雑。スモーク・オイスターのオイル漬け。貝類のワタの苦い旨味。灰汁っぽく、土臭い。力強い。遅れてゆっくりと全体が麦芽風味に展開。煙たさを失わないまま、ホワイト・チョコレート。

IMG_8808_1ローラーコースターは1997年から2006年までに蒸留された原酒を、一年ごとに一樽づつ合計10樽をヴァッティングされて造られたようだ。裏ラベルには蒸留年別の原酒の含有比が表示されている。また、添付された小冊子にはヴァッティングされた10樽の、その年別の樽の種類やその当時のちょっとしたトピックなどが書かれている。

それは、フィールド・プレイヤー10人のスタッツのようで、それぞれの個性を感じられるようで愉しい。中身については、なかなかお見事と言っておこう。アードベッグ蒸留所は素晴らしいチーム作りをしたと言えよう。正しいメンバー選考をした結果がこのボトルに表現されている。

もちろん、最上級の賛辞を贈りたくなるほどのウイスキーではないのは確かだ。才能には恵まれているが、一人前になるにはまだ努力が必要な10人が召集されていると言って良いだろう。ただ、その代わり、彼らの年俸はまだあまり高くない(笑)。

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グレン・スコシア 1991 18Yo / ダンカン・テイラー ピアレス・コレクション

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IMG_8617_1涙の味がしょっぱいということを、僕は一体いつから知ることになったのだろう。僕と同じように涙の味を知っているあなたは、かつて、涙を舐めたことがあるということだ。違うだろうか。恐らく、あなたが舐めたことのある涙は、あなたが自ら流した涙なのだろう。人は概ね悲しいことがあると泣く。もちろん、嬉し涙ということもあるのだが、さて、あなたの流した涙はそのどちらだろう。

「涙の味がしょっぱい」などと書くと、まだ少しはロマンティックに聞こえるかもしれないが、「人間は臭くて塩味」なんて言ってしまうとミモフタモナイ。清潔にしなければ臭くなるし、汗も涙も塩分を含んでいる。それが人間である。「涙の味がしょっぱい」のは、「人間は臭くて塩味」だから。正論は時に暴力的である。

無味無臭のアルコールが飲み易い代わりにつまらないのと同じように、匂いを感じさせなない人を僕は不安に思うことがある。それは、多くの人がそうであるように、僕らが匂いにそれを発する本体のアイデンティティを嗅ぎ取るからだろう。柔軟剤を変えた洗濯物の匂いや、女の子がシャンプーを変えたことにドキリとすることがある。人とはそういうものだ。

キムチの匂いのするショート・ケーキがあったら、僕らはきっと大きく戸惑うはずだ。そこにある種のズレを感じるだろうし、そのズレを気持ち悪く思うだろう。もちろん、そこに腐った臭いを感じたら、僕らはそれに手を付けないだろうし、そのような防衛策が僕らを生き残らせているのだろう。

またその逆に、初めて飲んだウイスキーにチョコレートの香りを感じて、それ以来、ウイスキーのトリコという人もいる。また、ウイスキーの香りからピンポイントで特定の誰かを思い出すことがある。その人との思い出に関わる香りなのか、その人本人の香りなのか、あるいは、そのウイスキーの持つニュアンスがその人を思い出させたのかは分からない。だけど、ウイスキーを飲んでいると、「あの人はどうしているだろうか?」、そんなことをよく思う。

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ウイスキーを飲んでいると、時々説明しづらい香りを見つけてしまうことがある。ややもすると、そこから立ち止まって動けなくなる。思い出しそうで、思い出せない。

記憶の暗闇の中に影が揺れている。その暗闇は均質ではなく、斑(まだら)で、だから、暗闇の中に影が揺れているのが分かる。大きさで言えば、そう、ちょうどウイスキーのボトルくらいの大きさ。目の高さくらいのところを、ふらりふらりと揺れている。だけど、距離感が掴めない。僕は手を伸ばしてそのカタマリを掴もうとするけれど、掌は何度も空を切る。

思い出しそうで、思い出せない。

そんな時に僕は思うのだけれど、僕が思い出そうとしたのは「特定の誰か」なのではないかと。何かの香りの記憶を掴もうとしたのではなく、僕は誰かを思い出そうとしていたのかもしれないと。そんなことを思う。僕はその人を忘れたくて、その人は忘れて欲しくなかったのかもしれない。

少しほろ苦く、涙のようにしょっぱいグレン・スコシア。
涙には温度があって、それは少し暖かい。
その暖かさは心地良く、その心地良さは誰かの暖かさに似ている。きっと。

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ラフロイグ 1987 22Yo / 3Rオリジナル ザ・ダンス

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IMG_8495_1とても素敵な絵だなと思う。
こういうウイスキーは手にとってラベルをじっくりと眺めたくなる。

剥き出しではなく、穏やかに情熱的。内に秘めた意志の強さは、情熱という言葉とは裏腹に冷酷に見えるかもしれない。淡々と熱い。あるいは、アグレッシブに守備的。そこに矛盾はない。何かを成し遂げようとする人の多くがそうであるように、冷静で積極的ということ。慌てることが情熱ではないのだから。

人は何故、踊るのだろう?
ステップを踏む、ビートを刻む、テンポを合わせる。
人は生きるために踊るのだろうか?
感情から溢れ出て来たものの、ひとつの形ではあるのだろう。

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3Rさんの「ザ・ダンス」のシリーズも今回で第4弾だそうだ。「何だか、ウイスキーのラベルっぽくありませんね」という言われようにも納得はするが(笑)、そんな人たちも興味津々でボトルを手に取ってしげしげと眺めている。中身にも納得。スモーク・ベーコン、ハニー・マスタードなラフロイグである。

80年代の蒸留。20年を超える熟成。最近のラフロイグにしては珍しい方と言って良いだろう。こういうウイスキーの愉しみというのは、グラスに注いだ瞬間から始まっていて、グラスを鼻に近づける前、ウイスキーを口に含む前からある種の予感にワクワクするものだ。こういうアイラのウイスキーは、それが十分に甘いことを教えてくれる。

注ぎたての角が立ったフェノールの印象からすぐに落ち着く。煙の奥のすぐそばに麦の甘い香り。爽やかなレモンの潮風。口に含んでほろ苦く灰汁っぽい甘露。スモークしたベーコンのみじん切りを弱火のフライパンで十分にソテーしてカリカリに。ハニー・マスタード。朝食のマフィンの芳ばしさ。お腹いっぱい。つまり、満足。

最近はこういうウイスキーが個人的にしっくり来る。
重たくて太いのが身体に入ってくる感じ。
飲み過ぎの予感。

「3杯セット」のご利用が可能です。
他の違う銘柄のウイスキーと合計3杯(ハーフ・ショット)で¥2,000(税込¥2,100)。
1杯当り、¥700(税込)です。


よろしくお願いします。

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今年も半分終わって、今日から7月1日。残りの半分が始まる。昨日も何人かのお客さんと「今年も半分終わったね」みたいな話をして、「早いね」なんて返事をして、「半年なんて、あっという間だね」なんて結論に至る。大晦日のことを、ついこないだのことのように憶えている。「あっという間」は何も半年に限ったことではない。1年だって3年だって10年だって、「あっという間」だ。

子供の頃の時間はもっと重たいものだったのだと思う。時間が過ぎて行かないことに随分とヤキモキしていた気がする。勝ちゲームを終わらせようと、審判の笛が鳴るのを待ち焦がれるサッカー選手のようだったろうか。今は知らないうちに時間が過ぎて行く。僕は負けゲームを戦う選手だろうか。今は後半の何分くらいで、ロスタイムはどのくらいあるだろう?

改めて振り返れば、今年の前半が空虚なものだったとも思わない。いくつかのできごとがあり、喜んだり悲しんだり嬉しかったり。もちろん、泣いたり笑ったり。相変わらずだが、今年リリースしたウイスキーのいくつかを思い出したり。あれが良かったとか、こいつも良かったとか。

そんな風に時間は過ぎて行き、それもまた、悪くない。

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