モルト侍

池袋のショット・バー、ジェイズバーのバーテンダーが、大好きなシングル・モルトを斬る。

2010年09月

グレンアラヒーから、いくつかの1993ボウモアへ。(3)

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IMG_0856_1結局のところ、自分が感じたことしか伝わらない。感想とはそういうものだと思う。自分の思いを誰かに伝えたいと思ったら、僕らは自分に向き合わざるを得ない。あなたの感想はあなたの中にしかない。ウイスキーの専門書には書いていないだろう。

ウイスキーを飲んで何かのイメージ沸いたなら、そこには何か理由があるはずだとまずは信じてみる。だって、ホントに感じたことなら伝わりやすいから。

「ウイスキーなのにチョコレートの香りなんてする訳がない」という思い込みは、あなたから「感じる身体」を奪い、あなたのウイスキーをつまらなくさせてしまうことがある。大切なのは「センス・オブ・ワンダー」。あなたはグラスの中から不思議なもの見つけ出す、冒険の旅に来たのだと思えば良い。

もしもあなたが、飲み干したウイスキーのグラスからチョコレートの香りが放たれることに、心の底からびくりした経験があるなら、あなたには確実に「センス・オブ・ワンダー」があるということだ。「どうして?ウイスキーからチョコレートが?」という疑問は不思議であり神秘だ。

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あなたは既に、チョコレートの香りがするであろうと予測されるウイスキーから、チョコレートの香りがしたことに安心をするようになっているかもしれない。それは、かつてのあなたにはなかった態度だ。今夜、どこかのバーで、チョコレートの香りを放つウイスキーがあることを知らない誰かと、あなたは隣り合わせに座るかもしれない。

IMG_0932_1あなたの隣に座ったその人は、ウイスキーの知識がない代わりに「センス・オブ・ワンダー」を持っているかもしれない。お節介は無用だろう。だけど、僕はあなたに、優しく見守ってあげて欲しいと心から願う。大切なのはあなたの知識でその人を危険から遠ざけることではなく、その人が自らの「センス・オブ・ワンダー」を持って冒険を愉しむことだ。

その人のウイスキーが始まろうとしているのかもしれない。
僕ならその始まりの瞬間に立ち会いたいと思う。そっと。

自分の力でウイスキーの中から不思議なもの、神秘的なものを見つけ出すのがウイスキーの愉しみのひとつだと思う。不思議なものの正体が分からなかったとしても、その発見の喜びは忘れることがないだろう。

IMG_0856_1正体やその理由が分からなかったとしても、何かを見つけてしまったなら、素直にそれを認めた方が良いことがある。かつて、その香りを「チョコレート」と言えなかったのは、あなたの中に「ウイスキーがチョコレートの香りを放つ訳がない」という思い込みがあったからなのかもしれない。

あなたは思い込みから解放されて、様々なものをウイスキーから感じ始めることがある。

何かのイメージが浮かんだら、そして、それがウイスキーとはまったく関係のないものだとしても、頭から振り払おうとしないことだ。

例えば、あるウイスキーの香りを嗅いでいて、唐突に「グッチ裕三」を思い出したとしたら、「そんな馬鹿げたことを…」とそのイメージを頭から振り払おうとせずに、「何故だろう?」と立ち止まってみることだ。もしかしたら、そのウイスキーは虫刺されの薬(キンカン)に似た香りを放っているのかもしれない。

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グレンアラヒーから、いくつかの1993ボウモアへ。(2)

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IMG_0856_1ウイスキーを愉しみながら、僕らはグラスの中からさまざまなものを感じることができる。例えば、「バニラ、ハチミツ、麦、バター、芳ばしさ」、ウイスキーからそんなニュアンスを感じ取ることは良くあることだ。そして、それらの5つの要素を起点にクッキーをイメージすることがある。「このウイスキーはクッキーのように感じるなぁ」ってことがある。

もしもあなたが、ウイスキーになどまったく関心がなく、ウイスキーを愉しいと思って飲んだことがなかったとしても、ある飲み物に「小麦粉を溶かして練ってバターで焼き上げた芳ばしいものに、バニラのような香りとハチミツのような甘さ」を感じたら、誰かがそれを「クッキーのように感じるなぁ」って言っても、「そういうもんだろうな」くらいには思ってもらえるだろう。

それらの各要素を個別に感じないまま、いきなりクッキーを感じることもあるだろう。何しろ、クッキーが何でできているか知らない人だっているに違いない。あるいは、クッキーだと感じた後にクッキーを構成する各要素を分解し、「バニラ、ハチミツ、麦、バター、芳ばしさ」と理解する人もいるかもしれない。

クッキーという全体から感じても良いだろうし、個別の要素である部分から感じる人がいてもおかしくはない。部分を組み立てて全体を思ったり、全体を分解して部分を理解しようと思ったり。正誤、善悪、好き嫌いはどうでも良いけれど、僕は時々そんな風にウイスキーを愉しむことがあるし、ウイスキーにクッキーを感じたことなら、多くの人が経験していると思う。

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先日お客さんと話をしていて、「好きでウイスキーを飲んでいて、おいしいと思うんだけど、おいしいウイスキーをおいしいとしか言えない自分が時々情けなくなるんですよね(笑)」と言われた。その時僕は、「おいしいんだから、良いじゃない」とお茶を濁す気にもなれなくて、何故かというと、その人がちょっぴり真剣に悩んでいるように見えたからだろう。

当たり前のことだけれど、ウイスキーをおいしいと思わないと、その人のウイスキーは始まらない。だから、おいしいと思ってくれているのなら、その人のウイスキーは始まって継続中ということだ。もちろん、「おいしいんだから、良いじゃない」というのは僕の本音でもある。裏返すなら「不味いと思うんなら、困ったな」ということだから。

ただ、その人は「おいしいんだけど、(ちょっと)困っている」ということ。

何で困っているのかというと、「伝えたいから」なのだと思う。何故伝えたいのかというと、「共有したいから」なのだと思う。何を共有したいのかというと「ウイスキーを愉しむこと」なのだと思う。おいしいと感じるウイスキーに出会うと、人はそれを誰か他の人に伝えたいと思ってしまう。そして、言葉を捜して彷徨い始め、増やした言葉のおかげで溺れてしまうことがある。

愉しいことを分かち合いたいと思うのが人だ。
分かち合うために伝える必要があると思っている
伝えるために言葉が必要だと思っている。
そして、伝わらないのは言葉が不正確で足りないからだと思っている。

本当だろうか?

前にも同じようなことを言ったから重複は避けるけど、言葉の数が豊富で正確だからといって、あなたの気持ちが必ず伝わるというものではない。あなたが感じたことしか伝わらない。それは、一番に肝に銘じておくべきことだと思う。伝わらなくて困っているというのなら、まずは、自分がどう感じているのかをもう一度確認してみるのが良いだろう。

ウイスキーを愉しむことをグラス一杯の冒険と思うなら、自分の見たことを信じること。自分が感じたことしか伝わらないなら、自分が経験したこと以外はあまり意味がない。例えば僕が知りたいと思うのは、「あなたにはどう見えたのか?」ということ。それは、僕が見えたのとは違うのかもしれない。そして、「何故そう見えたのか?」はひとまず、どうでも良い。

「クッキーのよう」に感じたのなら、そう伝えれば良い。
「バニラ、ハチミツ、麦、バター、芳ばしさ」。それらを感じたから、「クッキーのよう」なんて言わなくても良い。

僕らの暮らしの中には「何故、そう感じたのか?」なんて説明できないことがたくさんある。「クッキーのよう」に感じたのなら、そう伝えれば良い。「何故、そう感じたのか?」、それが説明できるようになったとしても、後回しで構わない。

少し前の話になるが、僕はあるウイスキーを飲んでいて、どういう訳だかずっと「グッチ裕三」が頭から離れない。ウイスキーに「グッチ裕三」の味がするとは考えられない。何しろ、僕は今まで「グッチ裕三」を食べたことがなかったから。

ベーコンや鰹節や、もちろん、クッキーなら食べたことがある。ウイスキーを飲んでそれらのイメージが浮かぶことがある。「あぁ、なるほど、僕はこのウイスキーにベーコンを感じているのだな」と、その時はそう思う訳だ。繰り返すが、僕は今まで「グッチ裕三」を食べたことがない。

こんな時は素直になるべきだ。食べたことがない「グッチ裕三」が浮かんだのなら、そこには理由がある。僕が「グッチ裕三」を感じたのには理由がある。

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グレンアラヒーから、いくつかの1993ボウモアへ。

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IMG_0858_1昨日の「点と線」、「全体と部分」の話の続き。
例えばあるウイスキーを飲んで、あなたは「バニラ、ハチミツ、麦、バター、芳ばしさ」を感じたとしよう。つまり、昨日の話の続きで言うなら、それらは5つの点である。線で結ぶ。すると、どうだろう。それはゆっくりと膨らみ、厚みを持ち、あなたのイメージ中で立体的な像にならないだろうか?例えば僕なら、その立体的になった像のイメージを「クッキーのよう」と感じるだろう。

「バニラ、ハチミツ、麦、バター、芳ばしさ」。それらの各要素を起点に、そのイメージを膨らませると「クッキー」を連想するのはおかしなことではないと思う。

「バニラ、ハチミツ、麦、バター、芳ばしさ」 → 「クッキー」

そのクッキー自体は僕のイメージ中で非常にプレーンなものだ。プレーンであるが故に変化や進化を遂げ易い。例えば、「バニラ、ハチミツ、麦、バター、芳ばしさ」という5つの要素に他の要素を追加してみる。

「バニラ、ハチミツ、麦、バター、芳ばしさ」 + 「チョコレート」(あるいはカカオ)
するとそのイメージは「チョコレート・クッキー」として像を結ぶ。

「バニラ、ハチミツ、麦、バター、芳ばしさ」 + 「生姜」
そうであるなら「ジンジャー・クッキー」をイメージするだろう。

「バニラ、ハチミツ、麦、バター、芳ばしさ」 + 「オレンジ」
であるなら「マーマレードを練りこんだクッキー」を連想するだろう。

ウイスキーから感じるいくつかの要素を個別に扱うことも十分に可能だが、選り分けてまとめてみると違う何かのイメージに膨らむことがある。例えば、小麦粉とハチミツとバターがクッキーになるように。ある種のウイスキーから、焼きたてのクッキーの香ばしさを感じることがある。

ただ、どうだろう。僕らは最初に「個別の要素」から感じているだろうか?

つまり、あるウイスキーの香りに「バニラ、ハチミツ、麦、バター、芳ばしさ」をまずは別々に感じてから、頭の中で組み立てなおしてそれを「クッキー」としているだろうか。グラスを鼻に近付けて、あるいは、ウイスキーを口に含んで、いきなり「あ、クッキーだ」と思うことがあっても、それはおかしなことではないだろう。

クッキーが小麦粉やハチミツやバターからできていることを知らない人がいたなら、あるウイスキーの香りから麦のニュアンスを感じづらいかもしれない。その人は小麦粉やハチミツやバターをイメージできないままクッキーを感じているのかもしれない。原材料を知らないまま、完成品だけを愉しんでいる人は少なくない。つまり、「えっ?ウイスキーって麦からできているんですか?」って人がいるってことでもある。

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もちろん、僕はウイスキーからクッキーを作ってみせようっていう訳ではない。ただ、ウイスキーを愉しみながら、そこに感じたいくつかの要素からクッキーをイメージすることがあるし、いきなりクッキーを感じることもある。そして、時々、唐突に商品名として「オレオ」を思い浮かべたり。

今日の写真は「ボウモア 1993 16Yo / TWA パーフェクト・ドラム(&3R)」。スリー・リバースさんと共同ボトリングのTWA・パーフェクト・ドラムである。最近仕入れたボウモアの中では素直なウイスキーだ。

明日はまた別のボウモアをご紹介したい。そして、クッキーに続いて、パンやケーキの話も。

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グレンアラヒー 1974 35Yo / TWE グリーク・ラベル

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IMG_0651_1先週の金曜日もTWE(ザ・ウイスキー・エクスチェンジ)のギリシャ文字ラベルのロングモーンを紹介した。本日は同じブランドからグレンアラヒー。グレンアラヒーというのもマイナーな蒸留所と思われるかもしれないが、何しろ、この蒸留所からここまで長期熟成のウイスキーが出て来るのも珍しいと思う。

見るからにダーク・シェリーと言った色合い。確かに、この苦味は、このグレンアラヒーの味わいのひとつの特徴になっているが、あからさまに「ひねた」様子のウイスキーではない。実は個人的に、「硫黄っぽい」あるいは、「硝煙臭い」、「ゴム臭い」ウイスキーが得意な方ではない。僕はそこから、「腐った紹興酒」をイメージしてしまって、だから、ちょっと苦手だ(笑)。

そういう意味でこのグレンアラヒーは「腐った紹興酒」系のウイスキーではない。ご安心を。メープルシロップのような甘い香りも出て来る。確かに、そのコクのある甘さを黒糖のように感じることもある。白いお砂糖に比べたら、黒糖に十分にネガティブな「アクっぽさ」を感じる方もいるだろう。だから、そのコクのある甘さを「素直」とは言えない。

例えば、「上白糖のような甘い香り」、「ハチミツのような甘い香り」、「黒糖のような甘い香り」。その3つのうちどれに一番近いかと聞かれたら、「黒糖」に近いと僕は答えるだろう。さて、皆さんにイメージして欲しいのは、そのウイスキーを飲んでみたいと思うかどうか?

ウイスキーの注がれたグラスが目の前にあるのなら、冒険の旅に出てみようというのが僕の考えるウイスキーの愉しみ方だ。僕らはグラスの中から様々なものを感じることができるし、その中のいくつかは、あなたにとっての宝物になるかもしれない。また見つけ出したいと思っているうちに、そのウイスキーのボトルは空になり、また、違うウイスキーから似たようなものを見つけたり。

だから、ウイスキーの愉しみは尽きることがない。

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今日はその宝探しの冒険について、少しだけ話を進めたいと思っている。何が宝物なのだろうってこともあるし、僕とあなたの宝物は違う可能性があるということ。

例えば、このグレンアラヒーから、メープルシロップのような甘い香りを感じたら、あなたは愉しくならないだろうか?その甘さはただ一方的なものだけではなく、このウイスキーにはちょっとした苦味の存在も確認することができる。ビターなチョコレート、あるいは、ローストしたコーヒー豆をそのままかじったような苦味。ただ、いづれにしても、それらには十分な芳ばしさがある。

だから、このウイスキーは単調でなおかつ乱暴に甘いだけのウイスキーではない。甘さと同時に苦味を持ち、その甘さ自体も複雑で、ある種のクセっぽさを感じるかもしれない。メープルシロップのようであったり、チョコレートのようであったり、ラズベリーやあるいはオレンジの皮のようなニュアンスを感じたり。それぞれに個別の複雑な要素が混ざり合い存在している。

IMG_0656_1奥行きや幅。そのような立体感を思うだろう。
ある種の「膨らみ」や「厚み」を感じるかもしれない。
さて、皆様には再び、イメージしていただきたい。

黒糖、チョコレート、メープルシロップ、コーヒー豆、ラズベリー、オレンジの皮、それらの各要素を点だと思ってみる。そして、その点を線で繋いでみる。どうだろう。それはゆっくりと膨らみ、厚みを持ち、あなたのイメージ中で立体的な形で像を結ばないだろうか?

例えば、僕がメープルシロップと思ったものを、あなたはカラメル・ソースと感じるかもしれない。僕がラズベリーと感じたものを、あなたは干しブドウのようと思うかもしれない。僕が避けたいと思うのは、メープルシロップとカラメル・ソースの違いを明らかにしようと、僕とあなたが喧嘩を始めることだ。だから、その違いは(今は)ひとまず、どうでも良いことにしておきたい。

だけど、例えメープルシロップがカラメル・ソースであったとしても(あるいは、ラズベリーが干しブドウであったとしても)、それらの点を線で結んで立体的になった像の形は、実はそんなに変わらない。線で結ばれ立体的な形を持ったそれを全体とするなら、ひとつの点は既に小さな部分でしかなくなっている。つまり、僕とあなたの感じ方の違いは小さいということ。

僕とあなたはこの同じ一杯のウイスキーを、「随分、似たように感じてますね」ということになる。

確かに、そのディティールのちょっとした違いが気になるということは、誰にでもあるかもしれない。しかし、その違いはあくまでも細部(ディティール)である。その全体を「似たように感る」という前提があるなら、その違いは「細かいこと」でしかない。どうだろう?お互いの違いを認識したまま、僕らは仲良くなれるのではないだろうか。

瞳を閉じて、あなたの手を差し出して。
私の胸の鼓動を感じるかしら?
分かる?
同じように感じているの?
私が夢を見ているだけなのかしら?

もう随分昔の流行り唄の歌詞だ。

そう、僕が言いたいのは、自分の大切な人は自分の身の回りのことを自分と同じように感じているのかどうか、人間はそれが永遠に不安な生き物だ。それが不安で、だから、確かめたくなる。そして、人間は自分の大切なものを誰かと分配することがある。時間や空間さえシェアすることがある。だから実は、本当に幸福な人は「独り占め」が苦手だ。

おいしいものを食べた時、大切なあの人のことを思い出して、「一緒に食べられないだろうか?」と思ったことはないだろうか?あるいは「お土産に持って帰れないだろうか?」と。

だから、幸福が現実となるのは、それを誰かと分かち合えた時なのだろう。

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ロングモーン 1990 19Yo / TWE グリーク・ラベル

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IMG_0942_1例えば、虫の名前を覚えたいだけなら、昆虫採集に出掛ける必要はない。近所の図書館で百科事典か図鑑でも眺めれば良いだろう。動物の名前を覚えたいのでも同じこと。森やジャングルに出掛ける必要はない訳だ。動物園ならお手軽にちょっとした臨場感を味わえるだろうが、知識のためだけにというのなら、動物園さえ絶対に必要なものでもないだろう。

知識を手に入れただけで終わりというのなら、ウイスキーだって同じこと。昆虫採集にはそれ自体に意味があるように、ウイスキーだって飲むこと自体に愉しさがある。僕がグラスに注がれたウイスキーを愉しむことを冒険だと思うのは、そこに神秘を見つけることができたり、それが不思議の宝庫であるからだ。

まぁ、つまり、飲まなければ始まらないってこと。

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ウイスキーを愉しむのに必要なものは、「感じる身体」であり、「センス・オブ・ワンダー」なのだと思う。ウイスキーを愉しむのに知識が意味をなさないことがある。感覚を頼りに前へ進もうとすると、僕らを毎日縛っている慣習や既成概念、あるいは無意識のうちに使うロジックなどから解放されていることがある。

僕は時々、ウイスキーを目の前に自分が無力であることを強く思う。
特に、恐らく、その「時間」を思う時に、ウイスキーに圧倒される。
ウイスキーは人間の時間の枠を超えた製造物だと思う。
「今、飲みたい」という欲望を抑えて、「もっと美味しくなるはず」と目論見が勝った。
その目論見がウイスキーを熟成させているという事実に、僕は圧倒される。

「このウイスキーは凄いな」という何かをグラスの中から見つけた時に、僕は解放される。


「レモンキャンディのような」と言われるとおり、柑橘系の酸味と粘っこい甘さが同居したウイスキーだ。涼しげな香りの印象と対照的に、口に含むと奥行きのある甘さが舌の上にずんと乗っかる。意外なほど複雑で、草っぽさやハーブっぽさが心地良く印象的。ゆっくりと重たいハチミツやバニラっぽい側面を前へ押し出し、その堂々とした佇まいにこちらも十分に落ち着く。最後にバターで焼いたフィナンシェのような芳ばしさを放ち、納得し諦めてその一杯を飲み終える。

以前ご紹介した「ロングモーン 1992 17Yo / アデルフィ」の紅茶の飴のような印象と比べると面白い。似たところがあって、まったく違う側面を持っている。

「3杯セット」のご利用が可能です。
他の違う銘柄のウイスキーと合計3杯(ハーフ・ショット)で¥2,000(税込¥2,100)。
1杯当り、¥700(税込)です。


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本日の営業時間のご案内

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久しぶりにジェイズ・バーの営業時間のご案内を。

月曜日から土曜日までは19:00から営業をしております。
日曜と祝日は18:00から営業。

つまり、本日は18:00から営業です。

皆様のご来店をお待ちしております。


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TWA リキッド・ライブラリー 3種

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IMG_0716_1視野の中心にあるものを見えずらいと感じることがある。いや、むしろ、真ん中にあるからこそ見えないことがある。物事をありのままに感じることは難しく、感じたことを表現しようと思うならなおさらのこと。集中や接近が感受性を薄めてしまうことがある。リラックスして一歩引いてみる。深く息を吸い、ゆっくりと吐く。真ん中にあったものを視野の周辺に持って来る。

たくさんの流れ星が降る夜に多くの流れ星を捕まえたいと思うなら、集中して夜空のある一点を見詰め過ぎない方が良いということ。そのある一点に流れ星が現れる可能性は低い。僕らは空が広いことを知るべきだろう。ぼんやりと夜空を眺め、視界の周辺に輝く光が動いたらなら、それを追い掛ければ良い。きっとその方が、一晩でいくつかの流れ星を捕まえることができるだろう。

IMG_0749_1その昔、「探し物は何ですか?」と僕らに問い掛けたのは井上陽水だ。僕らが返事をする前から、「探すのをやめた時、見つかることも良くある話」と忠告をして、だからこそ「踊りましょう」と提案までしてくれた。煮詰まってしまったら、一旦保留にするのも悪くないということ。見つめる鍋は煮えないということでもあるだろう。

例えば、グラスに注がれた一杯のウイスキーを一冊の本だと思うなら、ひとつの物語だと考えるなら、お話は最後まで読まないと分からないことがある。物語の前半で読者の前に提示されたいくつかの謎は、物語の後半にならないと解かれることはないだろう。ほとんどのミステリー小説はそのような構成になっているはずだ。

つまり、物語の前半部分だけを何回も読み直しても謎は解かれることがない。

IMG_0709_1ウイスキーも同じことだ。「分からない」と思ったとしても、そのまま飲んでいれば良い。空気に触れたウイスキーが変化をすることがある。あなたはそこから何かを感じるかもしれないし、そもそもそれは、分かるものではなく感じることなのだ。何かを感じたなら、あなたはきっと「なるほど」と思うはずだ。

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TWA リキッド・ライブラリー 3種

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ジェイズ・バーでは初登場のTWA(ザ・ウイスキー・エージェンシー)のブランド、リキッド・ライブラリーから3種。

ハイランド・パーク 1985 25Yo 
/ 48% バーボン樽 142BOTTLES

ラフロイグ 1998 11Yo
/ 59.6% バーボン樽 

トバモリー 2001 8Yo
/ 60.9% バーボン樽 HEAVILY PEATED

瓶詰総数の表記があるのはハイランド・パークのみ。トバモリーに関しては「HEAVILY PEATED」と注釈が付いている。

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新しいブランドに出会うと、一体彼らはどんな思いでこのブランドを立ち上げたのだろう?と、そんなことを考えてしまう。大袈裟に言うなら、そのブランドのコンセプトということだろうし、人のやることなのだから、少なくともそこには「願い」のようなものはあるのだろうと、そんなことを考えてしまうのが常だ。もちろん、それは、そうやって飲むウイスキーが好きだからということでもある。

IMG_0727_1リキッド・ライブラリー、直訳するなら「液体の書庫」ということだろうか?今回リリースされた3種はそれぞれに、「オークニー・セレクション」、「アイラ・セレクション」、「マル・セレクション」とある。オークニー島とマル島が「アイランズ」としてひと括りにされていないところを見ると、一般的な6つの地域区分より少しは細かい区分をして行こうという意図は見られる。

IMG_0709_1果たして彼らはその書庫を増やして行こうという意図を持つのだろうか。あるいは、思いつきなのか。あるいは、一定のペースで持続することはできなくとも、散発的に何かまた出て来るのだろうか。ラベルの絵柄を見つめるなら、今までのTWAのスタンスとは少し違ったニュアンスを感じる。ひと言で言うなら牧歌的。そこにあるのは「カッコつけてる風」ではない穏やかさ。素朴なスコットランドの田舎の風景。

IMG_0749_1飲んでみて感じるのは素直なおいしさ。裏返すなら、まったく歪(いびつ)ではない。「起伏がない」、あるいは「メリハリがない」。そのように反論されると、僕も「それも一理あるのかもしれない」と納得する部分はある。「でも、おいしいのさ」としか言えない自分が情けなくもある。嫌われることの少ないウイスキーであると胸を張って言えるが、「個性的ではない」といわれる可能性を否定できない。

IMG_0716_1アクを取り過ぎて旨味まで排除してしまったスープ。僕の中にも少し、ちょっとしたネガティブなイメージが湧いて来るけれど、そうそう、話を元に戻そう、これが書庫だというのなら、グラスに注がれた一杯のウイスキーを一冊の本だと思えば良い。ひと言で言うなら、強盗も殺人も起こらないミステリー小説。このウイスキーはそんなウイスキーではないだろうか。

すべての物語では人が殺され、金品が奪われなければならないなどという決まりはない。しみじみと穏やかに進む物語があっても悪くはない。むしろ派手なだけのストーリーに飽き飽きしてしまうことがある。

小粒か大粒かはあなたが判断すれば良い。
僕はただ、粒揃いであるとだけ申し上げておこう。

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グレンゴイン 1972 37Yo / TWA パーフェクト・ドラム

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IMG_0766_1こういう時にカスク・ナンバーの表記がないことを不便だなと思う。同時期に同じ蒸留所、同じヴィンテージ、同じ熟成年数、同じボトラーズから2つのシングル・モルトがリリースされて、もちろん、そのデザインも似ているから混同してしまいがちだ。こんな時に、それぞれのボトルにカスク・ナンバーの表記があれば便利で、僕らはそのカスク・ナンバーを呼び合ってボトルの違いを認識することだろう。

ただ、便利とは都合が良いことに間違いがないが、愉しいかどうかはまた別の話だ。2つのボトルを見比べた時、明らかなその属性の違いは「アルコール度数」ということになるのだろう。ひとつが63.5%でもうひとつが57%である。だから、今のところ、「度数が高い方」、あるいは「度数の低い方」というような区別のされ方をしている。

IMG_0842_1IMG_0848_1ほぼ同じスペックのシングル・モルトが2つあるのだから、混同しないようにしておくことが必要で、「どちらを飲みます?」ということになるのならそれぞれに呼称があったほうが便利だ。「両方飲みます!」ってことだとしても、その区別がつかないなら「どっちがどっちでしたっけ?」ということになってしまう。



昨日くらいから、僕の中でそれぞれの呼び名が決まった。「イチゴジャム」と「イチゴ畑」。アルコール度数の高い方が「ジャム」、低い方が「畑」。アルコール度数の高低だけが呼称だった一昨日までに比べたら、その方がちょっと愉しいかなと思っている。それに、ジャムの方はジャムっぽいし、畑の方は畑っぽい。

華やかで、しなやかで、張りがある。いづれにしてもフルーティ。複雑というより繊細な印象。

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「イチゴジャム」の方は勢いのあるアルコール感が特徴。素直で華やかなフルーツ感が全体を支配しているが、遅れてマンゴーやスモモのような側面が顔を覗かせる。次第に濃いめな甘さを手に入れ、舌の上である種のザラつきを感じ始めるようになると、既にそこにジャムの味わいを思うようになる。長いフィニッシュ。

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「イチゴ畑」の方は「ジャム」の方に比べて素直さが足りない印象。ただ、素直でない分だけ多面的である。「ジャム」に比べてより柑橘系。青りんごっぽさもある。グレープフルーツの皮っぽさ。濃いめのハチミツ。何かのお菓子に使われるようなスパイス。シナモン・パウダー?ただし、少しの加水で非常にクリアになる。振り向きもせずに先へ進むフィニッシュ。長い。

ともに素晴らしいグレンゴイン。

よろしくお願いします。

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グレン・グラント 1973 36Yo / TWA 昆虫ラベル

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IMG_0601_1最近はグレン・グラント流行りだろうか?ジェイズ・バーにもいくつかのグレン・グラントがあって、また、いくつかのグレン・グラントも入荷予定。しかもそれぞれに、そこそこの長期熟成。どちらかと言えば、若年層のグレン・グラントに対しては全般的に評価の辛い僕だけれど、長期熟成のグレン・グラントは大好物。

長期熟成って言ったって色々あるのではある。昨日も少し言ったけど、やはり、僕が気に入ったのはこの暖かさ。いくつかのグレン・グラントを飲み比べて、つくづくそう感じた。

甘い青リンゴ、少しデラウェア。素直で清々しいシェリー樽のイメージ。かつて若かりし頃は、セメダインの芳香を放っていたであろうことを微かに想像させる。口に含んで華やか、複雑で心地良い重たさと飲み応え。芳ばしい焼き芋。スパイシーと言うのには、あまりにもちょうど良過ぎる。重たいハチミツ。熟したバナナ。それぞれに、優しく暖かい。長く続く余韻。メープル・シロップ。

大騒ぎな様子のラベルだと思わないだろうか?獲物の周りに群がる虫たちである。

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どのレベルの生き物にまで感情があるのかを量れるのか分からないが、犬や猫が喜んだり悲しそうに見えたり、僕らは経験的にそのくらいのことは推し量れる。ただ、虫は悲しんだりするのだろうか?と問われるなら「恐らく、虫が涙を流すことはないだろう」と僕らは思っている。秋に鈴虫が鳴いても、それは泣いているのとは違うと。

ただ、そこにはある種の興奮があるのではないだろうか?つまり、獲物の周りに群がる虫たちに、興奮している様子を認められないだろうかということ。感情を持たないかのように見える虫たちも、興奮はするのではないだろうか。獲物に群がる虫たちは慌てた様子に見える。その慌てっぷりの背景にあるのは興奮ではないだろうか。その興奮が虫たちを急いで獲物へと向かわせる。

興奮して慌てて獲物に群がる虫たち。昆虫ラベルのグレン・グラントである。ラベルに描かれたバナナに虫たちが群がる。

興奮とは期待であり、不安であり、予感である。
それは、カタルシスより少し手前、そして、感情の始まりかもしれない。

さて、僕らが虫のことを無視できないのは(洒落ではない)、僕らもウイスキーという獲物に群がるからである。しかも、ある特定のウイスキーの周りに。

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世界中のすべてのバッタが同じ畑に集まったら、その畑の作物は瞬時に喰い尽され枯れてしまう訳だ。情報は美味しい匂いだということ。匂いに惹かれて虫たちが集まる。僕らはそれぞれが、虫のうちのひとりであるという自覚を持つ方が良いだろう。獲物を手に入れたら、「飲もうぜ」とあなたの大切な人に声を掛けるのが良いだろう。

手に入れられたなら安心。もちろん、そこまでは良く分かる。
だけど、それで終了なら、僕らは誰もハッピーじゃない。
その評判のウイスキーは、あなたを感じさせてくれるかどうか?
ウイスキーの愉しみはそこからだ。

よろしくお願いします。

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ギンコーから、いくつかのTWAへ

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IMG_0693_1殺人的な夏という言い回しが、比喩的ではなく事実だった夏も終わろうとしているようだ。昨日、身体が感じたのは「暑くない一日」だった。思うなら、先日の台風は窓を開け切った東京に良い風が吹いてくれた。そんな、空気の入れ替え気分を、そこに暮らす人にもたらしてくれただろう。暑さから逃れられることは歓迎でも、夏が終わることを切なく思う人はいるだろうか?

夏が終わるから涼しくなるのか?
あるいは涼しくなった事実を以って秋が来たと言うのだろうか?
暑い夏の終わりに、人は同じことを続けて二度言ってしまいがちである。

本格的な秋が来る前に、ギンコーのソーダ割なんかどうだろう?というのが僕の提案。夏が終わるのと、涼しくなるのと、ギンコーがなくなるのが同じタイミングなら、きっと今年の夏は記憶に残るものになるのだろう。

まだ暑い盛りに、実はいくつかのTWA(ザ・ウイスキー・エージェンシー)のウイスキーが入荷した。ジェイズ・バーでは初お目見えとなる「リキッド・ライブラリー」のシリーズから「ハイランド・パーク 1985 25Yo」。「トバモリー 2001 8Yo」と「ラフロイグ 1998 11Yo」の3種。どれも、狙い撃ちをされた気分でちょっと悔しい(笑)。もちろん、悔しいというのは好きということだけれど。

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「こういうの好きでしょ」って言われて、肯定する以外に答えがなくて、笑顔になりながら悔しくなってしまう。そんな気分。トバモリーがちょっと面白くて、青海苔のお煎餅みたいなウイスキー。試しにチェイサーを冷たい緑茶にしてみたら、青海苔感がより一層強くなって面白い。ピートのニュアンスはまったく強いレベルではない。むしろ芳ばしい印象があって、なおさらお煎餅っぽい。

「ハイランド・パーク 1985 25Yo」が素晴らしい。ヘザーでハニーでスモーキーで塩味。正真正銘のハイランド・パークといった風。なおかつ、美味しい。

IMG_0610_1実はTWAが一挙に8本入荷して、並ぶと圧巻。中でも、事前情報以外でちょっと個人的に大きな期待をしていたのが「グレン・グラント 1973 36Yo」。予想通り、今の気分にピッタリのウイスキー。正直かなり気に入っている。夏っぽくないという意見には「まったくその通り!」と返事をせざるを得ないが、「いいじゃん、もう夏も終わるんだし」と開き直りたい。

このグレン・グラントはとってもグラマラスな仕上がり。ただ、透明感のある美人とは言えない。失礼を承知で言わせてもらうなら、きらきら光る美人ではないのだ。その代わり、十分に優しく暖かい。その暖かさが心地良く、触れていると安心で、離れると寂しくなる。こういうウイスキーも珍しい。これは評価ではなく、惚れてしまった証拠だ。

「グレン・グラント 1973 36Yo」は「昆虫ラベル」でのリリース。

IMG_0766_1他には「パーフェクト・ドラム」から「グレンゴイン 1972 37Yo」が2本。度数が57%と63.5%の2本。どちらも素晴らしい。

さらに「ボウモア 1993 16Yo」と「ラフロイグ 1989 21Yo」。つまり、「パーフェクト・ドラム」が4本ということになるのだが、ボウモアとラフロイグはしばらく開封しないのでご注意を。

2本の「グレンゴイン 1972 37Yo」はイチゴ。
美しい苺である。

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「リキッド・ライブラリー」から、3本が開封済み
「ハイランド・パーク 1985 25Yo」
「トバモリー 2001 8Yo」
「ラフロイグ 1998 11Yo」

「昆虫ラベル」から、1本が開封済み
「グレン・グラント 1973 36Yo」

「パーフェクト・ドラム」から、2本が開封済み
「グレンゴイン 1972 37Yo」が2本

「ボウモア 1993 16Yo」と「ラフロイグ 1989 21Yo」については、後日お知らせをしたいと思います。

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ギンコー

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IMG_0590_1ギンコーというジャパニーズ・ブレンデッド・モルト・ウイスキーは、とても素晴らしいウイスキーだったと思う。「だったと思う」と文章を過去形にせざるを得ないのは、このウイスキーがどうやら市場から枯れてしまった様子だから。残念だけれど、ジェイズ・バーでもこれが最後の一本になると思う。どこかで見つけられるようなことがあったら、素敵な偶然だろう。

クセっぽい訳ではないけれど、素朴な個性を持っている。飛び切りゴージャスなんて言えないけど、穏やかさをもたらすウイスキー。興奮よりも落ち着きをと思うなら、こんな良いウイスキーはない。綺麗な甘さのあるウイスキーだ。剥いたバナナの皮の裏側みたいな香りがあって、もちろん、それは、完熟バナナとは違う香りだ。

その形を歪(いびつ)にすることで個性的であることを主張するような、乱暴なウイスキーではないと思う。このウイスキーは素直。素直なウイスキーが個性を持っている。僕はこのギンコーのソーダ割りが大好きで、一体このウイスキーを何本仕入れただろうと思うのと同じように、一体ギンコーのソーダ割りを何杯飲んだだろうと、そんなことを思う。

夏の終わりに最後の一本を飲んでもらいたいなと、そう思う。

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「ギンコーをソーダで!」、なんてオーダーされると嬉しい。この素直なウイスキーはソーダで割ると、その軸を乱すことなくきれいな清涼感を手に入れる。ソーダ割りのウイスキーの素材としての優秀さも持っている。僕はソーダで割ったギンコーを美味しいと思う。そして、もちろん、ギンコーのソーダ割りが好きなことを伝えたいと思ってしまう。

伝えたいと思えば、伝わったかどうかが気になる。それが人情というものだろう。そして、気になるのなら「あなたはどう感じますか?」とあなたの大切な人に訊いてみれば良い。ウイスキーの専門書に出ているのが「一般的な正解」で、あなたの大切な人の感想は「代表的な間違い」だろうか?

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あなた自身の感想を含めて、そのうちのどれが正解なのかどうかは、実はあまり重要なことではないと僕は思っている。あえて言うなら、信じたいものを信じれば良いのだと思う。どの道、信じたいものしか信じないんだから。重要なのはその違いを受け入れることで、違いを明らかにして喧嘩を始めることではない。

幸福が現実となるのは、それを誰かと分かち合った時。

僕は本当にその通りだと思う。ひとりだって飲みたい時があるのはまったくその通りだけど、それは必要に迫られて、あるいは、致し方なくということだ。世界のすべてが新鮮だった頃に比べれば、悲しいことに、僕らの日常は何と色褪せてしまったことだろう。だから、僕は時々、自分の中にあるセンス・オブ・ワンダーを確認したくなる。

一杯のウイスキーをグラスに注ぎ、「僕はまだ、感じることができるだろうか?」と自らに問い掛ける。不安な時は心細くて、暗闇の森へ冒険に行くような気分になることがある。だから、時々、誰かに一緒にいて欲しいと思うことがある。

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ボウモア(1994)から、ギンコーへ。

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ひとりだって飲みたい時がある。もちろん、その通りだ。ウイスキーは酩酊とともに覚醒をもたらす酒だと思う。酔いながら頭がクリアになる。ウイスキーはそんな酒だ。だから、ひとりで何かを考えたい時にちょうど良いと思うことがある。もちろん、飲み過ぎれば眠くなるだけで、それ以上なら、二日酔いの心配をしなければならない。ただ、ひとりで飲むことにまるで意味がない訳ではない。

だから、ウイスキーは僕らを酔わせ時に覚醒させる。僕らが注意すべきは独断に陥らないこと。自らのすべきことは他人に押し付けない方が良いし、誰かにして欲しいことがあるなら、正直にお願いをすべきだ。確かに、ウイスキーが僕らに気付きや閃きを与えてくれることがある。だけど、誰かの嘘が見抜けても、大切な人の真実に気付かなければ、あまり意味がないということ。

幸福が現実となるのは、それを誰かと分かち合った時。

ある映画のラスト・シーンでの台詞。僕らはどうしたって、愉しみや感動を大切な誰かと共有したいと思ってしまう。上等で高級で美味しいウイスキーより、大切なあの人と一緒に過ごした夜のどうでも良いウイスキーのことを忘れない。人はそういうものだ。僕はそのことをまったくおかしなことと思わないけど、あなたはどう思うだろう?

何もウイスキーに限ったことではない。僕らは自らの経験した喜びや感動を、誰かと分かち合いたいと思ってしまう。そして、同じものを同じように感じる人、あるいは、その見方が違ってもそれを同じように大切にしてくれる人、そんな人を大切にしようとする。分かち合うとは分配ではない。互いの共鳴を重ね合わせ、増幅させることである。

同じものを同じように感じるかどうかを確かめるために、僕らは「あなたはどう感じますか?と。そう訊ねたくなるのではないだろうか?

自信がないなら試してみれば良い。目の前のウイスキーを、その一杯を愉しもうと思ったら、実は、あなたが「知っていること」にあまり意味はない。あなたがウイスキーを愉しめるかどうかは、あなたがそのウイスキーから何を感じるのかにかかっている。あなたが用意した蘊蓄は、カウンターの隣に座る人を退屈させる可能性がある。

あなたがどんなにウイスキーに詳しくても、それはカウンターの隣に座る人に「話し掛ける権利」を有していることにならない。

ウイスキーを愉しみたいと思うなら、センス・オブ・ワンダーに注目してみると良い。自らの「感じること」を大切にするなら、あなたは意外なほど自分の「感じる身体」が頼りになることを知るだろう。冒険の始まりに地図とコンパスを持たないことに気づいたら、僕らは自分の感性に頼るしかないのだから。ウイスキーそのものが訴えるものに何かを感じるしかないのだから。

ひとつだけ注意を促したいのは、冒険の経験が浅いなら、あまり遠くまで、森の奥深くまで一人で進まないことだ。愉しみを分かち合える誰かと一緒の方が良い。

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本日の営業のお知らせ

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大変恐縮ですが、本日は

本日は10時30分まで貸切での営業となります。


通常の営業も10時30分からとなります。
ご迷惑をお掛けしますが、よろしくお願いします。

来週の日曜日は普段の通り午後6時より開店です。



ボウモア 1994 14Yo / マーレイ・マクダヴィッド ミッション・ゴールド・シリーズ(3)

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センス・オブ・ワンダーという言葉がある。不思議さに気付く感性とでも言ったら良いのだろう。ウイスキーの愉しみの本質は、そこにもあると思わないだろうか。だって、ウイスキーを注いだグラスの中は不思議の宝庫だから。グラスの中から見つけた「何か知っている香り」が、甘いメープル・シロップであることに気付いた瞬間、ウイスキーのトリコになってしまう人がいる。

センス・オブ・ワンダー。正直に言うなら、それは僕が思うウイスキーを愉しむのに一番重要なこと。「知っていること」より「感じること」。僕がそう繰り返してきたのはそういう意味だ。グラスの中が不思議の宝庫なら、僕らがウイスキーを飲む目的のひとつは宝探しの冒険なのだ。それが宝物であることに気付く感性がないなら、僕らは立ち止まることも振り返ることもない。どんなにウイスキーを飲んでも、宝物の前を素通りしてしまうだけだろう。

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知識や既成概念や正確さや思い込み、あえて言うなら、優先順位や効率。どうだろう?せめて、ウイスキーを飲む時間くらいは、そんなものから解放されたらどうだろうか。仕事が終われば、大体のルールから僕らは自由になれる。どこへ行くのも勝手。実際のところ、通勤電車に乗って帰るのをやめて、アラスカに冒険の旅に出ることも不可能ではない。

現実的か非現実的であるのかどうかは別にして、行きたい人は行くのだし、あなたが行かないのだとするなら、それは、行きたくないだけのこと。思慮深い人が本当に行きたいと思ったなら、準備を整えていつか旅に出るのだろう。準備を整えつつアラスカより以上に行きたいところ、あるいは重要な何かが見つかれば、アラスカを諦めて、何か他のことをするだけのこと。

いづれにしても、人は嫌いなことはしない。好きなことしかしない。
あなたに今、「していること」があるなら、それはあなたが好きなことだ。
例えどんなに退屈でも、日々の暮らしが大切だと思い至ったのなら、
それは、とても幸福なことではないだろうか。
好きだから、それをしているのだ。
だって、嫌いならやめることができるのだから。

「ここではない、どこか」、「今ではない、いつか」。現状のすべてを否定して、そう嘆き続ける人もいる。それも、その人の好きなことなのだなと僕は思う。現状のすべてを否定しながら、「ここ」の「今」にいたいのだ。「いつか」「どこか」へ旅立つことは、自分のすべてを否定することになりかねない。人はそうやって、容認できない「ここ」の「今」を安住の地にしてしまうことがある。

さて、話を戻そう。

ウイスキーが好きな僕らにとって非常に幸運なことがある。
僕らの心躍る冒険の旅はアラスカである必要がない。
つまり、ほとんど準備をする必要がないということだ。

どうだろう。
仕事を終えたあなたは通勤電車に乗らずに、今夜どこかのバーに行ってみると良い。

ジェイズ・バーは今夜、何本かのTWAのウイスキーが到着する予定。
つまり、新しい冒険が始まるということ。

よろしくお願いします。

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ボウモア 1994 14Yo / マーレイ・マクダヴィッド ミッション・ゴールド・シリーズ(2)

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ウイスキーを注いだグラスから、僕らが時々チョコレートの香りを見つけることができるのは、そのウイスキーがチャーリーのチョコレート工場で造られているからでも、もちろん、各蒸留所にチャーリーがいるからでもない。それを天使の仕業にできたなら、確かにちょっとロマンチックな話にはなるだろう。天使はその「分け前」を持って行くだけの存在ではないことの証明になる。

ただ、その長い歴史の中で、天使がチョコレートを持って熟成庫に現れたという目撃情報がひとつもないところを見ると、どうやらそれは事実ではなさそうだ。何しろ残念なことに、最近じゃ天使それ自身も見かけなくなって久しいとのこと。

僕らは時々グラスの中からチョコレートの香りを見つけ出す。それは天使の仕業ではない。「何が原因で?」という疑問にお答えするのは避けるが、シェリー樽のウイスキーにそのようなことが多いことを、僕ら経験則として知っている。ただひとつ明らかなのは、製造工程のどこかで誰かがチョコレートを加えた訳ではないということ。

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ウイスキーを注いだグラスからチョコレートの香りがするのは、ウイスキーにチョコレートが加えられたからではない。同じようにグラスの中から「ハチミツ」、「カラメル」、「バニラ」、「メープル・シロップ」を感じることがある。でも、それらが原材料のひとつとしてウイスキーに加えられている訳ではないのだ。ベーコンもハムも鰹節も同様である。

ならば、である。
だとすると、僕らがウイスキーのグラスに鼻を突っ込んで、「チョコレートの香りがする」と言ってしまうのは嘘だろうか?間違いだろうか?いや、せめて、正確性を高めるために「原材料にチョコレートが使われている訳ではないのですが、チョコレートの香りがします」と言うべきだろうか?

よろしくお願いします。

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ボウモア 1994 14Yo / マーレイ・マクダヴィッド ミッション・ゴールド・シリーズ

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IMG_0466_1どうして僕らは、美味しいと感じたウイスキーのことを、誰かに伝えたいと思ってしまうのだろう。言葉が見つからなくてもどかしい思いをしたり、相手の納得しない様子にがっかりしたり。いづれにしても、そんなことよりも伝えたい大切な気持ちはもっとたくさんあるはず。ウイスキーのことばかり考えて、大切なことが伝わらないなら困ったことだが、大切な人とともにウイスキーを愉しむ時間があるなら、その方がよほど大切なことだろう。

一昨日もご紹介したカリラには鰹節や鯖節、あるいはベーコンやハムを感じることがある。いづれにしても全般的に動物系ということだろう。ボウモアはどちらかといえば海藻系。キレイな昆布だしなニュアンスを感じることが多い。潮風も涼しげで軽快。うるさ過ぎないのがありがたい。90年代に入ってからはフルーティな展開を発揮して、なおさら僕の好みに近付いてくれている。

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しっかりと煙たさを感じさせてくれるボウモア。
煙の向こうに魅力的なフルーツの香り。
あえて言うなら、軽く南国フレーバー。
この美しさは上出来。

大切な誰かにウイスキーから感じた何かを伝えたいと思うなら、言葉を増やしたりその正確さを高めようとするよりも、自分の中に生まれたイメージに近付こうとしてみて欲しいというのが僕の考えだ。正確さを失った分だけ具体的でリアルになるかもしれない。その生々しさは、むしろ、誰かの心に、だからこそ、しっかり届くかもしれない。

ウイスキーを飲みながら、あなたの中に何かのイメージが浮かんだら、素直にそのイメージに近付いてみれば良い。見えたものをそのまま言葉にすれば、その手触りまで含めあなたが感じたイメージは、伝えたい誰かに伝わることだろう。

その昔、初めてその香りをウイスキーのグラスに感じた時、それを素直に「チョコレート」と言葉にすることができなかったのは、僕らの思い込みによるものなのかもしれない。「ウイスキーがチョコレートの香りを放つ訳がない」と。

ただ、一度ウイスキーの香りに「チョコレート」が存在する可能性があることを認められると、その次は「ハチミツ」、「カラメル」、「バニラ」、「メープル・シロップ」と、僕らは自ら言葉を獲得し始める。まるで自由を獲得したかのように。自由が解放を意味するなら、僕らは手に入れたものによって解き放たれる。

手に入れた自由のおかげで、僕らはなおさら自分の中に生まれたイメージに近付くことが可能になるだろう。軽やかさを手に入れた僕らは、曇りガラスの向こうで揺れる何かに、モザイクの掛かったそのイメージに、今までよりも一層近付くことが可能になるだろう。

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クライヌリッシュ 1998 12Yo / ダグラス・マクギボン プロヴェナンス

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IMG_0408_1クライヌリッシュという蒸留所は知名度も高く、人気蒸留所のひとつと言って良いだろう。お客さんに指名されることも多い蒸留所で、だから、棚には何本か置いておきたい蒸留所である。今見たら、ジェイズ・バーには6本のクライヌリッシュがあって、これが7本目。ちょうど良いくらいの数だ。もうすぐなくなりそうなクライヌリッシュもあって、やがて、まだ見ぬ新たなクライヌリッシュと出会うことになるのだろう。

当然その中身が入れ替わりながら、常に6,7種類程度のクライヌリッシュ。現在のジェイズ・バーにとっては適切なレベルの在庫と思う。昨年の暮れくらいから、毎月1本以上は定期的なリリースがあって、非常にありがたい状況が続いている。そのくらい豊富に市場に対してデリバリーが続くと、時々見送る商品がある。実はこのクライヌリッシュも、そのうちのひとつ。

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ちょうど昨年の今頃は市場からクライヌリッシュが枯れていて、まんじりとしない夜を過ごしたものだ。読売巨人軍の快進撃の背景に、実は、クライヌリッシュが密接に絡み合っている。とか、イチローが200本安打を達成するまでは、新たなクライヌリッシュのリリースはないらしい。とか、まぁくだらないと言えば下らない冗談を言って気を紛らわせていた。

陰謀かあるいは謀略か、そんなことは良く分からないが、そこにはある種の意図があるのだろうかと思うことはある。例えば一時期、各社からリリースが重なったローズバンクなどは、最近は新しいリリースを聞かない。足りないという思いを起点に、欲しいと言う自覚が生まれることがある。そして、喉が乾き過ぎると、人は時々あまりおいしくない水を飲んでしまうことがある。

このクライヌリッシュが「おいしい水」であることは、改めて申し上げておきたい。
誤解なきように(笑)。

IMG_0460_1どちらかと言えば、熟成年数が10年代くらいの若い目なおいしいクライヌリッシュに、「ハチミツレモンの塩飴」をイメージすることが多い。そういう意味に置いて、このクライヌリッシュに「ハチミツレモンの塩飴」を感じる。つまり、それはこのクライヌリッシュがおいしい証拠である。

IMG_0430_1一方、おいしくないクライヌリッシュには「漁船のオイル」、あるいは「海面に浮いたガソリン」をイメージすることが多い。そういう意味に置いて、このクライヌリッシュに「漁船のオイル」、あるいは「海面に浮いたガソリン」を感じない。つまり、それはこのクライヌリッシュにおいしくない証拠が少ない証拠である。

上記のふたつの証拠は非常に個人的なものである。

さらに個人的見解を申し上げるなら、98ヴィンテージ以降クライヌリッシュはおいしくなるのではないか。まぁ、それは、個人的見解というより希望的観測と申し上げる方が良いかもしれない。

どうにも気になって、この「クライヌリッシュ 1998 12Yo / ダグラス・マクギボン プロヴェナンス」を仕入れたのだ。八重洲のハセガワさんにはまだ在庫がある様子。

よろしくお願いします。

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カリラ 1995 15Yo / ウィリアム・ケイデンヘッド

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IMG_0218_1先週の金曜は長熟のカリラをご紹介したばかり。本日は15年物のカリラ。中堅どころと言って良い程度の熟成年数だろう。若手と言えるほどのこともなく、ベテランには達していない。自らの意思で熟練に至らぬところを演出して見せたり、僅かながらのやんちゃぶりをアピールしてみたり。まだまだ何かと忙しい。人で言うなら30も過ぎたくらいのところか。

そんな印象のあるカリラである。

「どうにも自分のことが上手に好きになれないんです」。
その30過ぎの青年は俯き加減で打ち明けるように僕にそう言った。終電に近い時刻、ちょうどお客さんの切れた時間。

「別に自分なんか好きならんで良いさ。お前を大事にしてくれる人を好きになれ」。
僕はそう返事をした。自分の中を掘り下げて行っても迷子になってしまうばかりで、答えが見つからないことがある。むしろ、答えなんか見つからなくても、うまくやれれるならその方がよほど良い。

何しろ、大事にされる自分がイメージできないのなら、自分のことなど好きになれるはずもない。社会正義について考え過ぎない方が良いことがある。自分の中の悪を裁きたくなってしまうから。悪いところをなくしても、良くならないことがある。そんなことより、日々の暮らしの方が大切だ。毎日は周りの人に支えられている部分が大半だ。

「お前のことが好きな人は、お前の周りにしかいないよ」。
だって、世界中のほとんどの人はお前のことを知らないから。
知らない人を相手にしても仕方がない。
「お前を大事にしてくれる人を好きになれ」。

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僕に言わせるなら、典型的な「節系」カリラだ。鰹節、あるいは鯖節。動物系ではあるが、ハムとかベーコンとか肉っぽい印象は少ない。しっかりした凝縮感は適切な飲み応えに繋がっており、丁寧にダシをひいた濃いめの味付けのお吸い物のよう。当然のごとく、ピーティという言い方に間違いはないと思うが、スパイシーに過ぎると言うほどのことはない。

むしろ、ちょっとした瑞々しいフルーティささえ感じる。その全体を見て「爽やか」と表現したら誤解を受けるだろうが、その一部の僅かな側面に「爽やか」が散りばめられている。この暑い夏には少しありがたい。

夏は海だな。

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カリラ 1981 29Yo / ダンカン・テイラー ピアレス・コレクション

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IMG_0161-1日々のスケジュールから解放されて、むしろ規則正しく暮らしている人がいる。諦めて頑張るのをやめたら、毎朝同じ時間に目が覚める。食事をしてトイレに行きスッキリする。その後その日は、したいことをして、したくないことをしない。つまり、不愉快なことはしないのだそうだ。「そんな風で生きて行ける訳がない」と、かつては本人も思っていたらしい。

ところが、今は「何不自由なく暮らしている」そうだ。その人なりに「生きるために必要なものは何か」ということと、「どのようにそれを手に入れるか」を真剣に考えて、それなりの結論が出たから「まぁ、それでも穏やかに暮らして行けるんだよ」とのことだ。長く生きた分だけ可能性を失って、「だからこそ、未来は予定通り」とその人は笑った。

その人の人生のリスタートに大きな喪失感があったことを僕は憶えている。「それでも人生は続いて行くよ」と、僕は震える声でそう伝えて、その人は絶望の中に希望を見つけた。沈む夕日を眺める人のすべてが、人生を諦めているのではないのと同じように、ウイスキーを飲んで溜息を吐いている人のすべてが、人生に絶望してそのままでいる訳ではない。

「ここではない、どこか」、「今ではない、いつか」。
そう呟いて人生を右往左往したままの人もいる。

どこにも辿り着かず、何も見つからないと嘆いている。今にも噛み付きそうなその人に比べたら、その穏やかな人はまったく攻撃的ではない。そのことを指して、それこそが熟成の証というのなら、人もまたウイスキーと同じことかもしれない。同じ時間を熟成庫で過ごしたからといって、すべての樽が成熟する訳ではない。

それこそが人の個性であり、樽ごとに個性が存在するのもまたウイスキーである。
ひとり一人の人が違うように、樽が違えばウイスキーも違うように成長する。
良くも悪くも、それもウイスキーの魅力だ。

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若ければ十分に攻撃的であったことが想像できるこのカリラも、29年という熟成期間を経て十分な穏やかさを手に入れ枯れていない。このウイスキーは将来の可能性を求めて足掻いてはいない。自らの個性を十分に知った上で、誰に対しても友好的である。だから当然、いきなり飛び掛ってくるようなカリラが好きな方には物足りない。

ひと言で言うなら、伸びのあるハチミツのような甘さが特徴。もちろん、カリラらしいニュアンスは十分に存在する。そして、それらのすべてがバランスしている。僕の説明よりも、あなた自身が触れてみることをお薦めする。紳士的なカリラは必要ないだろうか。すべてのカリラは乱暴者であるべきだろうか。どのような紳士であるかは、あなたが確かめれば良い。

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グレンリベット 1987 22Yo / ダンカン・テイラー オクタブ

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IMG_0283小樽でフィニッシュをかけたウイスキー。オクタブの登場である。このラベルにもぼちぼち皆様見慣れて来た頃だろうか。22年熟成にして、なかなか濃い色に仕上がったウイスキーである。小樽であるが故の少数精鋭、今回は瓶詰総数73本とのことだ。小樽には何か意味があるのかと、ジェイズ・バーでもそんな話になることがあるけれど、今回は「意味あり」とそう感じた。

と、ここまで書いてふと思ったが「小樽」は容量が50Lほどの小さな樽のことであり、「コダル」と読んでいただきたい。地名の小樽(おたる)のことではない。わざわざ北海道の小樽まで樽を持って来て熟成させても、あまり意味はないと思う。

全般的にグレンリベット蒸留所のウイスキーが好きだ。個人的な好みに合致しているのだろうけど、さまざまなグレンリベットを飲んで来たが、それぞれその値段なりに美味しいと感じることが多い。華やかでバランスを崩すことがなく柑橘系フルーティ。概ねそんな印象で、そこから大きく外れない限り安心感を持って愉しめる。

実のところ、僕はグレンリベットには意外性を求めていはいないのだろう。予定調和をなぞるような快楽を求めているのだと思う。柑橘系フルーティを軸にした蒸留所と考えているが、僕の認識の中で上質なグレンリベットはオレンジが熟して行くイメージ。美味しいと思うグレンリベットであれば、さらに熟したオレンジに近づく。

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逆に、あまり美味しいと思わないグレンリベットは、よりそのフルーティさがレモンに近くなるイメージ。より酸っぱさを増し、甘みが薄まって行くイメージ。だから、グレンリベットを飲む時には、どうしてもオレンジを探してしまう。オレンジをどの程度感じるか?あるいは、その酸味は残念なことにレモンに近いか?ありがたいことにそのオレンジは熟しているか?

もちろん、そこから外れるグレンリベットもあるけれど、グレンリベットを飲む時にはまずオレンジを探すことが常になっている。このオクタブのグレンリベットにも、当然のようにオレンジは存在していて、「十分なほど上質に」とは言えないけれど、美味しいと言えるほどには熟している。少なくとも(間違いなく)酸っぱいレモンのような柑橘系フルーティではない。

グレンリベットからオレンジを見つけると僕は安心する。それが、熟していればいるほどお気に入りということにはなる。だけど、このオクタブには「オレンジが熟した結果得られた甘み」とは違う甘さを感じるような気がする。「オレンジに蜂蜜を掛けたような甘み」と言ったら良いだろうか。

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もちろん、それは、僕の憶測の域を出ないが、その「オレンジに蜂蜜を掛けたような甘み」が、オクタブの(つまり小樽の)意味なのではないかと、そんなことを想像している。もちろん、事の真偽は定かではないが。まぁ、あまりにも勝手な言い分なので、イメージの中で勝手に遊んでいると思ってもらって構わない。

そんなことより、最近はどうにも本を読む気にならなくて、自分ではそれを暑さのせいにしていたのだが、本当の理由が分かって愕然としている。よくよく考えてみると、「老眼で文字を追いかけるのがつらいから」というのが最近の読書離れの理由だ。気付けば対策を講じざるを得ないが、世の中には知りたくない真実というものがある。

その一般的で代表的なものが老眼の自覚なのかもしれない。
そして、もうひとつ、グレンリベットとオレンジと蜂蜜とオクタブの関連性なのかもしれない。

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ベンリアック 1985 24Yo / スリー・リバース ザ・ダンス

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IMG_0345とても素敵なラベルだと思う。暑い夏にちょっぴり涼しさを感じさせてくれるデザインだ。眩いばかりに溢れる光の中、褐色の肌の女性が黒髪を揺らせて踊っている。表情が窺い知れない。骨格と筋肉の付き方もイメージの中にしか存在しないが、恐らく、このひとは鎖骨美人だと、勝手にそんなことを思っている。

彼女は艶かしい腰つきで踊っている。僕はジェイズ・バーのカウンターで飲んでいる。その妖艶さとは対照的なラベルの地の白の明るさ、その明るさともまた対照的な街のバーのカウンターの陰。それらはルーレットのように回転するけれど、どんな時も明るい場所で踊る妖艶な彼女のコマでストップする。

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僕の居場所と彼女の住む場所には大きな隔たりがあるのだな。どんなに杯を重ねても、ラベルの中の彼女の背景は夕日に染まることはないようだ。日が暮れることがないのなら、僕らは日が暮れる場所に戻って来た方が良いのだろう。ところで彼女はどんな場所で踊っているのだろう?砂浜に立つのだろうか。

IMG_0362-13R(スリー・リバース)さんの「ザ・ダンス」シリーズは、(すべて大粒というほどではないにしろ)粒揃いの名作と思う。共通した特徴や傾向があるとするなら、それは、ある種の躍動感ではないだろうか。グラスを鼻に近付けた時、あるいはウイスキーをゆっくりと口の中に流し込んだ時、このウイスキーは波を作る。

ピークとアンダー・ピーク。このウイスキーにそのブレ幅の上限と下限を感じることがあって、それが一定の間隔でやって来るなら、その上限と下限はリズムを刻む。繰り返されるそのリズムは、やがて大きな躍動感を生むようになる。

ベースとなるそのテンポに、伸びの良さやしなやかさが絡まる。軽快でライトな印象を与えることもあるだろうが、その中身が十分にある。刻まれるリズム、そこに感じるダイナミズムにこのウイスキーのヴァイタリティを思う。ウイスキーは命の水である。

素直な伸びのあるウイスキー。涼しげだがしなやかで力強い。桃のような香り、梨のような瑞々しい香り。次第にマンゴーのような甘さを持ち始め、その後バニラの香りを十分に(そこかしこに)展開させ、気付かぬうちに甘い蜂蜜の香りを伴うようになる。すべての人にとって、そのすべてが気に入るかどうかは分からない。

ただ、ほとんどの人が、そのどこかを必ず好きになるであろうウイスキー。

「3杯セット」のご利用が可能です。
他の違う銘柄のウイスキーと合計3杯(ハーフ・ショット)で¥2,000(税込¥2,100)。
1杯当り、¥700(税込)です。


よろしくお願いします。

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