モルト侍

池袋のショット・バー、ジェイズバーのバーテンダーが、大好きなシングル・モルトを斬る。

2015年06月

ディーンストーン 1996 - 2014 18Yo / ハウス・オブ・マクダフ ゴールデン・カスク

デザイン一新のゴールデン・カスクであります。

長らく見慣れたデザインが変更されると、まぁちょっとした違和感がありますが、そのうちに慣れるのでありましょう。素直な感想は「ちょいとカッコ良くなり過ぎかな」という感じでありますな。

ボトルの形はマーレイ・マクダヴィットのミッション・シリーズと同型。厚底で背の高いボトルであります。

リリース数の少ないディーンストンでありましょう。記憶の限りでは、ちょうど一年ほど前にスモール・バッチの94ディーンストーンを仕入れたことがある。それ以来かな。

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個人的には90年代以降の蒸留に期待する蒸留所のひとつ。出ればまた追い掛けてしまうことだろう。このウイスキーに関しては期待以上ではなかったかな(笑)。

一年前のスモール・バッチの94に比べると、フルーティさが特徴なディーンストン。こちらにもスパイシーは存在するが、スモール・バッチの方がスパイシーとハーブのニュアンスが勝っていたと思う。

微かに南国系フルーティを感じるが、基本モルティ。オーツ麦とハチミツのクッキーにパイナップルのドライフルーツが練り込んである。次第にフルーティさと入れ替わりにウッディ。遅れて小さなバニラ。口に含んで、麦芽の甘みと大根おろし系スパイシー。微かにホットな唐辛子。鼻抜けの良さと麦の甘さが残るフィニッシュ。

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ディーンストーン 1996 - 2014 18Yo
ハウス・オブ・マクダフ / ゴールデン・カスク
Cask No.CM208 , 278bottles , 54%

「3杯セット」のご利用が可能です。
他の違う銘柄のウイスキーと合計3杯(ハーフ・ショット)で¥2,000(税込¥2,160)。
1杯当り、¥720(税込)です。

発注・入荷・リリース情報はジェイズ・バーのFacebookページ
池袋でシングル・モルト・ウイスキーを!

インペリアル 1996 -2013 / G&M エクスクルーシヴ for JIS

ウイスキーを愉しんで飲むという行為は、鍵を開けることのようだと思うことがある。僕らは皆んな鍵を持っていて、それに合う鍵穴を捜している。

暗闇で鍵を開けるのは難しい。僕らは大抵利き手に鍵を持ち、左手はノブを掴むだろうか。そして、「恐らくはこの辺かな」と、利き手に持った鍵の先で鍵穴を探る。

しばらくの時間、僕らは鍵穴を探り「あ、これだな」というところを見つけて鍵穴に鍵を差し込む。差し込んだ鍵をゆっくりと廻して「ガチャリ」と鍵は開け放たれる。

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暗闇で鍵を開けるのに一撃必殺なんてことが起こることはまずない。大概は何度かのチャレンジが必要だ。例えそれが、毎日開ける自宅のドアであっても。

だけど、その鍵穴を探り当てた瞬間の「あ、これだな」という感覚は何だろう?とても言葉にするのが難しい感覚だ。

例えば3歳の子供なら、明るい場所でも鍵を開けるのは難しい。「鍵と鍵穴」という概念を理解していないだろうし、大人の真似をして何となく似たように振舞ってみたところで、「あ、これだな」と鍵穴を見つけ出すのは難しい。

ウイスキーを飲んで美味しいと思う瞬間、僕は「あ、鍵が開けられたな」と思うことがある。開け放たれ、解き放たれ、いづれにしても開放であり解放である。でも、鍵が開いた時のあの心地良さの正体は何だろう。

ウイスキーが鍵穴で、僕は「自分の好み」という鍵を持って扉の前に立っている。
でも、だけど、鍵と鍵穴に相性があるように、自分の好みとウイスキーのあり方にも相性がある。

ウイスキーを愉しむというのは、大人だけに与えられた特権である。だから、ウイスキーを愉しむのに「鍵と鍵穴」という概念を理解することと、「あ、これだな」という感覚を身に付けることは重要なのだと思う。

「あ、これだな」という感覚はいくらかウイスキーを飲んでみないと身につかない感覚だ。僕は長らくそれを「感じる身体」と表現して来たけれど。

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鍵穴の種類だけ鍵がある。開けられない扉があるなら、鍵の種類を変えれば良い。鍵穴は鍵に合わせて形を変えてくれることはないのだから。何度も鍵を変えても開けられない扉があるなら、それは、まだあなたがその鍵を持っていないということ。

と、かつては思って来たけれど。

僕は長らく、ウイスキーを前に悪戦苦闘して来た。それを理解したかったから。ウイスキーを錠前に喩え、それを開けて見せようと必死だったのだと思う。そして、次第に一端(いっぱし)の鍵師のつもりになっていたのだと思う。

確かに、それまでの孤軍奮闘、悪戦苦闘ぶりを思えば、自分のことながら、まぁその気持ちは分らないではない。

でも、ある時ふと気が付いた。ウイスキーは錠前ではない。ウイスキーの方こそ鍵なのだ。飲み手の心の扉には鍵が掛かっていて、それを開ける鍵がウイスキーなのだということに気付いた。

ウイスキーは「Whiskey」と書くことがある。
そこには「KEY」(鍵)を意味する言葉が含まれている。

洋梨と微かにリンゴ。檜の板の上に乗せたパイナップル。麦芽の甘い香り。遅れてバニラ。口に含んで、麦芽の甘さとジンジャー系スパイシー。香草の苦味。弱いウッディ。切れ上がりの良いフィニッシュ。

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インペリアル 1996 -2013
G&M エクスクルーシヴ for JIS
Refill Sherry Hogshead , Cask No.5604 , 220bottles , 59,3%

「3杯セット」のご利用が可能です。
他の違う銘柄のウイスキーと合計3杯(ハーフ・ショット)で¥2,000(税込¥2,160)。
1杯当り、¥720(税込)です。

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池袋でシングル・モルト・ウイスキーを!

秩父 2008 - 2015 / OB for MDC

いやいや、続く時は続くものでありますな。ある意味まさかの、当然ながら偶然に手に入れた秩父のウイスキー。

蒸留が2008年、瓶詰めが今年5月末でありますが、恐らく熟成は6年半程度ということでありましょう。まぁ、ごく当たり前に考えるなら、現在瓶詰めされた状態の秩父のシングル・モルトの中で「最長熟ウイスキー」ということでありますな。

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2008年原酒というと、我々の「秩父・ウイスキー・カウンシル」があり、池袋ジェイズ・バーでも絶賛販売中であります。カスク Noも遠くない。

ついでに、アレも出してしまおうか?なんて少しばかり考えてしまいますが、まぁ、落ち着いてからにした方が良いでしょうな。何しろ、ここ最近の秩父連続入荷でテンションが上がり過ぎであります。

抜栓したてで、まだちょいと落ち着きがありませんが、これライチが出て来そうな予感があります。詳細なテイスティング・ノートはそのうち(機会があれば)。

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秩父 2008 - 2015
OB for MDC
Bourbon Barrel , Cask No.181 , 3bottles , 61.9%

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池袋でシングル・モルト・ウイスキーを!

アラン 1997 16Yo / OB for ラ・メゾン・ドゥ・ウイスキー

昨夜に続き、今夜もアラン。フランスはラ・メゾン・ドゥ・ウイスキー向けのボトリングであります。

20周年記念の7年熟成に比べても、こちらは97ヴィンテージで16年熟成。アランとしては円熟の逸品でありましょう。

バランスの良いシェリー・カスク。程よく度数も落ちて、艶やかな甘さを快適に愉しめる。刺激の強さを愉しいと思うこともあるが、そればかりでも疲れるという時にこんなウイスキーは丁度良い。

ローストしたコーヒー豆やカカオの甘く香ばしい香りが印象的。食後の甘過ぎないデザートの代わりにこんなウイスキーは丁度良い。

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個人的に、食事中にはあまりウイスキーはやらない方だ。空腹が満たされて、デザートの代わりにいくつかウイスキーを愉しめる時間が好きだ。

大勢で賑やかに過ごすのも悪くない。でも、ひとりでいてもウイスキーがあればありがたい。
このアランは1997年4月17日に生まれて、ちなみに、その年はイギリスから香港が返還された年で、ダイアナ妃がパリで事故死をした年。

ひとりでウイスキーを飲んでいる時、ボトルに刻まれた蒸留年月日を見る時、僕のイメージがその時代にフォーカスしてしまうことがある。

言えなかったいくつかの「ありがとう」を思い出し、また同様の「ごめんなさい」を思い出し、このウイスキーは僕のそれらの時代を飲み込んで、そのウイスキーを僕が飲み込んでいる。

甘く香ばしいかりんとうの香り。洋梨とアンズ。微かにジャムっぽい。ローストしたコーヒー豆とカカオ。バジルに近い香草。口に含んで、何も邪魔をしない飲み心地。多種多彩ではあるけれど何かに特定することが難しいフルーツ感。素敵。ゆっくりと時間を掛けてクリームとバナナ。滑らかに消えて行くフィニッシュ。

そして、このウイスキーは僕に優しい。

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アラン 1997 16Yo
OB for ラ・メゾン・ドゥ・ウイスキー
Sherry Hogshead , Cask No.1997/533 , 246bottles , 48.8%

アラン 2007 7Yo OB 20周年記念

ラフロイグやアードベッグが200周年を迎えるなか、こちらのアランは20周年であります。ちなみに池袋ジェイズ・バーは21周年を迎えまして、200年には敵わないものの、アランよりは先輩なのであります。

大勢の諸先輩からすれば、創業20年の蒸留所なんてのはまだまだ小僧扱いということでありましょう。でも、1995年のあの頃、この新しい蒸留所が稼働を始めるニュースは、僕にとって非常にテンションの上がるできごとだった。

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確かに、「何となくウイスキーを飲んでる人」ってのはたくさんいて、でも、興味や関心がそこに向く人は少なかったのですな。「スコットランドに新しい蒸留所ができたんですよ」なんて話を振っても盛り上がることがない。

「ふーん、それで?」ってな感じで、一緒に興奮できる人なんてのは皆無。まぁ、切ない思いをしたものです。最近なら2008年に秩父蒸留所ができて、その時は喜びを分かち合える人はたくさんいたけど、1995年当時はねぇ。という感じでありましたな。

とても不確かで、僕は心細かったけど、でも、これからウイスキーの時代が来るんじゃないか?(不安だけど)と思っておりました。だから、この20年前の新しい蒸留所のニュースは、僕の中で希望の光だったのであります。

当時の僕の不安の中、アラン蒸留所の創業のニュースはウイスキーの未来が明るいことを、より確かにしてくれるはずのニュースでした。

90年代の後半に、アランのスピリッツがウイスキーになる前、熟成3年未満のものがいくつか出て来たのを覚えている。「勝手に応援団長」な気分だった僕は、当然それを買うことになるのだけれどね。
すみません。最初に謝っておくけれど、それが本当に駄目だった。

本当にすみません。美味しくないと思った。

僕の中での「希望の光」とその味わいとのギャップは激しく、グラスを持って立ち上がり、自分のつま先を見つめ30分くらい動けなくなった。

「これはお客さんに出せないのではないか?」と思ったのをよく覚えている。希望の光は流れ星のように何処かへ消えて行った。消えた流れ星の行方を気に掛けることなく、しばらく僕はアラン蒸留所のウイスキーを封印した。

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今思えば、自分勝手なだけの話であることは認識できる。ただ、当時、僕の期待は大き過ぎて、その落胆の大きさに耐えられないでいたのだろう。

長いこと僕はアランを飲まずに過ごして来た。でも、5,6年前くらいからだろうか、いくらかアランの良い評判も聴こえ始めて、まぁ、少しは気にしてみようかな。なんて思い始めるようになった。

僕のアランに対する評価を著しく変更することになるきっかけとなったのは、3年前の夏に飲んだ「95 TWA&ネクター」のアラン。これを飲んで、長いことアランを冷たく扱って来たことを自ら恥じた。
僕はアランに謝罪し反省し、そして、アランも僕を快く許してくれて(と思っている)、以来、僕とアランは大の仲良しになった。

今夜も話が長くなってしまったが、テイスティング・ノートは短めに。

しっかり塩味。麦芽とバニラの甘さ。オレンジ・ピール。若干オイリー。ゆっくりとクリーミィ。ホワイト・チョコレート。バジル。

20周年記念にこの7年物のアラン。
低価格路線継続、ということでありますな。

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アラン 2007 7Yo
OB 20周年記念
Bourbon Barrel , Cask No.2007/659 , 250bottles , 59%

「3杯セット」のご利用が可能です。
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ストラスミル 1975 - 2013 / モルツ・オブ・スコットランド

数々の名作を世に送り出して来た1975ヴィンテージのストラスミルであります。瓶詰が2013年10月とありまして、まぁ、比較的最近のことでありますな。

さてさて、これから先、いったい如何程の75ストラスミルが世に出て来るのでありましょう。

最近は世の中のウイスキーに対する興味と関心が高まっているようであります。長らくウイスキーを飲んでいる身としては隔世の感あり、でありますな。まぁ何よりそれは嬉しいこと。一緒に愉しめる人が増えるのでありますから。

ウイスキーを愉しみ始めてまだ日が浅いなんて人にもご来店いただいておりまして、そんな人たちは大概「もっと早くからウイスキーを飲んでいれば良かった」などと呟くことが多いようであります。

まぁ気持ちは良く分かります。10年ほどもウイスキーを愉しんで来た方なら、「妥当な価格で、今となっては希少なヴィンテージの、なかなか美味しいウイスキーを愉しめた良い時期があった」という思い出を持っている。

その好機を逃したとの思いが「もっと早くからウイスキーを飲んでいれば良かった」との嘆きに繋がるのでありますな。

現在は原酒の高騰と為替の変動とに翻弄される、我々ウイスキー飲みということであります。でもその現在の不幸は、10年前からウイスキーを飲んでいる方にとっても同じこと。

モノが少なくなって、欲しいヒトが増えれば相場は上がる。それは、円もドルもポンドもウイスキーも同じこと。

ただ、日本のウイスキーの上がりっぷりには不自然なものを感じますが、上がったものは下がりますし、下がったものは上がるでしょう。すべては自然に帰る訳で、では不自然に相場を上げているのは誰なのかということであります。

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若い人たちがウイスキーに興味を持ってくれることはありがたいこと。それは、ウイスキーに未来があることの証である。飲み手不在ではウイスキーを造ろうと思う人たちもいなくなりますな。

2015年の今、華やかに熟成30年を迎える、80年代のウイスキーを飲む機会の少ないことも、僕らの不幸のひとつなのかもしれない。「最近ウイスキーを始めた」人たちは、そのことも嘆いていて、「10年前からウイスキーを飲んでいる」人たちは、その部分について少しは間に合ったと思っている。

「最近ウイスキーを始めた」人たちに僕が言いたいのは、「あと10年経てば、90年代のウイスキーが華やかに熟成30年を迎える時代が来るよ」ということ。そして、これからもウイスキーを愉しみ続けること。

あなた達が「10年前からウイスキーを飲んでいる」人たちを羨ましがるように、そして頼りにもしているように、10年後にはあなた達が羨ましがられ、頼りにされる時代が来るのだから。

2000年に生まれて、今15歳の子供達は2015年の今、ウイスキーを愉しむことができない。だけど、10年後に彼らの中の幾人かはウイスキーを愉しむようになり、その時に、頼りになる人を必要とするだろう。

「最近ウイスキーを始めた」人たちの中の幾人かが、そんな役割を引き受けてくれたなら、僕はとても嬉しいことだと思う。

とても美しいハチミツの香り。素直で柔らかく、嫌味がなく刺激的に過ぎない。華やかで少し艶っぽく、遅れて出て来る穀物の甘さとバニラ。草原の土の香り。素朴な田舎のクッキー。分析するより豊富に湧き出るイメージを愉しむべきウイスキー。「製材されたもの」ではなく「大地に根を張る」大樹。微かにメープル。口に含んで、繊細で刺激的。程よく根菜系スパイシー。基本的にあっさり。ただし、鼻抜けよし。漢方薬。削られて残った微かな麦の甘み。

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ストラスミル 1975 -2013
モルツ・オブ・スコットランド
Bourbon Hogshead , Cask No.MoS13047 , 112bottles , 42.1%

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宮城峡 12Yo OB / フルーティ & リッチ

こののところ、ジャパニーズ・ウイスキーの入荷がボリュームを増している池袋ジェイズ・バーの店主です。

今の場所に移転してから3年半ほどになりまして、まぁ、駅前繁華街という立地でありますから、ふらりと来店するお客さんも多くなりました。たまには外人さんも来るようになり、そんな方のお目当ては大概ジャパニーズ・ウイスキー。

情報として流通する「海外でのジャパニーズ・ウイスキーに対する評価」ってのは理解の中にはあるけれど、カウンター越しに直接コミュニケーションが発生すると、それを体感することになりますな。

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長らくバーテンダーという仕事をしておりますが、例えば、25年ほど前に比べると、外国人の日本に対する興味や関心が高まっているのを実感するのであります。それは、こちら側に対するリスペクトとして現れる。

どんな場合でも、過剰に卑屈になることはないけれど、相手と上手くやるには丁寧なコミュニケーションを心掛けること。「あなたが大切にしていることを、私は丁寧に扱います」と伝えることだと思っている。

最近はそれを心得ている外人さんが多くなったと思うのであります。昔の話になりますが、お客さんに深々と頭を下げる僕を指差して、笑い転げる外人さんなんてのもいましたな。

笑うだけではなく、立ち上がり同席する彼の友人に向かってお辞儀をする真似を繰り返し、笑いを取ろうとする輩もおりまして、まぁ当然ながら失礼なヤツだなと思ったものであります。

つまりは最近は、そういう輩はいなくなったなぁと。それどころか、帰り際にお辞儀をしていく外人さんも増えました。日本には「お辞儀という習慣」があって、自分が日本に行くなら「自分もそれをやってみよう」ということでありましょう。

奪い合うより譲り合う社会の方が生きやすいのは確かでしょう。「頭を下げる」というのは、「自分の視界から相手を消す」ということであります。

奪い合うことが前提の社会なら、常に相手を警戒する必要があり、相手を自分の視界から消してしまうのは危険なことでしょう。だから、「自ら無防備になろうとする」日本人を、かつての外人さんが笑ったのはある意味当然なのかもしれません。

向かい合った相手に頭を下げて、「私はあなたに危害を加える用意はございません」と宣言するのがお辞儀の意味でもあるのだろう。もちろん、日本人だって真剣勝負の決闘の最中にお辞儀をする人はいないけれど。

でも、勝負の前にお辞儀をするのが日本の武道でありますな。

相手を大切にしているという意図が伝われば、自分も相手から大切にされるものであります。長らくそのような前提で、社会が機能して来たのが日本なのだと思うのであります。

「日本を存分に愉しみたい」と考える外人さんが増えて来たのではないかと、そんなことを思うのであります。そう考えるなら、彼らのそのような振る舞いは妥当なのでありますな。

ま、今夜の話は外人さんだけに限った話ではありませんがね(笑)。

さてさて、このウイスキーの話がまったく始まっておりませんが、ボチボチ時間です。

「フルーティ&リッチ」とはフルーティでリッチなハチミツ感なのだと思う。麦芽の香ばしい甘さとバニラの心地良い香りも秀逸。何しろバランスが良く、度数ももう少し低いと思ったほど。

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宮城峡 12Yo
OB / フルーティ & リッチ
55%

「3杯セット」のご利用が可能です。
他の違う銘柄のウイスキーと合計3杯(ハーフ・ショット)で¥2,000(税込¥2,160)。
1杯当り、¥720(税込)です。

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秩父 2010 5Yo / ブラッカダー

どういう訳か、秩父が続々と入荷して、「勝手に秩父ウイスキー祭り」状態の池袋ジェイズ・バーです。

今年2月、本物の「秩父ウイスキー祭り」にてお披露目をされた、ブラッカダーの秩父でありました。噂には聴いておりまして、ただ当日はスタッフとして働く身、忙しくて飲むことはできませんでした。

聴いた限りでは評判も良く、瓶詰されてリリースされるのを愉しみに待っておりました。通常秩父のOBに使用されるボトルにブラッカダーのラベル。ちょいとばかり違和感がありましたが、ま、問題は中身であります。

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ラベルにはこのウイスキーの熟成年数とカスクNoが記載されておりまして、実はこれ、結構珍しいことなのでありますな。

また、瓶詰が2015年4月とありまして、「秩父ウイスキー祭り」は2月開催でしたから、その時はサンプルの一本だけ、その後4月に残りの全数瓶詰ということなのでありましょう。

華やかで落ち着いたコニャックの香り。美味しい漬物。特にタクアン。ゆっくりと華やかなハチミツ。香ばしいクッキー。口に含んで、秩父らしい麦芽の甘さ。口の中に膨らむ穏やかな樹脂っぽさ。ペッパー系スパイシー。

予想したほど色が濃い訳ではなく、でもしかし、しっかりとコニャックらしさを感じられるウイスキーであります。

さて、「勝手に秩父ウイスキー祭り」状態の池袋ジェイズ・バーでありますが、現在開封済みが、
「バー・ショウ向けフレンチ・オーク」、「ウイスキー・カウンシル 2008」、「ピーテッド 2015」、「ePower ダブル・カスク」、そして「ブラッカダー 秩父 2010」。5種類であります。
どれも個性的な秩父。秩父のウイスキーがこんなにも多彩な仕上がりであるのかと驚かされます。お試し下され。

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秩父 2010 5Yo
ブラッカダー
Cognac Cask , Cask No.745 , 289bottles , 61.4%

「3杯セット」のご利用が可能です。
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1杯当り、¥720(税込)です。

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秩父 2011 & 2012 / ePower ダブル・カスク

少々分かりづらいところがありそうなので、今夜はまずその辺の事情から。

もちろん中身は秩父蒸留所のシングル・モルト。ダブル・カスクの名の通りふたつの樽を合わせて瓶詰めされている。カスクNo.1490のミズナラ・ヘッズ・ホグスヘッドと、カスクNo.1683のハード・チャード・ニュー・バレル。

つまり、鏡板にミズナラの材を使ったホグスヘッドと樽の内側を念入りに焼いたバレルの新樽。そのふたつの樽で熟成された秩父の原酒を、混ぜ合わせて瓶詰したということのようでありますな。

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秩父のシングル・モルトとしては珍しい試みでありますな。聴いた話では、このふたつのサンプルを試したePowerさんが、どちらも気に入ってしまった結果。

「どっちを選ぶか?」 → 「悩むなぁ」 → 「じゃ、両方!」

ということになったようであります。

苦味と渋味、そしてそれらを裏打ちする秩父らしい太目な甘さが特徴のウイスキー。新樽の樹脂っぽいニュアンスも力強く飲み応えあり。でも、時間が経つとハチミツとバニラしっとりした香りが放たれる。

カステラの表面の黒い部分の香ばしさを思い起こさせる香りも愉しい。苦味と渋味が強過ぎて少々苦手と感じられた方は、時間を掛けてゆっくりと飲んでみて欲しい。ハチミツ、バニラ、カステラを愉しめないとこのウイスキーはもったいない。

神の恵みか悪魔の悪戯か、現在偶然にもジェイズ・バーには秩父のウイスキーが充実している。

「バー・ショウ向けフレンチ・オーク」、「ウイスキー・カウンシル 2008」、「ピーテッド 2015」、そしてこのダブル・カスク。

それぞれ、特徴を掴み易い仕上がりで、比べて愉しむのに最適だろう。

ラベル中央に筆で書かれた「秩父」の文字。僕らが普段見慣れたOBの「秩父」の文字はある著名な書道家(と噂される:笑)の方のもののようだが、それとは違う書体。独特の存在感がありますな。

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秩父 2011 & 2012
ePower / ダブル・カスク
Mizunara Heads Hogshead & Hard Charred New Barrel
Cask No.1490 & 1683 , 538bottles , 61.1%

「3杯セット」のご利用が可能です。
他の違う銘柄のウイスキーと合計3杯(ハーフ・ショット)で¥2,000(税込¥2,160)。
1杯当り、¥720(税込)です。

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ボウモア 1994 18Yo キンコー / ヴィーナス・リザーブド

薩摩の国から94ボウモアであります。キンコーさんのオリジナルとしてもちょいとばかり久し振りだろうか。90年代のボウモアとしても久し振り。しかも1994ヴィンテージとあれば、これは仕入れるしかありませんな。

最近は00年代以降のボウモアに対する熱も少しばかり落ち着いて来ており、「安定のボウモア・テンペスト」状態でありまして、まぁ、そんなところに94ボウモア投下。喰らい付きました。

「あ、そうだった。これこれ」というのが素直なファースト・インプレッション。もちろん、00年代以降のボウモアを否定しませんが、僕の中でもこれは94ヴィンテージのボウモアであります。

最近飲んだ00年代以降のボウモアと(脳内で)比べても、やはりこちらの方が地力があるなと。

女性と美の象徴であるヴィーナス。ラベルには自身のボトルを持つヴィーナスが描かれている。こちらを値踏みするような眼差しが象徴的な絵でありますな。

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ヴィーナスと言えば、基本的に半裸か全裸というイメージ。そして、大概のヴィーナスは笑顔を見せない。少なくとも、僕の記憶の中でヴィーナスは笑っていない。多くの場合、仏頂面に見えて、ヴィーナスに笑顔は似合わないのだろうか。

ただ、笑わない美人には僕を立ち止まらせる力があるようだ。優しく受け入れて欲しいなんてのは、僕の甘えなのかもしれない。こちらも襟を正し、正面から向き合えば良いだけのこと。

丁寧に礼儀正しく挨拶をしてその香りから愉しめば良いだけのこと。彼女は軽く扱われることを嫌っているだけなのだ。興味も関心もない人に関わって欲しくないと訴えているのだ。

らしさを伴う柑橘系フルーティ。どちらかと言えばグレープフルーツ寄り。若干メタリック。土の香り。時間とともにゆっくりと小さくバニラ。磯の香り。潮風。口に含んで、はっきりと塩味。飲み応えのある樹脂っぽさ。ペッパー系スパイシー。スモーキーなキャンディ。潔く切れ上がりのあるフィニッシュ。

「名前までは思い出せないけど、随分昔に君のお姉さんと出会ったことがあるよ」。飲み干したグラスに鼻を突っ込みながら、僕はそんな風に呟いた。

ラベルの彼女がもちろん笑顔になることはないけれど、でも少し、その表情が和らいだように思えた。

久し振りのこの体験をありがたく思う。これは素敵なウイスキー。キンコーさんに感謝です。

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ボウモア 1994 18Yo
キンコー / ヴィーナス・リザーブド
55.4%

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ブナハーブン 1987 27Yo / 3R ザ・ダンス

さてさて、今夜も昨日に引き続き3Rさんのダンス。最近はダンスが出る度に「ライフはまだ出ないんですかね?」なんて聴かれますが僕は知りません(笑)。

華やいだ香りのブナハーブン。何だかこの手のタイプは久し振りな気がする。プルーンとミント。ハチミツとショウガ。レモンとスモーク。塩と唐辛子。それらふたつの間を揺れ動く香りと味わい。

常に振り子は揺れ動き、一瞬バナナを感じたり、次の瞬間バニラ・アイスクリームを感じたり、また次の瞬間はカスタード・プリンを感じたり、その次の瞬間はハチミツを掛けたかりんとうのように感じたり。

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時間というのは止めることも切り取ることもできない訳で、メリーゴーランドに乗せられた僕は好きな景色を追い掛けて、首をグルグルと廻して疲れてしまった。

そう、そんな時はメリーゴーランドから降りてしまえば良い。何事も遠くから眺めて見ることは大事なことだ。豊島区の地図を眺めても、そこに「日本国」という文字は書かれていない。

地球儀を持って来ても、そこに「池袋」は見つけられないけれど、日本の何処かに池袋はあるのだ。僕らは細かく切り分けて、成分を分析することを目的にウイスキーを飲んでるのではないのだから。
僕らは愉しみのためにウイスキーを飲んでいるのだから。

ウイスキーも人も似たようなことがある。近付き過ぎて見えなくなることがある。相手を知るために、離れて遠くから眺めることも大事なことだ。

遠くから見るなら、軽快で華やいだブナハーブン。口に含んで、塩と唐辛子と煙のブナハーブン。落ち着いて甘さを愉しむことのできるウイスキー。

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ブナハーブン 1987 27Yo / 3R ザ・ダンス
Hogshead , Cask No.2480 , 193bottles , 49.8%

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ベン・ネヴィス 1996 18Yo / 3R ザ・ダンス

最近はいくらか注目を集めるようになったベン・ネヴィス蒸留所でありますが、リリースが頻繁になったのも、90年代後半から在庫のボリュームが厚くなったということなのだろうか。

これは佳酒だと思う。全般的に90年代後半のハイランド・スペイサイド系ウイスキーがこのように仕上がってくれるなら、そして、その延長として5年後、10年後にこれらのウイスキーを愉しめるなら嬉しい限りだ。

長らくウイスキーを飲んで来て、昔はまったく考えなかったけれど、最近は「一応そのことも考えておかないとね」と思うことがある。それは自分の寿命について。

90年代中頃のウイスキーが熟成30年を迎えるのは2025年のこと。それらが熟成40年を迎えるのは2035年になる訳だ。2015年の今から数えれば10年20年後のことで、もう東京オリンピックも終わっていることになる。

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前回の東京オリンピックの年に生まれた僕は、10年後には還暦を迎えている。生涯現場に立つことが僕の望みではあるけれど、例えば2008年に操業を開始した秩父蒸留所の30年物を僕は生きて飲むことができるのだろうか?

命なんてものは神様が与えてくれるものだと思っていて、用がなければ尽きるもので、まだまだ用があるということなら命は与えられるのだろうと思っている。

僕はできれば、90年代のウイスキーを「ほぼほぼ」紹介し切ってバーテンダーとしての人生を終えられたらなと思っている。まぁ、それは、今から20年後のことかもしれないし、30年後になるのかもしれない。

命があれば「まだまだやっとけ」っていうことだし、それが尽きるなら「もう良いんじゃね」ってことなのだろう。いづれにしても、僕がやりたいことは決まっていて、それを評価するのは僕ではないということ。

そして、それは、ウイスキーも同じこと。とは言え、これから来る愉しみのため、少しは長生きしたいなぁなんてことを思うようにもなったのでありますな。

芳ばしさのない麦の甘い香り。キャンディ。ミントとバジル。リンゴとハチミツ。微かに柑橘系フルーティ。遅れて小さくバニラ。生姜と南国系フルーティ。口に含んで、オレンジ皮の酸味と苦味。マスタード。メタリック系フルーティ。小さくメントール。独特の苦味を残したフィニッシュ。

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ベン・ネヴィス 1996 18Yo
3R / ザ・ダンス
Hogshead , Cask No.417 . 194bottles , 50.5%

「3杯セット」のご利用が可能です。
他の違う銘柄のウイスキーと合計3杯(ハーフ・ショット)で¥2,000(税込¥2,160)。
1杯当り、¥720(税込)です。

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ラフロイグ 1999 14Yo / TWE for Shinanoya 禽獣図会

先日は200周年を記念したOB15年物のラフロイグをご紹介したばかりだが、今夜は信濃屋さん向けのボトリング、「禽獣図会」第三弾のラフロイグであります。

大鵬海老のハイランド・パーク、獅子のダルユーインに続き今回は虎と龍のラフロイグ。過去を振り返っても。ラベル・デザインと中身のマッチングはなかなかに秀逸でありますな。

例えば、200周年/15Yoのラフロイグを試した方なら、このラベルを見てピンと来るかもしれない。「アレとは違うラフロイグなのだろうな」と。

対局的なラフロイグふたつだと思う。200周年/15Yoのラフロイグが「華色」なら、この禽獣図会は「鈍色」のラフロイグ。もちろん、鈍色であることは悪いことではない。久し振りのこの説得力に僕は少しやられた。

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勇気があることと野蛮であることはまったく意味が違う。ただ、両者はどちらも一見、乱暴に見えて、見分けがつかないことがある。

長らく僕は、野蛮を嫌い勇気を見逃していたのかもしれない。これは、武勇のあるラフロイグ。確かにそれは、華やぐものではないだろう。その強さを隠すために鈍色の鎧を纏っているに過ぎない。

「飲んでみろ」という樽の選定者の心意気が伝わって来るようだ。

力強さと複雑さが丁寧に融合している。スモーク、ピート、塩。それだけで納得していたら、このウイスキーの魅力を半分しか愉しんでいないだろう。後半展開するフルーティさに勇気ある者の優しさを感じるだろう。

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ラフロイグ 1999 14Yo
TWE for Shinanoya 禽獣図会
1st Fill Bourbon Barrel . 252bottles , 54.6%

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秩父 2009 - 2015 / OB for Tokyo International Bar Show

こいつはなかなか個性的なウイスキーでありますな。

このタイミングでの瓶詰めに何か意味がありそうであります。あえて申し上げるなら、ピークよりは十分に手前、若さを残したまま愉しんで頂きたいとの、生産者の思いが込められているのではないだろうか。

まさに香りの宝庫。ただし現状、玉石混合と言っても良いだろうか。オレンジピール、エステル、セメダイン、バニラ、クリーム、香草、香木、ハチミツ、白い花、ターメリック。口に含んで、生牡蠣の苦味。

明らかにウッディと言って良いと思うが、麦芽の甘みを凌駕した樽感が出ている。似たようなことは、新樽で熟成されたウイスキーに感じることがあるが、不思議なことに残念な気持ちにならない。

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昨日読ませていただいた資料が手元にないので、記憶を辿ってお伝えするしかないので、間違っていたらごめんなさい、ということで話を続ける。

これは、樽の材を選ぶところから始まった話なのだと思う。このフレンチ・オークは海外での買付けのようだ。年輪幅の少ないものを選定・使用しているようで、結果としてアロマティックな仕上がりになると言われているようだ。

フレンチ・オークと言われなければ、迂闊にも「ミズナラ?」と言ってしまいそうな、ある種の凝縮感がある。で、やはり、新樽熟成の感がある。それにしても、この樽に秩父の原酒が負けていない。
同様の試みはこれからも続くのだろうか?

だとしたら、これが最初の一歩ということだろうか。

香りを拾うのにも時間の掛かるウイスキーだ。この手のウイスキーを愉しんでいると、思わず「早く脱いで…」と心の中で呟いてしまう(笑)。

目の前で一枚一枚その衣服を脱いで行き、その度に違う表情を見せてくれて、それはそれで愉しいのだが、早くその本来の姿を見せて欲しいと思いつつ、最後は「キタコレ!」となる訳です。

で、現状ではその「キタコレ!」がまだない。

しばらくしたら「キタコレ!」が来るのか、来ないまま終わるのか、それとも「ま、こんなものか…」なのか分からない。

分からないのでありますが、まだもうちょっと脱いでくれそうであります。全部脱いだらどうなるかまでは保証できませんが、その過程もまた愉しい訳であります。

ま、いづれにしても、時間の掛かるウイスキーなようであります。ゆっくり売って行きたいと思っておりまして、現状、店主から積極的に売り込もうとはおりませんので、飲みたい方、積極的に欲しいと言っていただければと。

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秩父 2009 - 2015
OB for Tokyo International Bar Show
French Oak Cask , 299bottles , 62.3%


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グレントファース 1996 18Yo / SMS ディスティラリー・コレクション

今夜はグレントファースをご紹介。

華があり美しく、少し若くて活発な女の子。そんな印象のウイスキーでありますな。妖艶な色気を放つ手前、ツヤっぽいと言うには少し物足りず、だけど、十分にキュートなウイスキーであります。

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柑橘フルーティと草っぽさ。今後ゆっくりとクリーミィなニュアンスを展開させて行くのではないかと思われる何か。奥からバニラ。クレープの生地。口に含んで、麦芽の甘み。香草の心地良さ。ペッパー&ジンジャー系スパイシーのフィニッシュ。

今夜は軽く、この辺で。

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グレントファース 1996
SMS / ディスティラリー・コレクション
52.1%

「3杯セット」のご利用が可能です。
他の違う銘柄のウイスキーと合計3杯(ハーフ・ショット)で¥2,000(税込¥2,160)。
1杯当り、¥720(税込)です。

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クレイゲラキ 13Yo / OB

こいつはなかなか素敵なウイスキーではなかろうか。

知名度の高い蒸留所とは言えないだろう。昨日もこれを飲んでもらったお客さんが「クレイゲラキって初めて飲みます」なんて言っていたけど、すかさず僕は切り返した。「いや、飲んでるよ」。

少し前、そのお客さんはケイデンヘッド/スモール・バッチのクレイゲラキを飲んでいる。「そうでしたっけ?」と疑う彼に、「スマホで写真撮ってたよ」と伝えると彼はそれをポケットから取り出した。

少し時間は掛かったが、彼はその画像を見つけ出し「あ、ホントだ。しかも、これ、結構気に入ってたヤツじゃないですか」。

ある意味、瓶詰業者のウイスキーは飲み手にそのように扱われることがある。瓶詰業者各社は自社ブランドを売り込みたい訳で、そのラベルに書かれた蒸留所名の文字の大きさは相対的に小さなものになる。

当然ながら、小さな文字は認知されにくい。飲み始めてまだ日の浅い飲み手なら、自分がどこの瓶詰業者のウイスキーを飲んだのかを覚えていても、どこの蒸留所のウイスキーを飲んだのか、忘れてしまうこともあるだろう。

さてさて、結論から申し上げるなら、僕はボチボチ「オフィシャルの逆襲が始まるのではないか?」と考えている。

このクレイゲラキが「極上」のウイスキーでない事は多くの人の認識と変わらないだろう。僕もこれが「極上」だと申し上げたい訳ではない。ただ、コスト・パフォーマンスを考慮して「素敵」だと申し上げたい。

青リンゴ、洋ナシ、バニラ。もみ殻と花っぽさ。主にバーボン樽の影響を受けたスペイサイド・ウイスキーを思わせる。生姜の蜂蜜漬け。口に含んで、麦芽の甘み。ナッツ。グレープフルーツのワタ。心地良いペッパー系スパイシー。予測したほど若さを感じさせないスムースさが好印象。当然ながら、フィニッシュは少し物足りない。

ウイスキーというのはボトリングされて最終製品となり酒屋の棚に並ぶ。そのことに例外はあっても異論がある方は少ないだろう。

ざっくり言ってしまえば、僕らは主に瓶詰業者かOB(オフィシャル・ボトル)による瓶詰めのウイスキーを飲んでいる訳だ。

管理しタイミングを見計らい瓶詰めをする。ウイスキーを最終製品に仕上げるためのその作業は瓶詰業者も蒸留所も大きく変わることはないだろう。

瓶詰め前、熟成中のウイスキーは一見「倉庫に眠る在庫品」のように思えるところがあるが、それこそが彼らにとって「資産」であることに間違いはない。

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瓶詰業者の強みはその資産の「種類の」豊富さだと言って良いのではないだろうか。ある特定の一社の蒸留所のウイスキーしか持たないなら、彼らのリリースするウイスキーのラインナップは貧弱なものになるだろう。

一方、蒸留所の強みはその資産の「量の」豊富さだと言って良いのではないだろうか。何しろ彼らはウイスキー・メーカーなのだ。彼らこそ、日々ウイスキーを造り続けている。

とは言え、瓶詰めされてこそ最終製品になるのがウイスキーであり、その部分に焦点を合わせて話を進めるなら、瓶詰業者も蒸留所もその仕事のキモは変わらないのではないだろうか。

ひと言で言うなら、僕はその仕事のキモを「資産管理」だと考えている。

手持ちの資産の意味や価値を良く理解したものが、管理しタイミングを見計らい瓶詰めをしたウイスキーは最終製品として上質なのではないかと考えている。

近年、オーナー・チェンジ後のベンリアックがそのブランディングに成功したのも、また彼らがグレングラッサに価値がある原酒を見付けられたのも、あるいは、最近のケイデンヘッドの評価が高いのも、同様の理由ではないだろうか。

また、ボウモア/OBのテンペストが00年代以降蒸留の原酒を使っているであろうことは明らかで、瓶詰業者各社がボトリングするそれらのボウモアと比べて、なかなかのコスト・パフォーマンスであることに同意いただけないだろうか。

一見「どれもこれも似たようなもの」にしか見えない一樽一樽のウイスキーの意味や価値を見分け、見定められた者だけが、そのウイスキーに新たな生命を与えられるのではないかと、僕はそう考えている。

従来、オフィシャル側はその資産管理が苦手だったのではないかと思っている。いやむしろ、怠って来たと言っても良いかもしれない。

一方、ウイスキー・メーカーではない瓶詰業者が、その部分に細心の注意を払おうと思って来ただろうことは想像に難しくない。

僕はこのクレイゲラキにある種のメッセージを感じる。そのメッセージは造り手から発せられていて、造り手が想像する飲み手のイメージがあるのではないかと思っている。

少なくとも、「13年以上熟成の複数のクレイゲラキを無作為に選んだ結果がこれ」ではないだろう。
「食べて欲しい人」をイメージしながら作る料理は美味しくなる。その当たり前のことは、ウイスキーも同じなのではないだろうか。

このウイスキーを造った人に、僕は「美味しかったよ」と伝えたい。
ラベルに書かれた「クレイゲラキ」の文字が堂々として見える。
ボチボチ、オフィシャルの逆襲が始まるのではないだろうか。

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クレイゲラキ 13Yo
OB
46%

「3杯セット」のご利用が可能です。
他の違う銘柄のウイスキーと合計3杯(ハーフ・ショット)で¥2,000(税込¥2,160)。
1杯当り、¥720(税込)です。

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ラフロイグ ブロディア Batch Number 001 / OB

僕にとっては不思議なラフロイグと言って良いかもしれない。ある特定のイメージを強烈に思い起こさせるウイスキー。

非常に個人的な話で恐縮なのだが、僕はこの手のラフロイグを「S先生系」とカテゴライズしている。そんな訳で今夜はS先生の思い出話を少し。

S先生は僕が中学校の時の担任の先生で、担当科目は技術だった。当時、既に定年間際で中学生の僕には「怖そうなおじいちゃん先生」って感じだった。

相当なヘビー・スモーカーで、キャバレーが大好き。口臭予防のために仁丹を愛用し、夢は自作のヘリコプターを作ること。今思えば不思議な魅力を持った人だったと思う。飲みに来たら仲良くなれそうだな。

何かに付けよく怒る先生だった。技術室の床に正座をさせられ、トンカチの柄で頭を殴られたのを憶えている。殴られたのは憶えているが、何故殴られたのかは憶えていない。

中学生の僕には当然理不尽な話で、とても腹が立った。ただ、当時の重大事件は今となっては笑い話。大人になれば、それ以上の理不尽をいくらでも経験するようになる。そう、だけど、あの時、僕は少しだけ泣いた。

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技術の先生というのは、少し不思議な存在かもしれない。職員室にいないのだ。技術室の隣の小部屋である控え室にいる。僕は良く呼び出され、その控え室に足を運んだ。今思えば、S先生に気に入られていたのかもしれない。

その日も何かの書類を持ってその控え室に行った。ドアの前に立ち、2回ノックをして、返事を待ち、扉を開いた。足元にポリタンクがふたつ。ひとつには「灯油」とマジックで書いてあり、もうひとつには「ガソリン」と汚い字で書いてある。

S先生の机は部屋の奥の方にあって、僕はそこまで歩いた。S先生は顔を上げることなく、僕は机の前に立ち書類を渡した。先生はちょっとした唸り声のようなものを発し、感謝の意を表しているようだ。

机の上には読みかけのページで伏せられた本、書きかけのページで開かれた大きな手帳。蓋の空いた缶ピース、灰皿、携帯用の仁丹のケース、足繁く通ったらしきキャバレーのマッチ。

この手の「S先生系」ラフロイグを飲んでいると、それら一連の思い出話が、僕の頭の中に動き始める。

記憶というのは不思議なものだ。これまでもいくつかの「S先生系」ラフロイグをきっかけに、何度もその映像をリピート再生するようになった。でも、いつの間にかその視点が変わってしまったのだ。

最初の頃は自分の目の視点。僕が自分の目で見たそのもののイメージであったのだけれど、今では同じフレームの中に横顔がはっきり映った先生と、所在なげに立つ自分の後ろ姿がある。そして、僕の右肩と先生の横顔の間に机の上の光景。

僕は僕の視点から離れ、その二人を撮影するカメラマンの視点を手に入れてしまった。見えるはずのない視点から、昔の自分を振り返っている。

それらが出来事として事実であったことは、恐らく間違いはない。だけど、かようにも記憶は時間とともに再構成されてしまうのだ。そして恐らく、昔飲んだウイスキーの記憶を辿る時も似たようなことは起こっているのだろう。

例えば、20年前の僕が飲み手として今より優秀でなかったことは確かで、だけど、その頃に感動をしたウイスキーならいくつもあった。当時の僕はそれを理解し解釈し、表現することはできなかったけれど、今なら少し、それができるかもしれない。

仁丹とタバコの香りのラフロイグ。口に含むんで、焼き魚の皮。タンニン。甘さ少な目。かなり時間を置いて、微かにパフューミィ。時間とともにゆっくりとS先生の面影は遠くなり、少し酸っぱ目な日本のサクランボ、灰っぽいパイナップル。グレープフルーツのワタ。アクと旨味の混在するフィニッシュ。

先生は短くなったピースを楊子に刺して吸っていた。今からもう30数年前のこと。この手のラフロイグを飲めば、頭の中に僕らは何度も同じフレームの中に現れるけれど、先生は未だご存命なのだろうか。

ラフロイグ ブロディア Batch Number 001
OB
Port Wood Finish , 48%

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