年頭につき、皆様に新たな提案をさせていただきたい。
その構想だけはもう2年くらい前からあったものだ。

年頭でもあるので、改めてその前提から申し上げるが、「人生にはシングル・モルトよりも大切なものはたくさんある」。どうか皆様、そのことだけは忘れずにいただきたい。日々の暮らしを大切に生きれば、酒はより愉しくなる。酒を飲めば苦しみを忘れることはできるが、それは一時的なことだ。翌朝、目が覚めれば、また昨日の続きの今日がやって来るだけ。面倒なことはなくなりはしない。

僕はあなたの苦しみを取り除いてあげることができない。だから、愉しいことを増やしたいと思う。僕は今年もそれを仕事にしようと思う。

とはいえ、誰にだって飲み過ぎてしまう日はある。実は僕もあまり人のことは言えない。だからこそ、飲み過ぎれば日々の暮らしは壊れる。そう自戒して新たな年を過ごしていきたい。

さて、前置きの長さだけは結局変わらないまま新年が始まりました。
先へ急ぎましょう。

「おいしいことと愉しいことは違う」。
「良し悪しではなく、好き嫌いを語って欲しい」。

今までも繰り返し言ってきたことだ。おいしい酒、良い酒をおろそかにするつもりはないが、あなたが愉しくて、あなたが好きな酒を提供したいと、僕はいつでも考えている。もちろん僕にはできることとできないことがあるし、さらに、得意なことと不得意なこともある。もう随分長い間この仕事を続けてきたけど、僕には僕なりのスタイルというものができあがってしまっているのだ。

良くも悪くも僕の身の程というものがあるのだろうし、正誤の判断は付かないけれど僕には夢がある。できることを続け、得意なことを伸ばして行きたい。そのすべてが「愉しみを分かち合う」というポリシーのもとに収斂して行けば嬉しい。

さて、それでは、僕にできることの中で、さらに得意なことの中で、僕はどんな時に「愉しみを分かち合えた」気持ちになるのだろうか。簡単にひと言で言ってしまえば「共感」である。僕があなたの好きな酒とその理由を理解し、あなたにも同じように好きなものと嫌いなものの違い、そしてその意味を知ってもらえた瞬間、あなたが「なるほど」と思えた瞬間に心地良さが生まれる。

違う銘柄のシングル・モルトを飲み比べれば、違う味がすることは誰にでも理解できる。味の違いが理解できるということは、確実に好き嫌いが生まれる可能性があるということだ。好き嫌いが生まれるということは、好きなものを選んで飲むという愉しみを知ることができるし、あえて嫌いなものを試すという選択も可能だ。好き嫌いを気にしながらシングル・モルトを飲むということは、その愉しみを大きく広げてくれる可能性を持つのだ。

大切なのは自分の好き嫌いを大切にする態度だ。多くの人が「まずい」というシングル・モルトをあなたが好きでも構わない。あえて言えばあなた自身が「まずい」と思うシングル・モルトでさえ、あなたは好きかもしれないのだ。

よく考えて欲しい。
好き嫌いを大切にシングル・モルトを飲めば、きっと感想が生まれるはずだ。
感想に「正解」はあるだろうか?


だから僕は考えた。
多くの人にとって入手が容易で、シングル・カスクなど小ロットの商品でなく、比較的その味わいのぶれることの少ない、その蒸留所にとってのスタンダード感のある、価格も手ごろなシングル・モルトをいくつか選んで比較できないものかと。

侍はそれを「ジェイズ・バー・スタンダード18」と名付け、すべての蒸留所の中から18本を選んだ。
この18本の中でさえ、あなたの中に好き嫌いは生まれるはずである。

詳細は次回。
クリックはこちら、人気ブログランキング