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IMG_2455_11970年生まれで今年40歳になったと聞いて溜息を吐いてしまう。

これでまた、60年代が遠くになってしまったようだ。10年後は1980年蒸留のウイスキーが、40年熟成ということかとまた溜息を吐いてみたが、何とも意味のないことを考えてみたものだ。ぼんやりと60年代のウイスキーに対する憧れのようなものを抱いて来たが、それももう、6,7年もすれば霞んでしまうものだろう。

60年代のウイスキーと言っても、今では既に、後半のものばかり。これからは、70年代のウイスキーが堂々と熟成40年オーバーとしてリリースされて行く時代となる。40年を超えて、「さて、そろそろ瓶詰のタイミングである」と判断されたウイスキー。その40年を超える製造期間は、僕らの想像力を簡単に超えてしまうほどの長さだ。

40年を超えなければ、「これで完成」と思われなかった工業製品。

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例えば今日もどこかの路地裏で、小さな子猫を誰かが捨てる。捨てられた子猫を誰かが拾い、その家に迎えられ、家族のように愛されて育てられ、15年を生きて天寿をまっとうし、今日のような雨の空に召される。子猫が拾われた時、その家族のその少女は10歳。子猫が逝ったその日には、かつての少女は25歳になっている。

IMG_2470_1かつての子猫も15歳。人でいうなら老人の部類。かつての少女は悲しみにくれ涙を流し、家族から「大往生だった」と慰められる。

少女が生まれ、子猫が生まれ、子猫は天に召され、かつての少女はまだ生きている。少女の命はその内側に子猫の命の長さを含んでいる。子猫は少女の人生の時間の中を生きて、その枠をはみ出ることがなかった。

実はウイスキーは少女が生まれる前からこの世に命を与えられた。ウイスキーが生まれ、少女が生まれ、子猫が生まれ、子猫が死んで、少女はまだ生きて、やがてウイスキーが瓶詰めされる。瓶詰めされるまで、少女はもう一匹猫を飼うかもしれない。そして、再び飼ったその猫もまた天に召されているかもしれない。

例えば、40年という時間はそういう時間だ。

IMG_2463_140年熟成で瓶詰めされたそのウイスキーは彼女に届くだろうか?再び猫を失った彼女は、彼女自身の娘を育てているかもしれない。ウイスキーという蒸留酒は腐敗という魔の手から解放され自由だ。腐って飲めなくなるということがない。40年熟成のそのウイスキーが瓶詰めされてから10数年後、その少女の娘の手に渡るということがないとは限らない。

40年という時間はそういう時間で、
例えば、ウイスキーというのはそういう酒だ。

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