モルト侍

池袋のショット・バー、ジェイズバーのバーテンダーが、大好きなシングル・モルトを斬る。

日々のテイスティング

ロナック考(5)

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シングル・モルトとシングル・カスクの定義はこちらに簡単に説明がある。他の蒸留所のシングル・モルトを混ぜることは許されないが、通常は同じ蒸留所ではあるが樽の違いものを複数混ぜられるのがシングル・モルトである。また、そこに加水をして度数を調整することまで含めて許されている。ただ、複数の樽を混ぜた時点でシングル・カスクではなくなる。しかし、それでもシングル・モルトではある。

マクダフ-2同一の蒸留所の「A」という樽のアルコール度数が39%、「B」という樽が40%、「C」という樽が42.8%であったとしよう。仮定の話であるのでA,B,Cの樽の容量は同じと考えて欲しい。それぞれ200Lの容量としよう。3つの樽を混ぜて瓶詰をすると、合計600L分のシングル・モルトができる。700MLのボトルに瓶詰すると、約850本分の瓶詰されたシングル・モルトが出来上がる。そしてそのボトルには、アルコール度数「40.6%」の「シングル・モルト」とラベルに表記することが可能だ。しかし、混ぜているのでシングル・カスクではなくなる。

さて、A,B,Cと3種類の樽があるのだから、それぞれシングル・カスクで瓶詰したいと思ったとしよう。200Lづつのシングル・モルトが3種類瓶詰できると思った訳だ。しかし、その目論見が失敗するであろうことにすぐに気が付く。「A」という樽はアルコール度数が39%しかないのだ。それではラベルに「ウィスキー」とは表記できない。

その(かつての)ウィスキーがどんなにおいしいものであっても、そのラベルには「ウィスキー」と表記することが許されない。あなたなら、どうするだろう?ウィスキーであると説明することを許されない、ウィスキーのような液体。もちろん、中身の品質に問題がある訳ではない。いや、それ以上に中身がとてもおいしいことにあなたは自信を持っている。

あなたにはその製品を市場に送り出す勇気があるだろうか?

あなたが瓶詰業者の責任者であったとして、あなたは責任を持ってその製品を出荷できるであろうか。もちろん、ラベルには「スコッチ・ウィスキー」と表記することはできない。「立ち小便」とは違うのだ。その行為が運良くおまわりさんに見つからずに済む可能性は恐らくないだろう。だとしたら、ラベルに「スコッチ・ウィスキー」と表記せずに瓶詰するしかないのだ。

果たして、その瓶詰されたウィスキーのような液体は売れるのであろうか。あなたのその製品は市場で物議を醸し出すかもしれない。「伝統を打ち破る真の改革者」と賞賛されるかもしれない。あるいは、「スコットランドの誇りを汚す犯罪人」呼ばわりされるかもしれない。

嘘、偽りなく、真っ当な仕事を積み重ね、丹精の限りを尽くしたウィスキー。年月を重ねた分だけ天使に分け前を奪われ、結果としてアルコール度数が40%を切ると、その蒸留酒はウィスキーと呼ぶことができなくなる。40%を下回るアルコール度数のウィスキーは邪悪な存在なのだろうか。40%以上のウィスキーは正義を実現しているのだろうか。

法とはそういうものだ。それで良いと思う。
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ロナック考(4)

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「ロナック」倫理観や道徳観を持ち生きるのが人だが、僕らの日々の暮らしは法によっても守られている。その良し悪しは別にしても、合法と違法の境目に線を引いてしまうのが法でもある。自分の店の扉に「立ち小便」をされたなら怒り心頭に発する侍であるが、酔っ払って物陰で「立ち小便」は許して欲しいと思うのも侍である。もちろん、ご都合主義とは自分でも思うが、迷惑を掛けた訳ではないのだから、と言い訳がましい侍である。

ただ、いかなる場合でも「立ち小便」を軽犯罪法違反としてしまうのが法だ。その放尿が便器に向かうか否かで法は線を引いてしまう。おまわりさんに見つかれば罰せられるのが「立ち小便」なのである。かく言う侍もおまわりさんに「立ち小便」を見つかったことがあるが、「コラ!やめなさい」。「いえ!止められません」の押し問答。長く続いた放尿の真っ最中のやり取りである。その気恥ずかしさに既に罰せられた感あり。「これからはトイレでします」とその場を立ち去った若き日の侍であった。

まぁ、そんな話はどうでも良いのだが、「40%以上であるか否か」で線を引いてしまうのが、ウィスキーに関わる法である。39.9%の蒸留酒はウィスキーとして認められない。熟成を重ね、その味わいをより複雑に奥行きを深くおいしいものにしようとも、天使に分け前を奪われ、結果としてアルコール度数が40%を下回ってしまったら、「それはウィスキーではない!」としゃしゃり出てくるのも法である。

60%を超えるウィスキーが必ずおいしい訳ではない。40%のウィスキーが必ずまずい訳ではない。アルコール度数の高さとそのウィスキーのおいしさに、確定的な相関関係などないことは皆さんご存知の通りだろう。熟成を重ね、その味わいを複雑で奥行きの深いものにさせていくことと、アルコール度数を低下させてしまうことはトレード・オフの関係にある。むしろ年月とともに天使に分け前を与え、アルコール度数を下げることでおいしくなるのもウィスキーだ。

30年を超えるほどに熟成を重ね、ゆっくりとそのおいしさを増していくウィスキー。昨年まで例えば40.6%であったアルコール度数が今年40%を下回ってしまったなら、そのウィスキーは一気にまずくなるのだろうか。もちろん、そんなことはない。40%を切ることとウィスキーの極端な品質低下に因果関係はない。ただ、法がそれをウィスキーと認めないことだけは確かだ。

法は40%とそれ未満の蒸留酒をウィスキーであるか否かに線を引いてくれるだけだ。あなたの好みに合致するかどうかまでは保証してくれない。アルコール度数が40%未満の(かつての)ウィスキーがおいしかったとしても、それは想像に難しくない。ただ、一般的にそのような蒸留酒が瓶詰されて市場に出回ることは今後もほとんどないだろう。ラベルに「ウィスキー」と表記できなくなった時点で、その蒸留酒は一気にその商品価値を失う。一気に品質低下を招く訳でないにも関わらず。

「複数の樽を合わせた」結果、「40%ギリギリ」であるならば、中には40%を切る樽があったと予測することは可能ではないだろうか。アルコール度数が40%を下回ってしまったなら、その蒸留酒を瓶詰しラベルに「ウィスキー」と表記することは許されないのだから。それらの樽の救済策として、この「ロナック」というシリーズは存在しているのかもしれない。昨日はそう言わせてもらった。

樽の中で熟成を重ねアルコール度数が40%を下回ってしまったら、その樽だけで瓶詰をし「シングル・カスクのシングル・モルト」として販売することは許されない。しかし、同じ蒸留所の違う樽のシングル・モルトとミックスして、アルコール度数が40%以上であれば「シングル・カスク」ではないが「シングル・モルト」として瓶詰することは可能だ。まさか、他の蒸留所のシングル・モルトと合わせることは不可能だが、同じ蒸留所の樽であればシングル・モルトである。

僕の示した可能性が事実であったとするなら、それは、正義に反する行為なのだろうか?
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ロナック考(3)

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「ロナック」「複数の樽を合わせて瓶詰」した結果、「40%ギリギリのアルコール度数」であるならば、そこに作為が存在すると判断するのが妥当ではないだろうか。

僕は詳細を知る訳ではない。だから当然、僕の言うことは憶測の域を出ない。ただ、目の前に突然現れた得体の知れないものを、良く見て、そしてできれば手に取って触り、一体何者であるかに思いを巡らすことは、既に僕の日常的な振る舞いとなっている。「見当違い」の謗りを受けることも多いが、「藪を睨む」ことを僕は止めないだろう。

シングル・カスク、つまり、単一の樽であることの方がその商品の価値を高められるだろうに、「複数の樽を合わせて瓶詰」されたシングル・モルト。それが事実であるならば、そこに作為が存在すると判断するのが妥当ではないだろうか。シングル・カスクで瓶詰できなかった理由があるのではないだろうか。

マクダフその理由に思いを巡らすことが、僕にとっての「藪を睨む」行為となる。
結果として瓶詰されたシングル・モルトは「40%ギリギリのアルコール度数」なのである。写真のマクダフは40.6%。「複数の樽を合わせた」結果、「40%ギリギリ」であるならば、中には40%を切る樽があったと予測することは可能ではないだろうか。アルコール度数が40%を下回ってしまったなら、その蒸留酒を瓶詰しラベルに「ウィスキー」と表記することは許されないのだから。それらの樽の救済策として、この「ロナック」というシリーズは存在しているのかもしれない。

もちろんそれが、「ロナック」ブランドの本質であるとは思わない。それもひとつの側面であると申し上げたい。僕の示した可能性が事実であったとしても、瓶詰されたシングル・モルトが「好きか嫌いか」より以上に重要なことはない。


さて、昨日は飲み過ぎた。ブログの更新が遅くなって申し訳ない。
集金に来た刺客殿。すまぬ。
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ロナック考(2)

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「ロナック」先週金曜の続きである)
市場にリリースされたばかりの「ロナック」シリーズの仕入を見送った侍である。明確でロジカルな判断力を伴った訳ではない。だからこそ、それは「躊躇」なのであろう。買うべきか、買わざるべきか、ためらったまま決心が付かない。ぼんやりと嫌な予感がしてしまう。そして僕は「ロナック」を仕入れなかった。しかし、躊躇である以上「仕入れない」と即断した訳でもない。当然、ためらいながら心が揺れる程度には魅力的であったのである。

「おいしそうに飲むお客さんの顔が思い浮かばなかった」。
ひと言で言ってしまえばそういうことだ。もう少し詳しく説明をするなら、「40%ギリギリのアルコール度数」と「複数の樽を合わせて瓶詰」。その点に心が引っ掛かる。正確に言うなら、このウィスキーは飲み手を選ぶ可能性がある。

法によるウィスキーの定義は、アルコール度数を「94.8%未満、40%以上」と定めている。つまり、40度以上ないとその蒸留酒をウィスキーとは呼べないのだ。ウィスキーはその樽の中での熟成の工程により、年月とともにそのアルコール度数を低くさせていく。熟成を重ね、その味わいを複雑で奥行きの深いものにさせていくことと、アルコール度数を低下させてしまうことはトレード・オフの関係にある。天使に分け前を与えることでおいしくなるのがウィスキーだ。

熟成30年以上をそのコンセプトとする「ロナック」シリーズである。30年も寝ていれば、多くの分け前を天使に与えざるを得ない。当然、アルコール度数は低下する。さて、結果として瓶詰されたウィスキーは「40%ギリギリのアルコール度数」である。それでは何故、「複数の樽を合わせて瓶詰」なのであろうか。

シングル・カスクのウィスキーが流行の昨今である。シングル・カスク、つまり、単一の樽であること(複数の樽を合わせないこと)は、その商品の価値を高められると認知されているようであるのが、今時のシングル・モルトなのである。であるのなら、何故、わざわざ「複数の樽を合わせて瓶詰」なのであろうか。

「複数の樽を合わせて瓶詰」した結果、「40%ギリギリのアルコール度数」であるならば、そこに作為が存在すると判断するのが妥当ではないだろうか。

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Bunnahabhain 1979 27YO / THE WHISKY EXCHANGE

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ブナハーブン 27yさて、先日「エロい」と言わせていただいたブナハーブンである。抜栓して5日経ったが、非常に旨い。ちょっぴり飲み応えのあるシングル・モルトを求めて「アイラ・モルトなんぞ・・・」、何て思っていたなら、しっくりと来るシングル・モルトではないだろうか?飲み応えを「痛さ」と捉えるなら、肩透かしを喰らうだろう。ヘビー・ピートなタイプではないし、アルコール度数が高い訳でもない。

このシングル・モルトの飲み応えの背景にあるのは「旨味」である。シャープな切れ上がりの良さは、このシングル・モルトの一番の特徴ではない。官能的な旨味である。

そもそもブナハーブン自体、アイラ・モルトの中で強くピートを焚き込んだウィスキーではない。いつもの侍のような言い方で言わせていただくなら、「ダシの旨味を損ねないよう適切に薬味を加えたシングル・モルト」、というところだろう。全般的にコクを重視したシングル・モルトであるだろうし、そのスタンスを侍は支持したい。

また、ブナハーブンにはアーモンドを感じることも多く、その渋さと苦さがアクセントになり味わいを複雑にしてくれることが多い。芳ばしさを持つブナハーブンなら、ピーナツ・バターやアーモンド・クリームを塗ったトーストのように感じることがあるし、長期熟成に耐えたブナハーブンならそのアーモンドはすり潰されアーモンド・オイルのようだ。

侍は大袈裟であるとの謗りは甘んじて受けよう。しかし、旨いシングル・モルトには最大の賛辞を送りたい侍である。

さて、今回のこのブナハーブン。官能的なエロさを持つことは既にお伝えした。思わずその腰に手を回しグイっと引き寄せたくなるとも告白した。しかし、このブナハーブン、ピーナツ・バターだのアーモンド・クリームだのアーモンド・オイルだの、そんな程度ではない。

グリコ・アーモンド・キャラメルである。
まさに、一粒で二度おいしい。
のである。

最後にひと言申し上げたい。
侍は切ないのである。ブナハーブンは名の知れたシングル・モルトに比べて人気がない。忍者のお膝元には今回6本のウィスキー・エクスチェンジがリリースされているが、どう考えても売れなさそうじゃないか。一緒に並んでいるのはラフロイグやスプリングバンクやボウモアなど人気銘柄。埋もれてしまいそうだ。

もしもあなたが悩んでいるなら、スプリングバンクはやめて、ブナハーブンにしなさい。
本当にグリコ・アーモンド・キャラメルだから。嘘だと思う方にはその香りを嗅いでいただこう。今朝方テイスティングしたこのブナハーブン、飲み終えたグラスをカウンターの上に放置して帰宅した。夕方にはアーモンド・キャラメルの香りになっている。文章では分からない。嗅げば分かる。嗅いでいただこう。

しかし、グリコ・アーモンド・キャラメルって「アーモンド・グリコ」って名前だったのね。昔は違ったような気が・・・。どうりで検索に引っ掛からない。

すまぬが、本当に最後にもうひと言。
本日はサッカー・アジアカップ、日本 VS UAEである。
慌てることはない。初戦を落とした訳ではない。我々はカタールに勝ち点3を与えなかったのだ。カタールの第2戦は引き分け。本日第2戦を迎える日本である。後ふたつ、勝てばよい。

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100円のシングル・モルト。

お土産余市ダラダラと続いている連載「凄いぞ、イチロー」は本日一時中断。本日はちょっとした小ネタを。とはいえ、イチローさんとまるで関連のない話ではない。

ジェイズ・バーの常連客、越後屋が余市蒸留所に遊びに行った。お土産に蒸留所限定のシングル・モルトを2本買って来てくれた。ともにシングル・カスク、アルコール度数60%を超えるウィスキーだ。

その味わいについて詳しくは書かない。イチローさんのウィスキーについてもつくづく感じてしまうのだが、日本のシングル・モルトのその秀逸さ。「愉しいじゃないか」、改めて呟いてしまう。ジャパニーズ・ウィスキー、天晴れである。

H9ラベル越後屋も言っていたが、面白いのはイチローさんのシングル・モルトとの比較。イチローさんのシングル・モルトは埼玉県の羽生市で作られた。埼玉県が海のない県であることは皆さんご存知の通り。ラベルからも明らかなように、羽生は利根川沿いの街だ。一方、本日のお題、余市蒸留所は北海道にある。もちろん余市は地名であるのだが、余市が港町であることを皆さんご存知だろうか。

察しの良い方はお気づきだろう。海からは距離のある内陸部、しかも利根川沿いの街の羽生にあるイチローさんのシングル・モルト。そのことを考えるとイチローさんのシングル・モルトにどこか「スペイサイド・モルト」のようなニュアンスを感じてしまう。甘味を軸にその奥行き感が形成されている様子などを取ってみても僕なりに納得がいく。「スペイサイド」ならぬ「利根川サイド」である。

それに対して、余市蒸留所はまさに沿岸部の蒸留所なのである。北海道を「島」と言うには確かに大き過ぎる気もするので、「ハイランド・モルト」に例えてみてはどうだろう。微かな塩味、ミネラルを感じるハイランド地方沿岸部の蒸留所という気がしてならない。

越後屋のお土産モルトにまさにそれを感じた。
皆様に是非ともそれを感じていただきたい。容量が少ない故、ちょっとづつだけど、¥100にてご奉仕。イチローさん(ハートの9)と飲み比べを。

さすがに3連休後、ヤバイ。人気ブログランキング

凄いぞ、イチロー。(2)

イチロー H-9畏れ多いことに、目の前にいるイチローさんに向かって、
「イチローさん、これはきっと売れるよ」。
などと思わず口走ってしまった侍であるが、実はその時、何故自分でもそんなことを言ってしまったのか、良く理解していなかった。

その日、営業が終了した後、しみじみとそのことに思いを巡らせていたのであるが、今日はそのことについて書きたい。

昨日こんなことを言わせてもらった。
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失礼を承知で簡単にひと言で申し上げるなら、「落とし所を考えたか」との思いが侍にはあった。それは加水された46%というアルコール度数にも表れているのかもしれない。当然、飲みづらいほどに個性的などということはなく、飲み易いだけでつまらないということでもない。もちろん質が悪い訳などなく、丁寧で複雑なうまさを持つ(価格から考えても)良心的なシングル・モルトである。
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ごめんなさい。
眠いので今日はこれ以上書けません。
昨日はホントに疲れた。
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凄いぞ、イチロー。

イチロー H-9さて、チームは不振ながら今年も200本を越えるヒットを打った、シアトル・マリナーズのイチロー選手であるが、もちろん侍の指すイチローは彼のことではない。写真にあるイチローズ・モルトのイチローさんである。

実はジェイズ・バーに来ていただいたのが随分前のことで、およそ2ヶ月もの間、記事にもせず大変申し訳なく思っている。ごめんなさい。

以前にも、イチローさんのカード・シリーズのシングル・モルトについては記事にしたことがあった。今回もまた、新たにカード・シリーズを出すとのことでご挨拶に来ていただいた。以前のカード・シリーズは4種類。イチローさんにとってのファースト・リリース。どれも絵札の柄を使ったラベルであったので、それなりの気合(というより恐らくはイチローさんの意気込み)を感じる秀逸なシングル・モルトであった。

実は、イチローさんの意気込みを持つその熱いシングル・モルトが、高く評価され賞をもらった。ウィスキー・マガジン誌(第56号)の「ザ・テイスティングス」、ジャパニーズ・ウィスキー特集において、並み居る強豪を差し置いて最高得点を獲得。金賞、銀賞のダブル受賞である。いやいや、嬉しいニュースを持って来てくれたイチローさんに感謝である。あわてて酒屋に走った侍であったが、金賞を受けたダイヤのクイーンはどこでももう売り切れのようだ。残念。

もちろん、イチローさんの熱い思いのこもったシングル・モルトを高く評価する侍であるが、正直なところ、「もうちょっと、肩の力を抜いたウィスキーも飲んでみたい」と思ったのも事実だ。そして侍のそんな思いに寄り添うように出してくれたのが、「スクウェア・ボトル」。本心から言わせていただくが、この「ジャスト・ミート感」が侍は非常に気に入った。「ほどほど」とか「そこそこ」という言い方は失礼に当たるかもしれないが、とてもポジティブな意味で「しみじみ感」のあるシングル・モルトなのである。強烈に個性的でびっくりするだけがシングル・モルトではない。飲み飽きず、飲み続けることが可能なシングル・モルト。そんなウィスキーだって高く評価されるべきである。

さて、ウィスキー・マガジン誌で金賞を受賞するほどに評価を受けた、絵札の柄のラベルのシングル・モルト。確かにこれはよい意味でも個性的な部類に入るだろう。それに続き、侍の「もうちょっと、肩の力を抜いたウィスキーも飲んでみたい」との思いに応えるようにリリースしてくれた「スクウェア・ボトル」。その後に出たイチローズ・モルト、「カード・シリーズ」の第2弾。今回は初の数札に挑戦である。

「NINE of HEARTS」と「TEN of SPADES」、要するに「ハートの9」と「スペードの10」である。さて、イチローさんが数札に手を出したことの意味を考えてしまう侍である。

失礼を承知で簡単にひと言で申し上げるなら、「落とし所を考えたか」との思いが侍にはあった。それは加水された46%というアルコール度数にも表れているのかもしれない。当然、飲みづらいほどに個性的などということはなく、飲み易いだけでつまらないということでもない。もちろん質が悪い訳などなく、丁寧で複雑なうまさを持つ(価格から考えても)良心的なシングル・モルトである。

サンプルを持って来ていただいたイチローさんに侍は思わずひと言、
「イチローさん、これはきっと売れるよ」。

話が長くなりそうである。
続きは明日。
お願い申し上げる。人気ブログランキング

そうそう、言い忘れた。
イチローさんの金賞、銀賞、ダブル受賞を記念して、本日より今度の日曜まで「カード・シリーズ・ハートの9」、一杯¥500である。

夏のシングル・モルト

アイリーク112どうやら、関東地方も梅雨が明けたらしい。八月になる前に何とか間に合った。これから本格的な夏の到来か。やはり夏は夏。煮え切らない気分で冷夏を過ごすよりは、思い切り暑い日も恋しい。

冬の定番「アイリッシュ・コーヒー」は既にジェイズ・バーに定着しているが、夏は「モヒート」。豪快に、そして大雑把にがぁーっと飲んでいただきたいカクテルだ。日中の水分を控え目に行動していただければなお美味しい。

しかし、モルト売りの侍として何とも切ないのは、「寒い冬の方がシングル・モルトはうまい」という事実だ。いやもちろん、夏だってシングル・モルトはうまいし、夏だって飲む。だけど胃に落ちる酒の暖かさにありがたみを感じてしまうのはやはり冬だ。冬に飲むシングル・モルトのうまさには独特の「しみじみ感」がある気がしてならない。

だから、夏になるたび、「どうにかならぬものか」と思い続けてきたのは確かだ。
キーワードは3つ。「夏の爽やか」、「しみじみ」、「シングル・モルト」。

話は変わるが、僕は「ストレート以外の飲み方」でシングル・モルトを飲むことを否定しない。世のシングル・モルト原理主義者が提唱する「シングル・モルトはストレートで飲むべし」、というスタンスに僕は自ら進んで同調しない。もちろん「シングル・モルトが分かりたい」と思っている方には、ストレートで飲むことを是非ともお勧めしたいが、「シングル・モルトを愉しみたい」という方に無理強いをすることはない。好きなように飲んでいただければ結構。「分かることも愉しみのひとつ」との思いが浮かび上がれば、その人は勝手にストレートでの注文をするようになる。

実際僕も結構「水割り派」なのである。大好きなシングル・モルトをゴクゴク飲める感覚は何とも言えない。何しろ僕の「ウィスキー初体験」は、「スナック明美」のママさんの作ってくれた「スーパーニッカの水割り」なのだ。確かに水で割ることで、大きくそのバランスを崩してしまうシングル・モルトが存在するのも事実だろう。水で割るのが「勿体無い」と思うシングル・モルトもある。だから僕は「水割りに負けない」シングル・モルトが好きだ。

「水割り推奨派」とも言える僕であるが、実はほんの少し「アンチ・ロック派」であったりする。人のことを悪く言うつもりはない。しかし、あくまでも僕は、ということを言わせていただけるなら、「オン・ザ・ロックは2分で飲む」のである。普段ストレートで飲む感覚のウィスキーを、「冷たくして飲んでみたい」と思った時の「オン・ザ・ロック」なのである。空気の乾燥した冬、暖房で温まった身体に「冷たいものが欲しい」と思うことはあるだろう。茹だるほどの暑い夏ならなおさら。冷たいウィスキーがうまいと思うことはある。

でもね、オン・ザ・ロックを30分もかけて飲んではいけない(と思う)。もう、氷はドロドロに融けてしまっているではないですか。おまけに何ですか、あなたのその右手の人差し指は。グラスに突っ込んでグルグルと掻き混ぜましたね。あなたのそのショッパイ人差し指は、あなたのグレンリベットをより沿岸部の味わいへと変えてしまうでしょう。

だから、「オン・ザ・ロックは2分で飲む」のである。
30分もかけてオン・ザ・ロックを飲むのであれば、その氷の融け具合が心地良いというのなら、「濃い目の水割りを一杯」とオーダーすれば良い。

さて、話を戻そう。キーワードは「夏の爽やか」、「しみじみ」、「シングル・モルト」、である。
本日も前置きが長過ぎた。話を早めに切り上げよう。「水割り推奨派」であり「アンチ・ロック派」の僕が、3つのキーワードを実現するために辿り着いた結論は、アイリーク12年のソーダ割りである。うまい。

新展開なるか?こうご期待、「人気ブログランキング」

Ichiro’s Malt 15年 スクエアボトル

スクエア15ジェイズ・バーで2本目のイチローさんのシングル・モルトであるが、ぼちぼち飲み頃が近付きつつある様子。現在、カラメルのような甘い香りを堪能させてくれている。僕の予測するところでは今週末頃がカカオ風味のピークではないだろうか。楽しみである。

侍の疲労もピークか?
短い記事であるが、本日はこれにて失礼。

重たい足でしっかりと立ちながらグラスを洗い足裏マッサージに思いを寄せる水曜早朝。
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すごいぜ、イチロー

スクエア15昨日はちょっと調子の上がった感のあるシアトル・マリナーズのイチロー選手であるが、チームはやはりどうにもギクシャクしている様子だ。シーズン当初、絶好調であった城島選手もバッティングは不調なようだ。確かにぼちぼち城島攻略法を組み立てられてもおかしくはない頃だと思うが、城島選手が調子を落とすのと、イチロー選手が帳尻を合わせて来るだろうことは僕の中では了解済み。城島選手にとってはここからが正念場。この重圧を撥ね退けてこそのメジャー・リーガーである。今後の活躍に期待したい。

さて、そんな話がしたい訳ではない。
シングル・モルト業界のイチローさんのウィスキーである。

先日、営業終了間際に来店し、最後にイチローさんのシングル・モルトを飲んで帰ったお客様がいた。その方が帰った後、看板をしまって後片付けをして店を出たのだが、ふと思い付いてイチローさんのシングル・モルトを飲み干したグラスを洗わずに翌日まで取って置こうと思ったのだ。

僕は時々こういうことをするのだが、およそ12時間後の驚くほどの変化にびっくりすることがある。何も特別なことをする訳ではない。飲み干したとは言ってもグラスの底に一滴ほどウィスキーが残っていることがある。それをそのままにしてカウンターの上に置いて帰るだけ。そして翌日出勤したらすぐにグラスの中に鼻を突っ込む。実際は期待外れに終わることがほとんどだが、ごく稀にそのグラスの中の世界の変化に驚く。

イチローさんのシングル・モルトをカウンターの上に残して帰った翌日、早速グラスに鼻を突っ込んだのだが、これにはびっくり、「チョコレート(カカオ)」である。

マッカランなどシェリー樽のシングル・モルトにはみられる傾向であるが、この「Ichiro’s Malt 15年 スクエアボトル」はコニャック樽で後熟されたウィスキー。ふーむ、と首を捻りながら「考え中」の侍である。

ジェイズ・バーで販売中の「Ichiro’s Malt 15年 スクエアボトル」。封を切ってぼちぼち1週間ほどになる。残りは3分の1程度。前回の記事で「有機溶剤」のように感じる人もいるだろう。ということを書いたが、現在はより一層フルーティな香りだ。グラスに注いでゆっくり飲めば微かにチョコレートっぽいと思うが、12時間後ほどのびっくりするほどの変化ではない。

それにしても、12時間後までも愉しめるシングル・モルトというところが何より驚きだ。

この記事は更新日の前日の営業中に書いているが、営業終了間際にイチローさんのシングル・モルトをグラスに少し注いでそのまま帰ろうと思う。本日ご来店の皆様に愉しんでいただきたい。待ってます。

有名ラーメン店の店主と何も語らず煙草を吸い続けた月曜深夜。
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イチローズ・モルト・カード・シリーズ

イチローさんのモルトイチローさんに、スペード・エース、ダイヤ・キング、ハート・クイーン、クラブ・ジャックの4本のシングル・モルトを持ってきて頂いた。それらについて素直な感想を述べさせていただきたいと思う。そのすべては埼玉県の羽生蒸留所のヴィンテージ違いのシングル・モルトである。ファースト・カスクをホッグスヘッドで、その後の数ヶ月を様々な樽でフィニッシュ。それぞれの個性の違いは少なからずフィニッシュの樽の影響を受けていることだろう。しかし、僕はこの羽生蒸留所のハウス・スタイルらしきものとして心地良い酒質の固さとスパイシーな味わいを感じた。
その4本ともすべてが、ノンチルフィルター、ノンカラー、カスク・ストレングス。

1985−スペード・エース
蒸留:1985年、瓶詰:2005年、ボトル総数:122本、度数:55%。
1stカスク:ホッグスヘッド、2ndカスク:スパニッシュオーク・シェリーバット
シロップ感のある濃厚な甘味、奥行きのある味わい。しかしハウス・スタイル由来のものだろうか、力強くパワフル。4本の中で僕がもっとも気に入ったシングル・モルト。素直に「これが一番好き」と言える。池袋の有名ラーメン店「生粋」の店長岩井さんは「これは値段の高いシングル・モルトの味がする」とコメント。そのコメントは正解である。

1988−ダイヤ・キング
蒸留:1988年、瓶詰:2005年、ボトル総数:124本、度数:56%。
1stカスク:ホッグスヘッド、2ndカスク:アメリカンオーク・シェリーバット
この4本のシングル・モルトの中で一番異彩を放つ不思議な味わい。そのどれもが当たり前なのではあるが、「これが一番スコッチ・ウィスキーらしくない」。どうしても飲み手はこれらの4本のシングル・モルトについて、スコッチ・ウィスキーを飲むつもりで飲んでしまうと思うが、そんな思い込みを排除しないと不思議な感覚に陥る。僕自身はその不思議さを十分に楽しめた。
ピートを絡めた複雑さはどこかアイラ・モルトを彷彿とさせるが、「ダシっぽさがアイラと違う」、そんな気分にさせるシングル・モルトだ。

1990−ハート・クイーン
蒸留:1990年、瓶詰:2005年、ボトル総数:125本、度数:54%。
1stカスク:ホッグスヘッド、2ndカスク:フレンチオーク・コニャックカスク
多くの人にほど良い飲み応えと丁寧さを感じさせると思われるシングル・モルト。万人受けすることは「没個性」ではない。華やかな香りと穏やかな苦味。バランスに優れ、繊細にして力強い。

1991−クラブ・ジャック
蒸留:1991年、瓶詰:2005年、ボトル総数:124本、度数:56%。
1stカスク:ホッグスヘッド、2ndカスク:アメリカンオーク・シェリーバット
この適切な力強さが心地良い。痛くなく、辛過ぎず、パワフル。穏やかな香りとほど良い甘味。力強いマッカランのよう。シェリー由来のものだろうか、独特のエグ味を感じるがどことなく「青臭い」。若木を折って口に含んだような感覚。力強さを背景にそれは決してネガティブな要素ではない。


すべてをいただいて僕はイチローさんに聴いてみた。
「何故、トランプのカードのデザインのシングル・モルトを作ろうと思ったのですか?」。
イチローさんは答える。
「それぞれに個性的なシングル・モルトを瓶詰したいと思ったのです。キャラクターの違うシングル・モルトを用意して好きなものを選んで欲しい」。
確かにシングル・モルトは嗜好品である。嗜好品である以上、「良し、悪し」は重要ではない。僕らはシングル・モルト評論家ではないのだから。自分にとっての「好き、嫌い」がすべてだ。であるなら、好きな酒を覚えておくことは大切だ。酒は思い出の中にもある。トランプのカードの中の1枚と好きなシングル・モルトのキャラクターが符合することは、僕らにとってありがたいことかもしれない。
イチローさんは続けて言う。
「トランプには53枚のカードがあります。そのすべて、53種類のシングル・モルトを瓶詰できたら嬉しいなと思うのです」。

そう、イチローさんは「53枚」とおっしゃった。52+1の53枚である。
イチローさんはジョーカーにどんなシングル・モルトを選ぶのだろう。

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イチローズ・モルト・カード・シリーズ

イチローさんのモルトイチローさんに、スペード・エース、ダイヤ・キング、ハート・クイーン、クラブ・ジャックの4本のシングル・モルトを持ってきて頂いた。それらについて素直な感想を述べさせていただきたいと思う。そのすべては埼玉県の羽生蒸留所のヴィンテージ違いのシングル・モルトである。ファースト・カスクをホッグスヘッドで、その後の数ヶ月を様々な樽でフィニッシュ。それぞれの個性の違いは少なからずフィニッシュの樽の影響を受けていることだろう。しかし、僕はこの羽生蒸留所のハウス・スタイルらしきものとして心地良い酒質の固さとスパイシーな味わいを感じた。
その4本ともすべてが、ノンチルフィルター、ノンカラー、カスク・ストレングス。

1985−スペード・エース
蒸留:1985年、瓶詰:2005年、ボトル総数:122本、度数:55%。
1stカスク:ホッグスヘッド、2ndカスク:スパニッシュオーク・シェリーバット
シロップ感のある濃厚な甘味、奥行きのある味わい。しかしハウス・スタイル由来のものだろうか、力強くパワフル。4本の中で僕がもっとも気に入ったシングル・モルト。素直に「これが一番好き」と言える。池袋の有名ラーメン店「生粋」の店長岩井さんは「これは値段の高いシングル・モルトの味がする」とコメント。そのコメントは正解である。

1988−ダイヤ・キング
蒸留:1988年、瓶詰:2005年、ボトル総数:124本、度数:56%。
1stカスク:ホッグスヘッド、2ndカスク:アメリカンオーク・シェリーバット
この4本のシングル・モルトの中で一番異彩を放つ不思議な味わい。そのどれもが当たり前なのではあるが、「これが一番スコッチ・ウィスキーらしくない」。どうしても飲み手はこれらの4本のシングル・モルトについて、スコッチ・ウィスキーを飲むつもりで飲んでしまうと思うが、そんな思い込みを排除しないと不思議な感覚に陥る。僕自身はその不思議さを十分に楽しめた。
ピートを絡めた複雑さはどこかアイラ・モルトを彷彿とさせるが、「ダシっぽさがアイラと違う」、そんな気分にさせるシングル・モルトだ。

1990−ハート・クイーン
蒸留:1990年、瓶詰:2005年、ボトル総数:125本、度数:54%。
1stカスク:ホッグスヘッド、2ndカスク:フレンチオーク・コニャックカスク
多くの人にほど良い飲み応えと丁寧さを感じさせると思われるシングル・モルト。万人受けすることは「没個性」ではない。華やかな香りと穏やかな苦味。バランスに優れ、繊細にして力強い。

1991−クラブ・ジャック
蒸留:1991年、瓶詰:2005年、ボトル総数:124本、度数:56%。
1stカスク:ホッグスヘッド、2ndカスク:アメリカンオーク・シェリーバット
この適切な力強さが心地良い。痛くなく、辛過ぎず、パワフル。穏やかな香りとほど良い甘味。力強いマッカランのよう。シェリー由来のものだろうか、独特のエグ味を感じるがどことなく「青臭い」。若木を折って口に含んだような感覚。力強さを背景にそれは決してネガティブな要素ではない。


すべてをいただいて僕はイチローさんに聴いてみた。
「何故、トランプのカードのデザインのシングル・モルトを作ろうと思ったのですか?」。
イチローさんは答える。
「それぞれに個性的なシングル・モルトを瓶詰したいと思ったのです。キャラクターの違うシングル・モルトを用意して好きなものを選んで欲しい」。
確かにシングル・モルトは嗜好品である。嗜好品である以上、「良し、悪し」は重要ではない。僕らはシングル・モルト評論家ではないのだから。自分にとっての「好き、嫌い」がすべてだ。であるなら、好きな酒を覚えておくことは大切だ。酒は思い出の中にもある。トランプのカードの中の1枚と好きなシングル・モルトのキャラクターが符合することは、僕らにとってありがたいことかもしれない。
イチローさんは続けて言う。
「トランプには53枚のカードがあります。そのすべて、53種類のシングル・モルトを瓶詰できたら嬉しいなと思うのです」。

そう、イチローさんは「53枚」とおっしゃった。52+1の53枚である。
イチローさんはジョーカーにどんなシングル・モルトを選ぶのだろう。

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ボウモア 1982 21年

しびれる、ボウモア
「なんか、うまいボウモアないかな」
お客さんのその一言がきっかけであった。しばらくの間、僕はうまいボウモアを求めてさ迷う事になる。ジェイズ・バーのお客さんはその手の曖昧な注文が多い。今回、うまいボウモアを求めたのはN氏。仕事柄、僕はお客さんの趣味嗜好には当然だが関心がある。さらにはその変化についても敏感でいたいと思う。時間を積み重ね、残念だが失敗もいくつか繰り返し、結果として相互理解を共有している。そんなところまで来れないと、「なんか、うまいボウモアないかな」なんて注文には応えられない。僕は僕なりにN氏の「うまい」を理解している。だからこそ彼の注文に応えることができる。他の誰かの「うまい」とN氏の「うまい」は必ずしも重なっている訳ではない。お客さんの趣味嗜好を手に入れるまでには幾らかの時間はかかる。

今回のボウモア、既にテイスティングはしてある。以下の通り。

蒸留所:ボウモア / 瓶詰業者:ダンカン・テーラー社 / 銘柄:ピアレス・コレクション
年度:1982 / 年数:21年 / 度数:57.8%

テイスティング・ノート:
フルーティでしかも非常にコクのあるヨードを感じる。ゆっくりとチョコレートのよう。若干バニラ。
決して甘過ぎず非常に濃い味。ねっとりと舌の上に残る。このコクのあり方、奥行きと幅の広さは甘味によって支えられている訳ではない。心憎いほどの上質なインパクト。さらに驚くほどフルーティ。シロップのようでさえある。そつなく存在感を発揮する辛味が、味を引き立て引き締める。しっかりと化粧香が存在するが、他の様々な要素の中にうまく溶け込み、全体のバランスを下支えしているよう。アルデンテに茹でたパスタの芯のような役割を果たす。

「テイスティング・ノート」ではなく正直に感想を言わせていただくと、旨過ぎてびっくりした。久々に度肝を抜かれた。ぼんやりと切ない未来を想像してしまう。5年後くらいに「あのボウモアが飲みてぇ」、僕は突然叫んでいるような気がする。
今回のこのボウモア、N氏の直接のオファーを受けての発注であったし、ちょっとばかり高額の商品でもあった。やはりどこか中身の質に過剰な心配があったことは否めない。もちろん、期待を裏切れないというプレッシャーは常にあるのだが。
封を切り、栓を抜いて、ボトルから香りが溢れ出た瞬間、95%の確信が舞い降りてきた。「間違いない。この酒はうまい」。自分でも一口飲んでみる。納得である。プレッシャーから解放された感覚がこの時点でのこのシングル・モルトの旨さを引き立てたのは事実だろう。だけどそれでいいと思う。その事が酒を不味くしてくれる訳ではないのだから。それにその後何回飲んでもこの酒の旨さは変わらない。

ボウモア マキロップチョイスそもそも始まりはこちらのボウモア。
昨年の12月にニュー・リリースとして出したボウモア。これがN氏にボウモアに興味を持たせるきっかけになったようだ。そもそもN氏はアイラ・モルトにはさほど興味はなかった。このボウモアにしたって、僕が無理矢理飲ませたようなところもある。この時僕はN氏の好みの幅が広がりそうな予感がしたのだ。「失敗しても構わないから、普段飲まないようなの出してよ」、そんな顔をしていた。おいしさから言えば、今回のボウモアに軍配を上げると思うが、前回のボウモアに驚きがあったのだと思う。素直にびっくりしたのだ。僕の意外な提案に存外の驚きあがり、それを十分に楽しんでいただいたのだと思う。結果として前回のこのボウモアを経由し今回のボウモアにたどり着く。そしてそれを喜んでもらっている。僕としても非常に嬉しい。「してやったり」という思いも含め、そこには僕の働く喜びがある。
しかしこのN氏、なかなかのクセ者である。簡単に「うまい」とは言わない。一口飲んで、フーン、という顔をした後、ニヤリとして、「フフフ」と笑った後、「うまいね」である。しかもちょっとつまらなそうに。確かに、一口飲んでから「うまいね」が出てくるまでの時間を楽しんでるという言い方もできなくない。それが彼のウィスキーの楽しみ方なら僕は文句を言うつもりはない。
そんな事はどうでもいい。その人のウィスキーを楽しむ様が僕に伝われば僕は嬉しい。

グレン・グラント 1970

罰ゲーム
早速であるが、ブラインド・テイスティングで僕がハズしたグレン・グラントが昨日入荷した。昨日は「日本VS北朝鮮」をTV観戦しちょっと遅めの出勤。店に着くとすでに到着済みのグレン・グラントは封を切られ、一昨日のモルト侍を読んだハイエナどもに何杯か飲まれた後だった。本来なら封を切る前にJ’s Bar Malt File用の写真を撮るべきところ。口惜しいがあきらめよう。サッカーごときにうつつを抜かした侍の責任である。しかし侮れないな、ハイエナの嗅覚。

封も切ったことである。テイスティングをしてみた。

蒸留所:グレン・グラント / 瓶詰業者:リキッド・ゴールド社 / 銘柄:ケルティック・レジェンド
年度:1970 / 年数:33年 / 度数:55.3% 
「モルト侍」読者限定特別価格:¥1,200

テイスティング・ノート:
華やかに花のよう。こってり甘いフルーツの香り。酸っぱい蜂蜜。焦がしたカラメル。
きっちりアルコールのインパクト。初めのうち、シャープですらある。程度の良い辛味とともに鼻の奥をくすぐる。シェリーらしい苦味と酸味、渋すぎないのが好印象。不愉快なほどではないが、アクセントをつける程度にエグい。確実にゆっくりと、眠りにつきたくなるほど、非常に甘くなる。大人っぽいデザート。ゆっくりとフルーツの特徴。

正直に言わせてもらおう。僕の心のつぶやきである。 これはこのブログの読者やジェイズ・バーのお客さんに向けた言葉ではない。間違っても言い訳ではない。誤解のないようご了解いただきたい。
ブラインド・テイスティングで飲んだものとちょいと違うんではないか?こんなに固い印象はなかったし、今日開けたグレン・グラントの方がより強くエグ味を感じる。もちろんこのまま暫く時間が経てばこの固い印象やエグ味も治まるのだろう。ブラインド・テイスティングの「問題C」がここまでエグ味があれば間違いなくグレン・グラントと解答したであろうに。

さて、一昨日は言い忘れた。「モルト侍」読者限定特別価格:¥1,200はお一人様一日一杯限りである。

ブラインド・テイスティング

A,B,C,D 4本のボトル
午後8時、スコッチモルト販売の島村二郎さんから、催促の電話が入る。「ブラインド・テイスティングの件。どうなりました?」。来たか。「あぁ、お客さんの分は全部終わってるんだけどね。あとは自分の分だけ、今日中にやっとくよ」。「わかりました。あと2,3件営業に回りますんで、後ほど伺います」。
後ほど、である。明日って言ってくれなかった。つまりこれからやらなければならない。やれやれ、というよりどきどきである。いやいや、うんざりしてはなるまい。

憶えていらっしゃるだろうか?「初荷」というタイトルで記事にした「ブラインド・テイスティング」である。わりとお客さんの反応も良く、すぐに売り切れ完売になってしまった。ついに自分の番である。

逆らわずに順番にやって行こう。
まずAから。一口飲んでピンと来た。固めな印象。鼻をくすぐるスモーキーなピート香。ザラッとした舌触りはあるが爽快。程よい程度の酸味。あれだろう。
次にB。上品とは言い難い側面はあるが、柔らかい印象。奥行きを感じさせる程度に味の濃さもそこそこある。飲み易さを損ねない程度に大袈裟ではなくシェリーの特徴。
そしてCへ。これが非常に悩ましい。おそらく今回の4本の中で一番高価な商品だろう。シェリーカスクの長期熟成もの。ゆっくりと香りに変化が現れる。カラメルのような、カカオのような。
最後にDである。こちらはちょっと難しかった。6つの地域区分からひとつを選ぶ。蒸留所を当てる訳ではない。簡単に2つに絞った。キャンベルタウンかローランドか。考えに考えてひとつを選んだ。

正直に感想を言うと楽しかった。こんなにどきどきしてシングル・モルトを飲んだのは久しぶりな気がする。とりあえず答えはここに書かないが、ご心配なく。僕の解答は既に島村さんの手に渡ってしまった。もう変更のしようがない。結果は今月末だそうだ。結果が出たらご報告する。

A,Bは第一印象をそのまま答えにした。実はBがちょっと心配。微妙にグレン・エルギンかストラスアイラなのではないかなんて思ってる。Cは悩んだが僕が間違っているとすればグレンリベットなのではないか?Dはグレンスコシアと思ったのが間違いか?

いやしかし、楽しかった。今でも楽しい。
その場にいたお客さんも盛り上がっていたようだ。えっ?僕だけ?

全問はずれていたとしても、切腹はしない。
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