「六道さん」と親しまれる「六道珍皇寺」に参詣して御朱印をいただいてきました。

写真をクリックすると大きな画像を見ることができます。

2017年7月3日(月)

祇園界隈の散策をして最後に…
「六道さん」として親しまれる建仁寺の塔頭・「六道珍皇寺」初訪問です。

六道珍皇寺山門。
s-P1060073s-P1060064s-P1060066







謡曲「熊野 清水詣」より。
s-P1060076s-P1060077







寺の創建は平安前期と伝わり、
『源氏物語』で光源氏の母である桐壺更衣の葬儀を行った
愛宕(おたぎ)寺のモデルではないかといわれています。

「六道の辻」、小野篁旧跡、「六道まいり」かぁ…そそられます♡
s-P1060068s-P1060071s-P1060075










六道珍皇寺本堂と「六道の辻」中心付近に建つ三界萬霊供養塔。
s-P1060063s-P1060036s-P1060038







境内はやはりなにか特有の「気」があるように思えるのは、多少なりとも予備知識があるからなのか…

ここは冥界への入口。
「六道」とは、仏教の教義でいう地獄道(じごく)・餓鬼道(がき)・畜生道(ちくしょう)・
修羅(阿修羅)道(しゅら)・人道(人間)・天道の六種の冥界をいい、人は因果応報により、
死後はこの六道を輪廻転生(りんねてんせい)する(生死を繰返しながら流転する)という。
この六道の分岐点で、いわゆるこの世とあの世の境(さかい)(接点)の辻が、
古来よりここ六道珍皇寺の境内あたりであるといわれ、冥界への入口とも信じられてきました。

このような伝説が生まれたのは、当寺が平安京の東の墓所であった鳥辺野※に至る道筋にあたり、
この地で「野辺の送り(のべのおくり)」をされたことにより、
ここがいわば「人の世の無常とはかなさを感じる場所」であったことと、
小野篁が夜毎(よごと)冥府通いのため、
当寺の本堂裏庭にある井戸をその入口に使っていたことによるものでしょう。
この「六道の辻」の名称は、古くは「古事談」にもみえることより、
この地が中世以来より「冥土への通路」として世に知られていたことがうかがえます。

※平安時代以前は、庶民は山中や鴨川の河川敷などに亡骸を捨てていたようですが、
平安時代に入ると、東山山麓の鳥辺野(とりべの)、奥嵯峨の化野(あだしの)、
船岡山の麓の蓮台野(れんだいの)が三大葬送の地として定められました。
葬送の地といっても、火葬は貴族だけで大抵は風葬や鳥葬だったようです。
亡くなった人の魂は山の頂上から天に昇るという山岳信仰があり、
当時の人々は今よりずっと身近に死者の魂を感じながら暮らしていました。

s-P1060008s-P1060007











余談ですが…
ここは平家一門の本拠地・六波羅にもほど近く、あの平清盛が荼毘に付された場所でもあるのですよね。


ひと気のない境内。
もしかしたら、参詣できず御朱印ももらえないかもしれない。
s-P1060041s-P1060042







ダメ元でインターホンを押すと返答があり「ちょっと待っててください」との声が。
s-P1060003s-P1060039
かくして扉は開かれた(^^♪
s-P1060029







ご住職様が缶コーヒーを2本、小盆に乗せて出ていらっしゃったので、
一瞬(?)アセりましたが、むろん、植木を伐採している職人さんへの心づけでしたっ(^^;

本堂内に入れていただいて、御本尊の薬師如来に参詣させていただく間に御朱印帳を預け、
いったん奥に下がられたご住職様が御朱印の後、持って出てきてくださいました。
s-P1060027s-P1060026s-P1060028







いただいた御朱印はこちらです。
s-P1060094s-P1060095









ご住職様は気さくな方で、東京から来たと答えると、
「京都の暑さは東京と比べてすごいでしょう。
だけど今日の暑さなどはまだ序の口。これからもっともっと暑くなるからね」と仰っていました。

☾そうだ京都、行こう。○
京都通へのトビラ「六道珍皇寺住職 坂井田興道さん 前編」 後編
( ..)φメモメモ 科学は万能ではないことを肝に銘じ、
昔に戻れる部分は戻って人間らしい暮らしを考える時が来ているのだと思います。

正直なところ、京都滞在のこの3日間、
東京とは違う「じっとり」とした湿気の強い暑さに辟易としていたので、
これ以上の暑さを受け流している京都の人々は、とても我慢強いのではないかと思われました。

私の後に熟年のご夫婦、若い女性のグループが続けて参られました。
夕暮れの近い境内は閑散としています。
s-P1060030






さぁ。とにかく観ておくべきは、あの井戸でしょうね。

「小野篁 冥府通いの井戸」!
s-P1060009s-P1060010s-P1060011






小野篁が地獄に通った井戸として、ミステリースポットとしてもよく知られています。

s-P1060013s-P1060012







小窓から中を覗くとわずかですが見えました。
s-P1060017s-P1060014s-P1060015







桔梗が凛と♡
s-P1060016







いつか特別拝観の折に、これより中に入って井戸を近くで観たいです。
また、篁が冥界から戻ったとされる井戸も近年発見され、「黄泉がえり之井」と名付けられました。
今も水は枯れずにこんこんと涌き出ていいますが、この井戸はかなり深いとか。
両方併せて観てみたいものです。


冥界の入口と聞くと、何もかもが意味深に思えてきて。
この松も切られた枝の立場からすれば、突然の死を迎えたわけでね…
s-P1060022s-P1060023s-P1060046








「迎え鐘」鐘楼落慶法要はまもなく。7月18日(火)に開催です。
s-P1060031s-P1060044s-P1060053







篁が生きた時代も混迷の時代でした。
篁は地獄で苦しむ衆生を救済する地蔵菩薩に会ったことから、地蔵信仰を広めることを決意。
6体の地蔵(六地蔵)を彫りました。
六地蔵を深く信仰した後白河法皇は、王城鎮護と旅人の路上安全のため、
京の出入り口6カ所に篁が彫った地蔵を祀るよう平清盛に命じたと伝えられます。
8月21日の深夜から23日にかけて行われる「六地蔵めぐり」、
8月24日前後に行われる地蔵盆など篁伝説と京のお盆行事は密接に絡みあっており、
篁の存在なくしては行事の意味もわかりにくくなるようです。

う〜ん。地蔵尊宝。
s-P1060050s-P1060033s-P1060051








境内をキョロ👀キョロ👀
s-P1060045s-P1060061s-P1060062







さて、もうひとつの見どころです。
s-P1060054
閻魔様こわっ!
s-P1060055s-P1060056







そのお隣には小野篁卿。お顔が閻魔様より怖いという声も。
袖が反り返っているのは、冥界にふわっと降り立った様を表現しています。
実物大という身長は186cm。現代でも大柄ですから当時は迫力で畏怖されたでしょうね。
s-P1060058






小野妹子の子孫であり、外交に優れた才気煥発な人で直情径行な性質だったとも。
反骨精神に富んだ言動は時に「野狂」「野宰相」ともいわれました。
孫に能書家で三蹟の一人に数えられる小野道風がいます。
篁は母親の霊に会いたい一心で井戸から地獄へ行きました。
そこで餓鬼道に堕ちて苦しんでいた母親を救うために、
閻魔大王に直談判したのが地獄の冥官となるきっかけです。
以来、篁は地獄とこの世を行き来して閻魔大王に仕えました。


もう3年前になりますが、
国立東京博物館・平成館で「栄西と建仁寺展」が開催されました。
六道珍皇寺から出展されたのは以下の宝物です。

176   珍皇寺堂舎勧進状 1幅 南北朝時代・応安元年(1368) 京都・六道珍皇寺〜4/20
177   珍皇寺参詣曼荼羅 1幅 安土桃山時代・16世紀 京都・六道珍皇寺 
178   熊野観心十界曼荼羅 1幅 江戸時代・17世紀 京都・六道珍皇寺 
179   小野篁・冥官・獄卒立像 院達作 3躯 江戸時代・17世紀 京都・六道珍皇寺
                                     付属品は後期(4/22〜)のみ展示
180   四聖大帝・三官大帝図 1幅 中国・明時代・崇禎16年(1643) 京都・六道珍皇寺 
181   焰口餓鬼図 1幅 中国・明時代・崇禎16年(1643) 京都・六道珍皇寺 
182   十王図 2幅 中国・清時代・18世紀 京都・六道珍皇寺 

こちらのお堂に祀られているお像は、179 で、3年ぶりの再会ということになります。



8月7日〜10日「六道まいり」もいつか行ってみたい♡
s-P1060047







京都では、8月の13日から始まり16日の五山の送り火に終る盂蘭盆(うらぼん)には、
各家に於て先祖の霊を祀る報恩供養が行われますが、
その前の8月7日から10日までの4日間に精霊(御魂 みたま)を迎えるために当寺に参詣する風習があります。
これを「六道まいり」あるいは「お精霊(しょうらい)さん迎え」ともいいます。
これは、平安時代においてこの辺りが墓所の鳥辺山の麓で、
俗に六道の辻と呼ばれた京の東の葬送の地であったこと、それはまさに生死の界(冥界への入口)であり、
お盆には、冥土から帰ってくる精霊たちは、必ずここを通るものと信じられた事に由来しています。


帰り道です。
s-P1060078s-P1060079s-P1060080







再び国内外の観光客で賑わう祇園・花見小路。
ここは「生」が感じられる、まがいもない現世。
s-P1060083






冥府(「死」)につながる六道珍皇寺は、本当に目と鼻の先。
「生」と「死」は実は紙一重の世界なんだろうな、きっと。