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同性愛、三角関係、片想い、禁忌etc…それぞれの恋のかたちを描いた短編集。
三浦しをんは初めて読みます。
この人、キンキのライブによく行くって言ってる人ですよね。それだけは聞いたことあるんだけど他はよくわからぬ。
でも、印象に残る話が多かったかなぁと思いました。
恋愛の短編小説買ってきて大体外す私ですので、ハードルは低かったと思いますが。
でも、また他の作品を買ってみようかなぁという気分にはなる。
以下ネタバレ
永遠に完成しない二通の手紙
岡田のアパートにまた友人の寺島が転がり込んできた。
聞けばラブレターを書くのを手伝ってほしいのだとか。
複雑な思いを秘めながら岡田は寺島に付き合う―
中途半端な形で終わってしまうこの作品は、一番最後に続きがある形でした。
おおう、いきなりかよ、とは思った。

裏切らないこと
妻が幼い息子にとった行動が信じられない<俺>は、幼い頃面識が会った老夫婦を思い出し、「女性の、身内の男性への無防備さ」に想いを馳せる―
冒頭のインパクトが、まぁ、なんとも言えんのですが、さらっと壮絶な、主人公が幼い頃に面識のあった老夫婦。
凄まじいなぁ。そこまでいきたいってことなの主人公?相当奥様にべた惚れな様子。

私たちがしたこと
カフェの雇われ料理人の朋代は結婚式を控えた友人の美紀子のドレスを一緒に作っている。
ある日美紀子はこれを機に、と朋代の過去を聞く。
それは、恋愛をしない朋代のターニングポイントとなった出来事だった―
朋代の、学生時代の秘め事。相手の俊介の覚悟が凄いよ。
朋代の「私たち」を「俺の」に変えてしまった。
ちょっとかっこいいし、怖い。

夜にあふれるもの
同じミッション系の学校に通っていた友人の真理子は昔からちょっとおかしかった。
彼女の夫から「妻がおかしい」と相談されたエルザは、「そんなのは昔からだ」と思いながらも、真理子たちに付き合ってドライブに出かけるが―
エルザの想いの相手は真理子だった。
まぁそれだけの話なんですが、エルザの相手の有坂がいい男だった。
ちゃんと、目の前の相手の「今」を読み取れるんだよな。いい男だなぁ。

骨片
女性の大学進学が珍しかった時代、朱鷺子は大学に進学した。
そして仲間と、素晴らしい恩師に出会う。
しかし憧れていた恩師は、突然死んでしまった。
朱鷺子は、火葬場で恩師の骨の欠片をこっそり懐に納めた―
朱鷺子の実家のあんこ屋での、祖母との話がメインなんだけど正直ばーちゃんの話はよくわからんままだね。
それよりも想う相手の骨を自分の家の墓に、祖母の骨と一緒に埋め、自らは独り身の覚悟を固めて同じ墓に入るという思いの強さ激しさが凄いです。
肉体の欠片を自分のものとする。確かに究極でありますな。普通はそこまでいかないもの。

ペーパークラフト
夫・始の学生時代の後輩だという勇二はいつの間にか始がいないときにも部屋に来るようになっていた。
その真相は―
三角関係と思いきやもっとミステリ風味。
このモヤモヤ感と、夫婦ってどんな形であれ当人同士納得してれば形として成り立つのだなぁみたいな話なんですけど、これはあれです!始を西島さん、勇二をおだじょで作品化すればいいと思います!!!
それに尽きる!!!

森を歩く
あるパーティー会場の受付をしていたうはねは、大学教授の連れでやってきた摩訶不思議な男・捨松と出会い、気付いたら同棲をしていた。婚姻届を出す直前の関係なのに、うはねは捨松の職業も知らない。
突然ふらりと消える捨松を怪しんで、うはねはこっそり後を追いかける―
ノロケ話っていうか、バカップルかこの野郎っていう可愛い話です。
ただ私は捨松みたいな人そんな好きじゃないんで、そこまで惹かれなかったかなー。

優雅な生活
会社の同僚に感化されてロハスな生活を始めようとするさより。
同棲する俊明の共感を得られずキレてしまうが、そんなさよりを見て俊明が一念発起。
さよりもびっくりするくらいの本気度でロハス生活を始めてしまう―
これも可愛いバカップル話(笑)。
こっちは可愛いです、凄く好きです。
可愛いです、ほんと。

春太の毎日
麻子に無償の愛を注ぐ春太。
自分以外の、別の男が家に来てもその愛は揺らがず、むしろ男共々受け入れる春太の愛の行方やいかに。
ほのぼの可愛らしい話ですね。春太の無償の愛は素晴らしいよ。こうであってほしいという願望かな。
最後の春太の独白は、一途な愛です。春太!!いいね!!(笑)
ここまで一途なのはある意味素晴らしいぞ。

冬の一等星
映子はときどき車の後部座席で寝る。
そして、昔を思い出す。昔わたしは、誘拐されたのだった―
得体の知れない男と少女の深夜のドライブ、いいですね、こういうシチュエーションは好き。
ロードムービーとかになりそう。
この得体の知れない男・文蔵はナオさんなんかで観たいなぁ。
得体の知れなさと、子供には優しそうな(ボーダーで子供殺してたけど)雰囲気と、それでいてヤバイ雰囲気と。
若い男って設定なんだけどナオさんで観たいなぁ。

永遠につづく手紙の最初の一文
冒頭の作品と対になる、岡田と寺島の高校時代の話。
文化祭の途中で倉庫に閉じ込められた2人の顛末。
ベタだなぁ〜と思いながら読んでいた(笑)。
著者、どうやらこういった方面がお得意な方みたいで、なるほどと思いながら読む。
甘酸っぱい学生時代の思い出、にするには岡田くんには酷なのかなと、冒頭の作品を思い出すとそう感じますね。苦いな。


11編もあると、興味がないと大体ぼやけてっちゃうんですけどこの作品はわりとそういうことがなかったので、合ってたのかなという気がしました。