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「師の君」中島歌子の門下生・花圃は、歌子の入院の知らせを受け、彼女を見舞い、そして彼女の自宅を訪れる。
そこで花圃は、歌子の手記を目にした。
歌子の手記には、水戸藩の壮絶な歴史と、その藩士に嫁いだ彼女自身の人生が記されていた。

直木賞を獲った作品ですね。
幕末の水戸藩を題材にするのに似つかわしくないタイトルだよなぁという思いは正直消えないのですが、まぁそれだけ激烈な恋してたっていう話もあるのか。
『光圀伝』のときも感じたけれど、資料を通してしか知らない歴史がこうやって読ませるものになると、本当にドラマティックになるのだなぁということを本書からも感じました。
以下ネタバレ
幕末の水戸藩というと、天狗党と諸生党の、血を血で洗う殺戮ショーが有名ですが、これが小説になると本当にエグいよねという話である。
資料で読むと良くも悪くも無味無臭なので、歴史的事実として受け止めるのにさほど労力はいらないんですが、小説という「読み物」にするとそこらへんが真に迫ってくるよねー。
んでもって、殺戮ショーを行っている本人らが主役だったらまだ良くて、殺戮ショーするくらいだからどこか頭のネジが飛んでるし、そういう奴がメインだとなんかよくわからん高揚感なんてものも出てくるんだけど、そうじゃないところがまたエグい。
そういった水戸藩士のもとへ嫁ぎ、その動乱に身を置きながらも女子として何もできない登世(後の歌子)や、彼女と同じような女性がメインだからこそ凄惨でエグくて、辛い。
細かいことすっ飛ばして「あーあーあー本当に内紛めんどくせー絶対関わりたくねー殺し合いってほんとメリットねぇわー」っていう感想しか出てこないですね。
別に内紛だけじゃないよ、殺し合いそのもの。本当に、何もメリットないわ。
水戸藩は幕末の中でも相当エグい内紛起こしたところで、だから明治になって人材がぜーんぜん残っていなかったことでも有名ですけど、そういうことも含めて、本当殺し合いとかメリットがない。少なくとも一般人にとっては。
それをとても強烈に感じる作品です。強烈すぎてそこしか感想がないともいう。