内縁の夫が死んだ。
驚いたことに、彼は偽名を使っていた。
考えてみれば彼のことを何も知らない。義手だったことすら気づかなかった。
秋月雅代は彼が一体何者なのかを探るため、夫が遺した小説を手に取る。
それは、連続少年誘拐事件の物語であった。



折原一!!
懐かしい、懐かしすぎる。
篠田真由美もそうだったけれど、折原一も学生の頃読み漁った作家さんであります。
ここへ来て新刊出てたんだよ、懐かしすぎて手に取ったら変わらずの作風って感じであった。
もうとにかく懐かしい、の一言。
以下ネタバレ
秋月雅代が小説を手掛かりに、しかも前夫のストーキングに怯えながら内縁の夫の正体を探るパートと、その秋月が読んでいる小説の中の、「僕」が連続少年誘拐事件に迫るパートが交互に進んでいくスタイル、入れ子構造というかこういう形のものは珍しくはないんですけどこれを折原さんでやられると格別感ありますよね。
それで気づいたらどちらが現実なのか、時系列はどうなってるのか、をけむに巻かれて「あれ?どっちがどっちで????」みたいな、読後感のモヤモヤさが凄い、良し悪しというよりも「これぞ折原一だぁぁぁ!!」と叫びたくなる感じです。
秋月のパートはまぁ、彼女が自ら破滅に向かっていくような感じがあるし前夫がなんであんなに秋月の行動を読めるのかというのも想像がつくしそこまで芸がある進み方ではないと思うのだけど、それに対して「僕」のパートは、いやまぁ想像つくところはあるけどギロチンの場面とかわかってても先が気になる作り。
それにしてもわりとぶっ飛んだ感覚の登場人物たちで、苦笑いは否めないんですけどね。でもまぁ折原さんっぽいといえば折原さんっぽいんだよなぁ。
とにかくこの作品のキーは「左手」だろうな。
いやそれにしても、懐かしかったです。