STAND BY ME ドラえもん(2014年 日本)

監督/ 八木竜一、山崎貴
脚本/山崎貴
原作/ 藤子・F・不二雄
製作/2014「STAND BY ME ドラえもん」製作委員会
音楽/ 佐藤直紀
声の出演/水田わさび、大原めぐみ、かかずゆみ、木村昴、関智一
予告編
<あらすじ>
藤子・F・不二雄生誕80周年を記念して製作された「ドラえもん」シリーズ初の3DCGアニメーション。原作から厳選されたエピソードを再構成し、ドラえもんとのび太の出会いから別れまでを描いた。「フレンズ もののけ島のナキ」を手がけた八木竜一と「永遠の0」「ALWAYS 三丁目の夕日」の山崎貴が共同監督。何をやらせても冴えない少年のび太のもとに、22世紀の未来から、ネコ型ロボットのドラえもんがやってくる。のび太の孫の孫にあたるセワシが、ご先祖様であるのび太の悲惨な未来を変えるために送り込まれたドラえもんだったが、当のドラえもんはあまり乗り気ではない。セワシはそんなドラえもんにやる気を出させるため、のび太を幸せにしない限り22世紀に帰ることができないプログラムを仕込む。かくして仕方なくのび太の面倒をみることになったドラえもんは、のび太がクラスメイトのしずかちゃんに好意を抱いていることを知り、のび太としずかちゃんが結婚できる明るい未来を実現するため、数々の未来の道具を駆使してのび太を助けるが……。トヨタ自動車のCMで大人になったのび太を演じている俳優の妻夫木聡が、青年のび太の声優として参加している。(映画.comより)
映画ドットコムの解説がいつになく長い・・・。
さて、「モンスターズ」を見ている間に「グランドブタペストホテル」等の重要策を見逃したため、金銭的な節約なためにも「地雷映画」はなるべく避けて、「本当に見たい映画を見よう」「重要作だと思う映画しか見ない」という誓いを立てた訳ですが、この映画は避けては通れませんでした。
「ドラえもん」を3DCGで、山崎貴監督が描く。いわゆる「YAMAZAKI METHOD」ばりばりの、「STAND BY ME」という副題がついて、アレ感ばりばりのこの映画。しかし、ドラえもんを再解釈して、こんな大々的に作るとなれば、避けては通れません。実際ヒットしている訳ですし、今年の重要作であることも間違いないし・・・。
それにしても、なんですか?このキャッチコピー。「ドラ泣き」って。ポスターも泣いているドラえもん。予告編を見ても、原作の感動エピソードを並べた映画ということが前面に押し出されていて、本当に嫌悪感しかありません。
そういえば、「BALLAD 名もなき恋の歌」の特報ポスターも、こんな感じでしたね。

気持ち悪い!気持ち悪いよおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!
自動的に泣きたいのであれば、映画なんか見せる必要ないでしょ!!泣かせる前提の映画なんてくそくらえだ!映画を見た時の感情なんて、見た方に好きに決めさせろよ!!!!
という文句が書きたくて、見に行った訳ですが・・・

監督/ 八木竜一、山崎貴
脚本/山崎貴
原作/ 藤子・F・不二雄
製作/2014「STAND BY ME ドラえもん」製作委員会
音楽/ 佐藤直紀
声の出演/水田わさび、大原めぐみ、かかずゆみ、木村昴、関智一
予告編
<あらすじ>
藤子・F・不二雄生誕80周年を記念して製作された「ドラえもん」シリーズ初の3DCGアニメーション。原作から厳選されたエピソードを再構成し、ドラえもんとのび太の出会いから別れまでを描いた。「フレンズ もののけ島のナキ」を手がけた八木竜一と「永遠の0」「ALWAYS 三丁目の夕日」の山崎貴が共同監督。何をやらせても冴えない少年のび太のもとに、22世紀の未来から、ネコ型ロボットのドラえもんがやってくる。のび太の孫の孫にあたるセワシが、ご先祖様であるのび太の悲惨な未来を変えるために送り込まれたドラえもんだったが、当のドラえもんはあまり乗り気ではない。セワシはそんなドラえもんにやる気を出させるため、のび太を幸せにしない限り22世紀に帰ることができないプログラムを仕込む。かくして仕方なくのび太の面倒をみることになったドラえもんは、のび太がクラスメイトのしずかちゃんに好意を抱いていることを知り、のび太としずかちゃんが結婚できる明るい未来を実現するため、数々の未来の道具を駆使してのび太を助けるが……。トヨタ自動車のCMで大人になったのび太を演じている俳優の妻夫木聡が、青年のび太の声優として参加している。(映画.comより)
映画ドットコムの解説がいつになく長い・・・。
さて、「モンスターズ」を見ている間に「グランドブタペストホテル」等の重要策を見逃したため、金銭的な節約なためにも「地雷映画」はなるべく避けて、「本当に見たい映画を見よう」「重要作だと思う映画しか見ない」という誓いを立てた訳ですが、この映画は避けては通れませんでした。
「ドラえもん」を3DCGで、山崎貴監督が描く。いわゆる「YAMAZAKI METHOD」ばりばりの、「STAND BY ME」という副題がついて、アレ感ばりばりのこの映画。しかし、ドラえもんを再解釈して、こんな大々的に作るとなれば、避けては通れません。実際ヒットしている訳ですし、今年の重要作であることも間違いないし・・・。
それにしても、なんですか?このキャッチコピー。「ドラ泣き」って。ポスターも泣いているドラえもん。予告編を見ても、原作の感動エピソードを並べた映画ということが前面に押し出されていて、本当に嫌悪感しかありません。
そういえば、「BALLAD 名もなき恋の歌」の特報ポスターも、こんな感じでしたね。

気持ち悪い!気持ち悪いよおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!
自動的に泣きたいのであれば、映画なんか見せる必要ないでしょ!!泣かせる前提の映画なんてくそくらえだ!映画を見た時の感情なんて、見た方に好きに決めさせろよ!!!!
という文句が書きたくて、見に行った訳ですが・・・
私とドラえもんの繋がりは、案外深いです。何と言っても、小学生の頃にドラえもんにお手紙を書いて以来、毎年ドラえもん(藤子プロ)から年賀状と暑中見舞いをいただいているくらいですから。
このあたり、手塚治虫先生にファンレターを送って返事が来たことを大切な思い出としている(藤子不二雄A先生の「漫画道」参照)藤本先生の思いがスタッフに受け継がれているのだなあと、本当にその誠実さには感動と感謝の思いでいっぱいです。毎年もらうあのお手紙が、自分の創作活動に勇気を与えてくれていると言っても過言ではありません。
ただ、私自身「のび太の宇宙漂流記」以降「映画ドラえもん」シリーズを映画館に見に行くこともなくなったこともあり、正直はなれてしまったファンの一人と言われても文句は言えないと、少し反省の気持ちもあります。
さて、改めて山崎貴監督と言えば、「Always 三丁目の夕日」など、安ーい感動とステレオタイプのノスタルジーで、安易な上辺だけの感情を観客に植え付けて大ヒットを飛ばしている名匠として、名高い日本を代表する映画監督です。
本人は以前より「ドラえもん」の大ファンを自負しており、映画監督デビュー作「ジュブナイル」は藤子・F・不二夫先生に捧げているくらいです。
この「ジュブナイル」は、ネットで公開されるや否や、あまりにも出来が良すぎて「公式」と勘違いされて波乱を呼び、小学館が泣く泣く削除要請し、作者もそれを了承したにも関わらず、今でも拡散し続けている困った同人漫画「ドラえもん 最終回」を基にしているというのです。そのため、藤子・F・不二夫先生に捧げているのですね。
(ちなみに、この「ドラえもん 最終回」が掲載されているサイトへのリンクは、この漫画を書いた作者の意思を尊重して貼りません。Googleなどで調べたら出てきますので、知らなくて気になる方はそちらで)
そんな思い入れたっぷりの山崎貴監督が、「ドラえもん」を描いたらどうなるのか。その点は非常に興味がありました。
それにしてもこの企画、最初に書いた通り嫌悪感しか私は抱きません。
そもそも映画「ドラえもん」というシリーズは、ものすごく神聖な映画シリーズです。「ドラえもん」の映画シリーズは今年で35作。「21エモン 宇宙へいらっしゃい」の併映だった「ぼく、桃太郎なんなのさ」を除けば、全て映画用に書き下ろされた作品です。(「のび太の恐竜2006」などのリメイク作品も除きますが)
この、「ぼく、桃太郎なんなのさ」を除けば映画シリーズは全34作ですね。
しかも、「ねじまき都市冒険記」までは原作者の藤子・F・不二夫先生が脚本にも関わり、映画公開までの1年間コロコロコミックで「大長編ドラえもん」として、映画の原作を連載していたという力の入れようです。どうして、ここまでしていたのかと言えば、藤子先生を含めて、トキワ荘世代の漫画家にとって、映画というものが憧れの対象であったからではないでしょうか。「サイボーグ009」などの石ノ森章太郎先生も、「小説家か映画監督になりたかった」と言っていましたし、トキワ荘メンバーでアニメスタジオ「スタジオ・ゼロ」を立ち上げていたほどです。それだけ、映画というものが特別だったのです!
だからこそ、ドラえもんの映画には原作者自身、並々ならぬ力を入れていたし、毎回映画ならではの舞台と仕掛けを用意することに、重点を置いてきました。映画だからこそ、恐竜時代や海底や、宇宙などを舞台にドラえもんたちをのびのびと大冒険させることができると、それは楽しんで、なおかつ苦しみながらストーリーを書いていたことでしょう。
もう一度言います!「映画ドラえもん」というものは、それほど神聖なのです!!
だからこそ、藤本先生が亡くなったあとも、映画はオリジナル作品にこだわってきた訳ですし、併映で単行本の名作を映画化する際も、細心の注意が払われていたのだと思います。
だから、原作の名エピソードをつなげて一本の映画にするという安易なこの企画自体に、心の底から嫌悪感を抱きます!!
とはいえ、CGが登場して以来、映画ドラえもんのオープニングや各種CMなどでくりかえし3Dで描かれてきたドラえもんが、現在の技術でどのように描かれるか、とても楽しみに映画を見に行きました!それに、私の気持ちはともかく「子供が楽しめる映画になっていればそれで良い!」それだけです!
そういえば、「ドラミ&ドラえもんズ」の試写を見たときに、藤本先生は「展開が速すぎる、これじゃ子供がついて来れない」と苦言を呈したけど、実際に公開されて子供たちが楽しんでいる姿を見て、「子供が楽しんでいるから、良い映画」だと、前言撤回したというエピソードもあるそうですよ。なんていい人なんだ・・・。
というわけで、私の点数ですが
0点/10!のび太だけに!!
この点数を愛を込めて送ります。のび太だけに!(二度言った)映画館は、お盆休みということもあり、子供連れのご家族でほぼ満員。最初は結構ざわざわしていましたが、最後は大人も子供も食い入るように見ていたので、これはこれで良いのではないでしょうか。言いたいこともありますけど、私も少し泣きそうになりました。っていうか、単行本を手に取るだけで涙が出るようなエピソードを並べている訳ですから、自動的に涙は出ますよ。。。
というわけで、ここから私の感想です。褒めるところもあるけど、たいてい批判です!ネタバレを含めて、色々注意してください!!!
この映画、ドラえもんが現代にやってくる所からストーリーがはじまります。このあたりの、原作からの改変が非常に良いですね。ドラえもんはセワシにプログラムされて嫌々現代にやってくる訳です!バディものの王道!この改変、ものすごく好きでした。それに、初めてタケコプターを使うところの、うまくコントロールできないところなんかも子供たちにも馬鹿受けで楽しかったし、空を飛ぶ爽快さも最高でした!
そこから、ドラえもんとのび太が友情を育んでいくエピソードを入れながら、物語を紡いでいくんだろうなあと、思った訳ですが・・・。
これを一本の映画としてみた時、やっぱりダメです!クソです!最低です!
未完のまま終わってしまった平常運転のドラえもんのストーリーを、一本の映画としてまとめるというのは、面白いと言えば面白いです。けど、その試みがうまくいっていない!
恐らく、海外市場、特に「ドラえもん」の人気がないアメリカなども視野に入れているのでしょうが、恐らくこれでは受け入れられません。
結局、「ドラえもん」についての「常識」に頼っているところが多すぎる!!
本当の「ドラえもん」をよく知らない教育学者とかの偉い先生が、よく「ドラえもんはのび太が困ったら道具を出して解決するから、のび太が成長しない。教育に悪い」といったことを言ったりしていた時代がありました。今でもそう思っている人もいるかも。ドラえもんをちゃんと読んでいれば、このような批判がまとはずれなことは分かると思います。また、アジアで大人気なドラえもんも、アメリカでは不人気な訳ですが、その理由は「のび太がすぐに泣くし、ドラえもんに頼るから嫌い」ということらしいです。まず、それを覆すために、のび太の成長を描かなければいけない。そして、その過程でドラえもんとの友情が生まれていくエピソードや、しずかちゃんがのび太を見直すエピソードを描かなければいけない!
けれど、そうしたエピソードが序盤から中盤にかけて、うやむやにされている訳ですよ!どうしてドラえもんとあんなに仲良しになれるかが分からない!ただ道具で楽しく遊んでいただけじゃん!いうなれば、「嫌々付き合っていたダメダメな彼氏と、長い時間一緒にいたからいつの間にか情が移った」くらいにしか見えないんです!ドラえもんって、母親みたいなところもありますけど、基本的には友達!だからこそのび太を見下ろさないように身長が低いんです!だから、のび太も途中から対等になっていかないといけない!!
ドラえもんは、約20年ほどの連載期間に、単行本未収録のエピソードも含めて、ものすごく多いエピソードが作られました。そのエピソードひとつひとつの積み重ねの中で、キャラクターたちの性格も少しずつ確立されてきました。例えば、「のび太はダメな奴だけど、いざというときには頑張るし、ものすごく優しい」とか、「ジャイアンは乱暴者だけど友達思い」とか。連載初期には、そうした性格がしっかりと出来ていたとは思えません。漫画ではドラえもんとも最初から仲良しだったし。
だから、例えば「のび太の結婚前夜」とか、そういうエピソードっていうのは、そうしたエピソードの積み重ねがないと、見た人には理解できないんです。ただ、原作エピソードにはそうした成長を描くストーリーは例えば「さらばキー坊」とか、「台風のフー子」とか、少し大きなストーリーになってしまい、今回の映画に入れ込むとすると浮いてしまいそうなエピソードばかり。
批判覚悟でオリジナルストーリーでもいいから、のび太の成長や、のび太の優しさを描くエピソードをもっと入れないと、ドラえもんとの友情が生まれる理由も、しずかちゃんがのび太を選んだ理由も弱いと思うんです!例えば、泳げないのにも関わらず、溺れた猫を助けようとするとかさ!色々あるでしょうが!そこでドラえもんに助けられても、それは別にかまわないですよ!
しかし、この映画では「ドラえもんの力で色々うまくいくようになった」→「自分でも努力した」→「けどうまくいかなくていじけた」→「しずかちゃんが助けてくれて、ナイチンゲール効果」→「後は野となれ山となれ」です。
これ、元のドラえもんを知らなかったら全く納得いかないですよね!
このストーリーだと、「ダメな奴でもめっちゃ気にしてくれる友達や、面倒見てくれる女の子がきっと現れてくれると子供に思われる」と言われても仕方ありません!教育に悪いよ!!
とは言っても、「雪山のロマンス」のエピソードで、大人になったのび太が助けにきてくれるとか、やっぱり良い改変だったし、「さようならドラえもん」のエピソードを入れて、のび太がジャイアンに立ち向かう場面を入れたこともあって、その過程の部分がなくても、それなりにのび太が成長したことが伝わるかもしれません。
※ここから超ネタバレです!
特に、ドラえもんを安心して未来へ返すためにのび太がジャイアンに一人で立ち向かう場面は、嫌が応にものび太の成長が伝わってくるし、涙なくしてみれません。
だからこそ、「さようならドラえもん」のエピソードをラストにしてほしかった! 帰ってくるなよドラえもん!!!未来ののび太に、ドラえもんとの別れも示唆させてるんだからさ!
ドラえもんは子供の時だけの思い出だからこそ、あそこで帰ったまま映画が終われば、この映画は成功だったんじゃないですか?
成長しかけたのび太に、ドラえもんはもう必要なくなって、そしてこれから一人で頑張って生きていくのび太の姿を描いていたら、ものすごく感動しましたよ!けど、そこでドラえもんが帰ってきてしまったら元の木阿弥でしょう!「かくして、のび太くんは必要なくなった子守役と再会することで、だらだらとぬるま湯のような生活を続けていくのでした。めでたしめでたし・・・」
て、ふざけんナーーーーーーー
結局この映画は、一本の映画として成り立たせるつもりでドラえもんを作っては見たけれど、最終的には終わらない日常を続ける、平常運転のドラえもんよりもタチの悪いいびつな映画版ドラえもんとなってしまった訳でした。
あそこでドラえもんが帰ってこなければ「やるじゃん!」と思ったのに!!68点か、32点になったのに!(どちらものび太が褒められたテストの点数)
至極残念です。
エンディングにNG集を入れたり、かなりピクサーを意識していたようですが、制作者はトイストーリーとトイストーリー3を、100万回見直してから、この映画に挑戦してください!
関連作
山崎貴監督デビュー作。
三丁目の夕日
安易なクソ映画
製作された皆さんは、改めてこの映画を3億回ほど見ましょう。
今回学んだこと
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このあたり、手塚治虫先生にファンレターを送って返事が来たことを大切な思い出としている(藤子不二雄A先生の「漫画道」参照)藤本先生の思いがスタッフに受け継がれているのだなあと、本当にその誠実さには感動と感謝の思いでいっぱいです。毎年もらうあのお手紙が、自分の創作活動に勇気を与えてくれていると言っても過言ではありません。
ただ、私自身「のび太の宇宙漂流記」以降「映画ドラえもん」シリーズを映画館に見に行くこともなくなったこともあり、正直はなれてしまったファンの一人と言われても文句は言えないと、少し反省の気持ちもあります。
さて、改めて山崎貴監督と言えば、「Always 三丁目の夕日」など、安ーい感動とステレオタイプのノスタルジーで、安易な上辺だけの感情を観客に植え付けて大ヒットを飛ばしている名匠として、名高い日本を代表する映画監督です。
本人は以前より「ドラえもん」の大ファンを自負しており、映画監督デビュー作「ジュブナイル」は藤子・F・不二夫先生に捧げているくらいです。
この「ジュブナイル」は、ネットで公開されるや否や、あまりにも出来が良すぎて「公式」と勘違いされて波乱を呼び、小学館が泣く泣く削除要請し、作者もそれを了承したにも関わらず、今でも拡散し続けている困った同人漫画「ドラえもん 最終回」を基にしているというのです。そのため、藤子・F・不二夫先生に捧げているのですね。
(ちなみに、この「ドラえもん 最終回」が掲載されているサイトへのリンクは、この漫画を書いた作者の意思を尊重して貼りません。Googleなどで調べたら出てきますので、知らなくて気になる方はそちらで)
そんな思い入れたっぷりの山崎貴監督が、「ドラえもん」を描いたらどうなるのか。その点は非常に興味がありました。
それにしてもこの企画、最初に書いた通り嫌悪感しか私は抱きません。
そもそも映画「ドラえもん」というシリーズは、ものすごく神聖な映画シリーズです。「ドラえもん」の映画シリーズは今年で35作。「21エモン 宇宙へいらっしゃい」の併映だった「ぼく、桃太郎なんなのさ」を除けば、全て映画用に書き下ろされた作品です。(「のび太の恐竜2006」などのリメイク作品も除きますが)
この、「ぼく、桃太郎なんなのさ」を除けば映画シリーズは全34作ですね。
しかも、「ねじまき都市冒険記」までは原作者の藤子・F・不二夫先生が脚本にも関わり、映画公開までの1年間コロコロコミックで「大長編ドラえもん」として、映画の原作を連載していたという力の入れようです。どうして、ここまでしていたのかと言えば、藤子先生を含めて、トキワ荘世代の漫画家にとって、映画というものが憧れの対象であったからではないでしょうか。「サイボーグ009」などの石ノ森章太郎先生も、「小説家か映画監督になりたかった」と言っていましたし、トキワ荘メンバーでアニメスタジオ「スタジオ・ゼロ」を立ち上げていたほどです。それだけ、映画というものが特別だったのです!
だからこそ、ドラえもんの映画には原作者自身、並々ならぬ力を入れていたし、毎回映画ならではの舞台と仕掛けを用意することに、重点を置いてきました。映画だからこそ、恐竜時代や海底や、宇宙などを舞台にドラえもんたちをのびのびと大冒険させることができると、それは楽しんで、なおかつ苦しみながらストーリーを書いていたことでしょう。
もう一度言います!「映画ドラえもん」というものは、それほど神聖なのです!!
だからこそ、藤本先生が亡くなったあとも、映画はオリジナル作品にこだわってきた訳ですし、併映で単行本の名作を映画化する際も、細心の注意が払われていたのだと思います。
だから、原作の名エピソードをつなげて一本の映画にするという安易なこの企画自体に、心の底から嫌悪感を抱きます!!
とはいえ、CGが登場して以来、映画ドラえもんのオープニングや各種CMなどでくりかえし3Dで描かれてきたドラえもんが、現在の技術でどのように描かれるか、とても楽しみに映画を見に行きました!それに、私の気持ちはともかく「子供が楽しめる映画になっていればそれで良い!」それだけです!
そういえば、「ドラミ&ドラえもんズ」の試写を見たときに、藤本先生は「展開が速すぎる、これじゃ子供がついて来れない」と苦言を呈したけど、実際に公開されて子供たちが楽しんでいる姿を見て、「子供が楽しんでいるから、良い映画」だと、前言撤回したというエピソードもあるそうですよ。なんていい人なんだ・・・。
というわけで、私の点数ですが
0点/10!のび太だけに!!
この点数を愛を込めて送ります。のび太だけに!(二度言った)映画館は、お盆休みということもあり、子供連れのご家族でほぼ満員。最初は結構ざわざわしていましたが、最後は大人も子供も食い入るように見ていたので、これはこれで良いのではないでしょうか。言いたいこともありますけど、私も少し泣きそうになりました。っていうか、単行本を手に取るだけで涙が出るようなエピソードを並べている訳ですから、自動的に涙は出ますよ。。。
というわけで、ここから私の感想です。褒めるところもあるけど、たいてい批判です!ネタバレを含めて、色々注意してください!!!
この映画、ドラえもんが現代にやってくる所からストーリーがはじまります。このあたりの、原作からの改変が非常に良いですね。ドラえもんはセワシにプログラムされて嫌々現代にやってくる訳です!バディものの王道!この改変、ものすごく好きでした。それに、初めてタケコプターを使うところの、うまくコントロールできないところなんかも子供たちにも馬鹿受けで楽しかったし、空を飛ぶ爽快さも最高でした!
そこから、ドラえもんとのび太が友情を育んでいくエピソードを入れながら、物語を紡いでいくんだろうなあと、思った訳ですが・・・。
これを一本の映画としてみた時、やっぱりダメです!クソです!最低です!
未完のまま終わってしまった平常運転のドラえもんのストーリーを、一本の映画としてまとめるというのは、面白いと言えば面白いです。けど、その試みがうまくいっていない!
恐らく、海外市場、特に「ドラえもん」の人気がないアメリカなども視野に入れているのでしょうが、恐らくこれでは受け入れられません。
結局、「ドラえもん」についての「常識」に頼っているところが多すぎる!!
本当の「ドラえもん」をよく知らない教育学者とかの偉い先生が、よく「ドラえもんはのび太が困ったら道具を出して解決するから、のび太が成長しない。教育に悪い」といったことを言ったりしていた時代がありました。今でもそう思っている人もいるかも。ドラえもんをちゃんと読んでいれば、このような批判がまとはずれなことは分かると思います。また、アジアで大人気なドラえもんも、アメリカでは不人気な訳ですが、その理由は「のび太がすぐに泣くし、ドラえもんに頼るから嫌い」ということらしいです。まず、それを覆すために、のび太の成長を描かなければいけない。そして、その過程でドラえもんとの友情が生まれていくエピソードや、しずかちゃんがのび太を見直すエピソードを描かなければいけない!
けれど、そうしたエピソードが序盤から中盤にかけて、うやむやにされている訳ですよ!どうしてドラえもんとあんなに仲良しになれるかが分からない!ただ道具で楽しく遊んでいただけじゃん!いうなれば、「嫌々付き合っていたダメダメな彼氏と、長い時間一緒にいたからいつの間にか情が移った」くらいにしか見えないんです!ドラえもんって、母親みたいなところもありますけど、基本的には友達!だからこそのび太を見下ろさないように身長が低いんです!だから、のび太も途中から対等になっていかないといけない!!
ドラえもんは、約20年ほどの連載期間に、単行本未収録のエピソードも含めて、ものすごく多いエピソードが作られました。そのエピソードひとつひとつの積み重ねの中で、キャラクターたちの性格も少しずつ確立されてきました。例えば、「のび太はダメな奴だけど、いざというときには頑張るし、ものすごく優しい」とか、「ジャイアンは乱暴者だけど友達思い」とか。連載初期には、そうした性格がしっかりと出来ていたとは思えません。漫画ではドラえもんとも最初から仲良しだったし。
だから、例えば「のび太の結婚前夜」とか、そういうエピソードっていうのは、そうしたエピソードの積み重ねがないと、見た人には理解できないんです。ただ、原作エピソードにはそうした成長を描くストーリーは例えば「さらばキー坊」とか、「台風のフー子」とか、少し大きなストーリーになってしまい、今回の映画に入れ込むとすると浮いてしまいそうなエピソードばかり。
批判覚悟でオリジナルストーリーでもいいから、のび太の成長や、のび太の優しさを描くエピソードをもっと入れないと、ドラえもんとの友情が生まれる理由も、しずかちゃんがのび太を選んだ理由も弱いと思うんです!例えば、泳げないのにも関わらず、溺れた猫を助けようとするとかさ!色々あるでしょうが!そこでドラえもんに助けられても、それは別にかまわないですよ!
しかし、この映画では「ドラえもんの力で色々うまくいくようになった」→「自分でも努力した」→「けどうまくいかなくていじけた」→「しずかちゃんが助けてくれて、ナイチンゲール効果」→「後は野となれ山となれ」です。
これ、元のドラえもんを知らなかったら全く納得いかないですよね!
このストーリーだと、「ダメな奴でもめっちゃ気にしてくれる友達や、面倒見てくれる女の子がきっと現れてくれると子供に思われる」と言われても仕方ありません!教育に悪いよ!!
とは言っても、「雪山のロマンス」のエピソードで、大人になったのび太が助けにきてくれるとか、やっぱり良い改変だったし、「さようならドラえもん」のエピソードを入れて、のび太がジャイアンに立ち向かう場面を入れたこともあって、その過程の部分がなくても、それなりにのび太が成長したことが伝わるかもしれません。
※ここから超ネタバレです!
特に、ドラえもんを安心して未来へ返すためにのび太がジャイアンに一人で立ち向かう場面は、嫌が応にものび太の成長が伝わってくるし、涙なくしてみれません。
だからこそ、「さようならドラえもん」のエピソードをラストにしてほしかった! 帰ってくるなよドラえもん!!!未来ののび太に、ドラえもんとの別れも示唆させてるんだからさ!
ドラえもんは子供の時だけの思い出だからこそ、あそこで帰ったまま映画が終われば、この映画は成功だったんじゃないですか?
成長しかけたのび太に、ドラえもんはもう必要なくなって、そしてこれから一人で頑張って生きていくのび太の姿を描いていたら、ものすごく感動しましたよ!けど、そこでドラえもんが帰ってきてしまったら元の木阿弥でしょう!「かくして、のび太くんは必要なくなった子守役と再会することで、だらだらとぬるま湯のような生活を続けていくのでした。めでたしめでたし・・・」
て、ふざけんナーーーーーーー
結局この映画は、一本の映画として成り立たせるつもりでドラえもんを作っては見たけれど、最終的には終わらない日常を続ける、平常運転のドラえもんよりもタチの悪いいびつな映画版ドラえもんとなってしまった訳でした。
あそこでドラえもんが帰ってこなければ「やるじゃん!」と思ったのに!!68点か、32点になったのに!(どちらものび太が褒められたテストの点数)
至極残念です。
エンディングにNG集を入れたり、かなりピクサーを意識していたようですが、制作者はトイストーリーとトイストーリー3を、100万回見直してから、この映画に挑戦してください!
関連作
山崎貴監督デビュー作。
三丁目の夕日
安易なクソ映画
製作された皆さんは、改めてこの映画を3億回ほど見ましょう。
今回学んだこと
とりあえず、ドラえもんの名エピソードはそれを見せられるだけで涙腺緩むけど、それで良い映画になる訳ではない!
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コメント
コメント一覧 (2)
ひみつ道具ミュージアムではオリジナルの逸話を盛り込んで短い尺の中で上手く表現できていたのに・・・
スタッフの技量の差なのか、ドラ愛の差なのか
2人の友情の薄さは、完全に描写不足ですよね。のび太がドラえもんのために何かをする展開が、最後までないのです。
しずかちゃんと相思相愛になることと、ドラえもんと友情を育み、のび太が成長するという、2つのストーリーの軸がバラバラになってしまった展開のためだと思います