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同性カップルの法的保障のためにできることリスト
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しんぶん赤旗に連載中のエッセイ第3弾です(毎週金曜日に掲載)。
本文中では触れられなかったのですが、家族関係で悩んでいる方、もしよかったら「LGBTの家族と友人をつなぐ会」などのミーティングに参加されてみると役立つかもです。

過去のログはこちら
連載 「男性?それとも女性?」 
連載◆オレと「わたし」

以下、転載です。
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フクザツな性別 らしさを巡って
 身近だからこそ


渡したいものがあるんだ」と公衆電話から着信があった。聴きなれた友人の声。指定された待ち合わせ場所は、病院だった。現れた彼はニコッと笑った。「これ、初めて見たとき、まめちゃんにやろうと思って」と渡されたのは、枝豆の携帯ストラップ。てっきり形見でも渡されるかと心配していたので拍子抜けした。

 

彼には家がなかった。家族と折り合いがつかず飛び出してきたのだ。しかし外を歩くのにも疲れ果て、うつ病のため入院することになった。「ここでも他の患者に訊かれるんだよ。お前は男か、女かってね」と彼はボヤくのだった。

 

家を追われた経験を持つLGBTを、彼以外にも知っている。よく「家族なんだから分かり合えるでしょう」と言われるが、実際には「よその話ならいいけれど、自分の子どもだったら受け入れられない」のだ。親たちはLGBTの子どもに困惑し、ときに怒り狂う。家を追われる者がいれば、不仲に苦しむ者もいる。もっとも子どもの側が「家族には絶対言わない」と決めこんでいるケースが一番多いかもしれない。

 

我が家の場合も、道のりは長かった。自分の性自認(こころの性)が男だと伝えた16歳の頃、両親は激しく抵抗した。「そんなわけがない」。一緒に買い物にいくと「女の子でしょう」とレディースの服を買うよう求められた(オレは男だと言っているじゃないか……!)20歳を過ぎても修羅場は絶えなかった。

 

だから大学を卒業した春に、父が「就職祝いを買おう」と言いだした時には、正直ありがた迷惑だった。また女物を買われるのだろうか。困惑しながら連れて行かれたのは腕時計屋で、父が「これなんて、どうだろう?」と指差したのは、メンズのコーナーに並べられたシルバーだった。
どれだけ、ありがたかったことだろう。