2007年01月20日

1.16ライブドア強制捜査から1年。東京地検特捜部は裁かれるべきだ。

 東京地検特捜部の強制捜査から1年が経過した。あまりに不可解な捜査、起訴は憶測や誤認にもとづいておこなわれたのではないかと疑われる。事件は特捜部のリークによる「偽計・風説の流布」、無実を有罪にすり替える「粉飾」だったのではなかろうか。
 NECの粉飾事件で検察が示したように、容疑を受けた一個人の責任を問う形であったなら頂門の一針といえなくもないし、生きた会社を殺すこともなかった。
 検察のリークによりNHKと日本経済新聞が事前に強制捜査を報道した事実。根拠のない強制捜査をショー化して、ライブドア社員を恐怖のどん底に陥れ、数千人の社員の人生を狂わせた不当さ。ここに最大の問題がある。ホリエモン一個人が無罪になって、それで問題が終わりというわけにはいかない。不法な強制捜査で社員や株主が大損害を蒙り、日本の経済・社会に大打撃を与えたのである。東証、マネックスの対応もひどい仕打ちだった。
 検察のリークに乗って、マスメディアは事件の背後に「脱税」など、国家に損害を与える大きな犯罪が隠されているかのように予見させる大騒ぎをした。ところが、起訴は今や、「脱税」ではなく、実体のある14億円の売り上げを水増しした粉飾という検察側主張をめぐる争いになった。ライブドアが「税金を払いすぎて」国家に貢献していたという結末になるとは・・・。
 この14億円は、強制捜査で社長が熊谷氏に替わった後、氏が逮捕されるかされないかの判断が困難で、氏の逮捕が長引いた段階の争点だ。おどろおどろしい強制捜査はそれ以前のことであり、強制捜査が国家による人権侵害であったことは明確だ。少なくとも検察は熊谷氏逮捕の時点で謝罪し、ブレーキをかける責務があった。北島元副部長の見解を聴きたい。
 バッシング後の現在でも、現金・有価証券1500億円を持ち、健全経営のライブドアを「虚業」といい、社会事業に寄付金を払わないライブドアは反社会的企業というあやしい評論家までいた。
 マスメディアの「記者クラブ」に象徴される、取材能力や判断力の欠如、権威主義や無責任体質、権力化して批判精神を失った弱点が検察に利用された。マスメディアはシロをクロにする道具として使われた。1年前は連日紙面や映像を埋め尽くしてライブドアの「悪事」を暴いていたにもかかわらず、1年後には事件についてなんら報道しえない事実がその証左だ。事件の経過を総括して論評する責任と倫理観が欠けている。
 ライブドア、ホリエモンらの捜査、逮捕、起訴は不当・不法なものであった。捜査のための捜査だった。偽計・風説の流布の容疑による1.16強制捜査は、ライブドアを市場から退場させるという悪意のある意図にもとづく不法な捜査であり、無実だった。
 ライブドアの粉飾容疑はカネボウ、日興などと違い、会計上の判断の問題であったにもかかわらず、犯罪者ホリエモンの主導説で構成したシナリオを創作した。共謀したとされる検察側証人の宮内氏自身が、一貫して違法性の認識はなかったと証言し、起訴は事実誤認によるもので、事実が無く、公訴棄却にあたるのではないか。
 ミスによる強制捜査で多くの人に大損害を与え、事が大きくなりすぎた。引っ込みがつかなくなった検察は、ミスを覆い隠すために、宮内氏を利用するしかなかった。「宮内氏に「フェラーリ」等、うしろめたい部分があって、検察はその弱みにつけこんで取引をし、ホリエモン主導説を仕立てた」という弁護側の説明は、シンプルでわかりやすい。
 ライブドアの社員であったなら、金融部門の中心人物が宮内氏であり、ホリエモンは広告塔だったことを否定する人はいないだろう。メールをおさえている検察自身が熟知しているはずだ。証拠の膨大なメールの調査結果はどこへ行ったのだろうか。
 投資事業組合も株式交換も100分割も、金融自由化で積極的な活用が求められていた。ホリエモンは日本の経済や金融の活性化に貢献しようとした「愛国者」だった。型破りでアウトロー的なキャラを演じていたが、本質は緻密で、遵法精神があり、むしろ他の企業よりクリーンで厳格であった。ただ、自己のポリシーや信念が正しいゆえの過信が生じた。日本の政治が「真理による」のではなく、「権力による」という点を見逃していた。権力から身を守る「コンプライアンス」を甘く見て「検察がきた」。というよりか、権力におもねないところがホリエモンの魅力であり、不当・不法な捜査まで予測するヒマも、必要もないだろう。
 特捜部は逮捕が正当であったことを印象づけるため、ホリエモンのイメージを逆利用し、反社会的人格であるかのような印象を持たせ、総体的にあやしい人物であるという世論操作をおこなって世間の判断を攪乱させる工作をし続けた。この結果、民主党の偽メール政治家をはじめ、国民が抱くライブドアの印象は、学歴無用の自由人の集う梁山泊から、無法な魑魅魍魎の集う伏魔殿に貶められた。
ブログやネットがない時代で、新聞・テレビで世論操作が可能な時代だったら、ライブドアとホリエモンは完全に抹殺されていたのではなかろうか。インターネットで公正な情報と正しい評価が、瞬時に世界中に発信される時代になっていた。
裁判は予定より遅れている。人権侵害の長期化は不毛で無意味である。もたもたしているうちに、“大鶴”は網をくぐって北の大地に高飛びしてしまった。
 東京地検特捜部こそ、不法・不正の実行者として裁かれる「犯罪者」ではないのか。既得権益を護持したい勢力の政治的なねらいを代弁して、ライブドアを道具として利用した。行政告発を受けるべきは検察の側だ。マスメディアは共謀者の責任を免れず、ともに損害賠償をすべきだ。
 裁判所は被害者がライブドアと国民であることを明確にし、検察を断罪してほしいと願っている。そして、不法・不当な権力の行使による人権侵害の責任を、たとえ何兆円の損害賠償を必要としても、政府やマスメディアに取らせてほしい。今後、このような人権侵害がおこらないようにすることが、日本の将来と国益にとって不可欠と考えるからである。
 どの会社の人よりも元気に、夜遅くまで額に汗して働いていたライブドア関連の数千の社員のために、裁判所は東京地検特捜部とマスメディアを断罪して欲しい。
 スピードが勝負のIT企業にとって、1年を越える時間の足踏みは致命的だったかもしれない。今われわれがすべきことは、強制捜査以前のライブドアの状態に、できるだけ早く復元することではなかろうか。

「・・・権力をもつ者はすべて、それを濫用する傾向があることは、永遠の体験である。・・・人が権力を濫用しえないためには、・・・権力が権力を阻止するのでなければならぬ。・・・
 裁判権が立法権と執行権から分離されていないときにもまた、自由はない。もしそれが、立法権に結合されていれば、市民の生命と自由を支配する権力は恣意的であろう。なぜならば、裁判官が立法者なのだから。もしそれが執行権に結合されていれば、裁判官は圧制者の力をもちうることになろう。」
 (「モンテスキューの三権分立論」井上堯裕訳『世界の名著ー法の精神』中央公論社)


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この記事へのコメント

1. Posted by 元塾講師   2007年01月21日 10:20
仲の良い弁護士でこの話しをしました。
彼個人の見解としては村上は黒、堀江は灰色とのことです。

堀江灰色に私は若干驚きましたが、検察が「堀江個人がいかに関与したか」を示せなければ無罪はあるということですね。

とするとライブドア事件の責任の所在がよくわからなくなってくる。
ライブドア自体が利益を積みましたのは歴然とした事実なわけで、大量の個人株主が「有限責任」をとらされた。
一方、堀江・宮内が一連の商行為で金を大量に蓄えているというのはなんか合点がいきません。

残念ながら、一連の事件で泣いた大量の個人株主が報われることは現行法上絶対にない。(検察の陰謀だとしても)
反面、堀江が無罪放免となれば、持っている大量の資金を元に別のビジネスをたちあげ、また大稼ぎするでしょう。
資本主義の限界といえば、それまでなんですけどね・・・
2. Posted by 元塾講師   2007年01月21日 10:42
もう一つ。
先日、日興コーディアルに粉飾の疑義がかけられました。
というか明らかに粉飾をしていて、社長のクビがとびました。

ライブドアと同じであるならば、上場廃止しなきゃなりません。

ところが日興コーディアルは決算修正を発表し(粉飾を直し)、それで無罪放免となったのです。

なぜ日興コーディアルの社長は逮捕されないのか。
なぜ日興コーディアルは普通に上場企業として存続できるのか。
なぜ日興コーディアルは強制捜査されないのか

先生はこうした事件をご存知かわかりませんが、二つ並べてみると「検察の陰謀」といえなくもない。
先生のスタンスからすると、なぜ日興を裁かないのにライブドアを裁くのか!という話しになりますよね。
私は逆に両方とも裁くべきだと思っているわけなのですが、片一方だけ裁くのはどちらのスタンスにしろアンフェアです。

この国は、銀行といい証券会社といい、金融機関に甘すぎます。
3. Posted by man_ji   2007年01月22日 19:48
>1・2
コメントありがとうございます。
貴方の持論の「ホリエモン灰色説」の主張ですが、よくわかりません。
ヽタГ鰐戯瓩任后
灰色は偽メールの永田議員と同じで、ホリエモンを総体的にあやしいと印象づける悪意によるものです。
この事件を明確に捉えていれば、シロかクロはっきり論じられると考えます。

村上Fは1.16強制捜査容疑と無関係です。無関係なものをリンクさせて灰色にしてはいけません。

金融機関に甘いのならライブドアにも甘くすべきでは。カネボウやNECなどは金融ではありませんが、甘いということになります。
ライブドア以外が甘いのでなく、甘いのがスタンダードな対応なのではないでしょうか。ライブドアの容疑で上場廃止にするなら、すべての生きた企業を上場廃止に追い込まねばなりません。

国家賠償責任があると考えます。
4. Posted by 元塾講師   2007年01月22日 22:07
一点疑問なのですが、国家賠償は誰に対して何の名目で行うのでしょう?

堀江へ慰謝料・・・はありますね。

まず株主に対しては・・・ないですよね?
暴落したのは「時価」であり、株式の本源的価値はかわりません。
もし、ライブドア無罪なら急騰するでしょうし。それが「時価」ですから。

会社に対しては微妙ですね。
まず、「時価」の暴落や上場廃止は関係ないですよね。
別にB/Sに影響があるわけでなし、上場は東証がさせてくれてるだけで、
東証が上場を維持する義務はありません。

風評被害としてならとれるのかな?どうなんでしょー。

ご見識をお聞かせください。
5. Posted by man_ji   2007年01月23日 21:54
>4 コメントありがとうございます。
 「釈迦に説法」と思いますが、『憲法』第17条に明確に規定してあります。
「何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めることができる。」
 『国家賠償法』第1条に「公権力の行使に基づく損害の賠償の賠償責任」の規定があり、公務員の職務上の行為につき、故意または過失があり、そのことによって違法に他人に損害を与えたとき、国または地方公共団体が無過失責任を負うことになっています。
 法律によって賠償責任の排除を定めることは違憲です。不法行為は法律によってさだめられるものではなく、公務員の不法行為によって損害が生じた場合には必ず国家賠償がなされなければならないことを定めています。
(つづく)
 
6. Posted by man_ji   2007年01月23日 21:59
(つづき)
 強制捜査と逮捕・起訴が株価の暴落の原因であり、上場廃止の根拠であることは明らかです。ライブドア、関連企業、株主等、損失額は膨大です。
 強制捜査は粉飾とは別件であり根拠なしです。ホリエモン主導とする粉飾容疑の起訴も公判で事実がしめされず不法であり、メールなど証拠のない時点で起訴をやめる勇気が必要でした。不法な起訴だからこそ特捜部内部のチームワークが壊れたと推察します。
 検察が不法に損害を与えて免罪されるというのは憲法(人権)は認めない。損害の「すべて」を国家賠償すべきです。何兆円でも。それが権力から人権を守ることを本質とする憲法の定めではないでしょうか。
7. Posted by 元塾講師   2007年01月27日 13:27
株価とは時価であり、会社の価値を示すものではありません。


ライブドアの1株あたり価値は本来150円程度でした。
150円と値札がついているものを1000円で多くの株主は買ったのです。
1000円の株価のものが150円になったからといって会社が衰えたわけで
ないことをご理解ください。

賠償せいとおっしゃいますが、先日の騒動で1株60円代まで下落したタイミング
でライブドア株を買った投資家も存在し、こうした人達は大もうけしています。
全員が損をしたわけではないのに、賠償もくそもないでしょう?

8. Posted by 元塾講師   2007年01月27日 14:14
先日のライブドア事件では多くの個人株主が何千万という借金を背負いました。
これは、信用取引に手を出したからです。しかも、その多くは若者だったそうです。
リスクヘッジの手法もしらず、元銭も持たない若者が、信用取引に手を出すのは
どこか甘えがあるとしかいえません。

失敗しても、誰かが助けてくれる。国家賠償はもろにそうなんですが、そういう
ことはないんだという若者が自覚できていません。それが資本主義の本質なのに。

小泉政権は格差拡大による景気回復を目指したものでした。
これで恩恵を受ける人は全体の1割、他の9割は損をするのに、支持率は5割を
常にこえていました。

自分の足が食われていくのに、それを理解できない。自分の身は自分でしか守れない。守るには勉強するしかない。

資本主義とはそういうものだ、と先生方には、これから資本主義社会でいきていく子供たちに教えていただきたいのです。
9. Posted by man_ji   2007年01月28日 20:22
>7.8
 コメントありがとうございます。
 株価の暴落については株主やフジテレビがライブドア等に損害賠償の訴訟を起こし、損害額の算定もされて審理中ではないでしょうか。
 裁判所が受理しており、判決はわかりませんが、損害賠償の訴え自体は裁判所が認めていることではないでしょうか。
 現代の資本主義は、金融・財政政策や公共事業、社会保障、預金保険など社会主義的な経済・金融のセーフティネツトを導入しています。
 ライブドアの騒動で足踏みしましたが、金融教育は必要と考えます。
 自己責任は基本ですが、それは市場経済の中のことであって、ライブドアの件は、公権力が市場に不法に介入して引き起こされたものと考えます。
 1.16強制捜査とホリエモンの逮捕・起訴は不法で、国家賠償すべきです。

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