2008年03月15日

部活動が高校教育の最大の問題点である。中国はなぜ北京オリンピックでメダルを取れるのか。

高校生活は学習と部活動だったという人が多いのではないか。6〜7時間の授業と放課後2〜3時間の部活動。加えて体育大会や文化祭、修学旅行などの学校行事が彩りを添え、思い出となる。
 学校はその中にいるだけで知徳体が成長するシステムになっている。多感な高校時代を時間と空間の流れにそって過ごすことで、自動的に学力がつき人間的な成長ができる仕組みになっている。
 時として、高校時代は部活動だけだったという人もいる。勉強だけしたという人よりむしろ評価されたりもする。勉強は個人的な努力だが、部活動は自分の好きなことを選んでするから楽しいし、なにより仲間ができて、生涯の友になることもある。人間関係を大切にする社会や職場では部活経験が評価される。
 ところが部活動は教育上の位置づけがないのである。教科の授業と特別活動のホームルーム、生徒会活動、学校行事が学習指導要領に位置づけられている教育活動だ。このことは学校が授業と部活動が中心と考え、体験している高校生や一般の人にとっては理解しにくいだろう。学校の施設・設備を使い、学校の教員が指導し、学校の管理下で活動が行われており、高校生にとって大切なものになっているからである。しかし、部活の種類は限定されており、校外で活動する生徒もいれば、部活動をしない生徒もいる。卒業証書は部活動にかかわりなく授与される。特別活動への参加は卒業の要件となるが部活は位置づけはなく要件ではない。
 高等学校体育連盟は財団法人で、高校生の健全育成と競技力の向上、生涯スポーツをめざしている。高校は高等学校体育連盟(文化部は高等学校文化連盟。野球は高野連)に所属し、生徒が納める高体連費(高文連費。高野連は大会入場料、広告費などの自主財源)により各種大会が運営される。県教育委員会は教員の高体連の公式大会(年間の大会数が決められている)参加の生徒引率にかぎり業務として認めている。この場合は出張となり代休がある。それ以外の練習や練習試合、競技団体の大会は実質ボランティアである。
 高体連の問題点は部活動は教育の一環とする一方で、競技力の向上の目的をもつていることである。
 文武両道というのは学習と運動部や文化部の活動の両立をめざす意味で使う場合が多い。一般の競技団体は例えば全日本柔道連盟ではオリンピックで活躍する選手強化や柔道の普及のために高校生に選手の育成や底辺拡大を求める。高校生の選手育成が部活動に依存している。
 教員にも部活指導を目的にして教員になった人もいる。体育の先生のなかには競技団体と関係の深い人も多く、選手強化に熱心な人がいる。高体連はこうした競技力強化をめざす人たちが主導権を握り、発言力を持っている。インターハイや国体での活躍、育成した選手が世界レベルで活躍することを目標に日々献身的に頑張っている。競技は勝つことが目標だから、整った設備と優秀で熱心な指導者、素質のある選手を集めて相手よりたくさん練習しなければ勝てない。
 次にあげるのは中国の体育学校のカリキュラムである。13歳から入校した場合である。
月・水・金は8時半〜11時半まで国語、英語、数学、情報などの授業。12時半から15時半まで専門競技の練習。
火・木・土は8時半〜11時半までと14時半から17時半まで終日専門競技の練習。
日曜は休み
 中国らしい合理的な考え方である。大学進学をめざす中国の高校生は入試の競争が厳しく、高校で夜9時まで学習している。運動競技は世界を相手に勝てる選手強化を体育学校で行っている。北京オリンピックで活躍する選手は大胆に言えば勉強はしていない。

 日本の選手強化は学校が文武両道をめざすから非常に厳しいものになる。県でベスト8程度の実績を持つレベルの部活は授業を週29時間から34時間した後、3時間程度の練習をする。土日は練習試合等で終日練習というのが一般的な部活だ。生徒は3年で終わるが、教員は毎年続く。自発的業務で、土曜、日曜の手当は1日1200円である。教員は残業手当のかわりに給与の4%の教職調整額が支給されているので勤務時間をいくら超えても手当はつかない。
 生徒は授業中眠らないと体がもたない。予習復習もよほどの生徒でないとできない。教員も授業に影響が出る。競技団体や行政から選手強化を求められる学校の選手や監督は疲れ果ててしまう。国際大会選手強化の高校生育成を高体連に潜り込ませていることの弊害だ。しかもここまで頑張っても合理的でゆとりある選手育成をしている中国には勝てない。高野連はプロ野球から選手養成を求められ、保護者のなかには甲子園に出場することを高校教育の目標と考えている人もいる。本末転倒だ。

 高校の部活動は外国のように学校教育から切り離し社会体育にすべきだ。すぐに切り離すことは困難だから、選手強化については予算を国が出し、中国や韓国のようなシステムをつくり、国民から見えるようにするべきだ。国際大会で活躍できる選手養成のシステムを部活動にビルトインするごまかしにより、強化型の高校と普通の高校が勝利を争うため、ほとんどの高校は加重負担で疲弊している。

 普通の高校の部活と青森山田のような高校の部活の生徒が同じ大会に出場し、勝利するため練習しているシステムが疲労を起こすのは当然だ。 



man_ji at 10:17コメント(3)トラックバック(0) 
部活動 | 高校教育

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コメント一欄

1. Posted by 埼玉中学教員   2012年03月20日 23:29
部活動指導で疲弊しています。。
日本の教育は本末転倒です。。
2. Posted by 少佐   2012年10月09日 11:49
なぜ、にこの問題は議論されないのだろう?
部活を勘違いしている人が多すぎる。特に一部の熱心な保護者や教師が助長している感がある。
現場から、保護者から変えていかなくてはならないが、その様な声は、一部の熱心な保護者や教師に消される。

部活、と勲位運動などは学校と切り離し、スポーツクラブとして学校活動でなくして、人生をかけてやりたい人だけやればいい。
中、高の運動活動を報道す側にも問題がある。その辺も変えていかなくてはならない。
今は、ネット内だがもっと大きくしていきたい問題である。
3. Posted by 改革推進人   2012年10月19日 12:17
5  全く同じ疑問を持ちながら日々教育活動に取り組んでいます。最近では,この部活動が原因で休みが取れず,転職まで真剣に考えているくらいです。
 はっきり言えば,教員=お人好し が多すぎることと,自分の立場を維持するために意見を押し殺し,我慢してしまう人種が多いこと。そして,何よりも,『生徒のため』と銘打って部活動に取り組む自称熱心な教員が居るために,正論を述べているにも関わらず,非教育熱心な教員という見方をされてしまう所に原因があると考えます。
 きちんとした労働時間の中で精一杯生徒達と向き合い,頑張っているのだから,せめてもの報いとして,プライベートな時間は確保させて頂きたいと強く思います。

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