April 20, 2007

◇U-22 Syria vs U-22 Japan◇



 U-22日本代表がアウェイでシリアに勝利し、最終予選進出を決めた。この世代について書くのは始めてだが、タレント揃いの集団だけに非常に期待している。平山を除くレギュラーメンバー10人は所属クラブで確固たる地位を築き、それぞれが独自のカラーを出し、存在感を放っている。特に気になる存在は右サイドの水野晃樹。同じ静岡出身でどこか情みたいなものもあるが、今までの日本サッカーの歴史を紐解いても、なかなか現れなかった生粋ドリブラーであり、これまでの経歴を振り返ってみても精神的に図太いところ感じる。将来は日本サッカー界を引っ張っていく存在になると、期待している。

 前置きはこのくらいにしてシリア戦を振り返ってみる。これまで3試合してどの試合も立ち上がりが悪かったが、今回は巧く試合に入ることができた。細かいパス交換、スペースへの走りこみ、縦へのクサビなど攻撃の形はできていたと言える。ただサイドからのクロスに精度を欠いたせいで、決定機には結びつかなかった。ただ17分、個人技で拮抗した状態を打開する。水野が利き足とは異なる左足でミドルシュート。バーに当たり、ゴールに吸い込まれていった。前節でも家長が右足で素晴らしいゴールを決めていたが、それを髣髴させる素晴らしいゴールだった。組織で崩せないなら個人、これは世界と共通する部分である。アウエーでの先制点は相手の精神的な部分に大きな影響を与える、その意味でもこの1点は大きかった。

 その後も日本が試合を支配する時間が続いた。それでも追加点が生まれなかったのはやはりシステムに問題があるとしか思えない。平山相太を信用していないのか、中央の位置での縦パスはほとんどなく、結果的にサイドへ追い出される形になる。3−5−2のシステム上、両サイドは1枚になり、すぐに数的不利に陥った。水野、本田圭佑が勝負するもクロスをあげるまでには至らなかった。それでも前半終了間際、本田圭が値千金の追加点を奪う。相手GKの判断ミスに助けられた面もあったが、いい時間に点を奪ったことに素直に評価するべきだろう。前半は2−0で折り返す。

 前半の試合展開が嘘のように後半は防戦一方だった。相手にポゼッションを握られ、つまらないミスを連発。運動量が少ないため、パスコースが見当たらず前線へのロングボールを放り込むだけになった。後付になってしまうが、こういった状況になった場合、主将である伊野波雅彦が全員に声をかけ、背中を押さなければいけなかった。それが出来なかったから、反町監督は選手交代で流れを変える選択肢しかなかったのだ。ユナイテッドの黄金時代、相手に流れが行くと、キーンがイエローカードをもらってでも、激しく当たり時間をつくって、味方を鼓舞していた。同世代の選手に対して、自分の技術に自信のない伊野波はどうしても臆してしまう。しかし、彼が殻を破らないことには、チームは元より彼自信の成長もそこで止まってしまうだろう。ザルツブルクに移籍した宮本なんか、ヘタクソだったけど、そういう所は堂々とこなしていた。だからジーコに優遇されたんだろう。

 試合に話は戻すが結局、後半は何もできずに終わった。個人的に期待していた、Jリーグで活躍して招集された菅沼も、たった5分間の出場ではアピールすることすら不可能だ。2点リードしていたし、カレン、平山ともにほとんどボールに触れなかったので、もっと早い段階で交代してもよかった。それでも彼にとっては良い経験になったのではないか。

 結果的に日本は最終予選進出を決めたが、これまでの内容は誰が見ても乏しいと言わざるをえない。前線のタレントをどのように生かすか、反町監督は頭を悩ましているのだろう。特に両サイド本田、水野のウイングバックでの起用は、やむを得ない決断だったように思える。レベルが一段階上がる最終予選、タレント力だけで押し切ることができるのだろうか。

April 17, 2007

Watford vs Manchester Utd



 14日にFA杯準決勝が行われた。ユナイテッドが対戦するのは、何故かリーグ最下位ながらも、勝ち上がってきてしまったワトフォード。普通のパフォーマンスを披露できれば勝利を収めることができる。一つ気になる点は、ローマとの激闘を終えての疲労。とりわけ、クリスティアーノ・ロナウドとルーニーはしばらく連戦が続いているので、その心配はことさら大きい。

 まずはスターティングメンバー。GKファン・デルサール。ディフェンスラインは右からエブラ、リオ、ブラウン、エインセ。ネビル兄の負傷でこれまでオシェイが右を担当してきたが、ローマ戦でのゴールも影響してか左利きのエブラをサプライズで抜擢した。中盤は、ロナウド、キャリック、1週間休んだスコールズ、そしてルーニーを左サイドにもってきた。ファーガソン監督は、ギグスの体力的な負担を少なくするために、しばしばこの2人のポジションを変更させる。セカンドトップにそのギグス、センターに好調スミスを起用した。

 開始4分、ユナイテッドが先制点を奪う。キャリックのパスにギグス、スミスがスルー。ルーニーにボールがつながり、ワンタッチで右足のアウトでシュートコースをつくり右足を振りぬく。強烈なシュートはゴールに突き刺さった。26分、ファン・デルサールの負傷で集中力を欠いたユナイテッドは失点を許してしまうがその2分後、またもルーニーが起点になりワトフォードを突き放す。右サイドをドリブルで深くえぐってクロスをあげる。GKにあたりコースが変わるも、ロナウドが押し込んだ。

 依然として、ボールタッチが大きく、調子の上がらなかったルーニー。しかし、この間のチャンピオンズリーグで得点の感覚がつかめてきたのか、ここにきて大事な役割を担っている。特に、ポジショニングがよく、次のプレーを意識した位置に走りこんでいる。つまり、運動量が増えて証拠。3点目はそれが如実に現れていた。後方からのスルーパスをディフェンスと重なり、ルーズボールになると、近くにいたスミスに任せ自分はクロスに備えゴール前に入った。その注文どおりのクロスを右足に軽く合わせゴールに至ったのだ。受け手を出し手の呼吸が絶妙にマッチした、素晴らしいゴールだった。

 せっかくだからスミスにも触れておく。長期負傷明けで少なからずコンディションに不安はあった。それでも前節のローマ戦での得点が彼を乗らせた。そして、以前に比べ大きな成長を感じさせた。最も印象に残ったのが前線で体を張ったポストプレー。スミスは、前線に張って裏に出るプレーを自身の武器として心得ていたが、積極的にボールに絡んで受けに回ることで、全体のラインが押し上げられていた。ひょっとすると、昨シーズン中盤でプレーしたことが大きいのかもしれない。また、ラーションのレンタルも彼に大きなヒントを与えてくれたのであろう。献身的なサポートはまさに3月でシーズンを去ったスウェーデン人を彷彿とさせていた。

 試合終了間際に途中出場のリチャードソンが決めて1−4。決勝に駒を進めた。翌日、ブラックバーンを降したチェルシーとの対戦が決定。お互いに3冠をかけた試合だけに、白熱すること間違いなしだ。注目はロナウドvsアシュリー・コールの右サイド。これまでロナウドはコールに対して、ほとんど仕事をさせてもらえなかった。この1年で成長を遂げたロナウドが、このサイドでイニシアチブを取れば、ユナイテッドの勝利は見えてくる。新ウェンブリーでのこけら落とし。絶対に負けられない。

April 11, 2007

Manchester Utd vs Roma  -Champions League-



 もう選手ならびに関係者にごめんなさいと謝るしかない。ポーツマス戦の敗戦を受けて、チャンピオンズリーグを諦めたほうが良いという自分の指摘は明らかに間違っていた。それを証明するかのようにローマ戦でのユナイテッドは躍動した。

 キャリックの先制点が全てだった。決して良くなかったユナイテッドの立ち上がり。それだけにあの一発は試合を大きく左右した。ファーガソン監督やルーニーら各プレーヤーに「世界一」と評価されるクリスティアーノ・ロナウドが右サイドから仕掛けると、スコールズ不在で攻撃意識の高くなったキャリックがスルスルっと駆け上がりミドルシュート。GKドニは一歩も反応できずゴールに突き刺さった。

 なおも攻撃の手は緩まない。ペロッタの出場停止に加え、タッデイが試合直前のアクシデント。トップ下に先述の二人に比べ、運動量が圧倒的に少ないトッティの裏にあるスペースを有効活用し、ユナイテッド自慢であるサイドで勝負を仕掛けた。そして、4〜5本のダイレクトパスをつないで最後はスミスがインサイドで丁寧にゴールに流し込んだ。まるで練習試合を見ているかのような、流れるプレーにオールド・トラフォードはさらにヒートアップした。ましてやスミス復活のゴール(おめでとう)、乗らないわけがない。

 「夢の劇場」に吹き荒れた嵐は止むことなかった。3点目は、ロナウドの突破を起点に、ギグスが右足でクロスを入れると、走りこんできたルーニーが綺麗に合わせた。GKドニの表情が、試合の勝敗がこの時点で決したことを物語っていた。しかし、そんな彼の気持ちを逆なでするように、「悔しさ」は次第に「恐怖」へと変わっていった。44分、クリスティアーノ・ロナウドが自身チャンピンズリーグ初得点となる4点目を挙げた。

 後半にも3点。試合は7−1と一方的な展開で結末を迎えた。ローマ、ポーツマスに連敗を喫し、今シーズン最悪の状態まで落ち込んだユナイテッドに、ファーガソン監督はどんな魔法をかけたのか。端からみれば、いつもと何も変わらないユナイテッドだった。彼がユナイテッドをこんなにも長い間、率いてこれた要因は、そのモティベーターとしてここ一番で選手の力を発揮させることができるからなのだろう。とにかく素晴らしいにつきる。

 準決勝進出を決めたユナイテッド。しかし、怪我人続出にハードスケジュールをこなさなければならない現実は変わらない。どこまでいけるのか、もはや信じて見守るしかない。たとえ無冠でも記憶に残るシーズンになれば、それでもかまわないと考え方を変えるほど、素晴らしい一夜だった。

April 08, 2007

Portsmouth 2-1 Manchester Utd



 欧州チャンピオンズリーグでローマに敗れ、リーグ戦でもチェルシーがトッテナムに勝利を収めただけに、このポースマス戦は絶対に負けられない試合だった。ただ、現在のユナイテッドは負傷者続出で、ローマ戦ではアウエーで1時間ほど10人で戦った。これで疲労がないはずがない。ファーガソン監督もそれを承知か、少ない戦力の中でも、ベテランを休まさざるを得なかった。メンバーを整理しておくと、GKファン・デルサール、DFはローマ戦同様、右からオシェイ、リオ、ブラウン、エインセ。中盤はフレッチャー、キャリック、スコールズ、そしてリチャードソン。2トップにルーニーとロナウド。ロナウドを初めてFWに起用させなければいけなくなったのは問題だが、それしかギグスを温存する手立てはなかったんだろう。

 試合開始早々から防戦一方だった。1対1の競り合いではほとんど勝てず、運動量が少ないため、相手にプレッシャーもかからずいいようにボールを回された。カヌー、ベンジャミンともにフィジカルに優れているため、ボールがなんなりと収まり、そこから試合が組み立てられていった。対するユナイテッドは、ボールを奪ってもパスの出しどころが全くなく、ミスを繰り返した。とりわけ、両サイドはキープ力、テクニックともにポースマスに負けており、スコールズ、キャリックはパスを自重していたように思える。

 そして取られるべくして先制点を奪われた。久しぶりに先発起用されたリチャードソンのミスから、ベンジャミンがミドルシュート。ファン・デルサールがローマ戦のVTRを見させられているかのように、正面にボールを弾いてしまい、テイラーに押し込まれた。EUROの予選を終えてからのファン・デルサールは疲労があるのかいまいちパッとせず、セービングにしろ得意のフィードにしろミスが多い気がするのは考えすぎか。

 これでブラックバーン戦に続きまたも追う形に。しかし繰り返すようになるが、あの試合とは動きの質が全く異なる。前半はロナウドの個人技でチャンスを作るだけで、組織力ではまったく歯が立たなかった。

 後半に入り、ファーガソン監督が動く。「チャンスブレーカー」となっていたリチャードソンを交代し、ギグスを投入。ロナウドを左サイドにおいて、まずはビルドアップさせることを念頭におき、選手交代を行った。交代後、明らかにボール回しがスムーズになり、攻撃の形が出来始めた。さらに早い段階でスールシャールを投入。1点だけに収まらず、逆転を考えての交代だった。それでもGKジェームズの壁は厚く、得点は生まれなかった。

 逆に終了間際に、リオがオウンゴール。その後、オシェイがゴールを決めただけになんとも後味の悪い失点だった。GKを確認せずに、枠内にバックパスをするなど、やってはいけない行為。ましてや世界最高峰の選手と呼ばれるリオなら、そんな基本は最低限でも守ってほしかった。最終ラインのレギュラーが3人も欠いている中、体を貼りユナイテッドゴールを守る彼には感謝している。しかし、キャプテンマークを預けられていた試合で、自らが失点の原因に絡むような軽率なミスだけはやってほしくなかった。

 試合後、ファーガソン監督は敗因を「疲労」と答えている。まだ3つのコンペティションで優勝する可能性を秘めている。個人的には、リーグ戦だけに集中してほしい、そんな気持ちである。なぜならまだ現状のユナイテッドでは、そんな過剰な期待にこたえられるほど、戦力も整っていない。これまでは、リーグ戦に集中してきたからこそ、この数字を残してこれたのである。まさに細い綱の上を歩いているようで、いつ落下してもおかしくないのだ。ビッグクラブには勝利はつき物かもしれない。ただ名前よりも、戦力を客観的に分析することのほうが重要。10日に行われるチャンピオンズリーグのローマ戦は、とりあえず負傷者なく終われば、充分といった感じだ。それだけ、今のユナイテッドはゲーム内容にも乏しく、結果を残す戦力も整っていない。

April 05, 2007

AS Roma 2-1 Manchester Utd



 右カラムにも示しているようにユナイテッド、ローマともに好きなクラブだけに、試合前は複雑な気分だった。しかし、一度試合が始まってしまえば、やはりユナイテッド中心に試合を見ていた。先日のブラックバーン戦で快勝しているので、その調子を維持してくれればと期待してみていた。しかし、何故か欧州の舞台になると、プレーが消極的になり相手にポゼッションを譲ってしまうのが、近年のユナイテッドの傾向である。アウエーとなるとその流れはさらに強くなる。この試合も同様だった。

 まず試合を振り返る前にメンバーに目を通してみると、ネビル兄、ヴィディッチ、エブラの故障でなんと本来なら出場しているであろうディフェンスラインの3人が不在である。エインセは期待を持てるが、オシェイとブラウンに関してはプレーが軽いのでどうしても不安を覚える。さらに中盤にはパクも負傷。攻撃だけでなく守備においても必要な戦力で、途中出場でもアクセントになる彼を欠くのは厳しい。ラーション退団後、ルーニーとコンビを組んでいたギグスを負担の大きい左サイドにまわらさざるを得なくなった。その影響で、本来はスーパーサブとして起用したいスールシャールを先発起用する羽目になった。これだけ悪条件がそろうのも珍しいが、優勝を目指すうえでこれくらいのアクシデントは付き物だろう。ファーガソン監督も想定の範囲内と読んでいたに違いない。

 そしてキックオフ。立ち上がりから予想通り防戦一方だ。ディフェンスラインと中盤の間のスペースをトッティに利用され、タッデイ、マンシーニの両サイドへの起点になられていた。ローマの流動的な動きに翻弄され、マークの受け渡しに苦労した。こんなとき、ロイ・キーンがいてくれたら、トッティあたりをつぶしているんだろうなと無いものねだりを考えたりした。それくらい、ローマは自由にボールを回し、ユナイテッドは守勢に回っていた。そしてベテランであるスコールズが、不必要な場面でイエローカードを頂戴する。そして34分悲劇が訪れる。トッティを倒してしまいスコールズがこの日、2枚目のイエローで退場。さらに苦しい状況へと追い込まれてしまった。

 ラインをより深く設定したユナイテッドに対し、ローマがより攻撃的に仕掛けるのは言うまでもない。持ちこたえていたユナイテッドだが、44分ついにタッデイにゴールを割られてしまった。一人少ない状況下において先制された時点で考えることは、1点取れればラッキー、このまま0−1で終了ならOK、追加点を許せば終了、この3つだろう。

 後半に入っても流れは一向に変わらなかった。しかし60分、カウンターからロナウド、スールシャール、ルーニーの3人でゴールをこじ開けた。プレミアに比べドリブル回数が少なかったロナウドだが、周りのサポートが遅いだけで、試合を通して調子自体は悪くなかった。得点に絡んだシーン以外にも、ほぼ一人でローマにぶつかって行った。これまでCLでさしたるインパクトを残せなかった彼だが、その壁は乗り越えたと言ってよいだろう。

 試合に戻すと、まさかのゴールで同点。このまま逃げ切ってくれればと淡い期待をしたものの、その夢は一瞬にして砕かれた。マンシーニの強烈ミドルのこぼれ球を交代したばかりおヴチニッチにやられ、再度リードを許してしまった。しかし、ファーガソン監督が目標としていたアウエーゴールを挙げたことで、選手の中にはまだ余裕が感じられ、慌てる場面はほとんどなかった。

 確かに敗れてしまったことは残念。しかし、オールド・トラフォードでは間違いなく、今日よりパフォーマンスは上がる。スコールズ不在の影響は小さくないが、76000人の大観衆が彼らを後押ししてくれる。後は、アウエーの1点というのは、とてつもなく大きかったことを、選手達が証明してくれるのを祈るしかない。