April 2005

April 28, 2005

AC Milan 2-0 PSV

 結果は大方の予想通りミランの勝利で終わった。試合後の選手のコメントをみると、内容はPSVのほうが上だったという選手が何人か目につく。確かにPSVは攻撃の形をつくっていたし、何度か惜しい場面をつくっていた。しかし、得点をあげることができなかった以上、両チームに決定的な差があったと見てよいだろう。

 というか今の「本気」のミランに勝てるチームなんてあるのだろうか?リーグ戦で何度かとりこぼしているが、それはあくまでチャンピオンズリーグに照準を絞ってメンバーを落としたりだとか、相手が引き分け狙いでカウンターを食らってしまったなどほとんど交通事故のようなもので、「ガチンコ勝負」では負けていない。それどころか失点すらあたえていないのがミランの強さである。

 前半開始早々はミランがPSVに恐怖感を与えるべく、前線からプレッシングを繰り返し攻撃を繰り返していた。ホームの地の利を生かしてまずは自分たちを大きく見せ、相手に普段のプレーをさせないという手段である。もちろん技術的な要素が必要となるが、ミランはそれができるチームなのだ。しかし、ここで点が入らないとみると少しラインを下げPSVに攻め込ませ、カウンターの準備をする。全員の意思統一がなくてはこの切り替えは不可能である。またどんな状態でも得点できるという自信がチームに備わっているのだろう。

 そして、前半終了間際に一瞬のスキをつきカカの見事なスルーパスからシェフチェンコが先制点をあげる。今シーズンのカカは大事なところでシュートミスを犯していたが、ラストパスの精度に関しては昨シーズンを上回っている。このスルーパスもシェフチェンコの蹴りやすい位置、ゴールキーパーが出にくい位置、アレックスの足が届かない位置、つまりそこしか得点ができないという極めて難しい場所にパスを出したのだから恐れ入る。

 後半に入ってもミランが主導権を握っていた。1点が入り余裕が生まれたせいもあってか、ラインを完全に引いていた。確かに押し込まれる場面はあったが、そこはスタムの強さとポジションニング、さらに鉄壁のジーダがうまく対処していた。シュートに持ち込まれてもミランに焦りはなかったし、逆に2点目をとる予感さえ漂わせていた。カカが起点となって縦に早い攻撃を仕掛け、決定的な場面を何度もつくっていたからである。

 試合終了間際にトマソンのゴールで2-0とし、これでミラン優位はますます高くなってしまった。はじめからPSVが勝てると思っていなかったので納得がいく結果だ。

 ただミランに対してもっと工夫ができなかったのかと疑問に思う節もいくつかある。そもそも攻撃の柱である193cmの怪物・フェネホール・オフ・ヘッセリンクをどうしてはじめから起用しなかったのだろうか。これまでチャンピオンズリーグをみてきたがPSVのビーズリーという選手が活躍した試合をみたことがない。つまりこのレベルでは力を発揮できないのだろう。守備を意識する目的で、フェネホール・オフ・ヘッセリンクを起用したくなかったのだろうか。いずれにしてもフェネホール・オフ・ヘッセリンク(いい加減くどいね、笑)がミランディフェンスを混乱に陥れていたのは間違いない。プレミアリーグのボルトンが上位クラブ相手にロングボールを繰り返すパワープレーを実行していた。前線にポストプレーが長けているクラブならこの中盤省略戦法は絶大的な効果を示す。チェルシーがバイエルン相手に行ったのもこの方法である。

 そう、PSVは色気なんか出さずにがむしゃらに放り込んでいたらミランはもっと苦しんだに違いない。それでなくてもPSVにはゲームメイカーがいないので、ボールのつなぎに苦労していた。第2戦でこの手を使うかはわからないが、2点差がついた状態でやってもあまり効果的ではない。やるなら同点のときだったので非常に悔やまれる。

 セカンド・レグの予想はというと0-1でミランというのが個人的な見解だ。まあミランの決勝は間違いないでしょうね。はっきり言って反則じみた強さ。

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April 13, 2005

Inter 0-3 AC Milan

 社会人になってまずやらなければならないのは情報を隠すという単純作業だった。しかし、この誰でも可能な作業をこなせないのがオレのサッカーバカたる所以なのかもしれない。あっさりと携帯で確認し、結果を知ってしまった(笑)。これにはいくつかの理由があるが、ファースト・レグでほぼ決着はついてしまった感あるというのが最大の要因。

 そんな堅苦しいのはどうでもいいとして、セカンド・レグは予想通りつまらない展開となってしまった。もちろん試合をぶち壊したインテリスタもそうだが、内容的にも試合巧者のミランが守りに入ったら、簡単には崩れないからだ。まあその予想がずばり的中してしまったわけだけど・・・。

 でだ。この試合が中断になったのは誰が悪いんだろう?考えられる人物をすべて想定してみた。

1、マルクス・メルク主審の誤審と勘違させられるようなジャッジ
2、そのジャッジに過敏にしたエステバン・カンビアッソ
3、発炎筒をジーダに当てたバカインテリスタ
4、それに便乗したアホインテリスタ達
5、不甲斐ない試合をみせてしまったインテルイレブン
6、そして、指揮官マンチーニ
7、持ち物検査をいい加減にすませた係員
8、全く試合の空気の読まないであっさり得点したアンドリー・シェフチェンコ
9、GKという極めて反応を求められるポジションにもかかわらずかわせなかったジーダ
10、出てきたそうそう試合が呪いのように中断してしまったマヌエル・ルイ・コスタ
11、この対戦カード(ダービーとかありえん)を引いてしまったUEFA役員

 こんなところだろうか。ただ8,9,10,11は全く悪いところは見当たらない。シェフチェンコのプロ意識は当然であり、チャンピオンズリーグの舞台で油断を見せては足元をすくわれる結果になる。ファインセーブを連発していたジーダといえども後ろからくるものをキャッチすることはできない。ルイ・コスタは偶然。UEFA役員は原因をつくった張本人だが、未来を読めるほど神がかっていない。

 さてここからは真面目に考えてみよう。個人的にはインテルイレブンに原因があるのではないかと思っている。果たして前半から勝つという気持ちを前面に表していたのだろうか。見た限りハビエル・サネッティ以外はシェフチェンコがゴールした瞬間完全に諦めたように思えた。これはあくまで主観なので絶対的ではないが、少なくても気迫は感じなかった。

 次にマルクス・メルクだが、彼の責任も重い。解説の川勝さんもおっしゃっていたが、笛が鳴ったのはカンビアッソのゴールの後であり、インテルにとっては納得できないものだろう。また審判とは試合の流れを司る重要な役割であり、たとえあの場面でインテルがゴールを奪ったとしてもおそらくミランが勝利を収めていたに違いない。大きい1点と小さい1点をもっと考えてもよかったのでは。

 そしておばかさんインテリスタ。もはや問題外というよりキチガイ。試合をつぶす直接的な原因であり、ジーダを傷つけるのは間違っている。選手個人を狙うのはフェアではない。最悪。

 いろいろな要素が生まれてこのような事件が起きてしまったわけだが、やっぱ悲しいよね。「サッカーをつぶす行為」と「暴力」は。

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April 10, 2005

Norich vs Manchester Utd

 今シーズンは完全に終わったと選手が思っていてもこの結果だけは許せない。メンタルな部分でノーリッチの選手に劣っていて、ユナイテッドはこのまま沈んでいくのでは?という不安さえ覚えた。

 また攻撃における戦術的側面が全く見られず、ファーガソン体制の限界を感じた。まず初めに自軍に引き篭もった相手に対してすべきことは、シュートを打つ。この単純明確な答えがなぜわからないのかが疑問である。引いた相手に対してゴール前でシュートパスをつなぐには相当の技術を必要とする。そこで、ペナルティーエリアの外から積極的に放てば、相手のラインはあがってくる。するとゴールキーパーとディフェンダーの間にスペースが生まれたり、マークのズレが生じてくるのだ。またミドルシュートが選手に当たって方向がかわりゴールに入ることも考えられる。最も大きいのは相手に与える恐怖感だ。これだけの要素がシュートという選択肢によって変化してくるのだから、もっと打つべきだったのだ。

 2つ目にディフェンス面だが、ユナイテッドはボールをとられた後に対しての守備の準備ができていない。攻から守に入るときにマークが緩いため、相手にボールを繋がれてしまう。よって2次攻撃、3次攻撃できないのだ。理想なのは高い位置でもう一度ボールをカットし、敵が守備の体制が整っていないときに攻撃する。この一連の流れができていないチームがヨーロッパで通じるわけがない。

 最悪だったのがウエイン・ルーニー。ボールを無駄にキープした挙句、相手に簡単に奪われカウンターのきっかけをつくってしまった。ミスは誰にでもあるから仕方ないがそこで気持ちを切り替えなければトップレベルではやっていけない。ルーニーはその後、周りのサポートを無視し、自分が何とかしてやろうとむやみやたらとドリブルを繰り返した。そして、相手選手を傷つけるようなタックルも平気で行った。さらには審判にクレームをつける有様だ。ルーニーの能力は申し分ないが、自分で自分をコントロールできないようだと、コンスタントに成績を残せるような選手にはなれないだろう。ミランやバルサやチェルシーに試合中自分をコントロールできない選手なんていない。

 そんな苦しいチーム状況の中、一人完全に殻を脱皮した選手を見つけた。クリスティアーノ・ロナウド、彼は来シーズン覚醒する。ロナウドと言えば無駄なドリブルでチャンスをことごとく潰してきた選手だが、この試合ではまずルックアップして周りを確認してベストな選択をしていた。パスという選択肢が加われば、彼の武器であるドリブルがより光る。それだけよりゴールに近づき、ユナイテッドの攻撃力に厚みができる。意外とパスも正確であり、こいつはすごい選手になる気がしてならない。まだ荒削りな部分があるからこそ延びしろも大きい。アリエン・ロッベンを超える日も訪れるだろう。

 んなわけで負け試合からも学ぶことはたくさんある。ルーニーにはこの試合を課題にするように促せばいい訳で、それ以外の選手も同様だ。ただ初めにいったとおり、もはや選手としてよりも監督に問題があるようにしか思えない。サー・アレックスの功績は認めるが、このあたりで何か手を打たないと、今後ユナイテッドがチェルシーを逆転する日は見られなくなってしまう。リバプールがいい例だが、負け癖がついたクラブはなかなかもう一度頂点に立つのに時間がかかる。サー・アレックスの勝利への運気はもはや尽きたと言っても過言ではないだろう。

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April 08, 2005

AC Milan 2-0 Inter

 チャンピオンズリーグという肩書きがあるものの、やはりダービーはダービーなのだ。普段のミランなら相手が攻勢に出てくると、自分たちのペースを維持するためにスローダウンをするのが定石となっているが、ダービーに限ってはプライドがあるのだろう。まさにインテルの早い攻撃テンポに付き合うように、ミランも呼応していった。よって慣れないテンポにインテル同様にミランの選手全員がミスを繰り返していた。はっきり言ってしまうと、ダービーだからこその盛り上がりであり、単なる一戦であったら両者のパフォーマンスはほめられるべきではない。

 惜しい場面、ゴールした場面はほとんどがセットプレイであり流れの中からのチャンスはほぼ皆無だった。ただあとミランに限ってはラストパサーさえしっかり仕事をこなしていれば、より多くのチャンスが望めたに違いない。中盤の4人はディフェンスに関しては問題なかったが、インテルのプレッシングも厳しかったからか攻撃ではらしくないミスが続発した。

 結局、スコアは2-0でミランが勝利したわけだが、あいかわらずミランのサッカーには感動させられる。インテルとの決定的な差異はいったいどこにあるのだろうか。守備に関してはほとんど違いはない。しかし、攻撃においてはインテルが場当たり的な攻撃を仕掛けているのに対して、ミランは約束事がしっかりしている。しかも、その約束事を90分間維持できる体力とテクニックを兼ね備えているからすばらしい。前半は両クラブともに互角といっていいほど拮抗していたが、後半も進むにつれてミランが主導権を握っていった。確かに得点という要素は大きいかもしれないが、彼らは90分間で息をつくことはなかった。それだけ集中力もあるし、個人が自分の仕事に徹している。そりゃ強いわけだ。

 目立ったプレイヤーはスタムとピルロ。スタムはマルティンスというスピード系の選手に対して前を向かせないように努め、完璧に抑えていた。攻撃のバリエーションにかけるインテルにとってマルティンスは個人で突破できる唯一の選手だった。そこを長年の経験からくる判断力であっさりとめてしまうのだから恐れ入る。どちらかと言うと「強い」といいうイメージの選手だが、「旨さ」が目立った試合だった。

 ピルロに関してはもう何度も説明している。もはや彼を止めるのは不可能だろう。最近ではフィジカルコンタクトも強くなったので、激しいプレッシングをかけてもファウルでしかとめられない。セードルフ、ガットぅーゾとの連携は完璧でありどうしようもないと言ったところか。

 第2戦にアドバンテージを残したミランなら間違いなく次のラウンドへ進出するだろう。このチームを止められるのはチェルシーかバルサくらい。面白いかは別としてマジで強い。感動。

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April 07, 2005

Liverpool 2-1 Juventus

 試合開始前、ヘイゼルの悲劇という歴史的背景も手伝ってか異様な雰囲気が漂っていた。当時プレーヤーだったミシェル・プラティニ、イアン・ラッシュがセレモニーに顔を現すなど普段ではまったく見られない光景がそこにはあった。民放では考えられない実況・八塚さんが作り出した演出、すなわち「You’ll never walk alone」の歌声に鳥肌がたった。そんな最高の雰囲気でホイッスルはふかれた。

 今シーズンのアンフィールド対リバプールで主導権を握ったチームを自分は知らない。マンチェスター・ユナイテッド、チェルシー、アーセナル、レバークーゼン、オリンピアコス・・・。すべてのチームがこの独特な雰囲気をかもし出す要塞で主導権を握れなかった(結果は別だが)。同様にユベントスもその魔術になすすべもなかった。開始直後から、リバプールの小気味よいパスワークがつづくと、前半10分にはCKからサミ・ヒーピアがボレーシュートを叩き込み、意外にもリバプールが先制する。

 この後もリバプールが徹底的に押し込んだ。そして、ルイス・ガルシアが見事なミドルシュートを叩き込んで完全にリバプールペースで前半は進んでいく。昨年までのリバプールとの決定的な差はスペースの使い方。仲間を信頼してパスを足元ではなくスペースへ送り込む。さらにグラウンドを広く使い、ボールを奪ったら縦へ速い展開をみせている。ミラン・バロシュが外に流れ、ルイス・ガルシアが内に切れ込むといったコンビネーションも確立されてきた。

 この試合の注目はやはりリバプールGKのスコット・カーソン。19歳という年齢そのままの体格でどう考えてもキーパーらしくない。さらに顔も老けている。が、プレーはまあまあだった。後半に決定的なミスをしてしまうが、チャンピオンズリーグデビューと年齢を考えれば、及第点をあげられるだろう。パントキックが正直どこを狙っているのかわからないほど上にあげすぎて疑問だったがクロスの判断やキャッチングはレギュラーを狙えるレベルにある。リバプールには正ゴールキーパーが不在であり、これを機に一気にファースト・チョイスもありえるが・・・。

 後半に入ると、リバプールが守勢に入ったことによってユベントスのペースで試合が進んだ。カペッロ監督の激もあったようだが、中盤でボールをつなげるようになった。これはただ単にリバプールのチェックが甘かったからであろう。そして、CKからファビオ・カンナバーロに決められて1点差とされてしまった。キーパーが止められないボールではなかったが、カーソンはそれ以前にいくつか決定機をとめているので、これでチャラとしてあげよう。(と、ベニテスも考えているはず)

 この後は、ユベントスが攻勢に出るもチャンスらしいチャンスは見当たらず、リバプールが先勝した。負傷者などさまざまな要素を考えれば、リバプールにとって悪くない数字であろう。今シーズンの彼らは計算では計れない強さと脆さが交錯している。ベニテスがユベントスはコンスタントに力を発揮できるクラブなので、試合の組み立てが行いやすいとコメントしていたが、カペッロにとってリバプールはまったく読めなかったであろう。そういうチームなのだ、リバプールは。だからまったく予想できないが、個人的に好きなチームでもあるのでこのまま突っ走ってもらいたい。

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