April 2010
April 21, 2010
藤田祐一准教授(生命農学 名古屋大大学院)らのグループは植物などの光合成にかかわる葉緑素を暗い所でも作り出せる働きを持つたんぱく質の構造を解析した。
この成果としては肥料を使わない農作物の開発にもつながる可能性があるという。
葉緑素が作られる過程では、大豆のように明るい場所で芽生えさせないと緑にならない種と、クロマツなど暗い場所でも緑になる種の二つがあるが、これまで詳しいメカニズムは分かっていなかった。
光合成をする細菌を使い、暗い所で葉緑素を作り出す
NBたんぱく質
の立体構造を詳しく調べた結果、空気中の窒素を取り込んでアンモニアに変える、別のたんぱく質の構造に極めてよく似ていることが分かったという。
今後、明るい場所で葉緑素を作るたんぱく質の構造も調べる予定で、窒素肥料の代わりに、光を使って窒素を取り込む農作物の開発につながるかもしれないと期待される。
この成果としては肥料を使わない農作物の開発にもつながる可能性があるという。
葉緑素が作られる過程では、大豆のように明るい場所で芽生えさせないと緑にならない種と、クロマツなど暗い場所でも緑になる種の二つがあるが、これまで詳しいメカニズムは分かっていなかった。
光合成をする細菌を使い、暗い所で葉緑素を作り出す
NBたんぱく質
の立体構造を詳しく調べた結果、空気中の窒素を取り込んでアンモニアに変える、別のたんぱく質の構造に極めてよく似ていることが分かったという。
今後、明るい場所で葉緑素を作るたんぱく質の構造も調べる予定で、窒素肥料の代わりに、光を使って窒素を取り込む農作物の開発につながるかもしれないと期待される。
April 20, 2010
出澤真理教授(東北大学)らはヒトの皮膚や骨髄に、iPS細胞(新型万能細胞)のように色々な種類の細胞に変化できる能力を持つ細胞が微量に含まれていることを突き止めた。
ただ、大量に増やすのは難しいものの、この細胞はiPS細胞と異なりがん化しにくく、安全な再生医療に役立つ可能性があるという。
出澤教授らは、誤って細胞を溶かす酵素を加えても生き残ったヒトの皮膚細胞の中に、iPS細胞とよく似た細胞を発見した。
この細胞を拒絶反応の出にくいマウスに移植すると、皮膚や筋肉、肝臓など様々な細胞に変化した。
細胞表面には、iPS細胞と同じ目印物質(糖鎖)が付着した。
これを目印にすると、骨髄の細胞(単核球)約5,000個に1個の割合で含まれていることがわかった。
ただ、培養しても約2週間で増殖は止まってしまうという。
ただ、大量に増やすのは難しいものの、この細胞はiPS細胞と異なりがん化しにくく、安全な再生医療に役立つ可能性があるという。
出澤教授らは、誤って細胞を溶かす酵素を加えても生き残ったヒトの皮膚細胞の中に、iPS細胞とよく似た細胞を発見した。
この細胞を拒絶反応の出にくいマウスに移植すると、皮膚や筋肉、肝臓など様々な細胞に変化した。
細胞表面には、iPS細胞と同じ目印物質(糖鎖)が付着した。
これを目印にすると、骨髄の細胞(単核球)約5,000個に1個の割合で含まれていることがわかった。
ただ、培養しても約2週間で増殖は止まってしまうという。
April 19, 2010
生物兵器への応用が危惧される
自然毒 リシン
から人体を守ってくれる可能性のある化合物を2つ発見した。
これはフランス原子力庁(Atomic Energy Commission、CEA)の研究チームが、実験室で1万6500種の化学物質を調べたところ、リシンおよび腸管出血性大腸菌の産出するベロ毒素(志賀様毒素)から細胞を保護する2つの化合物を発見したというもので
「Retro-1」
「Retro-2」
と名づけた。
ただ、この化合物は、毒そのものに作用するのではなく、毒の
細胞への侵入経路
に作用していたという。
これらの化合物をマウスに与えたあとでリシンを投与するとマウスは死ななかった。
ただし、リシンの投与後に化合物を与える順序だと効果が無かったという。
リシンは、ブレーキ液、石けん、ニス、インクなどの製造に使用される
トウゴマの種子
から抽出され、世界で最も危険な毒素の1つとされている。
わずか 1ミリグラムでも体内に入ると、成人でも3〜5日で死亡することがある。
今のところ、解毒剤は開発されていない。
自然毒 リシン
から人体を守ってくれる可能性のある化合物を2つ発見した。
これはフランス原子力庁(Atomic Energy Commission、CEA)の研究チームが、実験室で1万6500種の化学物質を調べたところ、リシンおよび腸管出血性大腸菌の産出するベロ毒素(志賀様毒素)から細胞を保護する2つの化合物を発見したというもので
「Retro-1」
「Retro-2」
と名づけた。
ただ、この化合物は、毒そのものに作用するのではなく、毒の
細胞への侵入経路
に作用していたという。
これらの化合物をマウスに与えたあとでリシンを投与するとマウスは死ななかった。
ただし、リシンの投与後に化合物を与える順序だと効果が無かったという。
リシンは、ブレーキ液、石けん、ニス、インクなどの製造に使用される
トウゴマの種子
から抽出され、世界で最も危険な毒素の1つとされている。
わずか 1ミリグラムでも体内に入ると、成人でも3〜5日で死亡することがある。
今のところ、解毒剤は開発されていない。
April 18, 2010
彦坂正道特任教授(広島大学)らの研究チームは鉄鋼並みの強度を持つプラスチックを
大量生産する技術
の開発に成功した。
これによりバケツなどに使われている一般的なプラスチック素材
ポリプロピレン
を使った簡便な手法で、車体の材料など幅広い用途が期待できるという。
研究チームでは、ゴム状のポリプロピレンを、100分の1秒という短時間で厚さを半分に圧縮することで、約9割を結晶化させる手法を開発した。
従来、ポリプロピレンでは製造過程で、結晶に成長しない部分がほぼ半分を占め、これが弱さの原因になっていた。
新手法で結晶化したプラスチックは引っ張られた時に耐えられる力が、鉄鋼とほぼ同等になった。
なお、製造コストは、現在と同程度に抑えられるという。
大量生産する技術
の開発に成功した。
これによりバケツなどに使われている一般的なプラスチック素材
ポリプロピレン
を使った簡便な手法で、車体の材料など幅広い用途が期待できるという。
研究チームでは、ゴム状のポリプロピレンを、100分の1秒という短時間で厚さを半分に圧縮することで、約9割を結晶化させる手法を開発した。
従来、ポリプロピレンでは製造過程で、結晶に成長しない部分がほぼ半分を占め、これが弱さの原因になっていた。
新手法で結晶化したプラスチックは引っ張られた時に耐えられる力が、鉄鋼とほぼ同等になった。
なお、製造コストは、現在と同程度に抑えられるという。
April 17, 2010
ウィットウォーターズランド大学(ヨハネスブルク)のリー・バーガー博士らのチームはアフリカの洞くつ跡から、200万年近く前のものとみられる新種の猿人とされる頭がい骨2個の化石を発掘した。
水を探しているうちに穴に落ち、地下水に流されたのではないかという。
見つかったのは10〜13歳の少年と20代後半から30代前半の女性の頭がい骨と推定され人類の起源をめぐるなぞの解明につながる可能性があるという。
現地で「泉」を意味する言葉を取り
アウストラロピテクス・セディバ
と名付けた。
生存していたのは178万〜195万年前で、直立歩行をしていたと推定される。
これまで1974年にエチオピアで発見され、人類の「最古の祖先」と呼ばれる300万年以上前の化石「ルーシー」と比べると、背がかなり高く、力も強かったと考えられる。
指は短く、ひじから先が非常に長いなどの特徴があるものの、ほかの猿人に比べて脚が長く、速く走ることで機動性が上がった時期を示している可能性がある。
また、脳は「極めて小さい」ものの、発達した骨盤や小さな歯は現代人と共通する特徴がある。
人類の歴史の中でも特になぞの多い170万〜200万年前の時期に何が起きたのかを知るうえで、大きな手掛かりになる発見であり、現代人につながる「ホモサピエンス」はこの時期に猿人から進化したとの説があるが、現在のところ詳しい過程は分かっていないという。
水を探しているうちに穴に落ち、地下水に流されたのではないかという。
見つかったのは10〜13歳の少年と20代後半から30代前半の女性の頭がい骨と推定され人類の起源をめぐるなぞの解明につながる可能性があるという。
現地で「泉」を意味する言葉を取り
アウストラロピテクス・セディバ
と名付けた。
生存していたのは178万〜195万年前で、直立歩行をしていたと推定される。
これまで1974年にエチオピアで発見され、人類の「最古の祖先」と呼ばれる300万年以上前の化石「ルーシー」と比べると、背がかなり高く、力も強かったと考えられる。
指は短く、ひじから先が非常に長いなどの特徴があるものの、ほかの猿人に比べて脚が長く、速く走ることで機動性が上がった時期を示している可能性がある。
また、脳は「極めて小さい」ものの、発達した骨盤や小さな歯は現代人と共通する特徴がある。
人類の歴史の中でも特になぞの多い170万〜200万年前の時期に何が起きたのかを知るうえで、大きな手掛かりになる発見であり、現代人につながる「ホモサピエンス」はこの時期に猿人から進化したとの説があるが、現在のところ詳しい過程は分かっていないという。
April 16, 2010
理化学研究所と国立がん研究センターなどの研究チームは14日、2万5千人のがん患者のゲノムを解読し、がんの病態解明や新たな治療法開発などにつなげるプロジェクト
国際共同がんゲノム解析コンソーシアム
の一環で、C型肝炎ウイルスの感染が原因で
肝臓がんになった患者のゲノム(全遺伝情報)
を解読し、健康な人では見られない約100カ所の遺伝子の異常を新たに見つけたと発表した。
プロジェクトは2008年に発足し、日本のほか米国、英国、中国などが参加している。
50種類のがんについてゲノムを解析し、がんごとに特徴的な変異を突き止め、包括的なカタログをつくることを目的としている。なお、このデータは無償で公開し研究促進に役立てる。
日本はウイルス関連の肝臓がんを担当しており、今回発表したのは70代の男性患者2人から採取した細胞の解析結果で、最終的には500人の患者の解析を目指すとしている。
国際共同がんゲノム解析コンソーシアム
の一環で、C型肝炎ウイルスの感染が原因で
肝臓がんになった患者のゲノム(全遺伝情報)
を解読し、健康な人では見られない約100カ所の遺伝子の異常を新たに見つけたと発表した。
プロジェクトは2008年に発足し、日本のほか米国、英国、中国などが参加している。
50種類のがんについてゲノムを解析し、がんごとに特徴的な変異を突き止め、包括的なカタログをつくることを目的としている。なお、このデータは無償で公開し研究促進に役立てる。
日本はウイルス関連の肝臓がんを担当しており、今回発表したのは70代の男性患者2人から採取した細胞の解析結果で、最終的には500人の患者の解析を目指すとしている。
April 15, 2010
イタリアとデンマークの研究チームはギリシャ・クレタ島に近い地中海の海底の堆積物から、酸素なしで生きる動物を見つけた。
一部の細菌など単細胞生物が、酸素なしで生きることは知られているが、多細胞の動物は初めてとなる。
英オンライン生物誌BMCバイオロジーに発表した。
チームが調査した堆積物は
塩分濃度が特に高い水
がたまったところの下にあり、普通の海水との接触がなく酸素が全く含まれない。
この10年間で3回調査した結果、軟らかい体を硬い殻のようなもので包む1ミリ以下の小動物(胴甲動物)3種類が生きていることがわかった。
これらは、堆積物の中で一生を過ごしており、酸素なしでも生活のためにエネルギーを得る機能を進化させていると見られる。
一部の細菌など単細胞生物が、酸素なしで生きることは知られているが、多細胞の動物は初めてとなる。
英オンライン生物誌BMCバイオロジーに発表した。
チームが調査した堆積物は
塩分濃度が特に高い水
がたまったところの下にあり、普通の海水との接触がなく酸素が全く含まれない。
この10年間で3回調査した結果、軟らかい体を硬い殻のようなもので包む1ミリ以下の小動物(胴甲動物)3種類が生きていることがわかった。
これらは、堆積物の中で一生を過ごしており、酸素なしでも生活のためにエネルギーを得る機能を進化させていると見られる。
April 14, 2010
難波成任教授(東京大学)らは植物の病気「テングス病」の原因たんぱく質「TENGU」を発見した。
テングス病に発病すると枝が伸びなかったり、多数の小枝が出てほうきのようになってしまったりする。
難波さんらは、植物に寄生すると、この病気を引き起こすことがわかっていた病原体の遺伝子と、その遺伝子からできるたんぱく質を調べた。
たんぱく質のうち、アミノ酸が38個連なったものを遺伝子組み換えの技術を使って植物内で増やすと、テングス病が起きることを確認し、「TENGU」と名付けた。
TENGUは植物全体に行き渡り、成長ホルモンの一種の働きを抑えて病気を起こすと考えられるという。
市販されているポインセチアは
丈が低い、枝が多い
と症状を逆手にとったものだ。
植物の姿をお好みに変えてしまう技術につながりそうだ。
テングス病に発病すると枝が伸びなかったり、多数の小枝が出てほうきのようになってしまったりする。
難波さんらは、植物に寄生すると、この病気を引き起こすことがわかっていた病原体の遺伝子と、その遺伝子からできるたんぱく質を調べた。
たんぱく質のうち、アミノ酸が38個連なったものを遺伝子組み換えの技術を使って植物内で増やすと、テングス病が起きることを確認し、「TENGU」と名付けた。
TENGUは植物全体に行き渡り、成長ホルモンの一種の働きを抑えて病気を起こすと考えられるという。
市販されているポインセチアは
丈が低い、枝が多い
と症状を逆手にとったものだ。
植物の姿をお好みに変えてしまう技術につながりそうだ。