戦争を語るブログ

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『ゴジラ/キング・オブ・モンスターズ』はなぜ爆受けしない? 怪獣四つも出るのに


『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』北米公開。
https://www.boxofficemojo.com/movies/?page=main&id=godzilla2.htm
初日の売り上げ約2000万ドル。2014年版ゴジラの半分の額で、『ジョン・ウイック3』(2200万ドル強)にも及ばない。大ヒットに違いないが意外な集客力の弱さをさらしたといえる。





つまり、もっと興行的に爆裂してもよかったのだ。
作った側にすれば、「前回ギャレス・エドワーズ版の『GODZILLA』は二億ドルいった。今度はこれだけ怪獣が出てきて派手派手に暴れるのだから前よりさらに受ける、うまくすれば『アベンジャーズ』並みに」。
そう期待したに違いない。

ところが。蓋を開けてみれば、興行成績は前作より大きく下回ってしまった。
(最終益はおそらく、前のゴジラの三分の二どまり)
なぜ?
作った側にとって理由を突き詰めるのは今後の重要な課題になると思うが、自分はそちら側ではないので受け手の側から推測するしかない。 つまり、だ。

監督マイケル・ドハティはゴジラオタクということで本作にあらんかきりの「ゴジラ愛」をそそぎ込んだらしいが、それが仇になったという仮説。
マニアックな思い入れが過剰すぎ、平均的な観客の求めるものからかけ離れてしまったのでは。

マーケティングにも問題があったと思う。前回のゴジラの評判の悪いところにこだわりすぎたようだ。
「ゴジラもっと出せ」「破壊の場面ちゃんと見せろ」「人間ドラマどうでもいい」……怪獣映画オタクとでも呼ぶべき連中の声ばかり反映された結果がこれだろう。

公開前から気になったのは、ネットでこの映画の出来の悪さ(「話メタメタ」「人間描写ダメダメ」等)について評判が伝わるや、「かえって面白そう」と好感を示す特撮系映画のオタク(略して特オタ)が多かったこと。
言うまでもないが、特オタの嗜好は一般観客から過激に乖離している。そこにシフトさせて映画を作れば、どういう出来になるかは言わずもがな。特定層には好まれようが、大向こうでの集客がやりづらい。

ギャレス・エドワーズ版の『GODZILLA』は人間描写をメインに物語を引っ張っていけた。
公開時には「つまらない」とさんざん酷評されたものだが、改めて見直してみれば、驚くほどちゃんとした作りの映画になっていて退屈したりダレたりはしなかった。さればこそ興収二億ドルの大台に乗ったのに、今作の『キング・オブ・モンスターズ』では前作の優れたところを逆にマイナス要因とみなし捨てたわけで、当然すべてが裏目に出た。
(今にして思うなら、ギャレス版ゴジラを悪しざまに貶したのは特オタばかりだったのかも)

特オタの嗜好に特化して作られたドハーティ版のゴジラ。
ドラマ部分など申し訳程度、ゴジラやラドンやギドラの暴れる場面に手をかけた怪獣映画というのは、まさしく特オタら待望の一本であろう。
しかし特オタ以外のより広範な層まで惹きつけるにはイマイチの出来となって、今作の集客規模が定まったといえる。

余談として。
この『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』。北米ばかりか海外市場でもおしなべて盛り上がりに欠けているが、ひとつ中国だけは例外的な爆受け状態、初週三日で7000万ドルを達成し、このままいけば二億ドル相当の元収入をたたき出すかもしれない。
前作『GODZILLA』の中国での収益が8000万ドル足らずだったのを思えば、なんという皮肉。
ともあれレジェンダリー社の本拠では目論見が成功したことになる。






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『Yasuke』


ひさしく前からハリウッドで企画が進行している、織田信長に仕えた黒人侍を描く『ヤスケ』について思うことがある。

「うるせー。欲しいのは『ヤスケ』の実情報だ、おまえの思いなんか知るか」だと?
わかってる、わかってる。でも、ぼくの映画の予想はだいたい当たるので(それも悪い予想が)、一聴の価値はあるから心して聞いてほしい。

ジョージ・ルーカスが二次大戦で活躍の黒人戦闘機隊を描く『レッドテールズ』の企画を出したとき、どの映画会社からも「黒人ばかりの映画は海外市場で集客できない」との理由で断られたという。
結局ルーカスは自費で作ったのだが案の定、北米ですこし話題になったきり、海外ではまるで無視される結末に。



ちなみに。これが『レッドテールズ』の戦闘場面
『スターウォーズ』ばりにVFXを駆使、迫力満点のアクション満載にもかかわらず、日本では劇場公開すらされていない。


『ブラックパンサー』が十億ドル台の世界的ヒットを飛ばした今となっては隔世の感があると言いたいが、実のところ黒人映画が北米以外の地域で振るわない実情はあまり変わらない。
アメリカで爆受けした『ゲットアウト』にしろ『Us』にしろ、海外市場では驚くほど集客率が低いのだ。

さて。期待される『ヤスケ』だが。
先に述べた諸々の事情から、ハリウッドはこの企画に熱烈に乗り気というより、「ちょっと一発、作ってみるか」という程度の興味の抱き方と察する。
弥助を誰が演じるかで予算の規模も違ってくるが、『ラスト・サムライ』級の大作に仕立てるのは難しいんじゃあるまいか。

そもそも日本にロケ隊がやってくるかも怪しいのだ。
『ヤスケ』は金のかかること必至の題材であり製作費を効率化して使わねばならず、撮影は政府から補助金の出る台湾や韓国、あるいは中国、もしかしたらニュージーランドでおこなわれる可能性がむしろ高い。
(おなじ事情から、スコセッシも『沈黙』を台湾で撮った。『ラスト・サムライ』もほとんどの場面がニュージーランドで撮られた。『47RONIN』に至ってはヨーロッパで収録されている)

お。



噂をすれば何とやら。
主人公の弥助役に『ブラックパンサー』のチャドウィック・ボーズマンが決まった。
朗報だ!

そうは言っても『ブラックパンサー』は日本で大きくヒットしなかったから、多くの日本人にはピンとこないだろう。
チャドウィック・ボーズマン?
熱心な洋画ファンでもなければ、顔がすぐに浮かんでこないのでは。
実際、トム・クルーズやキアヌ・リーブスが侍を演じるほどのインパクトはあるまい。
しかしこれで、中規模以上の予算は確保されたわけで大きな進展となる。

ところで、どんな内容になるのか?
だいたい映画の実録ものが史実どおりに描かれないのはむしろ定石。
『ラスト・エンペラー』といい、『アラビアのロレンス』といい、実際とは大きく異なる作中世界を構築してるし、それでこそ傑作に仕立てられたと言っていい。

だから、この『ヤスケ』の場合も。
史実を飛び越えて、主人公に荒唐無稽な大活躍をさせそうだ。
(T・E・ロレンスも坂本竜馬と同様に、実際は使い走りに過ぎなかったというが)
たとえば。木下藤吉郎のしたことをそのまま弥助にやらせるとか、明智光秀が寝返ったのは信長と弥助の関係を妬んだからとか、弥助の功績や影響力を過大に描くのでは。
なんか、そんな気がする




関連リンク

「Chadwick Boseman set to play African samurai in 'Yasuke'」
(CNN entertainment)
https://edition.cnn.com/2019/05/08/entertainment/chadwick-boseman-yasuke/index.html


「」
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ハリウッド製ポケモン映画は果たして当たるか?


こんな映画が今日から世界に先がけ、本邦公開される。




日本のゲームキャラがハリウッドに上陸して大丈夫なの?
たぶん案じなくていいと思う。
これはハリウッドの映画人が世界市場で稼ぐために作ったものだ。日本製コンテンツでも、あちらの手にかかれば商品価値が見違える。

不思議でならないのは、「こうした企画をなぜ日本のほうから率先してやらずにいたか?」ってことだが。
そこを残念がらず、ハリウッドに先んじられお株を奪われたのを、「凄いだろ? 世界が日本のコンテンツに注目してんだぜ」としたり顔でせまる日本スゴイ教徒たち。
バッカじゃなかろか。

ところで当たるとしたら、どの程度?
微妙。
映画のピカチュウは予告編でみるかぎり、小生意気でよくしゃべり、自立的に動く性分らしい。ようはアメリカ人好みにキャラが改変されてる。アニメに馴染んだファン、とりわけ日本のファンには違和感が多かろう。

むろん当たり外れを決めるのは映画の出来次第、つまり面白いか否かだが。
うまくいけば設定をガラリと変えた『ピーター・ラビット』並みに、(北米で)一億ドル超の収益をもたらすほど好感されるかもわからない。

とはいえ、集客数は蓋を開けてみなければ。日本のアニメやゲームの実写化はリスキーで、『マリオ』や『ドラゴンボール』は大コケ、『ゴースト・イン・ザ・シェル』も惨敗に近かった。
こいつはどうなのか? 今はまだ、映画評サイト「腐れトマト」で点数が付くのを見守る必要がある。
(現在、トマトメーターは70%を境に上下している)




関連リンク

「Pokemon Detective Pikachu」の評価
(腐れトマト)
https://www.rottentomatoes.com/m/pokemon_detective_pikachu





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『エンドゲーム』はマーベル版『史上最大の作戦』だ


『アベンジャーズ・エンドゲーム』、ついに北米公開。
「腐れトマト」での評価も悪くないようだし、前売りも爆発的。まあ二十億ドルの収益は確定事項と思ったが。
いざ封切ったら、驚くなかれ。

初日の興行収益、なんと1億5670万ドル!
(ちなみに。『フォースの覚醒』の場合、1億1900万ドル、『インフィニティ・ウォー』だと1億600万ドル)
これまで世界でいちばん客を集めた映画といえば『アバター』であり、総収益は28億ドル弱だったが、『エンドゲーム』が『アバター』を抜いて世界収益30億ドル超を達成するのも夢じゃあるまい。

それにしても、この配役。
まさしく、『史上最大の作戦』の再来だ。
(60年代の興奮を知らない若い層にはピンとこないかな)
特筆すべきは、これらスターたちがネームバリューで興行力を発揮すると同時に、演じる役の魅力でも集客できること。
こんな映画、またとあるもんじゃない。




劇場へ急ごう。
前作を見ていない人でも面白さはわかるはず。ちょうど、ノルマンディ上陸にいたる第二次大戦の歴史を知らなくても『史上最大の作戦』という戦争映画が巨大な群像劇を満喫させてくれるように。
この連休中はいろいろなことが出来るだろうが、その一日だけ費やして、半世紀先まで語り草となるほどの伝説の映像エピックの目撃者となっておくのも悪くあるまい。

ところで、『史上最大の作戦』といえば。
YouTubeでこんなの見つけた。
ダリダがフランス語で歌う「史上最大の作戦マーチ」。




『アベンジャーズ・エンドゲーム』で残念なのは、これに匹敵する魅力をもつ主題歌がないってことかな。
(主題曲自体はあるが、こんな感じに末永く聴き継がれると思えない。見かけで十二分に気負いながら音の面で弱体なのが玉に瑕だ)




関連リンク

『アベンジャーズ・エンドゲーム』の評価
(腐れトマト)
https://www.rottentomatoes.com/m/avengers_endgame


『アベンジャーズ・エンドゲーム』
北米と世界各国の興行収入
(Box Office Mojo)
https://www.boxofficemojo.com/movies/?page=intl&id=marvel2019.htm





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小池一夫


劇画原作者の小池一夫が他界したという。
享年83歳。
すでに仕事をやり遂げていたような人なので、世間も揺れ動くほどの反応は示さなかった。

小池一夫 といえば、知名度で作者を超える作品が少ない気がする。
だいたい『子連れ狼』しか思い浮かばない人が多いだろう。
それも当然で、一流どころにのし上がってからはいささか粗製乱造の気味があった。しかも読者の反応を見るに過敏、評判が芳しくないとキャラクターの容姿なんて平気で変えてしまう。

たとえば、『少年の町ZF』の囁き子。
登場した時はフランス人形のような美少女が、たった数話で丸顔のねえちゃんに。これには唖然。
キャラクターを180度変えられたのが『デュエット』の雪妃。
王女の風格の持ち主だったのに、鉄樹に犯されてからはまるで別キャラ、ただのつまらない女になり下が……(以下自粛)

そうした適応力ゆえに生き残り、長きにわたり一線で活躍できたとも言えようが。
しかしあまりにも時々の思潮に合わせ過ぎたことが作品ごとの完成度を低める結果をもたらしたのは否めない。
さらに。
おもに青年読者の嗜好に沿いながらの仕事を続けたせいか、今日的なフェミニズムの視点からは、「うむむ……」となるような描写が多いのだ。

むろん小池一夫だけが特別だったのではない。
マッチョズムの表現は小池が活躍した時代の漫画家や原作者の必需的な技能。欲したのはほかならぬ受け手の側、当時の男社会全体だ。
そうした要素を出版物に求めていた人々が大きな層を占める日本でフェミニズムやLGBTがなかなか地歩を築けない所以だろう。

ところで。
ぼくがこの人に着目したのは、連載中だった『サハラ』の一話を目にしたとき。
ヒステリーカが公園にいると文芸愛好家らしい女性が近づいてきて二人で詩の話題を交わすようになる。だが……という筋運びで、オチは「ある職業の女は香水を使わない」という台詞で締められる。
なにぶん70年代に読んだきりだから内容についてはあやふやながら、当時としては青年劇画の枠にとらわれず女性の知性を侮りなどしない描き方に感服させられた覚えがある。
もしも当代が最盛期ならば存外、才能を時流に無難にフィットさせ、フェミニストの視点からも納得できる作品作りをしたのではなかろうか。

さて。
小池一夫に先駆けるかのごとく モンキーパンチも逝ってしまった。やがてくる新元号の時代から門前払いをくらったかのように。
昭和に活躍した人々が平成という深い溝を飛び越えて居場所を得ることに、すなわち平成サバイバーとなるのに、令和は思いのほか拒絶的なのかもしれない。






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