戦争を語るブログ

平和を愛し、いさかい好む

2014年11月

「紙奴隷」となった読売新聞、慰安婦問題で不適切なお詫び

唐突にも読売新聞が、従軍慰安婦問題での報道で謝罪をおこなった。

本社英字紙で不適切な表現…慰安婦報道でおわび
http://www.yomiuri.co.jp/national/20141127-OYT1T50116.html

何かと思えば、『過去記事で、「従軍慰安婦(comfort woman)」を「性奴隷(sex slave)」と表記してしまい不適切でした』と、勝手に謝罪。
記事中ではいろいろ言辞を弄しているが意訳すれば、こんなところだろう。

「ごめんなさ〜い(泣)。うちの新聞はもう、安倍政権の紙奴隷なんです〜。慰安婦を性奴隷とは呼べないんです〜」


つまり国内最大の発行部数を誇るメディアが日本政府の「紙奴隷」に成りさがったということだ。
読売新聞がかかる選択をした意図はあきらかである。
安倍晋三に脅迫されたからではなく、安倍晋三と仲良くなりたいからだろう。

この夏(だいたい、安倍政権が朝日新聞叩きをはじめる直前の頃)、国連人権委の場で、性奴隷被害者へのケアが不十分なのを責められた政府代表が「慰安婦は性奴隷ではない」と楯突いた(そして、まったく相手にされなかった)のは記憶に新しい。
戦時中の慰安婦制度での日本軍の責任。これを決死の覚悟で否認を決め込む安倍政権にとって、「慰安婦」を「性奴隷」と同義に捉えるのは禁忌なのである。

いったい日本政府が「軍による強制連行はなかった」といくら言い張ってもまったく通用しないのは、強制の有無に関わらず(しかし強制でない連行があるだろうか)送り込まれた女性たちが軍の管轄下で隷属的な状態におかれたからにほかならない。
(「金を稼げた」「娯楽があった」「借金を返せば帰国できた」といった言い訳は無意味である。ローマ時代の奴隷ですら条件を満たせば自由の身になれた)
だからこそ「性奴隷」と定義されるのであり、世界はこの一点に関心を注ぎ、資料や証言で明かされた数多の女性たちの悲運に同情を寄せている。

そして、この壮大な女性たちの悲劇において名誉ある日本軍には、ヒロインらを「集団で強姦」したという卑劣にして憎むべき悪党の役割しか与えられていない。日本の極右勢力にとってはまったく有り難くないことだ。そうやって皇軍の威厳を貶めるとは、彼らが心に思い描く「美しい日本霊園」にずかずか踏み込んでこられるに等しい。
「性奴隷問題」はそうした特定的な支持層をもつ現政権にとって、一歩も引けない生命線なのだ。
だから睨みのきく範囲では、「性奴隷」は「いわゆる慰安婦」と言い換えることが求められる。

これに読売新聞は、嫌々どころか嬉々として応じた感がある。

とはいえ読売がやったのは小さな改変だ。日本の新聞が表記を訂正したくらいで国際世論が動くわけがない。
たぶん海外の人たちには、読売新聞がなぜ「性奴隷が不適切な表現だった」と謝罪したか理解に苦しむのではあるまいか。もしかしたら、「性奴隷」では被害女性らに侮辱的な呼び方になるから言葉をゆるめて「慰安婦」に改めたのだろうと好意的に解釈するかもしれないが。
ぼんやりと、そう思ったものだった。

あいにく、そうはならなかった。もっと由々しいものと受け取られた。
読売新聞の慰安婦を「性奴隷」と呼ぶのがまるで悪いこと、許されないことだと決め付けるかのような、あてつけとしか思えない謝罪は、あくまで国内の特定層向けポーズのはずだった。それが意に反し、世界中に波紋を拡げてしまったのだ。ほとんどが、あわせて日本の枢軸時代を正当化する勢力の台頭に言及するという批判的な報じ方で。

安倍政権はさながら、間抜けな奴隷の空気を読めないお追従のせいで大恥をかかされる格好になったといえよう。
これこそ、現政府の紙奴隷となった読売新聞がなした最初の貢献である。
いや、「紙奴隷」という表記は禁句か。世界の人に誤解されるからな。これ以上日本の立場を悪くしないよう、「追従慰安紙」と呼んでやろう。













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戦時下のオードリー

1942年、13歳当時のオードリー・ヘップバーン(むろんデビュー前)。
この頃、彼女が暮らしたオランダはナチスの占領下にあった。生活は苦しく、菜っ葉ばっかり食ってたという。



母方の親族は対独闘争に協力。
捕まって処刑されたり強制収容所に送られたりで散々な目に遭ったのが何人もいる。
二年後、連合軍によるオランダ解放作戦の時には、オードリーもドイツ兵の監視をくぐって使い走りを務めたとされる。
ちなみに彼女の家があったのは、『遠すぎた橋』で有名なあのアーネム(アルンヘム、アーンエム)だ。
こうした過去もあり、70年代に『遠すぎた橋』が映画化されたとき連合軍負傷兵を看護するオランダ女性の役で出演依頼を受けるが、ギャラの問題で合意に至らなかった。
残念な気がする。





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産経「米政府が以前にまとめた戦争犯罪調査資料をザラッと見たけど、慰安婦奴隷化の証拠はなかったヨン」

産経新聞「米政府が以前にまとめた戦争犯罪調査資料をザラッと見たけど、慰安婦奴隷化の証拠はなかったよ」
http://t.co/gGSblq6VTG


「だから?」というのが唯一の感想なんだけど。
それだとあまりに簡略すぎるので、もう少しなにか言っておくか。

実は、産経記事の本当の見出しは、「米政府の慰安婦問題調査で「奴隷化」の証拠発見されず…日本側の主張の強力な後押しに」となっているのだが。
あきらかなミスリードを狙ったものだろう。
まるで「米国政府が慰安婦問題について調査したところ、性奴隷の証拠は見つからなかった」ように誤読してしまう。それどころか、「米政府が安倍政権の恥知らずな主張を強力に後押し」するかのような誤解すら招くかもしれない。

とりあえず、そういうことはあり得ないとだけ言いたい。
今回の調査結果は、産経新聞が独自にやったもの、「クリントン、ブッシュ両政権下で8年かけて実施したドイツと日本の戦争犯罪の大規模な再調査」とやらをまとめた公式文書を閲覧して(どういう閲覧のやり方だったかそれは問わないが)出したものにほかならない。
したがって、学術的な権威などあるものではない。




すでに指摘した人もいるように、記事から得られる情報にかぎっても、産経側が主張の裏付けに参照した調査資料というのが、「総計850万ページのうち、日本の戦争犯罪に関する部分は14万2000ページ」という代物なのである。
この圧倒的なまでの数字差からも、「あくまでドイツの戦争犯罪を暴くのが主眼で日本のことは付け足しに過ぎない調査」だったのだとうかがえる。産経側は意図的にそういう資料を選んで踏査したのではないだろうか。

また、当然の疑問として湧き上がるのは、「なんでわざわざ、米国での調査に依拠するのか?」ということだろう。
なんとなれば、すでに日本での実証的な研究だけで、慰安婦制度の強制性と拘束性は十二分に証明済みなのだから。
よしんば、膨大な全体量の中で日本の戦争犯罪にはほとんど言及されないに等しい例の米国側の調査報告を隅々まで閲覧して強制性の証拠がひとつも見つからなかったとしても、それで日本軍従軍慰安婦制度の免罪になどなりはしない(当たり前だ!)。





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