戦争を語るブログ

平和を愛し、いさかい好む

2014年12月

米国保守と日本右翼の親和性?

どうもネット右翼らは勝手な思い込みで、「米国の保守は日本の右翼に味方する」と感じているようだ。
その根拠だが単純に、「米国保守層は伝統的に反共だから、おなじく反共主義の日本右翼とウマが合う」というだけのことらしい。









アメリカの保守層(大半は田舎の農夫)が共産主義者を嫌ったのは、まず無神論をかかげる反キリスト集団と思われたからであり、また個々の領分を侵害する全体主義体制を押しつけるからだ。
アメリカ人の性分とこれほど合わないものはない。

一方、日本の右翼が歓呼する安倍政権。アベノミクスという事実上の統制経済のもと国民の権利を抑えて国家に従わせる体制、いわば日本の全体主義化を推進するのに躍起となったその姿。
共産主義を嫌うアメリカ人とウマが合うどころか、アメリカ人の嫌う共産主義のほうとよほど親和性がありはしないか。

いや、安倍政権が左翼を激しく嫌っているとかはまったく反論にならない。まったく。
日本の左派やリベラルは共産主義者と同一ではないし、いかに安倍晋三の頭の中で自分を妨害する敵としてそれら一括りになっていようとも。
極言すれば、「あなたが悪魔と戦うからって、あなたが悪魔でないとは言えない」のである。
現にヒトラーのナチスも、共産主義を宿敵とみなし、弾圧した。共産主義から西欧を守る防波堤を豪語し、ソ連に立ち向かった。

しかしチャーチルもルーズベルトも騙されはしない。ドイツがソ連を倒せば、世界にとってさらなる脅威となるのはあきらかだったから。英米は、まずドイツを葬ることに決めた。
あろうことか共産主義のソ連と組み、ユーゴ・パルチザンや毛沢東とも連携、地球規模の大包囲網でヒトラーと相方の日本を追い込んでいく。
(これがアメリカ人の歴史認識での戦時中の日本の立場である。ヒトラーの盟友だ)
米国内での反共主義は根強かったが、ドイツや日本の国家主義とはもっとウマが合わなかったのだ。

安倍晋三は三菱重工爆破事件など例にあげ、いささか時代遅れにも過去の極左過激派のテロ活動を槍玉にすることで、狂おしいまでの反共主義者ぶりをアピールしている。まるで、反共の立場を強調することが西側世界での自分の身の置き所を得るための証であるかのように。

しかし日本の極左過激派の犯罪を束にしても、真珠湾の騙し討ちだけで数千名を殺し、続く数年で幾百万もの命を奪った太平洋戦争、すなわち極右全体主義の台頭によって引き起こされた歴史的大犯罪の規模には到底及ぶものではない。

しかも安倍政権の聖地たる靖国神社。この靖国神社の提示する歴史観とはいかなるものか?
堂々と大東亜戦争を、米国への「防衛戦争」であり、西欧からの「解放戦争」と謳いあげる。
こうした「靖国主義」を信奉する歴史修正主義者ばかりで占められた安倍晋三内閣を強く支持する日本の極右勢力。
もはやアメリカ保守層にとどまらず、アメリカ人全般のかかげる価値意識とかくも相容れない存在はないのである。





にほんブログ村 歴史ブログ 近代・現代史(日本史)へ この記事を気に入ってくれた人、よろしくね

アンブロークン

アンジェリーナ・ジョリーがつくった映画『アンブロークン』が、「日本軍を残虐に描く反日映画」ということで、思想的にそっち系の連中が猛反発している。





とにかく日本軍に悪印象を抱かせる描き方するのがいけないらしい。

自称愛国者たちは日本兵を、愛敬があってサマになって、もっと好感をもてる姿で描いてほしいのだろう。
しかしあいにく、日本軍が連合軍捕虜を厚遇せずに多くを死なせたのがまぎれもない事実だとすれば、捏造でもしないかぎり彼らの望んだ通りには描かれるわけがない。
まして『アンブロークン』の主人公は、アメリカ兵の捕虜なのである。





第二次大戦中、ドイツ軍の捕虜となった英米軍将兵の死亡率は4%(25人中1人の割合)だった。これが日本軍の捕虜となった英米軍将兵の場合、死亡率は27%、つまり4人に1人が死んでいる。
(連合軍の捕虜になった日本兵の死亡率? そもそも日本軍は兵たちに捕虜となるのを禁じていた)
『アンブロークン』を反日映画と罵る人々は一体、日本の捕虜収容所をどんな具合に描いてもらいたいのだろう?

だいたいの話。ジュネーブ条約にもとづく降伏を許さず、自国の兵士にすら玉砕や自爆攻撃を強要した軍隊のことをどう手を加えても、人道的になど描けるものではなかろう。
自称愛国者たちに道理と向上心があるなら、日本軍が外国映画でそういう描かれ方をする軍隊であったことをまず批判すべきなのである。

そんなわけで。日本軍が米軍捕虜を虐待する内容の映画を、ネット右翼らが「反日だ」といくら騒いだところで、ハリウッドは意に介さない(なにせサイバー・テロにも負けず、金正恩暗殺の映画を公開する国だ)。「日本で見せなければいい」との判断で、今後も日本兵の描き方に変化はないだろう。
アベノミクスで強引に引き起こされた円安のせいで日本市場の収益は三分の二にまで落ち込み、ハリウッドにとってそれだけ魅力もなくなっている。





にほんブログ村 歴史ブログ 近代・現代史(日本史)へ この記事を気に入ってくれた人、よろしくね

マタ・ハリのこと

第一次大戦中ドイツと通じた諜報活動が発覚、銃殺された美貌の女スパイ、マタ・ハリ。
「その活動のせいで連合軍兵士五万人が死んだ」といわれるが――。






実際は間諜として小物にすぎず、赫々たる勲功を遂げたわけでもない。
死刑にされたのも、ほとんど濡れ衣に等しい罪状によるものだったようだ。
なによりも、マタの写真として紹介されるのは異色のダンサーとして名声を得た三十歳頃のものが多く、この艶やかな姿で暗躍したわけではない。
(あまりにもその手の誤解がまかり通る)







マタ・ハリの素性は簡単に調べられる。
本名は、マルガレータ・ヘールトロイダ・ツェレ(Margaretha Geertruida Zelle)。
ジャワ系の血が混じったオランダ人で、エロチックな東洋スタイルの舞踊により20世紀初頭のパリで喝采を浴び、多くの地位の高い男たちと彼女のやり方で交流した。

第一次大戦が起こるまでは、そうした暮らしぶりである

いよいよ軍事情報横流しのお仕事に関わるのは四十代になりかけた頃。何らかの志をもってのことではなく、割のいい副業の話に飛びついたという感覚らしい。
すでに容色も人気も、かなり衰えていた。
ただ、ダンサーとして名声を博する若い時期に築いた人脈のおかげで男たちの間を有利に動きまわることができ、それが役立ったというわけだ。





マタ・ハリがフランスの官憲に逮捕されたときの写真。
すでに40代、化粧を落とした素顔である。実際のマタ・ハリの活動が「色仕掛け」とは異なるものだったのではとおぼろげにうかがえる。

ともあれマタ・ハリにまつわる風説は、小説や映画などさまざまな創作を派生させていくことになる。「女スパイ」なるものに一種、劇的で妖艶なイメージが付与されたのは彼女の存在に負うところが大きいといえるだろう。





にほんブログ村 歴史ブログ 近代・現代史(日本史)へ この記事を気に入ってくれた人、よろしくね
いらっしゃ〜い!

関連サイト



にほんブログ村 歴史ブログ 近代・現代史(日本史)へ
サイト内検索
powered by Google
代表記事
■山本カルトに手を焼いた話(統合版)
■ライト文芸
■ヴィジェ=ルブランが気になって
■映画の話題
■日本人でどこがよかった
■ニッポンこわい
■国民病「日本スゴイ症候群」と他人の反応
■愛国伝説
■二次元マニアの同一性障害
■「特攻隊はテロリストと違う」と言い張るゼロリスト
■13%
■アインシュタインよりディアナ・アグロン
■エジソンからアインシュタインへ
■「よそはよそ、うちはナチ」
■東京を占領した南京事件否定派、ユネスコを脅迫
■映画『聨合艦隊司令長官山本五十六』
■外国人に語らせた愛国ポルノ本の虚妄
■ノストラダムスの大予言と大東亜戦争の肯定
■侵略の定義
■慰安婦問題について百万回でも書かねばならないこと
■誘拐と慰安婦とハーレムと強制連行
■性奴隷と兵奴隷
■日米同盟はまさに保険だ
■知ってても差別をしてしまう場合
■グレンデールで慰安婦像撤去に反対、本物の日系市民が動き出した
■安重根記念館と二つの史観
■小野田少尉と真実を把握すること
■潘基文国連事務総長は安倍内閣の歴史認識を堂々と批判してかまわない
■産経新聞というネット右翼
■戦後最大のメディア犯罪が起きている?
■通州事件の記憶遺産登録は日本にとってヤブ蛇ですが
■アメリカ人の自己犠牲について
■「太陽の帝国」
■慰安婦問題、仏国際漫画祭での判定
■原爆投下に対するJoe Kilroyの見解
■愚問のきわみ! 「南京大虐殺の際、中国軍は何処で何をしていた」?
■米国保守と日本右翼の親和性?
■「西側」対「右側」/従軍慰安婦問題の特異性
■早い話、日本軍自体が「巨大な奴隷制度」だったという話
Recent Comments
Archives
QRコード
QRコード
Amazonライブリンク
  • ライブドアブログ