「(非難決議案の下敷きとなった)ゲイ・マクドゥーガル報告の記述は極端すぎる」との反論はごもっともです。

日本国政府及び軍が第二次世界大戦中にアジア全般における強姦所の設置に直接関与していたことは今日明らかになっている。これら強姦所で旧日本軍により奴隷化された、多くは11歳から20歳であった女性は、日本支配下のアジア全体の各地に住まわされ、毎日、数回に亘り強制的に強姦され、身体的虐待の対象となり、また性病に犯された。これら女性の約25%のみがこの毎日の虐待から生きのびたと言われている。これら「慰安婦」を得るために、旧日本軍は身体的暴力、誘拐、強要及び欺聴を用いた。

(「人類猫化計画」さんコメント欄にて『ゲイ・マクドゥーガル特別報告書』外務省仮訳/13日の水曜日)より一部を抜粋
http://azuryblue.blog72.fc2.com/blog-entry-114.html

ぼくがなにより驚くのは、「第二次大戦中に14万5000人の朝鮮人性奴隷が死んだ」との荒船清十郎による不確かな発言が報告書作成者によってなんの疑いもなく信じられたことの凄さです。

そのこと自体、海外の人が日本軍(現代の日本国でなく)というものにどんな印象を抱くのか、日本軍が実際にどんなことをしたかを解き明かすものでしょう。

戦地で慰安婦となった女性を消耗品のように扱った日本の兵隊さん。
結局は、彼らもまた、国家の消耗品だったのです。
およそ人権らしい人権の保障されない点では、日本兵が慰安婦より恵まれた身分とはとうてい思えません。

彼らは、よく言われるように「赤紙一枚」で集められたのち、拷問にひとしい訓練によって服従と加虐の精神を叩きこまれ、一個の皇軍兵士として成型されたのです。

「だから強かった」という評価もありますが、そうやってストレスを溜め込まれたことで「弱者には容赦なく振るまう」下地がつくられました。
日本軍の強さと規律、命令一下の非道ぶりや憲兵のいない場での蛮行、これらは表裏一体のものとして捉えねばなりません。

そうして大陸や南方の戦地に送られ、まずい作戦とひどい補給、しばしば大局のための捨て駒となって、凄惨な様相のうちに屍をさらしたのです(半数は、餓死)。

まさに「軍国日本による兵奴隷制度」と呼ぶのがふさわしい図ではないでしょうか。

性奴隷と兵奴隷
http://blog.livedoor.jp/manfor/archives/50955423.html

あの時代、日本だけで二百万を超える「兵奴隷」が国のため命を捨て、さらに日本の占領を被ることで、すくなくとも数百万の他国民が命を奪われました(フィリピンだけでも百万人以上)。
とにかく、日本軍を「人命を粗末にする世界の中でも特異的な組織」とみなすための根拠には事欠かないのです。

南京事件、真珠湾のだまし討ち、バターン死の行進、泰面鉄道、三光作戦、万歳突撃、集団自決、神風、731部隊、捕虜の生体解剖……。
「慰安婦14万死亡説」が疑問なく受け容れられたのは、そんな残虐な連中では性奴隷の十万や二十万殺されても不思議はないと思われた証にほかなりません。

「日本軍ならやりかねない」
それこそ、マクドゥーガル報告の成った経緯、それで米国の議員らが慰安婦制度へのイメージをかためた由だと思います。
慰安婦制度の実態はどうあれ、「吉田証言」という虚構の中の出来事でさえ日本の軍政下では起こり得ることが、他の局面での皇軍の行状によって十二分に裏付けられていたからです。

「日本軍は多くの面において正常な軍隊ではなかった」
これが世界の人々の、われわれの父祖に対して抱く基本的な認識です。
そこには、小林よしのりの漫画だけ読んで得意になった連中が入り込む余地はまるでありません。

強調しておきますが、報告書の作成者が日本に対する特別な悪意や偏見をもっていたわけではないのです。
報告書はむしろ、心身に傷を受けたアジアの女性たちへの善意によって貫かれています。

ただ、大日本帝国が徹底して人権を蹂躙する国家だったから、今日、その遺産と負債を受け継いだわれわれが責を問われるのです。

従軍慰安婦問題は、こうした土壌の上に積み上げられた厚い層であり、平凡な人が電車の中で痴漢の言いがかりをつけられた類の突発的な災厄のように思ってはいけません。



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