近頃、「侵略の定義」という言葉が頭の中で大きなウエイトを占めている。
別に、意味について考え込んだわけではない。自分にとって、侵略の定義ほどシンプルで即座に応答できるものはないからだ。

とりあえず、30年代と40年代に日本帝国がしたようなことを侵略と呼ぶ。
日本のしたことが侵略かどうかで悩んだりせず、日本のしたことでそのまま侵略を定義付けすればいいのだ。

手に合うか気にしながら手袋を編むのでなく、手に型取りしたもので手袋を編む。
実に素晴らしい方法ではないか。今の国際連合が、ドイツと日本の侵略阻止のため集った諸国家の大同盟が母体であるのを思えばまこと理にかなう。
強引な論法? 侵略の定義は確定していない? 日本は侵略から解放した側だ?

そんな風に異を唱えるのはこの広い世界で、日本の特定右翼集団だけである。
(ちなみに「特定右翼集団」とは、右派メディアの宣伝に乗せられ、あの戦争は大義のためであり多くの国が日本軍の功績に感謝してると信じ込み世界が見えなくなってる若者、またはそんな若者の振りをしてさかんに大デマを言いふらす奴らのことだ)

その連中ときたら、こうしたことを口々に云う。
「政府の認識は、『侵略の定義は様々で、答えられない』というものだ」
「政府に定義が説明できないのに、侵略を反省する村山談話は異常」
「取り消せ! 村山談話なんか取り消せ!」

ようするに、「定義がわからんから、侵略だかわからん」の道理で空々しくも騒いでる。何なんだ、わからんのはおまえらの脳味噌の鮮度じゃないか。
よもや、「侵略の定義ガー」でごね続ければ、「侵略の事実」を無効にできるとか思ってる?
(思っていそうだな)

なにはどうあれ。
答えを明かせば、世界はとっくの昔に、「侵略の定義」を明確にしているのだ。

侵略の定義に関する決議 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BE%B5%E7%95%A5%E3%81%AE%E5%AE%9A%E7%BE%A9%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E6%B1%BA%E8%AD%B0

1974年の国連総会で確定された内容で、当時の日本政府も異議は唱えなかった。
この歴然たる事実を前提にすべき現政府の態度たるや、「確立された定義があるとは承知していない」。国家への一国民の信頼を根本からぐらつかせてはばからない答弁をして済まし込んでる。
なんなんだろう、こいつらは。




そういうことを色々と思いめぐらしていたのだ。



画像はイメージです。


それはともかく。
最近、安倍内閣の重鎮とされる男が、曖昧なはずの「侵略の定義」を一本化するうえで貢献してくれた。


クリミア編入は「侵略」菅長官 | mixiニュース
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=4&from=voice&id=3323423

菅義偉官房長官は17日午前の記者会見で、鳩山由紀夫元首相がロシアによるクリミア編入に肯定的な発言をしたことについて「全く侵略を肯定するような、力による現状変更を肯定するような人の発言は、政府としては絶対に看過できない」と非難した。日本政府はロシアのクリミア編入を「力を背景とした現状変更の試みは認められない」との立場だが、菅長官は「侵略」との言葉を使って批判した。



鳩山氏を誹謗するのに躍起となるあまり、つい口を滑らせてしまったのかもしれないが。
実は、菅長官のボスの安倍首相は二年ほど前、「侵略の定義は学界的にも国際的にも定まっていない、国と国との関係でどちらから見るかで違う」とか発言して問題になったことがある。
(その認識が今も変わらないのは最近、次世代の党の和田正宗議員からの質疑に応じた政府答弁書からもうかがえる)

しかし菅長官は相反することを言ってしまった。
定義を曖昧にするどころか、実にはっきりとした物言いで。
全く侵略を肯定するような、力による現状変更を肯定するような人の発言は、政府としては絶対に看過できない

どういう仕儀で具合が悪いのかは、この図表をご覧になるといい。




本当の「侵略の定義」の話をしよう/フォーゲル教授の戦争講座
http://matome.naver.jp/odai/2142703700057639201



菅官房長官の言葉ははからずも、「さまざまな定義がある」うちの安倍内閣での侵略の定義においてさえ日本の開戦が、動機(東亜新秩序の樹立)からいえばまさしく侵略そのものであることをみずから認めてしまう結果をもたらした。




追記

あ、誤解されるといかんから言っとくけど。
自分はロシアのクリミヤ侵略には、激しく反対ですよ。この点でだけは現政権と意見が合います。

プーチンはいまのうち断固、阻止しなければなりません。
「韓国併合」のあとに「満州建国」が起こり、そして「東亜の解放」へと続いていった大日本の侵略の歴史を思い合わせれば、当然至極でありましょう。



プーチン首相と向き合い、「クリミヤ併合は侵略だ。それが我が政府の見解である。断じて認めるわけにいかない!」と、厳しい態度で問い詰める安倍総理。




嘘です





にほんブログ村 歴史ブログ 近代・現代史(日本史)へ この記事を気に入ってくれた人、よろしくね