国連報告者が日本の人権状況を批判するにあたり、「日本では中高生の13%が援助交際を経験――」と述べた件で、日本政府が噛みついた。


いや。
みなの言いたいことはわかっておる。
だが、待て。


自分が最初に感じたのは、「13%じゃ少ないだろ」という不満に近いものだ。
あとで、「中三女子に訊いた結果」だとわかって、納得したが。
女子高生にかぎるなら当然、数値はずっと高くなるだろう。女の子の中学時代と高校時代とでは男性遍歴で、自転車と大型バイクほどにも差が生じるのだから。

しかし、大多数の日本の男はこれをなぜか、日本への侮辱に等しいものと受け取ったようだ。
(国連勧告の主意ではなく、その中の13%の数字だけとらえ)
海外から自分の国が「ビッチ」だらけだと思われるのはよほど嫌なことらしい。十代女子の肉体的魅力を商品として扱う風潮を蔓延させることに平気なばかりか、むしろクールジャパンの国策を通じて世界に拡まるのを得意がるような神経だとしても。

ともかく。
日本政府の常識はずれな抗議に驚いた国連報告者は、「13%」発言を撤回する旨伝えてきたという。
菅官房長官は国内での会見でそう語り、ネット右翼らは政府が日本の敵をやり込めた勝利宣言のようなものと受け取った。

ぬか喜びしてもらいたくないので釘を刺すが。
国連報告者は「13%」の数字が誤解を招いたと通知しただけなのだ。
(菅義偉の口から出たことだから、実際の内容がどうだったかも疑わしい。ネット右翼を悦ばせることしか言わない男だ)
国連報告者は、少女をあらゆる性被害から守るよう求めた勧告自体を引っ込めたのではないし、まして日本が未成年者を立派に保護する国だと認めてもいない。しかもわが政府は、先進世界に属する国としてあるまじきことながら、その勧告には従う気がないと態度で示したのだ。

今ココである。
核心的な問題はまったく解決していないうえに、政府はそれをこじらせる真似をした。国連から高い評価、好意的な評価を得るような対応は何もせぬままに。

どうやら日本政府は、わが国は特例的に行儀良くて純情一途な男女ばかり暮らす国で、国連報告者が改善を求める状況などあり得ないと言いたいらしい。
「解決済み」とは慰安婦問題でよく聞かされる言葉だが、未成年者の性的虐待については解決すべき問題自体が「存在しない」というわけだ。

いやはや。
もしかして安倍政権は、慰安婦問題との絡みから、「援助交際は和姦だし金を払うから強制わいせつと違う」と言いたいのだろうか?
なるほど、たしかに。
「美しい国」を誇りたかったのが日本軍の性犯罪の件でさんざん悩まされ、このうえ平成日本まで少女を性虐待する国という評価を賜ってはやっていられるもんじゃなかろう。

あいにく西欧の価値観では、未成年との性交は合意の上でもレイプになってしまう(これは、日本の法律でもそうなのだ)。
しかし国連の立場からは、今の少女たちの身だけを気遣っての申し入れなのである。日本政府がすみやかに勧告に従えば、それで終わる問題だ。

国連報告者はわが政府に対し、日本社会で日常的に性被害にさらされる未成年者の人権状況を改善するよう求めたのであり、「13%」はその文脈において、日本での十代少女の性被害がいかに深刻かを語るため出された数字だった。
結果的に、勧告の主意には答えず「13%」の数字にだけ執着するという異常な反応を示したわが政府によって根拠の曖昧さを突かれ、揚げ足を取られることになりはしたが、立場上の正当性は変わらない。

この問題の肝は、「日本では中三女子でさえ13%が売春体験」という前提が、日本に人権状況の改善を促す国連報告者らに疑念もなく共有される、すなわち海外での最高のインテリ層からさえ日本はそういう国だとみなされた現状にある。
まさしくそうなのだ。
国連側はよもや、そんな「わかりきったこと」でむきになって突っかかってこられるとは思いもしなかっただろう。彼らから見た日本とは、未成年者を性的餌食にするあらゆる悪を放置し、なすがままにさせていた国なのだから。

現状、日本への芳しくない評価を覆すのは難しいと考えている。
実際、「クールジャパン」の柱をなす商品化された十代女子エロチシズムの氾濫を見るにつけ、思われて当然だとの感を強めてしまう。

もしも1960年代に、低級なマカロニ西部劇やヤコベッティの猟奇的な記録映画だけ見せられイタリアを評価することになれば、ほとんどの人はイタリア人とはあんなものを好む奴ばかりと答えるかもしれない。
今のクールジャパンのコンテンツは、日本という国、日本国民という集団をしかるべく評価させる危うさをもっている。

とはいえ実情に即した対応とは、海外に出す日本のアニメやゲームやピンナップをもっとお行儀のよいものに規制することではない。
国連が求めたのは、国内で誘惑的な性被害にさらされている実在する少女たちの人権を守ることだ。
しかるに現政権の対処の仕方を見るかぎり、13%なる数字を否定すれぱ日本の名誉(というより評判)は傷つかず、それで手当ては十分と勘違いしているようにしか思えない。






関連リンク

「日本の女子学生の13%が援助交際」発言は撤回でも…
JKビジネスとアイドル界の“児童売春”的現実
(litera)
http://lite-ra.com/2015/11/post-1672.html






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