欲しくて買ったわけじゃないんです。
たしか記憶では、量販店が往年の名画DVDを10巻1000円でまとめ売りしたのに入ってたはずで。同梱されてる『シェーン』『風と共に去りぬ』『アラバマ物語』『オール・ザ・キングスメン』等々……歴史に残る傑作・ヒット作ばかりの中、ひとつだけ異彩を放ってる感じ。
かかる二流作を混ぜたのは水増しみたいなものでしょうが、ジョン・ウェインにアンソニー・クイン、二大スター共演なので分際より優遇してもらえたのかもしれません。





内容については語るほどもないです。
ようは大戦中の戦意高揚もので、日本軍を敵役、悪役、やられ役に徹して描いた娯楽活劇。
舞台は、太平洋戦争でのフィリピン戦線。米軍とフィリピン国民との共闘が主題のお話だけど、ジョン・ウェインが米軍将校、アンソニー・クインが協力者のフィリピン・ゲリラに扮してる。大事なことなので二度言いますよ。アンソニー・クインがフィリピン人の役やってるんです、ちっともアジア人に見えない風貌のまま。その恋人役も白人女優がメークでフィリピン人ぶってるだけという。

当時のハリウッドでは東洋人の登場人物は重要な役でも(いや重要な役だからこそ)、白人俳優が東洋人に似せたメーキャップで演じるのが普通でした。
この『バターンを奪回せよ』もご多分にもれずなわけだけど、それでも戦前に作られたゲイリー・クーパーの主演作『暁の討伐隊』(1939)にくらべるとまだマシなんです。あっちの映画ではフィリピン兵は主役の米軍指揮官の下で戦うその他大勢にしか描かれなかったから。こっちのほうは演じるのが白人俳優とはいえ、フィリピン人が主役と対等にわたりあう存在になってる。
対日戦での貢献を認められての地位向上でしょうか。

日本軍になるとそうはいきません。
この手の映画では大抵そうですが、横暴なる占領軍という型にはめて描かれるばかり。だいたい、ちっとも日本軍らしくない日本軍(日本語さえしゃべらない)。そこら中からアジア系のエキストラを集めて軍服着せたという感じ。
こういう連中がぞろぞろと列なして攻めてきて、米比軍の銃撃の前、アホみたいにバタバタ倒れ、アホみたいにオタオタ逃げていく。そんな感じの描かれようで、いかにも40年代の戦争映画らしく迫力の片鱗すらありません。
(こんなこと書いたら、『サハラ戦車隊』や『潜航決戦隊』、さらに前の『西部戦線異状なし』に失礼か)
いや、日本の兵隊さんが大量殺戮される場面なのに見ていて何の感情の昂ぶりも自覚できないばかりか、こんなたるい連中に一旦とはいえ米軍がフィリピンから追い出されたとは信じれないような造型ぶりです。







敵役がこうだから最後まで盛り上がらない、まるで退屈な展開でした。反面教書的に、話を面白くするには悪役がいかに大切かを思い知らせてくれてます。
ともあれ戦時中のアメリカ人が日本兵になんのリスペクトもなく、殺っつけるのをなんとも思わなかった雰囲気だけはよく伝わります。そういうところに資料としての価値ならあるかもしれません。

ぶっちゃけ、ほめる価値もけなす価値もない映画です。
(こんな駄作の感想かいてる僕も、よほどヒマなんでしょうねえ)
とはいっても監督がエドワード・ドミトリク、まるっきり生ぬるいわけでもない。同監督が『若き獅子たち』でも見せた、砲爆撃の振動で画面が揺れうごく演出がすでに試されてるし、至近で砲弾が炸裂、ジョン・ウェインが伏せたまま吹っ飛ばされるとか、戦時中の戦闘描写にしてはよくやったと感じるところはありますよ。
まあ、それだけの代物。一本百円の値付けにはふさわしいかも。







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