YouTubeで視聴。
邦題は『タイム・ジャンパー』だという。
現代ロシアの若者四人が湖を泳ぐうち1942年にタイムスリップ、独ソ両軍が対峙する戦場の只中へと姿をあらわす。素っ裸のまんまで。
いったんはソ連兵に取り囲まれ、「なんだ、おまえらは」と疑われる(そりゃーそーだ)ものの、わりと無難な経緯で味方と認証され歩兵部隊に編入、対独戦に従軍することに。

戦没者の遺品など盗掘して売りさばいた四人、今度は自分たちが兵隊として実戦体験というミイラ取りがミイラになりかねない状況に放り込まれるわけだ。
しかし彼ら、絶望の淵に沈むかといえばとんでもない、まったく軽いノリのまま。
きれいな看護婦を見つけるや花など贈って口説くわ、塹壕の中でもギターを弾いて喝采されるわで、やることに深刻さが見られない。
主人公たちの軽さというより現代観客を意識した、映画自体の軽さなのだろう。

そんな調子で、ドイツ将校を生け捕ったり、逆にドイツ軍に捕われたり、しまいには敵のトーチカに決死の覚悟で殴り込んだり、色々やってのける。だが最後に……。

台詞はロシア語だが(英語字幕は付くけど、差し替えが早くて読めたもんじゃない)、見てる分にはそれでも十分。わかりやすい展開だし、いかにもという場面が続くので。
ロシアの映画じゃもたついて見づらいのではと案じるなかれ、西側のものとくらべ驚くほど違和感がない。普通に面白く見られる。
あの国の映画作りがすでにガラパゴスじゃない、世界とわかりあえる水準に達したのを実感。




ただし戦闘場面の描き方には、製作条件の限界を感じさせる。
スケール感はいまいちだし、『ハクソーリッジ』など見た後では爆発にせよスタントにせよ万事が手ぬるく思えるのは致し方あるまい。

それと。
せっかくの設定を使いこなせておらず、若者ら四者四様の個性も適材として役立てていないように感じた。
つまり、もっと面白く出来たのではないかと。
話の焦点が、四人のうちイケメン君と美人看護婦との恋物語に合わさってしまい、あと三人はほとんど余計者の扱い。途中から話がだれてきたように感じるのはそのためだろう。
これだったらメンバーを二、三名に減らすか、いっそ『ある日どこかで』みたいなイケメン君だけの超常体験にしても変わりなかったと思う。
あるいは足枷となる恋愛劇などすっ飛ばして、戦場での活躍を描くのに徹してほしかった。

最後。現代に戻ってきた四人は、ナチ風の刺青などして乱脈に生きたのを恥じ、前のような能天気なままではいられなくなるという、まあ教訓を得たような締めとなる。
なにしろ彼ら四人は、究極的体験をした。若者が戦時中の話で感化されるのとは違う、自分たち自身が兵士となり命を賭けて戦争を戦ったのだから。

スターリン主義とかソ連軍への批判はあまりない。
ロシアにとっては大祖国戦争での数千万の同胞の死の上に現在が、ヨーロッパの平和がある。
今時の若い者はそれを忘れてるのではないかという直截なメッセージに異論は認めさせない作り方だ。





なんと続編も出来ております。今度は、1944年のウクライナ戦線にタイムスリップ。
前作で爆死したはずの看護婦さん、生きてましたという設定。
(ぶち壊しやんか)
戦闘描写の迫力は増してるけど、正直つくらなくてもよかった感じの後日談。







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