2012年09月09日

不滅の主人公、女子高生になる。 『まじもじるるも 魔界編』3巻(渡辺航)


『まじもじるるも 魔界編』渡辺航/月刊少年シリウス連載中
激動の展開を続ける『まじもじるるも 魔界編』待望の3巻が発売となりました!『まじもじるるも』は通算で10巻目となりますね。
今回の表紙は2巻に引き続いての柴木耕太!…にしては2巻とは余りにも違いすぎるビジュアルですね…この辺については後程。ちなみに魔界編初のCG塗り表紙です。渡辺先生はアナログ塗りの方が合ってると思ってるのでちょっと残念…。



2巻のラストで魔界管理局からの追手から逃れるために地上へと飛び込んできた柴木、るるも、ハルリリたち。『魔界編』突入前に命を失った耕太にとっては久し振りの故郷である地上です。しかし懐かしい地上に降り立った感慨に浸る間もなく、着地の衝撃で耕太の魂晶入腹式(実体を失った耕太の仮の肉体)はバラバラに崩れ散ってしまいます。ミミが持ってきた「スペア」の身体でふたたび行動できることになったものの、その身体は”柴木耕太”ではなく以前に魔界でも一度使われていた女子型の姿。久し振りの帰還にも家族にすら認識されることもなく意気消沈する耕太…そして傷つき魔力も消耗した魔女たちが身体を休める場所すらままなりません。魔界からの追手からようやく逃れられたといってもまったく予断を許さない状況…。
一方、耕太を失ってからというもの心のどこかに穴が空いたような物足りない日々を送っていた地上の面々。その中で一人、耕太だけではなく”何か”が足りないと気づき始めた棚子ちゃん。意外な場所で見つけたとあるアイテムの存在が、魔法で閉ざされた彼女の記憶を解放することとなります…。



こうして書いてみると実に緊張感のある展開が続いていますが、ひとときの休息といった感じで久しぶりにコメディ色が強い回が多くなっています。
とある作戦のためるるも・ハルリリ・耕太の3人は耕太が通っていた高校に潜入することになり、それ故にこの表紙となっているわけですが、一旦は家族との再会すらまともに果たせない今の自分に落ち込んでいたはずがすっかりノリノリで女子高生生活を送っているのだから本当に柴木耕太はいい性格してます…!やはりコメディとしての『まじもじるるも』は耕太のキャラクター抜きには成立しないと改めて実感します。たとえそれが女子の姿であったとしても。



その束の間の穏やかな時間の中、るるもと耕太がいままでお互いに言えていなかった言葉を告げる時が訪れます。
正直、こういう展開はラストに来るものかと思っていたので驚きました…。るるもはずっと言えなかった「ありがとう」をようやく耕太に伝えることができたのです。この「ありがとう」は耕太が亡くなってからるるもの中でさらに強く自覚された感情でもありますが、それを伝えそびれた描写自体は無印『まじもじるるも』連載版第一話からありました。
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(『まじもじるるも』第1巻より)
恥ずかしがり屋で不器用なるるもが言いそびれていた「ありがとう」。その後耕太と暮らす毎日があって、色々な出来事があって、ずっと言えなかった感謝の気持ちはるるもの中でもっともっと大きく育っていたことでしょう。思えば魔界に帰ってきてからの過酷な日々も、耕太にその気持ちを伝える為だけに耐えてきたといっても過言ではありません。その想いがようやく言葉にして伝えられた…と思うと非常に感慨深いものがあります。



そしてとうとう耕太とるるもは想いを確認し合うわけですが…耕太の肉体は女子のままなわけですよ。ついに成就する主人公とヒロインという場面だけど見た目は百合、というなんだか感慨深いどころでは収まらない事態に…!!
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「耕太はかりそめの身体で動いているだけで肉体は死んでいる」「るるも達は地上へ逃げ出した重罪人である」という状況の中での刹那的な幸せであって、ようやく結ばれた2人には余りにも辛い現実でもあるのですが…。それにしても主人公女体化のち見た目百合カップルという属性の詰め込まれっぷりにクラクラしますよ。やはり渡辺先生は天才なのか…。



るるもはずいぶん表情豊かになりましたが、地上に落ちていた姿がこれまた連載版第一話で耕太の前に落ちてきたときそっくりでやっぱり不器用でこういうところがるるもらしいなあ、とちょっとしみじみ実感。
しかしこの3巻は棚子ちゃんが記憶を取り戻すきっかけといい、耕太たちがしばらく暮らすことになるある場所といい、これまでの『まじもじるるも』で描かれてきたものがこれでもかというくらい活きてきて気持ち良いくらいです。伏線と言うわけでもないし渡辺先生はタイプ的にそこまで最初から計算して描いていらっしゃるわけではないと思うんですが…



各話の感想は毎月書いていますので気になった方は「まじもじるるも」カテゴリからどうぞ!
1~2巻ほど緊迫した展開ではなかったにしてもこれからどうなっていくのかは皆目見当がつきません。改めて言うけれど、やっぱり凄いぞこの漫画!



過去エントリ
まじもじるるも/渡辺航 1巻 - 漫画脳
子魔女は空よりやさしいパンツの夢を見るか? まじもじるるも 2巻/渡辺航 - 漫画脳
輪は広がり、愛される子魔女 『まじもじるるも』3巻 - 漫画脳
漫画脳:ほんわか、ちょっぴりせつない、あとるるもかわいい。 『まじもじるるも』4巻
漫画脳:すべての女の子とおっぱいに幸あれ!! 『まじもじるるも』5巻(渡辺航)
漫画脳:もうひとつの”オタク少年へのエール” 『まじもじるるも』6巻(渡辺航)
漫画脳:衝撃の別離―…るるもの新たな日々の始まり 『まじもじるるも』7巻(渡辺航)

漫画脳:”頑張る女の子の物語”  『まじもじるるも 魔界編』1巻(渡辺航)
漫画脳:幸せを願わずにいられない 『まじもじるるも 魔界編』2巻(渡辺航)

manganou at 03:09コメント(0)トラックバック(0)まじもじるるも | 渡辺航  このエントリーをはてなブックマークに追加
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