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オッス!オラ信繁!徳川に味方して北条家と対峙することに決めたと思ったら、今度は急に徳川が北条と和睦!
父上の思惑が再び振り出しに…。またしても次なる策を練らなきゃいけねえ!次回「妙手」!絶対見てくれよな!

…軽すぎる始まり方でごめんなさい。まだまだ平穏無事とはいかない戦国まっただ中の信濃を描く『真田丸』です。

9話では、父・昌幸が上杉軍の海津城代・春日信達(演:前川泰之さん)を嵌めた策謀に納得いかない信繁の苦悩が描かれていました。今回はここに注目してみたいと思います。


■春日調略おさらい

元々、信繁は父・昌幸から「春日を調略して、真田が北条に寝返る時の手土産にする」と聞かされていました。このため、「春日を翻意させて共に北条につく」という考えで調略にあたっていたわけです。実際、熱心に春日信達の利を説いて、寝返らせようとするシーンがあったかと思います。

ところが、昌幸の狙いはもっと遥かに深いところにありました。
 
まずは「北条につくために春日調略を手土産にする」。これ自体は信繁に話していた通りです。しかし、実は徳川家康の動きも、上杉家中の動きも、両方とも密偵によって入手していたのです。すなわち、以下のようなことです。

1.徳川家康が甲府入り。つまり、信濃遠征中の北条としては、徳川軍が攻撃してきた場合、前に上杉、背後に徳川と、敵に挟まれることになる。
→【昌幸さんの思惑】というわけで、北条がまず撤兵するじゃろう。

2.越後領内では上杉配下だった新発田氏が叛乱を起こしたという。
→【昌幸さんの思惑】となれば、上杉も撤兵するに決まっておる。

元々、北条が信濃国を攻略をする動きを見せていたため、昌幸は先に義理に厚い家風の上杉家に近づいて「北条が攻めてきたら助けてやる」という約束をしてもらいます。そのうえで春日信達を調略してそれを手土産に北条に寝返ったわけです。これで北条家にとっては上杉攻略が楽になるため、北条に恩を売ることが可能になると考えていたのです。そして、これは(一応)そのようになりました。

さて、昌幸の策はまだ続きます。今度は、寝返らせた春日信達を弟の信尹に殺害させ、その死を、あたかも「事が露見して上杉景勝に殺害された」ように見せかけたのです。春日が死んでしまっては、北条有利に事をはこぶ策が崩れたことになります。この時点で北条も徳川家の甲府入りを察知していましたから、北条としては上杉との合戦に時間がかかるのは困るわけです。

そのうえ、ダメ押しとして昌幸は、佐助を使い北条氏直に「上杉軍が実は大軍を擁している」と吹き込んだり、春日が殺害されたことを確認してざわめく北条陣内で「攻めかかるべき」などと進言しつつ、北条氏直が「撤兵する」と言うように仕向けていきました。氏直が「相手の言うことと逆のことをしたがる男」と捉えていたためでしたが、これも大当たり。最終的に氏直は撤兵を決めました。

これによって、北条軍は撤退、上杉軍も越後の叛乱を抑えなくてはならないため、北条が撤兵するのなら信濃にいる意味はなくなりますので、撤兵していきます。

結果はアラ不思議というかお見事というか、昌幸は、策によってまんまと信濃から有力大名を追い出すことに成功したわけです。


■策謀は何のためにするのか?

しかし、「春日信達を味方につけるんだ」と純粋に考えていた信繁は、春日を騙して殺害したこの計略に携わったことを後悔していました。春日を騙したことはもちろん、手段を選ばない策を弄する父・昌幸にも反発心を持っていたのでしょう。おまけに9話劇中では、昌幸に「お前は策とは何かをまだ知らぬようだ」と言われてしまいます。

そんな信繁に出浦昌相、堀田作兵衛やその妹・うめたちがそれぞれ声をかけます。
 
出浦昌相「信達にも非があった。あやつは恩ある上杉を不服に思い、己の意志で裏切った。自業自得とは思わんか。お前は優しすぎる。もっと強くなれ…。」

経緯がどうあれ、最終的に真田を信じて、上杉を裏切ると決めたのは春日信達自身です。春日が自分の意志で真田を信じることに決めたこと自体は、真田の思惑通りかどうかは関係ありません。

ましてや戦国時代の生き残り合戦をしているわけですから、「共に生き残る」という選択肢を選べること自体も少ないでしょう。己の人生は己が決める。春日もそうして、結果倒れた。真田は逆に生き残った。
しかし、まだ戦場にも出ていない信繁はまだ考えも若く、なかなか納得出来ないという描かれ方だったのだと思います。

しかし、自身が考えてもいなかった「春日を殺害した」という後悔が晴れない信繁は、堀田作兵衛やその妹うめにも意見を聞きに行きます。作兵衛兄妹からの言葉はこちら。

作兵衛「戦はやっぱり嫌なもんですよ。」「わしはここで畑仕事している方が性に合ってる…」

うめ「春日様には申し訳ないことですが、私は、ホッとしています。」「もし戦に勝って、でもみんな死んでしまって自分一人になってしまったら?」「大事なのは人の命をできるかぎり損なわないこと。そんな気がいたします。」

今回の春日騙し討ちは、先述の通り、上杉、北条共に信濃から引き上げさせることが目的でした。そのために昌幸は春日一人を犠牲にした策を展開したのです。結果的に見ても、信濃での戦はなくなりました。何を守りたいのか。それを自分の頭で考えて、そのためにできるあらゆる行動をとる。今回の昌幸の策謀もそういうことでした。
信繁はうめの言葉で、父の考えを理解するとともに、自身の考えも一歩進めることができたのだと思います。

考えてみれば、天下統一もその延長線上にあると言えるかもしれません。例えば信長や秀吉、家康らがいつからどこまで考えていたか(考えてなかったかもですが。。)は別として、ただの権力掌握だけが目的だったわけではないでしょう。そこには"自分に従う者たちの命を守る"="万民の平和"という志があったのではないでしょうか。
…まあ…描いていた形は様々だったでしょうが…。。。 


…さてさて、今回ラストであっさり北条と和睦した家康。次回は再び戦国まっただ中の模様です。家康とどう対峙するのやら。

次回もお楽しみです。
 
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