2008年11月05日

凍結のお知らせ

 最近、livedoor Blogに障害が発生したりコメント通知が届かなかったり不具合が発生しているのと、映画の感想以外は長文を書かなくなってきてスタイルを変えたくなったので移転してここは放置する事に決めました。中身も無くお茶濁しの気まぐれ更新ですが、奇特な方は引き続きよろしくお願いします。

・移転先 LONG HARD ROAD

(まだ「はてな記法」に不慣れなため修正の多発やサイドバーの手直しが多発しております。しばらくはご容赦ください。)

 あと、映画の感想だけ興味がある方はこちらのマトメblogへ。

・映画用 Wring that Neck

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2008年11月02日

ミッドナイト イーグル

 冬の北アルプスに墜落した米軍機を追うジャーナリスト達が遭遇する自衛隊と秘密工作員の血みどろの争奪戦を壮大なスケールで描く山岳ミリタリー・アクション&サスペンス・・・と言えば聞こえが良いですが、劇中の猛吹雪以上に「なぜ?の嵐」が吹き荒れるトンデモご都合主義ユカイ映画です。ストーリーの流れに意外性は全く無いけど設定や行動は意外な事だらけと言う稀有な作品。軍事・政治・人間ドラマに至るまであらゆる方面に不自然かつ頓珍漢な展開を取り揃えており全く飽きさせません。無能者ばかり登場するある種の実験映画。誉める所が見当たらない作品ではありますが、ダメなところを一晩中語り合ってもネタが尽きないのがストロング・ポイントなのでバカ映画好きには堪らない逸品です。

 先ず、主人公の戦場カメラマンと相棒の新聞記者の冬山エキスパートとは思えない行動の数々は必見。道中で装備の半分とテントを失って下山すら困難な遭難状態の筈なのに、全く意に介さずに「この山は俺たちの方が詳しい」とか自衛官にアピールして登山を続行。でも目的地到着順は、たぶん土地勘は無い外国の工作員集団>深手を負った別働隊の自衛官>ご立派な山の心得を説く主役パーティと、やっぱり口だけです。キャリア20年のサバイバル術や地の利を活かした抗戦を期待したいところでしたが、缶切り無しで缶詰を開ける知恵すらないから無理なのでした。挙句に必死に防戦する自衛官を他所にずっと遊んでる始末で、実は主人公はいらない子です。実に大胆な脚本ではあります。
 サブストーリーの東京編も負けてはいません。コッチの担当は主人公の義妹で米軍横田基地に侵入した不審者を追う週刊誌記者。家庭を顧みずに山に篭ってた義兄を憎み姉の忘れ形見を引き取って育ててる設定ですが、偉そうな事を言いつつ自分も幼い子供を独りで留守番させ、突発の外泊に連絡ひとつ寄越さず保護者の自覚はゼロです。取材活動では共犯とされても仕方の無い迂闊な行為ばかりして無用な混乱を誘発させるという、正義の社会派ヒロインとしてあるまじき人物像が新鮮。事態の真相を知ってなおスピーディーな行動に繋がらない頭の悪さも素敵です。

 このように主人公もヒロインもダメ人間なのですが、組織の方も作り手の見識を疑うダメ対応を頻発させます。工作員潜伏を想定しながらご多分に漏れず呆気なく殲滅されるレンジャー部隊、だけど後続を投入する気配の無い司令部、100万人単位で死者が出るかの瀬戸際に独断で驚愕の行動に出るヘリ部隊と、撮影協力した自衛隊をコケにしまくる役立たず描写満載です。現場が初動で知ってる情報を2日たっても共有できてない対策本部、発砲やら爆発やらあっても独力で関係者を捕捉出来ない捜査機関、工作員の情婦に尋問すらせずヒロインの持つ情報一点賭けの公安、宣戦布告されたに等しい事態に何故か静観を決め込む米軍も凄い描かれ方です。総理に至ってはアマチュア無線でのやり取りで不特定多数にバレたと思われる情報の漏洩に拘ってたり、特に意味もなく映像送信させたり、民間人の浅知恵作戦にのっかったり馬鹿丸出しで困ります。
 でも、一番わけわかんないのは某国工作員の皆さん。パイロットが山中で軟着陸を決める前提で作戦展開する根拠がまったく不明です。それができるなら本国に堕とせば容易に機体回収できるのにねぇ。安全圏までは逃げきれないのに時限装置を使用するのも謎。何処かに消えていた理由も理解できません。そもそも現地が確実に吹雪に閉ざされてくれないと成り立たないザル作戦ですよね、コレ。そして、東京の怪我人が持ってたのは起動パスじゃないから全く「保険」にはなってない気がします。そもそも「保険」を持ってる時点で不可思議なのですが。

 クライマックスの「泣かせ」も酷いです。前フリで親子の物語を全くやってないのに30分も引っ張るし、息子の演出もおかしいです。母と死別し父に育児放棄されて叔母に引き取られたのですからそれこそ「許さない!」と叫ぶべきなのは息子でしょう。それに呼応して主人公は僅かな可能性を探り、結果はどうあれ最後まで諦めない姿を見せるのが筋だと思いますよ。無責任な奴が無責任なまま終わっては映画のテーマ自体がグダグダじゃないですか。ちゅか、ヒロインが義妹なんてややこしい設定だから変なのであって、別れた妻なら息子を託すだけで済む話なんですが。

 説得力皆無の脚本も強烈ですが演出の手抜きも目に余ります。軍事・政治方面は演出以前の問題で知識が無いとしか思えませんし、「ミッドナイトイーグル」の墜落は台詞のみで語られ最低1機は堕ちた方が自然なヘリも無傷で残すなど、あからさまにCG・特撮を避けてるのもナイスです。低予算でも普通はもっと工夫しますが、自衛隊機を使って撮れない画は挿入しないという潔い態度が貫かれてます。
 アクションでは敵も味方も白迷彩で区別がつかない一方で主役達は的同然の派手な服を着たままだし、銃撃されても避けもしないし、伏兵に全く驚かされないなどダメ演出を連発。登山のベテランの装備がピカピカで、疲れも凍えも全くみせず、ラッセル不要の積雪状態とか笑えますが、それなりに寒い中で頑張ったであろう役者さんの努力は水の泡です。でもこの監督、山中に航空機が墜落する『クライマーズ・ハイ』を引き続き撮っちゃってるんですよねぇ。やれやれ。

ミッドナイトイーグル スタンダード・エディション
ミッドナイトイーグル スタンダード・エディション


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2008年10月31日

現代のPC野郎に要求されるスキル

・「大学ミスコン」で女子大生にモテるネット使用法を探る(TECHSIDE.blog)

> ・自分の知らない面白いサイトとか機能を知ってた時。
> ・面白サイトをいっぱい知っていて、色々見せてくれる時(性格診断とか占いとかゴシップサイト)
> ・ネットオークションで色々ゲットしてる。
> ・ブラインドタッチ!プログラミングができる。音楽落としてくれる。
> ・情報が多すぎて調べ方もわからないようなことを、必要なことだけサクッと探し出す。
> ・旅館などのチケットをネットでとってくれる。
> ・コピーを右クリックじゃなくてコントロールCでやるところ!
> ・ネットで外人とテレビでんわ!
> ・話題のゲームで1位。
> ・オークションでうまくかせぐ
> ・いろんなサイトで音楽をダウンロードしている。
> ・検索の仕方が平凡じゃなくて、自分が見つけ出せなかったサイトを見つけてくれる。
> ・静かに詳しい。
> ・普通で大丈夫です。キーボードを見ないで打てるくらいだったら嬉しいです。
> ・最新音楽を常にダウンロード済み!


 ちょこっとハードとソフトのセッティングが出来てポストペットとフリーのパズルゲームでも仕込んであげれば尊敬されたマピールさんの時代と違い今どきの若者は大変です。ネット歴10年超のマピールさんは上記の殆んどを出来ませんよw。

 しかし、女性が今も昔も物欲にまみれてるのは変わりませんな。オークションで稼いでチケットや音楽をゲットせよってか。まあ、オリジナル・セレクトのMDやテープでセンスを問われた頃と違って、大量にミュージック・ダウンロードしとけばOKなのは楽になってますかね。

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2008年10月26日

ラストキング・オブ・スコットランド

 1970年代のアフリカ、ウガンダ共和国の大統領だったイディ・アミン・ダダを題材に、交流のあった数人の白人をモデルに作られたスコットランド人の青年医師の視点から独裁者であり虐殺者でもあるアミンの人物像を描いたフィクション。
 マピールさん的にはモンド映画『食人大統領アミン』をたぶん観てる筈だけど全く思い出せず、アントニオ猪木との異種格闘技戦をする予定だった人物として記憶に留めるのみであります。
 んで結論から言うと、ある程度の知識を仕入れてから観た方がいい映画でした。国民的人気の理由、彼の思想・信条の変化や政策・外交関係の推移、行ったとされる粛清・拷問の内容、といった興味を覚える事柄がかなりぼやけてるのでフラストレーションが溜まりまくりなのでした。率直な感想はフォレスト・ウィテカーの演技がいいだけの映画。

 脚本的には平板で虐殺などのショッキング映像や本気かジョークわからないアミンの過激な言動などが思ったより少ないせいもあるのですが、アミンより語り手の若造の軽はずみな行動を映すのに主眼を置かれているのが一番のイライラ原因です。只の人妻キラーでしかないモラトリアム小僧がここまで重用されるのは不可解きわまりなく、激情型の大統領と何年も上手くやれる程に世渡りが上手いとも思えない行動の数々はリアリティに欠け、偽善的白人を強調する狙いがあるとはいえ感情移入できない人物像では終盤のサスペンス展開も盛り上がりません。ジェームズ・マカヴォイが熱演すればするほどに、このボンクラしか友達がいないアミンが不憫に思えてしまうのでした。
 ただ、ウィテカーの迫力は最後まで飽きさせず、気さくで魅惑的なカリスマ大統領の脂ぎった笑顔に潜む狂気と疑心暗鬼を見事に表現しております。根拠の無い自信と思い込みの激しさで突っ走る極めてユニークでヴァイタリティに溢れる人物で、それだけに被害妄想から恐怖に怯えはじめると手の付けられない残忍さを発揮するというチャーミングなパラノイアなのです。

 実際に史実を調べてみると、アミンは農業改革や憲法改正を実施し学校や病院をたくさん建設するなど近代化に熱心で、理想に燃えた為政者だったのは間違いありません。植民地軍炊事係から二人しかいないアフリカ人士官まで登りつめ独立後は参謀総長までスピード出世してますから軍人としてはかなり優秀だった模様。またボクシングのヘビー級ウガンダ・チャンピオンの経歴があり人気も納得なのでした。人懐っこく頭も悪くは無いようです。ただ、尊敬する人がアドルフ・ヒトラーで、小心者ゆえに自分に取って代わり得る有能な人物は全て排除、癇癪を起こして浅慮な政策を頻発するなど政治家としてはろくでもなく、挙句に反対派30万人以上の虐殺なのでした。
 特筆に価するのが物凄い外交下手。71年のクーデター時のアミンの後ろ盾は反アラブ姿勢に好意的だったイスラエルとウガンダの左派政権を嫌った英国だったのですが、過大な援助要請を断られてイスラエルと断交、植民地だった関係で当地に留まり商工業の中心を為していた英国籍インド人を追い出し英国の援助も停止、ミュンヘン五輪のパレスチナ・ゲリラを讃えて西側諸国を全て敵にまわしリビアとサウジの支援を受けるようになるのが全部72年の出来事です。ウガンダ軍がイスラエル特殊部隊に屠られる事になる劇中のハイジャック事件が76年で、78年には隣国タンザニアへ侵攻するも逆に反撃され翌年サウジに亡命する破目になっています。03年80歳で没。
 表題になってる「スコットランドの最後の王だ!」という発言は実話で、縁も所縁も無いのに共感だけでスコットランド独立運動を支援してたようです。「人間の肉は何度か食った」と発言したとも伝えられるんですが、木村太郎のインタビューではこれを否定。まあ、北朝鮮やオウムの事例ではジャーナリストも騙されてたんで真相は藪の中なんですが。とにかく、映画で描かれなかった部分に面白いエピソードが多いわけでして・・・。

ラストキング・オブ・スコットランド (特別編)
ラストキング・オブ・スコットランド (特別編)


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2008年10月19日

パンズ・ラビリンス

 妖精に導かれた少女が迷宮で試練に立ち向かうファンタジーみたいに編集された予告編に騙されて観ると、『となりのトトロ』でハッピーなつもりが同時上映の『火垂るの墓』で茫然自失という体験を再現できる衝撃の問題作。レイティングはPG-12、半分は暗黒な『千と千尋の神隠し』みたいな話で、半分はファシズムに支配されたスペインの暴力と恐怖の時代を切り取った悲劇のリアリズムであります。幻想の国もダークだけどそれ以上にヘヴィな現実世界が描かれグロテスクでショッキングな演出が一杯。救いようもなく死屍累々だけどラストは切なく、単純なストーリーのようで深読みの余地が満載というマピールさんモロ好みの作品です。

 時は1944年、フランコ独裁政権下のスペイン。臨月を迎えた母に連れられたヒロインは再婚相手の大尉さんがゲリラ掃討作戦に勤しむ山岳駐屯地に赴くわけですが、怪しげな試練を課す牧神パンの暗躍と行くところ残虐シーンがついて回る冷酷無比な大尉さんの活躍で絶望の淵へと着実に追い込まれて行きます。このシュールなメルヘン世界と過酷な現実世界とのはっきりとは語られない因果関係が面白く物凄い緊張感が心地よいです。
 3つの試練は母と赤子の運命に被さる様でいてレジスタンス一味の家政婦にリンクしている様でもあり、それぞれのミッションの成否と現実世界で起るリアクションをシミュレートしてみたり妄想が尽きません。蛙や怪物、鍵や短剣の象徴するものにも考察が必要だし、妖精が示した鍵穴が間違ってた事、「2滴」で繋がるアイテム達などにも頭を捻らされます。
 地上に取り残された地下世界のプリンセスの帰還というファンタジー設定や子宮や血を匂わし期限が満月ってことなどから察するにミッションの目的は初潮の前に母体回帰って事のようですが、一方でご母堂の「世の中は残酷、人生はお伽噺じゃない」という台詞にしろ恐怖や欲望との対峙を要求する牧羊神にしろ大人になる事を促しているようでもあります。他にも魔法のチョークと監禁部屋からの脱出の幻想と現実の兼ね合いとか、一事が万事、一人一人が違った解釈を楽しめるようにわざと作られてるのが粋なのです。最後も救いが無いような有るような・・・。

 脚本良しキャラ良し映像良しで極めて完成度の高い作品なんですが、スペイン少女は葡萄には抗えないかのような演出は疑問。食事抜きという伏線があったにしても、時間制限ありで怪物を目の前にしながら誘惑されてしまうほどの説得力は見出せませんでした。あと、美術のレベルが異様に高いわりに山奥の爆発などの合成映像が見事な違和感で苦笑。素敵デザインのクリーチャーたちに活躍場面が少ないのも残念。どれも瑣末な事ですが。

 さて特に知らなくても観賞に支障は無いけど最後に歴史のお話。ピカソの『ゲルニカ』やヘミングウェイの『誰がために鐘は鳴る』の題材として有名なスペイン内戦ですが、社会主義勢力のスペイン人民戦線と右翼のフランコ将軍率いる反乱軍の戦いは1939年にフランコの勝利宣言で一応は幕を閉じております。だから、本作はその残党とバスク、カタルーニャ地方に大弾圧が加えられてる時期ですね。劇中でノルマンディー上陸作戦のニュースをレジスタンスが喜んでるシーンがあって誤解し易いんですが、スペインは第二次世界大戦では中立を維持し戦禍を免れており革命闘士に春は来ません。60年代以降は多少の緩和政策が実施されたようですが、フランコの独裁は75年にその生涯を終えるまで続いたのでした。

パンズ・ラビリンス 通常版
パンズ・ラビリンス 通常版


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2008年10月16日

大どんでん返し映画ベスト22

・やられた!大どんでん返しのある映画ベスト22作品発表(eiga.com)

 米情報誌エンターテインメント・ウィークリー誌の22本。

> 「セブン」(95)
> 「シックス・センス」(99)
> 「ファイト・クラブ」(99)
> 「悪魔のような女」(55)
> 「メメント」(00)
> 「サイコ」(60)
> 「ユージュアル・サスペクツ」(95)
> 「猿の惑星」(68)
> 「アイデンティティー」(03)
> 「プレステージ」(06)
> 「ゲーム」(97)
> 「フォーン・ブース」(02)
> 「ドニー・ダーコ」(01)
> 「ソイレント・グリーン」(73)
> 「マルホランド・ドライブ」(01)
> 「スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲」(80)
> 「オールド・ボーイ」(03)
> 「キル・ビル Vol.1」(03)
> 「12モンキーズ」(95)
> 「イースタン・プロミス」(07)
> 「アザーズ」(01)
> 「エンゼル・ハート」(87)


 サスペンス好きという事もあり90年代まではほぼ観賞済みなのに00年代は『フォーン・ブース』と『キル・ビル Vol.1』しか観て無い事実。『キル・ビル』はそういう映画だったという認識自体が無いですし。『帝国の逆襲』は「I'm your father.」の事を指すんだろうけど、風呂敷を広げるだけ広げてあんなところで終わった事の方がどんでん返しだったです。
 最もインパクトを受けたのは物心ついて最初のどんでん返し映画だった『猿の惑星』、大好きなオチはここでは選外の『スティング』ですかね。

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2008年10月12日

ゼア・ウィル・ビー・ブラッド

 フロンティアの時代が終焉を迎えアメリカン・ドリームの手段がゴールドからオイルにシフトする事になる20世紀初頭のカリフォルニアを舞台に、流れ者の穴掘り鉱夫から石油採掘の山師を経て石油王に成り上る孤高の男の一代記。欲望のおもむくままに突き進む異常なバイタリティの偏屈親爺キャラ萌え映画です。健全な米国社会の根幹を為す筈の家族愛・資本主義・宗教を容赦なくぶった斬る風刺に富んだ悲喜劇であり、石油開拓の歴史大河としても知的好奇心をくすぐられる美味しい作品です。感涙やロマンスの要素は全く無く、意味を理解できず戸惑ったり、辛辣過ぎて笑うどころかげんなりって可能性もある、毒含みで余韻がしっかり残るタイプの力作。

 オスカーの主演男優賞は時々変な選考があるんですが、今回のダニエル・デイ=ルイスの演技は完璧で極めて真っ当な受賞だと確信しました。胡散臭く仰々しい話術、味方でなければ敵認定の激烈な性格、自分以外は信じない愛とは無縁の人生観、ダイナミックで勤勉で一切揺るがない武骨な男。この魅力的な現実主義者を単なる守銭奴に貶めない説得力ある演技に最初から最後まで惹き込まれっぱなしでした。2時間半を超える長さがあっという間で正直もっと長くても構わないです。劇中で語られない彼の青年時代(特に女っ気の無い人生の原因)とかも描いて欲しかったぐらい。

 そんな仕事でも家庭でも対等のパートナーの存在を認めないエゴの塊である主人公ですが、血の繋がらない幼い息子の面倒は意外にきちんと看てて、更に途中で息子は障害まで負うわけで普通なら愛と感動の物語に転ぶところなんですが、ここから徹底的にシニカルなドラマを展開するのが面白いです。
 土地の買占め・油井掘りなどの開発過程で起るトラブルや金目当てで群がってくる者たちとの対決も見所。自ら陣頭指揮に立ち身を粉にして採掘を行う主人公は、金で買い漁るだけの石油メジャーを理不尽なまでに罵倒します。確かに同業者はライバルなんですが、この男の頭には提携とか合併とか共存共栄とか全く無く頂点に君臨するのみ。アメリカの中東政策に被せると同時に投機に踊り虚業蔓延る現代社会への批判も匂わせてる気がしました。

 そして、ある意味アメリカで最も強い力を持つ宗教にもひたすらにネガティブなのがこの映画のもの凄いところ。日本人には理解しにくいんですが、彼の国の田舎には未だに進化論を教えたくない輩がゴロゴロいたりするし、劇中のショーのような説教や過激な洗礼も誇張ではなく普通にそういう集会が行われてます。まして昔の田舎ですから今以上に保守的な住民の巣窟でそれを束ねてる教会も先鋭的。それは宗教のような非論理的な概念を理解できない主人公とは相容れず対立というかマウントポジションからほぼ一方的にボコボコにされるわけで・・・。
 しかも「第三の啓示」教会ってどうやら「イエスの再臨」の事らしいので、モデルはブッシュの支持基盤の超巨大勢力「キリスト教福音派」っぽいです。それをあそこまでコケにしてるんだから吃驚仰天です。同情に値する程のタイミングの悪さと空気の読めなさで、搾取された側でもありながら、それでも虐められるたびに「ざまあみろ!」と思わせる若き大衆伝道者を演じたポール・ダノの嵌り振りが見事。特に「I DRINK YOUR MILKSHAKE!!」のクライマックスが最高です。しかし宗教に疎い我々には実に痛快ですが当事者的にはどうなんでしょうね、コレ?

ゼア・ウィル・ビー・ブラッド
ゼア・ウィル・ビー・ブラッド


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2008年10月05日

仮面ライダー THE NEXT

 石ノ森章太郎の原作漫画をベースに大人向け恋愛アクションとして2005年に公開された『仮面ライダー THE FIRST』の続編。目玉はダブルライダーに立ちはだかる改造人間ホッパーVersion 3ことV3の登場です。前作は漫画版のエピソードをアレンジした部分も多々ありましたが、今回は世界観だけ受け継いでオリジナルの色彩濃いJホラー・バイオレンス映画となっており、ハナっから子供を相手にしないPG-12指定で首チョンパありオッパイもありで御座います。でも昨今流行りのアメコミ・ヒーローもののように大人の観賞に耐え得る作品かと言うとこれが結構幼稚だったり。
 観賞にあたり見逃していた前作もチェックしたのですが、続編である意味が見出せないほどに繋がりが無いので観てなくても全く問題なし。ライダー二人が痴話喧嘩を繰り広げ取り合ったヒロインの消息は一切触れられず、立花のおやっさんすら出てきません。知っておくべきなのは一文字隼人が死にかけてるのは改造の拒否反応って事ぐらい。まあ、本郷猛が石ノ森漫画の主人公らしいナイーブな性格だったり一文字がインチキホストみたいだったり、仮面は顔を隠すために着けてるだけとか、一文字は本郷を襲う刺客出身とかTVシリーズと違う設定は色々ありますがね。

 アクション・シーンは目茶目茶熱く、出渕裕のリファインデザインも超カッコよく、イケメン俳優たちのキャラ造りもイロモノで面白いのですが、脚本が驚くほどお粗末で中途半端。ライダー初期の怪奇アクション路線ともベクトルが違いがっかりです。ホラーの合間に挿入されるライダーアクションが完全に浮く有様でライダーと無関係な話に時間割き過ぎです。テンポもグシャグシャ。それに二つの話は仮面ライダーの一貫したテーマである「人で無くなってしまった者の悲哀」に収束すべきなのに、ショッカーに翻弄された兄と妹の悲劇も余命僅かの改造人間の生き様も描写が薄く話が盛り上がりません。
 メインとなるのは風見志郎の妹であるアイドルに絡んだ怪死事件なんですが、既に「改造人間で世界征服を狙う組織」という大嘘があるのに「包帯姿のエヴァ初号機女」やら「ショッカーと無関係のスーパードクター」やらフィクション要素が並びまくりで興醒め。そもそも怪奇の事件はシグマの仕業・・・じゃなくてショッカーの仕業という先入観がある中で呪いだとか超常現象だとかやられてもちっとも怖く無いわけで工夫が足りません。“貞子”まんまのホラー演出も古臭いですし。風見が登場した辺りから主役の本郷が本筋から外れていき、実質的にライダーが誰一人介入しないまま惨劇が進行し勝手に決着してしまうのも大胆すぎます。
 そして、何故かサブに追いやられてるショッカーとの死闘は、降りかかる火の粉を払ってるだけの本郷、ピンチに馳せ参じるだけの一文字と、基本的に自衛隊活動なのがボトルネックです。二人が命懸けでショッカー殲滅を目論む戦士として描かれ無いので、ショッカーに心酔していた風見の造反にまるで説得力がありません。なし崩し的に戦ってる奴ばっかり。基本的にキャラ燃え映画なんだから男の友情で暑苦しく突き抜けて欲しかったです。
 かくして関係ないにも程がある二つの物語は当然融合せず、監督が何をしたかったのかサッパリ理解出来ません。しかもエンド・ロール終了までおとなしく座ってた観客の心を踏みにじる最低なセンスのパチンコのCM付き。脱力感倍増です。

 しかし、どんなに話がつまらなくてもライダーと怪人のバトルは文句無しでして、東映特撮陣のノウハウとアクション監督の偉大さを思い知らされます。V3反転キックとか、一文字横っ飛びバイクアクションとか、本郷顔出しライダーキックとか見所だらけ。ハサミジャガーもノコギリトカゲの女もエキセントリックで痺れるキレの良さを発揮してます。唯一、残念なのは6人のショッカーライダーで、ドラマでは殆んど戦闘員扱いなのが哀れです。でも、サイクロン号は2台とも1000ccオーバーの大型ロードレーサーなので「殴る!蹴る!跳ねる!」のハードなアクションは軽量なXR系エンデューロレーサーを駆るショッカー勢(含、V3)の独壇場でありバイク・スタントでは見せ場が多いのでした。
 3人のライダーのキャラクターも魅惑的。高校教師に転職した本郷は生徒に童貞呼ばわりのダメっぷり優男で見事に学級崩壊。根拠も無くヒロインの女生徒をつけまわしたり従来のヒーロー像とはかけ離れてます。そして、美味しい役どころ担当の一文字はツンデレ化。率先して救出に駆けつけておきながら馴れ合いを嫌い、死にそうなのか不死身なのかよくわからないけど無闇に色気を振りまきます。あの派手なスーツと柄シャツが似合うってだけで得がたい人材です。ここに加わる風見がこれまた強烈で、若きIT企業の社長で自己中で自意識過剰でバトルよりワインの香りを開く事を優先する男。元秘書に必殺キックを見舞い女の顔にグーパンチを叩き込む容赦の無さも素敵です。それに比べるとヒロインの女の子達のインパクトは弱すぎましたね。キュートに撮る努力も感じられませんし。
 ショッカーの怪人も首領の命令は仮面を手に全裸で受けるとか意味不明で愉快でした。洗脳技術が低いくせに無差別改造を試みてまた裏切り者を増やすし、レストランのど真ん中に秘密基地の入口作って客の前で堂々と出入りとか、眼鏡したままマスク装着とか、味方の足にチェーンソー誤爆とか、やたらとお茶目な奴らです。ストーリーが破綻してても娯楽アクションとして楽しめるのは個性的なショッカーの皆さんのおかげなのでした。感謝、感謝。

 ちなみに前作も二つのストーリー・ラインが上手く絡まずにアクションだけが突出して出来が良い点は同じです。原作漫画に思い入れがあるかどうかで大きく評価が別れる点が違いますが。

仮面ライダー THE NEXT


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2008年09月28日

ノーカントリー

 現代アメリカの病理を憂いている様でもあり、そんな普遍的な話ではなくもっと斬新な解釈がある様にも思える、なんかよくわからないけど凄いバイオレンス映画。『2001年宇宙の旅』とか『惑星ソラリス』とか、理解できない部分が多々あるけど傑作という作品がたまにあるけどコイツもその類です。何度繰り返して観てもいわくありげの科白や含みの多すぎる挿話の数々を上手く捌き切れません。
 でも、ネイティヴならわかるであろうアカデミー賞的なメッセージとか、最後の保安官の夢の話の意味とかの小難しい事はとりあえず放っておいて、普通の理屈が通じないオカッパ頭の殺し屋アントン・シガーの強烈なキャラクターを楽しむだけでも全く損はしません。

 巨体で妙に濃い顔で苦痛にも無表情で稀に見せる笑顔が不気味。装備は音が特徴的な家畜屠殺用エアガンとサイレンサー付きのバカでかいショットガン。本当に死神を思わせるような理不尽な死の香りを纏ってて、やる事なす事が滅茶苦茶の自分ルールというおっかない御仁です。ハビエル・バルデムの噂に違わぬ怪演によってもたらされる緊張感にひたすら快哉なのでした。シガーのスピン・オフ映画を撮って欲しいぐらいです。
 バルデムの演技が突出しているものの、殺し屋に追われる側のジョシュ・ブローリンも好演を見せてます。危ない橋をクレバーに渡って大金を手に無事に帰還しながらも、人助けに現場に舞い戻ったため命を狙われる破目になる愚か者という面白い役で、設定がベトナム帰還兵なので戦闘力も高くやたら格好いい銃撃戦を披露します。
 この作品が一筋縄ではいかないのは二人を追う老保安官の存在。理解不能の犯罪の前に無力な正義の象徴として嘆き続ける傍観者でありながら、「昔は良かった」という安易な逃避を「今に始まった事じゃない」と全否定されるなど物語を難解にする方向で活躍。“宇宙人ジョーンズ”で御馴染みトミー・リー・ジョーンズが哀愁を漂わせる熱演です。前半は目立たないのに最終的には間違いなくこの男が主人公であり本作がサスペンスでもエンターテインメントでも無い事をガツンと知らしめます。

 問題は中盤までのフェイク的クライム・サスペンスが秀逸すぎるが故に、本来の社会派なテーマよりも逃亡者の行く末と金の行方に興味が向いてしまう事ですね。追跡劇にのめり込み期待を膨らましていた観客に容赦なく冷や水を浴びせる拍子抜け展開に唖然とさせられました。「人生は何が起きるかわからないし、起きた事は元には戻せない」という本作に横たわる思想をシンプルかつシニカルに打ち出した正しい着地点だけれども、強い困惑と後を引くモヤモヤ感は否めません。何度も言うように細かい意味を考えさせられ簡単に答えが出ない陰鬱な話なので、この結末は色々と途方にくれる事が倍増なのであります。
 
 コーエン兄弟の映画はコメディしか観てなくて、それもどちらかと言うと趣味に合わないものばかりだったのですが、今回はテクニカルな構成と独特の作風が興味深かったです。序盤こそ生々しい殺害シーンを見せ付けられるものの、話が進むに連れ繰り返しと相似を駆使する事で直接描写を省略し事後処理に留める演出を多用。しかもワンパターンに陥らないようにきっちりコントロールされ、時に映像以上の凄惨さを印象付け、時に観客の予想を裏切り、皮肉たっぷりにブラックな悲劇を盛り上げました。荒涼として徒労感に溢れる物語に相応しいテキサスの乾いた映像がまた見事。光線の使い方も効果的で、日差しの強さになんともビールが美味そうでした。これぐらい抑え目ならコーエン流のユーモアも悪くないですし。

ノーカントリー スペシャル・コレクターズ・エディション


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2008年09月24日

藤岡藤巻

 ポ〜ニョポニョポニョ♪の藤岡藤巻がコミックバンド『まりちゃんズ』の連中だというのに今頃気付きました。正確にはTVか何かで元『まりちゃんズ』ってのは聞いた気もするのですが、それが『尾崎家の祖母(おざきんちのばばあ』の歌い手だって事に繋がって無かったのでした。更に伝説の放送禁止曲『ブスにもブスの生き方がある』の音源まで数珠繋ぎで。YouTubeって凄い。

尾崎家の祖母'74&'75&'94 (ちなみに人生の汚点の人はChar)


ブスにもブスの生き方がある


mappil at 23:24|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 自分用メモ 

2008年09月23日

たぶん逆効果

・「小2の算数が複雑すぎる」という噂(エキサイトニュース)

 経験的に言うと、算数で脱落するのは「なんでそうなるの?」という点に拘って消化不良を起こすタイプが多いと思うのですよ。理屈がわかって数学が得意ってのは本当にごく一部で、大半は理論抜きにルールとして捉えてパズル感覚で解いてるのであります。実際、数学の研究者を目指すとかでなければそれで充分通用します。だから、式の意味の理解を促すのは脱落者を量産する方向にあると思います。実際、混乱する子が続出のようだし、数学が得意だったマピールさんですら記事中のわり算の意味の解説がピンと来ません。ダメダメな学習法だと思いますね。

 (問題)「52-8」を工夫して計算しましょう。

 (解1) (40+12)-8=40+(12-8)=40+4=44
 (解2) 52-(2+6)=(52-2)-6=50-6=44

 これらの解法は数字を二つに分けるという発想が理解しにくいですし、解2は繰り下がり計算なのでそこのミスも心配です。これじゃ誤答が増えて当然で、こんなの工夫じゃないです。

 余談ですが、「じゃあ、本当の工夫は?」というと、例えばこんな解法。

 (解3) (52+2)-(8+2)=54-10=44

 ポイントは数字を二つに分ける事じゃなくて10というキリのいい数字を作る事。引き算で間違うんだから引き易い数字になるまで足せばいいって考え方です。


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2008年09月21日

天然コケッコー

 カントリーな中学生の健全初恋物語という普段なら先ず観ないジャンルの映画なのですが、日テレのふざけた賞を除く2007年の各映画賞で『それでもボクはやってない』と一騎打ちを演じたのが印象的だったのと、夏帆というジュニアアイドルの演技にもちょっと興味という事で拝見。原作が90年代の少女漫画って事ぐらいしか予備知識は無いし、夏帆についても[三井のリハウス]と[ピクサス三姉妹]のCMの娘という認識ぐらいしかないんですが。

 思春期の少女のセンシティヴな日常を瑞々しく捉えるというコンセプトが、心の歪んだ中年男たるマピールさんの感性に合わない為にやや苦戦。「やりたい盛りの健康な男子にとってはムラムラとしてもおかしくない誘惑が無数に転がってるこの状況で・・・」という男目線が、少女期特有のイノセントなほんわかジュブナイルに入り込むのを邪魔するのでありました。
 また、主人公カップルの親達の三角関係とか漫画少女とか郵便局員とかおそらくは原作できちんとフォローされてる設定が中途半端に提示され、しかし最終的にはとりたてて何も起こらない点がスッキリしません。小中学校合わせて7人しかいない村のわりに意外と簡単に市街地に繰り出せる様に見えるのも引っ掛かりました。なにかと選択肢の少ない過疎の村という設定が肝なだけに、なんか今時だと車で送迎されて塾とか通ったり町の子との交流が容易そうな環境というのは解せません。
 でも、全体的には少女漫画の持つどことなくファンタジックな世界観と実写映画のリアルな世界とのバランスが絶妙な子供達の物語になっていて、何気ないエピソードを淡々と羅列しているようでいて夫々に繊細な繋がりがある丹念な脚本なのでした。

 そして、このリリカルな空気感の再現を要求される難しい仕事を成し遂げた山下敦弘監督のセンスに脱帽。ドラマティック要素が殆んど無い物語なのですが、テクニカルな撮影の数々に目を瞠るものがあり全然飽きませんでした。計算されつくしたアングルやカット割り、特に窓を使って人物の視線を調整したり空間の切り分けと心情描写とをシンクロさせたりが実に巧み。島根の自然の移り変わりも美しく、緩やかな空気の広がりが伝わります。のんびりとしていて微笑ましく『恋空』の対極みたいな映画。とんでもないキスを披露する夏帆、僅かなシーンでも帽子で誤魔化さなかった岡田将生などもアレの真逆ですな。客層が被るのかどうかが興味深いのですが。
 子供達がメインの映画なので演技力という点では心許ない筈なんですが、どの子もオーバーアクトにならず田舎の子っぽく溶け込んで生き生き撮れておりました。これは演出の勝利でしょうね。特に夏帆のお下げ髪の嵌りっぷりは異常。未成熟な脚の太さもそれっぽいです。主観モノ作品であるが故に主人公に大きくかかる負担をものともせず、浮遊感と透明感を嫌みなく醸し出した演技にも目が釘づけでした。これが演出に助けられたものなのか、もう1作観てみたいですね。また、相手役の岡田将生が少女漫画世界と親和性の高いルックスなのが良いです。最後まで何を考えてるのかわからない感じで思春期の女の子を揺らす異性というポジションを上手に演じていました。実際にはエロい事とガキっぽい感情で大半が埋まってるというのが中坊の相場なんですけどね。

天然コケッコー


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2008年09月17日

『時計じかけのオレンジ』完全版発売

 キューブリックの映画じゃなくて原作小説の話です。『時計じかけのオレンジ』に幻の最終章が存在する事は旧版のハヤカワ文庫の解説にも書いてあったので知ってましたが、何故か今頃になって完全版が登場してしまいました。四半世紀前のマピールさん的には映画版は好きだけど小説はイマイチな印象だったのですが、果たしてもう一度手に取るべきなのでしょうか?

時計じかけのオレンジ 完全版 (ハヤカワepi文庫 ハ 1-1) (ハヤカワepi文庫 ハ 1-1)


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2008年09月14日

腑抜けども、悲しみの愛を見せろ

 永作博美が助演女優賞を獲りまくったので気になってた作品。タイトルからは全く内容の想像がつかないわけですが、両親の訃報を受け東京から帰省してきた自称女優の長女と閉塞したど田舎で暮らす妹・兄・兄嫁のドロドロの人間関係を描くブラック・コメディでした。予告編の印象から近頃流行りの漫画の実写化だと思ってたのですが原作は戯曲の模様。確かに極端にキャラクター重視で舞台劇っぽい造りの作品であります。でも、なんとなく岡崎京子の漫画的な性と暴力と死の匂いも感じました。真っ黒な笑いが満載なので観る人を選ぶ作品なのは間違いありません。

 とにかく、メインの4人が揃って素晴らしく驚きました。特に、サトエリ最高!!超自意識過剰でプライドが高くスタイル以外に取り柄の無い大根役者の勘違いバカ女を大熱演。佐藤江梨子以外に誰がこの主人公を演じられようかと思うほどピッタリと嵌っています。この強烈な腹立たしさは天賦の才という他ありません。そのサトエリに虐待されつつも静かに観察する妹役・佐津川愛美も複雑で味のあるメンヘルキャラを怪演。永瀬正敏は嫁にはDV男だけど姉妹には異常な気遣いを見せる兄というポジションで、振り切れた性格の女達の狭間で常識的感覚を持つが故の悲惨を体現します。この3人の負のオーラが実にいや〜んな感じなのです。
 これだけだと絶望的に暗いだけの話になってしまうのですが、そこを前述の永作博美が大車輪の活躍でコメディに変換していきます。哀れでお人好しで甲斐甲斐しくも不器用でキュートだけど不気味で超ポジティブという、3人とは逆のベクトルに狂ったキャラで全体のバランスを見事に調整。これまた、最初から想定されてた配役のような完成度。サトエリは演出に助けられての好演ですがコッチは演技力のみで憑依レベルのサイコぶりなのです。なんだか若返ってるのも凄い。

 ただ、キャラが見事なわりに物語の運び方がイマイチで残念。90分程度に絞り込んで勢い任せに突っ走って欲しかったところです。時折発生する間延びのせいで変な人たちの変な話に過ぎない事を冷静に悟ってしまうし、伏線が丁寧すぎる事もあり先が読めてしまいます。ラストもクライマックスから直ぐにオチに繋げた方が蛇足感は少なかったでしょう。
 演出的には妹が描く漫画の絵柄を早い段階で見せすぎたように感じました。途中までは少女漫画風だと観客に思いこませておいた方がギャップがあって良いし、折角の眼鏡っ娘なんだからもっとネチネチと悲観的かつ自虐的な「いじめてちゃん」を強調しておいた方がサスペンスとして面白かったと思います。あの毒々しい画と内容が妹の狂気と腹黒さをストレートに伝えまくるし、怪奇漫画の禍々しさが実写で描かれる虐待描写に勝ちすぎてインパクトが薄れてしまいました。
 地獄の日々って程に精神的に追い詰められないのと同様に性的描写もマイルドで物足りません。サトエリの脱ぎっぷりの悪さはいつもの事ですが、別に脱がんでも甘美で淫靡な世界は表現可能な筈で、その辺りをもっとねっとりと描いて欲しかったです。永作はエロくちゃいけない役なんでこれはサトエリの仕事。設定的にも実の兄妹の方がインモラルでいいのに。

腑抜けども、悲しみの愛を見せろ


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2008年09月07日

恋空

 悪質で薄っぺらなトンデモ話と男中心のネット界隈では強烈な批判に晒される一方で、ほぼ女子学生だけで大ヒットを引き起こした脅威の純愛映画。ヒロインの新垣結衣や相手役の三浦春馬に超絶人気があるわけではなく本当にストーリーに感動している模様で、劇場公開中は目を赤くした小中学生が大量に吐き出されてくるのを何度も目撃しました。
 マピールさんは「酷い」と評判のものをわざわざ確認するタイプなので原作のケータイ小説もチェックしており、稚拙な箇条書きで無駄に長い会話や独白が延々と続くスタイルに辟易し速攻で斜め読みに切り替えたものの大筋は把握。在り来りで説得力の無い泣かせイベントが羅列される中で自己中のカップルが周りを振り回し続けるだけの実話ベースと言うならそれはそれで恥ずかしい物語でした。少女漫画ぐらいしか読んでないガキが妄想で捻り出した作り話にしか思えず何がウケてるのかサッパリ。モラル云々より文章力の面でこれをベストセラーにする少女らに性別や世代の差を超越した大きな隔たりを感じます。

 だがしかし、映画版スタッフの頑張りには惜しみない拍手を贈ります。煮ても焼いても食えそうに無い腹が立つだけの原作から渾身の努力で観客の理解を促す方向に舵をきり、これ以上弄ってマトモな話にしたら『恋空』じゃ無くなるギリギリまで力の限り改変。完成した作品は依然として悲劇てんこ盛りで展開は忙しく脈絡も無く常軌も逸してますが、昨今の過激な性描写や性的暴行シーンに溢れる少女まんが誌レベルのストーリーとなり、ツッコミどころ満載の愉快なバカ映画に生まれ変わりました。しかも、原作の持ってる魅力(それが何かは知らないけど)は失っておらず想定した客筋の琴線にちゃんとふれる様に作られてるのだから大したたまげたです。

 終盤の泣かせに反応できる奇特な人はそれでOK。そうでない人のバカ映画的見どころはなんたって新垣結衣の所属事務所による鉄壁ガードです。レイプやら妊娠やら盛り沢山で避妊の概念が全く無いこの映画で、キスは頬まで露出は肩までというご無体な縛り敢行。おかげでロマンスの欠片も無く初体験直後の情景に見えない完全着衣の珍妙ベッドシーンが完成です。更には、監督のセンスが強烈なクレーン撮影によるお花畑レイプ。無論、下着も見せず服も破けず直接描写も避けており屈辱も苦痛もまるで伝わって来ないばかりか笑いがこみ上げる必見の迷場面です。絵面は馬鹿だけど撮影自体は鮮やかなのがまた困りもので、画だけ切り出されたら誰も強姦シーンだと気付かないファンタスティックな仕上がりなのでした。
 その他、セカチューで長澤まさみが無駄にハードルを上げた難病患者役を頑なに帽子着用で押し通した三浦春馬、レディースにしか見えない香里奈、変な髪形と関西弁の小出恵介と、キャストは意外に健闘しつつ何かが間違ってる感じで、極めつけはヒロインの父・高橋ジョージのスゴイ芝居。友人関係ばかりで視野の狭さが強調されていた原作に、暖かい家族愛を持ち込んで未熟な少女期の恋とのバランスをとるアイデアも、ジョージのインパクトで全て台無し。出番は少ないのに出るたびに目が釘付けなのでした。

恋 空 プレミアム・エディション(2枚組)


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2008年09月05日

マスコミは何を慌ててるのか

・大相撲薬物汚染 理事長は責任を自覚せよ(社説比較くん 3.0)

 9/4付けで大手2社が大相撲大麻疑惑を社説で扱ってますが明らかに勇み足です。冤罪だったらどうするのか心配になります。

> 精密検査の結果を待ちたいが、2人は大麻の使用も所持も全面的に否定しているという。副流煙による「陽性」の可能性もあるようだ。潔白を主張する2人を信じたいが、若ノ鵬と親密なつきあいをしてきた2人なので疑いの目を向けざるを得ない事情もある。

 毎日新聞落ち着け。否定しているようだが、そうでない可能性もあるとか全社で主張するまでも無く当たり前です。潔白を信じたいけど犯罪者の友達は信用できないって人権にうるさい御社らしくもない。

 もっと酷いのが産経。

> 北の湖理事長は自らの進退にけじめをつけるべきではないか。残された時間は短い。速やかな決断を迫られている。

 疑惑の段階で「責任とれ」との主張ですが、お宅は河野談話を批判してたんじゃないのですか?

> しかし、今回のケースは言い逃れができない。白露山は理事長の弟子の一人だからだ。

 だから、それは「クロ」と判断されてからの話ですよ。

> 2人の検体は、精密検査に回され、結果は一両日中に明らかにされるが、もし「シロ」であっても薬物使用の疑惑が完全に晴れたとは言い切れず、真相究明が必要となる。

 仮に、本人否定・家宅捜索も証拠なし・精密検査陰性の場合、どうやって疑惑を晴らせば良いのか。この場合、疑惑を向ける産経側が「クロ」を証明しなければならないのですが。

 別に力士を擁護してるわけじゃないですよ。検査結果が出るまで待っても全く問題ないのに何をそんなに入れ込んでるのかと、それだけです。まあ、個人的には野球界やサッカー界でも犯罪はしばしばあったけどコミッショナーやチェアマンの首は飛んで無いし、プロなんだから単純に個人の責任だと思いますが。


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2008年09月04日

映画誌「ロードショー」が休刊へ

・ロードショーが休刊 11月発売の1月号で(MSN産経)

 「スクリーン」と並ぶ外人俳優グラビア誌「ロードショー」が休刊へ。インターネットの普及で雑誌業界はどこも厳しいとはいえ、これは情報提供系雑誌の休刊ラッシュとはちょっと毛色が違い、そこがまた由々しき事態な気がします。

 グラビア誌って基本的にレアな画像やインタビューが載るので本質的には付加価値は高目な筈なんですよ。でも部数は落ちてます。原因は読者層の高齢化。映画に限らずグラビア誌の中心的な読者層は30代〜40代で下の世代にシフトしてません。「ロードショー」のバックナンバーを観ても「月刊ジョニー・デップ」の様相で、あとはカスピアン王子にマット・デイモンにジェラルド・バトラー、女優だとアンジェリーナ・ジョリーやジェシカ・アルバあたりが目立ちティーンの娘の好みとは程遠いわけです。そりゃ購買力は先細りしますよ。でも、特集を組むべき若手スターって見当たらないのも事実なのです。

 昨今の洋画離れもこの影響が大きいとマピールさんはみてます。だって字幕嫌いが原因なら吹替版の配給が主流化するだけですし、レンタル文化はとっくに根付いてます。家庭の緊縮財政説も『ポニョ』がヒットしてるのをみると深刻とはいえません。
 実際、TV局絡みの邦画・ファミリーアニメ・興収30億以上の大ヒット洋画は堅調で推移しており、興収10億レベルの洋画が激減してます(参考)。つまり中高生や家族連れの動員が期待できない映画が苦戦してるわけです。休日にシネコンの入口を眺めてると、ファミリーやカップルや単身の男性客に比べ若い女性が複数連れだってるのをあまり見かけません。若手スターを作り上げる宣伝の不足とレディース・デイの浸透が興収を下げてる要因じゃないのかと思ってみたりするわけです。




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2008年08月31日

サンシャイン2057

 古典小説『冷たい方程式』的な極限状況解決型SFに見せ掛けた幽霊船モノのホラー映画。なんとも評価に困る・・・いや、違いますね。評価は失敗してるB級SFで鉄板です。ただ、製作陣の姿勢が読みきれません。どこまでが予定調和でどこからが暴走なのか謎。

 この映画、『2001年宇宙の旅』『エイリアン』『惑星ソラリス』『サイレント・ランニング』などの名作映画をそこかしこで彷彿させるのですが、プロットで一番影響を受けてるのはなんたって『クライシス2050』です。あちらは太陽の活発化による危機から人類を救うべく宇宙船ヘリオス号で太陽に爆弾を打ち込みにいく話なのですが、本作は太陽の衰退化による危機から人類を救うべく宇宙船イカロス2号で太陽に爆弾を打ち込みにいく話。日本人クルーが1人いるのも共通です。ご丁寧にイカロス1号の失敗ミッションが2050年に設定されてたりもします。タイトルも激似ですが、これは邦題のみ。
 問題は『クライシス2050』がハリウッド映画の皮を被った日本映画で、邦画最高額といわれる70億円の製作費で国内興行成績が14億円、米国でもひっそりと公開されたのみという曰く付きの失敗作だってことです。前述の名作群と並べるにはマニアックすぎる作品なのです。加えて『宇宙からのメッセージ』のおかげで全米に知られているデューク真田こと真田広之の起用(役名はカネダ!)。SF映画に超詳しい奴がスタッフにいるのは間違いありません。

 なのにSF設定が異様にゲロ甘。いくらなんでも進路変更とシールド制御が非連動のシステムとかありえませんし、非常時には融通利かない割にザル過ぎるセキュリティやら命令一発で全開になる危険な遮光制御など、コンピューターが不自然にポンコツです。その他、わざとやってるとしか思えない素人臭いツッコミどころが彼方此方に散見してます。物語的にもハードSFの香りを醸し出しつつ、やがて横道に逸れ、無駄に凝りまくりのSFギミックや妙な宗教概念や説明不足の人物描写でグダグダになり、何が起きてるのかわからないエフェクトに紛れて間違った着地点に捻りも無く到達。・・・このテイストは和製SF映画そのものです。これがマピールさんが冒頭で困ってる理由なのですよ。オマージュならば見事なダメダメ感の再現なんですが、果たしたその為にそんな極端なマニア向け作品をこしらえれるかというとこれまた疑問なのです。

 まあ、ゴチャゴチャ考えても詮無い事ですな。本当は何がしたかったのか解らん作品ですが、小ネタを拾ってニヤリとするマニアック魂充足映画としては上々なのでそういう覚悟での観賞をお薦め。心情描写や科学考証をいちいち説明しない作風なので一般には敷居が高く、気難しい本格SFファンが両手を挙げて喜ぶでもなく、デューク真田を目当てにすると出番は少なくアクションも無くと、なにかと微妙な作品ですが、ハードコアのわりに哲学的難解さとは無縁でパターン通りに進むのでストーリーを確実にトレース出来るのが長所。それなりに面白いです。トリップ・ムービーみたいな太陽の映像表現も見応えありで、これは劇場で観たかったと思う出来なのでした。

サンシャイン2057


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2008年08月28日

味覚センサによるビール地図に感動

 キッカケはこれ。

・甘い?辛い?いや「カルシウム味」 米で第6の味発見か(朝日新聞)

> 「カルシウム味は苦みに酸味が少し加わったようなものだ。適切に表現する言葉はなく、『カルシウムっぽい』としかいいようがない」

 この記事に関しては「イメージが全然伝わってこないなぁ」というぐらいの感想しかないのですが、五つの基本味が気になってあれこれ探るうちにこんな所に辿り着き。

・おいしさを目で見る(SciencePortal)

 ここにある「ビール、発泡酒、その他雑酒の味の地図」が我が意を得たりと思える出来でして、「キレは不要で苦味重視」という世の中の流行りと真逆のマピールさんの好みが見事に図示されてます。ラガーとエビスをスタンダードにするマピールさん、発泡酒はおろかドライや黒ラベルでもダメな理由がはっきりしました。一番絞りが許容ギリギリの苦味という認識も図と一致。苦味を嫌いコクを嫌い爽快感を求める今どきの若い衆と相容れないのも納得なのでした。
 それにしても、普段はバカ舌と言われるほどアバウトな味覚なのに、酒に関してのみ鋭敏なのはなんでなのでしょう?

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2008年08月24日

ゾディアック

 全米を揺るがした実在の劇場型連続殺人犯を題材にしたノンフィクション小説を映画化した作品。このゾディアックと名乗る人物は『ダーティ・ハリー』の偏執狂的な犯人・スコルピオの元ネタでもあります。未解決事件なのでオチが弱くなる事も重々承知してましたが、監督が『セブン』のデヴィッド・フィンチャーとなれば否が応でも期待しようもの。ましてやサイコ・サスペンス系を思わせる妙に出来のいい予告編付きだったし。でも、「待て、あわてるな。これは孔明の罠だ。」ということで・・・。

 マピールさんが劇場で観たときは始終睡魔との闘いとなり、劇中の記者や刑事さんより早く「犯人の正体なんてどーでもいい」気分に。最後の30分は意外に盛り上がったもののそこに到るまでの展開が淡白で退屈なのでした。サスペンスでもミステリーでもないのは残念ですが、事件に魅入られた男たちを描くヒューマン・ドラマというのも一興なので否定しません。でも、あまりにも観客を引き付けるキャラクター性に乏しいのです。メインの漫画家・記者・刑事とも人生が滅茶苦茶になっていくわけですが、しっかりとした人物描写と見事な演技だからこそ、その遊びの無さに腹にもたれます。リアルすぎて群像劇としての面白味も感じません。しかも、登場人物自体は多くその整理が忙しいときます。事件の予備知識がないとかなり厳しいです。
 そして、犯人像に魅力が無い事も話を盛り下げます。出来事が羅列されるだけで知性や狂気を感じさせる演出は乏しく妄想は膨らみません。これは、犯人が望んでいた「事件の映画化」を実現させるに当たり美化を避けたせいなんだと思いますが、謎の事件としての興味を大きく削ぐ結果に。事実なのかもしれませんが、容疑者の首実験が終盤まで行われないなど腑に落ちない展開の数々も足を引っ張ります。なんだか完全犯罪には程遠い事件を無能な刑事と趣味の探偵が追った挙句の迷宮入りみたいなのです。

 そんな訳で、初見では何を見せたいのかわからないモヤモヤ感がつのるばかりだったんですが、DVDで再観賞するにあたり「なにゆえに未解決に終わったのか?」という視点で見たらそこそこしっくりきました。あと、キャラ的に最も目立っている遊軍記者(ロバート・ダウニー・Jr)を中心に観てしまいがちですがマーク・ラファロ扮する市警の刑事を追った方が理解はスムーズです。一応の主人公である漫画家(ジェイク・ギレンホール)は古典的探偵小説ばりに終盤をまとめるだけで殆んどは蚊帳の外ですし。
 頭の中を整理してから観賞するとかなり味わいが違うようで若干評価を改めました。独特の刺激的な映像センスで知られるフィンチャー監督らしからぬ演出や映像に頼らない地味な映画にがっかりだったのですが、その後『ダーティ・ハリー』を観なおした事で実は当時のアメリカ社会を細かいところまで作りこみ再現しているのがわかりました。漫画家私見とはいえ生半可に結論付けるなら動機にまで踏み込めと思っていた終盤も、この消化不良な感じがフィンチャーらしくていいと思えます。嗚呼、これでドラマ性がもっと高ければ。

ゾディアック 特別版


mappil at 23:23|PermalinkComments(0)TrackBack(0) DVD