アンケートなんてものは「どういう質問をしたのか」とか、「誰に質問したのか」で、結果に違いが出てしまうもので、まあ、アンケートをした人物がどういう結果を導きたかったのかをある程度考えて質問を作ったりするものなのですけどね。ですから、「あるアンケートでは」などというものは、ほぼその記事の執筆者の作成したものだと考えていいというのは知識として持って置く必要があるのですが、それは蛇足ということで。

アニメベスト10

表紙で解説してあるとおり「日本アニメの100年の歴史の中で、もっとも重要だと思われる10作品をお挙げください」というものです。30人の評論家というのが誰なのかわかりませんが(本気で調べていない)、「TIGER & BUNNY」が一位ではなかったので、「そういう結果を望んで編集した」ということなのでしょう。決して「お勧め」とか「感動した」とか、そういう選出ではないと考えたほうが良さそうです。

で、僕がこの情報を手に入れたのが「韓国ウオッチャーサイト」というのも面白くて、僕の巡回しているアニメ系情報収集のサイトではほぼスルーされていたことになります。まあ、深夜アニメが「まどマギ」のみというのも、まあ、そういう人達とはすこし違ったコミュニティでの評価と言えるのかもしれません。

それにしても、「20世紀の」と入れたほうがしっくりするんじゃないかと思うような、ここ15年はアニメは全く進歩していないような、そいういう結果になっています。古い作品に関してすごく違和感があるのは、「いつものやつ」があたりまえのように語られていて、評論家という人達は「カッコイイ視点」を気にしすぎて机上の空論のような評価しているんじゃないのかと疑ってしまったりしています。

古い作品を採り上げるのなら、「巨人の星」とか「あしたのジョー」とか「ベルサイユのばら」とか、アニメというジャンルを完成させてしまったようなレガシー級の作品が取り上げられないのも僕が違和感を感じているところです。「芸術」としての価値について語るのであれば、それらの作品と「宇宙戦艦ヤマト」とか「うる星やつら」との間の違いを教えてほしいものです。逆に言うと、あれだけ世間で話題になった影響力を解説するのが評論家の仕事だと思うのです。

それと、「デジタルの導入」についても見えてこなくて、僕でも気づくくらいアニメ業界でもデジタル化は進んできていて、既にデジタル技術なくしてアニメ制作はできないんじゃないかとか考えるくらいだと思うのですが、そのきっかけとなる作品はあるはずなんですけど、それについての評価はほとんどなくて、それも気になるところです。

僕なんかは、モブキャラがCGに置き換わっているのを知らない世代(というか切り替わった頃のアニメを観ていない)なので、なんとも言えないのですが、きっと、エポックな出来事が起きていたのではと想像しているのです。

「くもとちゅうりっぷ」や「鉄腕アトム」がノミネートされているのも技術的な事件が起きていたことが後押ししていると思うのです。それなら、それ以降の技術的な飛躍についても同様な評価がほしいとか思っているのです。「白蛇伝」が、初のカラー作品だとして評価されているのなら、初の3DCG作品は?とか初のOVA作品は?とか単純に考えてしまうのですけど、それだけではダメだということなんでしょうね。

「芸術ナントカ」という雑誌である以上、なんだか「権威」みたいなものがチラホラ見えて面白いですね。ここはひとつ「ガールズ&パンツァー」とか「ラブライブ!」とかを入れる度量の広さを見せてほしかったところです。