まぁ坊の思いつくまま考古学日記

学芸員のまぁ坊が仕事や研究で訪れた遺跡や古墳を紹介。学芸員としての雑感や、一緒に暮らす猫のこと、読んだ本についても紹介していきます。

2011年11月

2011.11.30 「開館記念特別展 松岡秀夫と有年考古館の歩み」 赤穂市立有年考古館

 11月26日に「博物館めぐりの中国大返し」と題して展示会を5件観覧してきました。

 最初に訪れたのは岡山県と兵庫県の県境にあるといっても過言ではない有年考古館です。

有年考古館2有年考古館1
チラシ
 有年考古館はもともと地元で眼科医をしていた松岡秀夫氏が設立した私設の展示施設でした。
 松岡秀夫氏が亡くなったあとは、ご子息の松岡秀樹氏が引き継がれて展示施設として続いていました。
 ただ、個人が切り盛りしている展示施設だけに、常時開館は難しく、突然の思いつきで行ったとしても閉まっていて、事前に電話連絡をしてあけてもらい見学が出来るというものでした。不便といえば不便なのですが“考古学徒の集まる館”的な雰囲気が個人的には好きでした。

 今年の春頃に有年考古館が閉館するという話を人づてに聞いて驚きました。個人の展示施設とはいえ、有年考古館は、有年周辺の地域の歴史を語るには欠かすことが出来ない逸品がかなり揃っていたからです。
 「あの数々の遺物たちはどうなるんだろう?何とかしてくれ赤穂市!!」と思っていたら、赤穂市が何とかしてくれました。良かった。

有年考古館3
有年考古館外観
 有年考古館自体を赤穂市が引き受け、館内をリニューアルして、再オープンするというありがたいお知らせ。展示遺物も閉館前のまま見学することが出来るということでした。
 リニューアルした有年考古館は11月11日にオープンしました。リニューアルオープンに合わせて「開館記念特別展 松岡秀夫と有年考古館の歩み」が開催されています。

有年考古館4
展示風景
 外観は昔のままで、内装については以前の面影を十分に残していますが、すっきりした感じになっています。明るくなったといった方が良いかもしれません。10年以上振りの見学になるので、楽しんで見学することが出来ました。
 展示は松岡秀夫氏が手がけた有年周辺の遺跡の調査成果が所狭しと展示されています。個人的には西野山3号墳の出土資料が展示の目玉になっていたのが嬉しかったです。

有年考古館5
銅鐸鋳型
 松岡秀夫氏の輝かしい業績のひとつである石製銅鐸鋳型の発見。もともと地元では地蔵の頭部とその光背として信仰されていたのですが、松岡秀夫氏の調査で銅鐸の鋳型であることが判明しました。現物は赤穂市立博物館に収蔵されています。

有年考古館6
松岡秀夫氏の研究ノート
 最近、こういう表に出にくい個人の研究の積み重ねの資料を見せられると自分の不勉強が際立ってしまい「もっと頑張らないと」と思ってしまいます。
 “少年老い易く学成り難し”言い得て妙な言葉だと最近痛感するようになりました。これから先、もっと痛感するようになるんだろうなぁ。頑張らないと。

 松岡秀夫氏が考古学に取り組むようになったのは40歳を過ぎてからのこと。81歳で亡くなるまでに様々な研究や調査に携わったその熱意は尊敬に値します。
 大学を出てからずっと考古学に関わらせてもらってるまぁ坊としては、もっと頑張れってことかな。見学を終えて館を出る時、何となく清々しい気分になれました。

 「開館記念特別展 松岡秀夫と有年考古館の歩み」は1月9日(金曜日)までです。12月10日(土曜日)には水野正好氏による記念講演会も企画されています。
 ぜひぜひ行ってみてください。

 松岡秀樹さん、長年お疲れ様でした。

開館時間 10:00〜16:00(入館は15:30まで)
休館日  毎週火曜日、12月28日〜1月4日
入館料  無料
 URL  
所在地情報:兵庫県赤穂市有年楢原1164-1

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2011.11.29 「平成23年度特別企画展 弥生の生産と流通」 徳島市立考古資料館

 徳島県立博物館を観覧した後、眉山を1/4周するように西に向かい徳島市立考古資料館へ。11月27日(日)まで開催されていた 「平成23年度特別企画展 弥生の生産と流通」 を観覧してきたので、その報告です。

徳島市立考古資料館
資料館外観
 この特別展、近畿には殆どといって良い程情報が入ってきていなかったのですが、仕事柄、開催要項を見る機会があったので、「面白そうだな」と思っていたのでいって見ることにしました。

 特に金属器の生産と流通に関連する展示がメインになっていましたが、今回是非行ってみようと思ったのは淡路市の五斗長垣内遺跡出土の鉄器生産関連の遺物が展示されていたからでした。
 五斗長垣内遺跡が発見された時、現地説明会に行きたかったのですが、どうしても行くことが出来ず涙を飲んでいました。なので今回、徳島に上陸する前に淡路島に寄って、五斗長垣内遺跡を見学して、そのまま徳島で五斗長垣内遺跡の出土遺物を見学しようという流れにしていました。
 見つかった鉄斧に台石となかなか見応えのある資料で、個人的にはこの資料を見ることができただけで満足でした。
 五斗長垣内遺跡の遺物以外には銅鐸関連の鋳型が多数展示されていて、「今年は本当に銅鐸の当たり年だなぁ」とつくづく思ってしまいました。

 今回の展示に際して、どこにもポスターやチラシを見かけなかったのですが、配布していたのかなぁ。展示資料は優品ばかりだったので、あまり知られていなかったとすればかなり勿体無いなぁと思ってしまった展示でした。

開館時間 9:30〜17:00(入館は16:30まで)
休館日  毎週月曜日(祝日の場合は開館 )、祝日の翌日(日曜・祝日の場合は開館 )、12月28日〜1月4日
入館料  無料
 URL   http://www.city.tokushima.tokushima.jp/shakai_kyoiku/sisetu02.html
所在地情報:徳島県徳島市国府町西矢野字奥谷10番地の1

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2011.11.27 自転車親父とのバトル

 今日は日曜勤務の日でした。
 昨日とは打って変わってポカポカ陽気で、「昨日がこんな天気だったら良かったのになぁ」と事務所の窓から外を眺めていました。

 すると自転車に乗ったオジサンがすっと史跡公園の中に入ってきました。
 まぁ、大抵の史跡公園がそうであるように、公園内は自転車乗り入れ禁止で、公園の外には自転車駐輪スペースが用意しています。
 たまに自転車を押して公園内に入ってくる方がいるのですが、今日のオジサンはこともあろうに乗車して公園内の見学路を走り始めました。見学路には砂利が敷いているので自転車では走りづらいはずなのにお構いなしです。
 公園内にはドングリを拾って遊んでいる子供もいたので、慌てて自転車で公園内に入らないように言いに行ったのですが、サイクリングスーツに身を包んだオジサンの口からは罵詈雑言の嵐。
 要は「25万円もするこの自転車を盗られたらどうしてくれんねん」ということだったので、「お値段の高い靴履いている人が“盗られるのイヤだから”と言ってお座席に靴を履いたまま上がらないでしょ」と説明したのですが、「そんなん屁理屈じゃー」と怒鳴られてしまいました。

 そうとうご立腹のようだったのですが「融通の利かん奴やな!!」と吐き捨てられて結局自転車に乗ったまま去って行きました。

 せっかくのご陽気だったのに一日気分が悪いままの勤務になりました。

 何よりもサングラスかけたままのその態度に腹が立つ。お前はクワトロ大尉かっつーの。

一私人だったらチャリ蹴り倒しとったよ。

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