2018年09月14日

『源氏絵の系譜―平安時代から現代まで』刊行

源氏絵の系譜 脱稿から2年、ようやく源氏絵の本が刊行されました。

 はじめに
 第一章 平安時代の源氏絵
 第二章 鎌倉〜室町時代の源氏絵
 第三章 桃山〜江戸時代の源氏絵
 第四章 現代の源氏絵
 あとがき 

 2011年12月〜2013年2月まで『週刊朝日百科 週刊 絵巻で楽しむ源氏物語五十四帖』に連載したコラムを加筆訂正し、新たな作品を加え、時代順に再構成したものです。『すぐわかる源氏物語の絵画』が物語順なのに対し、こちらは作品別になっていますので、作品の概要を調べるときに便利かと思います。当初2400円の予定が2000円+税という破格のお値段になっています。大丈夫か、森話社!

 物流が滞っているため、書店に並ぶのは10月からだそうです。右下のAmazonの窓に「源氏絵の系譜」と入れて、ポチッとしていただくと、すぐにお手元に届くと思います。

 こだわりは、橋姫段のカバーもそうですが、薄萌葱の表紙と藤紫の見返と扉のグラデーション。ページ右上のラベルの色は、章ごとに香色、紅梅色、若紫、縹色、群青色、淡萌黄、香色、作品名の色は本紫です。←そこ?w

 森話社のHPはこちら

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2018年08月19日

立教大学大学院レポート講評

 講評というか感想。

「琴に臥す中の君 徳川・五島本「源氏物語絵巻」橋姫段の検討」
 詞書の改変は古注の人物比定に合わせたものだとする指摘がおもしろかったです。ただ、徳川・五島本の制作年代と古注の年代が違うのですよね。早蕨段以降は分担制作者が異なるので、大君と中の君の表現を比べることは難しいかな。橋姫伝承への影響がおもしろかったのに、そこは省略されてしまったのですね。残念。

「徳川・五島本「源氏物語絵巻」を読み解く─柏木第三段の光源氏を中心として─」
 発表ではどうなることかと思いましたが、レポートはよかったです。ただ、註はまとめる、「 」の外に出す、過去形にしない、考えるでなく考えられる。

「徳川・五島本「源氏物語絵巻」夕霧段について」
 詞書、絵、情景選択、どの考察もよかったです。特に、雲居雁と女房の相似性、入れ子構造、雲居雁と女房と観者の欲望についての考察がgoodでした。

「源氏物語絵巻 鈴虫二の表象について」
 発表の講評のときにも書きましたが、ネットの記事を参照されてもねぇ。たいてい誰かの説の受け売りなんですよね。この場合、佐野さんの解釈。鈴虫第一段が女同士の絆で、鈴虫第二段が男同士の絆という指摘はおもしろかったです。

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2018年08月18日

4年ゼミレポート講評

 講評というか感想。

15JL005 「「病草紙」四枚の絵について」
 あざのある女と白子の考察はOKです。二形と口臭の女は、まだ説明不足かな。絵が当時の現実ではなく、制作者の偏見をあらわしているという考察にはなってきましたが、差別をあらわしていると書いて終わりにしてしまう傾向があるので、もう少し丁寧に考察してください。秋学期は、屎を吐く男、歯槽膿漏の男、痔瘻の男、毛虱の汚い系の考察ですね。

15JL007 「『あさきゆめみし』における橋姫巻について」
 第二章は、前半部が原文、後半部が原作になっていますので、原作に統一しましょう。原作と漫画の比較は丁寧でよかったです。特に、垣間見のシーンでの姫君たちの印象のところがgoodでした。でも時々意味不明。質疑応答でも指摘されていましたが、少女漫画らしさってなんでしょう。秋学期は人物論ですね。

15JL009 「永青文庫・大英博物館の「春画展」について」
 概要はずいぶんあっさりしましたね。第三章が短いので、パネルの元になった作品について説明してください。考察は時々意味不明。説明不足なのでしょう。秋学期は、日本と外国での評価の違い?第四章の展示と規制の問題についても、個々の事象を詳しく説明して、評価の問題と合わせて発表してください。

15JL011 「映画『羅生門』について」
 真砂の分析・考察はOKです。急遽追加してもらった多襄丸と金沢でしたが、多襄丸の分析・考察はおもしろかったです。ミラー効果については、もう少し説明してください。金沢を先にしたほうが、多襄丸の分析・考察が生きるかしら?考えてみてください。今回は、昨年度秋学期の授業で取りあげたブライソンさんや千野さんの論文を引用しながら考察してもらいたかったのですよね。その意味では、理想的なレポートでした。

15JL032 「氷室冴子『ざ・ちぇんじ!』について」
 原文ではなく、原作にしましょう。先行研究を紹介したあとの問題提起の書き方がよかったです。第二章の比較・考察はなんとかかたちになりましたね。でも、考える→考えられる。するも→するものの。第三章の性自認と性的指向は、人数も増えてよかったです。秋学期は、挿絵の分析と吉野の場面の考察ですね。

15JL039 「映画『男はつらいよ』について―マドンナ・リリーの造形を中心に―」
 第二章の分析は、やっとかたちになりましたね。エクセルの表はよくできました。表を見ると、他にも映画に取りあげられた流行や、映画に取りあげられなかった事件があるのでは?第三章の分析も、寅とリリーのジェンダー観の違いがわかるようになりました。性愛を描かないことについては、もっと膨らませてください。秋学期は、さくらを中心に、山田洋次監督の家族観を論じてください。

14JL042 「映画『エバー・アフター』について」
 なんとか第3章までできましたね。今まで書いた原稿のデータと添削したレポートをなくしてしまっては、いつまで経っても進みませんよ。レポート返却後、赤字の部分をすぐに直しておいてください。問題は、秋学期の第4章『アンナと王様』との比較・考察ですね。

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2018年08月17日

3年ゼミレポート講評

 講評というか感想。

16JL001 「徳川・五島本「源氏物語絵巻」御法段について─貴族女性の理想像─」
 細かいミスはあるものの、源氏の表現、明石中宮が紫の上の支えになっているという指摘、恋愛だけではなく死のかたちも押しつけられていたという指摘がgoodでした。

16JL003 「徳川・五島本「源氏物語絵巻」柏木第二段について」
 傍線aを主語にしない、過去形にしない、壁代の考察は特徴ある表現に回して。女房たち=財力、やまと絵屏風の機能の指摘はgoodでした。

16JL005 「「源氏物語絵巻」鈴虫第一段について─女三の宮は存在しなかったのか─」
 う〜ん、直ってないですねぇ。女三の宮かどうか分析したいと書いてあるのに、画面の記述では女三の宮に比定されている。いったん保留にして、分析しなくていいの?

16JL013 「徳川・五島本「源氏物語絵巻」柏木第一段について」
 画面の記述に解釈はいりません。悲しみの三角形は特徴ある表現にまとめて書いてください。あとは文章力ですね。

16JL023 「「源氏物語絵巻」を読み解く―蓬生段の末摘花について―」
 詞書の解釈はgoodでした。おわりにまでが情景選択の考察ですね。そのあとにおわりにをつければよかったです。

16JL031 「徳川・五島本「源氏物語絵巻」夕霧段について─夕霧と雲居雁の表象を中心に─」
 細かいミスはあるものの、「さてもさても」の考察、扇と長櫃の考察、夕霧に心を許している雲居雁の表現という指摘はgoodでした。

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2018年08月16日

日本美術史特講機.譽檗璽蛤療牲覯

 3年講義科目の優秀レポートは、以下の4人でした。

16JL0009 「「源氏物語図扇面散屏風」浮舟について―土佐光吉筆「源氏物語図屏風」浮舟図と比較して─」
 浄土寺本の概要、浮舟の絵のディスクリプション、『源氏物語』浮舟巻との比較、メトロポリタン本の概要、浮舟との比較、どれも大変よくできました。文章が上手い。

16JL031 「土佐光吉・長次郎筆「源氏物語画帖」橋姫について─徳川・五島本「源氏物語絵巻」橋姫段と比較して―」
 同じく、どれも大変よくできていました。言うことなし。

16HC015 「土佐光吉・長次郎筆「源氏物語画帖」夕顔について」
 光吉と長次郎の重複六場面のうち夕顔の比較。源氏の視点が異なるのは、『源氏物語』夕顔巻の描いている部分が違うからだという指摘がgoodでした。

15HC014 「海北友松筆「雲龍図」について―海北友雪筆「雲龍図襖」と比較して―」
 ほとんど授業に出ていなかったのにこのクオリティ(笑)。改行が多かったですね。

 惜しかったのは、以下の2人でした。
16JL003 「土佐光吉筆「源氏物語画帖」夕霧について─土佐光吉・長次郎筆「源氏物語画帖」夕霧と比較して─」
 内容はよかったのですが、ケアレスミスが多かったです。

16JL023「土佐光吉筆「源氏物語画帖」蓬生について―土佐光信筆「源氏物語画帖」蓬生と比較して―」
 重複六場面のうち光吉の蓬生を取りあげるにせよ、画帖の筆者は光吉と長次郎ですよね。考察するって使うんだけど、考察されるとか考えられるですよね。でも考察は相変わらずgoodでした。

 昨年度同様、5つの課題を出さないとレポートを提出する権利が与えられないという過酷な授業になってしまいました。いや、添削する方も過酷な授業でした。これでディスクリプションは完璧になったかなぁ。

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2018年08月15日

学科基礎演習機親本語日本文化基礎演習機.譽檗璽蛤療牲覯

 2年ゼミの優秀レポートは、以下の2人でした。

17JL001 「鼻黒の一家─絵と詞書の違いから見る男と女の関係─」
 加須屋さんの論文だけではなく、池田さんの「平治物語絵巻」研究を使って乳房について考察したところがよかったです。

17JL005 「口臭の女─「病草紙」と『源氏物語』から見る口臭の描かれ方─」
 『源氏物語』の香りと口臭から調べてくれました。男の解釈と口臭をあらわす手法を三つにまとめたところがよかったです。

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2018年08月14日

日本のヴィジュアル・イメージ機〆療牲覯

 スライドテスト90点以上の上位10人/13人中は、以下のとおり。
13JL064  100点 
13JL072  100点
16JL023  90点
17JL001  100点
17JL004  100点
17JL005  100点
17JL008  100点
17JL016  100点
17JL017  91点
17JL023  100点
 満点が8人!平均点は、2006年度が69.3点、2008年度が71.4点、2009年度が55.5点、2010年度が74.6点、2011年度が70.6点、2012年度が73.3点、2013年度は20問出してしまって57.9点、2014年度が75.7点、2015年度が61.8点、2016年度が82.1点、2017年度が80.3点、2018年度が84.3点。こちらは最高。

 課題がよかった人は、以下のとおり。
16JL023
17JL001
17JL005
17JL008
17JL017
17JL023

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2018年08月13日

日本美術史/日本美術史機〆療牲覯

 スライドテスト70点以上の上位7人/25人中は、以下のとおり。
16JL014  74点
16JL023  91点
16JL030  70点
17JL023  87点
17PH006  88点
17PH021  75点
18JL031  81点
 平均点は、2005年度が49.8点、2006年度が66.1点、2008年度が57.3点、2010年度が54.4点、2011年度が50.9点、2012年度が58.5点、2014年度が54.8点、2016年度が57.9点、2017年度が52.4点、2018年度が47.3点。あら最低。10点未満が4人もいたのが響きましたね。

 課題は、今年も展覧会レポートか展覧会チラシか、どちらかを選択。展覧会レポートは、決められた構成で、展覧会場のレポと問題点と改善策が書いてあればA、改善策が特に優れていればA+。展覧会チラシは、必要事項が書いてあればA、デザインやコンセプトが特に優れていればA+。今回A+はいませんでした。

 展覧会レポートがよかった人は、以下のとおり。
17JL023 「生誕150年横山大観展を訪れて」
 陳列方法の改善策が5点、照明と宣伝方法の改善策あり。模範的なレポートでした。

 展覧会チラシがよかった人は、以下のとおり。なんだか浮世絵ばっかりだけど。
16JL014 「戌と猫。」
 犬と猫じゃなくて?(笑)
 
16JL023 「ブラブラ六道巡り」
 アニメのキャラクターたちによる解説ボイス付きなのね。

17PH006 「仏師展」
 一見地味かなと思いきや、センスが光るデザインでした。

17PH021 「猫道楽」
 各種企画、次回予告あり。授業態度の割には、スライドテスト良し、課題良し。

18IS006 「広重」
 キャッチコピーは、“かわいい”から日本を見る。裏面のデザインが面白い。

18JL018 「広告の世界展」
 表のデザインが良いですね。いろんな広告を集めましたね。

18JL032 「雨が滴る」
 浮世絵に描かれた雨。課題提出はちょうど梅雨の時期だったしね。色が綺麗。

18JL052 「Modern Art 浮世絵―近世から現代まで―」
 浮世絵とモダンアートを繋げるには、現代の浮世絵も入れないとね。

18PH020 「浮世絵のおいしいごはん展」
 作品をあとは見た実際に食べてみませんか?が決め手でした。

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2018年07月31日

法政大学 採点結果

法政大学の美術史(日本)Aの採点結果です。
2014年度は、110人中90点以上が33人、平均点が72.5点、満点が5人。
2016年度は、51人中90点以上が3人、平均点が63.4点、満点はなし。
2018年度は、67人中90点以上が10人、平均点が62.8点、満点が1人。
試験勉強をした人としなかった人の差が大きかったですね。
80点以上は、以下の21人でした。

法学部法律学科3年B組16A0108   86点
文学部哲学科3年A組16B0009   89点
文学部日本文学科3年E組16B1009   85点
文学部日本文学科3年E組16B1012   96点
文学部日本文学科3年E組16B1013   96点
文学部日本文学科3年E組16B1018   80点
文学部日本文学科3年E組16B1020   84点
文学部日本文学科3年E組16B1036   89点
文学部日本文学科3年F組16B1113   91点
文学部日本文学科3年H組16B1314   91点
文学部日本文学科3年H組16B1324   94点
文学部史学科3年P組16B3005   100点
文学部史学科3年P組16B3031   95点
文学部史学科3年P組16B3035   86点
文学部史学科3年P組16B3039   96点
文学部史学科3年P組16B3040   80点
文学部史学科3年Q組16B3102   90点
文学部史学科3年Q組16B3124   82点
文学部史学科3年Q組16B3129   85点
文学部史学科3年R組16B3209   97点
文学部史学科3年R組16B3214   81点

成績は、テストの点数に0.8を掛けて、コメントペーパー点を足してつけました。
90点以上、ほぼ毎回出席でA+です。

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2018年07月14日

ゼミ発表10週目 大学院

立教大学院の4回目の発表は、鈴虫第二段について。

はじめに
・はじめにをつけて、問題提起をしてください。その答えがおわりにになります。

一、鈴虫第二段について
あらすじ
・出典を註に入れてください。

詞書
・『新修日本絵巻物全集』(角川書店)のほうをご覧ください。


・絵については、三田村さんや三省堂の辞書ではなく、秋山先生と佐野さんの論文をご覧ください。笛を吹く公達が夕霧だというのは佐野さんの説だし、笙を吹いている公達などいないし。
・何が描かれているのかは、自分のことばで説明して、佐野さんの説を紹介すればいいでしょう。男性だけの空間だということを指摘して、次章に繋げます。

二、タイトルは自由につけてください
・ホモソーシャルな空間と権力について、自由に論じてください。
・私もどこかでホモソーシャルな宴だと指摘したのですよね(「源氏絵における〈男〉の視点と〈女〉の視点」高橋亨編『王朝文学と物語絵』竹林舎、2010年5月の註58でした)。それに対して、ホモソーシャルとミソジニーはセットになっているのに、この場面はミソジニーではないからホモソーシャルではないと反論されました。でも、おっしゃるように画面に女性がいないのもミソジニーと言えるのではないか、しかもここは冷泉院の御殿(つまり院の御所)といういわば公的空間ですよね。貴族の私的な空間には女性はいるが、公的空間には女性はいない、これは「伴大納言絵巻」でも同じです(稲本万里子「家族の情景―「伴大納言絵巻」に描かれた妻の役割」鈴木杜幾子・馬渕明子・池田忍・金惠信編著『交差する視線―美術とジェンダー2』ブリュッケ、2005年11月)。そのあたりのことも織り込んでください。

おわりに
・問題提起の答えを書いてください。



参考文献



 美術史研究者が物語の解釈や人物論を論文に使うときは、文学研究者の論考を引用します。つまりは受け売りですね。逆も然り。ですから「源氏物語絵巻」について論じる際には、必ず美術史研究者の論考を参照してください。そうでないと誰かの論考の孫引きになってしまいます。

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