2018年07月14日

ゼミ発表10週目 大学院

立教大学院の4回目の発表は、鈴虫第二段について。

はじめに
・はじめにをつけて、問題提起をしてください。その答えがおわりにになります。

一、鈴虫第二段について
あらすじ
・出典を註に入れてください。

詞書
・『新修日本絵巻物全集』(角川書店)のほうをご覧ください。


・絵については、三田村さんや三省堂の辞書ではなく、秋山先生と佐野さんの論文をご覧ください。笛を吹く公達が夕霧だというのは佐野さんの説だし、笙を吹いている公達などいないし。
・何が描かれているのかは、自分のことばで説明して、佐野さんの説を紹介すればいいでしょう。男性だけの空間だということを指摘して、次章に繋げます。

二、タイトルは自由につけてください
・ホモソーシャルな空間と権力について、自由に論じてください。
・私もどこかでホモソーシャルな宴だと指摘したのですよね(「源氏絵における〈男〉の視点と〈女〉の視点」高橋亨編『王朝文学と物語絵』竹林舎、2010年5月の註58でした)。それに対して、ホモソーシャルとミソジニーはセットになっているのに、この場面はミソジニーではないからホモソーシャルではないと反論されました。でも、おっしゃるように画面に女性がいないのもミソジニーと言えるのではないか、しかもここは冷泉院の御殿(つまり院の御所)といういわば公的空間ですよね。貴族の私的な空間には女性はいるが、公的空間には女性はいない、これは「伴大納言絵巻」でも同じです(稲本万里子「家族の情景―「伴大納言絵巻」に描かれた妻の役割」鈴木杜幾子・馬渕明子・池田忍・金惠信編著『交差する視線―美術とジェンダー2』ブリュッケ、2005年11月)。そのあたりのことも織り込んでください。

おわりに
・問題提起の答えを書いてください。



参考文献



 美術史研究者が物語の解釈や人物論を論文に使うときは、文学研究者の論考を引用します。つまりは受け売りですね。逆も然り。ですから「源氏物語絵巻」について論じる際には、必ず美術史研究者の論考を参照してください。そうでないと誰かの論考の孫引きになってしまいます。

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2018年07月13日

卒論ゼミ秋学期発表日とテーマ

 秋学期の発表日と発表テーマは、以下のとおりです。

09/27 漫画『あさきゆめみし』、映画『羅生門』
10/04 永青文庫の春画展、映画『男はつらいよ』
10/11 「病草紙」、『ざ・ちぇんじ!』
10/18 映画『エバー・アフター』
10/25 3年ゼミ旅行のため休講
11/01 本題目添削
11/08 相談日
11/15 相談日
11/22 相談日
11/29 相談日
12/05 卒論提出日
12/06 卒論提出締切日
12/13 秘密の作業日
12/20 予備日
01/10 秘密の練習日
01/17 予備日
01/30 卒論口述試験、4年ゼミ生歓送会(幹事は3年生です)

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2018年07月12日

3年ゼミ秋学期発表日とテーマ

 秋学期の発表日と発表テーマは、以下のとおりです。

 夏休みレポートを課す代わりに、2回発表してもらうことにしました。1回目は、作品の概要と最も重要だと考える先行研究の紹介です。発表原稿は2部、発表資料は8部作って、図版も各自で用意してください。発表後、1回目の発表内容(作品の概要、研究史と問題点)と2回目の発表内容(原作と視覚表象の比較)をあわせてレポートにしてもらいます。

09/26 ゼミ旅行打ち合わせ、1回目発表
天理本「源氏物語絵巻」
・作品の概要。
・先行研究は、梅津次郎「源氏物語絵巻天理本」『絵巻物残欠の譜』角川書店、1970年1月。全然ないじゃん。

10/03 1回目発表
漫画『あさきゆめみし』の六条御息所
・『あさきゆめみし』の概要、六条御息所の登場シーンは『源氏物語』のどの巻に該当するのか。
・先行研究は、清水千絵「『あさきゆめみし』における紫の上―その苦悩と人生観―」『恵泉アカデミア』6、2001年12月。村上七海「葵の上という女性―『あさきゆめみし』ではどう描かれたのか―」『恵泉アカデミア』12、2007年12月。佐藤彩「『あさきゆめみし』における女三の宮のキャラクタライズ」『恵泉アカデミア』15、2010年12月。

漫画『八犬伝―東方八犬異聞―』
・作品の概要。
・漫画分析の先行研究は、清水千絵「『あさきゆめみし』における紫の上―その苦悩と人生観―」『恵泉アカデミア』6、2001年12月。村上七海「葵の上という女性―『あさきゆめみし』ではどう描かれたのか―」『恵泉アカデミア』12、2007年12月。佐藤彩「『あさきゆめみし』における女三の宮のキャラクタライズ」『恵泉アカデミア』15、2010年12月。八犬伝分析の先行研究は、疋田愛美「映画『里見八犬伝』について―悪女玉梓の表現を中心に―」『恵泉アカデミア』18、2013年12月。

10/10 1回目発表
「地獄草紙」
・作品の概要。
・先行研究は、奥平英雄『地獄草紙・餓鬼草紙』(『双書美術の泉』24)岩崎美術社、1976年4月。『新修日本絵巻物全集』の家永三郎、秋山光和論文。『日本絵巻大成』巻末の参考文献一覧参照。加須屋誠「ジェンダー論―地獄に堕ちた女たち」長岡龍作編『講座日本美術史』4、東京大学出版、2005年9月。

ハーヴァード本「源氏物語画帖」
・作品の概要。
・先行研究は、千野香織・亀井若菜・池田忍「ハーヴァード大学美術館蔵「源氏物語画帖」をめぐる諸問題」『國華』1222、1997年8月。笠嶋忠幸「ハーヴァード大学美術館蔵「源氏物語画帖」詞書の書風と制作年代」『國華』1222、1997年8月。堀内祐子・野口剛・稲本万里子他「ハーヴァード大学美術館蔵「源氏物語画帖」解説」『國華』1222、1997年8月。メリッサ・マコーミック「ハーヴァード大学美術館蔵「源氏物語画帖」と『実隆公記』所載の「源氏絵色紙」」『國華』1241、1999年3月。河野元昭「ハーヴァード大学美術館蔵「源氏物語画帖」の修理について」『國華』1274、2001年12月。

10/17 1回目発表
「鳥獣人物戯画」
・作品の概要。
・先行研究は、上野憲示「「鳥獣戯画」甲巻の復原について」『美術研究』292、1974年3月。上野憲示「「鳥獣戯画」甲巻系の復原」『新修日本絵巻物全集』4、角川書店、1976年1月。上野憲示「「鳥獣人物戯画」の復原と観照」『日本絵巻大成』6、中央公論社、1977年8月。辻惟雄『鳥獣人物戯画と鳴呼絵』(『日本の美術』300)至文堂、1991年5月。まずは復原案について紹介してください。

10/24 ゼミ旅行

 2回目の発表は、原作と視覚表象、または視覚表象と視覚表象の比較です。

10/31 2回目発表
漫画『あさきゆめみし』の六条御息所
・『源氏物語』と対照させる。
・何場面か選んで原作と比較することで、『あさきゆめみし』がどのように造形化されているのか明らかにする。

11/07 2回目発表
「地獄草紙」
・『正法念処経』と東博本の絵、『起世経』と奈良博本の詞書と絵を対照させる。まずは奈良博本から。
・何場面か選んで経文と比較することで、「地獄草紙」の特徴を明らかにする。

11/14 2回目発表
漫画『八犬伝―東方八犬異聞―』
・『南総里見八犬伝』と対照させる。
・何場面か選んで原作と比較することで、『八犬伝―東方八犬異聞―』がどのように造形化されているのか明らかにする。

11/21 2回目発表
天理本「源氏物語絵巻」
・『源氏物語』若紫巻・末摘花巻と対照させる。
・全場面を原作と比較することで、「源氏物語絵巻」の特徴を明らかにする。

11/28 2回目発表
ハーヴァード本「源氏物語画帖」
・『源氏物語』と対照させる。
・何場面か選んで物語と詞書と絵を比較することで、「源氏物語画帖」の特徴を明らかにする。

12/05 2回目発表
「鳥獣人物戯画」
・復原A巻と復原B巻の筆致、モチーフの形態、着衣の有無などを比較する。
・復原A巻の筆者と復原B巻の筆者について、上野説と辻説を検討する。

12/12 2回目発表

12/19 相談日(見学会が入るかも)

01/09 レポート添削

01/16 レポート提出、卒論ガイダンス、4年ゼミの発表日調整

01/23 休校

01/30 4年ゼミ生歓送会(3年生が幹事です)

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2018年07月07日

ゼミ発表9週目 大学院

立教大学院の3回目の発表は、柏木第三段について。

はじめに
・問題提起は、複数いる登場人物のなかでなぜ光源氏に焦点が当てられたか、ということですよね。それを一から三で検証します。
・改行は200から400字に1回ぐらい。

一、柏木第三段の詞書
・三田村説は絵巻制作にかんするひとつの解釈ですから、まずは物語と詞書の違いを指摘して、その理由を考えてください。
・源氏のモノローグになっている点については、すでに秋山光和氏によって指摘されています(『王朝絵画の誕生』)。私の論文(「薫の誕生」)もご覧ください。
・薫が笑っている描写が省かれているのはなぜでしょうか。先行研究がなければ、自分で考えてください。
・泣くが嘆くになっているのは変更?改変?別本ではどうなっているのでしょうか。
・そのほか、女が女房になっていますよね。女房では意味がとおらないので書き間違い?写し間違い?

二、柏木第三段の絵
画面の記述

物語と詞書と絵の相違点
・物語では薫を抱いているか、わからないですよね。
・ここでは、物語と詞書と絵の相違点だけを指摘して、構図や表現については次節で検討します。

特徴ある表現
・まずは構図。転換点云々ではなく、急な角度の構図を意味するものを考えてください。
・次に薫を抱く源氏。薫の腕の描き直しについては、先の『王朝絵画の誕生』をご覧ください。墨画は絵所の主任絵師のことです。薫の腕は、なぜ描き直されたのか。光源氏は、なぜこの場所に描かれたのか。
・女三の宮は、なぜ描かれなかったのか。
・女房は、なぜ顔を背けているのか。
・最後に高坏に盛られた五十の儀の食膳、出衣でしょうか。
・質疑応答にもありましたように、先行研究を議論できるように、引用文は「 」で括って註をつけるとよかったですね。

三、柏木第三段の情景選択
・詞書と絵では、どの場面が選ばれているのか。
・後世の源氏絵では、どの場面が選ばれているのか(「源氏絵帖別場面一覧」参照)。
・徳川・五島本では、なぜこの場面が選ばれたのか。なぜ光源氏が焦点化されたのか。

おわりに
・物語では、登場人物の心情を読み取ることができるのであれば、そこを一のところで具体的に述べてください。
・今までも因果応報の理をあらわしていると言われてきましたが、教訓だとするならば、誰に対しての教訓なのか。なぜ源氏絵を使って、因果応報の理を教えなければいけないのか。


・筆者名には氏はつけない。
・論文は一番古いものを引用する。
・孫引きをしている文献は信用に値しないので使わない。

参考文献
・発表順で。
・註で使った文献も参考文献に入れる。


・キャプションが必要です。キャプションの書き方は夕霧さんの講評参照。

 なぜ光源氏が焦点化されたのかを問題とするのであれば、その答えを出すために、一から三で検討するのです。先行研究を貼り混ぜるのではなく、自分で出した推論に必要な情報を取り込み、論理を組み立てていくのです。『平安時代世俗画の研究』所収の「源氏物語絵巻」の論文2本も読んでください。

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2018年07月05日

ゼミ発表9週目 3年生

3年ゼミの7回目の発表は、御法段について。

はじめに
・女絵系の物語絵巻は、恋愛のプロセスや結婚生活をあり方を学ぶために機能していたと思われますが、徳川・五島本にかんしては、分担制作のあと、絵合のような場で披露されたと考えられています。ここは、恋愛のプロセスを学ぶために機能していたと考えるならば、と但し書きをつけてください。

一、御法段の詞書
・「いとど」と「をかしげなる御さま」は、別本にあるかどうか調べてください。

二、御法段の絵
画面の記述
・直垂衾→衾、黄色→金泥、廊→簀子。

物語と詞書と絵の相違点
・〜するも、は正しい日本語ではないので、〜するものの。
・蝙蝠を力なく持っているというのがいいですね。
・最後→最期。

特徴ある表現
・蝙蝠の日輪と脇息の解釈がおもしろかったです。
・後ろ姿の源氏の解釈は、後ろ姿の人物は鑑賞者が憑依するモチーフであること、鑑賞者は源氏の視点に同化して紫の上を見ているということを段階を追って説明してください。
・註8は註9の論文です。

三、御法段の情景選択
・註10も註9の論文です。
・最初に出てくる人名はフルネームで。
・註11は私の文章ですね。出典は教科書です。
・最後のところは文章を整えてください。

おわりに
・なぜこの場面が選ばれたのか、という問題提起の答えがおわりにになります。
・ここも文章を整えてください。学ぶプロセスではないですね。


・論文名を直してください。

参考文献
・佐野さんの論文名を入れてください。
・『週刊朝日百科』は御法巻だけ。


・OKです。

 貴族女性の理想像ということで首尾一貫していましたし、言いたいこともわかりましたので、もう少し詳しく説明して、文章を整えてください。時間が足りなかったのかな。

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2018年06月30日

ゼミ発表8週目 大学院

立教大学院の2回目の発表は、夕霧段について。
水曜日も金曜日も夕霧でした。

はじめに
・「反モデル」については、池田忍『日本絵画の女性像』(筑摩書房)を引いてください。

一、夕霧段の詞書
・文学研究科だけあって、詞書について意見が飛び交いましたね。「宵過ぐるほどにぞ」「御殿油」を削除することで、夜ではなく、女房の勤務時間内にしている?常夏巻の時間に合わせている?調べてみてください。
・「さてもさても」と二度非難することで、夕霧の優位性を強調しているのですね。

二、夕霧段の絵
画面の記述
・雲居雁と夕霧の白い顔は補彩だということが明らかになりました。ということは、その上に描かれた目鼻も補筆なのですよね。私の論文の註に引いてあります。

物語と詞書と絵の相違点
・羅(うすもの)です。

特徴ある表現
・雲居雁の造形についても意見が飛び交いましたね。雲居雁は嫉妬する妻の造形なのか。透けた衣はエロティックな表象なのか。足が見えるのはエロティックな表現ですが、腕や胸が見えるのはエロティックな表現と言えるのか。3年ゼミ生が発表してくれた「気安い夫婦関係」ぐらいまでしか言えないのではないか。
・「反モデル」については、制作者の意図と鑑賞者の解釈を分けて考えたほうがいいと思うのです。規範を逸脱した姿をカッコイイと思って惹かれる気持ちはあると思うのですよね。でも制作者としてはどうだったのか。
・相似形の女房も「反モデル」であって、三重の構造になっているという説は、画面構成ではなく画面の構造ですね。加須屋誠さんの「病草紙」の論文をご参照ください。

三、夕霧段の情景選択
・夕霧巻は、ほとんどが夕霧が夕日に扇をかざす場面で、雲居雁が文を奪い取ったあとの場面はありますが、奪う場面は住吉具慶の絵巻ぐらいです。

おわりに



参考文献


・キャプションの書き方は、絵師名「作品名」夕霧 所蔵者名

 徳川・五島本は、分担制作をさせたあと、絵合のような披露の会を催したと考えられています。そういった公的な場にせりあがってくる絵と「反モデル」とがどう重なるのか。誰に対しての戒めなのか。自分で論文を書いておきながら、そのあたりの矛盾が解消されていないのですよね。考えてみてください。

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2018年06月28日

ゼミ発表8週目 3年生

3年ゼミの6回目の発表は、夕霧段について。

はじめに
・OKです。

一、夕霧段の詞書
・先行研究を引用するときは、〜と述べられている、〜といわれていると他人事のように発表するのがコツです。そうすると、オリジナルの意見が引き立ちます。
・『源氏物語』と詞書の異同については、『新修日本絵巻物全集』所収の中村義雄さんの論文か、巻末の詞書(中村義雄解説)に書いてあるかもしれません。

二、夕霧段の絵
画面の記述
・単か単衣か、私は単衣と書いています。
・この時代は襖ではなく障子です。
・しまわれて→納められて。

物語と詞書と絵の相違点
・「年月がたつにつれて、ないがしろにされて」という文章は、物語にも詞書にもありますね。
・図1は、常夏の絵ではなく(常夏の絵は教科書に掲載)、夕霧段の模写ですね。文学全集って、結構いい加減に図版を使うのですよね。
・オリジナルの意見がおもしろかったです。

特徴ある表現
・ここもオリジナルの意見がgoodでした。
・柱と平行ではなく、長押と平行ですね。
・夕霧が読む文と女房が持つ扇についても言及してください。

三、夕霧段の情景選択
・秋山説についての発表者の見解は?
・後世の源氏絵で選択される場面ではなく、この場面が選ばれたのはなぜでしょうか。
・子どもっぽいではなく、はしたないですね。

おわりに
・「気安い夫婦関係」という解釈はおもしろかったです。でも、質疑応答で出た「はしたない振る舞いを諫める機能」についても考えてみてください。
・はじめにで設定した問題提起は、なぜこの場面が選ばれたのか、でしたよね。その答えがおわりににきます。内容はいいので、書き方を工夫してください。



参考文献



 形式はほぼ問題なく、内容もオリジナルの意見があってよかったです。「気安い夫婦関係」という解釈がおもしろかったので、詞書と絵と情景選択の考察が結論に収斂するといいですね。

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2018年06月23日

ゼミ発表7週目 大学院

ゼミ生じゃないけど、立教の大学院のトップバッターは橋姫段について。

はじめに
・絵巻の場合は、巻ではなく段です。
・問題提起がわかりやすくてよかったです。

一、詞書の検討
・橋姫巻の梗概は、出典を註に入れてください。
・底本ではなく、詞書でいいですよ。
・物語の簾を短く巻き上げても、詞書の簾少し巻き上げても、下から少し巻き上げることなので、大きく巻き上げている絵とは異なっているのです。
・物語の「いと寒げに身細く」はカットされていますね。
・ふたりの姫君を形容する表現が変えられているのが問題でした。琵琶の姫君は中の君をあらわす表現が変えられ、琴の姫君は大君をあらわす表現が中の君をあらわす表現になっていた。その理由として、古注釈に合わせたため。これは納得。もうひとつの視線が合っているから?これは結果なのでは?

二、絵の検討
・笑っている表現については、「病草紙」をご覧ください。
・先行研究は、田口、佐野、モストウ、池田、稲本の順で。
・見る/見られるについて、いい意見を言ってもらえましたね。すやり霞は、月明かりをあらわすとともに、観者の視線を誘導する。月を描くことは、見られる対象を照らし出すとともに、垣間見という行為を強調する。
・目線ではなく視線です。
・「来ない男を待つ女」から二人妻説話への展開に、ふたりの姫君を描いた橋姫段があるという指摘がおもしろかったです。藤原清輔だと、ちょうど徳川・五島本が制作された頃ですね。徳川・五島本は、デフォルメされているところから、すでに先行図様があったと考えられていますが、橋姫段の構図が定着していくなかで、橋姫伝承に影響を与えたのかも。

三、情景選択の検討
・挿図の番号は、表に合わせてをふります。最初の場面はどこだろう?バーク本の1、光起画帖、薫が八の宮のもとに向かう場面が毛利家本、伝如慶画帖、垣間見の場面は徳川・五島本、浄土寺本、毛利家本、京博本、伝光則画帖(これは任天堂本でした)、具慶絵巻、九曜文庫本、石山寺本、薫が姫君たちの部屋の前に坐る場面が光則画帖、バーク本の2はどこの場面か?出生の秘密を知る場面が久保惣本。

おわりに



参考文献



 絵巻の発表なんてはじめてだったはずなのに、さすが大学院生、おもしろかったです。TAさんが見る/見られるに詳しいことが判明。女性もいったん男性的ジェンダーを獲得するのですね。次回話を聞かせてください。

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2018年06月22日

ゼミ発表7週目 4年生

4年ゼミの7回目の発表は、映画『エバー・アフター』。

はじめに
・はじめにに書くことは?取りあげる作品の簡単な紹介。なぜその作品を選んだのか、その理由。その作品をどのような方法で論じるのか、分析方法。分析することによって、何を明らかにするのか、問題提起。この答えがおわりににきます。
・よって選択理由は書き直し。分析方法と問題提起も書いてください。

1 『エバー・アフター』の概要と先行研究
1-1 『エバー・アフター』の概要
ペロー版『サンドリヨン』
・概要、あらすじを書く。

グリム版『アシェンプテル』
・概要、あらすじを書く。

ディズニー映画『シンデレラ』
・概要、あらすじ、キャスト、製作スタッフ・主題歌・挿入歌を書く。

映画『エバー・アフター』
・概要、あらすじ、キャスト、製作スタッフ・挿入歌を書く。
・衣装か衣裳、どちらかに統一する。
・続きを書いてください。

1-2 『エバー・アフター』の先行研究と問題点
先行研究
・若桑みどり氏の説を紹介します。

問題点
・今までどのような研究がなされていて、どのような研究がなされていないのか。それをここで検討すると述べます。

2 登場人物とストーリーの比較・考察
2-1 登場人物の比較
・『エバー・アフター』の登場人物を他のシンデレラ・ストーリーの登場人物と比較します。比較のコツは、『エバー・アフター』を最後にもってくること。
・比較の表は文末に。

2-2 ストーリーの比較
・『エバー・アフター』のストーリーを他のシンデレラ・ストーリーと比較します。比較のコツは、『エバー・アフター』を最後にもってくること。
・映画の始まりのシーンから比較してください。老婦人がグリム兄弟を招いて話をするシーンから始まり、グリム兄弟が帰るシーンで終わっていますよね。

2-3 考察
・2-1と2-2から導き出されたことをまとめます。
・今までのシンデレラ・ストーリーと決定的に違うのはどこでしょうか。
・老婦人がグリム兄弟を招くシーンで始まり、グリム兄弟が帰るシーンで終わっている。→おとぎ話ではなく、実話のように見せるため。魔法使いではなく、レオナルド・ダ・ヴィンチを登場させたのも同じ理由。
・ダニエルは貴族階級ではない。剣の達人。→階級の問題は第3章で検討。剣の達人として造形化したのは何のため?
・舞踏会で見初められるのではなく、出会いのシーンを創作。→今日的な物語に変容させている。
・スペイン王女との結婚のエピソードを創作。→政略結婚の無意味さを強調するため。
・下の姉は幸せをつかみ、継母と上の姉は貴族の身分を剥奪される。→親切であれという教訓?

3 クラスの視点からの考察
3-1 登場人物の造形
ダニエル
・階級に着目して、人物像を記述する。
・貴族階級ではない。
・ヘンリー王子との結婚により、王族になる。
・続きを書いてください。

ロドミラと義姉たち
・男爵夫人の称号あり。
・ダニエルの父親の急死以後、ダニエルを召し使い扱いする。
・嘘をついた罪により、貴族の身分を剥奪されて、洗濯婦に落とされる。

ヘンリー王子
・舞踏会にジプシーを招待。
・スペイン王女を解放。
・身分違いのダニエルと結婚。
・続きを書いてください。

3-2 考察
・ダニエルの身分を貴族階級ではなく地主の娘として設定したのは、王族にのしあがる物語にしたかったから。アメリカには貴族も王族もいないからね。下剋上の物語であることも書いてください。
・ロドミラは、ダニエルの父親の愛を失って、意地悪な継母になったのですね。スペイン王女のエピソードといい、恋愛至上主義の映画のようです。
・ヘンリー王子が舞踏会でダニエルを拒絶したのは、貴族ではなかったからではなく、騙されたと思ったからなのですね。ジプシーを舞踏会に招待したことといい、身分には寛容な人物として造形化されているのですね。と思っていたのですが、身分制度から抜け出せない一面もありましたね。

おわりに
・はじめにで提起した問題の答えがおわりにになります。



参考文献


・横書きのときは算用数字。


・キャプチャー画像を入れる。

 映画をもう一度見直しました。ロドミラは、ダニエルのなかに亡くなった夫の面影を見いだしていましたね。愛の物語でいいのかな。レオナルドにも「愛のない人生は無だ」と言わせていました。身分にこだわりのない人物として造形化されていたヘンリーでしたが、仮面舞踏会のときにはダニエルの身分を侮辱する発言をしていましたね。所詮は世間知らずの王子様。ロドミラは、王妃に嘘をついた罪によって新大陸に流刑になるところをダニエルに助けられ、ダニエルへの仕打ちと同じ仕打ちをされることになったのですね。
 前回添削したレポートはどうしたのでしょうか。何度も同じことを言わせないで。時間をかけなければ、いつまで経っても卒論が書けませんよ。

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2018年06月21日

ゼミ発表7週目 3年生

3年ゼミの5回目の発表は、鈴虫第一段について。

はじめに
・はじめにに書くことは何でしたか?左側の女性が女三の宮かどうかを問題提起とするならば、その答えがおわりににきます。
・鈴虫第一段は、持仏供養のあとの場面です。
・歌を詠む。
・10.5ポイントのMS明朝体、はじめにと一のあいだは1行以上空けない。

一、鈴虫第一段の詞書
・表記の違いの理由は?考察してください。
・秋の虫を鈴虫に替えたのはなぜ?「「源氏物語絵巻」の詞書と絵をめぐって―雲居雁・女三宮・紫上の表象―」(『交渉することば』勉誠出版、1999年5月)で考察しましたので、参照してください。
・光源氏が琴を弾くシーンが省略されていることも加えてください。

二、鈴虫第一段の絵
画面の記述
・真ん中→中央。
・前髪ではなく、平成の復原模写をおこなった際、裳の引腰が確認できたので、女房であることがわかりました。
・指定文字→指示の文字。
・庭のようすも記述してください。

物語と詞書と絵の相違点
・小見出しをつけてください。
・離れがたい思いでいるのは源氏です。ここは書き直し。
・御仏の前に坐り念仏を唱えているのは女三の宮です。
・物語と詞書には若い尼君が2、3人とあります。絵では1人になっていますよね。
・女三の宮ではなく女房とするならば、物語と詞書に記されていない女房がいることになります。
・女三の宮が描かれていない理由を詳しく書いてください。
・質疑応答の時間にいいヒントを言ってもらえましたね。つけ加えてください。

特徴ある表現
・手前に庭を配する構図について、詳しく書いてください。
・女三の宮について、自分の意見は?
・尼君の女房についても書いてください。

三、鈴虫第一段の情景選択
・詞書ではどの情景が選ばれているのか、絵ではどの情景が選ばれているのか。
・後世の源氏絵では、どの場面が選ばれているのか。鈴虫第二段さんが作例を出してくれましたよね。
・徳川・五島本では、なぜこの場面が選ばれたのか。

おわりに
・問題提起の答えがおわりにになります。



参考文献
・必読文献は?



 時間をかけなければ、必要最低限のノルマも終わりませんよ。やるべきことをやって合格、先行研究を踏まえたうえでオリジナリティーが出せればなおよろし。1年生のときは、クラス代表&優秀レポートだったのに。もっと時間をかけてください。

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