当日の朝までノーチェックだったが、秋のコンサートのチケット取りをしていて偶然情報を見つけ、急に当日券で聴いてきたコンサートである。

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ルッフ:
 ヴァイオリン協奏曲第1番 ト短調 op.26
ブルックナー:
 交響曲第4番 変ホ長調 WAB104
 (1874年初稿・ノヴァーク版)

指揮/シモーネ・ヤング
ヴァイオリン/木嶋 真優
コンサートマスター/崔 文洙

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シモーネ・ヤングは、わが第2の故郷ともいうべきハンブルクのシェフとしてヴァーグナーを振るのを現地で観ただけで、日本で聴くのも初めてなら舞台の“上で”振る姿に接するのも初めてであった。

正直、トリフォニーで聴く金管に若干不安を抱いて足を運んだのだが、今回はどのセクションも抜群の出来。満足の午後となった。

初稿を生で聴くのは初めてだったが、耳に馴染んだ1878/80年稿からすると総じて未整理の状態というのは否めない。特にパートごとの旋律の追いかけ方と絡み具合に統一感がない気がする。

弦14型のオケ。ホルンはゲスト首席の方とのこと。第1楽章冒頭のソロは、息の長い主題のフレージングがややぶつ切りに聞こえたが、その後は第3楽章のあれだけ多くの出番も完璧で、あの方の見事な技術力で全体が引き締まっていたと思う。

その初稿の第3楽章は、1878/80年稿とまったく別の曲と表現できるほど違っている。頻繁に登場するホルンの動機は、チャイコフスキーの交響曲の中間楽章に登場するかのような素朴な旋律であり、耳について困るほど印象的だ。

最終第4楽章。冒頭から何度か登場するのこぎり型の音型は、和声的にもかなり斬新な主題だと思うのだが、最終的にこれが消滅してしまったのが残念に思えた。

シモーネ・ヤングはこの初稿を長く扱っているようだが、こだわるだけあって、深い探求心がプラスに出たように思える。ダイナミックな指揮ぶりに見えて粗すぎず、丁寧に作り込んでいる。全体として、非常に完成度の高い演奏だった。

なお、前半のプログラムはブルッフのヴァイオリン協奏曲。木嶋真優さんは初めて聴いたが、強引さのない着実な演奏で好感が持てた。ソロアンコールは、オリジナルアレンジの《故郷》であった。